リーガの決着がついた…/原ゆみこのマドリッド

2022.05.24 22:30 Tue
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「今ならメガプレゼンの絶好の機会だったのに」そんな風に私がガッカリしていたのは月曜日、とうとう今季リーガ1部の全日程が終わり、W杯も11月開催とあって、これからしばらく暇を持て余すことに気がついた時のことでした。いやあ、去年の夏もエムバペ移籍に2億ユーロ(約280億円)のオファーを出して、PSGに蹴られたレアル・マドリーだったんですけどね。昨季はコロナの流行により、ホームゲーム全てをエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)で無観客開催。サンティアゴ・ベルナベウではシーズオフになっても全面改装工事が続いていたため、とてもファンをスタンドに入れての入団プレゼンなんて望めなかったのは本当ですよ。

今季はまだ事情が変わり、昨年9月からはベルナベウのスタンドにも観客が入れるようになって、いえまあ、そのおかげでCL決勝トーナメント16強対決PSG戦、準々決勝チェルシー戦、準決勝マンチェスター・シティ戦と3回も奇跡のremontada(レモンターダ/逆転突破)を達成することができたという見方もありますけどね。もちろん、この土曜のリバプールとの決勝もスタジアムに大型スクリーンを設置して、ソシオ(協賛会員)限定のスタッド・ド・フランスのチケット購入権やUEFA販売分の抽選に外れたファンのため、もしくは航空券や宿泊費の高騰で涙を飲んだ私のような者のため、パブリックビューイングを実施してくれるんですが、マドリーの場合、ピッチに組んだその設備が翌日夜には祝賀イベントの舞台に転用されるのも2014年以来、4回あったCL決勝のお約束。

その分、スタッフも手馴れているというのはともかく、まだ場内にはシートに覆われているセクションがあるため、2009年夏に8万人を集めたクリスティアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッドから移籍)には及ばずとも、エムバペの入団プレゼンも2019年に5万人が駆けつけた現時点で最後のギャラクティコ、アザール(同チェルシー)並みの規模にはなったんじゃないかと思いますが、いやあ。それがまさか、2週間程前にはマドリッドをチームの同僚アクラフと電撃訪問。フランス・サッカー協会の年間最優秀選手表彰行事のミックスゾーンなどでも一段と流暢になったスペイン語での受け答えを披露していたため、もうマドリーへの入団契約はまとまっているとまで言われていた彼なんですけどね。

先週半ば辺りから急に風向きが変わり、とうとうリーグ1最終節のメス戦キックオフ前にパルク・デ・プランスのピッチにアル・ケライフィ会長と立ち、2025年までの契約延長を発表って、もしやこれがPSGのレモンターダ返し?うーん、そのメス戦でハットトリックを挙げ、リーグ優勝したチームの有終の美に華を添えたエムバペは日曜の記者会見で、「マドリーファンの失望はわかるけど、ボクの決断を理解してほしい。自分はフランス人で、ここでキャリアを続けてタイトルを獲りたい」と言っていましたけどね。マルカ(スポーツ紙)などによると、マドリーの提示したPrima de fichaje(プリマ・デ・フィチャヘ/移籍金なしで入団する選手へのボーナス)は1憶3000万ユーロ(約180億円)に対して、PSGのPrima de renovacion(プリマ・デ・レノバシオン/契約延長へのボーナス)は3億ユーロ(約420億円)。

年棒も向こうが税引き後5000万ユーロ(約69億円)、マドリーは2600万ユーロ(約36億円)と、金額だけ見ると、比べ物にならないんですが、何とも世知辛い。こうなると今回、パリでの決勝では絶対勝って、クラブ大会最高のタイトルを得るには、マドリーが最適な場所であることを知らしめてやりたいという、ファンの気持ちもわかりますが、実際問題として、今季リーガ27得点でピチチ(得点王)に輝いたベンゼマは34才とはいえ、まだ1、2年は賞味期限がありそうですしね。

同17得点で2位のビニシウス、ロドリゴらも順調に成長しているため、アタッカーの補強が是が非でも必要ではないとはいえ、ここしばらく、ギャラクティコ選手の加入がないのはちょっと、淋しい感もなくはなし。まあ、モナコにいた2017年頃から、追いかけていたクラックに振られてしまったペレス会長が次に誰をターゲットにするかは、おいおいに名前も出て来るかと思いますが、今は先週末のリーガ最終節の話をしていかないと。

金曜にはベルナベウでのベティス戦に行った私だったんですが、5節前には優勝が決まり、ここ4試合はずっと消化試合モードだったせいか、ファンの関心もすでにCL決勝一択。ええ、fondo sur/フォンド・スール(南側ゴール裏席)に上がった横断幕も「El Rey de Europa siempre vuelve/エル・レイ・デ・エウロッパ・シエンプレ・ブエルベ(ヨーロッパの王は常に戻ってくる)」という文面でしたし、「Nos vamos a Paris!/ノス・バモス・ア・パリス(ボクらはパリへ行く)」のカンティコも何度か聞こえましたしね。試合の方はまず、マドリーの選手がPasillos de campeones(パシージョ・デ・カンペオネス/チャンピオンの花道)を作って、コパ・デル・レイ王者であるベティスを迎えると、そこを通り向けた選手たちがまたは花道を作って、リーガ王者のマドリーを称えるというdoble pasillo/ドブレ・パシージョ(花道ダブル)でスタート。

