月が替われば、バケーションも終わる…/原ゆみこのマドリッド

2022.06.30 18:00 Thu
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「ちょっとズレたところで結果、良かったのかなあ」そんな風に私が自分を納得させていたのは火曜日、プエルタ・デ・ソルの7階建てビルにオープンするというサッカー・ミュージアム、レジェンズ-ホーム・オブ・フットボールのプレゼンでもらったパンフレットで、その住所を見つけた時のことでした。いやあ、5月の末、Decimocuarta(デシモクアルタ/14回目のCL優勝のこと)を達成したレアル・マドリーがマドリッド州庁舎を表敬訪問した際もプエルタ・デル・ソルは全面改装工事中。周辺の道全てが広場に入る直前で通行止めになっていたため、バルコニーから挨拶する選手たちを一目見ようと駆けつけたファンも遠巻きに眺めるしかなかったんですけどね。

その状態は数日前、年々、前倒しになってきているサマーセールがとうとう今年は6月後半からスタート。暇に乗じてバーゲン巡りをしていた私が近くを通った時も同じだったんですが、ちょっと調べてみたところ、こちらの工事が終わるのは来年の春なのだとか。となると、12月オープン予定のサッカー・ミュージアムも当面、裏口から入ることになるのかなんて考えていたんですが、大丈夫。

というのもマラドーナやメッシ、チャビ監督がスペインの優勝した2010年W杯で着たユニやアトレティコが1974年にインターコンティネンタルカップ(ヨーロッパと南米の王者が対決するトヨタカップ、現クラブW杯の前身)を制した時のユニなど、5000点余りのサッカー史に残る品々を展示。体験型のゲームセクションやレストランなども併設されるという複合アミューズメント施設の住所は、プエルタ・デル・ソルから東側に向かうCarrera de San Jeronimo(カレラ・デ・サン・ヘロニモ)を50メートル程、行った辺りだったから。

広場に入れなくても問題ありませんが、それならプエルタ・デ・ソルすぐ側にオープンとか言ってくれた方が良かったのにと思ったのは私だけ?他にも少々、引っかかったことがあって、そのプレゼンに出席したマドリッド市長のアルメイダ氏がこのミュージアムを新しい観光スポットと称え、いえ、まあ、アトレティコファンを公言している当人としては、苦肉の策ではあったんでしょうけどね。

「Entre todos los equipos de fútbol tenemos 14 Copas de Europa en esta ciudad/エントレ・トードス・ロス・エキポス・デ・フトボル・テネモス・カトルセ・コパス・デ・エウロッパ・エン・エスタ・シュダッド(全てのサッカーチームの間でこの街は14の欧州カップを獲得している)。そのことだけでもマドリッドがサッカー界で重要な位置を占めていると言えるが」とスピーチを始めたところ、隣に座っていた、自身も2002年のNovena(ノベナ/9回目のCL優勝のこと)に貢献しているUEFA大使のフィーゴが笑いを抑えられず。それも当然、燦然と輝く14個のトロフィーがズラリと展示されているのは、サンティアゴ・ベルナベウにあるお隣さんのミュージアムなんですから、仕方ありませんって。

ただ現在、そのレアル・マドリーはスタジアムが全面改修工事の夏季集中フェーズに入ったため、ミュージアムも閉鎖中で、ピッチどころか、ロッカールームも消滅。ツアー自体やっていないんですけどね。おそらく昨季同様、リーガに頼んで、9月まで遅らせたホーム開幕戦、4節のベティス戦の頃にはまた復活しているんじゃないかと思いますが、となると、この夏の間、マドリッドを訪れるファンが見学できるのはワンダ・メトロポリターノのアトレティコ・ミュージアムだけ。丁度、6月28日から7月17日まではスタジアムツアーでピッチに入れる経路が延長され、かなり中まで行って写真を撮れるため、私も機会があれば、2節のホーム開幕試合ビジャレアル戦前に寄ってみたいものですが…。

え、ということはもう、2022-23シーズンのリーガ日程が決まったのかって?その通りで、先週の木曜にラス・ロサス(マドリッド近郊)にあるサッカー協会本部で抽選があったんですが、8月14日の週末の1節のマドリッド勢は何と、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでヘタフェとアトレティコの兄弟分ダービーからスタートすることに。その一方でもう1つの弟分ラージョはカンプ・ノウでバルサ戦、マドリーは昇格組アルメリアのホーム、フエゴス・メディテラネオスを8年ぶりに訪問します。

ちなみにチェックしておきたい日程としては、まず9月18日の週末にあるワンダでの兄貴分ダービーで、ベルナベウ開催は2月26日。クラシコ(伝統の一戦、バルサ戦のこと)は逆に10月16日がベルナベウ、3月11日がカンプ・ノウとなっているんですが、何しろ今季は11月21日から12月18日の予定でW杯が割り込んできますからね。リーガも11月9日の14節を最後にparon(パロン/一時休止)に入り、12月31日の週末にようやく再開。

年明けは1部チームが参戦するコパ・デル・レイ32強対決が始まり、1月11日から15日にはサウジアラビアでマドリー(昨季リーガ王者)、バルサ(同準優勝)、ベティス(昨季コパ王者)、バレンシア(同準優勝)がファイナルフォーを戦うスペイン・スーパーカップもありますからね。W杯で準決勝、決勝まで行くチームに招集される選手たちはずっと忙しい反面、早期敗退、母国代表が出場しない、もしくは代表とは無縁の選手たちとはかなり、体力的に差が出そうですが、リーガ最終節が6月4日というのも相当な長丁場かと。

とりあえず、今年の分だけ考えるなら、8月25日のCL、ELグループリーグ抽選を待って、9月6、7日から、11月1、2日までと、例年より短期開催されるヨーロッパの大会の日程も決まったところで、サッカー観戦を兼ねたスペイン旅行を計画してみるのも一興かと思いますけどね。いい加減、その頃までには帰国便搭乗前のPCR検査陰性証明も必要なくなっていて欲しいんですが…ランチメニューの平均的な値段、12ユーロが今や1800円程にもなってしまう、最近の円安傾向も日本のファンには痛いところですよね。

まあ、それはともかく、気がつくと日にちが経つのは早くて、世界各国のビーチで海パン姿を披露していた選手たちのバケーションも残りは僅か。来週にはもう、リーガでも多くのチームがプレシーズン練習を開始するんですが、マドリッド勢で一番乗りとなるは月曜スタートのヘタフェ。といっても2日程、恒例のメディカルチェックや体力テストを地元でやった後、すぐにカンポアモール(地中海沿岸にあるゴルフリゾート)へ行ってしまうんですが、あちらでは12日にプレストン(イングランド2部)、21日にはカルタヘナ、24日にはレバンテとリーガ2部チームとの親善試合がすでにセッティング済みです。

よって、先週、レアル・ソシエダからのレンタル移籍が決まったポルトゥのプレゼンなども週明け頃にはあるんじゃないかと思いますが、彼を入れてもまだ、キケ・サンチェス・フローレス監督のチームにはFWが足りなくてねえ。昨季終盤に肩を痛め、同時に恥骨炎の手術もしたマタは回復しているはずですが、ボルハ・マジョラルとサンドロはそれぞれ、マドリー、ウエスカからのレンタル移籍が終了。延長交渉はしているものの、とりわけ前者など、マリアーノ、ヨビッチがベンゼマの控えとしての務めを果たせなかったことから、今季はマドリーを離れる可能性が高いため、アンチェロッティ監督にその後釜として、期待されているのだとか。

結局、アンヘル・トーレス会長が代理人からオファーがあったと暴露し、一時、ヘタフェファンを沸かせたベイルもMSLのLAギャラクシー入りが決まりましたしね。あとはGKダビド・ソリアの控えだったルーベン・ヤネスがマラガ(2部)に行く代わりに降格したアラベスからパチェコが来るとか、同レバンテからデ・フルートス、同グラナダからルイス・ミジャを獲りたいなんて話も挙がってはいるんですが、この辺は果たしてどうなることやら、先を見てのお楽しみといったところでしょうか。

そして第2陣のスタート組は来週金曜、ラージョとマドリーになるんですが、弟分の方は7月19日にサレルニターナ(セリエA)と、31日にマンチェスター・ユナイテッドと親善試合があることがわかっている程度。ヘタフェ同様、こちらもファルカオこそ、残ってくれるものの、セルジ・グアルディオラ(バジャドリーからのレンタルが終了)、シラ(同アラベス)が欠ける前線の補強が待たれているところです。一応、今でもカバーニ(マンチェスター・ユナイテッドと契約が終了)やノリト(同セルタ)など、興味深い名前は出てはいますけどね。やはり例年通り、8月末日の市場クローズまで、新チームのメンバーが揃うことはなさそうな。

一方、昨季2冠に輝いたマドリーはバルデベバス(バラハス空港の近く)でプレシーズン練習を始めるんですが、実はこれ、6月の各国代表戦に参加していない選手の集合日で、ネーションズリーグが最後に終わったフランスのベンゼマなど、14日まで、戻って来ないのだとか。要は五月雨式の合流で、いえ、23日にバルサ戦(ラスベガス)、26日にクラブ・アメリカ戦(サンフランシスコ)、30日にユベントス戦(ロサンジェルス)が組まれているアメリカツアーまでには全員、揃うんですけどね。彼らの場合、リーガ開幕前の8月10日にはUEFAスーパーカップ、ヘルシンキでのフランクフルト戦と公式戦が控えているため、あまりノンビリはしていられない?

