すぐに気分は切り替えられない…/原ゆみこのマドリッド
2022.09.21 20:00 Wed
「一晩、眠れば忘れちゃうのかしら」そんな風に私が溜息をついていたのは月曜日、W杯前最後となる9月のスペイン代表初日練習をラス・ロサス(マドリッド近郊)に見学に行った時のことでした。いやあ、前日の夜はマドリーダービーが開催、アトレティコファンにとっては残念な結果に終わったんですけどね。スペイン・サッカー協会施設のグラウンドでロンド(輪の中に選手が入ってボールを奪うゲーム)が始まってみれば、コケ、マルコス・ジョレンテ、モラタとカルバハル、アセンシオら、シビタス・メトロポリターノで角を突き合わせていた両チームの選手たちが、ブスケツ、ジョルディ・アルバらバルサ勢と共に同じグループで和気藹々やっていたから。
いえまあ、コケ以外、アトレティコの2人はカルバハルと同じRMカスティージャ出身とあって、仲がいいのはわかるんですけどね。とりわけ、ダービーでアトレティコが押せ押せの反撃モードに入っていた終盤、レイニウドのドリブルを力づくで止め、両チーム揉み合うtangana(タンガナ/小競り合い)の原因に。挙句に血の気の多いエルモーソに体当たりされ、イエローカードを誘発していた当人が、「ウチにとっては良かったよ。Se ha cortado el ritmo del Atlético/セ・ア・コルタードー・エル・リトモ・デル・アトレティコ(アトレティコのリズムを切れたんだから)」と言っていたのを知った日には、間違えたフリして、コケがカルバハルを蹴っても別にバチは当たらないんじゃないかと思いながら、スタンドから眺めていた私は人道にもとる?
もちろんスポーツマンシップ溢れるサッカー選手がそんなことをする訳もなく、ええ、コケ自身も翌日、スポンサー関連イベントの席で、「Cuando venimos a la selección somos todos compañeros/クアンドー・ベニモス・ア・ラ・セレクシオン・ソモス・トードス・コンパニェロス(代表に来た時には皆がチームメートだ)。それぞれのクラブで起きたことは置いてこないといけない」と言っていたんですけどね。今はルイス・エンリケ監督のチームがネーションズリーグのラスト2節、土曜のスイス戦と来週火曜のポルトガル戦でいい結果を出して、このまま首位で来年6月のファイナルフォーに出場できるよう、力を合わせることになりますが…10月にはクラシコ(伝統の一戦)もありますし、このままマドリーとバルサのリーガ首位争いが過熱していけば、W杯前にはまた、一悶着あったりするかもしれませんね。
え、それより先週末のマドリッド勢の試合がどうだったのかの方が気になるって?そうですね、6節は土曜にラージョがサン・マメスでのアスレティック戦で口火を切ったんですが、少し遅れて近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に着いた私は、前半5分にはカメージョスのアシストでトレホが先制ゴールを挙げ、弟分チームがリードしているのに気づかず、しばらく過ごすことに。というのも「Lo fácil con el 0-1 habría sido plantar el autobús/ロ・ファシル・コン・エル・セロ・ウノ・アブリア・シードー・プランタール・エル・アウトブス(0-1でもっと簡単だったのはゴール前にバスを置いて守り倒すことだったろう)」(イラオラ監督)という作戦をラージョが取らなかったため、次から次へとアスレティックの選手がGKデミトリエフスキ目掛けて爆走していたから。
そう、14分にはダニ・ガルシアがセンターから放ったロングパスにイニャキ・ウィリアムスが抜け出し、同点ゴールを挙げると、28分にはサンセットが2点目をゲットして逆転に成功。更に33分にもジェライが自陣から出したパスに今度は弟のニコ・ウィリアムスが追いついて3点目を入れているとなれば、ラージョの守備力を疑われても仕方なかったかと。まあ実際は彼らも攻勢に出ていて、イシのシュートがゴールバーに当たったり、カメージョのゴールがオフサイドで認められなかったなんてこともあったんですけどね。兄貴分チームからレンタル修行に来ているカンテラーノ(アトレティコBの選手)のFWは後半にもオフサイドを取られ、初ゴールはならなかったんですが、34分、彼に代わって、いよいよ真打ちの登場です!