それはそれで私も初めて見たため、興味深かったんですが、ゲーム的には同時刻に始まったエスタディオ・バジェカスの方が沢山、ゴールが生まれていたんですよね。ええ、前半18分にはアルバロ・ガルシアが口火を切って、1部残留祝いに集まったラージョのファンを歓喜させたものの、すでに兄貴分とのベルナベウの試合で2部降格が決まっていたレバンテながら、26分にはマレロが反撃の狼煙を上げる同点弾。44分にもロジェールに決められ、リードが広がっただけでなく、後半はキャプテンのモラレスに1部お別れゴールを奪われたと思いきや、一転、その直前のプレーが見直しVAR(ビデオ審判)でペナルティに。セルジ・グアルディオラがPKを沈めて、1-4のスコアが2-3に変わるとは、あら不思議。

とはいえ、3節前の弟分ダービーで残留を達成して以来、すでにラージョの選手たちの頭はバケーション入りしていたんでしょう。結局、31分にはコケに4点目を決められて、2-4で負けてしまいましたが、え、私がオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の2元中継でレバンテのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を聞いている間、マドリーとベティスは何をしていたのかって?いやあ、それがロドリゴとナチョ以外、土曜のCL決勝先発メンバーを並べたアンチェロッティ監督だったんですが、選手たちも「El partido ha sido más para coger ritmo, se notaba más como un partido de verano/エル・パルティードー・ア・シードー・マス・パラ・コヘール・リトモ、セ・ノタバ・マス・コモ・ウン・パルティードー・デ・ベラーノ(どちらかと言うと、リズムを掴むための試合で、夏のプレシーズンマッチみたいな感じだったね)」(クルトワ)というのが災いしましたかね。

遠めからシュートを撃つばかりだったんですが、後半24分には6月で契約の終わるマルセロ、イスコ、移籍濃厚のセバージョスが出場。結局、ベンチにも入らなかったベイルを除いて、ベルナベウのファンとのお別れセレモニーとなってしまったのと並行して、相手のベティスもやはり、勝ち点1で5位確定となれば、どこにムリする必要があるでしょう。こちらも28分には7月に42才となるホアキンがピッチに立ち、両チームのファンが1部リーグ最多出場歴代2位の600試合となる彼を拍手で迎えていましたが、最後までゴールはなく、試合はスコアレスドローで終わってしまいましたっけ。

ちなみにマドリーは週明けの月曜から、CL決勝に向けての練習を再開したんですが、そちらには予定通り、負傷のリハビリの終わったアラバの姿があったのは心強いかと。ええ、アンチェロッティ監督も「4月26日からプレーしてないが、決勝はフィジカルだけが出場の目安ではない。También la habilidad y la experiencia/タンビエン・ラ・アビリダッド・イ・ラ・エクスペリエンシア(能力と経験もある)」と言っていた通り、彼がナチョに代わってスタメンに入るのは確実なようですが、何せ相手のリバプールはマドリーより2日遅い日曜にプレミリーグ最終節をプレーしていますからね。

それだけでなく、せっかく序盤に先行された1点をマネ、サラー、ロバートソンのゴールで3-1と逆転して、ウォルバーハンプトンに勝ちながら、やはりアストン・ビラに2点リードされたマンチェスター・シティも終盤にギュンドガンの2発とロドリのゴールで逆転勝利したため、リーグ優勝には届かず。勝ち点差1で2位に留まった無念さが、2018年にキエフでのCL決勝でマドリーに負けているクロップ監督のリベンジ願望を更にヒートアップさせるかどうかはわかりませんが、その試合ではチアゴ・アルカンタラが筋肉系の負傷をするという逆境も。

そのチアゴが月曜に発表された6月のネーションズリーグ用のスペイン代表招集リストに入っていたのは気になったんですが、CL決勝には間に合わないようですしね。そうそう、バルサを率いてCL優勝経験のあるルイス・エンリケ監督は、「si alguien merece ganar esta Champions es el Real Madrid/シー・アルギエン・メレセ・ガナール・エスタ・チャンピオンス・エス・エル・レアル・マドリー(誰かがこのCLを勝つに値するとしたら、レアル・マドリーだ)」と代表の記者会見で言っていたんですが、きっと今頃はクロップ監督も如何に敵のレモンターダ発動を封じるか、頭を絞っているんじゃないでしょうか。

そして1日空けて日曜、何も懸かってなかったもう1つの弟分、ヘタフェは午後5時30分という早い時間の試合でエルチェに3-1で負けてしまうことに。うーん、やはり彼らもラージョ同様、前節に残留が確定した後は気が緩んだか、せっかく前半33分にはヤンクトのクロスから、エネス・ウナルが自身今季16得点目となるゴールを挙げて先制しながら、3分後にはオラサに同点にされると、後半、キケ・ペレスに2発を浴びてしまったんですが、大丈夫。先に残留を決めていたエルチェだって、その後は負けていましたし、人の心理なんて所詮、そんなもんですって。

