いきなり試合が増えてきた…/原ゆみこのマドリッド

2022.09.10 21:00 Sat
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「こんなパターン、記憶にないわよね」そんな風に私が溜息をついていたのは金曜日、今週末のリーガ戦予定を見直していた時のことでした。いやあ、近年のマドリッドは1部のチームが多い時で5つ、少なくても3つはあるのが普通なんですが、レアル・マドリーがサンティアゴ・ベルナベウでプレーするなら、アトレティコは遠征といったように、常にホームとアウェイに試合が分かれるようにラ・リーガが調整。それがこの5節に限っては、マドリッド4チームが揃ってホーム開催、しかも土日に2試合ずつ、キックオフ時間も互いに余裕があるせいで、4試合全てスタジアム観戦できてしまうなんて、もし今、マドリッド観光に来ていたら、サッカーファン冥利に尽きる経験ができる?

まあ、その辺はあとでまたお話ししますが、今週のハイライトと言えば、W杯が11月に開催するせいで、慌ただしく、9月初旬から始まったCLグループリーグの開幕戦で、まずは火曜にマドリーがグラスゴーでセルティック戦に挑むことに。昨季はリーガとCLの二冠、今季もリーガ4連勝と好調な滑り出しを見せているアンチェロッティ監督のチームとあって、早い時間からのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が期待されたため、シビタス・メトロポリターノにお隣さんの試合前日記者会見を見に行っていた私も何とか、キックオフ時間までに近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に滑り込もうと急いだんですが…。

うーん、開始から活発に攻めていたのはセルティック・パークに駆けつけた6万人のサポーターに後押しされたホームチームの方で、アバダのシュート2本やマクグレゴールのゴールバー直撃などでGKクルトワを脅かしていたんですが、決定力が欠けていたのが幸い。だってえ、下手にリードされていた日には前半30分、今季のマドリー、唯一の弱み、たった1人しかいない、信頼できる真正CFが交代を要請したんですよ。そう、ベンゼマが右ヒザをケガしてしまったんですが、代わりに入ったのがfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/シャドーCF)のアザールだったとなれば、最悪の事態を予想したファンも多かったかと。
でも大丈夫。前半終了間際にビニシウスがシュートを2本撃って、足慣らしをしたマドリーはハムストリングスを痛めたミリトンがハーフタイムにリュディガーに代わるという、不幸の連鎖もあったんですけどね。セルティックもアバダが前田大然選手に交代し、先発した旗手怜央選手と共にピッチに立ったんですが、11分にはマドリーのカウンターアタックが炸裂。ええ、敵陣を上がったバルベルデのラストパスを受けたビニシウスが3度目の正直で先制ゴールを決めてくれたんです!

もちろん、それだけで終わる彼らではなく、その4分後にはアザールからボールをもらったモドリッチがエリア内で敵DFを2人かわして、この金曜に迎える37才のバースデー前祝いゴールを挙げ、才能ある選手には年齢なんて関係ないことを証明。2点差にされたセルティックは27分になって、今季のチーム得点王、スコットランドリーグですでに6得点している古橋亨梧選手を入れたんですが、時すでに遅しです。勢いに乗ったマドリーは止まらず、32分にはクロースのパスをカルバハルが落とし、何とアザールまでゴールを決めているとなれば、エース抜きの試合をこれから幾つこなさないといけないか、わからなかったアンチェロッティ監督も少しは安心できたかと(最終スコア0-3)。

まあ、実際、マドリッドに戻って検査を受けたベンゼマは特に重傷ではなかったものの、どうやら復帰は9月の各国代表戦後になりそうだとか。ミリタオはそれよりちょっと早くて、来週末のマドリーダービーが目標のようですが、要はどちらも来週水曜のCLグループリーグ2節、サンティアゴ・ベルナベウでのライプツィヒ戦には間に合わない見込み。とはいえ、相手は初戦でシャフタールに1-4と大敗と、ロシアの軍事侵攻により、自慢だったブラジル人選手たちも離散、練習も試合もままならないはずのウクライナのチームに負けたせいか、テデスコ監督が早くも解任され、マルコ・ローズ新監督が赴任したばかりですからね。

スペイン代表常連FWのダニ・オルモも負傷中とあって、Decimoquinta(デシモキンタ/15回目のCL優勝のこと)達成に幸先いいスタートを切ったマドリーですから、あまり心配することはないかと思いますが、それより差し迫っているのは日曜午後2時(日本時間午後9時)からのマジョルカ戦。この時間だと、正面スタンドに直射日光が差し込んでくることはないものの、今週末のスペインは再び夏日に戻るようなんですよね。アギーレ監督のチームも2節前にはエスタディオ・バジェカスで弟分のラージョを0-2で破っていて、現在11位といい感じですし、まだシーズン序盤とあって、1試合で大きく順位が動くだけに、バルサと勝ち点2差で単独首位にいるマドリーもまだまだ気を引き締めていかないといけません。

そして翌水曜はアトレティコの番で、先週末のレアル・ソシエダ戦でレイニウドに激突され、太ももの打撲で交代していたGKオブラクが何とか間に合って、ポルト戦のスタメンに入れたのは頼もしかったんですけどね。メトロポリターノに駆けつけたファンも今季最初のCLとあって、張り切って応援していたんですが、これがまた、シメオネ監督も「No jugamos un buen partido no hubo ocasiones para ninguno/ノー・フガモス・ウン・ブエン・パルティードー・ノー・ウボ・オカシオネス・パラ・ニングーノ(ウチはいい試合ができなくて、どちらにもチャンスがなかった)」と認めていたぐらい、前半は何もない展開。

ハーフタイムには覇気に欠けていたカラスコ、自陣エリア脇でのクリアボールをジェレミー・ピノに贈り、先制点のアシストをした今季ホームデビューのビジャレアル戦に匹敵するようなミスを犯しかねなかったナウエルを後半頭から、レマルとデ・パウルに代えてみても、いえ、5分にはコケのシュートが珍しく入ったんですけどね。ラストパスを出したデ・パウルがオフサイドを取られ、スコアには上がらなかったため、16分には定番、レアンタル期間の2シーズンで出場率が50%を越えないよう調整中のグリーズマンが出動。更にはスタンドからpito(ピト/ブーイング)が飛ぶ危険を承知で、シメオネ監督はモラタをCBのエルモーソに、ジョアン・フェリックスをコレアにとメンバーをリフレッシュしていったんですが…。

その後、ポルトのオタビオが負傷し、担架で運び出されるまでかなり時間がかかったり、36分にはタレミが2枚目のイエローカードをもらって退場。0-0のまま、45分が過ぎた時はまた、昨季のCLグループリーグ初戦のようにスコアレスドローで終わるのを私も覚悟していたんですが、まさかロスタイムに大波乱が待っていようとは!ええ、9分と長い時間が電光掲示板に表示されてから、たったの1分、シメオネ監督が「ジョアンをコレアに代えたのは内側から攻めるため。ジョアンはサイドでプレーしていたから、コレアには中へ行くように指示した」というのが功を奏したか、右側から中心に向けてドリブルした彼がエルモーソに繋ぎ、そのシュートが敵DFに当たって、ゴールになってしまったから、ビックリしたの何のって。

いやあ、普通だったら、もうこれで勝ったようなもんですが、そうすんなりはいかないのがいかにもアトレティコですよねえ。0-2で負けたビジャレアル戦終了後に野次られて、諍いになっていた応援団席のファンと一緒にゴールを祝ったばかりのエルモーソが51分、今度はクリアしようとしたボールを腕に当てて、PKを献上しているって、まったく何をしているんだか。ウリベの蹴ったPKはオブラクの手が触れたものの、ネットに収まり、1-1に追いつかれてしまったんですが、まあ、そのおかげですかね。後でコンセイソン監督も「ロスタイムのロスタイムはもう終わっていたのに何でプレー続行したのかわからない」と文句を言っていたんですが、まさに9分を2分オーバーした56分に奇跡が起こったんですよ!

最後のプレーとなるCKをレマルが蹴ったところ、これがビッツェルの頭を経て、ファーサイドにいたグリーズマンの前へ。マドリーファンにはお馴染みのペペがクリアしようと脚を高く上げてきたのにも怯まず、ヘッドで合わせたボールが土壇場の勝ち越し点になってくれるなんて、一体、誰に予想できたでしょう。その直後に試合終了の笛が鳴ったため、選手たちもスタンドのファンとゴチャ混ぜになって喜んでいましたが、CL初戦からこんな勝ち方するなんて、まったく心臓に悪い。

ヒメネスなど、「Hemos ganado porque nunca dejamos de creer, lo intentamos hasta el final/エモス・ガナードー・ポルケ・ヌンカ・デハモス・デ・クレエル、ロ・インタモスモ・アスタ・エル・フィナル(信じるのを止めず、最後まで諦めなかったから、ボクらは勝った)」と言っていましたが、それこそ根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)が売りのお隣りさんじゃあるまいし。これじゃ、試合後の会見でコンセイソン監督が「ポルトはマドリー、バルサに次ぐCL試合数を誇るのに誰もその重みを尊重してくれない」と、八つ当たりのように怒っていたのも仕方なかったかも(最終結果2-1)。

え、それにしたって、殊勲のゴールを挙げたグリーズマンが今季、毎試合控えで、30分程度しかプレーしないのはあまりにもったいないんじゃないかって?その通りではありますが、どうやら経営陣には強制買取オプションの移籍金4000万ユーロ(約58億円)をバルサには絶対払わないという、固い意志があるみたいでねえ。確かに「Podemos ver la realidad/ポデモス・ベル・ラ・レアリダッド(現実を見ればいい)。彼は30分間プレーして凄くよくやっているが、60分プレーしたらどうかはわからない」というシメオネ監督の言葉ももっともなんですが、もしや先発していれば、ファンも途方もなく退屈な90分間を辛抱して過ごす必要がなかった可能性もなきにしろあらず。

