いきなり試合が増えてきた…/原ゆみこのマドリッド

2022.09.10 21:00 Sat
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「こんなパターン、記憶にないわよね」そんな風に私が溜息をついていたのは金曜日、今週末のリーガ戦予定を見直していた時のことでした。いやあ、近年のマドリッドは1部のチームが多い時で5つ、少なくても3つはあるのが普通なんですが、レアル・マドリーがサンティアゴ・ベルナベウでプレーするなら、アトレティコは遠征といったように、常にホームとアウェイに試合が分かれるようにラ・リーガが調整。それがこの5節に限っては、マドリッド4チームが揃ってホーム開催、しかも土日に2試合ずつ、キックオフ時間も互いに余裕があるせいで、4試合全てスタジアム観戦できてしまうなんて、もし今、マドリッド観光に来ていたら、サッカーファン冥利に尽きる経験ができる?

まあ、その辺はあとでまたお話ししますが、今週のハイライトと言えば、W杯が11月に開催するせいで、慌ただしく、9月初旬から始まったCLグループリーグの開幕戦で、まずは火曜にマドリーがグラスゴーでセルティック戦に挑むことに。昨季はリーガとCLの二冠、今季もリーガ4連勝と好調な滑り出しを見せているアンチェロッティ監督のチームとあって、早い時間からのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が期待されたため、シビタス・メトロポリターノにお隣さんの試合前日記者会見を見に行っていた私も何とか、キックオフ時間までに近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に滑り込もうと急いだんですが…。

うーん、開始から活発に攻めていたのはセルティック・パークに駆けつけた6万人のサポーターに後押しされたホームチームの方で、アバダのシュート2本やマクグレゴールのゴールバー直撃などでGKクルトワを脅かしていたんですが、決定力が欠けていたのが幸い。だってえ、下手にリードされていた日には前半30分、今季のマドリー、唯一の弱み、たった1人しかいない、信頼できる真正CFが交代を要請したんですよ。そう、ベンゼマが右ヒザをケガしてしまったんですが、代わりに入ったのがfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/シャドーCF)のアザールだったとなれば、最悪の事態を予想したファンも多かったかと。
でも大丈夫。前半終了間際にビニシウスがシュートを2本撃って、足慣らしをしたマドリーはハムストリングスを痛めたミリトンがハーフタイムにリュディガーに代わるという、不幸の連鎖もあったんですけどね。セルティックもアバダが前田大然選手に交代し、先発した旗手怜央選手と共にピッチに立ったんですが、11分にはマドリーのカウンターアタックが炸裂。ええ、敵陣を上がったバルベルデのラストパスを受けたビニシウスが3度目の正直で先制ゴールを決めてくれたんです!

もちろん、それだけで終わる彼らではなく、その4分後にはアザールからボールをもらったモドリッチがエリア内で敵DFを2人かわして、この金曜に迎える37才のバースデー前祝いゴールを挙げ、才能ある選手には年齢なんて関係ないことを証明。2点差にされたセルティックは27分になって、今季のチーム得点王、スコットランドリーグですでに6得点している古橋亨梧選手を入れたんですが、時すでに遅しです。勢いに乗ったマドリーは止まらず、32分にはクロースのパスをカルバハルが落とし、何とアザールまでゴールを決めているとなれば、エース抜きの試合をこれから幾つこなさないといけないか、わからなかったアンチェロッティ監督も少しは安心できたかと(最終スコア0-3)。

まあ、実際、マドリッドに戻って検査を受けたベンゼマは特に重傷ではなかったものの、どうやら復帰は9月の各国代表戦後になりそうだとか。ミリタオはそれよりちょっと早くて、来週末のマドリーダービーが目標のようですが、要はどちらも来週水曜のCLグループリーグ2節、サンティアゴ・ベルナベウでのライプツィヒ戦には間に合わない見込み。とはいえ、相手は初戦でシャフタールに1-4と大敗と、ロシアの軍事侵攻により、自慢だったブラジル人選手たちも離散、練習も試合もままならないはずのウクライナのチームに負けたせいか、テデスコ監督が早くも解任され、マルコ・ローズ新監督が赴任したばかりですからね。

スペイン代表常連FWのダニ・オルモも負傷中とあって、Decimoquinta(デシモキンタ/15回目のCL優勝のこと)達成に幸先いいスタートを切ったマドリーですから、あまり心配することはないかと思いますが、それより差し迫っているのは日曜午後2時(日本時間午後9時)からのマジョルカ戦。この時間だと、正面スタンドに直射日光が差し込んでくることはないものの、今週末のスペインは再び夏日に戻るようなんですよね。アギーレ監督のチームも2節前にはエスタディオ・バジェカスで弟分のラージョを0-2で破っていて、現在11位といい感じですし、まだシーズン序盤とあって、1試合で大きく順位が動くだけに、バルサと勝ち点2差で単独首位にいるマドリーもまだまだ気を引き締めていかないといけません。

そして翌水曜はアトレティコの番で、先週末のレアル・ソシエダ戦でレイニウドに激突され、太ももの打撲で交代していたGKオブラクが何とか間に合って、ポルト戦のスタメンに入れたのは頼もしかったんですけどね。メトロポリターノに駆けつけたファンも今季最初のCLとあって、張り切って応援していたんですが、これがまた、シメオネ監督も「No jugamos un buen partido no hubo ocasiones para ninguno/ノー・フガモス・ウン・ブエン・パルティードー・ノー・ウボ・オカシオネス・パラ・ニングーノ(ウチはいい試合ができなくて、どちらにもチャンスがなかった)」と認めていたぐらい、前半は何もない展開。

ハーフタイムには覇気に欠けていたカラスコ、自陣エリア脇でのクリアボールをジェレミー・ピノに贈り、先制点のアシストをした今季ホームデビューのビジャレアル戦に匹敵するようなミスを犯しかねなかったナウエルを後半頭から、レマルとデ・パウルに代えてみても、いえ、5分にはコケのシュートが珍しく入ったんですけどね。ラストパスを出したデ・パウルがオフサイドを取られ、スコアには上がらなかったため、16分には定番、レアンタル期間の2シーズンで出場率が50%を越えないよう調整中のグリーズマンが出動。更にはスタンドからpito(ピト/ブーイング)が飛ぶ危険を承知で、シメオネ監督はモラタをCBのエルモーソに、ジョアン・フェリックスをコレアにとメンバーをリフレッシュしていったんですが…。

その後、ポルトのオタビオが負傷し、担架で運び出されるまでかなり時間がかかったり、36分にはタレミが2枚目のイエローカードをもらって退場。0-0のまま、45分が過ぎた時はまた、昨季のCLグループリーグ初戦のようにスコアレスドローで終わるのを私も覚悟していたんですが、まさかロスタイムに大波乱が待っていようとは!ええ、9分と長い時間が電光掲示板に表示されてから、たったの1分、シメオネ監督が「ジョアンをコレアに代えたのは内側から攻めるため。ジョアンはサイドでプレーしていたから、コレアには中へ行くように指示した」というのが功を奏したか、右側から中心に向けてドリブルした彼がエルモーソに繋ぎ、そのシュートが敵DFに当たって、ゴールになってしまったから、ビックリしたの何のって。

いやあ、普通だったら、もうこれで勝ったようなもんですが、そうすんなりはいかないのがいかにもアトレティコですよねえ。0-2で負けたビジャレアル戦終了後に野次られて、諍いになっていた応援団席のファンと一緒にゴールを祝ったばかりのエルモーソが51分、今度はクリアしようとしたボールを腕に当てて、PKを献上しているって、まったく何をしているんだか。ウリベの蹴ったPKはオブラクの手が触れたものの、ネットに収まり、1-1に追いつかれてしまったんですが、まあ、そのおかげですかね。後でコンセイソン監督も「ロスタイムのロスタイムはもう終わっていたのに何でプレー続行したのかわからない」と文句を言っていたんですが、まさに9分を2分オーバーした56分に奇跡が起こったんですよ!

最後のプレーとなるCKをレマルが蹴ったところ、これがビッツェルの頭を経て、ファーサイドにいたグリーズマンの前へ。マドリーファンにはお馴染みのペペがクリアしようと脚を高く上げてきたのにも怯まず、ヘッドで合わせたボールが土壇場の勝ち越し点になってくれるなんて、一体、誰に予想できたでしょう。その直後に試合終了の笛が鳴ったため、選手たちもスタンドのファンとゴチャ混ぜになって喜んでいましたが、CL初戦からこんな勝ち方するなんて、まったく心臓に悪い。

ヒメネスなど、「Hemos ganado porque nunca dejamos de creer, lo intentamos hasta el final/エモス・ガナードー・ポルケ・ヌンカ・デハモス・デ・クレエル、ロ・インタモスモ・アスタ・エル・フィナル(信じるのを止めず、最後まで諦めなかったから、ボクらは勝った)」と言っていましたが、それこそ根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)が売りのお隣りさんじゃあるまいし。これじゃ、試合後の会見でコンセイソン監督が「ポルトはマドリー、バルサに次ぐCL試合数を誇るのに誰もその重みを尊重してくれない」と、八つ当たりのように怒っていたのも仕方なかったかも(最終結果2-1)。

え、それにしたって、殊勲のゴールを挙げたグリーズマンが今季、毎試合控えで、30分程度しかプレーしないのはあまりにもったいないんじゃないかって?その通りではありますが、どうやら経営陣には強制買取オプションの移籍金4000万ユーロ(約58億円)をバルサには絶対払わないという、固い意志があるみたいでねえ。確かに「Podemos ver la realidad/ポデモス・ベル・ラ・レアリダッド(現実を見ればいい)。彼は30分間プレーして凄くよくやっているが、60分プレーしたらどうかはわからない」というシメオネ監督の言葉ももっともなんですが、もしや先発していれば、ファンも途方もなく退屈な90分間を辛抱して過ごす必要がなかった可能性もなきにしろあらず。