これで15位でのシーズン終了が決まったヘタフェでしたが、まさか、その次の時間帯にはボルダラス監督(現バレンシア)の下、一時代を築いたOBのベテランFWたちが吉凶分けることになるとは。ええ、残留を争っていたマジョルカではアンヘルがオサスナ戦で先制点を挙げたかと思えば、キックオフ前は16位にいたグラナダのホルヘ・モリーナがエスパニョール戦でPKを外してしまったから、さあ大変!全ては同時進行の後半での出来事で、そうこうするうち、カディスがロサノのゴールで降格済みのアラベスをリード、マジョルカもグラニエルが追加点を入れて0-2で勝利と、最後は0-0で終わったグラナダが第3の2部行きチームになるとは一体、誰に予想できたでしょう。

といっても私の関心があったのは夜10時から始まったレアル・ソシエダvsアトレティコ戦の方で、もうイマノル監督のチームはベティスを追い越して、5位に上がれる可能性はなかったんですけどね。それでも前半はセルロートのシュートをGKオブラクが弾いた後、ラフィーニャが蹴ったボールがポストに当たって逸れたり、その彼が再び1対1で外したりと、チャンスはソシエダの方があったんですが、どうやらハーフタイムには前日の記者会見で、「el objetivo del club es entrar en Champions, pero el nuestro es salir campeón/エル・オブヘティーボ・デル・クルブ・エス・エントラール・エン・チャンピオンズ、ペロ・エル・ヌエストロ・エス・サリール・カンペオン(クラブの目標はCL出場権獲得だったが、我々の目標は優勝だった)」と言っていたシメオネ監督の方から、今季最後の喝が入ったよう。

同時に「4-4-2と5-3-2を併用してきて、eso también produjo en mí una situación de marearme un poco/エソ・タンビエン・プロドゥーホ・エン・ミ・ウナ・シトゥアシオン・デ・マレアルメ・ウン・ポコ(それもちょっと、自分自身に眩暈を起こさせることになった)」(シメオネ監督)というフォーメーションにも訂正が入ったのが良かったんでしょうか。再開1分にエリア前からのシュートをGKレミロに止められていたデ・パウルが6分には同じような位置から、今度はgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めてしまったから、ビックリしたの何のって。

いやあ、実はこの時、多分、午後10時という遅いキックオフだったせいで、オンダ・マドリッドが実況中継を前半だけで終了。仕方なく、ラジオ・マルカ(スポーツ専門局)を聞いていたんですが、経費削減で近年、アウェイにスタッフを送らず、TV中継を見ながら実況している前者とは違い、後者はアナがスタジアムにいるんですね。よって、バル(スペインの喫茶店兼バー)のTVにゴールシーンが映る前から、「Gol, gol, gol, gol!」の絶叫が始まり、もしや勝ち点差1で3位の座を狙っているセビージャがアスレティック戦で先制したのかと、私も泡を喰らってしまったんですが、TVの映像は20秒程、遅いんですよ。まさか、それがアトレティコのゴールだったとは、ホント、心臓に悪い。

幸い直後にサンチェス・ピスファンで決まったレキクのゴールはオフサイドで認められなかったんですが、いや、だから普段、私はマドリッド勢のナレーションしかしないオンダ・マドリッドのヘビーリスナーなんですけどね。グリーズマンの1対1のシュートがGKを直撃した後の23分、今度はラファ・ミールがゴールを挙げ、本当にセビージャがリードするやいなや、レアル・アレナではカラスコのクロスをエリア内でコケが繋ぎ、コレアがシュート。アトレティコに2点目が入ったとなれば、もう3位の座は安泰と思っていい?

いやまあ、ロスタイムにはフェリペのハンドでエリア前ギリギリのFKを献上。ヤヌザイの蹴ったボールはオブラクが弾いたものの、グリディにヘッドを決められて、1点差に迫られたなんてことはあったんですけどね。何とか1-2で逃げ切ったアトレティコは、1-0で勝利した4位との勝ち点差1をキープ。シメオネ監督就任2年目以来、ずっと3位以上という記録を守ったんですが、どこかファンに物足りなさが残るのはやはり昨季、リーガの頂点を極めてしまったせいだったかと。

ええ、コケなども「Cuando tienes las expectativas tan altas... ha sido un año compicado/クアンドー・ティエネス・ラス・エスペクティーバス・タン・アルタス…ア・シードー・ウン・アーニョ・コンプリカードー(期待値があんなに高いと…難しい年だったよ)」と告白していましたが、全てのチームがお隣りさんのようにはなれませんからね。イマノル監督にしてみれば、6位のソシエダでも「Ha sido un temporadón/ア・シードー・ウン・テンポラドン(今季は凄いシーズンだった)」そうですし、CL準決勝まで進みながら、最終節でバルサに0-2と勝って、ようやく7位でコンフェレンスリーグ(UEFA第3の大会)の出場権を勝ち取ったビジャレアルのエメリ監督も自身が14年連続でヨーロッパの大会に行けることで良しとしているようでしたし…いつかはアトレティコも毎年、タイトルを争えるぐらい強くなってくれたら、嬉しいですよね。

【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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月が替われば、バケーションも終わる…/原ゆみこのマドリッド