でも、この日はちょっとピッチに入るのが遅かったようです。結局、そのままアスレティックが3-2で逃げ切ったため、強制買取オプションの発動要件があるグリーズマンじゃあるまいし、どうしてイラオラ監督はファルカオを短い時間しか使わないんだろうという、疑問も沸いたりしたんですけどね。とりあえず、paron(パロン/リーガの停止期間)明けのラージョの試合は10月3日(月)のエルチェ戦とあって、コロンビア代表のお勤めに行く彼も十分、余裕を持って帰れるはず。今度はエスタディオ・バジェカスのファンの前でゴールを見せてくれることを期待しています。
そして日曜午後2時にはまず、ブタルケに足を運んだ私でしたが、2部の弟分レガネスは開幕から5試合全て無失点というブルゴスの鉄壁の守備を崩せず、スコアレスドローで終了。1勝1分け4敗となったイディアケス監督のチームは降格圏の19位と、ちょっと心配な位置にいるんですが、もっと大変なのは次節、土曜のウエスカ戦。というのも代表戦期間もリーガ2部は止まらないため、その試合には柴崎岳選手、オメロウ(ナイジェリア)、シセ(ギニア)の3人が欠けることになるから。まあ、今回は日本代表もドイツで親善試合とレアル・ソシエダの久保建英選手同様、柴崎選手も長距離移動する必要はないんですけどね。11月からのW杯中など、参加選手のいる2部のチームはホント、どうするんでしょうか。
一方、そのレガネスと並行して、エル・サダルでオサスナ戦をプレーしたもう1つの1部の弟分、ヘタフェは前節レアル・ソシエダ戦からの昇り調子を継続。いやまあ、43分にはチミ・アビラが一発レッドで退場してくれたおかげもあったんですが、45分にはマジョラルのパスをイグレシアスが撃ち込んで先制すると、後半31分にもドゥアルテのアクロバティックなvaselina(バセリーナ/ループシュート)をゴールライン上でガストン・アルバレスが頭でダメ押しして、2点差に。ロスタイムにはルイス・ミジャ(グラナダから移籍)が2枚目のイエローカードをもらい、デビュー戦で退場という不運もあったんですが、そのまま0-2で勝利したキケ・サンチェス・フローレス監督のチームはとうとう降格圏を脱出して、堂々14位につけたとなれば、これで心配の種が1つ減った?
そんなヘタフェはこの代表戦週間、ムニル(モロッコ)、ミトロビッチ(セルビア)、エネス・ウナル(トルコ)、ダミアン(ウルグアイ)が出向となり、残った選手は10月1日のバジャドリー戦を目指して調整するんですが、せっかく波に乗り始めたところで、試合が途切れるのはちょっと残念かも。ただ逆に15人が各国代表に招集され、バルデベバス(バラハス空港の近く)のグラウンドでアンチェロッティ監督が指導できるのはリハビリ中のベンゼマ、ルーカス・バスケス除き、クロース、セバージョス、ナチョ、オドリオソラ、マリアーノ、バジェホだけになるマドリー、火曜のマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場にはヒメネス、サビッチ、レマル、レギロンがまだ回復していないのもあり、ゲルビッチ、フェリペ、エルモーソ、レイニウド、サウール、コンドグビアしか、トップチームのメンバーがいなかったアトレティコなどと比べると、いつもとあまり変わりない練習ができるのは強みになりますかね。
え、それで日曜のクライマックス、夜のマドリーダービーでは、シメオネ監督が「Hoy entendíamos que tenía que jugar de inicio/オイ・エンテンディアモス・ケ・テニア・ケ・フガール・デ・イニシオ(今日はスタートからプレーすべきとわかっていた)」というグリーズマンを今季初めて、先発出場させたんだろうって?いや、そうなんですが、どうやらこれはバルサとの移籍金減額交渉にメドが立った訳ではなく、80%だった昨季の出場率も45分間以下のプレーなら、試合数としてカウントされないため、この先、細かく調整していけば、4000万ユーロ(約58億円)を払わなくて済む50%以下にするのは可能という判断だったよう。