ただ救いは、当人も「Claro que quiero más, pero voy a dar todo en los minutos que tenga/クラーロ・ケ・キエロ・マス、ペロ・ボイ・ア・ダール・トードー・エン・ロス・ミヌートス・ケ・テンガ(もっとプレーしたいのは当たり前だけど、出場できる時間に全力を尽くすよ)。自分はクラブの人間だと感じるし、プレーしたいチームはここだけだからね」と納得しているようなところなんですけどね。何はともあれ、このポルト戦の勝利のおかげもあって、アトレレティコは翌木曜、メトロポリターノのプレスルームでアマゾン・プライムビデオのドキュメンタリー、昨季の闘いを描いた”Otra forma de entender la vida:siento lo que somos/オトラ・フォルマ・デ・エンテンデール・ラ・ビダ:シエントー・ロ・ケ・ソモス(もう1つの人生の理解の仕方:自分たちが何者であるかを感じる)”のプレミア試写会を気分良く開催。

再びホームでプレーする土曜午後9時(日本時間翌午前4時)キックオフのセルタ戦まであまり時間がないというに、ちょっと呑気なんですが、その次は火曜に初戦でクラブ・ブルージュに1-0で負けたレバークーゼンとのCL2節も迫っていますしね。金曜のマハダオンダ(マドリッド郊外)での練習では、ジョアンやコケ、マルコス・ジョレンテらが控えに回るスタメンを準備しているようでしたが、ヒメネスが背筋痛で欠席、速攻で打撲を治したオブラクもチーム練習に加わっていないというのは、相手のエース、イアゴ・アスパスが4試合で5得点と当たっているだけにちょっと怖いですよね。

そしてミッドウィークはゆるりと過ごした弟分チームたちの予定も見ていくと、ラージョは土曜の午後2時から、ホームにバレンシアを迎えることに。こちらも心配なのは暑さなんですが、もっと間が悪いのは前節、弟分仲間のヘタフェがメスタジャで5-1と大敗して、ガトゥーソ監督のチームに自信をつけてしまったことでしょうか。カバーニはまだ体調が整わないようですが、昨季の最終節で受けた出場停止4試合が明けたガヤも戻って来ますしね。ここマジョルカ、オサスナ戦と2連敗しているラージョだけに、水曜は両チームのOBということでメトロポリターノのパルコ(貴賓席)で観戦していたファルカオを筆頭にとにかく、撃ち負けないでほしいかと。

え、どこよりゴールが不足しているのは日曜午後6時30分と、こちらもまた暑そうなコリセウム・アルフォンソ・ペレスでレアル・ソシエダと対戦するヘタフェの方じゃないかって?いやあ、今週火曜にはFWムニル(セビージャから移籍)の入団プレゼンもあったキケ・サンチェス・フローレス監督のチームなんですが、この4試合で、まだ2得点しかできていませんからね。それ以上に失点が11もあるというのが、ここまでたったの勝ち点1で19位に沈んでいる原因なんですが、折しも相手は木曜のELグループリーグ初戦、オールド・トラフォードでマンチェスター・ユナイテッドにブライス・メンデスの挙げたPKゴールで0-1と勝利。

イマノル監督からして、「Ahora mismo habrá muy pocos más felices que yo/アオラ・ミスモ・アブラ・ムイ・ポコス・マス・フェリセス・ケ・ジョ(まさに今、自分より幸福な人はほとんどいないだろう)」と舞い上がっていたため、隙ができてくれないかと祈るばかりなんですが、こればっかりはねえ。8試合目で勝ち点を初めて獲得した昨季よりはまだマシとはいえ、あまりノロノロしていると、また監督交代の話も出てきかねませんし、敵の過密日程を利用して、何とかヘタフェも今季初勝利を挙げられるといいのですが。

【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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ゴールがないと更に寒く感じる…/原ゆみこのマドリッド