「ちょっとズレたところで結果、良かったのかなあ」そんな風に私が自分を納得させていたのは火曜日、プエルタ・デ・ソルの7階建てビルにオープンするというサッカー・ミュージアム、レジェンズ-ホーム・オブ・フットボールのプレゼンでもらったパンフレットで、その住所を見つけた時のことでした。いやあ、5月の末、Decimocuarta(デシモクアルタ/14回目のCL優勝のこと)を達成したレアル・マドリーがマドリッド州庁舎を表敬訪問した際もプエルタ・デル・ソルは全面改装工事中。周辺の道全てが広場に入る直前で通行止めになっていたため、バルコニーから挨拶する選手たちを一目見ようと駆けつけたファンも遠巻きに眺めるしかなかったんですけどね。 その状態は数日前、年々、前倒しになってきているサマーセールがとうとう今年は6月後半からスタート。暇に乗じてバーゲン巡りをしていた私が近くを通った時も同じだったんですが、ちょっと調べてみたところ、こちらの工事が終わるのは来年の春なのだとか。となると、12月オープン予定のサッカー・ミュージアムも当面、裏口から入ることになるのかなんて考えていたんですが、大丈夫。 というのもマラドーナやメッシ、チャビ監督がスペインの優勝した2010年W杯で着たユニやアトレティコが1974年にインターコンティネンタルカップ(ヨーロッパと南米の王者が対決するトヨタカップ、現クラブW杯の前身)を制した時のユニなど、5000点余りのサッカー史に残る品々を展示。体験型のゲームセクションやレストランなども併設されるという複合アミューズメント施設の住所は、プエルタ・デル・ソルから東側に向かうCarrera de San Jeronimo(カレラ・デ・サン・ヘロニモ)を50メートル程、行った辺りだったから。 広場に入れなくても問題ありませんが、それならプエルタ・デ・ソルすぐ側にオープンとか言ってくれた方が良かったのにと思ったのは私だけ?他にも少々、引っかかったことがあって、そのプレゼンに出席したマドリッド市長のアルメイダ氏がこのミュージアムを新しい観光スポットと称え、いえ、まあ、アトレティコファンを公言している当人としては、苦肉の策ではあったんでしょうけどね。 「Entre todos los equipos de fútbol tenemos 14 Copas de Europa en esta ciudad/エントレ・トードス・ロス・エキポス・デ・フトボル・テネモス・カトルセ・コパス・デ・エウロッパ・エン・エスタ・シュダッド(全てのサッカーチームの間でこの街は14の欧州カップを獲得している)。そのことだけでもマドリッドがサッカー界で重要な位置を占めていると言えるが」とスピーチを始めたところ、隣に座っていた、自身も2002年のNovena(ノベナ/9回目のCL優勝のこと)に貢献しているUEFA大使のフィーゴが笑いを抑えられず。それも当然、燦然と輝く14個のトロフィーがズラリと展示されているのは、サンティアゴ・ベルナベウにあるお隣さんのミュージアムなんですから、仕方ありませんって。 ただ現在、そのレアル・マドリーはスタジアムが全面改修工事の夏季集中フェーズに入ったため、ミュージアムも閉鎖中で、ピッチどころか、ロッカールームも消滅。ツアー自体やっていないんですけどね。おそらく昨季同様、リーガに頼んで、9月まで遅らせたホーム開幕戦、4節のベティス戦の頃にはまた復活しているんじゃないかと思いますが、となると、この夏の間、マドリッドを訪れるファンが見学できるのはワンダ・メトロポリターノのアトレティコ・ミュージアムだけ。丁度、6月28日から7月17日まではスタジアムツアーでピッチに入れる経路が延長され、かなり中まで行って写真を撮れるため、私も機会があれば、2節のホーム開幕試合ビジャレアル戦前に寄ってみたいものですが…。 え、ということはもう、2022-23シーズンのリーガ日程が決まったのかって?その通りで、先週の木曜にラス・ロサス(マドリッド近郊)にあるサッカー協会本部で抽選があったんですが、8月14日の週末の1節のマドリッド勢は何と、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでヘタフェとアトレティコの兄弟分ダービーからスタートすることに。その一方でもう1つの弟分ラージョはカンプ・ノウでバルサ戦、マドリーは昇格組アルメリアのホーム、フエゴス・メディテラネオスを8年ぶりに訪問します。 ちなみにチェックしておきたい日程としては、まず9月18日の週末にあるワンダでの兄貴分ダービーで、ベルナベウ開催は2月26日。クラシコ(伝統の一戦、バルサ戦のこと)は逆に10月16日がベルナベウ、3月11日がカンプ・ノウとなっているんですが、何しろ今季は11月21日から12月18日の予定でW杯が割り込んできますからね。リーガも11月9日の14節を最後にparon(パロン/一時休止)に入り、12月31日の週末にようやく再開。 年明けは1部チームが参戦するコパ・デル・レイ32強対決が始まり、1月11日から15日にはサウジアラビアでマドリー(昨季リーガ王者)、バルサ(同準優勝)、ベティス(昨季コパ王者)、バレンシア(同準優勝)がファイナルフォーを戦うスペイン・スーパーカップもありますからね。W杯で準決勝、決勝まで行くチームに招集される選手たちはずっと忙しい反面、早期敗退、母国代表が出場しない、もしくは代表とは無縁の選手たちとはかなり、体力的に差が出そうですが、リーガ最終節が6月4日というのも相当な長丁場かと。 とりあえず、今年の分だけ考えるなら、8月25日のCL、ELグループリーグ抽選を待って、9月6、7日から、11月1、2日までと、例年より短期開催されるヨーロッパの大会の日程も決まったところで、サッカー観戦を兼ねたスペイン旅行を計画してみるのも一興かと思いますけどね。いい加減、その頃までには帰国便搭乗前のPCR検査陰性証明も必要なくなっていて欲しいんですが…ランチメニューの平均的な値段、12ユーロが今や1800円程にもなってしまう、最近の円安傾向も日本のファンには痛いところですよね。 まあ、それはともかく、気がつくと日にちが経つのは早くて、世界各国のビーチで海パン姿を披露していた選手たちのバケーションも残りは僅か。来週にはもう、リーガでも多くのチームがプレシーズン練習を開始するんですが、マドリッド勢で一番乗りとなるは月曜スタートのヘタフェ。