ただ救いは、当人も「Claro que quiero más, pero voy a dar todo en los minutos que tenga/クラーロ・ケ・キエロ・マス、ペロ・ボイ・ア・ダール・トードー・エン・ロス・ミヌートス・ケ・テンガ(もっとプレーしたいのは当たり前だけど、出場できる時間に全力を尽くすよ)。自分はクラブの人間だと感じるし、プレーしたいチームはここだけだからね」と納得しているようなところなんですけどね。何はともあれ、このポルト戦の勝利のおかげもあって、アトレレティコは翌木曜、メトロポリターノのプレスルームでアマゾン・プライムビデオのドキュメンタリー、昨季の闘いを描いた”Otra forma de entender la vida:siento lo que somos/オトラ・フォルマ・デ・エンテンデール・ラ・ビダ:シエントー・ロ・ケ・ソモス(もう1つの人生の理解の仕方:自分たちが何者であるかを感じる)”のプレミア試写会を気分良く開催。

再びホームでプレーする土曜午後9時(日本時間翌午前4時)キックオフのセルタ戦まであまり時間がないというに、ちょっと呑気なんですが、その次は火曜に初戦でクラブ・ブルージュに1-0で負けたレバークーゼンとのCL2節も迫っていますしね。金曜のマハダオンダ(マドリッド郊外)での練習では、ジョアンやコケ、マルコス・ジョレンテらが控えに回るスタメンを準備しているようでしたが、ヒメネスが背筋痛で欠席、速攻で打撲を治したオブラクもチーム練習に加わっていないというのは、相手のエース、イアゴ・アスパスが4試合で5得点と当たっているだけにちょっと怖いですよね。

そしてミッドウィークはゆるりと過ごした弟分チームたちの予定も見ていくと、ラージョは土曜の午後2時から、ホームにバレンシアを迎えることに。こちらも心配なのは暑さなんですが、もっと間が悪いのは前節、弟分仲間のヘタフェがメスタジャで5-1と大敗して、ガトゥーソ監督のチームに自信をつけてしまったことでしょうか。カバーニはまだ体調が整わないようですが、昨季の最終節で受けた出場停止4試合が明けたガヤも戻って来ますしね。ここマジョルカ、オサスナ戦と2連敗しているラージョだけに、水曜は両チームのOBということでメトロポリターノのパルコ(貴賓席)で観戦していたファルカオを筆頭にとにかく、撃ち負けないでほしいかと。

え、どこよりゴールが不足しているのは日曜午後6時30分と、こちらもまた暑そうなコリセウム・アルフォンソ・ペレスでレアル・ソシエダと対戦するヘタフェの方じゃないかって?いやあ、今週火曜にはFWムニル(セビージャから移籍)の入団プレゼンもあったキケ・サンチェス・フローレス監督のチームなんですが、この4試合で、まだ2得点しかできていませんからね。それ以上に失点が11もあるというのが、ここまでたったの勝ち点1で19位に沈んでいる原因なんですが、折しも相手は木曜のELグループリーグ初戦、オールド・トラフォードでマンチェスター・ユナイテッドにブライス・メンデスの挙げたPKゴールで0-1と勝利。

イマノル監督からして、「Ahora mismo habrá muy pocos más felices que yo/アオラ・ミスモ・アブラ・ムイ・ポコス・マス・フェリセス・ケ・ジョ(まさに今、自分より幸福な人はほとんどいないだろう)」と舞い上がっていたため、隙ができてくれないかと祈るばかりなんですが、こればっかりはねえ。8試合目で勝ち点を初めて獲得した昨季よりはまだマシとはいえ、あまりノロノロしていると、また監督交代の話も出てきかねませんし、敵の過密日程を利用して、何とかヘタフェも今季初勝利を挙げられるといいのですが。

【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。


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あまりのゴール力に茫然としている…/原ゆみこのマドリッド