「当分、コパは忘れていいってことね」そんな風に私がホッとしていたのは月曜日、コパ・デル・レイ準決勝の組み合わせが決まった時のことでした。いやあ、掛け持ちがリーガしかないオサスナvsアスレティックのカードの方は当初の予定通り、2月の第2週ミッドウィークに1stレグ、3月の第1週に2ndレグで全然、問題なかったんですけどね。もう1つのカードがレアル・マドリーvsバルサのクラシコ(伝統の一戦)となってしまったのがミソで、ええ、昨季のCL王者であるマドリーは2月8日のクラブW杯準決勝のため、モロッコに行くことになっているんですよ。 更に2月の第3、4週の木曜にはバルサがEL決勝トーナメント16強対決進出プレーオフのマンチェスター・ユナイテッド戦を迎えるだけでなく、マドリーも21日にはCL16強対決リバプール戦1stレグが控えているとあって、コパの日程が取れず。最終的にはどうやら3月の頭に準決勝1stレグ、2ndレグは4月4~6日に設定されるとか。ええ、3月19日には首位の座が入れ替わるかもしれないリーガクラシコもあって、ちょっとその辺、クラシコ祭りの匂いがプンプンするんですけどね。あまりに先のこと過ぎて、今からはとても考えていられない? まあ、その辺はまた近くなったら、話題にするとして、今は先週末、マドリッド勢のリーガ戦がどうだったか、お伝えしていくことにすると。相変わらず、寒波の続く中、土曜は重ね着用のヒートテックも持参して、午後9時からのベティス戦を見にコリセウム・アルフォンソ・ペレスへ向かったんですが、さすがにここリーガ3連敗中、昼間の試合ではカディスがマジョルカに勝って、降格圏を脱出していたのも影響したんですかね。その日はヘタフェファンが早い時間に集まって、スタジアム入りするチームバスを大量のbengala(ベンガラ/発煙筒)を焚いて迎えていたんですが、私が着いた頃には、botellon(ボテジョン/野外飲酒)をしていたベティスファンの残した空き瓶やゴミが周辺の道に溢れかえっているという有り様に。 それだけ大勢のビジターファンが来ていたせいか、逆にヘタフェファンはお出迎えをしただけで満足してしまったのか、試合が始まっても聞こえる応援の声はもっぱら、ベティスサイドからばかりだったんですが、かといって、スペイン・スーパーカップ準決勝でバルサに、コパ16強対決でオサスナに連続PK戦負けをし、士気を落としているペジェグリーニ監督のチームが優勢という訳でもなかったんですけどね。確かに序盤にボルハ・イグレシアスに2度程、チャンスはあったものの、GKとの1対1はダビド・ソリアに軍配が挙がり、もう1本のシュートはゴールポストに当たって得点には至らず。 それでもヘタフェにまったくゴールの兆しがないのでは、スタンドが盛り上がるはずもありませんが、後半も両者無得点のまま進み、寒さが耐え難い程になっていたせいもあって、誰もが0-0でいいから、早く終わってくれと祈っていた41分、まさかあんな悲劇が起こるとは!ええ、カナレスがエリア内にボールを入れようとしたところ、その前でブロックしていたドゥアルテの腕にボールが当たってしまったから、さあ大変!土壇場でベティスにPKが与えられ、ボルハ・イグレシアが決めた1点で0-1と負けたヘタフェはとうとう、4連敗となってしまいましたっけ。 いやあ、この日はリードされた途端、スタンドから最近恒例の「Quique vete ya!/キケ・ベテ・ジャー(キケ・サンチェス・フローレス監督、もう出て行け)」のカンティコが始まったんですが、それもベティスファンの歓喜の歌声の前にかき消され、あまり長続きしなかったのは不幸中の幸いでしたけどね。マズいのは土曜こそ、残留ラインギリギリの17位で終わったヘタフェだったものの、日曜にはバジャドリー、セルタがそれぞれ、バレンシア、アスレティックに勝利。とうとう降格圏の19位になってしまったことの方で、とはいえ、同じ勝ち点20でバレンシア、エスパニョール、セルタ、バジャドリーが並ぶセーフゾーンまではたったの3差ですからね。 そのくらい、次節で白星を挙げれば、あっさり覆ったりするものですが、今週末土曜の相手は兄貴分のアトレティコ。これがまた、2011年以来、勝ったことがないという超鬼門ですし、会場もシビタス・メトロポリターノですからね。その次もラージョ戦とダービーが続くのも辛いところですが、とりあえず、アンヘル・トーレス会長は近日中の監督交代を否定。噂によると、後任と目されていたボルダラス監督の復帰はまた練習が3時間になるのをイヤがったか、選手たちに反対されたようで、他には2005-07年にコパ準優勝などでヘタフェの第1次黄金期を作ったシュスター監督などが挙がっていましたが、こちらは2019年に中国の大連を離れて以来、現場から遠ざかっているのが気掛かりですしね。何はともあれ、今はキケ・サンチェス・フローレス監督が打開策を見つけてくれるのを祈るしかありません。 そして翌日曜、午後4時15分という早い時間の上、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で観戦できたため、アトレティコがエル・サダルでオサスナに挑む試合では寒さに苦しむ必要のなかった私でしたが、いやあ、これもなかなかゴールが生まれない展開でねえ。どちらもミッドウィークにコパ準々決勝、しかも延長戦までもつれ込んでいたせいもあり、その疲れもあったんだと思いますが、前半はチミ・アビラのシュートをGKオブラクがparadon(パラドン/スーパーセーブ)で防いだぐらいで、0-0のまま、ハーフタイムを迎えることに。 後半もモイ・ゴメスの危ないシュートをオブラクが弾いていたりしたんですが、このままではいけないとシメオネ監督が選手交代のカードを切ったのは20分のこと。コパ・ダービーで受けた打撲のせいで先発できなかったモラタとサウールを、コレアとバリオスに代えてピッチに送り込んだんですが、それがバッチリ当たったんですよ。29分、デ・パウルが自陣から出したロングボールに抜け出したのはここ数日、今月中のバレンシア移籍が噂されていたサウール。ええ、「Dudo si controlar con el pecho o con el pie/ドゥド・シー・コントロラル・コン・エル・ペチョ・イ・コン・エル・ピエ(トラップを胸でするか、足でするか迷った)けど、後はあんまり考えなくて、出たとこ勝負だった」という当人のシュートがGKアイトール・フェルナンデスを破り、先制しているんですから、ビックリしたの何のって。 このサウールの2年越しのアトレティコでのゴールで他の選手たちも元気が出たか、それからはグリーズマンの1対1、ヒメネスのヘッド、モラタのカウンターなど、追加点のチャンスもあったんですけどね。どれも決まらず、最後はモンカジョラのシュートをジャンピングセーブしたオブラクに結局は救われることになったんですが、とにかく先週はお隣さんに負けて、唯一、優勝の可能性があったコパも敗退。今ではリーガ4位以上で来季のCL出場権を獲得するしか目的がなく、尾羽打ち枯らしていたアトレティコですからね。コパ準決勝進出が決まり、浮かれているオサスナ相手に0-1の辛勝しかできなくても、彼らがシーズンをまだ投げていない証明になった? ちなみにそのことに関しては試合後、シメオネ監督が「No hay mayor motivación que jugar en el Atlético de Madrid/ノー・アイ・マジョール・モティバシオン・ケ・フガール・エン・エル・アトレティコ・デ・マドリッド(アトレティコでプレーする以上のモチベーションはない)。今日はそのことを選手たちに言った。確かにウチはCL、コパに敗退したが、アトレティコでプレーしている。そしてアトレティコでは全力を尽くしてプレーしないといけないとね」とコメント。このところまた、契約はあと1年あるものの、今季終了後の去就を問われることが多くなっていた彼ですが、シーズンまだ半ばでチームがやる気を失ってしまうのを防いでくれたのは有難い限りかと。 実際、ヘタフェが6位ベティスを止めるのに失敗したため、このオサスナ戦前には同じ勝ち点で並ばれていた上、月曜にもう1つの弟分、ラージョがレンタル修行中のアトレティコのカンテラーノ(Bチームの選手)、カメージョのゴールでビジャレアルに0-1と勝ってくれたおかげで、ようやく5位と勝ち点3つけることができたアトレティコですからね。たかが4位とはいえ、今季は激戦区になっているため、選手たちも自覚を持って、このシーズン後半戦に取り組んでもらいたいものですが、逆にこれからはほとんど週1ペースでしか試合がないのが、強みになっていくかもしれませんね。 そして日曜夜は再び、厳寒のサンティアゴ・ベルナベウに意を決して赴いたんですが、ヘタフェの夜の辛さに懲りて、とうとう滅多に使わないヒートテックのレギンズまで着用することに。もうこれでダメだったら、スペイン・スーパーカップのせいで順延になっていた木曜、やはり午後9時(日本時間翌午前5時)からのバレンシア戦には毛布でも被っていくしかないんじゃないかと、かなり悲壮な気分になっていたんですが、更にそれに拍車をかけたのは2位マドリーと勝ち点3差でそれを追う3位レアル・ソシエダの対戦でありながら、待っても待ってもゴールが入らなかったことでしょうか。 いやまあ、10人近く負傷者がいて、先週はバルサにコパ準々決勝で敗退。いくらカンテラーノで水増ししても疲労の極致にあったソシエダが序盤から、時間稼ぎのようなゆとりプレーをしていたのは下手に先制すると、相手の尋常ではないremontada(レモンターダ/逆転劇)精神を呼び覚ましてしまうのを恐れていたせいかもしれないんですけどね。この日のマドリーはシュート精度が悪く、前半はベンゼマ、クロース、ビニシウスがGKレミロに弾かれてしまう始末。 後半はソシエダも活性化して、ええ、久保建英選手など2度もシュートを撃って、GKクルトワの手を煩わせていただけでなく、33分には勢いついて止まれず、クルトワを蹴って、イエローカードまでもらっていたぐらいだったんですけどね。ちょっと不思議な話なんですが、そこまで元気だった彼はイマノル監督によると太ももを痛めていて、「Lleva tres semanas sin poder entrenar, tan sólo compite/ジェバ・トレス・セマーナス・シン・ポデール・エントレナール、タン・ソロ・コンピテ(3週間、練習ができてなくて、ただ試合に出るだけ)」なんだそう。それにしたって、リーガ前節のラージョ戦には出場していないものの、水曜のカンプ・ノウではチームで一番の活躍をしていたようですし、中3日でまた、ここまで頑張れるのはもしかして、両古巣相手の大舞台故のアドレナリン効果? その一方でマドリーは後半もガンガン撃っていって、この試合のシュート数は20本(うち枠内7本)にも達したんですが、GKレミロがナイスセーブを連発したこともあり、結局、90分で1点も入れられないとは、これではまるでかの日お隣さんとまったく同じ。いやもう、ホントにこれがリーガ戦で0-0でも試合が終わり、延長がないのは助かりましたが、え?点が一向に取れないのにも関わらず、アンチェロッティ監督がモドリッチとアセンシオの2人しか、交代でピッチに入れなかったのはどうしてなのかって? うーん、当人は「Ha sido difícil hacer los cambios porque nadie merecía salir del campo/ア・シードー・デフィシル・アセール・ロス・カンビオス・ポルケ・ナディエ・メレシア・サリール・デル・カンポ(どの選手もピッチを去るに値いしなかったから、交代は難しかった)。チームはいいポジショニングができていて、流れを変えたくなかった」と説明していたんですけどね。実のところ、今季のマドリーはアンチェロッティ監督に使われる選手が決まっていて、ベンチにはアザールやマリアーノらのFWもいたんですが、よっぽどのことがない限り、プレーすることはなし。そこへルーカス・バスケス、カルバハル、アラバ、チュアメニ、メンディらが負傷欠場中となると、選手交代が少なかったのも当然の帰結ですが、中には「Hemos acusado la prórroga con el partido de Copa/エモス・アクサードー・ラ・プロロガ・コン・エル・パルティードー・デ・コパ(コパの試合の延長戦が響いた)」(ナチョ)という声も。 そう、彼らもアトレティコとの試合で120分を戦い抜いたばかりですからね。ただ、アンチェロッティ監督は「Hemos empujado 90 minutos a tope, con mucha intensidad/エモス・エンプハードー・ノベンタ・ミヌートス・ア・トペ、コン・ムーチャ・インテンシダッド(ウチは全力で90分、押し上げ続けた。とても強度のあるプレーでね)。木曜の延長戦の影響は感じられなかった」と言っていたため、ちょっとこの辺に選手たちと感覚のズレがあるのかもしれませんが、さて。何せ、この日もメンディの代わりに左SBを務めたカマビンガなどは、「Cinco puntos no son nada en la temporada/シンコ・プントス・ノー・ソン・ナーダ・エン・ラ・テンポラーダ(勝ち点5なんて、シーズンの中では何てことないよ)」と言っていたものの、おかげで首位のバルサとの差も開いてしまいましたしね。 それだけにスペイン・スーパーカップに参加したチーム以外、プレーしないこのミッドウィークの順延17節は絶対に落とせませんが、朗報はそろそろ、アラバ、チュタメニ、カルバハルの3人が戻ってこれそうなこと。ただ、相手のバレンシアは月曜にガットゥーゾ監督と契約を解除、伝説の暫定監督、チーム付ディレクターのボロ氏が8度目の指揮官となって、ベルナベウにやって来ますからね。意外と侮れないんじゃないかと思いますが、とにかく今、何より望んでいるのはこの寒波が少しは和らいでくれていることでしょうか。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2023.01.31 22:00 Tue
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この先、忙しいのはマドリーだけ…/原ゆみこのマドリッド