そのおかげもあったか、相性のいいジョアン・フェリックスとのFWコンビで序盤から主導権を握ったアトレティコだったんですが、実はこれがまさにアンチェロッティ監督の思惑通りだったんですよ!ええ、「el bloque bajo nos permitió controlarlos bien/エル・ブロケ・バホ・ノス・ペルミティオ・コントロラールロス・ビエン(低い位置でプレーすることが、彼らを上手くコントロールするのに繋がった)」と後で当人も言っていたんですが、メトロポリターノのスタンドに赤青白のモザイクを作ってチームを迎えたファンたちが、フェリペのヘッドやカラスコ、コンドグビアらのシュートが外れるのに沸いていたのも束の間。17分、ハッと気づくと、チュアメニに守備ラインの頭上を越えるパスをエリア内に送られ、フェリペがジャンプしてクリアしようとしても届かず、落ちて来たボールをロドリゴがそのままシュートして、先制ゴールを決められてしまうって、一体、何なんでしょう。
うーん、やはり同じブラジル人だからですかね。ロドリゴが踊り始めたため、このダービー前にはゴール祝いで踊るのは相手のファンに対して失礼だと批判を浴びていたビニシウスも当然のごとく、それに参加。結果として、スタンドからライターや空のペットボトルなどが飛んでくることになったんですが、キックオフ前にはスタジアム周辺に集まったアトレティコファンたちが、「Vinicius eres un mono/ビニシウス・エレス・ウン・モノ(ビニシウル、お前はサルだ)」という、人種差別的なカンティコを歌っている映像も出回っていましたからね。それが尚更、当人を発奮させたか、35分、今度はビニシウスのエリア内シュートがゴールポストを直撃。跳ね返ったボールに誰より速く到達したバルベルデに撃ち込まれ、前半だけで2点も取られてしまっては、たまったもんじゃありませんって。
今季は相手が疲れるのを待って、自慢の体力が生きる後半の得点が多いマドリーにしては珍しい展開となりましたが、ハーフタイム後、17分から、シメオネ監督がモラタ、クーニャ、28分にもコレア、エルモーソと選手を入れ替えたアトレティコもそのまま何もせずに負けた訳ではありません。ええ、後半ロスタイムから始まった先日のCLポルト戦を彷彿させるように、38分にはグリーズマンの蹴ったCKにGKクルトワのパンチとミリトンのヘッドが合わさって、エルモーソの肩に落ちたボールがゴール内へ。点差が1-2となり、これで一気に場内も期待に沸き立ったんですが…。
45分、再びグリーズマンがCKを蹴ったところ、主審のファールの笛でプレーが止まり、ゴール前に1人、倒れていたのはセバージョス。それが場所取りをしているうちに突き倒したとして、エルモースが2枚目のイエローカードをもらって退場させられるとは、え?彼はポルト戦でも先制点を挙げた後、ハンドで同点PKを献上していなかったかって?はい、まったくその通りで、彼のプラマイゼロぶりにはもう、私も何と言っていいかわからないんですが、ポルト戦との違いは土壇場のゴールがアトレティコに生まれなかったこと。
結局、そのまま1-2で負けてしまったんですが、まあ確かに昨季同様、今季もヒメネスとサビッチの負傷が重なり、「no es fácil coger ritmo y la forma para defender bien/ノー・エス・ファシル・コヘール・リトモ・イ・ラ・フォルマ・パラ・デフェンデール・ビエン(上手く守るリズムと形を掴むのが難しい)」(オブラク)というのは本当ですからね。翻ってみれば、この日こそ、4人DFでスタートしたとて、3CB制を使うことの多いシメオネ監督のチームだというのに、CBの補強を怠ったフロントの責任とも言えますが、これで首位マドリーとの差が勝ち点5から、8に拡大してしまったのは本当に痛い。
シメオネ監督こそ、「Es un gran trabajo del míster del Madrid/エス・ウン・グラン・トラバッホ・デル・ミステル・デル・マドリッド(マドリーの監督の偉大な仕事だ)。彼らは持っている才能に増して、凄い速さでカウンターアタックをかけてくる」と皮肉っぽく、相手を称えていましたけどね。コンフェレンスリーグ(UEFA第3の大会)出場圏の7位にいる現状であれば、9月から目標がリーガ4位以内になってしまうのも致し方ない?ちなみに代表戦後のアトレティコは10月1日(土)にサンチェス・ピスファンでのセビージャ戦、マドリーは日曜にサンティアゴ・ベルナベウでのオサスナ戦となりますが、その後は再び、それぞれクラブ・ブルージュ、シャフタールとの2週連続ミッドウィーク開催のCL3、4節が到来することに。