「やっぱりシメオネ監督だったのね」そんな風に私が頷いていたのは金曜日、W杯開催中のカタールからのニュース映像で最近、ご無沙汰している顔を見かけたなと思ったところ、後々、バケーション中のアトレティコの監督が、CONMEBOL(南米サッカー連盟)がドーハで開いたマラドーナ2回忌追悼の催しに出席していたことをスポーツ紙で確認できた時のことでした。いやあ、折しも前日はガーナとの初戦に挑んだポルトガルでジョアン・フェリックス(アトレティコ)が先発出場。クリスチアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッドとの契約を先日解除)の先制PKゴールをアイェウ(アル・サッド)に帳消しにされた後、後半33分、勝ち越し点ゴールを挙げていたんですけどね。 すでにロナウドとジョアンがベンチに下がっていた頃、ガーナもブカリ(ツベルナ・ズベズダ)のヘッドで2点目を奪ったため、その前にレオン(ミラン)が3点目を決めてくれていたのが幸いした形ですが(最終結果3-2)、アトレティコの試合と違い、代表ではノビノビとプレーしているように見える彼について、シメオネ監督が意見を求められたのは当然だったかと。いえ、一応、クラブでの上司は「Le vi muy bien/レ・ビ・ムイ・ビエン(とてもいいように見える)。この大会はジョアンにとって理想的だ。短期決戦では、彼のような選手がプレーの美しさやスピードでファンを魅了する」と部下を褒めていたんですけどね。 ただ、ジョアンの好調は今に始まったことではなく、今季の野望のかなりの部分が潰えた、10月下旬からの悪夢の5試合連続白星なし期間中、彼は3得点とチームで唯一、ゴールを決められるFWであることを証明。ポルトガル代表に向かう前の最後の試合、コパ・デル・レイ1回戦のアルマサン(RFEF3部/実質5部)戦でもネットを揺らし、今季のアトレティコに残された、たった1つの優勝の可能性がある大会で2回戦に進む手助けをしてくれましたからね。 それだけに金曜午後、「ジョアンは1月にアトレティコを出るつもりで、代理人のジョルジュ・メンデス氏に移籍先を探すよう頼んだ。昨夏は断固、売却を拒否したアトレティコも今回は引き止めるつもりがない」なんて記事がマルカ(スポーツ紙)に出ていたりすると、もしや、今では到底、2019年にベンフィカに払った移籍金1憶2700万ユーロ(約185億円)の元は取れず。それでもW杯で活躍すれば、なるたけ高値で放出して、CL及びヨーロッパの大会からの完全敗退による収入減を少しでも補えるかもというクラブの目論見にシメオネ監督も賛同しているんじゃないかと疑ってしまったのはきっと、私だけではない? でもそうなると、年末から再開するリーガで来季のCL出場権を獲得するための4位以内をキープ。更に12月22日に開催が決まった2回戦アレンテイロ(RFEF2部/実質4部)戦を皮切りに1月中、32強、16強、準々決勝と続く、コパで勝ち進むためのゴールは一体、誰が決めてくれるのかと、怖くなってくるんですが、実際、W杯グループリーグ1節が終わった金曜時点で得点を挙げたアトレティコのアタッカーはジョアン以外、モラタ(スペイン)だけですからね。 グリーズマン(フランス)、コレア(アルゼンチン)、カラスコ(ベルギー)らは不発となれば、シメオネ監督もカタールでのんびりしていないで、来週月曜に始まる今季2度目のプレシーズン練習をちょっとでも前倒しして、W杯不参加のクーニャやレマル、サウールらにシュート特訓でも課した方がいいのでは?まあ、そんな風に私が思ってしまうのは何と、弟分のラージョがこの木曜から、練習を再開していると知ったせいで、いえ、まだ各国代表の親善試合に参加していたファルカオ(コロンビア)、ディミトリエフスキ(マケドニア)、カメージョ(スペインU21)は戻っていないんですけどね。 彼らはもう、12月20日のコパ2回戦アトレティコ・サングンティーノ(RFEF2部)戦に向けてのロードマップも完璧で、この月末にはトルコツアーに出て、30日にはフェネルバフチェ、12月3日にはガラタサライ、戻って来た10日にはアトレティコ、17日にもニューキャッスルと足慣らしの親善4試合も決定済み。いよいよ、夏の移籍期間後にエスパニョールから河岸を変えたRdT(ラウール・デ・トマス)が1月の公式戦デビュー前にして、ラージョでプレーする姿も見られるはずですしね。それこそ、コンフェレンスリーグ出場圏の7位まで勝ち点差1の8位。同じ勝ち点でアトレティコとベティスが占めるEL出場圏の5、6位までも2差の位置に付ける彼らの野心を感じさせるような、早期プレシーズンスタートと言っても過言でないかと。 ちなみに弟分仲間のヘタフェも近日中に12月20日のコパ2回戦、ディオセサーノ(RFEF2部)戦を目指して、練習開始となるはずですが、スペイン・スーパーカップ参加チームとして、まだコパが免除されているレアル・マドリーは12月1日に再開。といってもW杯開幕前に左太ももを負傷して、フランス代表を離脱したベンゼマなどはすでにバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でリハビリに励んでいますし、11人もの選手がカタールに行っているアンチェロッティ監督としては、これ以上、誰もケガして帰ってこないように祈るしかないかもしれません。 え、それより肝心のスペインのW杯初戦はどうだったのかって?いやあ、水曜は先にキックオフとなったドイツvs日本戦をランチがてら、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で見ていた私だったんですけどね。案の条、前半33分にギュンドガン(マンチェスター・シティ)のPKで先制されながら、後半の選手交代策が効いて、30分には堂安律選手(フライブルク)、38分には浅野拓磨選手(ボーフム)のゴールが決まり、日本が見事な逆転勝利を挙げるのを喜んでいたのは自分だけ。他のお客さんたちはまったく試合に興味がなかったようで、バルの店員さんまでが、「日本が勝ったの?」と訊いてくる始末だったんですが、それはまあ、置いておいて。 スペインvsコスタリカ戦の方はTVE(スペイン国営放送)でも中継があったため、家に戻って見たんですが、スポーツ各紙の先発予想は完全に外れ、チーム唯一の真正CFだったモラタでなく、ルイス・エンリケ監督はアセンシオ(マドリー)のfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/シャドーCF)を採用。それが見事に当たって、開始10分までに彼とダニ・オルモ(ライプツィヒ)がペドリ(バルサ)のラストパスから、シュートしていたんですが、最初にアシストを記録したのは18才のガビ(バルサ)でした。ええ、11分、エリア内のダニ・オルモにボールを送ったところ、敵DFに当たったボールをvaselina(バセリーナ/ループシュート)で決めてくれるんですから、有難いじゃないですか。 いやあ、最初、コスタリカの5人DF制を見た時は膠着した試合展開を恐れた私だったんですけどね。この日のスペインは素早いボール回しで隙間を作り、21分にはジョルディ・アルバ(バルサ)のクロスをアセンシオがワンタッチで決めて、早くも2点目をゲットすることに。スペイン黄金時代の最後のタイトル、2012年ユーロも経験している左SBは30分にも、今度はドゥアルテ(アル・ワフダ)にエリア内で倒されてPKを獲得。「El lanzador de penaltis lo decido yo/エル・ランサドール・デ・ペナルティス・ロ・デシド・ジョ(キッカーを決めるのは私だ)」というルイス・エンリケ監督に指名されたフェラン・トーレス(バルサ)がそのPKをしっかり沈め、現在、交際中の監督の長女さんを失望させることはありませんでしたっけ。 前半だけで早くも3点差としたスペインだったんですが、ロッカールームで「En el descanso hemos hablado de que los goles eran importante/エン・エル・デスカンソ・エモス・アブラードー・デ・ケ・ロス・ゴーレス・エラン・インポルタンテス(ゴールの数は重要だと、ハーフタイムに話し合った)」(カルロス・ソレル/PSG)という彼らは後半もアクセルを緩めず。ええ、9分にはゴール右前でブライアン・オビエド(レアル・ソルトレーク)にボールを取られそうになりながら、諦めなかったフェランがGKケイロル・ナバス(PSG)が出て来たのも幸いして、4点目のゴールを決めてくれます。するとそこから、スペインはローテーションを始め、12分にはフェラン、ペドリがモラタ、ソレルに、18分にはブスケツ(バルサ)、ジョルディ・アルバがコケ(アトレティコ)、バルデ(バルサ)に、23分にはアセンシオがニコ・ウィリアムス(アスレティック)に交代。 それがまたチームに勢いを与えたか、39分には、うーん、せっかくエリア内でボールを受けながら、ケイロル・ナバスに邪魔されて、モラタはシュートを撃てなかったんですけどね。再び回ってきたボールを上げ、「ボクがいるのをモラタが見てくれて、tenía muy claro desde que salió la pelota que iba a darle de primeras/テニア・ムイ・クラーロ・デスデ・ケ・サリオ・ラ・ペロータ・ケ・イバ・ア・ダールレ・デ・プリメーラス(クロスをもらった時から、ファーストタッチで蹴るって決めていた)」ガビにW杯史上3番目の最年少得点者となる栄誉を贈ることに。 44分にもニコがゴール前に入れたラストパスをケイロル・ナバスが弾いたボールをソレルが押し込み、「Primero se lo he dedicado a mi novia Marta y luego a Jose/プリメーロ・セ・ロ・エ・デディカードー・ア・ミ・ノビア・マルタ・イ・ルエゴ・ア・ホセ(まずは彼女のマルタに、それからホセに捧げた)」という、軽いネンザでドーハまで来て代表離脱。昨季までバレンシアのキャプテンマークを分けった仲のガジャも喜んだであろうゴールを挙げ、とうとう6点まで行ったスペインだったんですが、良かったですよね。ロスタイム2分にはモラタもエリア内からシュートを決め、ようやく自分のゴールを手に入れられたのは。 いえ、アトレティコの試合なんかだと、私も「3点目以降は次の試合にゴールをとっておけばいいのに」なんて、ケチ臭い考えが浮かんできたりするんですけどね。2006年以来となるW杯初戦白星を7-0というgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)で挙げ、試合後はロッカールームを訪問したスペイン国王、フェリペ6世にも祝福されていたルイス・エンリケ監督も、「Está espectacular, a un nivel... pletórico de confianza, ha estado soberbio como 9 en el remate/エルタ・エスペクタクラル、ア・ウン・ニベル…プレトリコ・デ・コンフィアンサ、ア・エスタードー・ソベルビオ・コモ・ヌエベ・エン・エル・レマテ(目を瞠るようなレベルで、自信に溢れていて、シュート時には見事に9番としての役目を果たした)」と褒めていたアセンシオを始め、ゴールづいている選手が多いのは本当に心強い。 もちろん、コスタリカが82%という、スペインでも滅多にない高いボールポゼッションを許し、シュートは1本も撃たず。しかもPSGで出番のないケイロル・ナバスが今季最初の公式戦だったというのも助けになったのは確かですが、これだけ完璧な初戦を見せられては、2010年以来、2回目のW杯優勝を夢見たファンも多かったのでは?1つだけ気になったのは、本職ボランチのロドリ(マンチェスター・シティ)がCBとして、ラポール(同)の相方を務めていたことで、これではエリック・ガルシア(バルサ)やパウ・トーレス(ビジャレアル)が信用できないんじゃないのかと、世間から思われてしまうことですが…。 大丈夫、ルイス・エンリケ監督も「No he repetido nunca una alineación, probablemente no repita/ノー・エ・レペティードーヌンカ・ウナ・アリネラシオン、プロバブレメンテ・ノー・レピタ(私はスタメンをリピートしたことはないから、多分、リピートしない)」と言っていましたし、日曜午後8時(日本時間翌午前4時)からのドイツ戦では、きっと彼らにも活躍の順番が回ってくるのでは?若い選手が多いスペインだけに大勝に過信してしまう懸念もありますが、そこはブスケツ、ジョルディ・アルバ、コケら、ベテランがしっかり手綱を握って離さないはずですしね。予想外の黒星発進で、「日曜にはウチにも最終節で決勝トーナメントに進出できる可能性があることを示さないといけない」(フリック監督)と必勝を誓っているドイツにも決してやる気で劣ることはないかと。 そんなスペインはコスタリカ戦の翌日、カタール大学のグラウンドでリハビリセッションを行った後、金曜は合宿を開始してから初めて練習がお休みに。選手の多くはトルコ人シェフの経営する有名な高級レストランチェーン、ソルトバエにお肉を食べに行ったようですが、家族と午後を過ごした後、夜には寮に戻り、この日、20才のバースデーを迎えたペドリが夕食の時、皆に祝ってもらっていたなんてことも。そうそう、試合当日こそ、予告通り、ルイス・エンリケ監督のライブ配信はなかったものの、また木金と復活していて、いやあ、コスタリカ戦でフェランがゴールを挙げた後、おしゃぶりのポーズをしていたなんてデマが出回ったせいでしょうかね。 ポル第2監督をゲストに迎えた金曜のストリーミングでは、本当にフェランがその、彼女の妊娠を祝うパフォーマンスをしたらと視聴者に訊かれ、「ゴールは嬉しいが、como haga ese gesto lo cambio y no vuelve a pisar el césped. Bromas las justas/コモ・アガ・エセ・ヘストー・ロ・カンビオ・イ・ノー・ブエルベ・ア・ピサール・エル・セスペッド。ブラマス・ラス・フスタス(それをしたら、彼を交代させて、2度とピッチに入れない。冗談もほどほどに)」と答えていましたが、娘の彼氏が代表選手にいるっていうのもやっぱり、ちょっと考えもの? 何はともあれ、ドイツ戦はハーフタイムで交代した久保建英選手(レアル・ソシエダ)も試合後、「Esperemos tener el trabajo hecho antes del ultimo partido ante Espana/エスペレモス・テネール・エル・トラバッホ・エッチョー・アンテス・デル・ウルティモ・パルティードー・アンテ・エスパーニャ(スペインとの最終戦を迎える前にグループ突破を決めたいね)。その試合が決戦にならないように」と言っていたように、日曜にコスタリカ戦に挑む日本共々、スペインも早めに決勝トーナメント行きの切符を手に入れることができるといいのですが…。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.11.26 22:00 Sat
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毎日、試合は沢山あるけど…/原ゆみこのマドリッド