そんなマドリーは補強も早くて、すでにチュアメニ(モナコから移籍)、リュディガー(同チェルシー)は入団プレゼン済み。この夏はこれで打ち止めのようで、今ではスポーツ紙で見かける候補の名前もブラジルで活躍する将来有望な18才とか、15才とか、ちょっと憶測が過ぎる世界に入ってしまった感があるんですが、やはりファンが気になるのはあと1年しか契約が残っておらず、この夏、河岸を変えるかもしれない選手たちでしょうか。

いえ、32才のクロースは今季のパフォーマンスを見てからと、自ら、契約延長に待ったをかけているようなんですけどね。まだ20代半ばのアセンシオとセバージョスなど、クラブ側から延長オファーを今のところ、出す予定はないと言われてしまったのだとか。うーん、彼らにはスペイン代表で冬のW杯に出るという夢もありますし、アンチェロッティ監督からもっと出番をもらえない限り、移籍も十分ありうるかと。

え、先週木曜にはとうとう、アメリカの投資会社に所有権を売却。新経営陣、イディアケス新監督を迎えてスタートする2部のレガネスでさえ、来週からプレシーズン開始というのに、アトレティコだけが1週間遅れ、11日からというのはちょっと怠けていないかって?いやあ、その代わりに今回は代表に行った選手も揃って、全員でロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)での地獄のサマーキャンプを始められるんですが、どうも補強の動きが鈍いなと思っていたところ、何と月曜になって、とんでもない新事実が発覚。

というのもリーガのサラリーキャップに引っかかり、昨季の会計年度が終わる6月末までに、「Son 40 millones lo que tenemos que vender/ソン・クアレンタ・ミジョネス・ロ・ケ・テネモス・ケ・ベンデル(ウチは4000万ユーロ/約57億円分、売却しないといけない)」とセレソ会長が認めたせいで、そうでない限り、新しい選手を獲ることはできないのだとか。いえ、まだサインはしていないものの、ドルトムントとの契約が満了するアクセル・ビッツェルの入団だけはほとんど決まっているようなんですけどね。

どうやら昨季、3500万ユーロ(約50億円)の買取オプション付きでレンタル移籍していたモラタ(ユベントス)、サウール(チェルシー)のどちらも行使してもらえず、戻って来るのも影響しているみたいで、となると、ここ数日はエルモーソ、ロディ、レマルなど、放出の噂の出ている選手の進退について注目するばかり。といっても彼らでは全員売れても4000万に届くかどうか、一挙挽回するにはそれこそ、ジョアン・フェリックスやカラスコといったクラスの選手を出さないといけないんじゃないかと、ちょっと心配になるんですが、さて。

ちなみに昨季の終盤をケガで欠場、ポルトガル代表戦にも行かず、マイアミで養生していたジョアンは最近のインタビューで、「Una salida del Atlético no está sobre la mesa/ウナ・サリーダ・デル・アトレティコ・ノー・エスタ・ソブレ・ラ・メサ(アトレティコから出ることは頭にないよ)」と発言。ファンをホッとさせていたんですが、先のことはわからないですからね。何はともあれ、シメオネ監督のトッププライオリティである、右SBの補強だけは早いところ、してくれることを祈っています。

【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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怒涛の4試合観戦が終わった…/原ゆみこのマドリッド

「週末がこの気温だったら良かったのに」そんな風に私が嘆いていたのは月曜日、前代未聞の連日梯子観戦をした後、まだ疲れが抜けていないのに気がついた時のことでした。いやあ、9月になって一旦は涼しくなったマドリッドだったものの、何故か先週末はいきなり夏日がカムバック。しかも両日、最初の試合は午後2時という、お日様が一番高い時間に設定されていたのもラ・リーガの配慮が欠けていたと思うんですけどね。 とはいえ、結果から言うと、1部のマドリッド勢4チーム全ての勝利を目撃という、これも滅多にない大当たりだったんですが、惜しむらくは2部の弟分、柴崎岳選手が先発したレガネスだけが金曜試合でラス・パルマスに0-1で負け、また降格圏の19位に落ちてしまったことでしょうか。まあ、こちらは来週からの各国代表戦週間中も試合がありますからね。残念ながら、橋本拳人選手のプレーするウエスカのホームを訪れる9月24日の試合では、両人とも代表に招集されて、日本人ダービーを見ることはできないかもしれませんが、今季2部で唯一のマドリッド勢となったレガネスには少しずつでもいいので、調子を上げていってもらいたいところです。 え、それで兄貴分たちはgleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)勝利、弟分たちは僅差で逃げ切るという、はっきり結果の別れた1部勢の試合はどんな様子だったのかって?いやあ、土曜のエスタディオ・バジェカスはまだ、午前中のさわやかな風が吹いていたため、日影になる正面スタンド2階席は程々に快適だったんですが、キックオフ直後のエネルギー100%の状態をラージョは最大限に利用。ええ、4分にはトレホのFKをイシが流し込み、早くもバレンシアから先制点を奪ったんですが、その10分後のトレホとアルバロ・ガルシアのダブルチャンスはどちらもGKママダシビリにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されて追加点は入りません。 ちなみにこのジョージア人GKは先日のアトレティコ戦でも手がつけられない状態で、グリーズマンのシュートがカルロス・ソレル(現PSG)に当たり、軌道が変わってくれなければ、兄貴分も0-0で終わりかねなかったんですが、実はこの日も味方が敵の中にいたんです!ええ、1-0のままだった後半6分、今度はイシがCKを蹴ったところ、トレホの頭を経たボールを今季、バルサからレンタル修行に来ている20才のニコが自軍ゴールに向けてクリアしてしまったから、ビックリしたの何のって。 これで2点差になったため、23分にカメージョに代わって入ったファルカオも気が楽だったかもしれませんが、すでに12試合ぶりのホーム白星を祝う気満々だったスタンドのファンがドキドキモードに入ったのはロスタイム3分のこと。FKからディアカビのヘッドが決まり、バレンシアに1点差に迫られたからですが、「El problema es que no lo hemos cerrado/エル・プロブレマ・エス・ケ・ノー・ロ・エモス・セラードー(ウチが試合に決着をつけられなかったのが問題だ)。おかげで審判をせかして終わることになった」とやっとこ2-1で勝利した後、イラオラ監督も言っていたように、どこかチームには決定力が欠けて見えるせいですかね。 前日にはRdT(ラウール・デ・トマス)のエスパニョールからの移籍をまとめに代理人事務所に出向いたプレサ会長が障害沙汰に巻き込まれたり、いえ、その昨季サラ(スペイン人の得点王)をイアゴ・アスパスと共に受賞したFWは1200万ユーロ(約18億円)の移籍金で2017-19年の2シーズン、在籍した古巣に復帰することが決まったようなんですけどね。とはいえ、夏の市場はもうクローズしているため、1月まで、試合には出られないって、ああ、そうそう。最初はラージョ入りが噂されていて、結局、ウォルバーハンプトンに行ってしまったジエゴ・コスタも2017年にチェルシーからアトレティコに戻ったシーズン、クラブがUEFA処分で夏に新規選手登録ができず、そんな感じでしたっけ。 よって、半シーズンをムダにするのはあまりいい印象がなかったりするんですが、とりあえず、これで弟分仲間のヘタフェを前節、5-1とボコボコにしたバレンシアへのリベンジをラージョは達成。次は土曜、気分も新たにサン・マメスでのアスレティック戦に挑むことになりますが、久々に勝ったにしては、この日は試合の後のフォンド・スール(GK裏南側スタンド)のブカネーロス(ラージョの過激なファングループ)のカンティコは短め。やはり暑さのせいもあったのか、選手たちもファンも早く涼しいところに行って、休みたかったんですかね。 そして土曜は夜9時のアトレティコvsセルタ戦までちょっと時間があったため、一旦、家に戻ってから、また出動した私でしたが、一番、気が重かったはキックオフ前だったでしょうか。というのも前節レアル・ソシエダ戦で太ももを打撲しながら、水曜のCLポルト戦に頑張って間に合わせたGKオブラクがベンチにすら入っていなかったからで、開始3分、控えのゲルビッチがウーゴ・マジョの至近距離ヘッドを弾いてくれなかったら、シビタス・メトロポリターノに駆けつけたファンたちの不安もどこまで増大していたか。 でも大丈夫、9分にはこの日、CL中日ということで、シメオネ監督がローテーションでスタメン起用した選手たちが発奮。ええ、レイニウドのロングサイドチェンジをナウエルが受け、デ・パウルに繋ぐとそのラストパスをコレアが決めて、早くも先制点をゲットしているんですから、アルゼンチン代表トリオの連携力を侮ってはいけない?