といっても2日程、恒例のメディカルチェックや体力テストを地元でやった後、すぐにカンポアモール(地中海沿岸にあるゴルフリゾート)へ行ってしまうんですが、あちらでは12日にプレストン(イングランド2部)、21日にはカルタヘナ、24日にはレバンテとリーガ2部チームとの親善試合がすでにセッティング済みです。 よって、先週、レアル・ソシエダからのレンタル移籍が決まったポルトゥのプレゼンなども週明け頃にはあるんじゃないかと思いますが、彼を入れてもまだ、キケ・サンチェス・フローレス監督のチームにはFWが足りなくてねえ。昨季終盤に肩を痛め、同時に恥骨炎の手術もしたマタは回復しているはずですが、ボルハ・マジョラルとサンドロはそれぞれ、マドリー、ウエスカからのレンタル移籍が終了。延長交渉はしているものの、とりわけ前者など、マリアーノ、ヨビッチがベンゼマの控えとしての務めを果たせなかったことから、今季はマドリーを離れる可能性が高いため、アンチェロッティ監督にその後釜として、期待されているのだとか。 結局、アンヘル・トーレス会長が代理人からオファーがあったと暴露し、一時、ヘタフェファンを沸かせたベイルもMSLのLAギャラクシー入りが決まりましたしね。あとはGKダビド・ソリアの控えだったルーベン・ヤネスがマラガ(2部)に行く代わりに降格したアラベスからパチェコが来るとか、同レバンテからデ・フルートス、同グラナダからルイス・ミジャを獲りたいなんて話も挙がってはいるんですが、この辺は果たしてどうなることやら、先を見てのお楽しみといったところでしょうか。 そして第2陣のスタート組は来週金曜、ラージョとマドリーになるんですが、弟分の方は7月19日にサレルニターナ(セリエA)と、31日にマンチェスター・ユナイテッドと親善試合があることがわかっている程度。ヘタフェ同様、こちらもファルカオこそ、残ってくれるものの、セルジ・グアルディオラ(バジャドリーからのレンタルが終了)、シラ(同アラベス)が欠ける前線の補強が待たれているところです。一応、今でもカバーニ(マンチェスター・ユナイテッドと契約が終了)やノリト(同セルタ)など、興味深い名前は出てはいますけどね。やはり例年通り、8月末日の市場クローズまで、新チームのメンバーが揃うことはなさそうな。 一方、昨季2冠に輝いたマドリーはバルデベバス(バラハス空港の近く)でプレシーズン練習を始めるんですが、実はこれ、6月の各国代表戦に参加していない選手の集合日で、ネーションズリーグが最後に終わったフランスのベンゼマなど、14日まで、戻って来ないのだとか。要は五月雨式の合流で、いえ、23日にバルサ戦(ラスベガス)、26日にクラブ・アメリカ戦(サンフランシスコ)、30日にユベントス戦(ロサンジェルス)が組まれているアメリカツアーまでには全員、揃うんですけどね。彼らの場合、リーガ開幕前の8月10日にはUEFAスーパーカップ、ヘルシンキでのフランクフルト戦と公式戦が控えているため、あまりノンビリはしていられない? そんなマドリーは補強も早くて、すでにチュアメニ(モナコから移籍)、リュディガー(同チェルシー)は入団プレゼン済み。この夏はこれで打ち止めのようで、今ではスポーツ紙で見かける候補の名前もブラジルで活躍する将来有望な18才とか、15才とか、ちょっと憶測が過ぎる世界に入ってしまった感があるんですが、やはりファンが気になるのはあと1年しか契約が残っておらず、この夏、河岸を変えるかもしれない選手たちでしょうか。 いえ、32才のクロースは今季のパフォーマンスを見てからと、自ら、契約延長に待ったをかけているようなんですけどね。まだ20代半ばのアセンシオとセバージョスなど、クラブ側から延長オファーを今のところ、出す予定はないと言われてしまったのだとか。うーん、彼らにはスペイン代表で冬のW杯に出るという夢もありますし、アンチェロッティ監督からもっと出番をもらえない限り、移籍も十分ありうるかと。 え、先週木曜にはとうとう、アメリカの投資会社に所有権を売却。新経営陣、イディアケス新監督を迎えてスタートする2部のレガネスでさえ、来週からプレシーズン開始というのに、アトレティコだけが1週間遅れ、11日からというのはちょっと怠けていないかって?いやあ、その代わりに今回は代表に行った選手も揃って、全員でロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)での地獄のサマーキャンプを始められるんですが、どうも補強の動きが鈍いなと思っていたところ、何と月曜になって、とんでもない新事実が発覚。 というのもリーガのサラリーキャップに引っかかり、昨季の会計年度が終わる6月末までに、「Son 40 millones lo que tenemos que vender/ソン・クアレンタ・ミジョネス・ロ・ケ・テネモス・ケ・ベンデル(ウチは4000万ユーロ/約57億円分、売却しないといけない)」とセレソ会長が認めたせいで、そうでない限り、新しい選手を獲ることはできないのだとか。いえ、まだサインはしていないものの、ドルトムントとの契約が満了するアクセル・ビッツェルの入団だけはほとんど決まっているようなんですけどね。 どうやら昨季、3500万ユーロ(約50億円)の買取オプション付きでレンタル移籍していたモラタ(ユベントス)、サウール(チェルシー)のどちらも行使してもらえず、戻って来るのも影響しているみたいで、となると、ここ数日はエルモーソ、ロディ、レマルなど、放出の噂の出ている選手の進退について注目するばかり。といっても彼らでは全員売れても4000万に届くかどうか、一挙挽回するにはそれこそ、ジョアン・フェリックスやカラスコといったクラスの選手を出さないといけないんじゃないかと、ちょっと心配になるんですが、さて。 ちなみに昨季の終盤をケガで欠場、ポルトガル代表戦にも行かず、マイアミで養生していたジョアンは最近のインタビューで、「Una salida del Atlético no está sobre la mesa/ウナ・サリーダ・デル・アトレティコ・ノー・エスタ・ソブレ・ラ・メサ(アトレティコから出ることは頭にないよ)」と発言。ファンをホッとさせていたんですが、先のことはわからないですからね。何はともあれ、シメオネ監督のトッププライオリティである、右SBの補強だけは早いところ、してくれることを祈っています。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.06.30 18:00 Thu
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まだ市場はあんまり動かない…/原ゆみこのマドリッド