「これは他山の石にしないと」そんな風に私が気を引き締めていたのは火曜日、W杯3日目最初の試合で優勝候補の一角だったアルゼンチンがサウジアラビアに1-2と、予想外の敗戦を喫したのを知った時のことでした。いやあ、いつもことではありますが、スペインの試合は今回、全てTVE(スペイン国営放送)のオープンチャンネルで放送してくれるものの、他の試合はバル(スペインの喫茶店兼バー)に足を運ばないと見られず。グループリーグ中はビッグネームのチームが出ても相手は大抵無名ですし、いやはや、冬季開催W杯の落とし穴がこんなところにもあったとは! そう、ここ数日は寒さが本格的になってきたせいで、家から出るのが億劫になり、スペイン戦以外、ニュースでサマリーを確認するだけいいやと思ってしまったんですが、もしかして今大会、マドリッドでオープンエアのパブリックビューイングをやるという話を一切、聞かないのもそのせいだった?それでもイングランドがイランに6-2のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)で勝ったなんて聞くと、試合を見に行けば良かったと後悔したりもするんですが、他は開幕戦のカタールvsエクアドル(0-2)、セネガルvsオランダ(0-2)とそこそこのスコアで順当勝ちしていましたからね。 うっかりアルゼンチンの試合などを見て、アトレティコではダメダメのデ・パウルやナウエルがフル出場で大貢献したり、追加招集となったコレアが、いえ、彼はサルジアラビア戦ではベンチ観戦だったんですけどね。シメオネ監督のチームでは滅多に決まらないゴールを挙げて、イラッとさせられるのもイヤだったんですが、大丈夫。2010年のスペインだって、初戦でスイスに負けた後、ホンジュラス、チリに連勝してグループを首位通過。そこから初優勝に向けて突っ走ったんですから、アルゼンチンも初戦、スコアレスで分けたメキシコとポーランドとの残り試合に勝てば、特に問題はないかと。 といっても水曜午後5時(日本時間翌午前1時)からのスペインデビューとなるコスタリカ戦では、ええ、チームで唯一、これが4回目のW杯参加、2010年優勝も経験しているブスケツ(バルサ)も「De todos los que he jugado ninguno lo he empezado ganado, ya va siendo hora/デ・トードス・ロス・ケ・エ・フガードー・ニングーノ・ロ・エ・エンペサードー・ガナードー、ジャー・バ・シエンドー・オラ(自分がプレーしたW杯はどれも白星スタートできていない。そろそろ勝つ頃だよ)」と前日記者会見で言っていたんですけどね。それこそ2014年ブラジル大会では初戦でオランダに1-5と大敗して、まだ挽回可能と言っている間に2戦目もチリに負けて、早々にグループ敗退が決定してしまいましたからね。 後々、焦らなくていいように、ここは初戦から必勝の心構えで行ってほしいところですが、かといって、ただ勝てばいいという訳でもなく、だってえ、2006年のW杯なんて、グループリーグ3連勝しながら、16強対決でフランスにコロッと負けちゃったんですよ。それどころか、開幕直前にロペテギ監督(現ウォルバーハンプトン)が解任されるという悲劇があった、直近の2018年ロシア大会ではポルトガルと引分けで始まって、イランには勝ったものの、モロッコとも引分け。とりあえず、1位通過で挑んだ16強対決では開催国と1-1で延長戦にもつれ込み、挙句の果てにPK戦でコケ(アトレティコ)とイアゴ・アスパス(セルタ)が失敗して敗退という最悪な終わり方もありましたっけ。 どちらにしろ、コスタリカ、ドイツに連勝してさっさと突破を決めて、最後の日本戦ではローテーションできるぐらいの展開の方が、16強対決に備えて、力を蓄えられるんじゃないかと思いますが、一応、先週金曜にドーハ入り。それからずっと、カタール大学の寮に籠り、キャンパス内にあるグラウンドまで電動キックボードで通って、月曜などはダブルセションもする程、熱心にトレーニングを続けているスペイン代表の近況をお伝えしていくことにすると。 実はその初日には、テストマッチだったヨルダン戦前日の練習で足首をネンザしたガジャ(バレンシア)が代表離脱しているんですが、それが当人も自身のツィッターで、「No es fácil de asimilar que uno de tus sueños de niño se va al traste por un esguince leveノー・エス・ファシル・デ・アシミラル・ケ・ウノ・デ・トゥス・スエニョス・デ・ニーニョス・セ・バ・アル・トラステ・ポル・ウン・エスギンセ・レベ(軽いネンザのせいで子供の頃からの夢が台無しになるのを受け入れることは簡単じゃない)」と呟いていたせいもあったんですけどね。クラブに戻って検査を受けたところ、上手くいけば、コスタリカ戦にも間に合うんじゃないかというぐらい軽度という診断だったため、とりわけバレンシアファンの間で物議を醸すことに。 まあ、それにはもう1人のバレンシア勢、ギジャモンも先週月曜に代表がラス・ロサス(マドリッド郊外)の協会施設に集まってから、ヒザの負傷のリハビリをずっとしていて、この火曜まで1度もチーム練習に参加せず。下手したら、応援するクラブの選手がいなくなってしまうかもしれないという危機感もあったんでしょうけどね。その辺りの経緯をルイス・エンリケ監督が詳しく話してくれたのは、火曜のコスタリカ戦前日記者会見でのことでした。 曰く、「代表の医者は全治10~15日、最初の2試合はプレーできないと言った。バレンシアファンやガジャ自身の意見を聞きいれて、y Jordi Alba se me lesiona. ¿No tengo laterales para debutar?/イ・ジョルディ・アルバ・セ・メ・レシオナ。ノー・テンゴ・ラテラレス・パラ・デブタル(それでジョルディ・アルバがケガしたら、デビュー戦にSBが1人もいないことにならないか?)。左SBは唯一、選手の回復を待つことができないポジションで、もし他の場所だったら、彼を残していただろう」とのことで、うーん、ヨルダン戦なんて、本職CBのラポールがプレーしていましたけどね。 ただ、確かにこれが右SBなら、カルバハル(レアル・マドリー)、アスピリクエタ(チェルシー)が同時に負傷しても、アトレティコでそのポジションの経験を積んでいるマルコス・ジョレンテがいたりと、融通が利きそうですが、ガジャの代わりに追加招集された19才のバルデ(バルサ)がU21代表から河岸を変えて、土曜にはもうドーハに到着。普通なら、ラス・ロサスでやっていたはずですが、今回は大会前期間が短いためでしょうね。月曜に行われたオフィシャルフォト撮影にも間に合いましたが、彼はこれが大人の代表初体験。いきなりの大舞台で物怖じせず、実力が発揮できるかは不明ですが、チームにはバルサの先輩が7人もいるとなれば、大船に乗った気でいていい? ちなみにギジャモンの方はやはり、試合に出られるのは2戦目のドイツ戦以降になりそうで、そのせいですかね。ルイス・エンリケ監督は練習で本職ボランチのロドリ(マンチェスター・シティ)にCBの特訓を施しているのだとか。この辺はギジャモン自身、バレンシアではボランチを務めながら、代表にはCBとして招集されたという事情があるため、ちょっと面倒臭いんですが、まあ、中盤のスタメンはほぼ、コスタリカ戦の2日後に20才のバースデーを迎えるペドリ、18才のガビを33才のブスケツ率いるバルサトリオで決まりのよう。 そんな中、先日のライブ配信では、「en Catar tienen el aire puesto fortísimo y hay que ir apagando/エン・カタール・ティエネン・エル・アイレ・プエストー・フォルティシモ・イ・アイ・ケ・イル・アパガンドー(カタールじゃ、エアコンが強すぎて、消して回らないといけない)」とルイス・エンリケ監督が漏らしていたように、極端な低温設定のせいで風邪を引いたモラタ(アトレティコ)とカルバハルも回復と、いいニュースもあるスペインなんですが、そうそう。そのルイス・エンリケ監督の配信はTwitchで、午後8時過ぎ(日本時間翌午前4時)から、先週は金土日と3回あって、月曜はお休みした後、火曜にまた再開。 初日は24万人もいた視聴者も今は7万人ぐらいに落ち着いたようですが、一番驚かされたトークはルイス・エンリケ監督自身が、「Mi prolongación en el campo? Ferran Torres. Si no me coge mi hija y me corta la cabeza…/ミ・プロロンガシオン・エネル・カンポ?フェラン・トーレス。シー・ノー・メ・コヘ・ミ・イハ・イ・メ・コルタ・ラ・カベッサ(ピッチでの自分の延長役?フェラン・トーレス。彼を選ばないと娘が私のクビを切る)」と、バルサのFWと監督の21才の長女がお付き合いしていることをバラしていたことでしょうか。 うーん、丁度その翌日、定例会見で話すことになったフェラン自身は、「Lo sabemos diferenciar cuando es familiar o cuando somos seleccionador y jugador/ロ・サベモス・ディフェレンシアール・クアンド-・エス・ファミリアル・オ・クアンドー・ソモス・セレクシオナドール・イ・フガドール(ボクらは家族の時と代表監督、選手である時を分けることを知っている)」とあまり気にしていないようでしたけどね。そのおかげで、バルサで不調の時も代表に呼ばれていたんじゃないかとか、コスタリカ戦でもモラタ、サラビア(PSG)らと共に先発予定前線トリオに入ったんじゃないかと言われたりしても、あまり気にならない? それはともかく、監督がストリーミングで言っていた試合当日のチームの予定を紹介しておくと、「午前中、ランチまで選手たちは自由時間。それから敵チーム、コスタリカの情報を聞いて、スタジアムに出発する前に私が話すミーティングがある。会場ではアップして、キックオフでピッチに出る前にブスケツが檄を飛ばす」そうなんですが、その頃にはもう、同じグループのドイツvs日本戦(午後2時/日本時間午後10時)も終わっていますからね。次回の配信は水曜のマッチデーの夜はありませんが、木曜には日曜のライバルであるドイツ、そして最終戦の相手、日本についても意見が聞けるかもしれませんね。 そして最後にガジャ同様、W杯が始まる前に代表を諦めないといけなくなったベンゼマについても触れておくと、paron(パロン/リーガの中断期間)前から、しばらく筋肉疲労で試合に出ていなかった彼はフランス代表に合流してからもずっと個別調整していたんですけどね。初めてチーム練習に参加した土曜に左太ももを痛め、全治3週間ということで、日曜にはドーハを発ち、月曜から早速、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場にリハビリに通うことに。何せ、今はW杯に行っていないマドリー選手たちは12月1日までバケーションですからね。この期間、RMカスティージャのラウール監督の下で練習することにしたバジェホぐらいしか、トップチームの仲間と会えないのはちょっと淋しいかも。 まあ、それでもマドリッドの同僚チュアメニ、そしてアトレティコのグリーズマンも先発した火曜のオーストラリア戦でフランスは4-1の快勝で発進。せっかく2014年大会以来、2度目となるW杯出場をベンゼマが果たせなかったのは残念ですが、デシャン監督のチームには死角がなさそうですからね。当人もその点に関しては気が楽かと思いますが、逆にビニシウスやロドリゴ(ブラジル)やアセンシオ(スペイン)らがW杯で英雄になって帰って来たら、年末に再開するリーガで主役を奪われてしまう?何にせよ、マドリーは冬の移籍市場でFWを補強する予定はないそうなので、ベンゼマにはそれまでにじっくり、ケガを治してもらいたいところです。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.11.23 13:00 Wed
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選手だって回復する時間はほしいだろうに…/原ゆみこのマドリッド