まあ常に成功する訳でないのが玉に瑕ですが、1点リードで折り返したアトレティコはレマルとコケに交代して後半をスタート。それが良かったか、2度もセルタにチャンスを与えるパスミスをしたエルモーソから、キャプテンマークを受け継いだ彼が5分にはカラスコのパスをいい場所に送り、デ・パウルがエリア前からシュートを決めて、あっさり2点目が入ったとなれば、ポルト戦の90分間、あれだけ退屈させられたスタンドのファンたちがどんなに喜んだことか。 チームもリードが広がったおかげで肩の力が抜けたか、「見えるような形で選手たちを助けてあげないといけない。Este equipo tiene un montón de jugadores que juegan muy bien/エステ・エキポ・ティエネ・ウン・モントン・デ・フガドーレス・ケ・フエガン・ムイ・ビエン(このチームにはとてもいいプレーをする選手が沢山いる)」というシメオネ監督の言葉を裏付けするように、18分には時短勤務のグリーズマン、その日はベンチスタートだったジョアン・フェリックスも加わって、アトレティコは流れるようなサッカーを披露。21分など、コケが自陣から出したスルーパスを追って、ドリブルで敵エリアに入ったカラスコが見事に3点目を挙げ、大喝采を浴びていたんですが、それで油断してはダメですよね。 そう、26分にはアスパスのアシストでベイガに1点を返されてしまったんですが、最後はケガから戻って来たクーニャが猛アピール。こちらもドリブルで敵ゴールまで迫り、そのシュートがウナイ・ニュネスに当たって、オウンゴールで4点目が入ったんですが、まったく。もちろん相手のレベルもありますが、こんなにゴール力があるなら、後半ロスタイム、最後のプレーでようやく勝利を掴んだポルト戦など、最初からもっとガンガン行っていれば、あんなに苦しむことはなかったのにと思うのは私だけ(最終結果4-1)? そんなアトレティコは月曜にはケルンに移動し、火曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのCL2節、レバークーゼン戦の前日練習をバイ・アレーナで行ったんですが、帯同はしたものの、オブラクはチーム練習には加わっていないよう。シメオネ監督によると、試合当日の状態を見て、出場するかどうか決めるそうですが、それ以外にも負傷で出られない選手がサビッチ、ヒメネス、レマル、レギロンといますからね。ちなみに相手はこのシーズン序盤、1勝1分4敗で17位と調子が上がっておらず、CL1節でもクラブ・ブルージュに1-0で敗戦。今季は11月のW杯前に終わる短期決戦のグループリーグだけに、人の不幸に付け込むのは何ですが、アトレティコも早めに勝ち点を貯められるといいのですが。 そして翌日曜も午後2時、強烈な日差しの中、サンティアゴ・ベルナベウに向かった私でしたが、世の中には気の毒なチームもあって、ビジターのマジョルカは前節に引分けたジローナ戦、今週末のアルメリア戦と3試合連続、同じ時刻にキックオフなのだとか。おまけにオリンピック・リヨンからレンタルしたてのFWカデウェレがデビュー前に全治2カ月のケガをするという災難にも見舞われていたんですが、恐らくアギーレ監督も勝負は体力の持つ前半とわかっていたんでしょうね。ずっと自陣エリア付近に固まって、レアル・マドリーの攻撃を必死で防いでいた彼らが初めて敵陣でチャンスを作った38分、何とイ・ガンインのFKをムリキがヘッドで押し込んで、先制点を挙げてしまったから、さあ大変! とはいえ、そこはさすが天下のマドリーです。ベンゼマの負傷でこの日、falso nueve(ファルソ・ヌエベ/シャドーCF)として入ったのはアザールでしたが、前半ロスタイムに自慢の脚力を生かして、バルベルデが同点ゴールを決めてくれます。ええ、自陣からドリブルを始めて、マジョルカのエリア前からの一撃が見事なgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)となったんですが、後半14分にはアザール、メンディに代わり、モドリッチ、ナチョを入れたマドリーは一切、躊躇することはなし。炎天下での試合続きで前半のように守れなくなった相手を前に、27分にはロドリゴのパスからビニシウスが勝ち越し点、44分にはブラジル代表仲間のロドリゴも続くと、48分にはFKからリュディガーもマドリー初ゴールを挙げて、最後は4-1で今季開幕から7連勝を達成って…ちょっと強すぎますよね。 え、ベンゼマの代理として、アザールはあまり頼りにならかったものの、途中からその役目を引き継いだロドリゴがノリノリだし、水曜午後9時にCL2節を控えるマドリーには何の心配もないんじゃないかって?そうですね、このマジョルカ戦にネガティブなことがあったとすればただ1つ、ルーカス・バスケスの負傷交代と、それが3回目の交代だったため、プレーせずに終わってしまったアセンシオが怒っていたことですが、まあ、こればっかりはねえ。 今季のアンチェロッティ監督はローテーションをよくしますし、次は「No se puede jugar a esta hora, es un crimen/ノー・セ・プエデ・フガール・ア・エスタ・オラ、エス・ウン・クリメン(この時間に試合はできない。犯罪のようなものだ)」(アギーレ監督)という環境でプレーした後、中2日の試合。となれば、テデスコ監督からマルコ・ローズ監督に代わって、週末のドルトムント戦勝利で息を吹き返したライプツイヒを迎える際には、アセンシオにも出番が回ってくる?何より昨季は奇跡の連続だったCLがまたサンティアゴ・ベルナベウで見られるのはきっと、ファンも楽しみにしているんじゃないでしょうか。 そして記者会見を聞いてから、徒歩10分程のヌエボス・ミニステリオス駅に向かい、セルカニアス(国鉄近郊路線)で25分。ラス・マルガリータ駅下車徒歩15分のコリセウム・アルフォンソ・ペレスには、余裕でキックオフ午後6時30分前に着いた私でしたが、この時間でもまだ全然、気温が下がらないんですよ。おまけに正面スタンド以外、西日が煌々と射していたせいで、レアル・ソシエダ戦が始まってすぐには熱中症になった観客を手当てするため、試合が一時中断する始末。まあ、前日、ヌエボ・ミランディージャでバルサがカディスに0-4と大勝した試合で高齢のファンが心筋梗塞を起こした時程の大ごとにはなりませんでしたが、もしかしてリズムのない前半は選手たちもあまりの暑さに頭も体も動かなかった? おまけに10分にはシュートを弾かれた後、敵DFに倒されたマジョラルがVAR(ビデオ審判)でPKをゲットしたヘタフェだったんですが、キッカーを買って出た当人がGKラミロに弾かれてしまってはねえ。相手はミッドウィークのEL1節でマンチェスター・ユナイテッドを0-1で下してきたばかりでしたし、38分には移籍市場最終日にアルメリアから移籍し、先日のレアル・アレナでの試合でアトレティコが勝ち点2を失う原因となったゴールを挙げていたサディクが右ヒザを負傷。後日、靭帯を断裂する大ケガだったことがわかったんですが、交代で入ったアリ・チョも怖い選手ですからね。 このままではコリセウムのファンの前で今季初勝利を挙げるのは難しいかもと誰もが思っていた前半ロスタイム、まさかエネス・ウナルの直接FKで先制点が入るとは!後半からはイマノル監督も本腰を入れてきて、久保建英選手、トリエンテに代え、ダビド・シルバとブライス・メンデス、バリバリのレギュラーを投入。ところが、またしても先手を取ったのはヘタフェでした。ええ、3分にはウナルが右サイドから入れたラストパスをアレニャが撃ち込み、2点目をゲットとなれば、場内の温度が更に2、3℃上がったような気がしたのはきっと、私だけではないかと。 まあ、その2分後にはアリ・チョのクロスから、ブライス・メンデスにヘッドを決められて、1点差に迫られたため、すぐに緊迫感が戻ったんですが、それが却って良かったのかもしれません。残り時間もしっかり守ったヘタフェは永遠に続くように見えた7分の長いロスタイムも耐え切り、いえ、最後のプレーが敵のCKだった時はポルト戦のグリーズマンの決勝ゴールを思い出して、ちょっと怖かったんですけどね。幸い無事にクリアして、2-1で勝利することができましたっけ。 これで勝ち点4と、8試合で1ポイントしか獲れなかった昨季と比べるとずっとマシに見える彼らなんですが、順位は1つ上がったものの、残念ながら、まだ18位で降格圏は脱出しておらず。ただ、同じ勝ち点のチームはアルメリア、エスパニョール、セビージャ、バジャドリーと4チームもあるため、日曜のオサスナ戦で勝てば、大きくジャンプアップできるかと思いますが、相手は月曜試合でアルメリアを0-1で下し、とうとうCL出場圏の4位まで上がる程、好調ですからね。そうそう簡単にはいかないでしょうが、何はともあれ、マドリッド勢ホームゲーム4試合の最後を白星で飾り、他の3チームに遅れを取らなかったのは十分、賞賛に値するんじゃないでしょうか、 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.09.13 18:00 Tue
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いきなり試合が増えてきた…/原ゆみこのマドリッド

