いよいよ長い夏が始まる…/原ゆみこのマドリッド
2022.06.15 09:15 Wed
「ちょっと張り切りすぎじゃない?」そんな風に私が首を傾げていたのは火曜日、スペイン代表の試合も終わってしまったため、少し気が早いとは思ったものの、マドリッド勢のプレシーズンマッチの予定を調べていた時のことでした。いやあ、7月8日に練習をスタートする弟分のラージョが、プレミアリーグ開幕1週間前の31日にマンチェスター・ユナイテッドがオールド・トラフォードでプレーする、新シーズンプレゼン試合に招かれたと知った時など、もしイラオラ監督のチームが昨季前半の快進撃を後半も維持していれば、それこそプレミアリーグ6位でELに出場するユナイテッドとヨーロッパの大会で顔を合わせることになっていたかもしれないのにと、少し残念な気もしたんですけどね。
それでもリーガ12位で終わったラージョにしてみれば、滅多にないビッグチームと手合わせするチャンスですし、2014-15シーズンにモナコからのレンタルでプレーしたファルカオ、2010年から2014年までユナイテッドに所属、といってもうち3年間はレンタルに出ていたんですが、ベベなんかは懐かしく思ったりする?ところがその直後、7月30日にはアトレティコがオスロでユナイテッドと対戦という記事を見つけて、目をパチクリさせることに。何かの間違いじゃないかと、向こうのオフィシャルウェブも見たところ、本当に2日連続で試合すると書いてあったから、これはもう、信じるしかありませんって。
うーん、昨季はCL16強対決で総合スコア2-1と勝利している相手ですし、今年は原点回帰して、ロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)での地獄のサマーキャンプをみっちり2週間。その後、27日にはブルゴス・デ・オスナでのヘスス・ヒル杯でヌマンシア(RFEF1部)とプレシーズンマッチ初戦を迎え、この月曜にお目見えとなった赤のストライプがうねうねしている新ユニフォームを着ての足慣らしもできるため、シメオネ監督のチームには特に問題はないと思いますけどね。ただ、この7月末の連戦前、ユナイテッドはタイとオーストラリアへ親善試合ツアーにも行くようで、新任のテン・ハグ監督は初っ端から、ハードスケジュールに悩まされることになりそうですが、ま、それは他人事。
アトレティコの残りのプレシーズンマッチは8月にここ2年連続参加となるカランサ杯(カディス主催の夏の親善大会)とイスラエルへの遠征があるようですが、その一方で昨季のリーガ、CL2冠王者のレアル・マドリーはアメリカツアーへ。いえ、コロナ禍が始まって以来、UCLAに滞在しての長期キャンプはやらなくなったんですけどね。この夏は7月23日にラス・ベガスでクラシコ(伝統の一戦、マドリーvsバルサ戦のこと)、26日にはサンフランシスコでクラブ・アメリカ戦、30日には本家本元のロサンジェルスでユベントス戦と、パパッと試合だけして、あとはバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でトレーニングするよう。
ちなみにシーズンも終わり、とうに活動を停止しているバルデベバスではこの週明け、立て続けにイベントがあって、まず月曜には昨季限りでマドリーを退団するマルセロのお別れセレモニー。私はまだ、マラガから戻れていなかったものの、やはり前日、ラ・ロサレダ(2部のマラガのホーム)でのスペイン代表戦が終わってすぐ、サッカー協会のチャーター便で帰京できた人は余裕がありますね。バケーションに出る前のアセンシオとカルバハルの2人、アンチェロッティ監督やRMカスティージャのラウール監督も出席して、施設の関係者専用エリアでペレス会長の送辞やマルセロのスピーチといった内輪のセレモニーが行われた後、プレスルームでマスコミを前に記者会見があったんですが、もう12年も経つんですね。その頃はセッションも見学できて、よくバルデベバスに行っていた私が、18才でマドリーに入団した初々しい彼をクラブの女子職員たちがベタ推し。最高に可愛いと褒めそやしているのに呆気に取られていた時から。