そちらもお隣さんは2連勝して余裕、アトレティコは1勝1敗で、意表を突いて現在、単独首位に立っている相手と戦わないといけないという少々、苦しい状況であったりするんですが、とにかく今は、各国代表に絶賛参加中の選手たちがケガをせずに帰って来てくれるのを待つばかり。ヨーロッパ内での親善試合が多い南米勢とは異なり、ヨーロッパの代表チームはネーションズリーグの公式戦となるだけに、とりわけ用心してほしいですよね。
いえまあ、コケ以外、アトレティコの2人はカルバハルと同じRMカスティージャ出身とあって、仲がいいのはわかるんですけどね。とりわけ、ダービーでアトレティコが押せ押せの反撃モードに入っていた終盤、レイニウドのドリブルを力づくで止め、両チーム揉み合うtangana(タンガナ/小競り合い)の原因に。挙句に血の気の多いエルモーソに体当たりされ、イエローカードを誘発していた当人が、「ウチにとっては良かったよ。Se ha cortado el ritmo del Atlético/セ・ア・コルタードー・エル・リトモ・デル・アトレティコ(アトレティコのリズムを切れたんだから)」と言っていたのを知った日には、間違えたフリして、コケがカルバハルを蹴っても別にバチは当たらないんじゃないかと思いながら、スタンドから眺めていた私は人道にもとる?
もちろんスポーツマンシップ溢れるサッカー選手がそんなことをする訳もなく、ええ、コケ自身も翌日、スポンサー関連イベントの席で、「Cuando venimos a la selección somos todos compañeros/クアンドー・ベニモス・ア・ラ・セレクシオン・ソモス・トードス・コンパニェロス(代表に来た時には皆がチームメートだ)。それぞれのクラブで起きたことは置いてこないといけない」と言っていたんですけどね。今はルイス・エンリケ監督のチームがネーションズリーグのラスト2節、土曜のスイス戦と来週火曜のポルトガル戦でいい結果を出して、このまま首位で来年6月のファイナルフォーに出場できるよう、力を合わせることになりますが…10月にはクラシコ(伝統の一戦)もありますし、このままマドリーとバルサのリーガ首位争いが過熱していけば、W杯前にはまた、一悶着あったりするかもしれませんね。
そう、14分にはダニ・ガルシアがセンターから放ったロングパスにイニャキ・ウィリアムスが抜け出し、同点ゴールを挙げると、28分にはサンセットが2点目をゲットして逆転に成功。更に33分にもジェライが自陣から出したパスに今度は弟のニコ・ウィリアムスが追いついて3点目を入れているとなれば、ラージョの守備力を疑われても仕方なかったかと。まあ実際は彼らも攻勢に出ていて、イシのシュートがゴールバーに当たったり、カメージョのゴールがオフサイドで認められなかったなんてこともあったんですけどね。兄貴分チームからレンタル修行に来ているカンテラーノ(アトレティコBの選手)のFWは後半にもオフサイドを取られ、初ゴールはならなかったんですが、34分、彼に代わって、いよいよ真打ちの登場です!
だってえ、ピッチに入ってわずか1分、エリア内でFKが落ちてくるのを待っていたファルカオはイニゴ・マルティネスの後ろから足を出し、1点差に迫るgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めているんですよ。その瞬間、鬼神の如き彼が2ゴールを挙げ、3-0でアスレティックを破って、アトレティコが戴冠した2012年EL決勝の悪夢を思い出したアスレティックファンも決して少なくはなかったかと。となれば、ムニアインや先日、PSGから古巣へ帰還したアンデル・エレラ、奇しくも当時は現役右SBでキャプテンだったイラオラ監督ら、ブカレストのスタディオヌル・ナツィオナルのピッチに立っていたメンバーにとってはデジャブどころじゃない?