「こんなパターン、記憶にないわよね」そんな風に私が溜息をついていたのは金曜日、今週末のリーガ戦予定を見直していた時のことでした。いやあ、近年のマドリッドは1部のチームが多い時で5つ、少なくても3つはあるのが普通なんですが、レアル・マドリーがサンティアゴ・ベルナベウでプレーするなら、アトレティコは遠征といったように、常にホームとアウェイに試合が分かれるようにラ・リーガが調整。それがこの5節に限っては、マドリッド4チームが揃ってホーム開催、しかも土日に2試合ずつ、キックオフ時間も互いに余裕があるせいで、4試合全てスタジアム観戦できてしまうなんて、もし今、マドリッド観光に来ていたら、サッカーファン冥利に尽きる経験ができる? まあ、その辺はあとでまたお話ししますが、今週のハイライトと言えば、W杯が11月に開催するせいで、慌ただしく、9月初旬から始まったCLグループリーグの開幕戦で、まずは火曜にマドリーがグラスゴーでセルティック戦に挑むことに。昨季はリーガとCLの二冠、今季もリーガ4連勝と好調な滑り出しを見せているアンチェロッティ監督のチームとあって、早い時間からのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が期待されたため、シビタス・メトロポリターノにお隣さんの試合前日記者会見を見に行っていた私も何とか、キックオフ時間までに近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に滑り込もうと急いだんですが…。 うーん、開始から活発に攻めていたのはセルティック・パークに駆けつけた6万人のサポーターに後押しされたホームチームの方で、アバダのシュート2本やマクグレゴールのゴールバー直撃などでGKクルトワを脅かしていたんですが、決定力が欠けていたのが幸い。だってえ、下手にリードされていた日には前半30分、今季のマドリー、唯一の弱み、たった1人しかいない、信頼できる真正CFが交代を要請したんですよ。そう、ベンゼマが右ヒザをケガしてしまったんですが、代わりに入ったのがfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/シャドーCF)のアザールだったとなれば、最悪の事態を予想したファンも多かったかと。 でも大丈夫。前半終了間際にビニシウスがシュートを2本撃って、足慣らしをしたマドリーはハムストリングスを痛めたミリトンがハーフタイムにリュディガーに代わるという、不幸の連鎖もあったんですけどね。セルティックもアバダが前田大然選手に交代し、先発した旗手怜央選手と共にピッチに立ったんですが、11分にはマドリーのカウンターアタックが炸裂。ええ、敵陣を上がったバルベルデのラストパスを受けたビニシウスが3度目の正直で先制ゴールを決めてくれたんです! もちろん、それだけで終わる彼らではなく、その4分後にはアザールからボールをもらったモドリッチがエリア内で敵DFを2人かわして、この金曜に迎える37才のバースデー前祝いゴールを挙げ、才能ある選手には年齢なんて関係ないことを証明。2点差にされたセルティックは27分になって、今季のチーム得点王、スコットランドリーグですでに6得点している古橋亨梧選手を入れたんですが、時すでに遅しです。勢いに乗ったマドリーは止まらず、32分にはクロースのパスをカルバハルが落とし、何とアザールまでゴールを決めているとなれば、エース抜きの試合をこれから幾つこなさないといけないか、わからなかったアンチェロッティ監督も少しは安心できたかと(最終スコア0-3)。 まあ、実際、マドリッドに戻って検査を受けたベンゼマは特に重傷ではなかったものの、どうやら復帰は9月の各国代表戦後になりそうだとか。ミリタオはそれよりちょっと早くて、来週末のマドリーダービーが目標のようですが、要はどちらも来週水曜のCLグループリーグ2節、サンティアゴ・ベルナベウでのライプツィヒ戦には間に合わない見込み。とはいえ、相手は初戦でシャフタールに1-4と大敗と、ロシアの軍事侵攻により、自慢だったブラジル人選手たちも離散、練習も試合もままならないはずのウクライナのチームに負けたせいか、テデスコ監督が早くも解任され、マルコ・ローズ新監督が赴任したばかりですからね。 スペイン代表常連FWのダニ・オルモも負傷中とあって、Decimoquinta(デシモキンタ/15回目のCL優勝のこと)達成に幸先いいスタートを切ったマドリーですから、あまり心配することはないかと思いますが、それより差し迫っているのは日曜午後2時(日本時間午後9時)からのマジョルカ戦。この時間だと、正面スタンドに直射日光が差し込んでくることはないものの、今週末のスペインは再び夏日に戻るようなんですよね。アギーレ監督のチームも2節前にはエスタディオ・バジェカスで弟分のラージョを0-2で破っていて、現在11位といい感じですし、まだシーズン序盤とあって、1試合で大きく順位が動くだけに、バルサと勝ち点2差で単独首位にいるマドリーもまだまだ気を引き締めていかないといけません。 そして翌水曜はアトレティコの番で、先週末のレアル・ソシエダ戦でレイニウドに激突され、太ももの打撲で交代していたGKオブラクが何とか間に合って、ポルト戦のスタメンに入れたのは頼もしかったんですけどね。メトロポリターノに駆けつけたファンも今季最初のCLとあって、張り切って応援していたんですが、これがまた、シメオネ監督も「No jugamos un buen partido no hubo ocasiones para ninguno/ノー・フガモス・ウン・ブエン・パルティードー・ノー・ウボ・オカシオネス・パラ・ニングーノ(ウチはいい試合ができなくて、どちらにもチャンスがなかった)」と認めていたぐらい、前半は何もない展開。 ハーフタイムには覇気に欠けていたカラスコ、自陣エリア脇でのクリアボールをジェレミー・ピノに贈り、先制点のアシストをした今季ホームデビューのビジャレアル戦に匹敵するようなミスを犯しかねなかったナウエルを後半頭から、レマルとデ・パウルに代えてみても、いえ、5分にはコケのシュートが珍しく入ったんですけどね。ラストパスを出したデ・パウルがオフサイドを取られ、スコアには上がらなかったため、16分には定番、レアンタル期間の2シーズンで出場率が50%を越えないよう調整中のグリーズマンが出動。更にはスタンドからpito(ピト/ブーイング)が飛ぶ危険を承知で、シメオネ監督はモラタをCBのエルモーソに、ジョアン・フェリックスをコレアにとメンバーをリフレッシュしていったんですが…。 その後、ポルトのオタビオが負傷し、担架で運び出されるまでかなり時間がかかったり、36分にはタレミが2枚目のイエローカードをもらって退場。0-0のまま、45分が過ぎた時はまた、昨季のCLグループリーグ初戦のようにスコアレスドローで終わるのを私も覚悟していたんですが、まさかロスタイムに大波乱が待っていようとは!ええ、9分と長い時間が電光掲示板に表示されてから、たったの1分、シメオネ監督が「ジョアンをコレアに代えたのは内側から攻めるため。ジョアンはサイドでプレーしていたから、コレアには中へ行くように指示した」というのが功を奏したか、右側から中心に向けてドリブルした彼がエルモーソに繋ぎ、そのシュートが敵DFに当たって、ゴールになってしまったから、ビックリしたの何のって。 いやあ、普通だったら、もうこれで勝ったようなもんですが、そうすんなりはいかないのがいかにもアトレティコですよねえ。0-2で負けたビジャレアル戦終了後に野次られて、諍いになっていた応援団席のファンと一緒にゴールを祝ったばかりのエルモーソが51分、今度はクリアしようとしたボールを腕に当てて、PKを献上しているって、まったく何をしているんだか。ウリベの蹴ったPKはオブラクの手が触れたものの、ネットに収まり、1-1に追いつかれてしまったんですが、まあ、そのおかげですかね。後でコンセイソン監督も「ロスタイムのロスタイムはもう終わっていたのに何でプレー続行したのかわからない」と文句を言っていたんですが、まさに9分を2分オーバーした56分に奇跡が起こったんですよ! 最後のプレーとなるCKをレマルが蹴ったところ、これがビッツェルの頭を経て、ファーサイドにいたグリーズマンの前へ。マドリーファンにはお馴染みのペペがクリアしようと脚を高く上げてきたのにも怯まず、ヘッドで合わせたボールが土壇場の勝ち越し点になってくれるなんて、一体、誰に予想できたでしょう。その直後に試合終了の笛が鳴ったため、選手たちもスタンドのファンとゴチャ混ぜになって喜んでいましたが、CL初戦からこんな勝ち方するなんて、まったく心臓に悪い。 ヒメネスなど、「Hemos ganado porque nunca dejamos de creer, lo intentamos hasta el final/エモス・ガナードー・ポルケ・ヌンカ・デハモス・デ・クレエル、ロ・インタモスモ・アスタ・エル・フィナル(信じるのを止めず、最後まで諦めなかったから、ボクらは勝った)」と言っていましたが、それこそ根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)が売りのお隣りさんじゃあるまいし。これじゃ、試合後の会見でコンセイソン監督が「ポルトはマドリー、バルサに次ぐCL試合数を誇るのに誰もその重みを尊重してくれない」と、八つ当たりのように怒っていたのも仕方なかったかも(最終結果2-1)。 え、それにしたって、殊勲のゴールを挙げたグリーズマンが今季、毎試合控えで、30分程度しかプレーしないのはあまりにもったいないんじゃないかって?その通りではありますが、どうやら経営陣には強制買取オプションの移籍金4000万ユーロ(約58億円)をバルサには絶対払わないという、固い意志があるみたいでねえ。確かに「Podemos ver la realidad/ポデモス・ベル・ラ・レアリダッド(現実を見ればいい)。彼は30分間プレーして凄くよくやっているが、60分プレーしたらどうかはわからない」というシメオネ監督の言葉ももっともなんですが、もしや先発していれば、ファンも途方もなく退屈な90分間を辛抱して過ごす必要がなかった可能性もなきにしろあらず。 ただ救いは、当人も「Claro que quiero más, pero voy a dar todo en los minutos que tenga/クラーロ・ケ・キエロ・マス、ペロ・ボイ・ア・ダール・トードー・エン・ロス・ミヌートス・ケ・テンガ(もっとプレーしたいのは当たり前だけど、出場できる時間に全力を尽くすよ)。自分はクラブの人間だと感じるし、プレーしたいチームはここだけだからね」と納得しているようなところなんですけどね。何はともあれ、このポルト戦の勝利のおかげもあって、アトレレティコは翌木曜、メトロポリターノのプレスルームでアマゾン・プライムビデオのドキュメンタリー、昨季の闘いを描いた”Otra forma de entender la vida:siento lo que somos/オトラ・フォルマ・デ・エンテンデール・ラ・ビダ:シエントー・ロ・ケ・ソモス(もう1つの人生の理解の仕方:自分たちが何者であるかを感じる)”のプレミア試写会を気分良く開催。 再びホームでプレーする土曜午後9時(日本時間翌午前4時)キックオフのセルタ戦まであまり時間がないというに、ちょっと呑気なんですが、その次は火曜に初戦でクラブ・ブルージュに1-0で負けたレバークーゼンとのCL2節も迫っていますしね。金曜のマハダオンダ(マドリッド郊外)での練習では、ジョアンやコケ、マルコス・ジョレンテらが控えに回るスタメンを準備しているようでしたが、ヒメネスが背筋痛で欠席、速攻で打撲を治したオブラクもチーム練習に加わっていないというのは、相手のエース、イアゴ・アスパスが4試合で5得点と当たっているだけにちょっと怖いですよね。 そしてミッドウィークはゆるりと過ごした弟分チームたちの予定も見ていくと、ラージョは土曜の午後2時から、ホームにバレンシアを迎えることに。こちらも心配なのは暑さなんですが、もっと間が悪いのは前節、弟分仲間のヘタフェがメスタジャで5-1と大敗して、ガトゥーソ監督のチームに自信をつけてしまったことでしょうか。カバーニはまだ体調が整わないようですが、昨季の最終節で受けた出場停止4試合が明けたガヤも戻って来ますしね。ここマジョルカ、オサスナ戦と2連敗しているラージョだけに、水曜は両チームのOBということでメトロポリターノのパルコ(貴賓席)で観戦していたファルカオを筆頭にとにかく、撃ち負けないでほしいかと。 え、どこよりゴールが不足しているのは日曜午後6時30分と、こちらもまた暑そうなコリセウム・アルフォンソ・ペレスでレアル・ソシエダと対戦するヘタフェの方じゃないかって?いやあ、今週火曜にはFWムニル(セビージャから移籍)の入団プレゼンもあったキケ・サンチェス・フローレス監督のチームなんですが、この4試合で、まだ2得点しかできていませんからね。それ以上に失点が11もあるというのが、ここまでたったの勝ち点1で19位に沈んでいる原因なんですが、折しも相手は木曜のELグループリーグ初戦、オールド・トラフォードでマンチェスター・ユナイテッドにブライス・メンデスの挙げたPKゴールで0-1と勝利。 イマノル監督からして、「Ahora mismo habrá muy pocos más felices que yo/アオラ・ミスモ・アブラ・ムイ・ポコス・マス・フェリセス・ケ・ジョ(まさに今、自分より幸福な人はほとんどいないだろう)」と舞い上がっていたため、隙ができてくれないかと祈るばかりなんですが、こればっかりはねえ。8試合目で勝ち点を初めて獲得した昨季よりはまだマシとはいえ、あまりノロノロしていると、また監督交代の話も出てきかねませんし、敵の過密日程を利用して、何とかヘタフェも今季初勝利を挙げられるといいのですが。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.09.10 21:00 Sat
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9月はミッドウィークもノンビリしていられない…/原ゆみこのマドリッド