クラブとの話し合いで契約延長はせず、マドリーを離れるのが双方のためになるという結論に至ったそうですが、「la vida no se acaba aquí/ラ・ビダ・-・ノー・セ・アカバ・アキー(人生がここで終わる訳じゃない)」とまだ、現役引退はしないことも表明。新シーズンにはどこか、違うチームで元気にプレーしている彼の姿が見られるものと思いますが、去る者あれば来たる者ありとはよく言ったものです。翌火曜には前夜、パリのスタッド・ド・フランスでフランス代表のネーションズリーグ4節、クロアチア戦でプレーしていたチュアメニが入団プレゼンされているんですから、まったくせわしない。
こちらもまあ、形式はマルセロと同じで、マスコミ非公開で内部セレモニーがあった後、モナコから移籍金1憶ユーロ(約142億円)でやって来た22才のMFが記者会見。「CL決勝トーナメントのremontada(レモンターダ/逆転突破)を見てすぐ、代理人にメッセージを送ったんだ。マドリーに移籍するため、できることは全部やってくれって」という本人はPSGからのオファーにも心が揺らがなかったようで、代表合宿中にはエムバペにも「ボクのファーストチョイスはマドリーだから」と言って、納得してもらったらしいんですけどね。
とはいえ、前日はPKでクロアチアの決勝点を挙げ、フランスを2試合残して、2連覇の懸かったファイナルフォーへの出場権がもらえる1位の座から、完全に遠ざけたモドリッチを始め、チュアメニのプレーするポジションはブラジル代表レギュラーのカセミロ、そしてクロースがいる激戦区。もちろんベンゼマやカマビンガら、代表仲間がチームメートにいるのは心強いはずですが、何せ、8月から始まるシーズンの3カ月余りでプレー時間が少ないと、11月のW杯の招集メンバーから漏れる可能性もありますからね。好きな背番号だという8に一番近かった18を選んだ彼ですが、果たしてこの賭けは吉と出るのでしょうか。
え、ベンゼマがオーストリア代表の同僚アラバをケガさせてしまったりと、順位以外でも波乱万丈。挙句の果てに今はBリーグへの降格を避けるため、最下位脱出が最優先課題となったフランスとは対照的に、ネーションズリーグの4試合が終わってみれば、最後は丸く収まっていたチームもあるんだろうって?いやあ、その通りで、昨年はファイナルフォー決勝でフランスを前に涙を飲んだスペインは日曜に4節のチェコ戦をプレーしたんですけどね。前日からマラガ入りしていた私も昼間は近隣のビーチで地中海の海を楽しんだ後、いそいそとラ・ロサレダに向かったんですが、6年ぶりの代表戦に地元のファンの熱気が凄かったことといったらもう。
スタジアム周辺の人の多さからして、クラクラウするぐらいだったんですが、一分の隙もなく埋まったスタンドが赤と黄の色に染まっている光景はまさに壮観の一言。ただ、序盤はチェコも高い位置でプレスをかけてきたため、スペインが攻勢に出られず、前半15分には退屈したファンたちが場内を何周もするola(オラ/ウェーブ)を始めたりしたんですけどね。幸い、プラハでの試合では痛い目にあったカウンターも今回は不発。チェルニー(トゥエンテ)、クフタ(ロコモティブ・モスクワ)のシュートはGKウナイ・シモン(アスレティック)がしっかり弾いてくれたから、助かったの何のって。
すると24分、コケ(アトレティコ)がセンターから出したロングパスが珍しく味方にヒットし、極上のコントロール力を見せたアセンシオがゴール前にボールを入れると、後ろから駆けつけたカルロス・ソレル(バレンシア)が押し込んで先制点が入ったんです!いやあ、3節のスイス戦ではマルコス・ジョレンテ(アトレティコ)のアシストでサラビア(昨季はPSGからスポルティングCPにレンタル移籍)が決勝点を挙げたんですが、同じMFでもこの夏、アトレティコ移籍の噂が出ているソレルはPKのスペシャリストで、直接FKのゴールとかも決めていますからね。本当にシメオネ監督のチームに来たら、それこそコケなんて、先発を下ろされてしまうんじゃないかと心配しているのは私だけ?