「ここまで遅くなるなんて気の毒に」そんな風に私が同情していたのは月曜日、とっくに各国代表戦も終わり、SNSには選手たちが世界各地でバケーションを満喫している写真が溢れる中、ようやく前夜、昇格プレーオフ決勝2ndレグでアルメリア、バジャドリーに続いて、新シーズンを1部で戦うチームが決まったのを知った時のことでした。いやあ、昨年などは準決勝でラージョとレガネスの弟分ダービーがあり、前者が決勝で嬉しい1部復帰を遂げたため、プレーオフも結構、真剣に見ていたんですけどね。 今年はまったくマドリッド勢がおらず、試合も近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に行かないと見られなかったため、全然、盛り上がる理由もなかったんですが、強いて言うなら、ラージョのレジェンドでもあるミチェル監督が率いるジローナが、3度目の正直で昇格を決められたのは良かったかと。ええ、2019年に2部落ちした彼らは最初の年にエルチェ、去年はラージョ相手に一番悔しいプレーオフ決勝で敗戦。今回は1週間前にモンテリビでの1stレグを0-0で終え、敵地エリオロドに乗り込むことになったんですが、相手のテネリフェはリーガ5位と6位のジローナの上で終わっていたため、引分けのままだと延長戦もなく、そのまま向こうの勝利になってしまうという不利な条件が。 加えて夏のバケーションシーズンが始まったスペインではすでにカナリア諸島行きのフライトが高騰。よって応援に行けたファンも300人程度と心もとなかったんですが、大丈夫。前半42分にはエース、ストゥアーニのPKで先制すると、後半14分には同点に追いつかれながらも23分にホセ・レオンのオウンゴール、そして35分にはアルナウが止めの3点を挙げ、1-3で勝ってしまうのですから、見事なもんじゃないですが。 もちろん、2009-10シーズンに降格して、まあその前後も合わせると、かなり2部生活が長いとはいえ、せっかく用意した祝勝イベント用の舞台装置も解体しないといけなかったテネリフェも残念でしたけどね。ちなみに彼らが前回、プレーオフ決勝まで残ったのは2016-17シーズンで、この時の相手はボルダラス監督率いるヘタフェ。その年の1月にスペインに来た柴崎岳選手もテネリフェの一員として出ていたんですが、そこでの活躍が認められたか、翌シーズンはヘタフェに入団することに。 ただ、コリセウム・アルフォンソ・ペレスには2年しかおらず、その後はデポルティーボ(当時は2部)、2020年からはお隣さんのレガネスに移り、1部昇格を目指して戦っていたんですが、何せ昨季はプレーオフ進出にかすりもしない12位で終わってしまいましたからね。シーズン当初の不調を乗り越え、何とか残留は果たしたナフティ監督も去り、次は降格したばかりのレバンテの指揮官となることが決まったのはともかく、現在、レガネスはアメリカの投資ファンドへの経営権売却が秒読み状態。まだ1年、契約が残っている柴崎選手に影響があるのかは不明ですが、少なくとも新ユニフォームのビデオでモデルを務めているのは安心材料になりますでしょうか。 まあ、そんなことはともかく、8月第2週の週末に開幕する新シーズンに1部でプレーする20チームが出揃ったところで、今週木曜にはいよいよ対戦カード日程の抽選会が開催。まだスペインからの日本入国には飛行機搭乗前にPCR検査の陰性証明が必要なんですが、コロナ最盛期に比べると、だんだん海外旅行も行きやすくなってきましたしね。しばらくリーガ観戦をご無沙汰していたファンもここはお楽しみカードをチェックして、予定を立ててもいいかと。スペイン国内やヨーロッパ内の移動にはもう何の制限もないため、1週間早く開幕するプレミアリーグなどと梯子というのもありかもしれませんね。 え、それで肝心のマドリッドの1部チームのニュースはないのかって?いやあ、普通のW杯開催年なら、今頃は私もスペイン代表の試合に一喜一憂しているはずだったものの、今年のカタール大会に限っては11月までお楽しみはお預け。どのクラブも今はフロント以外、休業状態なんですが、そんな中で唯一、動きがあったのはレアル・マドリーでしょうか。ええ、先週は月曜にチュアメニ(モナコから移籍)の入団プレゼンがあっただけでなく、水曜にはペレス会長がチリンギート(TVのサッカー番組)に出演。サッカーを扱うメディアは数ある中、あまり格の高い番組ではなかったため、賛否両論あったものの、ここ何年もファンがいつ来るのか、指折り数えていながら、結局、PSG残留となったエムパペについて聞けたのは興味深かったかと。 曰く、「Este Mbappé no es mi Mbappé/エステ・エムバペ・ノー・エス・ミ・エムバペ(あのエムバペは私のエムバペではない)」そうで、「フランス代表として、チームメートと一緒に広告イベントに参加するのを断った時から、驚いていたが、PSGはチームだけでなく、クラブ経営のリーダーの地位まで彼に提供している。Ningún jugador en la historia del Real Madrid ha estado nunca por encima de los demás/ニングン・フガドール・エン・ラ・イストリア・デル・レアル・マドリッド・ア・エスタードー・ヌンカ・ポル・エンシーマ・デ・ロス・デマス(レアル・マドリーの歴史において、どんな選手も他の者の上にいたことはない)。私たちはクラブを危うくするような例外を設けるつもりはない」とのこと。 まあ、実際、昨季44ゴールのベンゼマに続き、ビニシウスも22ゴールと大成長。リーガとCLのdoblete(ドブレテ/2冠優勝)を達成したとなれば、マドリーの得点力にはまったく不安はありませんからね。