「この試合だけで良かった」そんな風に私が安堵していたのは月曜日、今週開幕となるCLグループリーグ1節のポルト戦でフェリペが出場停止と知った時のことでした。いやあ、どうにもアトレティコはUEFAの大会で監督や選手が複数回の処分を受けるのが癖になっているようで、昨季もグリーズマンこそ、グループリーグのリバプール戦で退場して2試合出場停止とされた後、1試合に減刑してもらえたんですけどね。決勝トーナメント出場が懸かった最終節のポルト戦で退場したカラスコは3試合も喰らい、16強対決マンチェスター・ユナイテッド戦の両方、準々決勝マンチェスター・シティ戦1stレグに出られなかったのはまだ記憶に新しいところかと。 そのせいか、フェリペも昨季の未消化処分が幾つもあるのかと疑ってしまったんですが、いやいや。彼はスコアレスドローでアトレティコの敗退が決まったシティ戦2ndレグで退場し、その1試合の分が今季に回っただけなんですが、この水曜午後9時(日本時間翌午前4時)、シビタス・メトロポリターノに迎えるのが、これまたポルトとはホントCLって、いつも同じクラブがリピートしている?いえ、セルジオ・コンセイソン監督こそ、未だ健在でも、プレーする選手たちは多少、変わっていると思うんですけどね。今季のポルトはここまで5試合で4勝1敗、土曜のジル・ビセンテ戦にも0-2と勝って、意気揚々と昨季のリベンジに乗り込んで来るのはちょっと怖いかと。 それに対してアトレティコは絶対守護神のオブラクが直前のレアル・ソシエダ戦で太ももを打撲、ゲルビッチが先発することがほぼ確定しているのが一番の懸念なんですが、サビッチもまだケガのリハビリ中。リーガ2試合で出場停止だったナウエルが戻り、サン・セバスティアン(スペイン北部のビーチリゾート、レアル・ソシエダのホームタウン)遠征に参加しなかったレマルも復帰予定、クーニャは微妙といった具合なんですが、はあ。どうして私があまり楽観的になれないのかを今、説明するより、先週末のリーガ戦の様子をお伝えした方が早いですよね。 この4節はまずは金曜、2部の弟分、柴崎岳選手が先発に復帰したレガネスがブタルケで前半にニヨム、後半にはアルナイスがどちらも終盤にゴールを決め、ロスタイムに1点を返しただけのエイバルに2-1と勝利してスタート。ようやく今季初白星を挙げて、イディアケス新監督もホッとしたはずですが、まだまだシーズンは始まったばかりですからね。今は17位でも早いうちに波に乗れば、昇格順位到達もそう難しいことではないんですが、1部ではこんな時期から首位決戦が到来することに。 ええ、翌土曜にはもう3年目に入る全面改修工事を一休みして、サンティアゴ・ベルナベウでレアル・マドリーがホーム開幕、同じく3連勝中のベティスと対決したんですけどね。丁度、私も7月にスタジアムツアーをして、半端ない工事現場ぶりを目撃していただけに、たった1カ月ちょっとで、何事もなかったように6万人のファンをスタンドに迎え入れ、普通に試合をやっているのには驚かされるばかりだったかと。前節、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでの午後5時30分からのヘタフェvsビジャレアル戦では完全に茹ってしまったこともあり、午後4時15分というキックオフ時間にも恐怖しかなかったんですが、大丈夫。 さすがに9月となると、涼しい風が吹いてくるもので、正面スタンドが日影だった前半は穏やかに過ごせたんですが、ピッチの方では早いうちから動きがありました。というのも9分にはアラバのロングパスを受けたビニシウスが、飛び出してきたGKルイ・シウバをかわしてvaselina(バセリーナ/ループシュート)。それが空っぽのゴールに入って、マドリーが先制点を奪ったから。とはいえ、これにはベティスも、フェキルがカルバハルにエリア内で倒されながら、ペナルティを取ってもらえなかったプレーで負傷交代するショックを乗り越えて、17分に追いつくことに成功しています。 うーん、後でアンチェロッティ監督も「el de hoy ha sido un error bastante grave/エル・デ・オイ・ア・シードー・ウン・エロール・バスタンテ・グラベ(今日のはかなり重大なミスだった)」と反省していたんですけどね。アレックス・モレノの左サイドからのスローインをボルハ・イグレシアスが受け、折り返しをもらったカナレスにGKクルトワの股間を抜くシュートを決められてしまっては、キックオフ前の直近3トロフィー(CL、リーガ、UEFAスーパーカップ)披露で王者気分に浸っていたファンたちも肩透かしを喰らったような形ですが、そのまま前半は1-1で終了です。 そしてハーフタイムには5月頃は午後7時過ぎまで来なかった西日がどんどん正面スタンドを上がってきて、殺人的な直射日光と闘いに、もっとしっかり日焼け止めを塗ってくるべきだったと私も後悔する破目に。逆にピッチは日影部分が増えて、羨ましかったんですが、後半序盤はベンゼマやモドリッチ、フアンミらのシュートはあったものの、スコアが動いたのは、18分。カマビンガがバルベルデに代わってからのことでした。ええ、この日はアンチェロッティ監督が趣向を変えて、バルベルデとクロースをベンチスタートにしていたんですが、入って2分もしないうちにpajarito(パハリート/小鳥)改め、halcon(アルコン/ハヤブサ)がエリア内でロドリゴにラストパス。 そのシュートが決まって、マドリーは待望の勝ち越し点をゲットしたんですが、これで当人も奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)の起爆剤としてだけでなく、「Quiero siempre ser titular/キエロ・シエンプレ・セル・ティトゥラル(いつだってボクはレギュラーになりたい)」という願いを叶えるのに一歩前進できた?要はこのゴールのおかげで、ウイリアム・ホセやホアキンを投入して同点を目指したベティスを抑え、逃げ切ることができたマドリーでしたが、まあ、試合後、ロドリゴも「Es dificil senntarlo y competir con el/エス・デフィシル・センタールロ・イ・コンペティール・コン・エル(ベンチに座らせるのも、彼と競うのも難しい)」と認めていたバルベルデは本来なら、中盤の選手。 よって、この日のような使い方もできるとはいえ、そうなると、カセミロのマンチェスター・ユナイテッド移籍で中盤の底のレギュラーとなったチュアメニ、もしくはクロース、モドリッチといった重鎮が控えになってしまうため、その辺は指揮官にも躊躇いがある?いえ、当人に言わせると、「2人は賢くて謙虚だから、先発しない試合があっても自分が大事な選手であることがわかっている。Gestionarlos es la cosa más sencilla que he tenido en mi carrera/ヘスティオナール・エス・ラ・コーサ・マス・センシージャ・ケ・エ・テニードー・エン・ミ・カレラ(彼らをマネージするのは私のキャリアでも最高に簡単なことだ)」(アンチェロッティ監督)だそうですけどね。 この2-1の勝利リーガでは唯一、4連勝したチームとなり、単独首位に立ったマドリーですが、この先、懸念の種があるとしたら、34才のベンゼマが出ずっぱりなこと。ええ、いくらアンチェロッティ監督が「代わりのCFがいないというのは正しくない。マリアーノ、アザール、ロドリゴ、アセンシオ、いざとなれば、モドリッチだって…」と、エース不在だった昨季のクラシコ(伝統の一戦、バルサ戦のこと)でクロアチア人MFをfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/シャドーCF)として使い、大失敗した例を挙げて、自虐の笑いを誘っても、実際、アザールもアセンシオもこの日は出場機会をもらえておらず。 