でも、この日はちょっとピッチに入るのが遅かったようです。結局、そのままアスレティックが3-2で逃げ切ったため、強制買取オプションの発動要件があるグリーズマンじゃあるまいし、どうしてイラオラ監督はファルカオを短い時間しか使わないんだろうという、疑問も沸いたりしたんですけどね。とりあえず、paron(パロン/リーガの停止期間)明けのラージョの試合は10月3日(月)のエルチェ戦とあって、コロンビア代表のお勤めに行く彼も十分、余裕を持って帰れるはず。今度はエスタディオ・バジェカスのファンの前でゴールを見せてくれることを期待しています。
そして日曜午後2時にはまず、ブタルケに足を運んだ私でしたが、2部の弟分レガネスは開幕から5試合全て無失点というブルゴスの鉄壁の守備を崩せず、スコアレスドローで終了。1勝1分け4敗となったイディアケス監督のチームは降格圏の19位と、ちょっと心配な位置にいるんですが、もっと大変なのは次節、土曜のウエスカ戦。というのも代表戦期間もリーガ2部は止まらないため、その試合には柴崎岳選手、オメロウ(ナイジェリア)、シセ(ギニア)の3人が欠けることになるから。まあ、今回は日本代表もドイツで親善試合とレアル・ソシエダの久保建英選手同様、柴崎選手も長距離移動する必要はないんですけどね。11月からのW杯中など、参加選手のいる2部のチームはホント、どうするんでしょうか。
一方、そのレガネスと並行して、エル・サダルでオサスナ戦をプレーしたもう1つの1部の弟分、ヘタフェは前節レアル・ソシエダ戦からの昇り調子を継続。いやまあ、43分にはチミ・アビラが一発レッドで退場してくれたおかげもあったんですが、45分にはマジョラルのパスをイグレシアスが撃ち込んで先制すると、後半31分にもドゥアルテのアクロバティックなvaselina(バセリーナ/ループシュート)をゴールライン上でガストン・アルバレスが頭でダメ押しして、2点差に。ロスタイムにはルイス・ミジャ(グラナダから移籍)が2枚目のイエローカードをもらい、デビュー戦で退場という不運もあったんですが、そのまま0-2で勝利したキケ・サンチェス・フローレス監督のチームはとうとう降格圏を脱出して、堂々14位につけたとなれば、これで心配の種が1つ減った?
そんなヘタフェはこの代表戦週間、ムニル(モロッコ)、ミトロビッチ(セルビア)、エネス・ウナル(トルコ)、ダミアン(ウルグアイ)が出向となり、残った選手は10月1日のバジャドリー戦を目指して調整するんですが、せっかく波に乗り始めたところで、試合が途切れるのはちょっと残念かも。ただ逆に15人が各国代表に招集され、バルデベバス(バラハス空港の近く)のグラウンドでアンチェロッティ監督が指導できるのはリハビリ中のベンゼマ、ルーカス・バスケス除き、クロース、セバージョス、ナチョ、オドリオソラ、マリアーノ、バジェホだけになるマドリー、火曜のマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場にはヒメネス、サビッチ、レマル、レギロンがまだ回復していないのもあり、ゲルビッチ、フェリペ、エルモーソ、レイニウド、サウール、コンドグビアしか、トップチームのメンバーがいなかったアトレティコなどと比べると、いつもとあまり変わりない練習ができるのは強みになりますかね。
え、それで日曜のクライマックス、夜のマドリーダービーでは、シメオネ監督が「Hoy entendíamos que tenía que jugar de inicio/オイ・エンテンディアモス・ケ・テニア・ケ・フガール・デ・イニシオ(今日はスタートからプレーすべきとわかっていた)」というグリーズマンを今季初めて、先発出場させたんだろうって?いや、そうなんですが、どうやらこれはバルサとの移籍金減額交渉にメドが立った訳ではなく、80%だった昨季の出場率も45分間以下のプレーなら、試合数としてカウントされないため、この先、細かく調整していけば、4000万ユーロ(約58億円)を払わなくて済む50%以下にするのは可能という判断だったよう。
そのおかげもあったか、相性のいいジョアン・フェリックスとのFWコンビで序盤から主導権を握ったアトレティコだったんですが、実はこれがまさにアンチェロッティ監督の思惑通りだったんですよ!ええ、「el bloque bajo nos permitió controlarlos bien/エル・ブロケ・バホ・ノス・ペルミティオ・コントロラールロス・ビエン(低い位置でプレーすることが、彼らを上手くコントロールするのに繋がった)」と後で当人も言っていたんですが、メトロポリターノのスタンドに赤青白のモザイクを作ってチームを迎えたファンたちが、フェリペのヘッドやカラスコ、コンドグビアらのシュートが外れるのに沸いていたのも束の間。17分、ハッと気づくと、チュアメニに守備ラインの頭上を越えるパスをエリア内に送られ、フェリペがジャンプしてクリアしようとしても届かず、落ちて来たボールをロドリゴがそのままシュートして、先制ゴールを決められてしまうって、一体、何なんでしょう。