「シーズン終わるまでが長いわよね」そんな風に私が溜息をついていたのは金曜日、凍りつくような前夜、家に着いたのは午前様だったにも関わらず、風邪を引かずに済んだことを喜びつつ、早く春が来ないかなとカレンダーを眺めていた時のことでした。だってえ、今季のリーガ最終節はW杯を挟んだせいで通常より少し遅れて6月4日の週末。EL決勝が5月31日、CL決勝が6月10日にあるとはいえ、CLグループリーグ最下位敗退により、昨年のうちにヨーロッパから完全撤退したアトレティコにはまったく関係ないんですよ。 唯一、5月6日の決勝まで楽しめる可能性のあったコパ・デル・レイですら消えてしまった今や、3回程のミッドウィーク開催節を除いて、週末だけリーガの試合をこなせばいい、ヘタフェやラージョら、弟分チームたちと同じ身分とは、もう世も末。それも現在、4位の彼らは5位のビジャレアルと同じ勝ち点、3位レアル・ソシエダには勝ち点7、2位レアル・マドリーには10、そして首位バルサには13の差があるとなれば、逆転優勝の掛け声など、まったく聞こえるはずもなく、あとはリーガの残り20試合でちまちま、CL出場圏を維持していくことくらいしか望めないんですが、何かこれ、シメオネ監督以前のアトレティコに戻っていない? まあ、愚痴っていても仕方ないので、木曜の準々決勝コパダービーがどんな試合だったのか、お話ししていくことにすると、まだ少しは暖かかった昼間のうちに話題になっていたのは、その日の未明、バルデベバス(バラハス空港の近く)にあるお隣さんの練習場近くの高速道路に「Madrid odia al Real/マドリッド・オディア・アル・レアル(マドリッドはレアル・マドリーを憎んでいる)」という横断幕と共にビニシウスのユニを着せた首吊り人形が出現。アトレティコのウルトラグループによる人種差別主義的ヘイトクライムだとして、両クラブやサッカー協会、スポーツ関連のお役所などから非難されていたんですが、幸いなことに今回のダービーはサンティアゴ・ベルナベウでの開催でしたからね。 直前に300から500枚ぐらいに割り当てチケットが増えたとはいえ、その前のメトロポリターノでのダービーのように、ウルトラたちがビニシウスに向けて猿の鳴き真似をするような蛮行が試合で起きるとは考えにくかったんですが、ホント、こういうアトレティコファン全体を貶めるような行動は慎んでほしいかと。そしてキックオフの午後9時が近づくにつれ、気温はぐんぐん低下していき、いえ、大改装中で色んなところに隙間があるとはいえ、そそり立つスタンドで囲まれているベルナベウではブタルケやコリセウム・アルフォンソ・ペレス、エスタディオ・バジェカスのように吹きつける寒風にモロにさらされるということはないんですけどね。 それでも昨年11月のカディス戦に私が訪れて以来、77日が経過していたこの試合ではプレス席が更なる高みに移動。以前は中段にあったのが、エレベーターでなければ、とても辿り着けない8階層と、いえ、アトレティコファンが固まっていたfondo norte(フォンド・ノルテ/北側ゴール裏)の最上階、ビジターファン区画よりは弱冠、低いみたいでしたけどね。グラウンドの熱気を感じるにはあまりに遠い距離だったのもあり、早くもキックオフ前からホッカイロの封を開けてしまった私でしたが、米粒のように見える選手たちも手足がかじかんでいたのでしょうか。どちらも序盤は比較的、ゆったりプレーしていたよう。 そんな中、いきなり動きが生じたのは前半19分、コケが送ったループパスがマドリーDFラインの頭を越え、エリア内に駈け込んできたナウエル・モリーナがワンタッチで反対サイドへ送ったところ、モラタの一押しで先制ゴールが決まったから、ビックリしたの何のって。いやあ、最近はコパ16強対決のレバンテ(2部)戦、バジャドリー戦と2試合連続得点して、ゴール生産周期に入っていた彼でしたけどね。おかげでW杯のスペイン代表でもグループリーグ3試合で決めていたのを思い出した次第でしたが、当人は古巣であるベルナベウのファンから、「Morata, eres rata!/モラタ、エレス・ラタ(モラタ、お前はドブネズミ)」と心無いカンティコを歌われたのが悔しかったんでしょうか。ゴールを祝う中、自分の背中のネームの文字、MOを手で隠して、RATAだけにするという開き直りパフォーマンスも。 これはメトロポリターノに戻る度に同じカンティコを歌われてしまうGKクルトワに使えない手ですが、とにかく前半のマドリーは、ユニフォームを取り替えてプレーしているのかと思うぐらいにパスミスの多いことといったらもう。本気で勝ちたいなら、アトレティコもハーフタイムが来る前にあと2点ぐらい、取っておくべきだったんですよ。それがクロースのFKから、ミリトンがヘッドでゴールを狙うのでなく、クリアしてしまうというドッキリがあった後の32分、レマルのゴール前のキラーパスにモラタは一歩及ず、更に40分過ぎにメンディが負傷でピッチを出て、セバージョスが入るまでの空白の時間も利用できずと、0-1のまま、試合は折り返すことに。 そして激動の後半が始まったんですが、最初に起きた悲劇はまだ5分も経っていなかった頃、モラタが接触プレーでマドリー陣内に倒れたまま、しばらくほっておかれたんですが、どうやらこれが18分に彼が交代する原因となったよう。ええ、試合終了の笛と同時にピッチ中央まで出向き、ソト・グラド主審と会話していたシメオネ監督が、会見で「Ya pasó en San Sebastián y le dije si tenía algo contra Morata/ジャー・パソ・エン・サン・セバスティアン・イ・レ・ディヘ・シー・テニア・アルゴ・コントラ・モラタ(サン・セバスティアンのレアル・ソシエダ戦でもあったんだが、モラタに対して何か恨みでもあるのかと訊いた)。モラタは大袈裟に倒れると言っていたが、その打撲のせいで交代を余儀なくされた」と説明していたんですけどね。 ただ、そこでメンフィス・デパイを代わりのCFとして入れるのでなく、守備的なMFビッツェルを選択。リードしているのをいいことにアトレティコが得意の一歩後退モードに移行したのも、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)の体現者、ロドリゴが投入されたマドリーを勢いづかせたのかもしれませんが、それも27分、自陣エリア前でレマルのヒザを蹴ったプレーにより、セバージョスに2枚目のイエローカードが出ていれば、どうなっていたことか。とはいえ、後でオブラクも「Eestamos acostumbrados a eso y es complicado/エスタモス・アコストクンブラードス・ア・エソ・イ・エス・コンプリカードー(ボクらはそういうのに慣れているけど、難しいよ)」と言っていたように、ホント、マドリーが不利になる判定が下ることって、ダービーで滅多にないんですよねえ。 結局、その時もらったペナルティエリア近くからのFKもグリーズマンがクルトワにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまい、ここでも追加点が奪えず。