「何だか全然、いい予感がしない」そんな風に私が不安になっていたのは月曜日、アトレティコが珍しくCLアウェイ戦前日練習を相手のスタジアムではなく、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でやると聞いて、見学に行った時のことでした。いやあ、その日はセッションの場所もミニスタジアムではなく、グラウンドに向かう敷地内の道を辿っている途中など、チームメートが練習を開始したばかりなのを尻目にモラタがスタッフに付き添われ、ロッカールームに帰っていくところにバッタリ遭遇。やはり、カディス戦で踏まれた足の痛みや腫れが引かず、ポルト戦には出られないんだろうと絶望したせいもあるんですけどね。 唯一、外部からも見られる角グラウンドでのセッションにいた選手も何だかヤケに少なくて、フィールドプレーヤーはカテンラーノ(アトレティコBの選手)の助っ人を入れても16人程。ええ、筋肉系の負傷のリハビリ中のコケ、レマルはもちろん、レイニウドも疲れが溜ってジム籠り、土曜の試合後半に交代したコンドグビアは隣のグラウンドで別調整ともう、全週2試合ペースだった10月の連戦による選手たちの疲労蓄積による身体トラブルも今ここに極まれりといった感じだったんですよ。それでもいい結果が出ていれば、まだ救われるものの、彼らはここ2試合、CLレバークーゼン戦、カディス戦と後半ロスタイムで最悪な経験をリピート。 こうなると、火曜午後6時45分(日本時間翌午前2時45分)からのCLグループリーグ最終節、ポルト戦に勝って、少なくとも3位で来年ELをプレーできる権利を掴めるかどうかも定かではありませんが、こんな大事な試合前なのに練習場の柵に応援メッセージを書いた横断幕一つなかったのはもしや、ファンからも見放された?いやまあ、この日はpuente(プエンテ/連休)の最中とあって、マドリッドを離れているファンも多かったのかもしれませんしね。 実際、カディス戦の後、「hay que ajustar esa ansia que tenemos por querer ganar /アイ・ケ・アフスタール・エサ・アンシア・ケ・テネモス・ポル・ケレール・ガナール(勝ちたい思いから生まれる焦りをコントロールしないといけない)」と選手たちのメンタル面を心配していたシメオネ監督も彼らにゆとりを与えたかったんでしょう。練習メニューもロンド(輪になって中の選手がボールを奪うゲーム)を形を変えて幾つかやった後、ミニゴールを使ったシュート、2人組でヘッドでのパス交換から、最後はvolea(ボレア/ボレーシュート)という、かなり遊びの要素が入ったものでしたし、仮想スタメンの予行演習もなし。 夕方、練習場から出るバラハス空港行きのチームバスに、「Kondogbia y Álvaro querían estar y pidieron venir/コンドギビア・イ・アルバロ・ケリアン・エスタル・イ・ピディエロン・ベニール(コンドグビアとモラタはチームと一緒にいたくて、遠征参加を頼んだ)」(シメオネ監督)という2名とレイニウドも乗っていたのは朗報でしたけどね。すでに1週間程、セッションに参加しているマルコス・ジョレンテが招集されていないのはもうW杯も近いため、ケガの再発を恐れているのかもしれません。 え、それでこの1週間で2度目の悲劇となった、そのカディス戦というのはどういう試合だったのかって?うーん、確かに開始27秒、エムバイエのロングパスをエスピーナがエリア近くで受け、そのラストパスをボンゴンダに決められて、いきなり先制点を奪われたのも目が点だったんですけどね。そこへ6分にはモラタがエムバイエにエリア内で足を踏まれながら、PKももらえず、10分にはクーニャに交代という、ダブルパンチを受けたんですが、30分にはそのエムバイエもケガでチュストと代わっているため、その辺は因果応報だったかと。 前半ロスタイムのソブリーノの1対1のシュートはGKオブラクがparadon(パラドン/スーパーセーブ)してくれたため、1-0のまま、後半が始まったんですが、どうやら最近のコレアはシュートが決まらない病が再発してしまったことが発覚。そこでシメオネ監督も15分には彼と、レバークーゼン戦のラストプレーだったPKを敵GKに弾かれ、グループリーグ敗退の戦犯に最も近い存在となってしまいながら、立ち直りを期待して、その日も先発に入ったカラスコをグリーズマンとジョアン・フェリックスに交代。前者は疲労蓄積を考慮してのローテーションによる控えスタートだったんですが、ここ8試合、すっかりベンチ観戦の常連と化していた後者にとっては、クーニャが早く出たおかげで順番が繰り上がったのがモチベーションになった? いえ、ジョアンが主役となったのは36分、再びエスピーノがラストパスを送り、今度はアレックス・フェルナンデスにカディスの2点目を決められた後だったんですけどね。近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でTV観戦していた私もアトレティコのあまりのザル守備ぶりに絶望しきっていた40分、CKからのボールを彼がジャンピングボレーでシュートしたところ、クリアしようと足を出したルイス・エルナンデスのおかげでゴールになったんですよ!おまけにその4分後にも彼がエリア前から撃ち込んで、あっという間に同点にしてしまった日には、どうしてこれまで違いを際立たせるプレーを見せてくれなかったのか、疑問に思ったのは私だけではなかったかと。 加えて、ロスタイムにはジョアンのヘッドが惜しくも外れ、土壇場の逆転勝利を夢見たファンも多かったはずですが、ただ、それもレバークーゼン戦同様、期待を持たせて絶望のどん底に突き落とされる布石だったよう。この日はラストプレーでカディスのカウンターを喰らい、アレホがエリア外右から入れたクロスから、ゴール左前に詰めていたソブリーノが勝ち越しゴールをゲット。「No lo sé ni con qué ha metido el gol/ノー・ロ・セ・ニ・コン・ケ・ア・メティードー・エル・ゴル(どこでゴールを入れたのかもわからない)」(ソブリーノ)と胸だか、お腹だかで押し込んだようですが、VAR(ビデオ審判)からケチがつくこともなく、アトレティコは3-2で負けてしまいましたっけ。 え、降格圏19位のカディスは1週間前、エスタディオ・バジェカスで弟分のラージョに5-1のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らっていなかったかって?その通りなんですが、実はイラオラ監督のチームは現在、絶好調のようで、アトレティコの次の時間帯にはサンチェス・ピスファンでアルバロ・ガルシアのゴールで0-1と勝利。いくら相手のセビージャが火曜にCL敗退、EL転戦が決定したばかりで、「El equipo estuvo desconectado/エル・エキポ・エストゥーボ・デスコネクタードー(チームはスイッチが切れていた)」(サンパオリ監督)状態だったとしても、司令塔のトレホを出場停止で、ファルカオを負傷で欠きながら、何とかしてしまったとなると、もしや次節の兄弟分ダービーで対戦するレアル・マドリーも舐めてかからない方がいい? というのは土曜の夜の試合ではバルサこそ、後半ロスタイムに頼みの綱のレバンドフスキが決めて、バレンシアに0-1と辛勝したものの、カディスにしろ、ラージョにしろ、対戦相手がミッドウィークにCLをこなしている間もじっくり調整。敵の欠点を研究する時間がたっぷりあったからですが、日曜のサンティアゴ・ベルナベウでもまさにそれが再現されることに。ええ、連戦続きのマドリーもチュアメニが当日、筋肉痛で急遽欠場、W杯がだんだん近づいているのもあって、まだベンゼマは調整中と逆境はあったかと思いますが、実際、相手のジローナは降格圏にいたチームですからね。 それがまさか、ミチェル監督が練りに練った隙のない守備態勢を破れず、前半はロドリゴのシュートがボールポストを直撃したぐらい。ジローナもヤンヘル・エレーラがゴールバーに弾かれているため、まさに拮抗していたんですが、ようやく後半25分にはバルベルデのアシストでビニシウスが先制ゴールを挙げてくれたとなれば、スタンドのファンも安心したかと。ただ、惜しむらくはその1分後、カマビンガから代わったアセンシオの強烈な一撃がGKガッサニガに弾かれてしまったことですが、この日のマドリーはツキもなかったんでしょう。 そう、30分にジローナはエースのストゥアーニを入れていたんですが、その直後にあったCKをクリアしたプレーにVAR振り返り注進が入り、アセンシオの腕がボールに触れていたことが発覚。最近は何だか、PKを弾かれるシーンばかり見ているような気がした私でしたが、ストゥアーニが外すことはなく、ジローナが同点に追いつきます。うーん、このペナルティ判定はかなり物議を醸していて、試合後は珍しく、アンチェロッティ監督まで「アセンシオと話したが、ボールは胸に当たったと言っていた。Se lo han inventando/セ・ロ・アン・インベンタードー(ハンドを作り出したんだ)」と批判。 とはいえ、いくらアセンシオが主審に「Dime dónde pongo la mano/ディメ・ドンデ・ポンゴ・ラ・マノ(どこに手を置いときゃいいのか、言ってくれ)」とかみついても、肩より上がった腕にボールが当たれば、ペナルティとされても仕方ないですからね。要は得意の根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)で勝ち越し点を奪えなかった彼らが悪いんですが、え?43分にロドリゴがゴール前から、3度トライして、ようやくボールがゴールに入りながら、得点にならなかったのはどうしてなのかって? それは、後でクルトワも「Si como portero tiene la mano encima del balon, nadie puede tocar/シー・コモ・ポルテーロ・ティエネ・ラ・マノ・エンシーマ・デル・バロン・ナディエ・プエデ・トカール(GKがボールの上に手を置いていたら、誰も触ることはできない)」と言っていたんですが、ガッサニガはロドリゴの最初のシュートを弾き、2度目を弾いた後には地面にあるボールを片手でキープ。その状態でまたロドリゴが蹴ったため、ファールを取られたのだとか。こちらもロスタイムは9分と長かったため、またドラマが見られるのではないかとファンも期待していたものの、クロースが2枚目のイエローカードをもらい、プロとして740試合目で初めて退場処分を喰らったぐらいで、そのまま試合は1-1で終了です。 まあ、この日はVAR運が悪かったのはともかく、アンチェロッティ監督も「あまりに試合が多すぎて、最高のレベルのプレーをしているとは言えない。No hay tiempo de recuperar 100% física y mentalmente/ノー・アイ・ティエンポー・デ・レクペラール・シエントー・ポル・シエン・フィシカ・イ・メンタルメンテ(フィジカル、メンタル的に100%回復する時間がないからね)」と言っていたように、もうホント、この週2試合ペースは選手たちにはたまったもんじゃなし。さすがのマドリーにもその影響はあって、先週は火曜のCLライプツィヒ戦で今季初黒星を喫したのに続いて、リーガで2度目の引分けという結果になってしまいましたが、それでも彼らの状況は他のCL出場スペイン勢からすれば、まったく羨ましい限りかと。 だってえ、リーガは2位バルサと差が勝ち点1に縮まってしまったとはいえ、まだ首位のままですし、来年、CL決勝トーナメントが待っているのは彼らだけなんですよ。いえ、まだ水曜午後6時45分からのグループリーグ最終節、すでに4位敗退が確定しているセルティックをサンティアゴ・ベルナベウに迎える一戦では、こちらも勝ち点差1に迫った2位のライプツィヒがシャフタールに勝っても大丈夫なように、勝利を目指さないといけないんですけどね。ベンゼマとチュアメニが出場できるかもまだわからないんですが、敗退決定後の消化試合のためにチェコまでビクトリア・プルゼニ戦に出向かないといけないバルサやマンチェスター・シティのホームに乗り込まないといけないセビージャ、そしてEL行きを懸けてポルトに行くお隣さんに比べれば、まさに天と地の差ですって。 そしてまたしても月曜にプレーしたヘタフェはここ5試合、白星がなかったものの、最下位のエルチェを後半9分、アレニャのクロスをエネス・ウナルが決めて、0-1で下すことに。うーん、32分にはアマビが2枚目のイエローカードをもらって、1人少なくなったり、残り2分にはそのウナルがハンドでPKを献上。同点に追いつかれるピンチもあったんですけどね。上手くいっていないチームの常というか、ボジェの蹴ったPKはGKダビド・ソリアがコースを読んでセーブしてくれたため、降格圏と勝ち点1差の17位だったのがジャンプアップして、14位まで上昇。 あとはこの土曜、奇妙な縁でマドリッド勢3連戦となるカディスをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎える試合で弟分仲間に倣うことができれば、落ち着いてW杯のparon(パロン/中断期間)に入れそうですが、さて。ちなみにヘタフェは先週、アランバリとアンヘレリがそれぞれ、足首、頬骨の手術をして、すでにリーガ再開まで欠場することが決定。兄貴分のような地獄の連戦ではなくても今週末、そしてミッドウィーク開催の14節、そしてコパ・デル・レイ1回戦のある来週はW杯に出場する各国代表に招集されない選手にとって、最後の踏ん張りどころとなりそうですね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.11.04 21:00 Fri
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久々の悲劇に茫然としている…/原ゆみこのマドリッド