ちなみにその3分後にもアセンシオからまたパスをもらい、今度はゴール枠を外してしまったソレルでしたが、まだ先のことは決めていないと試合後の記者会見でコメント。「Ahora mismo voy a coger el coche y me voy a marchar a Sevilla que me está esperando mi novia/アオラ・ミスモ・ボイ・ア・コヘール・エル・コーチェ・イ・メ・ボイ・ア・マルチャル・ア・セビージャ・ケ・メ・エスタ・エスペランドー・ミ・ノビア(今すぐボクは車を捕まえて、彼女が待っているセビージャに行くよ)」と先週、ボルダラス監督が1年契約を残して解任され、もうガットゥーゾ新監督がパテルナ(バレンシアの練習場)で仕事を始めている地元には帰る気がないようでしたが、まあ、それはそれ。
試合の方は前半31分にはウナイ・シモンが再びやらかして、ゴールキックをエリア内にいたペセク(プタルタ・プラハ)に蹴ってしまうなんてこともあったんですが、大事には至らず、1-0のままハーフタイムに入ることに。後半、再びローテーションを始めたルイス・エンリケ監督は13分にはモラタ(昨季はアトレティコからユベントスにレンタル)、ソレルをフェラン・トーレス、ガビ(バルサ)に代えたんですが、今回の4試合目で初めてスタメン落ちした17才はもう完全にスペイン代表のアイドルになっちゃったようですねえ。
ええ、声を揃えての大音量コールはもちろん、ボールに触る度、拍手されるぐらいの人気だったんですが、いくら「Es un volcán en erupción/エス・ウン・ボルカン・エン・エルプシオン(噴火中の火山のような選手)。私が昨日、ガビにはピッチの外でも中でも改善するところが沢山あると会見で伝えたメッセージも素早く受け取った」とルイス・エンリケ監督も褒めていたとはいえ、もし彼が27才だったら、ここまでファンも神扱いしなかったのでは?
とうとう当たりが出たのは26分、アセンシオがサラビアに代わった後のことでした。ええ、30分にはガビが出したパスをダニ・オルモ(ライプツィヒ)がエリア内のフェランに送り、そこからゴール前に入ったボールをオルモは撃たず、ファーサイドにいたサラビアがワンタッチでネットの中へ。これで2-0になったため、いえ、先週の対戦でチェコとは2-2で引分けていたスペインですから、僅かな懸念はあったんですけどね。そのすぐ後にはコケとミケル・アロンソ(チェルシー)をブスケツとジョルディ・アルバに代え、ピッチを5人のバルサ勢が占める中、「Hemos tenido una energía extra de la afición que nos ha empujado/エモス・テニードー・ウナ・エネルヒア・エクストラ・デ・ラ・アフィシオン・ケ・ノス・ア・エンプハードー(ボクらは後押ししてくれるファンからエキストラのエネルギーをもらった)」(エリック・ガルシア)おかげか、そのまま、失点なしで勝つことができましたっけ。
そして試合後には予期せぬ朗報も待っていて、同時進行だったスイスvsポルトガル戦では開始1分、セフェロビッチ(ベンフィカ)のヘッドによる1点がモノを言って、スイスが今回のネーションズリーグで初勝利をゲット。この試合の前にクリスチアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド)をお役御免にして、早めのバケーションを与えたフェナンド・サントス監督を激しく後悔させることになったんですが、その結果、スペインがポルトガルを追い越して、勝ち点差1で首位に立つとは、あら不思議。いやまあ、9月にあるサラゴサでのスイス戦、ブラガでのポルトガル戦が終わってみないと、またファイナルフォーに行けるかどうかはわからないんですけどね。