それでもスコアが変わらないまま、後半30分も過ぎると、いい加減、震えがくるほど寒い今日ぐらい、これまでシメオネ監督下で戦った一発勝負のダービーで初めて延長戦が避けられるんじゃないかという期待が少しは沸いたんですが、とんでもない。34分にはアトレティコの選手4、5人をかわして、ロドリゴがエリア内からシュート。オブラクの手が届かず、同点に追いつかれてしまったから、さあ大変! ええ、おかげでスタンドの大部分を占めるマドリーファンが昨季のCL決勝トーナメント、怒涛の3連続逆転劇を思い出して、イケイケで応援を始めたからですが、うーん、一応、そのまま90分は終えることができたんですけどね。ここでアトレティコのゲームメーカー、グリーズマンのガソリンが尽き、先日、正式にトップチームの選手となることが決定。未だに30番を着けているバルサのガビなどとは違い、登録枠に余裕があったか、24という立派な背番号をもらった19才のンテラーノ(Bチーム出身の選手)、バリオスと代わったのも攻撃面では痛かったんですけどね。何よりマズかったのは延長戦前半、7分にはビニシウス、9分にはメンディの交代から左SBをやっていたカマビンガにサビッチが乱暴なタックルをかまして、あっという間にイエローカード2枚で退場になってしまったこと。 すると14分、セバージョスと並んで最近、先発としても十分合格ラインの冴えを見せるようになってきたアセンシオがエリア内に切り込み、そのゴールと平行に送ったパスをそれまで何度もチャンスを逃していたベンゼマがあっさり決めてしまうのですから、まさにマドリーの逆転力たるや恐るべし。いやあ、延長戦後半にはすでにピッチに出ていたデパイ、そしてカラスコにも同点ゴールを決める機会はあったんですが、とりわけ後者、このシーズン後半、いい成績を残せば、夏には2000万ユーロ(約30億円)の買取オプションを持つバルサに移籍できるせいで力んだか、それとも絶対、アトレティコに残りたいという天邪鬼精神だったかはわかりませんが、とにかくシュート精度が悪くてねえ。 ロスタイム最後にはカウンターからビニシウスに3点目を奪われて、もう寒さに耐えるのにも限界という私に帰りがもっと遅くなるだけでなく、シメオネ監督時代のダービーで勝った試しがないPK戦という、更なる試練が課されることはありませんでしたが、いやあ。アンチェロッティ監督も「La segunda parte ha sido más un cambio mental que de estrategia/ラ・セグンダ・パルテ・ア・シードー・ウン・カンビオ・メンタル・ケ・デ・エストラテヒア(後半は戦術というより、メンタルの変化だった)。それにしたって、前半あれだけ悪いプレーをしていたチームがどうやったら後半、あんなに良くなるのか理解するのは難しい」と告白していたんですけどね。 これはもう、コパ16強対決ビジャレアル戦で前半2-0の負けを後半に3点入れて覆した時から、マドリーのお家芸、レモンターダのスイッチが入ったとしか言えないんですが、その試合、スタメンでプレーしながら、途中交代。監督を無視してベンチに座ったのを注意されていたロドリゴを見事に更生させたアンチェロッティ監督の手腕もさすがと言うしかない?ただ、大変なのは彼らにはこの先も1週間2試合のハードスケジュールが当分、続くことで、ええ、火曜にセビージャを延長戦で破ったオサスナ、ブライス・メンデスが前半に退場となったレアル・ソシエダに1-0で勝ったバルサ、そして同日、バレンシアを1-3で破ったアスレティックらが参加するコパ準決勝の抽選は月曜にあるんですけどね。 その前日、日曜午後9時(日本時間翌午前5時)からはまたベルナベウで、久保建英選手の古巣訪問は叶うものの、ダビド・シルバは負傷で来られないレアル・ソシエダ戦。来週木曜にはスペイン・スーパーカップで延期されていた17節のバレンシア戦、次の日曜にマジョルカ戦を済ませた後、サッカー協会がコパ準決勝1stレグに予定していた2月の第2週にはFIFAクラブW杯でモロッコに行かないといけないため、コパの試合は先送りする破目に。大体がして、こうも連戦が続くと、メンディのようにケガ人も増えるばかりで、何とか、チュアメニやアラバ、カルバハルらの回復が間に合ってくれるよう、今はアンチェロッティ監督も祈るしかないんじゃないでしょうか。 そしてコパで退場したサビッチのリーガでの出場停止が明けるアトレティコはこの週末、コパ準々決勝の勝ち組、オサスナと日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からエル・サダルで試合なんですが、4位維持のためには弟分たちの援護射撃を多いに期待したいところ。ヘタフェが土曜にホームに迎えるのは6位で勝ち点差3のベティスとあって、いえ、キケ・サンチェス・フローレス監督のチーム自体もリーガでここ3連敗と、いよいよ降格圏18位のバジャドリーと同じ勝ち点、ゴールアベレージ差だけで16位にいる状態なので、どうしても勝たないといけないんですけどね。 昨年、足首を手術して長期リハビリをしていたアランバリがチーム練習に戻ったという嬉しい知らせはあるものの、まだ試合に出られる訳ではなく、何とかエネス・ウナルやマジョラルが当たって、ゴール不足を解消できるといいんですが、こればっかりはねえ。ガチに降格圏入りしてしまうと、それこそ監督交代の事態にもなりかねないため、スペイン・スーパーカップ準決勝ではバルサに、コパ16強対決ではオサスナにPK戦で負けたベティスが最近、少々凹んでいるのを利用できるといいのですが。 一方、ラージョはここ2節、月曜試合となっていて、第1弾はラ・セラミカでのビジャレアル戦。5位のこの相手も同じ勝ち点のアトレティコが4位を死守するためには是非とも、イラオラ監督のチームに頑張ってもらわないといけないんですが、相手はコパに敗退したせいか、1月の移籍市場クローズが迫って、FW放出の動きが加速しているよう。もうダンジュマがトッテナムにレンタル移籍することが決まっていますし、ニコ・ジャクソンもメディカルチェックでOKが出れば、ボーツマス入りとなるとか。 まあ、ジョアン・フェリックス(チェルシーにレンタル)、クーニャ(ウォルバーハンプトン)が出て、来たのはデパイだけ。もう今季、ビッグマッチはないものの、ダービーではかなり前線の手駒が薄くなった気がしたアトレティコと比べると、まだELに残っているビジャレアルの動きは不可解ですが、9位のラージョもEL出場圏まで、あと勝ち点2差だけですからね。前節ではレアル・ソシエダに不覚を取ったとはいえ、昨季後半、いきなり不調に陥って、残留確定までの勝ち点を貯めるのに苦労した経験をリピートしないためにも前半戦最後となるこの試合、気持ちよく白星で終えてくれたらいいですよね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2023.01.28 20:00 Sat
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長い週末だった…/原ゆみこのマドリッド