「どこよりマズい状況じゃない」そんな風に私が嘆いていたのは木曜日、未だに昨晩の試合のショックから抜け切れていない中、グループリーグ5節で敗退が決まった3チームを見比べていた時のことでした。いやあ、大体がして、CL決勝トーナメントにスペイン勢が1チームしかないなんてこと、私も初めての経験なんですけどね。まずは火曜の早い時間の試合でコペンハーゲンに3-0と快勝したセビージャで、サンチェス・ピスファンのファンを喜ばせたのも束の間、夜9時からの対戦で、ドルトムントとマンチェスター・シティがスコアレスドローに終わったため、最終節を待たずに3位でELに回ることに。 サンパオリ監督のチームには最多優勝記録を持つ大会で前人未踏のSeptimo(セプティモ/7回目の優勝のこと)達成の新たな目標が生まれたんですが、水曜はその逆で、早い時間の試合でインテルがビクトリア・プルゼニに4-0と大勝したため、バルサは午後9時からのバイエルン戦をすでに敗退決定状態でキックオフ。その試合も0-3と完敗したものの、3位も確定済みでしたから、チャビ監督も2年連続でELに転戦することはわかっていたかと。そちらでは4節に早くもグループ突破を決めているベティスとレアル・ソシエダが待っているんですが、年明けのELにスペイン勢が5チームになるか、4チームになるのかは、まだ不明なんですよ。 その原因はアトレティコで、最悪な形でCL敗退が決定しただけでなく、最終節まで3位の座をレバークーゼンと争わないといけないからで、いえ、そのELだって、CL3位組は16強対決に進むためにはELのグループ2位突破チーム相手のプレーオフを勝ち抜けないといけないんですけどね。要は木曜にルドゴレツに勝ち、1位突破が確定したベティス以外、バルサもセビージャもレアル・ソシエダも先行きはわからないんですが、5節前には自力突破可能な唯一のCLチームだったアトレティコだけが、来週のポルト遠征にEL行きの切符が懸かる結末になるなんて、一体、誰が想像できたでしょう。 まあ、その辺はまた後でお話しするとして、先にCLにただ1チーム、生き残っているスペイン勢、レアル・マドリーが火曜のライプツィヒ戦でどうだったか、お伝えしていくことにすると。こちらはすでに4節でグループ突破が決まっていて、1位になるにはあと勝ち点1、つまりドローで良かったんですけどね。それが油断を招いたか、シャフタールと2位の座を争っている相手の真剣度が上だったか、前半13分にはCKから、アンドレ・シウバに撃たれたヘッドはGKクルトワが弾いたものの、続いたグバルディオルのヘッドは防げず。 早々と先制点を奪われてしまっただけでなく、18分にもCKから、今度はヌクンクに決められて、2点リードを許してしまったとなれば、以前在籍した、どこぞのチームで何度も同じ経験をしているクルトワが、「Salimos dormidos/サリモス・ドルミードス(ウチは眠ったままピッチに出てしまった)。監督にもプレーの強度やアグレッシブさがないとツケを払うことになるって、警告されていたのに」と後で怒りのコメントをしていたのもムリはない?それでも44分には先発に抜擢されたアセンシオが上げたクロスをビニシウスが頭でゴールにして、1点差でハーフタイムを迎えることになったんですが…。 問題はこの日のマドリーにはベンゼマを筆頭にモドリッチ、バルベルデら、主力3人の負傷欠場に加え、マリアーノとセバージョスもおらず。よって、いつものように後半にチームをリフレッシュしたくともナチョ、ルーカス・バスケスをアラバ、カルバハルに代えたのはともかく、31分にクロースをアザールにすると、もうベンチにはトップチームのアタッカーが1人もいない状態になってしまったことで、こうなると、36分にサイドを独走したシマカンが、ゴール前のベルナーにラストパス。とうとう、ライプツィヒに3点目を挙げられてしまったのは悔やんでも悔やみきれない? ええ、それこそまた、クルトワが「敵のSBが走って来たプレーではエリア内に留まっているんじゃなくて、誰かが止めに出ないといけなかった」と味方の守備陣を批判することになったんですが、何せ、ロスタイムには根性のremotanda(レモンターダ/逆転劇)体質のロドリゴがヌクンクにエリア内で倒されてPKをゲット。自身でそのPKも決め、最後は3-2というスコアで試合は終わりましたからね。最後の失点がなれければ、グループ1位突破というマドリーの目的も達成できていたはずですし、開幕から17試合目、今季初となる黒星も喫することはなかったかと。 いえ、「No he visto falta de actitud o intensidad/ノー・エ・ビストー・ファルタ・デ・アクティトゥッド・オ・インテンシダッド(プレーに対する態度や強度不足には見えなかった)」というアンチェロッティ監督は、クルトワのコメントも「Cada uno tiene su opinion/カーダ・ウノ・ティエネ・ス・オピニオン(皆それぞれ、自分の意見がある)」と会見ではスルーしていたんですけどね。おかげで来週水曜、すでに4位敗退が決まったセルティックをサンティアゴ・ベルナベウに迎える最終節では、勝ち点1差の2位となったライプツィヒに抜かされないよう、相手がシャフタール戦で何をするのか伺いながら、必要によっては勝利が要求されるかもしれないんですが、まあその頃にはベンゼマ、モドリッチ、ベルベルデの3人は戻っていそうな。 シャフタールもライプツィヒに勝てば、逆転で2位突破とあって、そうそう、簡単にはいかないでしょうしね。どちらにしろ、決勝トーナメントには絶対行けるんですから、マドリーも今は日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からのジローナ戦だけを考えていればいいのでは?実際、アンチェロッティ監督としてもW杯のparon(パロン/停止期間)前のリーガ3試合では、2位バルサとの勝ち点3差をできるだけ広げられれば、満足といったところでしょうか。 え、それでシビタス・メトロポリターノでの悲劇とはどういう試合だったのかって?いやあ、私も水曜は落ち着かず、早めにスタジアムに行ったところ、さすがに決勝トーナメント程ではありませんが、同じような気持だったファンも多かったんでしょうね。チームバスが到着する入口にはかなりの人数が集まっていましたが、先にプレスルームに行ってみたところ、早い時間帯でキックオフとなったクラブ・ブルージュvsポルト戦がTVで放映中。丁度、後半5分に1点リードされていたブルージュがPKをもらい、バナケンがGKジオゴ・コスタに弾かれ、違反があったせいでのやり直しでもバ・ノア・ラングが弾かれるという失態に、それこそどうして、アトレティコはこんなチームに1勝もできなかったんだという怒りが沸き上がってきたのは私だけ? 前節、メトロポリターノでのスコアレスドローでクラブ史上初のグループ突破を決めていたブルージュはお隣さんより、もうやり遂げた感が強かったか、そのまま0-4で大敗したんですが、2位のポルトと勝ち点差が5になろうが、アトレティコのマストは変わらず。その日のレバークーゼン戦、最終節のポルト戦に連勝する以外、道はなかったため、スタンド全面にモザイクを作って、チームをピッチに迎えたスタンドもただただ、応援していたんですが…何で、前半9分から、失点するんですかねえ。 その時はグリーズマンが自陣エリア近くの右サイドでアンドリッヒにボールを奪われ、フロジェクへ繋げると、ディアビがシュートを決めたんですが、大丈夫。22分にはアトレティコもコレアとグリーズマンがカラスコへボールを送り、うーん、よくよく考えると、試合前日の記者会見に登場し、折しも今季の不調ぶりの原因ばかり尋ねられていた彼がライン前から放ったシュートが同点ゴールに。これが当人の自信となって、あの悲劇を招くことになった? 一旦はスコアをイーブンに戻したアトレティコでしたが、今度は28分。コレアが自陣エリア前でアミリにボールを奪われ、ハドソン=オドリに2点目を決められている日にはもう、どうしていいのやら。いえ、FWまで下がって、守備に協力するのはアトレティコの美点だとは思うんですよ。ただ、それが失点に繋がるミスを引き起こすのではまさに本末転倒。もうこうなると、シメオネ監督も後半頭から、コレアと、「Entendía que con Mario podíamos tener un pase de salida más rápido/エンテンディア・ケ・コン・マリオ・ポディアモス・テネール・ウン・パセ・デ・サリーダ・マス・ラピドー(マリオなら、もっと速い攻撃のパスを出すことができると思った)」(シメオネ監督)という理由でサビッチではなく、いきなり先発に入ったエルモーソをサウールとデ・パウルに代えて、反撃を試みるしかありません。 すると早くも5分には効果が現れて、カラスコがエリア内から折り返したパスをデ・パウルが撃ち込み、アトレティコは再び同点としたんですが、モラタをクーニャに代えて、総攻撃態勢に入りながら、なかなか勝ち越しゴールは奪えず。逆にレバークーゼンのカウンター攻撃を受け、2度程、GKオブラクが1対1のシュートをparadon(パラドン・スーパーセーブ)で防いでいたりしたんですが、ここまで点が必要な状況でジョアン・フェリックスの投入が42分まで遅れたのは何故?それもヒメネスと交代したため、チームには本職CBがいなくなり、ビッツェルとコンドグビアで凌ぐ破目になったのも何ですが、いよいよ、ロスタイム5分も無為に終わろうかという時…。 もうビックリですよ。だってえ、最後のCKがクリアされ、終了の笛が鳴って、場内スピーカーからは音楽が。ところが、アトレティコの選手たちが猛抗議したのが良かったのか、そこからVAR(ビデオ審判)注進が届き、モニターを見た主審がインカピエの腕にボールが当たっていたことを発見。これには、記者会見ではドイツのメディアからの質問が1つもなかったシャビ・アロンソ監督も「リーガと違って、CLでは普通、ああいう疑わしいハンドはペナルティにしなかった。El Var se está usando demasiado/エル・バル・セ・エスタ・ウサンドー・デマシアドー(VARの使い過ぎだ)」と文句を言っていたんですけどね。 ところがどっこい、このPKが命綱になるはずと希望を再燃させたファンには尚更、辛い結末が待っていようとは!うーん、後でシメオネ監督は「Griezmann estaba muy cansado/グリースマン・エスタバ・ムイ・カンサードー(グリーズマンはとても疲れていた)。審判がモニターに向かった時から、カラスコがボールを掴んでいて、誰かがそういう決意を見せる時、チームメートはPKを託すもの」と、キッカーが彼になった事情を説明していたんですけどね。でもねえ、グリーズマンは3節のブルージュ戦で失敗していたため、当人も遠慮したんでしょうが、先発出場だったのはカラスコも同じ。おまけにその場では全然、疲れていないジョアン・フェリックスがキッカーをやらせてくれと頼んでいたんですよ。 それには耳を貸さず、そのままカラスコがPKを蹴ったんですが、GKフラデツキーに弾かれてしまい、戻って来たボールをサウールがヘッドしたところ、バーを直撃。更にレイニウドがシュートするも何と、カラスコの足に当たって、枠を外れてしまうとは、さすがアトレティコです。ここまで、とことん運が悪いとはもう、私がカラスコだったら、一生、立ち直れない気がしますが、やっぱりファンは最悪の結末にも慣れているんですかね。2-2の引分けでCL敗退が決まった選手たちが、負傷中でスタンド観戦していたコケも一緒になって、応援団に感謝している時も皆、温かく励ましていましたが、それをピッチの中央に佇んで、ずっと眺めていたシメオネ監督が今度こそ、サジを投げるんじゃないかと疑ったのは私だけではない? まあ、本人は「Soy muy cabeza dura/ソイ・ムイ・カベッサ・ドゥラ(自分はとても頭が固い)。クラブに欠けているCLタイトルを獲得するため、ここにいられる限り、追い求めることを止めない」と言っていましたから、当面、その心配はなさそうですけどね。とにかくこのCL敗退が、「Es un fracaso/エス・ウン・フラカソ(これはしくじりだ)。ウチは突破できるグループにいたのだから」(オブラク)というは事実で、同時に見込んでいたUEFA報酬などの収入もなくなるため、冬の移籍市場で選手を売却するなど、この先、何があるかわからないのは辛いところ。 少してもダメージを軽減するためにも、レバークーゼン戦のPK失敗をブルージュからの帰りの飛行機の中で見て、大喜びしていたポルトに来週火曜の試合で勝って、せめてEL出場権だけは確保してほしいものですが、果たしてどうなることやら。とりあえず、今週末は土曜の午後4時15分(日本時間午後11時15分)から、アウェイでのカディス戦をこなさないといけないアトレティコですが、コケ、レマル、マルコス・ジョレンテの復帰もまだみたいですし、とにかく選手たちがショックから立ち直ってくれていることを祈っています。 そして最後にマドリッドの弟分の予定も告げておくと、土曜にはラージョがやはりCL敗退組のセビージャと対戦。トレホが累積警告、カディス戦でレッド退場したエヌケカは2試合出場停止、そしてハムストを負傷しているファルカオの近況はわからずといった具合で、イラオラ監督もスタメン選びに苦労しているようですが、ミッドウィークがフリーとなり、相手より体力的に勝るのを利用しないに越したことはない?一方、今週は月曜のセルタ戦でも土壇場に追いつかれ、3試合連続ドローをとなっているヘタフェはまた月曜にエルチェとのアウェイゲーム。足首のケガで休んでいたアランバリの手術が決まり、せっかく楽しみにしていたW杯ウルグアイ代表に参加できず、来年まで復帰できないという、悲しい知らせがあったものの、今回は最下位との対戦となるだけに絶対、勝ち点3を獲って、帰って来てもらいたいものです。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.10.29 01:30 Sat
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リーガはともかく、もうCLに待ったはない…/原ゆみこのマドリッド