その頃になれば、今回は見学参加だったアンス・ファティ(バルサ)、シーズン最後の最後まで、ケガに祟られたジェラール・モレノ(ビジャレアル)、CL決勝にムリして出たため、間に合わなかったチアゴ・アルカンタラ(リバプール)らもプレーできるはずですからね。試合の後は選手皆で場内一周と最近はまた、チームとファンの雰囲気もいいようですし、一応、これでスペインは上げ潮に乗ったと言っていいかと。折しも火曜にはニュージーランドとの大陸間プレーオフにコスタリカが1-0で勝利。ようやくW杯グループリーグ初戦で彼らが戦うチームも決まったことですし、続いてドイツ、日本と当たる異例の冬の大会もだんだん、楽しみになってきました。
それでもリーガ12位で終わったラージョにしてみれば、滅多にないビッグチームと手合わせするチャンスですし、2014-15シーズンにモナコからのレンタルでプレーしたファルカオ、2010年から2014年までユナイテッドに所属、といってもうち3年間はレンタルに出ていたんですが、ベベなんかは懐かしく思ったりする?ところがその直後、7月30日にはアトレティコがオスロでユナイテッドと対戦という記事を見つけて、目をパチクリさせることに。何かの間違いじゃないかと、向こうのオフィシャルウェブも見たところ、本当に2日連続で試合すると書いてあったから、これはもう、信じるしかありませんって。
うーん、昨季はCL16強対決で総合スコア2-1と勝利している相手ですし、今年は原点回帰して、ロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)での地獄のサマーキャンプをみっちり2週間。その後、27日にはブルゴス・デ・オスナでのヘスス・ヒル杯でヌマンシア(RFEF1部)とプレシーズンマッチ初戦を迎え、この月曜にお目見えとなった赤のストライプがうねうねしている新ユニフォームを着ての足慣らしもできるため、シメオネ監督のチームには特に問題はないと思いますけどね。ただ、この7月末の連戦前、ユナイテッドはタイとオーストラリアへ親善試合ツアーにも行くようで、新任のテン・ハグ監督は初っ端から、ハードスケジュールに悩まされることになりそうですが、ま、それは他人事。
ちなみにシーズンも終わり、とうに活動を停止しているバルデベバスではこの週明け、立て続けにイベントがあって、まず月曜には昨季限りでマドリーを退団するマルセロのお別れセレモニー。私はまだ、マラガから戻れていなかったものの、やはり前日、ラ・ロサレダ(2部のマラガのホーム)でのスペイン代表戦が終わってすぐ、サッカー協会のチャーター便で帰京できた人は余裕がありますね。バケーションに出る前のアセンシオとカルバハルの2人、アンチェロッティ監督やRMカスティージャのラウール監督も出席して、施設の関係者専用エリアでペレス会長の送辞やマルセロのスピーチといった内輪のセレモニーが行われた後、プレスルームでマスコミを前に記者会見があったんですが、もう12年も経つんですね。その頃はセッションも見学できて、よくバルデベバスに行っていた私が、18才でマドリーに入団した初々しい彼をクラブの女子職員たちがベタ推し。最高に可愛いと褒めそやしているのに呆気に取られていた時から。
今や当人は35才となり、12才の長男のエンツォ君など、マドリーのインファンティルB(ユースチーム)でFWとして活躍するまでに成長。最後のシーズンはCL決勝を含め、あまり出番がありませんでしたが、「La última no la jugué, y fue en la que más importante me sentí/ラ・ウルティマ・ノー・ラ・フゲ、イ・フエ・エン・ラ・ケ・マス・インポルタンテ・メ・センティ(最後の決勝はプレーしなかったけど、一番、自分が重要な役目を負っていると感じた)。ロドリゴが怯えていたから、ベンチで5分程、話したんだ。ミリトンやバルベルデともね。そんなこと、前の4回の決勝ではやらなかった。若い選手たちと話して、残り2分にはハグしたりとか。不可能なことはないと彼らが理解できるように、そういう内面的なことを自分は残したかった」というマルセロの言葉にはまさに、ベテランの重みが感じられるかと。