「もしや慰めのつもりだろうか」そんな風に私が首を振っていたのは月曜日、バジャドリー戦が終わった土曜の夜から恐れていた通り、午前中にアトレティコがマルコス・ジョレンテの検査結果を発表。全治15日程の太ももの肉離れにより、今週のマドリーダービー、コパ・デル・レイ準々決勝には出られないとわかってすぐ、カンテラーノ(Bチームの選手)のバリオスが契約を2028年まで延長、トップチーム昇格のお知らせがツィッターに上がっているのに気づいた時のことでした。いやあ、この19才のMFは久々に現れた希望の星で、確かに今年になって出場した大人の試合でもチームに新風を吹き込んでくれてはいたんですけどね。 かといってティーンエイジャーながら、スペイン代表招集常連であるバルサのガビやペドリのように上手いのかと言われると、まだまだ足りないところが散見されるんですが、最近はとにかく、ジョレンテがリーガ優勝した2シーズン前のレベルに戻りつつありましたからね。あのエリア内右奥まで切り込んで、ゴール前に出すキラーパスをモラタが決められるか、決められないかはそれこそ、時の運なんですが、よりによって、今季唯一、タイトル獲得の可能性が残った大会の生き残りを懸けて、お隣さんと一発勝負でぶつかる今、ケガしてくれるとはまったくツイていない。 聞けば、UEFAの大会のようにビジターチームファンへのシート提供パーセンテージが決まっていないコパだけに、アトレティコには4000人ものチケット購入申し込みがありながら、レアル・マドリーはサンティアゴ・ベルナベウのfondo norte(フォンド・ノルテ/北側ゴール裏)4階席の300人強分しか、用意してくれないなんて話もありますしね。8年ぶりとなるコパダービーでは2013年、それこそ敵のお膝元でモウリーニョ監督率いるチームを延長戦で破って戴冠。2014-15シーズンは奇遇にもアンチェロッティ監督のチームを2試合制だった準々決勝で倒したという、いい思い出もない訳ではありませんが、とりわけコパの試合では今季、どこに行っても大勢のファンの声援を受けていたシメオネ監督のチームだけにやっぱり、心細かったりするんですが…。 まあ、憂いてばかりでも仕方ないので、今は先週末のマドリッド勢のリーガ戦がどうだったか、お伝えしていくことにすると。寒波中のマドリッドでも土曜のラージョvsレアル・ソシエダ戦は午後2時キックオフ、お日様が照っているだけに少しはマシかと思えば、吹きつける風が氷のように冷たくてねえ。夜のシビタス・メトロポリターノに備え、極暖ヒートテック着用で挑んでまさに正解だったんですが、エスタディオ・バジェカスでは前半15分から、冷や水を浴びせられることに。ええ、スローインを受けたウナイ・ロペスがぼおっとしていたか、ダビド・シルバにボールを奪われ、37才のドリブルを誰も止めることができず。最後はセルロートにパスが渡り、そのシュートで先制点を奪われてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。 ソシエダは36分にも今度はCKから、イシのマークを振り切ったエルストンドがヘッド、ファーサイドに行ったボールをバレネチェアがネットに収め、前半だけで2点もリードされてしまったとなれば、この逆境を克服できるのは、先日のコパ16強対決ビジャレアル戦ではありませんが、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)DNAを持つ兄貴分だけ?もちろん、ラージョはそんな特異体質ではなく、いえ、イラオラ監督もファルカオ、エヌテカ、アンドレス・マーティンを投入して、ゴールを狙ったんですけどね。 直近のベティス戦の5人FW体制より、ちょっと少ない4人FW体制もシュートの狙いが定まらなくてはどうしようもありません。結局、0-2のまま、ラージョは負けてしまい、リーガのホームゲームでW杯のparon(パロン/停止期間)前にマドリーに勝利して以来、3試合連続白星なしに。まあ、9位でコンフェレンスリーグ出場圏まで勝ち点2差というのは変わっていないため、それ程、焦る必要はないんですが、彼らの次節は30日の月曜試合。ラ・セラミカでのビジャレアル戦ではしっかり勝って、CL出場圏4位をもう1つの兄貴分、勝ち点が同じアトレティコから掠め取ってやろうと狙っているセティエン監督のチームを叩くことができたら、きっと感謝されるんじゃないでしょうか。 え、その試合、ロッカールームからのトンネルを出て、久保建英選手がベンチに歩いて来るのは見たのに、その後、ハーフタイム中も後半もアップする姿さえなかったのは不思議じゃなかったかって?そうですね、イマノル監督によると、「Take lo tenía en el banquillo, pero no estaba para echar una mano/タケ・ロ・テニア・エン・エル・バンキージョ、ペロ・ノー・エスタバ・パラ・エチャール・ウナ・マノ(タケはベンチに入っていたが、チームを助けられる状態ではなかった)。太ももの問題を抱えていたから」とのこと。 いやあ、この日はシルバ、ブライス・メンテス、セルロートも早々にカンテラーノ2人とオジャルサバルに代わり、水曜のコパ準々決勝バルサ戦の準備に余念のないソシエダだったんですけどね。リーガでもこの日の勝利で2位マドリーと同じ勝ち点に並んだ彼らはまさに、週末にはベルナベウで直接対決と、ビッグゲームを立て続けに迎えるだけに、久保選手にもなるたけ早く回復してもらいところでしょうが、こればっかりはねえ。何にしても他にもミケル・メリノら、ケガ人がいるというのに現在、9連勝中というのは羨ましい限りではあります。 そして土曜は更なる寒さに耐える覚悟して、メトロポリターノへ向かった私でしたが、むしろ、冷え冷えしていたのはfondo sur/フォンド・スール(南側ゴール裏)に陣取る応援団の方でした。というのもアトレティコ、バジャドリーの両チームが入場してきた時こそ、いつものように一斉にマフラーを掲げ、アカペラでクラブ歌を熱唱していたんですが、その後はうんともすんとも言わず。顔見知りの番記者に尋ねたところ、またクラブ紋章変更の問題が再燃して、応援のストをしているということでしたが、ちょっとお、今がどんな時か、本当のファンならわからないはずないのでは? でも大丈夫。序盤こそ、先日のコパのレバンテ戦を彷彿させるように頼りなかったアトレティコでしたが、この日は練習で磨きをかけた決定力がとうとう開花。まずは18分、先発に戻ったコケのスルーパスをグリーズマンがtaconazo(タコナソ/ヒールキック)で繋ぎ、エリア内に入ったモラタがエル・ヤニクをかわして撃ったシュートが決まったから、驚いたの何のって。続いて23分にはナウエル・モリーナがエリア内右奥まで侵入し、そのアシストを受けてグリーズマンが2点目を取ってくれたんですが、いやあ、昨今、MF化が激しく進んでいる当人にとって、フランス代表のW杯も合わせると、18試合ぶりの得点だったとは随分、待たせてくれたじゃないですか。 おまけに28分にはグリーズマンの蹴ったFKをエルモーソがヘッド、一旦はGKマシップに弾かれたものの、自分のところに戻って来たボールを押し込んで、あっという間に3点リードしてしまうって、まさに盆と正月がいっぺんに来た?相手がここ4連敗中、降格圏ギリギリのグループにいるチームだけに反撃をそれ程、恐れることなく、後半は11分から、ケガをしたジョレンテはともかく、グリーズマン、レマル、コケ、モラタと主力を温存することができたのも良かったんですけどね。追加点はなかったものの、無事にメンフィス・デパイもデビューできたんですが、3-0で試合が終了した後もスタンドから、コパダービーに挑むチームを鼓舞するカンティコがまったく聞こえなかったのは残念な限りだったかと。 その一方で日曜には残りのマドリッド勢の試合があったんですが、こちらも午後2時からだったブタルケでは先日、アトレティコに負けて、コパ敗退となったばかりのレバンテがレガネスと対戦。柴崎岳選手も久々に先発したんですが、前半29分には先日、レバンテからレンタル移籍で入ったばかりのフランケサがデ・フルートを倒してPKを献上してしまうことに。おかげでカンパーニャのゴールでリードされてしまったものの、32分にはファン・ムニョスのパスを受け、アルナイスが同点ゴールをゲット。後半18分にも彼は敵のクリアミスで得たボールをゴールに叩き込み、レガネスは2-1と逆転したんですが、返す返す悔やまれるのは前半終盤に得たPKを彼が敵GKに弾かれてしまったこと。 だってえ、アルナイスがハットトリックを達成していれば、後半ロスタイム、こちらは昨季までレガネスにいたロベル・イバニェスが混戦状態のゴール前から撃ったシュートが入っても、レガネスは3-2で勝てていたんですよ。最後の最後に追いつかれ、勝ち点2を失うという悔しい思いはしないで済んだはずですが、まあ、レバンテはこれで15試合無敗の堂々、昇格プレーオフ圏一番上の3位チームですからね。こういうしぶとさが1部復帰には必要なんだと思いますが、今週末も2部首位のエイバルという強敵との対戦が続くレガネスとあって、あと勝ち点4に迫った待望の6位以上プレーオフ圏入りも今しばらく、時間が必要かもしれません。 そして日曜は夕方から、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に缶詰めになった私だったんですが、カンプ・ノウで弟分のヘタフェは善戦したものの、前半35分に守備陣がボール出しに失敗。クリステンセンからラフィーニャに送られ、ペドリがゴール前に突っ込んで決めた1点に泣くことに。いやあ、スペイン・スーパーカップからの疲労が溜まっていたバルサはそれ程、攻撃的にパッとしていた訳ではないんですけどね。 キケ・サンチェス・フローレス監督も「Creo que nos penalizó no estar brillantes en el uno a uno con Ter Stegen/クレオ・ケ・ノス・ペナリソ・ノー・エスタル・ブリジャンテス・エン・エル・ウノ・ア・ウノ・コン・テル・シュテーゲン(テア・シュテーゲンとの1対1で冴えていなかったのがウチに罰を与えることになったと思う)」と言っていたように、3分にはせっかくのゴールをウナルのオフサイドで認められなかったマジョラルがGKテア・シュテーゲンの正面に撃って防がれた上、アレニャがファーサイドに出したラストパスにも届かず。レバンドフスキを出場停止処分で欠いていたバルサが後半、追加点を挙げることはなかったとはいえ、最後のラタサのヘッドまでセーブされているとなれば、1-0で負けてしまったのも仕方なかったかと。 そんなヘタフェにはこの土曜、前回のホームゲームで負けたばかりのエスパニョールに今節負けたベティスを迎える試合で頑張ってもらうしかないんですが、何せ、かろうじて16位で止まっているとはいえ、彼らと同じ勝ち点17のチームはゴールアベレージ差で一番下になったバジャドリーが降格圏に入っていますからね。それでもこのまま堅い守備を維持して、ウナルかマジョラルが当たってくれれば、もう少し、楽に息ができる位置に行けるはずなので、ここはコリセウム・アルフォンソ・ペレスのファンも辛抱強く、応援してあげてほしいですよね。 え、週末観戦5試合目ともなると、もう最後のアスレティックvsマドリー戦の頃には私も相当、疲れていたんじゃないかって?まあ、その通りなんですが、アンチェロッティ監督にはスタメンから驚かされましたよ。というのも難所の1つであるサン・マメスでありながら、モドリッチとクロースを温存。チュアメニもまだ負傷中のため、カマビンガ、バルベルデ、セバージョスで中盤を組み、同じくコパのビジャレアル戦で良かったアセンシオを先発にしていたから。ただベテラン指揮官の勘はバッチリ当たって、前半24分、バルベルデの上げたクロスをアセンシオが後ろにヘッド。そこに駆けつけたベンゼマが見事な腰の捻りでvolea(ボレア/ボレーシュート)を打ち込んで、マドリーは先制点をゲットすることに。 まさに「Karim ha vuelto/カリム・ア・ブエルトー(ベンゼマが戻った)」とアンチェロッティ監督に言わしめるゴールでしたが、それでもスタンドを満員にしたファンに後押しされたアスレティックはメゲることなく、うーん、後から見ると、シュート数も計18本とかなり撃っていたんですけどね。どこぞのチームと同じく、問題は精度で枠内は3本だけ。パレデスのヘッドはGKクルトワにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまいましたし、後半31分にイニャキ・ウィリアムスが入れたゴールもオフサイドで認められない運の悪さもあったんですが、挙句の果てに45分、交代で入ったロドリゴからパスを受けたクロースに止めの2点目を決められてしまってはねえ。この0-2勝利のおかげで、マドリーは首位バルサとの差を勝ち点3のまま保つことができましたっけ。 そう、結局、この18節は上位4チームが全て勝って、順位も互いの勝ち点差も変わらなかったんですけどね。彼らが揃って、この火曜水曜、コパ準々決勝で戦うというのはちょっと見物かと。要はどのチームも気分良く、試合に挑めるということになりますが、それにつけても木曜午後9時(日本時間翌午前5時)のコパダービーはただただ、怖いの一言。アトレティコの方が中1日多いですし、リーガでは出場停止だったサビッチやレギロンも出場可能。逆にマドリーはルーカス・バスケス、アラバ、チュアメニ、カルバハルがケガで出られないとわかっていても…まあ、ここは運を天に任せるしかありませんよね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2023.01.24 20:00 Tue
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潰し合いが始まる…/原ゆみこのマドリッド