おまけに後者など、バケーション先のマイアミで日曜にはロベルト・カルロスとロナウジーニョのお友だちチームが対戦したチャリティマッチにも参加。12-10でロベカル側が勝ったのはともかく、そこでも2ゴールを挙げているとは、もしや21才の若い彼にはオフシーズンなど必要ない? そのビニシウスとも近々、契約を2025、26年頃まで延長する予定で、当人のお給料も3倍増ぐらいになるそうですが、いやあ、それだけではつまらないのは記事のネタが必要なマスコミ。ええ、早速、エムバペの新契約が切れる3年後にリベンジ獲得とか、この夏、マンチェスター・シティに持って行かれたハーランド(ドルトムンドから移籍)も2024年には契約解除条項があって、移籍可能だとか、うーん、最近はロシアのウクライナ侵攻のせいで、鉄鋼材など輸入物資が滞り、本当なら、今年の12月には終わっていたはずのサンティアゴ・ベルナベウの全面改装工事の完成も来年夏まで延びるようですしね。 となれば、スーパーメガプレゼンをするにもそのくらいまで待った方がいいというのもわかりますが、日曜の夜など、バスケットのリーグ王者を決めるマドリーのプレーオフを観戦に行ったペレス会長がファンにエムバペの件を持ち出され、「Pobre hombre, estara ya arrepentido/ポブレ・オンブレ、エスタラ・ジャー・アレペンティードー(可哀そうな男、もう後悔しているだろう)」と答えていたのはもしや、本音が漏れてしまった? そんな具合で、バスケでもバルサを下して通算36回目の優勝を果たした後の月曜、この夏、2人目となる加入選手、CBリュディガーの入団プレゼンもバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習施設であったんですが、プレスルームでの記者会見では、チェルシーとの契約を満了して移籍金なしで入ったこの彼もバルサからのオファーを断っていたなんて告白も。先のチュアメニは8が好きながら、クロースが着けているため、背番号18を選んだのと同様、カルバハルの着けている2が好きだという当人は2が二つ並んだ22番をもらっています。 ちなみにこのリュディガー、4月にはサンティアゴ・ベルナベウでCL準々決勝2ndレグの対戦を経験しているんですが、当時はまだ、マドリー入団は決まっていなかったとのこと。その試合でチェルシーが総合スコアで同点に追いつくゴールも挙げたせいもあったんでしょうか、その後、アンチェロティ監督から勧誘の電話があって、移籍を決意したそうですが、すでにアラバとミリトンでマドリーの守備ラインの固さは保証されていますからね。新シーズンはアラバを左SBに回したり、3CB制の採用もあるんじゃないかと噂されていますが、まあその辺は7月8日のプレシーズン開始を待ってみないことには何とも。 一方、これでとりあえず、夏の補強は一旦、打ち止め、しばらく放出組の方に専念することになったお隣さんと対照的なのがアトレティコで、いえ、コーチングスタッフにかつて、サラゴサやセルタでプレーした元MFのグスタボ・ロペス氏が加わったなんてことはあったんですけどね。肝心な選手の補強はまだ1人もなく、いいとこ、7月10日から始まるロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)での地獄のキャンプ参加が保証されている新顔はモラタ(ユベントスに2年間レンタル移籍)とサウール(昨季はチェルシーにレンタル)ぐらいになりそうな。 いえ、ここ数日、ドルトムントとの契約が終わったアクセル・ビッツェルが退団したエレーラの代わりに入るんじゃないかとは言われているんですけどね。もう33才になるボランチですし、夢を掻き立てられているファンは少数派かと。それでも一応、プレシーズンマッチの予定だけは埋まったようで、7月27日にはブルゴス・デ・オスナでヌマンシア(RFEF1部/実質3部)戦、30日にはオスロでマンチェスター・ユナイテッド戦、8月4日にカランサ杯(カディス主催の夏の親善大会)、7日にテル・アビブでユベントス戦の4試合となっていますが、何せ、去年の夏は1年遅れのユーロ2020やコパ・アメリカ2020が開催されたせいで、プレシーズン練習になかなか選手が揃わず。 おかげでリーガ開幕前の親善試合はカンテラーノ(アトレティコBの選手)の独壇場となっていたんですが、今年は全員、キャンプ初日から参加できますからね。それもあって、プレシーズンマッチの数が少ないのかもしれませんが、どちらにしろ、マドリッドで彼らの勇姿を見るのは公式戦まで待つことになりそうです。 その横で先週はマンチェスター・ユナイテッドのホームプレゼン試合で7月31日にオールド・トラフォード初訪問することが決まったラージョは、19日にはオーストリアでセリエAのサレルニターナとの対戦も決定。4日にプレシーズンを開始するヘタフェもカンポアモール(アリカンテにあるゴルフリゾート)でのキャンプでイングランド2部のプレストンと最初の手合わせをすることになりましたが、弟分チームたちも獲得希望の選手名は幾人か挙がっているものの、まったく動きがなくてねえ。降格したアラベスから、GKパチェコがヘタフェに来るなんて話は結構、実現性が高そうですが、おそらく6月中はまだ、入団プレゼンイベントもないんじゃないでしょうか。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.06.21 21:00 Tue
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いよいよ長い夏が始まる…/原ゆみこのマドリッド

