【2021-22セリエA総括】超WS選出の最優秀選手はメニャン
2022.06.06 18:00 Mon
最終的にミラノ勢でのスクデット争いとなった中、最終節に熾烈なデッドヒートを制したのはミランとなった。昨季王者インテルを抑え、逃げ切ったミランが11年ぶりの栄冠に輝いた。アッレグリ監督を復帰させ、スクデット奪還を目指したユベントスは昨季に続きチャンピオンズリーグ出場権獲得が精一杯だった。
戦力的にはインテルやナポリの後塵を拝していたと思われる中、それを覆したのは他でもないピオリ監督の手腕とフロントの的確な補強だった。シーズン開幕前、守護神ドンナルンマと司令塔チャルハノールを引き抜かれたミラン。攻守の要を失った中、フロントはGKメニャンを獲得。この新守護神の活躍なくしてミランの優勝はあり得ず、フロントの的確な補強を象徴していた。そして何よりピオリ監督の手腕だ。DFケアーとDFロマニョーリの両主軸センターバックを負傷で長期間欠いた中、DFトモリを軸とするバックラインで強固さを保ち続けた。FWイブラヒモビッチをやはり負傷で欠く期間がほとんどだった中、貧弱な攻撃陣を支えたのがピオリ監督が築き上げた頼れる守備陣だった。◆コンテ退任もS・インザーギが見事な踏襲~インテル~
シーズン開幕前はコンテ監督の退任、昨季MVPのFWルカクの退団によって連覇は厳しいと予想していたが、S・インザーギ監督の手腕によってあと一歩で連覇に届くところだった。コンテ監督同様に3バックを好む前ラツィオ指揮官は、我を出し過ぎず昨季までの戦術を踏襲。カウンタースタイルに磨きをかけ、堅守からの速攻が完成された。FWルカクの抜けた穴はFWラウタロ・マルティネスが昨季の17ゴールを上回る21ゴールを挙げて埋めて見せた。惜しむらくは勝利していれば首位浮上だった延期分のボローニャ戦。控えGKラドゥの凡ミスがなければ…、優勝していたのはインテルだったかもしれない。
◆肝心な所での勝負弱さ露呈~ナポリ~
スパレッティ体制で臨んだ今季。手慣れの指揮官はガットゥーゾ前監督の作り上げたチームをベースにしつつ、大きな戦術変更を行わなかった。これが奏功し、シーズンを通して上位を維持。ケガがちだったが、FWオシムヘンを得点源とする攻撃陣はリーグ屈指の破壊力を擁してスクデットも狙える位置にあったが、カギとなるビッグマッチでことごとく敗れ、結果を残せなかった。結果、シーズン終盤はミラノ勢に突き放され、3位でフィニシッシュ。来季は長年ナポリを支えたFWインシーニェが去る中、悲願を成就できるか。
◆ヴラホビッチ加入で上昇気流も~ユベントス~
3季ぶりに呼び戻したアッレグリ監督の下、スクデット奪還に挑んだ今季のユベントスだったが、力及ばなかった。シーズン前半は守備の立て直しに時間を取られ、得点力が低下。FWロナウドの退団もあって攻撃力が乏しかった。シーズン後半に入ってFWヴラホビッチを迎え入れたことで劇的に攻撃のバリエーションは増えたが、今度は高齢化が目立つ守備陣が耐えきれず、攻守のバランスが最後まで?み合わないままシーズンが過ぎていった。FWディバラ、DFキエッリーニの栄光を築いた両選手がクラブを離れ、転換期にあるビアンコネロは来季こそミラノ勢に奪われた王座を取り返しにかかる。
S・インザーギ監督のインテル監督就任に伴い、サッリ監督を招へいしたラツィオが5位でシーズンを終えた。カウンタースタイルからポゼッションスタイルへの移行を徐々に図り、尻上がりにチーム状態を上げていった。イタリア代表ではワールドカップ出場を逃した戦犯となってしまったFWインモービレだが、ラツィオでは相変わらずの得点力を発揮。27ゴールを挙げ、4度目の得点王に輝いてチームを牽引した。
◆モウリーニョ招へいで欧州タイトル~ローマ~
かつてインテルで3冠を成し遂げたモウリーニョ監督を迎えたローマがラツィオに次ぐ6位でシーズンを終えた。シーズン前半は上位勢相手にことごとく敗れて波に乗り切れなかったが、シーズン後半はナポリやラツィオとのダービーを制すなど、要所での勝利が増えていった。そして何より、新設されたヨーロッパ・カンファレンスリーグでの優勝。欧州で低迷しているイタリア勢に希望の光を照らした。
◆CL敗退から浮上できず欧州行き逸~アタランタ~
6季目となったガスペリーニ監督の下、4季連続CL出場を目指していたアタランタだったが、例年のようにCL敗退後からの巻き返しがなかった。FWサパタの長期離脱を筆頭に戦力が整わず、攻守に安定感がなかった。結果、8位まで後退し、痛恨の欧州カップ戦出場逸。来季はセリエAに全集中で欧州復帰を目指す。
◆レギュラー落ち、チームは辛くも残留~サンプドリアDF吉田~