うーん、やはり同じブラジル人だからですかね。ロドリゴが踊り始めたため、このダービー前にはゴール祝いで踊るのは相手のファンに対して失礼だと批判を浴びていたビニシウスも当然のごとく、それに参加。結果として、スタンドからライターや空のペットボトルなどが飛んでくることになったんですが、キックオフ前にはスタジアム周辺に集まったアトレティコファンたちが、「Vinicius eres un mono/ビニシウス・エレス・ウン・モノ(ビニシウル、お前はサルだ)」という、人種差別的なカンティコを歌っている映像も出回っていましたからね。それが尚更、当人を発奮させたか、35分、今度はビニシウスのエリア内シュートがゴールポストを直撃。跳ね返ったボールに誰より速く到達したバルベルデに撃ち込まれ、前半だけで2点も取られてしまっては、たまったもんじゃありませんって。
今季は相手が疲れるのを待って、自慢の体力が生きる後半の得点が多いマドリーにしては珍しい展開となりましたが、ハーフタイム後、17分から、シメオネ監督がモラタ、クーニャ、28分にもコレア、エルモーソと選手を入れ替えたアトレティコもそのまま何もせずに負けた訳ではありません。ええ、後半ロスタイムから始まった先日のCLポルト戦を彷彿させるように、38分にはグリーズマンの蹴ったCKにGKクルトワのパンチとミリトンのヘッドが合わさって、エルモーソの肩に落ちたボールがゴール内へ。点差が1-2となり、これで一気に場内も期待に沸き立ったんですが…。
45分、再びグリーズマンがCKを蹴ったところ、主審のファールの笛でプレーが止まり、ゴール前に1人、倒れていたのはセバージョス。それが場所取りをしているうちに突き倒したとして、エルモースが2枚目のイエローカードをもらって退場させられるとは、え?彼はポルト戦でも先制点を挙げた後、ハンドで同点PKを献上していなかったかって?はい、まったくその通りで、彼のプラマイゼロぶりにはもう、私も何と言っていいかわからないんですが、ポルト戦との違いは土壇場のゴールがアトレティコに生まれなかったこと。
結局、そのまま1-2で負けてしまったんですが、まあ確かに昨季同様、今季もヒメネスとサビッチの負傷が重なり、「no es fácil coger ritmo y la forma para defender bien/ノー・エス・ファシル・コヘール・リトモ・イ・ラ・フォルマ・パラ・デフェンデール・ビエン(上手く守るリズムと形を掴むのが難しい)」(オブラク)というのは本当ですからね。翻ってみれば、この日こそ、4人DFでスタートしたとて、3CB制を使うことの多いシメオネ監督のチームだというのに、CBの補強を怠ったフロントの責任とも言えますが、これで首位マドリーとの差が勝ち点5から、8に拡大してしまったのは本当に痛い。
シメオネ監督こそ、「Es un gran trabajo del míster del Madrid/エス・ウン・グラン・トラバッホ・デル・ミステル・デル・マドリッド(マドリーの監督の偉大な仕事だ)。彼らは持っている才能に増して、凄い速さでカウンターアタックをかけてくる」と皮肉っぽく、相手を称えていましたけどね。コンフェレンスリーグ(UEFA第3の大会)出場圏の7位にいる現状であれば、9月から目標がリーガ4位以内になってしまうのも致し方ない?ちなみに代表戦後のアトレティコは10月1日(土)にサンチェス・ピスファンでのセビージャ戦、マドリーは日曜にサンティアゴ・ベルナベウでのオサスナ戦となりますが、その後は再び、それぞれクラブ・ブルージュ、シャフタールとの2週連続ミッドウィーク開催のCL3、4節が到来することに。
そちらもお隣さんは2連勝して余裕、アトレティコは1勝1敗で、意表を突いて現在、単独首位に立っている相手と戦わないといけないという少々、苦しい状況であったりするんですが、とにかく今は、各国代表に絶賛参加中の選手たちがケガをせずに帰って来てくれるのを待つばかり。ヨーロッパ内での親善試合が多い南米勢とは異なり、ヨーロッパの代表チームはネーションズリーグの公式戦となるだけに、とりわけ用心してほしいですよね。
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