「ホントに休む間もないのね」そんな風に私が同情していたのは月曜日、お昼のニュースでもうレアル・マドリーがライプツィヒのホテルに着く映像を見た時のことでした。いやあ、9月の各国代表戦が終わって以来、週2試合で回転するのももう4週目ともなると、見ている方も結構、疲れてきて、それが実際にプレーする選手たちとなると、相当なものだと思うんですけどね。実際、火曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのCL5節、ライプツィヒ戦の遠征メンバーも主力が3人欠けており、ベンゼマ、モドリッチは筋肉痛、バルベルデはセビージャ戦で受けた打撲が原因なんですが、これも過密日程の弊害と言えるかと。 といっても、そのせいでアンチェロッティ監督が困っているなんてことはまったくなく、ええ、彼らは前節のシャフタール戦で分けて、すでにグループ突破を決定済み。もちろん、あと勝ち点1を稼いで、1位通過した方が決勝トーナメント16強対決で他グループ2位突破の手頃なチームと顔を合わせることになるため、そっちの方がいいのは確かですが、CL敗退の崖っぷちにいるスペイン勢残り3チームと比べたら、天と地の差ですからねえ。 ただ、先週末のブンデスリーグの試合でようやくダニ・オルモも復帰したライプツィヒは3位のシャフタールと勝ち点差1の2位。グループ突破に向けて、ここが踏ん張りどころと全力でかかってくるはずですし、マドリーとしては、スペイン語が得意なシャフタールのヨビチェビッチ監督から後で文句を言われないよう、ローテーションも程々にしておかないといけない?幸い今季はベンゼマ不在時のゴール不足も克服できたマドリーなので、とりあえず、焦点は今季開幕から、公式戦16試合無敗を続ける彼らが記録をどこまで伸ばせるのかといったところでしょうか。 まあ、そんなことはともかく、今は先週末のリーガ戦を振り返っていくことにすると。土曜はエスタディオ・バジェカスとサンティアゴ・ベルナベウの梯子をした私だったんですが、このところ、マドリッドは雨模様の天気が多かったにも関わらず、午後2時のラージョvsカディス戦はお日様が出て、いい感じの陽気に。スタジアムに着いてから、ミッドウィークの兄弟分ダービー、シビタス・メトロポリターノで終盤にPKを決め、ラージョに勝ち点1をもたらしたファルカオがベンチにも入っていないのに気づいた時はドキッとしたものの、この日はまったく不足なかったんです! ええ、前半8分にコメサニャのダブルチャンスで先制点が決まらなかった後、しばらく待たされたんですが、ようやく42分には転機が。最初は主審にスルーされたイサにアルバロ・ガルシアがエリア内で足を踏まれて倒されたプレーがVAR(ビデオ審判)注進でモニター確認となり、ペナルティの判定が出たんですよ。この日は手の指の骨折でアトレティコ戦をお休みしたキャプテンのトレホも先発していたんですが、その前の弟分ダービー、ヘタフェ戦でPKをGKダビド・ソリアに止められていたせいか、イシにキッカーを代わって大正解。 見事に彼がPKを決めて先制したラージョは、うーん、同時にカディスはイサがレッドカードで退場になっていたんですが、ハーフタイムまであまり時間がなかったせいでしょうね。「相手は右サイドのMF、ソブリーノを右SBにしてプレーしていた。Han dejado muchos huecos a su espalda y sabíamos que podíamos aprovecharlo/アン・デハードー・ムーチョス・ウエコス・ア・ス・エスパルダ・イ・サビアモス・ケ・ポディアモス・アプロベチャールロ(背後に大きな沢山、穴を残して、ウチはそれを利用できることを知っていたよ)」というアルバロ・ガルシアがロスタイムに追加点を奪ってくれたとなれば、バジェカスのファンも大喜びですって。 そして「彼らはいい方のバージョンだったが、ウチはそれには程遠かった」とセルヒオ監督も後で言っていたように、後半もカディスは迷走を続け、16分にはアルカラスが2枚目のイエローカードを受けて、とうとう9人に。おまけにその退場を引き起こしたファールでもらったFKをルジューヌに直接決められるわ、34分にはイシからスルーパスをもらったカメージョが今季自身2点目を挙げるわと、差は4点まで広がったんですが、こうなると、ゴールライン上でカテナがクリアしたボールがバリウの顔に当たり、オウンゴールで敵に1点を献上したことぐらい、笑い話で済ませられるかと。 いえ、だからって、残り3分に途中出場したエヌテカがファリを頭突いて、一発レッドを喰らっていいという訳ではありませんけどね。それでもそのすぐ後、CKをカメージョがヘッドで落とし、再びCBのルジューヌが5点目を挙げると、とうとうバックスタンドの一角に固まって応援していたカディスファンまで一緒になって、場内全員がゴールを祝うという不思議な光景が起きることに。まあチームは降格圏19位に沈んでいますし、こんなgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を見せつけられた日にはもう、ヤケッパチにもなってしまいますよね。 最後は5-1という、滅多にない大勝となったんですが、残念ながら、彼らの順位は10位から動かず。ただ、降格圏との差が勝ち点6に広がったため、「今日勝てずに次のセビージャ戦、マドリー戦にも負けたら、降格圏に落ちる可能性もあった」というイラオラ監督もホッとできたようですけどね。昨季のようにシーズン前半は白星街道を歩みながら、後半なかなか勝てずに苦しんだ経験からか、今季の目標も1部残留と揺るぎなかったんですが、心配なのはアトレティコ戦フル出場のせいで、筋肉痛かと思われたファルカオに、「puede tener alguna rotura en los isquios/プエデ・テネール・アルグーナ・ロトゥーラ・エン・ロス・イスキオス(ハムストリングに肉離れがあるかもしれない)」(イラオラ監督)こと。 この日こそ、彼のゴールは必要なかったとはいえ、現在、イシと並んでチーム最多の3得点のCBルジェーヌにいつもいつも期待する訳にもいきませんしね。土曜のセビージャ戦までにとは言わずとも、ファルカオにはなるたけ早く戻って来てもらいたいかと。あ、申し訳ないですが、カディスが次節、「El partido ante el Atlético nos tiene que despertar sí o sí/エル・パルティードー・アンテ・エル・アトレティコ・ノス・ティエネ・ケ・デスペルタール・シー・オ・シー(アトレティコとの試合では絶対に目を覚まさないといけない)」(セルヒオ監督)というのはまだ、ちょっと待ってくれた方が有難いですね。 そして夜にはマドリーvsセビージャ戦を見に行った私だったんですが、一旦、帰宅して休んでいる間に天気が急変。突風が吹いた後、気温がグングン下がったため、今シーズン、初めてウルトラダウンを着る破目になったんですが、せっかくのバロンドール受賞を祝うセレモニーがドシャ降りの雨の中だったのは気の毒だったかと。ええ、fondo sur(フォンド・スール/ゴール裏南側席)の応援団が「Orgullosos de Courtois y Benzema/オルグジョーソス・デ・クルトワ・イ・ベンゼマ(クルトワトベンゼマを誇りに思う)」と書かれた横断幕が掲げ、スタンド全面が金色のモザイクで覆われるという気合の入りようだったんですけどね。 