加入3季目となった今季はダヴェルサ前監督の下、レギュラーとしてシーズンをスタートさせた吉田。チームの今季初ゴールを挙げるなど幸先は良かったが、結果が出なかったことでダヴェルサ監督が解任に。代わって就任したジャンパオロ監督の下ではベンチを温める機会が多くなった。シーズン後半はケガもあって離脱し、チーム内での序列が低下。残留争いに巻き込まれた中、降格は免れたが、8月に34歳となる吉田に新契約のオファーは届くか。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆GKマイク・メニャン(ミラン)
ブロゾビッチと迷ったが、優勝したミランから新守護神を選出。ドンナルンマがクラブを離れて大きな穴となることが心配されたゴールマウスだが、リールから加入のフランス代表GKが穴を埋める以上の活躍を見せた。身体能力の高さを生かした抜群のレスポンスに加え、安定感も十分でミランの堅守を構築する上で欠かせない存在となった。
★最優秀監督
◆ステファノ・ピオリ(ミラン)
S・インザーギ監督も素晴らしい仕事をしたシーズンだったが、やはりミランに11年ぶりスクデットをもたらしたピオリ監督を選出。マルティーニを筆頭にフロントが信頼した56歳は、ケガ人を多く抱えながらも抜群のマネージメント能力で乗り切って見せた。名門ミラン復活の立役者となり、名将の仲間入りを果たしたと言えるだろう。
【期待以上】
★チーム
◆インテル
ミラノ勢が大健闘したシーズンだったため、この項目ではインテルを推したい。コンテ監督退任、主力の移籍で戦力ダウンが懸念された中、S・インザーギ監督が見事な手腕でスクデット争いを展開するに相応しいチームを作り上げた。
★選手
DFピエール・カルル(ミラン)
彼が居なければミランの優勝はなかったかもしれない。センターバックの主力が離脱していった中、シーズン後半はトモリと共に堅守を構築。スピードを生かした対人の強さは折り紙付きで評価を一気に高めた。
【期待外れ】
★チーム
◆ユベントス
アッレグリ監督の復帰で復権は濃厚かに思われたが、そう甘くはなかった。シーズン後半、ヴラホビッチの加入で明るい兆しは見えかけたが、スクデット争いをするには至らず。2年連続で4位と過渡期にあることは間違いない。
★選手
◆FWフェデリコ・キエーザ(ユベントス)
大ケガをした選手の選出は気が引けるが、期待の表れとして選出。シーズン開幕前のユーロで活躍し、ユベントスでも同様の活躍が期待されたが、シーズン前半は波のあるプレーに終始し、1月に戦線を離脱。とはいえ、才能に疑いはなく一日も早い復帰が見込まれる
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◆鉄壁の守備を築き上げたピオリの手腕~ミラン~戦力的にはインテルやナポリの後塵を拝していたと思われる中、それを覆したのは他でもないピオリ監督の手腕とフロントの的確な補強だった。シーズン開幕前、守護神ドンナルンマと司令塔チャルハノールを引き抜かれたミラン。攻守の要を失った中、フロントはGKメニャンを獲得。この新守護神の活躍なくしてミランの優勝はあり得ず、フロントの的確な補強を象徴していた。そして何よりピオリ監督の手腕だ。DFケアーとDFロマニョーリの両主軸センターバックを負傷で長期間欠いた中、DFトモリを軸とするバックラインで強固さを保ち続けた。FWイブラヒモビッチをやはり負傷で欠く期間がほとんどだった中、貧弱な攻撃陣を支えたのがピオリ監督が築き上げた頼れる守備陣だった。◆コンテ退任もS・インザーギが見事な踏襲~インテル~
シーズン開幕前はコンテ監督の退任、昨季MVPのFWルカクの退団によって連覇は厳しいと予想していたが、S・インザーギ監督の手腕によってあと一歩で連覇に届くところだった。コンテ監督同様に3バックを好む前ラツィオ指揮官は、我を出し過ぎず昨季までの戦術を踏襲。カウンタースタイルに磨きをかけ、堅守からの速攻が完成された。FWルカクの抜けた穴はFWラウタロ・マルティネスが昨季の17ゴールを上回る21ゴールを挙げて埋めて見せた。惜しむらくは勝利していれば首位浮上だった延期分のボローニャ戦。控えGKラドゥの凡ミスがなければ…、優勝していたのはインテルだったかもしれない。
スパレッティ体制で臨んだ今季。手慣れの指揮官はガットゥーゾ前監督の作り上げたチームをベースにしつつ、大きな戦術変更を行わなかった。これが奏功し、シーズンを通して上位を維持。ケガがちだったが、FWオシムヘンを得点源とする攻撃陣はリーグ屈指の破壊力を擁してスクデットも狙える位置にあったが、カギとなるビッグマッチでことごとく敗れ、結果を残せなかった。結果、シーズン終盤はミラノ勢に突き放され、3位でフィニシッシュ。来季は長年ナポリを支えたFWインシーニェが去る中、悲願を成就できるか。
◆ヴラホビッチ加入で上昇気流も~ユベントス~