ただ、この先は火曜午後9時からのCLセルティック戦を皮切りに週2試合ペースが始まるため、時にはベンゼマにお休みを与えないといけない試合が出てくるかと思いますが、さて。ちなみに翌日曜もバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でセッションを行ったマドリーは月曜にグラスゴーに移動。会場となるセルティック・パークで仕上げして、グループリーグ初戦に挑むことになりますが、相手も土曜に宿敵レンジャースとのオールドファームダービーで4-0と大勝したばかりで、昨季のCL王者を迎えるのにチームの士気も上がっていそうですしね。何より、あちらには古橋亨梧、前田大然、旗手怜央、井手口陽介と4人も日本人選手がいるため、楽しみにしている日本のファンも多いんじゃないでしょうか。 え、それでサンティアゴ・ベルナベウの新しいプレスルームでアンチェロッティ監督、ペレグリーニ監督の会見を見た後、急いで帰った私が後半から近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で観戦した、レアル・アレーナでの試合はどうだったのかって?いやあ、まだあちらにいた前半4分早々、カラスコのCKがゴールポストに当たって跳ね返ったボールをモラタがシュート。幸先良く先制したアトレティコだったんですが、丁度、メトロの駅に向かっていた頃、30分にはオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)から、再び「Goool de Morata!(モラタのゴール)」の絶叫が。それがどうやら、こちらはラストパスを送ったジョアン・フェリックスがハイボールをトラップした時、肩とも胸とも二の腕とも見える位置だったのがVAR(ビデオ審判)に咎められ、審判がハンドでノーゴールを宣言。 0-1のままで後半が始まったんですが、まさか移籍市場クローズ最終日に来たサディク(アルメリアから移籍)がセルロート(ライプツイヒから再レンタル)に代わってデビューし、早くも10分にはアリ・チョからのクロスを肩やら二の腕やらにも見えるヘッドで決めて、同点にされているってどういうこと?大体がして、こちらにはVAR介入がなかったのも不公平なんですが、18分にはもう今季のお馴染み、バルサに移籍金を払わないで済むよう、出場率を調整しているグリーズマンが入ったため、前節バレンシア戦のような奇跡を期待していたところ…。 逆に31分にはやはり交代出場だった久保建英選手のスルーパスから、サディクに自身とチームの2点目を決められ、ドッキリさせられるなんてこともあったんですが、幸いオフサイドでスコアには上がらず。シメオネ監督も33分にはモラタとカラスコをコレアとエルモーソに代えて、勝利を目指したんですが、うーん、変なツキはありましたよね。この日はクーニャがケガでお留守番、交代枠を使い切っていなかったため、敵のシュートをクリアしようとしたレイニウドと激突したGKオブラクが負傷し、プレー不可能となっても、39分にゲルビッチが入る余地があったのは不幸中の幸いだったかと。 でもその程度ですよ。だってえ、ロスタイム7分なんて、グリーズマンがエリア前で敵に倒された後、転がったボールをコケがコレアにパス。そのシュートが決まったのに審判はファールを優先して、得点を認めてくれないって何?ええ、後でコケなども「ボクのところにボールが来たから、プレーを繋げることができて、あれは正真正銘のゴール。Creo que debió dejar seguir/クレオ・ケ・デビオ・デハール・セギール(プレーを続行するべきだったと思う)」と文句を言っていたんですけどね。 それでもらったFKからのプレーもジョアンのシュートをGKレミロに弾かれ、続くコケのシュートも敵DFにカットされてしまったとなれば、その怒りも理解できますが、結局、1-1の引分けで終わったアトレティコは4試合で勝ち点4を取りこぼすことに。何せ、早くも世間じゃ、初戦でラージョと引分けた後、3連勝と快進撃でバルサが2位になったこともあり、今季はまた“Liga de cien puntos/リーガ・デ・シエン・プントス(勝ち点100のリーガ)“になるなんて声も上がってきていますからね。彼らも今はあまり不公平なジャッジを批判するより、まずはCLポルト戦に集中して、新たに土曜のセルタ戦から、リーガの遅れを取り戻してくれるといんですが。 そしてヨーロッパの大会が始まっても関係のないマドリッドの弟分2チームは揃って日曜試合となったんですが、どちらも残念な結果に。ええ、昼間にパンプローナ(スペイン北部)でオサスナに挑んだラージョは後半、オロスに奪われた先制点はルジューヌのFKが決まって追いつけたんですが、まさか45分、バルサからレンタル移籍したてのアブデがjugadon(フガドン/スーパープレー)を披露。ドリブルでエリア内奥まで切り込むとルーベン・ガルシアにラストパスを送り、そのゴールで2-1って、こんな土壇場で負ける程、悔しいことはありませんって。 おかげで2連敗となったラージョとはいえ、それでも弟分仲間のヘタフェよりはマシで、まさか開幕から3試合、カルロス・ソレル(PSGに移籍)のPKによる1得点しかしていないバレンシアがいきなり爆発するなんて、一体、誰に想像できる?バルに行くのがちょっと遅れた私は前半7分のラトのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)は見逃してしまったんですが、14分にはムサーのクロスを、アトレティコが入団後即レンタル修行に出たサムエル・リノ(ジル・ビセンテから移籍)がvolea(ボレア/ボレーシュート)で合わせて2点目をゲット。更にそのリスタートからのボールをDFからバックパスされたGKダビッド・ソリアがカスティジェホ目掛けてゴールキックを蹴る大ポカを犯し、そのシュートで前半16分までに3点差にされているとは、開いた口が塞がらないとはまさにこのこと? 後半もCKからニコのヘッド、更にウーゴ・ドゥーロに古巣恩返しゴールを決められて、点差は5点にまで拡大。こうなると、いくら32分にプレシーズンマッチでチーム最多の2ゴールを挙げているCBガストンが名誉の1点を挙げたって、2試合目のベンチ入り禁止処分でラジオ用ボックス観戦していたキケ・サンチェス・フローレス監督の慰みにもなりませんよね。ええ、それまでシーズン開幕から、ジローナ戦でのウナルの1ゴールだけと、日照り感もまさに半端ありませんが、5-1の大敗より辛いのは、ロスタイムにはバレンシアのイライス(ライプツィヒからレンタル)が2枚目のイエローカードをもらって退場。 それにつられるように、アランバリも2枚目ゲットでレッドカードを突きつけられ、次節、兄貴分と引分けたばかりの手ごわいレアル・ソシエダとのホームゲームに出られなくなってしまった方かと。まあ、そんな感じで先週末はマドリー以外、不満の残る結果になってしまいましたが、一応、弟分たちには1週間、調整する時間がありますからね。だんだん気温も下がってきて、トレーニングしやすい環境になってきましたし、滅多にない偶然でマドリッド1部4チームが揃ってホームゲームとなる5節には皆、地元のファンを喜ばせることができるいいですよね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.09.06 21:00 Tue
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ようやく今季のチームが確定した…/原ゆみこのマドリッド