「クラシコの方が良かったのに」そんな風に私が嘆いていたのは金曜日、コパ・デル・レイ準々決勝の組み合わせを知った時のことでした。いやあ、たまたまその日は寒さが少しは和らいだこともあり、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でアトレティコのセッションを見学。バジャドリー戦前日会見とラス・ロサスのスペイン・サッカー協会本部で行われる抽選会がほぼ同時に始まったため、プレスルームにいた記者たちは皆、スマホでライブ配信をチラ見しながら、シメオネ監督と質疑応答をしているという、今の時代ならでは光景が繰り広げられていたんですけどね。 それこそ、その会見中に来週はお隣さんとのコパ・マドリーダービーがあるとわかれば、質問の矛先も絶対、そっちに行ったはずだったんですが、おそらく協会もただ8つのボールを引くだけでは中継がたった2分で終わってしまうのを恐れたか、抽選前に延々と選手たちのビデオインタビューなどを放送。おかげでレアル・マドリーとアトレティコの対戦が決まったのは会見終了から、5分以上経った頃となり、とっくにシメオネ監督の姿もなかったんですが、もしや彼も戻ったロッカールームで選手たちが絶望しないように慰めていた? だってえ、鬼門のシュタット・デ・バレンシアで生き残ったとはいえ、アトレティコのゴール力が戻ったと言うにはまだ時期早々。見学時間の15分が終わり、敷地から追い出された後、目隠しの覆いの外から、残りのセッションを伺っていたところ、選手たちは延々とシュート練習に専念していたぐらいですからね。この冬、レンタルに出した2人のFW、クーニャ(ウォルバーハンプトン)とジョアン・フェリックス(チェルシー)の穴を埋めるため、バルサから移籍したメンフィス・デパイの入団プレゼンこそ、同日夕方にあったんですが、いくら木曜からチームと一緒に練習しているといったって、彼はレバンドフスキにあらず。 いきなりダービーでゴールを決めてくれるとはとても思えないんですが、まあそれはともかく、アトレティコに今季、唯一残ったタイトル獲得の可能性がある大会、コパ16強対決のレバンテ戦がどんなだったか、お話ししていくことにすると。それが、キックオフから絶対攻めていくだろうという私の予想は完全に外れ、「El primer tiempo fue chato, no fue bueno, con imprecisiones y pérdidas/エル・プリメール・ティエンポー・フエ・チャト、ノー・フエ・ブエノ、コン・インプレシシオネス・イ・ペルディーダス(前半はのっぺりしていて、良くなかった。不正確でボールロストも多かった)」(シメオネ監督)という最低のスタートだったんですよ。 しかも前半24分など、セットプレーからムニョスにゴールに撃ち込まれ、審判がGKオブラクと一緒にジャンプした敵のFW、ブルディーニにファールがあったと判断してくれたから良かったものの、そうでなければ先制点を奪われていた始末。となれば、「No jugamos, ni pateamos al arco/ノー・フガモス、ノー・パテアモス・アル・アルコ(ウチはプレーもシュートもしなかった)」(シメオネ監督)アトレティコが0-0でハーフタイムを迎えることができたのは不幸中の幸いと言ってもいい? ただ、ロッカールームでシメオネ監督の訓示を受けた後の後半は、いえ、どちらかというと、カンテラーノ(アトレティコBの選手)をコレアに代えたのが当たったみたいでしたけどね。ようやく過去2シーズン、2分け2敗と天敵だった1部のレバンテと今季2部にいるレバンテが違うチームだということに選手たちも気がついたか、後半9分にはコレアが送ったボールをマルコス・ジョレンテがエリア内からファーサイドのモラタに全身全霊を込めてキラーパス。このコネクション、実はリーガ前節のアルメリア戦でも2度あって、その時は見事にシュートを外していた彼ですが、この日は見事にネットを揺らし、控え目ながら、「El primer gol para mi hija que acaba de nacer/エル・プリメール・ゴル・パラ・ミ・イハ・ケ・アカバ・デ・ナセル(生まれたばかりの娘のための最初のゴール)」(モラタ)を祝うことができましたっけ。 その10分後にはモラタもサウールに代わり、なかなか追加点も入らなかったため、私もドキドキしながら見ていたんですが、ロスタイムにはようやく一息つけることに。ええ、今度もコレアが起点となり、ナウエル・モリーナへ繋ぐと最後はエリア内に走り込んだジョレンテが2点目を挙げてくれます。そのまま0-2で勝利して、アトレティコは準々決勝に駒を進めただけでなく、32強対決でレバンテの前に悔し涙を飲んだ弟分、ヘタフェのリベンジもできましたしね。相手のカジェハ監督は少々、ジャッジに不満があったようですが、10月にナフティ監督と交代した後、ここ14試合負けなしだったレバンテは3位と、1部復帰へと着実に前進中。となれば、この日曜にはレガネス戦も控えていますし、負担になるコパはこの辺が潮時だったかもしれませんね。 ちなみにこの日はシュート7本、うち枠内4本で2点を取る効率の良さを見せたアトレティコだったんですが、その調子を持続できるかの試金石となるのは、土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)からのバジャドリー戦。どうやら入団ほやほやのデパイが出場するのは問題ないようで、彼の移籍金300万ユーロ(約4億3000万円)と平行して、この夏の2000万ユーロ(約28億円)の買い取りオプションをバルサに売られたカラスコも金曜の練習ではケガが治っていたようですが、ちょっと心配なのはDF陣かも。ええ、このところリーガでは3試合連続退場者を出していて、今回もサビッチとレギロンが出場停止、ヒメネスもまだ内出血が治っていないんですよ。 といっても現在4位とはいえ、5位6位と同じ勝ち点のアトレティコだけにうっかりすると、CL出場圏から落ちてしまうため、ここは一旦、来週木曜午後9時(日本時間翌午前4時)から、当初の予定だった日曜のリーガ19節レアル・ソシエダ戦より3日も早く、サンティアゴ・ベルナベウの改装工事を中断させて開催することになるコパ・ダービーのことは忘れて、目の前の試合に集中しないといけませんが…きっと、シビタス・メトロポリターノのファンは17位のバジャドリーにリードするやいなや、ダービー先取り応援を始めるんでしょうね。 え、スペイン・スーパーカップ決勝であんなにも容易くバルサにやられてしまうマドリーを見ていれば、それ程、恐れるべき相手じゃないんじゃないかって?いやあ、実際、翌木曜のコパ16強対決ビジャレアル戦前半まではまったくその通りで、Sextete(セクステテ/6冠優勝のこと)の夢潰えたのがまだショックだったか、彼らは前半4分、スローインからジェラール・モレノが繋いだボールをカプエに決められ、先制点を奪われてしまったから、ビックリしたの何のって。その後も優勢だったのは、リーガ前節には同じラ・セラミカの舞台で2-1と勝利していたセティエン監督のチームで、42分にも今度はチュクウェゼに2点目を入れられてしまったとなれば、レバンテ戦前半のアトレティコの方が全然、マシだった? でもねえ、普通のチームなら、前半2-0で負けて折り返せば、ほとんど絶望的になってしまうはずなんですが、マドリーはそこが違うんですよ。折しも相手はハーフでアルビオルをクエンカに交代、7分にはそれまでビニシウスを完璧に抑えていたフォイスも負傷して、本職の右SBがいないせいで、CBのマンディをその位置に入れなければならなかったのもプラスになりましたけどね。ゲームの流れを変えたのは11分、アンチェロッティ監督がクロースとロドリゴを下げ、セバージョスとアセンシオを投入したこと。いえ、チームが負けているに時点でベンチに戻ることになったロドリゴなど、指揮官とは目も合わさず、ふてくされて座ってしまったんですけどね。 おかげでそれからたったの1分、セバージョスのスルーパスを受けたビニシウスが反撃の狼煙を上げるゴールを挙げた後にはアンチェロッティ監督がロドリゴに近づいて、「Tú a mí me saludas/トゥ・ア・ミー・メ・サルーダス(君は私に挨拶しないといけない)」と直々に注意することに。とはいえ、その時は怒っていた当人も24分、今度はセバージョスのクロスをベンゼマがヘッド。GKヨルゲンセンにそれは弾かれたものの、こぼれ球をミリトンが押し込んで、同点に追いついたとなれば、上司の慧眼ぶりに感服するしかないかと。 そして、まさかCL以外で、とりわけコパなどでお目にかかろうとは思わなかった根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)モードが発動したマドリーは41分、アセンシオの折り返したパスをセバージョスがワンタッチでシュート。とうとう2-3でスコアを引っくり返し、延長戦もPK戦もなしで勝ってしまったんですよ。実際、昨季のDecimocuarto(デシモクアルト/14回目のCL優勝のこと)に至る、逆転に次ぐ逆転となった決勝トーナメントで主役の1人となったロドリゴは、アンチェロッティ監督に記者会見で、「No ha saludado porque creo que se ha olvidado/ノー・ア・サルダードー・ポルケ・クレオ・ケ・セ・ア・オルビダードー(挨拶するのを忘れたのだろう)」ととりなしてもらっていたものの、早々に交代していましたし、モドリッチはマドリッドでお留守番。 ベンゼマも最近はPK以外でゴールを挙げる姿をめっきり見なくなった思いきや、セバージョスやアセンシオら、控え選手までいざとなると、クラブに脈づくレモンターダ精神を発揮してしまうんですから、これは本当に手に負えないかと。まあ、それでも彼らには同日夜、NBAのパリ出張試合、デトロイト・ピストンズvsシカゴ・ブルズ戦を見に行っていたことが発覚したチュアメニ、そしてアラバ、ルーカス・バスケス、カルバハルと負傷者が多い上、この日曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのアスレティック戦は後がないコパとは違うため、そう簡単にはいかないと思いますけどね。 ただ、アスレティックもエスパニョールを1-0で下してコパ準々決勝進出組となり、来週木曜にはスポルティング(2部)に0-4と圧勝したバレンシアと当たることになったため、ちょっと気が散っているかもしれませんが、マドリーは現在、リーガで首位バルサと勝ち点3差の2位。シーズン前半終了まで、今週末を含めて、まだ3試合あるとはいえ、これ以上、離されたくないのが本音でしょうが、それには早くW杯のparon(パロン/リーガの停止期間)前の調子を取り戻さないことには。ちなみに残りのコパ準々決勝はバルサvsレアル・ソシエダとオサスナvsセビージャとなっているんですが、こうもミッドウィークの試合が続くと、ホント、どこのチームも選手の体調管理が大変でしょうね。 そしてコパは32強対決で敗退済み、今週はゆっくりできたマドリッドの弟分たちの週末の試合も紹介しておくと、土曜の午後2時(日本時間午後10時)にはラージョがエスタディオ・バジェカスにレアル・ソシエダを迎えることに。ヒザに痛みを抱えるRdT(ラウール・デ・トマス)と打撲のオスカル・バレンティンは欠場になりますが、ここは相手の連戦疲れを利用して、マドリーまで勝ち点3に迫り、アトレティコとは勝ち点差7をつけている3位を叩くことができれば、両兄貴分から感謝してもらえる?もちろん、ラージョ自身も9位ながら、CL出場圏4位まで勝ち点差2と迫っている立場であるため、前節バジャドリー戦でリーガ再開後、初勝利を挙げた流れを持続させたいはずです。 一方、ここ2試合、セビージャ、エスパニョールに連続して負けたため、15位ながら、降格圏まで勝ち点差1に迫ってしまったヘタフェは日曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)から、カンプ・ノウでバルサに挑むんですが、少しでも朗報があるとしたら、相手はリーガでの出場停止3試合の消化中のレバンドフスキが出られないことぐらい。木曜のコパでセウタ(RFEF1部/実質3部)に0-5と大勝したのはカテゴリー差を考えれば、それほど驚くことではありませんが、何せ、チャビ監督のチームはスペイン・スーパーカップで宿敵を破って優勝。メッシ(PSG)が去って以来のタイトル獲得に士気が上がっていますからね。 まだ冬の市場ではゴンサロ・ビジャルがローマから、リピートレンタル移籍で入ったぐらいで、ほとんど戦力に変化のないヘタフェだけにあまり、大きな期待もできないんですが、昨季の1月にはマドリーに勝ったなんてこともありましたし、勝負はやってみるまでわからない?低空飛行も程々にしないと、キケ・サンチェス・フローレス監督の先行きも怪しくなりますし、とにかく1勝でもすれば、4チームがひしめく、降格圏一歩手前のゾーンを抜け出せるため、今は歯を食いしばって頑張るしかありません。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2023.01.21 23:45 Sat
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景気のいい話はあまりない…/原ゆみこのマドリッド