3季ぶりに呼び戻したアッレグリ監督の下、スクデット奪還に挑んだ今季のユベントスだったが、力及ばなかった。シーズン前半は守備の立て直しに時間を取られ、得点力が低下。FWロナウドの退団もあって攻撃力が乏しかった。シーズン後半に入ってFWヴラホビッチを迎え入れたことで劇的に攻撃のバリエーションは増えたが、今度は高齢化が目立つ守備陣が耐えきれず、攻守のバランスが最後まで?み合わないままシーズンが過ぎていった。FWディバラ、DFキエッリーニの栄光を築いた両選手がクラブを離れ、転換期にあるビアンコネロは来季こそミラノ勢に奪われた王座を取り返しにかかる。
◆サッリ招へいで徐々に戦術浸透~ラツィオ~
S・インザーギ監督のインテル監督就任に伴い、サッリ監督を招へいしたラツィオが5位でシーズンを終えた。カウンタースタイルからポゼッションスタイルへの移行を徐々に図り、尻上がりにチーム状態を上げていった。イタリア代表ではワールドカップ出場を逃した戦犯となってしまったFWインモービレだが、ラツィオでは相変わらずの得点力を発揮。27ゴールを挙げ、4度目の得点王に輝いてチームを牽引した。
◆モウリーニョ招へいで欧州タイトル~ローマ~
かつてインテルで3冠を成し遂げたモウリーニョ監督を迎えたローマがラツィオに次ぐ6位でシーズンを終えた。シーズン前半は上位勢相手にことごとく敗れて波に乗り切れなかったが、シーズン後半はナポリやラツィオとのダービーを制すなど、要所での勝利が増えていった。そして何より、新設されたヨーロッパ・カンファレンスリーグでの優勝。欧州で低迷しているイタリア勢に希望の光を照らした。
◆CL敗退から浮上できず欧州行き逸~アタランタ~
6季目となったガスペリーニ監督の下、4季連続CL出場を目指していたアタランタだったが、例年のようにCL敗退後からの巻き返しがなかった。FWサパタの長期離脱を筆頭に戦力が整わず、攻守に安定感がなかった。結果、8位まで後退し、痛恨の欧州カップ戦出場逸。来季はセリエAに全集中で欧州復帰を目指す。
◆レギュラー落ち、チームは辛くも残留~サンプドリアDF吉田~
加入3季目となった今季はダヴェルサ前監督の下、レギュラーとしてシーズンをスタートさせた吉田。チームの今季初ゴールを挙げるなど幸先は良かったが、結果が出なかったことでダヴェルサ監督が解任に。代わって就任したジャンパオロ監督の下ではベンチを温める機会が多くなった。シーズン後半はケガもあって離脱し、チーム内での序列が低下。残留争いに巻き込まれた中、降格は免れたが、8月に34歳となる吉田に新契約のオファーは届くか。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆GKマイク・メニャン(ミラン)
Getty Images
ブロゾビッチと迷ったが、優勝したミランから新守護神を選出。ドンナルンマがクラブを離れて大きな穴となることが心配されたゴールマウスだが、リールから加入のフランス代表GKが穴を埋める以上の活躍を見せた。身体能力の高さを生かした抜群のレスポンスに加え、安定感も十分でミランの堅守を構築する上で欠かせない存在となった。
★最優秀監督
◆ステファノ・ピオリ(ミラン)
Getty Images
S・インザーギ監督も素晴らしい仕事をしたシーズンだったが、やはりミランに11年ぶりスクデットをもたらしたピオリ監督を選出。マルティーニを筆頭にフロントが信頼した56歳は、ケガ人を多く抱えながらも抜群のマネージメント能力で乗り切って見せた。名門ミラン復活の立役者となり、名将の仲間入りを果たしたと言えるだろう。
【期待以上】
★チーム
◆インテル
Getty Images
ミラノ勢が大健闘したシーズンだったため、この項目ではインテルを推したい。コンテ監督退任、主力の移籍で戦力ダウンが懸念された中、S・インザーギ監督が見事な手腕でスクデット争いを展開するに相応しいチームを作り上げた。
★選手
DFピエール・カルル(ミラン)
Getty Images
彼が居なければミランの優勝はなかったかもしれない。センターバックの主力が離脱していった中、シーズン後半はトモリと共に堅守を構築。スピードを生かした対人の強さは折り紙付きで評価を一気に高めた。
【期待外れ】
★チーム
◆ユベントス
Getty Images
アッレグリ監督の復帰で復権は濃厚かに思われたが、そう甘くはなかった。シーズン後半、ヴラホビッチの加入で明るい兆しは見えかけたが、スクデット争いをするには至らず。2年連続で4位と過渡期にあることは間違いない。
★選手
◆FWフェデリコ・キエーザ(ユベントス)
Getty Images
大ケガをした選手の選出は気が引けるが、期待の表れとして選出。シーズン開幕前のユーロで活躍し、ユベントスでも同様の活躍が期待されたが、シーズン前半は波のあるプレーに終始し、1月に戦線を離脱。とはいえ、才能に疑いはなく一日も早い復帰が見込まれる
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