「何もなく終わってホントに良かった」そんな風に私がホッとしていたのは金曜日、移籍市場最終日明けになって、チェック漏れの退団選手がアトレティコから出ていなかったのを確認できた時のことでした。というのも2年前にはトマスのアーセナル電撃移籍、昨年はバルサからグリーズマンのレンタルが決まった後、クローズ刻限直前にサウールがチェルシーにレンタルで行くことが決まるというサプライズを味あわされていたからですが、幸い今年はロディがノッティンガム・フォレストへレンタル移籍したのも先週土曜と、まだ余裕のあるうち。 数日後には、「Se lo pedí por favor y fue muy rápido, en 48 horas/セ・ロ・ペディ・ポル・ファボル・イ・フエ・ムイ・ラピドー、クアレンタイオチョ・オラス(お願いだからって頼んだら、とても早く決まって、48時間しかかからなかった)」という、代理の左SB、レギロンがトッテナムからレンタルで来てくれることになりましたしね。実はこの彼、お隣さんのカンテラ(ユース組織)育ちで、2018-19シーズンにはレアル・マドリーのトップチームでも22試合に出場。そのせいで一部のアトレティコファンからは反発の声も上がっていたんですが、その後、セビージャに1年、トッテナムで2年プレーと結構、時間が経っていますし、チームにはモラタやマルコス・ジョレンテら、同じRMカスティージャ出身仲間やスペイン代表でコケとも繋がっていたおかげでしょうか。 入団が決まった後にはレギロンの彼女にまで、アトレティコ選手の彼女や奥さんたちからメッセージが届いて驚いたそうですが、とはいえ、当人がチームの戦力になれるのは先週受けた恥骨炎の手術のリハビリが終わった後。要はW杯でのブラジル代表招集を懸けてプレミアリーグへ河岸を変えたロディも開幕から3試合、まったく出場機会がなかったのを鑑みて、何せ、左のカリレーロ(長い距離をカバーするSB)にはロンドンで思ったような成果が出せず、今季は不満を言わずにシメオネ監督の指示するポジションでプレーすることにしたサウールとカラスコがいますからね。 補強選手が1カ月程、出られなくでも問題はないという判断だったんでしょうが、これが万が一、アトレティコがそれ以外、受け付けないと撥ねつけた契約破棄金額の6000万ユーロ(約84億円)をトッテナムがポンと払い、移籍最終日にカラスコをかすめ取られていたら、計算が大きく狂った可能性もあったかと。その一方で昨夏、バルサとレンタルを決めた時点で契約の2シーズン中、45分以上出場した試合がプレーできる試合数の50%を越えた時には4000万ユーロ(約56億円)の強制買取オプションがついているグリーズマンに関しては、かなりの部分が当人の気持ち次第。 ええ、最終日だった木曜に丁度、レアル・ソシエダ戦前の記者会見をしたシメオネ監督も「Me conocen desde hace diez años, soy hombre de club y lo seré/メ・コノセン・デスデ・アセ・ディエス・アーニョス、ソイ・オンブレ・デ・クルブ・イ・ロ・セレ(私のことは10年前から知っているはず。自分はクラブの人間でこれからもそうだ)」と言っていたように、昨季は37試合中、30試合で45分以上プレーしたグリーズマンは81%の出場率。今季は開幕から3試合、全て途中出場で75%に下がったというデータを見れば、移籍金を払いたくないクラブの指令を指揮官は忠実に守っているということになりますが、となれば、グリーズマンがもっとプレーするために移籍しようとしても理解はできる? でも大丈夫。「jugar bien 30 minutos es más importante que 60 mal/フガール・ビエン・トレインタ・ミヌートス・エス・マス・インポルタンテ・ケ・セセンタ・マル(60分、悪いプレーをするより、30分のいいプレーの方がより大事だ)」(シメオネ監督)という説明に納得したかどうかはわかりませんが、今季の彼は後半15分以降にピッチに入った初戦のヘタフェ戦、そして前節バレンシア戦で得点。とりわけ0-1勝利の後者ではチームの救世主となった形ですが、こうやって手柄を増やしていけば、いえ、クラブもバルサとの減額交渉に成功するかもしれませんしね。そのうち大事な試合が来れば、乞われて先発に戻る日もきっと来ると当人が信じてくれたのが、残留の鍵だったかと。 まあ、この土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からのレアル・ソシエダ戦ではまだムリでしょうけどね。ちなみに同じ2勝1敗の勝ち点6で並ぶ相手は市場最後の2日間でセルロート(昨季に続いてライプツィヒからレンタル)とサディク(アルメリアから移籍)と先日、7000万ユーロ(約98億円)の高額移籍金でニューキャッスルに売却したイサクの代わりとなるFWを2人も補強。久保建英選手(マドリーから移籍)もすでに初ゴールを挙げていますし、決して油断のできないチームですが、向こうは来週木曜にクリスチアーノ・ロナウドの残留するマンチェスター・ユナイテッドとのELグループリーグ初戦でオールド・トラフォード訪問というのは気が散る理由になるかも。 もちろん、アトレティコも来週水曜にはCLグループリーグ初戦でポルトをシビタス・メトロポリターノに迎えるんですが、先程出たサン・セバスティアン(レアル・ソシエダのホームタウン)遠征用招集リストではここ2日、マハダオンダ(マドリッド近郊)でのグラウンド練習をお休みしたレマル、金曜に違和感を訴えたクーニャがお留守番。他にビジャレアル戦で全治4週間のケガをしたサビッチ、その試合でレッドカードをもらい、出場停止の2試合目となるナウエルが欠けていますが、何より望まれるのは前節バレンシア戦でグリーズマンのシュートがカルロス・ソレル(翌日PSGに移籍)に当たってゴールになったようなツキがあること…ではなくて、ここ2試合不発のモラタがまたゴール勘を取り戻してくれることでしょうか。 え、そのバレンシアと日曜に対戦する弟分のヘタフェは市場最終日までバタバタ、動いていなかったかって?そうですね、今週はようやく今季初勝ち点をゲットした前節ビジャレアル戦でデビュー済みのラタサ(RMカスティージャからレンタル)のプレゼンがあったんですが、それもスコアレスドローだったせいか、水曜にはFWムニル(セビージャから移籍)が入団。こちらは即戦力ですので、メスタジャでは早速、ゴール日照りが続くチームの貴重なヘルプとなってくれるはずですが、続いて木曜には初夏にオリベイラがナポリに移ってから、ずっと懸案だった左SBも獲得できることに。 オリンピック・マルセイユからレンタルで来る28才のアマビはあまり有名な選手ではありませんが、日曜の試合ではケガで休んでいたレギュラー右SBのダミアンも戻れるようですしね。同じくゴール不足に悩むバレンシアは待望の大砲、カバーニ(マンチェスター・ユナイテッドとの契約を満了)が入団したものの、こちらは夏の間、自主トレしかしていなかったため、あと2週間程、準備にかかるのだとか。すでに水曜にはマキシ・ゴメスがトラブソンスポルに移籍を決め、ローマからレンタルでパトリック・クライファールトの息子、やはりFWのジャスティン・クライファールトは入ったものの、夏中、交渉していたブライアン・ヒルはトッテナムが解放してくれませんでしたしね。 せっかくカタールからハイメ・ロドリゲス(アル・ラーヤン)が「Si quieren a alguien que le ponga pases a Cavani, aquí estoy yo/シーキエレン・ア・アルギエン・ケ・レ・ポンガ・パセス・ア・カバーニ、アキー・エストイ・ジョ(カバーニにパスを出す誰かが欲しいなら、ここにボクがいる)」とツィッターでオファーをくれたのにも応じませんでしたし、どこもアタッカーを増やすのは大変だなと思わせる例ですが、今のところ、ヘタフェにとっても最少得点で済む相手の方が勝つ目は高そうな。せっかくの古巣来訪というのに、2試合目のベンチ入り禁止処分のせいでメスタジャのピッチで指揮できないキケ・サンチェス・フローレス監督もきっと、そういう展開を望んでいるんじゃないでしょうか。 ちなみに目標のFWが獲れなかったチームはまだ他にもあって、それは弟分仲間のラージョ。いやもう、9月1日の24時が来るまで、ゴール・プレイ(スポーツ専門オープン放送局)のレポーターがラ・リーガ本部に張り付いて、逐一、状況を報告していたんですが、ほとんど決まりかけていたRDT(ラウール・デ・トマス)のエスパニョールからの帰還は数秒遅れで書類の登録が間に合わなかったって、いやいや。もうFAXでやっていた時代じゃないんですから、そんな話、あっていい? 結局、午前3時過ぎにラージョのオフィスを出たところをマイクに直撃されたプレサ会長によると,「El fichaje de RDT no se ha producido porque no se ha cerrado/エル・フィチャヘ・デ・デ・RDT・ノー・セ・ア・プロドゥシードー・ポルケ・ノー・セ・ア・セラードー(RDTを獲得ができなかったのは契約をまとめられなかったせい)」だそうですが、もうこうなると最後の望みは現在、市場が閉まっても登録できる失業中のジエゴ・コスタ(昨年までアトレティコ・ミネイロ)だけ?どちらもラージョOBとはいえ、片や昨季17得点を挙げ、イアゴ・アスパス(セルタ)と一緒にサラ賞(スペイン選手の得点王)を獲った27才、他方はアトレティコでファルカオと黄金コンビを組んだ歴史はあるものの、もう33才ともなると、かなり期待値に差はありそうな。 ただ、最後はチャバリア(サラゴサから移籍)、アブドゥル・ムミン(同ビクトリア・ギマラエス)とDFの補強で終わったラージョですが、開幕から2試合、ファルカオに代わって先発CFを務めたアトレティコのカンテラーノ、カメージョスも前線の貴重な戦力。その上、「ボクの子供時代のアイドルだったから、超リスペクトしてて、最初はちょっと怖い気もしたんだけど、謙虚な人でいつも笑顔なんだ。まだアドバイスはもらっていないけど、ピッチでどんな動きをしてフィニッシュするかみるだけで、es hacer un máster de delantero centro/エス・アセール・ウン・マステル・デ・デランテーロ・セントロ(CFのマスターコースをやっているようなもんだよ)」と大先輩からどんどん、知識を吸収しているようですからね。 昨季、2部のミランデスで挙げた15ゴールを越える働きができれば、アトレティコのトップチーム定着の目も出てくるはずですが、そんなラージョは今週末、日曜にエル・サダルでのオサスナ戦。アラサーテ監督のチームも最終日にバルサから、FWアブデのレンタルに成功していますが、その前から2勝1敗とまずまずなスタート。ここはイラオラ監督も気合を入れて、前節のマジョルカ戦でエスタディオ・バジェカスから持っていかれた勝ち点3をお土産に帰って来てほしいものです。 え、それで結局、何にもなかったのがマドリーなんだろうって?そうですね、11月のW杯にスペイン代表として参加したいアセンシオなど、真剣に移籍先を探していたそうですが、条件が折り合うクラブが見つからず、最終日を待たずに残留を決定。バルベルデ、ロドリゴと先発の座を争うことにしたんですが、アンチェロッティ監督にしてみれば、彼は昨季チーム3番目の得点源。いてもらって困ることはまったくないんですが、オドリオソラとマリアーノも残ったのは計算外だったかも。 いやあ、前者は古巣のレアル・ソシエダとの交渉が進んでいたんですが、年棒の高さがネックとなって、話がまとまらず。後者はここ数年の夏同様、出場しなくても高給が保証されている、契約最後のシーズンをマドリーで満喫することにしたようですが、まあ、いいんですよ。8000万ユーロ(約112億円)のチュアメニ(モナコ)の移籍金はカセミロ(マンチェスター・ユナイテッドに移籍)と数々のカンテラーノのレンタルや売却で十分、元が取れていますし、チームもリーガ開幕から3連勝と絶好調。おまけにこの土曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)、満を持してのホーム開幕戦はすでに火曜から45~145ユーロ(約6300~2万円)のチケットが完売しているとなれば、問題なんてありませんって。 といってもまだ、サンティアゴ・ベルナベウの全面改装工事は終わった訳ではなく、昨季同様、マッチデーだけ何とか観客を入れて試合ができる状態になるだけなんですが、嬉しいのは使用可能な席が増えて、7万人近くに収容力が上がったこと。アンチェロッティ監督も「Ahora empieza la temporada porque empezamos a jugar cada tres días/アオラ・エンピエサ・ラ・テンポラーダ・ポルケ・エンペサモス・ア・フガール・カーダ・トレス・ディアス(今こそシーズンの始まりだ。3日おきに試合があるからね)」と言っていたようにこの4節、ベティス戦の後もホーム開催のマジョルカ戦、来週火曜にアウェイでのセルティック戦を挟み、その次はホームのライプツイヒ戦とCLグループリーグもあって、スタジアムもいよいよ稼ぎ時ですからね。 更に最初のビジターがマドリー同様、開幕3連勝しているペジェグリーニ監督のチームとなれば、シーズン最初の首位決戦を見逃したくないファンが大勢いるのは当然だったかと。ちなみにオドリオソラとバジェホが軽いケガで欠場となるマドリーに対して、ベティスは先日、2026年まで契約を延長したウィリアム・カルバーリョが打撲、ペッツェラが出場停止でプレーできず。経営陣の資金供与と選手たちの減棒により、サラリーキャップ制のせいで最後まで保留されていたクラウディオ・ブラボとウィリアム・ホセは選手登録が済んでいます。 何より、現在4得点でバルサのレバンドフスキと並んでピチチ(得点王)レースのトップに立つ、エースのボルハ・イグレシアスが当たっている上、ここ5シーズン、ベティスはサンティアゴ・ベルナベウで負けておらず。おそらく拮抗した展開になると思いますが…「よりコントロールしたい時はいいパスが出せるクロース、もっとエネルギーが必要な時はチュアメニとカマビンガ」と、前日記者会見で話していたアンチェロッティ監督のスタメン選択もローテーション重視を公言している今季だけに気になりますよね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.09.03 20:35 Sat
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移籍市場が閉まるまでは気が抜けない…/原ゆみこのマドリッド