ヤシン賞(最優秀GK)をもらったクルトワは坐骨神経痛が治って、この日から先発に戻ったため、まあいいんですが、トロフィーの渡し役にスーツ姿で現れたカシージャス、バロンドール受賞の先輩として、モドリッチと共にベンゼマへの渡し役となったジダン元監督、そして筋肉痛で急遽、招集外となった当人まで私服がズブ濡れになる破目に。こういうケースがあるからこそ、ベルナベウの上部を開閉式屋根で覆おうと今も改装工事が猛スピードで進んでいるんですが、やっぱりまだ、ピッチに近い席だと濡れてしまうのは変わっていないようでしたっけ。 その雨の降り具合は試合前半のアンチェロッティ監督とサンパオリ監督がすっぽりフードを被って、テクニカルエリアに立っていたことからも想像できるかと思いますが、マドリーは前半5分にはもう先制。ビニシウスのラストパスをゴール前に駆けつけたモドリッチが決めてくれたんですが、その後がパッとしなくてねえ。追加点を取らずにハーフタイムに入ったため、後半はセビージャが勢いづき、9分にはモンテティルのラストパスから、ラメラがシュート。GKクルトワの手をかすめて同点弾となってしまったから、さあ大変! そこで恒例通り、アンチェロッティ監督はチームにエネルギーを注ぐため、20分にはチュアメニをカマビンガに、32分にもメンディ、カルバハル、モドリッチをリュディガー、ルーカス・バスケス、アセンシオに3人一斉交代したんですが、これがまた当たったんですよ。そう、その2分後には、アセンシオからパスを受けたビニシウスがエリア内でルーカス・バスケスにアシストして、マドリーに勝ち越し点が入ると、36分にもアセンシオがバルベルデにラストパス。最近はまるでラージョのベベのように、ボールを持った途端、スタンドから「Tira!/ティラ(撃て)」という声が飛ぶようになった彼がエリア外から、またしても弾丸シュートのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めてしまうんですから、まったく空恐ろしいったらありません。 そのシュートの破壊力には日々、バルデベバス(バラハス空港の近く)でのセッションで苦しめられているというクルトワも、「Va muy fuerte y si va un poco a un lado es imposible de parar/バ・ムイ・フエルテ・イ・シー・バ・ウン・ポコ・ア・ウン・ラドー・エス・インポシーブレ・デ・パラール(とても強いボールが来るから、ちょっとでも横に飛ぶと阻止不能)」と証言していた程なんですが、いえ、別にあまりに強く蹴り過ぎたせいじゃないんですよ。バルベルデがロスタイム中、脚が痛くて動けなくなってしまったのは。パプ・ゴメスの膝蹴りを太ももに受け、打撲しただけなんですが、3-1で快勝してもこう、試合のたびにケガ人が増えては、アンチェロッティ監督もたまったもんじゃありませんよね。 そして翌日はアトレティコの番だったんですが、実は今週も彼らは木曜にメトロポリターノでスポンサーのヒュンダイが貸与する車の贈呈セレモニーを開催。ここ2年ぐらい、コロナ禍のせいで中断していた行事なんですが、今回はピッチではなく、スタジアムの地下駐車場。しかも選手全員を呼ぶのではなく、チームを代表してシメオネ監督、コケ、オブラク、モラタ、マルコス・ジョレンテ、そして同数の女子チームメンバーだけだったのは少しは昨今の過密日程に配慮した? 大体がして、コケもジョレンテもまだ負傷のリハビリ中で試合に出らませんからね。サン・マメスで頭と肩を打ち、ラージョ戦を控えGKゲルビッチに託したオブラクもその時はベティス戦に出られるのか、微妙だったんですが、幸いベニト・ビジャマリンではスタメンに復帰。前半は20分に相手のルイス・フェルナンデスがケガでビクトル・ルイスに代わった程度で、特筆すべきこともほとんどなく、0-0のままで後半が始まったところ…。 2分、FKからの攻撃をクリアされたボールをレイニウドが敵にパスしてしまったせいで、ベティスがカウンターを発動。ボルハ・イグレシアスがエリアまで持ち込み、最後はルイス・エルナンデスにシュートを決められてしまった時には開いた口が塞がらなかった私ですが、オフサイドでノーゴールにしてくれるとはまさに、VAR様々です。それ以上に衝撃だったのは、アトレティコがかろうじて失点を免れたショックでろくろくパスが繋らない状態に陥っていた9分、グリーズマンの蹴ったCKがゴールになったことで、うーん、最初、TV画面ではサウールの名前が出て、彼がヘッドしたのかと思ったんですけどね。 GKルイ・シウバの脇を通ったボールにはゴールライン上でペッツェッラも当たっていたように見えるんですが、そこはグリーズマンのコミュ力の賜物でしょうか。ええ、「Le he dicho al árbitro que me faltaba un gol olímpico/レ・エ・ディッチョー・アル・アルビトロ・ケ・メ・ファルタバ・ウン・ゴル・オリンピコ(審判に自分はオリンピックゴール/CKからの直接ゴールはまだ入れていない)」と言ったせいか、この先制点のスコアラーとして記録されることになったんですが、彼は25分にも2点目をゲット。今度はコレア、モラタと交代したクーニャと繋ぎ、ルイ・シウバの股間を通るシュートでゴールが入ったんですが、これってもしや、運も実力のうち? ただその後の彼らはほんといいところがなく、負傷明けで、プレー時間20分限定だったフェキルが30分に入り、39分に直接FKで得点。ベティスに1点差に迫られると、バル(スペインの喫茶店兼バー)で見ているアトレティコファンのおじさんたちが、「Como siempre/コモ・シエンプレ(いつもと同じだ)」、「絶対、追いつかれる。Ya veras/ジャー・ベラス(すぐわかるから)」と次々とネガティブなことを言い出したせいで、私も不安になっていたんですが、ホント、45分にアレックス・モレノのヘッドがゴールバーに嫌われてどんなに助かったことか。 結局、1-2でアトレティコは逃げ切り、「Un equipo que salió a no perder ganó y un equipo que salió a ganar perdió/ウン・エキポ・ケ・サリオ・ア・ノー・ペルデル・ガンオ・イ・ウン・エキポ・ケ・サリオ・ア・ガナール・ペルディオ(負けないようにプレーしたチームが勝って、勝とうとしたチームが負けた)」なんて、ペレグリーニ監督に嫌味をかまされていたんですが、サッカーは勝てば官軍。おかげで「Importa más a actitud que el talent/インポルタ・マス・ア・アクティトッド・ケ・エル・タレント(才能より大事なのは取り組む姿勢だ)」という、シメオネ監督のチームは3位に返り咲けましたし、アウェイで5勝1分けと無敗も維持できましたしね。 惜しむらくはこれがホームゲームでもできていたら、首位のお隣さんに勝ち点差8の高みから、見下ろされるなんてことはなかったはずですが、こればっかりはねえ。今はただただ、水曜午後9時から、メトロポリターノにシャビ・アロンソ監督率いるレバークーゼンを迎えるCL5節に勝ってくれるのを祈るばかりですが、相手はブンデスリーガ15位と2節で戦った時から、状況はあまり改善していないよう。もっともその時でさえ、2-0で負けてしまったアトレティコなので、まったく予断は許さないんですが、果たしてどうなるんでしょうか。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.10.25 20:00 Tue
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