クラブとの話し合いで契約延長はせず、マドリーを離れるのが双方のためになるという結論に至ったそうですが、「la vida no se acaba aquí/ラ・ビダ・-・ノー・セ・アカバ・アキー(人生がここで終わる訳じゃない)」とまだ、現役引退はしないことも表明。新シーズンにはどこか、違うチームで元気にプレーしている彼の姿が見られるものと思いますが、去る者あれば来たる者ありとはよく言ったものです。翌火曜には前夜、パリのスタッド・ド・フランスでフランス代表のネーションズリーグ4節、クロアチア戦でプレーしていたチュアメニが入団プレゼンされているんですから、まったくせわしない。
こちらもまあ、形式はマルセロと同じで、マスコミ非公開で内部セレモニーがあった後、モナコから移籍金1憶ユーロ(約142億円)でやって来た22才のMFが記者会見。「CL決勝トーナメントのremontada(レモンターダ/逆転突破)を見てすぐ、代理人にメッセージを送ったんだ。マドリーに移籍するため、できることは全部やってくれって」という本人はPSGからのオファーにも心が揺らがなかったようで、代表合宿中にはエムバペにも「ボクのファーストチョイスはマドリーだから」と言って、納得してもらったらしいんですけどね。
とはいえ、前日はPKでクロアチアの決勝点を挙げ、フランスを2試合残して、2連覇の懸かったファイナルフォーへの出場権がもらえる1位の座から、完全に遠ざけたモドリッチを始め、チュアメニのプレーするポジションはブラジル代表レギュラーのカセミロ、そしてクロースがいる激戦区。もちろんベンゼマやカマビンガら、代表仲間がチームメートにいるのは心強いはずですが、何せ、8月から始まるシーズンの3カ月余りでプレー時間が少ないと、11月のW杯の招集メンバーから漏れる可能性もありますからね。好きな背番号だという8に一番近かった18を選んだ彼ですが、果たしてこの賭けは吉と出るのでしょうか。
え、ベンゼマがオーストリア代表の同僚アラバをケガさせてしまったりと、順位以外でも波乱万丈。挙句の果てに今はBリーグへの降格を避けるため、最下位脱出が最優先課題となったフランスとは対照的に、ネーションズリーグの4試合が終わってみれば、最後は丸く収まっていたチームもあるんだろうって?いやあ、その通りで、昨年はファイナルフォー決勝でフランスを前に涙を飲んだスペインは日曜に4節のチェコ戦をプレーしたんですけどね。前日からマラガ入りしていた私も昼間は近隣のビーチで地中海の海を楽しんだ後、いそいそとラ・ロサレダに向かったんですが、6年ぶりの代表戦に地元のファンの熱気が凄かったことといったらもう。
スタジアム周辺の人の多さからして、クラクラウするぐらいだったんですが、一分の隙もなく埋まったスタンドが赤と黄の色に染まっている光景はまさに壮観の一言。ただ、序盤はチェコも高い位置でプレスをかけてきたため、スペインが攻勢に出られず、前半15分には退屈したファンたちが場内を何周もするola(オラ/ウェーブ)を始めたりしたんですけどね。幸い、プラハでの試合では痛い目にあったカウンターも今回は不発。チェルニー(トゥエンテ)、クフタ(ロコモティブ・モスクワ)のシュートはGKウナイ・シモン(アスレティック)がしっかり弾いてくれたから、助かったの何のって。
すると24分、コケ(アトレティコ)がセンターから出したロングパスが珍しく味方にヒットし、極上のコントロール力を見せたアセンシオがゴール前にボールを入れると、後ろから駆けつけたカルロス・ソレル(バレンシア)が押し込んで先制点が入ったんです!いやあ、3節のスイス戦ではマルコス・ジョレンテ(アトレティコ)のアシストでサラビア(昨季はPSGからスポルティングCPにレンタル移籍)が決勝点を挙げたんですが、同じMFでもこの夏、アトレティコ移籍の噂が出ているソレルはPKのスペシャリストで、直接FKのゴールとかも決めていますからね。本当にシメオネ監督のチームに来たら、それこそコケなんて、先発を下ろされてしまうんじゃないかと心配しているのは私だけ?