「あれが最後のご奉公になるなんてツイていない」そんな風に私が同情していたのは火曜日、カルロス・ソレルのPSG移籍が決まったというニュースを見つけた時のことでした。いやあ、このバレンシアのカンテラーノ(下部チーム出身の選手)、キャプテンでもある彼はこの夏ずっと、ピーター・リン会長の腹積もりで、売却されるんじゃないかと言われていたんですけどね。折しも前日はアトレティコ戦でグリーズマンのシュートに当たり、軌道を変えたボールがGKママダシビリの意表を突いてゴールに。 そのせいでバレンシアは0-1と負けてしまったんですが、まあ、ガットゥーゾ監督のチームが得点できなかったのは別にソレルのせいだけではありませんからね。フェルネバフチェへの移籍が秒読みとなり、この3試合、全て途中出場しかしていないマキシ・ゴメスとは違い、一応、開幕ジローナ戦ではPKで決勝ゴールを挙げ、3節までに獲得している勝ち点3を置き土産にできましたし、月曜のアトレティコ戦当日に入団が決まったカバーニ(マンチェスター・ユナイテッドとの契約が満了)もすでにメスタジャのパルコ(貴賓席)にお目見え。 この決定力不足解決の切り札が次節、日曜にマドリッドの弟分、ヘタフェを迎える試合に間に合うのかはわかりませんがって、え?ヨソ様のことはともかく、アトレティコだって、この移籍市場残り3日、何があるかわからないのは同じだろうって?うーん、確かにその通りで、日曜にはノッティンガム・フォレストへロディのレンタル移籍がいきなり決定。と思えば、火曜にはその代わりとして、1週間前、恥骨炎の手術をしたばかりで今はまだ、プレーできないレギロン(トッテナムからレンタル)の入団も発表され、ビッツェル(ドルトムントから移籍)とナウエル(同ウディネーゼ)の獲得以来、止まっていたトップチームの人事異動が再開されたんですよ。 何より怖いのは、シメオネ監督までがどのくらい戦力減退を心配しているかと訊かれ、「No te lo puedes imaginar/ノー・テ・ロ・プエデス・イマヒナル(想像できないほどだ)」と答えていた主力選手の電撃移籍で、いえ、カラスコに目をつけたトッテナムには契約破棄金6000万ユーロ(約84億円)以外受け付けない旨、クラブ上層部は伝えたそうなんですけどね。懸念はグリーズマンにもあって、彼はバルサから2年目のレネンタル移籍の身分で在籍しているんですが、もし今季45試合(45分以上出場した試合のみ該当)以上出場したら、アトレティコは4500万ユーロ(約63億円)で買取らないといけないのだとか。 それがイヤで開幕から3試合、グリーズマンの先発がないんじゃないかという憶測もあるんですが、何せ、当人は途中出場2試合で2得点と貴重なゴール源となっていますからね。シメオネ監督も「hay que ponerlo cuando mejor le viene al equipo/アイ・ケ・ポネールロ・クアンドー・メホール・レ・ビエネ・アル・エキポ(チームがより良くなるタイミングで出さないといけない)」と言っていましたが、クラブが移籍金を払いたくなるほどの活躍ができるまで、今は彼の辛抱が続いてくれることを祈るばかりでしょうか。 まあ、アトティコの試合についてはまた後で話すことにして、他のマドリッド勢の先週末の試合をお伝えしていくことにすると、トップバッターを務めたのは弟分のラージョ。土曜にバックスタンドの改装工事が済み、全面オープンとなったエスタディオ・バジェカスにマジョルカを迎えて、ホームデビューとなったんですが、いやあ、満を持して、ファルカオが初先発となったものの、CBルジェーヌが出場停止だったのが響きましたかね。イラオラ監督はボランチのシスにカテナとコンビを組ませたんですが、前半13分、彼が自陣エリア前から出したパスが敵に渡り、ダニ・ロドリゲスのクロスから、ムリキのヘッドで先制点を奪われてしまったから、さあ大変! 先週、何時間も並んでabono(アボノ/年間指定席)のカードをゲットしたファンたちもいきなり冷や水を浴びせられた形ですが、それでも応援をしてくれるスタンドに後押しされて、ラージョの方が積極的に攻めていたんですけどね。ただ、イラオラ監督も「Era difícil encontrar espacios dentro de ese bloque tan bien organizado/エラ・デフィシル・エンコントラール・エスパシオス・デントロ・デ・エセ・ブロケ・タン・ビエン・オルガニサードー(あれほど組織されたブロックの中でスペースを見つけるのは難しい)」と言っていたように、アギーレ監督が敷いた5人DF制のマジョルカは一切、隙を見せず。 後半にはカメージョやベベも入れて前線を増やした甲斐もなく、19分にまたしても守備のミスから、「Al no estar Take Kubo es de los pocos verticales que temenos/アル・ノ・エスタル・タケ・クボ・エス・デ・ロス・ポコス・ベルティカレス・ケ・テネモス(久保建英がいない今、ウチでは縦の動きができる少ない選手)」と、アギーレ監督も褒めていたイ・ガンインに2点目を決められてしまってはねえ。結局、そのままラージョは0-2で負け、リーガでのホーム連続未勝利を11試合に更新してしまったんですが、大丈夫。白星でなくても試合後のブカネーロス(ラージョのウルトラグループ)は選手たちを称えるのを忘れていませんでしたよ。 そして翌日曜、私はヘタフェのビジャレアル戦を見にコリセウム・アルフォンソ・ペレスに向かったんですが、一体、ラ・リーガは何を考えているんでしょう。8月のマドリッドで気温35℃の午後5時30分キックオフなんて、ほとんど自殺行為と言ってもいいんですが、エメリ監督のチームが前節のシビタス・メトロポリターノでの試合同様、前半トロトロしていたのは暑さのせいもあった?それでも攻撃力の高い相手は前半だけでもペドラサ、ジェラール・モレノ、フォイスがシュート、GKダビド・ソリアが弾いてくれたおかげで何とか、ヘタフェは無失点をキープすることに。 前節のエスパニョール戦で2試合のベンチ入り禁止処分を喰らい、サウナ状態のラジオ用ボックスから見守るキケ・サンチェス・フローレス監督にそれ以上、汗をかかすことはなかったんですが、久々に5人DF制から4-4-2に変更したシステムも後半中盤を過ぎると、とても得点を挙げられなさそうな気配を感じたんですかね。相変わらず、ソリアがparadon(パラドン/スーパーセーブ)を連発していたせいもあったか、最後は全員守備状態となり、マタや入団したばかりのラトサ(RMカスティージャからレンタル)らのFWを時間稼ぎ交代で出場させて、やっとのことでスコアレスドローを勝ち取れるかと思いきや…。 ロスタイムにジェラール・モレノが撃ったシュートがアランバリの手に当たり、審判がハンドでペナルティを宣告した時にはコリセウム中の息が止まりましたよ!でも良かったです。主審がVAR(ビデオ審判)からのご注進でモニターを見に走り、ボールはアランバリの手に当たる前に顔に当たっていたとして、なしにしてくれたから、助かったの何のって。そのまま0-0で終了したため、ようやくヘタフェは今季初勝ち点を昨季の8節より早い3節でゲットできたんですが、はあ。こうもゴールが遠いのを目の当たりにすると、初白星はいつになるのか、心配になってしまいますよね。 そして夜10時からはレアル・マドリーがエスパニョール戦をプレーしたんですが、最近のマドリッドはこの時間になると涼しいものの、バル(スペインの喫茶店兼バー)の中が暑かったのはもしや、政府の節電要請に応えて、エアコンの設定温度を28℃にしていたから?RCDEスタジアムのあるバルセロナなど、26℃ともっと涼しかったようですが、そのせいか、プレーのスピード感が昼間のヘタフェ戦とは大違い。前半12分にはチュアメニのスルーパスをビニシウスが決めて、マドリーが先制したんですが、エスパニョールも時間が経つにつれ、昨季の2冠王者との実力格差を忘れていったようで…。 ええ、43分、ホセルの最初のシュートはGKクルトワが弾いたものの、ボールがミリトンに当たって戻ってきたところをホセルがまたシュート。これが決まって同点にされたため、アンチェロッティ監督も後半13分には早めにメンバーをリフレッシュしたんですが…モドリッチとバルベルデに代わって、カマビンガとロドリゴが入った途端、急にボールが凄い勢いで右に行ったり、左に行ったりするようになったから、驚いたの何のって。実際、アンチェロッティ監督も後で「Cuando entra en un partido roto nos ayuda mucha su energía/クアンドー・エントラ・エン・ウン・パルティードー・ロト・ノス・アジュダ・ムーチャ・ス・エネルヒア(試合が開いた展開になった時は彼のエネルギーが大いにウチの助けになる)」と言っていたんですが、そのカマビンガが魅せたのは20分。 前節セルタ戦ではスタメンだったのが、控えに戻されて相当悔しかったか、一気にドリブルで駆け上がって撃った彼のシュートは敵DFに当たってしまったものの、クロースが拾って、ゴール前のベンゼマへ。エースが流し込んでゴールになったんですが、残念ながら、これはオフサイドで認められません。同点のまま、45分が近づいてきたため、エスパニョールを応援していたアトレティコファンのウェイターさんも拳を握って、TV画面を見つめていたんですが…マドリーにはいるんですよ。昨季のCL決勝トーナメントの2ndレグでは必ず、remontada(レモンターダ/逆転劇)のドラマに関わっていた選手が。 それはロドリゴでこの日は43分、エリア内からクロスを送り、それを反対側に飛び込んだベンゼマが押し込んで、土壇場で勝ち越してしまったから、今季も奇跡は続いているとしか言いようがないかと。いえ、ロスタイムに昨季、アトレティコにレンタルで来て、1度も試合でプレーしていないGKルコントがエリアを出てクリアしたボールがセバージョスにより戻り、それをシュートして決まった彼のゴールはオフサイドだったんですけどね。といってもこの時はVARのモニターを見た主審が、ルコントがセバージョスを蹴ったとして、レッドカードを提示。 交代枠のもうなかったエスパニョールのGKがCBカブレラだったのも幸いしたか、ベンゼマが見事な直接FKで3点目を入れてくれたとなれば、今は先発アピールに必死なロドリゴもシャッポを脱ぐしかない?途中、もどかしい場面はあったものの、1-3で勝利したマドリーはこれで開幕3連勝。リーガ20チーム中、同じ成績なのはベティスだけなんですが、勝ち点9で首位に並ぶ両チームが次節、土曜には開場準備が整ったサンティアゴ・ベルナベウで頂上対決っていうのもちょっと珍しい偶然かと。 ちなみにペレグリーニ監督のチームは先週末のオサスナ戦前には何とか、遅れていたホアキン、グアルダードー、ルイス・フェリペ、ルイス・エンリケの選手登録が終了。今週はGKグラウディオ・ブラボもできそうで、後はウィリアム・ホセだけなんですが、午後4時14分のキックオフですし、マドリーのホームデビューはかなり、熱い戦いになるんじゃないでしょうか。 え、それで月曜のアトレティコはメスタジャで今回も苦戦していなかったかって?その通りで、前半は両チームともVAR恩恵を受けていたんですけどね。というのも22分にはムサにエリア外からのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決められたアトレティコだったんですが、その起点のプレーでジョアン・フェリックスがディアカビに引っくり返されるファールを受けていたことが発覚し、バレンシアの先制点は認められず。すると36分には敵ゴールに向かってドリブルしていたモラタがコレイラに倒され、主審は一旦、レッドカードを出したものの、こちらもモニターチェックでイエローカードに減刑され、相手は10人になるのを免れたから。 実際、ほとんどの時間帯でアトレティコは守勢に回り、自陣エリア近くから離れられなかったため、私もかなりフラストレーションが溜まったんですが、今回は後半19分にコンドグビアとデ・パウルから代わったレマル、グリーズマンのフランス人コンビに幸運の女神がついていたようです。それが21分、前者が敵陣で取り戻したボールをエリア前にいた後者に送り、グリーズマンのシュートがソレルに当たってゴールになったプレーですが、だってえ、それ以外、GKママダシビリに手も足も出なかったんですよ。 ええ、GKオブラクも「Hemos tenido ocasiones, pero el portero ha parado todo/エモス・テニードー・オカシオネス、ペロ・エル・ポルテーロ・ア・パラードー・トードー(ウチにはチャンスがあったが、GKが全部止めてしまった)」と言っていたように、前半はモラタやジョアンがセーブされ、1点リードした後もカラスコ、グリーズマン、クーニャが2点目を取らせてもらえなかったとなれば、まさにソレルがあの場所にいたのは天の配剤としか思えないかと。この日も最後まで攻撃的交代をして、コレアと一緒に入ったクーニャがセットプレーで決めたゴールもオフサイドを取られてしまいましたしね。 前節ビジャレアルに0-2に負けた後、プレシーズンマッチ、そして開幕ヘタフェ戦までファンが夢見ていた、今季はゴールに不自由しないアトレティコの幻想も、この0-1というシメオネ監督の定番勝利で一段落したようですが、何にしろ、大事なのはリーガ上位を狙うライバルたちから遅れを取らないこと。次節もレアル・アレナでのレアル・ソシエダ戦ですし、その先はホームでのポルト戦、アウェイのレバークーゼン戦とCLグループリーグ連続週開催にも立ち向かわないといけませんし…とにかく大事な選手がいきなりいなくなるという事態だけは起きないでほしいですよね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.08.31 20:00 Wed
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