「大人気ないなあ」そんな風に私が呆れていたのは月曜日、試合中は見逃していたものの、スペイン・スーパーカップ決勝終盤にレアル・マドリーの中堅、26才のセバージョスがバルサの18才、ガビの髪を鷲掴みにする映像を発見した時のことでした。いやあ、確かにその時間、彼らは敗色濃厚でしたし、スペインから遥か遠く離れたリアド(サウジアラビア)での開催とはいえ、クラシコ(伝統の一戦)はクラシコ。ティーンエイジャーに好き勝手されてなるものかと、ちょっと後にはベテランのナチョも激しいタックルをかけて、1ゴール2アシストで決勝MVPをもらうことになるガビを吹っ飛ばしていたりしたんですけどね。 そこまで相手に目の敵にされてしまう当人についてはチャビ監督も試合後、「Me quedo sin palabras. Es pura pasión, pura alma/メ・ケド・シン・パラブラス。エス・プラ・パシオン、プーラ・アルマ(言葉も出ない。情熱そのもの、魂そのものだ)」と絶賛していたんですが、実は会場のキング・ファハド・インターナショナル・スタジアムにはスペイン代表のデ・ラ・フエンテ新監督も観戦に。この活躍ぶりを目の当たりにすれば、3月のユーロ2024予選にガビを招集するのは間違いないかと思いますが、バルサには他にも若くして先日のW杯カタール大会に行った選手がペドリ(20才)、バルデ(19才)、アンス・ファティ(20才)と3人も。 それに比べ、マドリーの方は先発したカルハバルも後半途中出場だったアセンシオもパッとせず、大体がして、リーガ前節のビジャレアル戦ではクラブ史上、初めてスタメンにスペイン人選手が1人もいないという珍事まであったとなれば、もしやスペイン代表の復権はバルサの若手の成長ぶりに懸かっている?まあ、その辺はまったく違う次元の話ではあるんですけどね。実際、ここ2週間、マドリッド勢にはあまりいいニュースがないせいもあって、今は私もちょっと、凹んでいたりするんですが…。 そう、先週末はスペイン・スーパーカップ参加チーム以外はリーガ戦を行い、うーん、土曜に先陣を切った弟分のラージョだけは、バジャドリーにイシのゴールで0-1と勝ったんですけどね。W杯のparon(パロン/リーガの停止期間)が明けて以来、サグンティーノ(RFEF2部/実質4部)と0-0で引分け、PK戦で勝ち抜けたコパ・デル・レイ2回戦も含め、5試合目にして、ようやく初勝利をゲットできたのは良かったかと。順位は9位のままながら、おかげでコレンフェレンスリーグ出場圏の7位オサスナまでたった勝ち点差1に、それどころか、同じ勝ち点で並んでいるCL出場圏4位とEL出場圏5、6位にいるアトレティコ、ビジャレアル、ベティスまでもたった2差になったって、何か、躍進していない? こうなると今週土曜、4位との勝ち点差を7に広げ、堂々3位に君臨するレアル・ソシエダにエスタディオ・バジェカスでうっかり勝ったりすれば、またファンが「El año que viene RAYO – LIVERPOOL/エル・アーニョ・ケ・ビエネ・ラージョ・リバプール(来季はラージョvsリバプール戦)」と歌い出すことも十分、ありそうですが、イラオラ監督は「Tenemos la experiencia de la primera vuelta de la temporada pasada/テネモス・ラ・エクスペリエンシア・デ・ラ・プリメーラ・ブエルダ・デ・ラ・テンポラーダ・パサーダ(昨季前半の経験がある)」とあくまで慎重。ええ、前半戦で爆走した後、なかなか勝てず、残留確定に手こずったシーズン後半の苦い思い出のせいでしょうが、まあ、プレミリーグで今季苦戦しているリバプールが来季、ヨーロッパの大会に出られるかもわかりませんからね。 その辺はブカネーロス(ラージョのウルトラグループ)の創意工夫に任せるとして、惨々だったのは日曜の方なんですよ。まずは午後2時からのエスパニョール戦を見にコリセウム・アルフォンソ・ペレスに向かった私だったんですが、早くも前半6分にはルイス・ミジャがセンターでブライトワイトにボールを奪われ、そのすぐ脇からホセルの撃った超ロングシュートがGKダビド・ソリアの意表を突き、先制点を奪われているのですから、ビックリしたの何のって。おまけにその1分後にはヘタフェもエネス・ウナルがエリア外左から、対角線のgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めて同点に追いついたとなれば、驚きも2倍ですって。 ただ、その後のヘタフェはまったくいいところが見せられず、後半17分にはプアドにエリア内への侵入を許し、vaselina(バセリーナ/ループシュート)で勝ち越し点を取られてしまったのが致命傷に。うーん、後半頭から一斉交代した3人のうち、ムニルが21分にケガをしてしまい、ラタサが入って枠が早々に尽きてしまったのもツイていませんでしたけどね。そのまま1-2の敗戦となったため、またしてもファンは「Quique vete ya!/キケ・ベテ・ジャー(キケ・サンチェス・フローレス監督、もう出て行け)」の合唱で終わることに。15位と2つ順位を落としながら、降格圏との2差が変わらなかったのは不幸中の幸いでしたが、何せ彼らの次戦は日曜、カンプ・ノウでのバルサ戦ですからね。 それが済んだら、アンヘル・トーレス会長は監督を変えるだろうという予想もチラホラ出ているんですが、その日、続いて始まったアルメリア戦では前半18分、コンドグビアがセンターから出したパスをグリーズマンはスルー。それに惑わされ、スタートが遅れた敵DFに先んじて、コレアがアトレティコの先制ゴールを決めたとオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況で知り、ウキウキしてコリセウムのプレスルームを出た私には更なる試練が降りかかることに。というのも、メトロのロス・エスパルタレス駅近くのバル(スペインの喫茶店兼バー)にいそいそと腰を落ち着けた途端、32分、マルコス・ジョレンテの弧を描いて落ちるシュートがそのままゴールに入る直前、オフサイドの位置にいたコンドグビアが足を出して押し込むという余計な真似をするのを目撃する破目になったから。 それにはシメオネ監督も「Para que la tocas!/パラ・ケ・ラ・トカス(何だって蹴るんだ!)」とベンチから叫んでいたそうですが、もちろんこのゴールはスコアには上がりません。すると、ありがちな不幸の連鎖が始まり、37分にはロベルトネスのクロスをエル・ビラル・トゥーレがヘッドして、アルメリアが同点ゴールをゲット。後半、最近はMF化著しいグリーズマンのシュートが2度、セーブされた後、いよいよモラタが投入されたんですが、大体がして、この日はCFの位置でゴールを挙げたとはいえ、元々、コレアは「Donde me siento más cómodo es más atrás con un nueve de referencia, como segundo punta/ドンデ・メ・シエントー・マス・コモドー・エス・マス・アトラス・コン・ウン・ヌエベ・デ・レフェレンシア、コモ・セグンド・プンタ(自分がやりやすいのはCFの後ろ、第2FWみたいな)」タイプですからね。 何故、シメオネ監督が最初からモラタを出さなかったのは疑問の残るところでしたが、すぐにその理由がわかることに。だってえ、彼はジョレンテの極上のクロスを2度も受けながら、最初はヘッドを外し、次はGKフェルナンドとの1対1でゴールを決められないんですよ。更にコレアのシュートも弾かれてしまったため、シメオネ監督が、「ウチはゴール運がなかった。シュートは枠内に飛んだんだが、そこに敵のGKがいた」と嘆くのもわかりますが、「Acabará llegando mas adelante/アカバラ・ジュエガンドー・マス・アデランテ(この先の試合では入っていくだろう)」という根拠は一体、どこに? そう、撃っても撃ってもゴールが決まらないアトレティコの姿はもう今季の定番ですからね。それなのにクーニャ(ウォルバーハンプトンにレンタル)、ジョアン・フェリックス(同チェルシー)と冬の市場で2人もFWを出してしまうわ、31分にはコレアからCBのフェリペへと謎の交代はするわ、挙句の果てに途中出場のレギロンが終盤の5分間で2枚イエローカードをもらってレッドカードって、これでエルモーソ、サビッチに続いて、リーガ戦で退場者を出すのは3試合連続ですよお。結局、シュート20本で1点も取れなかったバルサ戦に続き、この日も12本でたったの1点だったアトレティコはそのまま1-1の引分けに終わりましたっけ。 もうこうなると、他試合の結果のおかげで、この節の終わりには4位に上がっていたというのが冗談のように聞こえるんですが、今の状態で水曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのコパ16強対決、レバンテ戦を迎えるのはただただ、不安になるばかり。ええ、相手は今季2部とはいえ、前ラウンドでは弟分のヘタフェに3-2で勝っていますし、先週末のリーガもグラナダに3-1で勝利して、現在3位と好調のようですしね。 実際、1部時代の対戦でもシュタット・デ・バレンシアは鬼門だったため、ヒメネスは出場停止かつ負傷中、カラスコもまだ練習に戻っていないアトレティコが一体、どうやったら勝てるのやら。月曜のマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションではシメオネ監督を始め、スタッフからシュート練習をするモラタに「A definir, a definir, a definer/ア・デフィニール(決めろ)」との声が飛んでいたそうですが、何か奇跡でも起こって、近日中にゴール力のあるFWが加入してくれたりしないんでしょうか。 そして最悪の日曜の集大成はもちろん、自宅近くのバルで見たスペイン・スーパーカップ決勝で、いやあ、確かにリーガ再開からのマドリーはあまり強い感じはしなかったんですけどね。前半12分のレバンドフスキのシュートこそ、GKクルトワが弾き、ゴールポストにも助けられたものの、33分にはボール出しのミスから失点を喫してしまうことに。ええ、クルトワからボールを受けたリュディガーがカマビンガに繋いだところを自陣エリア前で奪わると、レバンドフスキからラストパスを受けたガビがカルバハルに先んじてシュートを決めてしまったから、さあ大変! マドリー守備陣の不具合はハーフタイム入り直前にも発生し、今度はデ・ヨングがセンターから出したスルーパスの方にカルバハルの注意が逸れ、ガビがその背後を爆走。今度は自分では撃たず、ファーサイドに来ていたレバンドフスキにアシストして、バルサに2点目が入ります。後半も始まりは似た感じで、デンベレとレバンドフスキのシュートをクルトワが防いだ後、24分、ミリトンが自陣エリア近くでボールをロスト。この時はレバンドフスキ、ガビ、ペドリで黄金の三角形が完成し、いやあ、いくら根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)がトレードマークのマドリーとはいえ、さすがに3点もリードされてはどうしようもありませんって。 それでもロスタイムにはベンゼマがゴール前から2度撃ちで名誉の1点を挙げ、試合は1-3のスコアで終わったんですけどね。その日だけは満員御礼になったスタンドからはマドリーにブーイングも出ていたそうですが、実は彼らが決勝で負けるのは2018年のUEFAスーパーカップでお隣さんに屈した時以来なのだとか。逆にバルサはメッシがPSGに移籍して以来、タイトルを獲るのはこれが初めで、よってブスケツがキャプテンとしてトロフィーを持ち上げるのもこの日が初体験。チャビ監督にとってもバルサを率いての嬉しい初優勝となりました。 え、試合後、アンチェロッティ監督は「Se sabía que el equipo no estaba a tope y este partido nos ha mostrado algunas carencias/セ・サビア・ケ・エル・エキポ・ノー・エスタバ・ア・トペ・イ・エステ・パルティードー・ノス・ア・モストラードー・アルグーナス・カレンシアス(チームが最高の状態でないことはわかっていたし、この試合では足りない部分が出てしまった)」と言っていたけど、本調子ではなくても代理が務まる選手がおらず、モドリッチやクロースが出続けないといけないのは先々、心配じゃないかって?そうですね、アラバと一緒に負傷でお留守番になったチュアメニもすぐ戻ってくる訳じゃありませんし、ルーカス・バスケスが準決勝のバレンシア戦で足首を痛め、全治1カ月半に。バルサのガビを全然、止められない程、力の落ちているカルバハルをここしばらく、使い続けないといけないというのもありますしね。 とりわけ今週木曜午後9時のコパ16強対決では、これもベンゼマのPKでしか点が取れず、1週間前のリーガで2-1と負けたばかりのビジャレアルと再び対戦。万が一、ここで敗退しようものなら、Sextete(セクステテ/6冠優勝のこと)の夢が潰えたばかりのマドリーにとってはあまりに痛いショックになりますからね。実際、ラ・セラミカでの黒星のせいで、リーガでも首位バルサに勝ち点3差をつけられているんですが、とにかく早いところ、ベンゼマ以外の選手たちにもゴールを取り戻してもらうしかない?金曜のセルタ戦で1-1の引分けだったビジャレアルではフォイスとキケ・フェミニアの両右SBが負傷中とあって、それこそ、ビニシウスにはいいチャンスになるかもしれせんよ。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2023.01.17 20:00 Tue
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