ちなみにその3分後にもアセンシオからまたパスをもらい、今度はゴール枠を外してしまったソレルでしたが、まだ先のことは決めていないと試合後の記者会見でコメント。「Ahora mismo voy a coger el coche y me voy a marchar a Sevilla que me está esperando mi novia/アオラ・ミスモ・ボイ・ア・コヘール・エル・コーチェ・イ・メ・ボイ・ア・マルチャル・ア・セビージャ・ケ・メ・エスタ・エスペランドー・ミ・ノビア(今すぐボクは車を捕まえて、彼女が待っているセビージャに行くよ)」と先週、ボルダラス監督が1年契約を残して解任され、もうガットゥーゾ新監督がパテルナ(バレンシアの練習場)で仕事を始めている地元には帰る気がないようでしたが、まあ、それはそれ。
試合の方は前半31分にはウナイ・シモンが再びやらかして、ゴールキックをエリア内にいたペセク(プタルタ・プラハ)に蹴ってしまうなんてこともあったんですが、大事には至らず、1-0のままハーフタイムに入ることに。後半、再びローテーションを始めたルイス・エンリケ監督は13分にはモラタ(昨季はアトレティコからユベントスにレンタル)、ソレルをフェラン・トーレス、ガビ(バルサ)に代えたんですが、今回の4試合目で初めてスタメン落ちした17才はもう完全にスペイン代表のアイドルになっちゃったようですねえ。
ええ、声を揃えての大音量コールはもちろん、ボールに触る度、拍手されるぐらいの人気だったんですが、いくら「Es un volcán en erupción/エス・ウン・ボルカン・エン・エルプシオン(噴火中の火山のような選手)。私が昨日、ガビにはピッチの外でも中でも改善するところが沢山あると会見で伝えたメッセージも素早く受け取った」とルイス・エンリケ監督も褒めていたとはいえ、もし彼が27才だったら、ここまでファンも神扱いしなかったのでは?
とうとう当たりが出たのは26分、アセンシオがサラビアに代わった後のことでした。ええ、30分にはガビが出したパスをダニ・オルモ(ライプツィヒ)がエリア内のフェランに送り、そこからゴール前に入ったボールをオルモは撃たず、ファーサイドにいたサラビアがワンタッチでネットの中へ。これで2-0になったため、いえ、先週の対戦でチェコとは2-2で引分けていたスペインですから、僅かな懸念はあったんですけどね。そのすぐ後にはコケとミケル・アロンソ(チェルシー)をブスケツとジョルディ・アルバに代え、ピッチを5人のバルサ勢が占める中、「Hemos tenido una energía extra de la afición que nos ha empujado/エモス・テニードー・ウナ・エネルヒア・エクストラ・デ・ラ・アフィシオン・ケ・ノス・ア・エンプハードー(ボクらは後押ししてくれるファンからエキストラのエネルギーをもらった)」(エリック・ガルシア)おかげか、そのまま、失点なしで勝つことができましたっけ。
そして試合後には予期せぬ朗報も待っていて、同時進行だったスイスvsポルトガル戦では開始1分、セフェロビッチ(ベンフィカ)のヘッドによる1点がモノを言って、スイスが今回のネーションズリーグで初勝利をゲット。この試合の前にクリスチアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド)をお役御免にして、早めのバケーションを与えたフェナンド・サントス監督を激しく後悔させることになったんですが、その結果、スペインがポルトガルを追い越して、勝ち点差1で首位に立つとは、あら不思議。いやまあ、9月にあるサラゴサでのスイス戦、ブラガでのポルトガル戦が終わってみないと、またファイナルフォーに行けるかどうかはわからないんですけどね。
その頃になれば、今回は見学参加だったアンス・ファティ(バルサ)、シーズン最後の最後まで、ケガに祟られたジェラール・モレノ(ビジャレアル)、CL決勝にムリして出たため、間に合わなかったチアゴ・アルカンタラ(リバプール)らもプレーできるはずですからね。試合の後は選手皆で場内一周と最近はまた、チームとファンの雰囲気もいいようですし、一応、これでスペインは上げ潮に乗ったと言っていいかと。折しも火曜にはニュージーランドとの大陸間プレーオフにコスタリカが1-0で勝利。ようやくW杯グループリーグ初戦で彼らが戦うチームも決まったことですし、続いてドイツ、日本と当たる異例の冬の大会もだんだん、楽しみになってきました。
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