「ちょっと張り切りすぎじゃない?」そんな風に私が首を傾げていたのは火曜日、スペイン代表の試合も終わってしまったため、少し気が早いとは思ったものの、マドリッド勢のプレシーズンマッチの予定を調べていた時のことでした。いやあ、7月8日に練習をスタートする弟分のラージョが、プレミアリーグ開幕1週間前の31日にマンチェスター・ユナイテッドがオールド・トラフォードでプレーする、新シーズンプレゼン試合に招かれたと知った時など、もしイラオラ監督のチームが昨季前半の快進撃を後半も維持していれば、それこそプレミアリーグ6位でELに出場するユナイテッドとヨーロッパの大会で顔を合わせることになっていたかもしれないのにと、少し残念な気もしたんですけどね。 それでもリーガ12位で終わったラージョにしてみれば、滅多にないビッグチームと手合わせするチャンスですし、2014-15シーズンにモナコからのレンタルでプレーしたファルカオ、2010年から2014年までユナイテッドに所属、といってもうち3年間はレンタルに出ていたんですが、ベベなんかは懐かしく思ったりする?ところがその直後、7月30日にはアトレティコがオスロでユナイテッドと対戦という記事を見つけて、目をパチクリさせることに。何かの間違いじゃないかと、向こうのオフィシャルウェブも見たところ、本当に2日連続で試合すると書いてあったから、これはもう、信じるしかありませんって。 うーん、昨季はCL16強対決で総合スコア2-1と勝利している相手ですし、今年は原点回帰して、ロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)での地獄のサマーキャンプをみっちり2週間。その後、27日にはブルゴス・デ・オスナでのヘスス・ヒル杯でヌマンシア(RFEF1部)とプレシーズンマッチ初戦を迎え、この月曜にお目見えとなった赤のストライプがうねうねしている新ユニフォームを着ての足慣らしもできるため、シメオネ監督のチームには特に問題はないと思いますけどね。ただ、この7月末の連戦前、ユナイテッドはタイとオーストラリアへ親善試合ツアーにも行くようで、新任のテン・ハグ監督は初っ端から、ハードスケジュールに悩まされることになりそうですが、ま、それは他人事。 アトレティコの残りのプレシーズンマッチは8月にここ2年連続参加となるカランサ杯(カディス主催の夏の親善大会)とイスラエルへの遠征があるようですが、その一方で昨季のリーガ、CL2冠王者のレアル・マドリーはアメリカツアーへ。いえ、コロナ禍が始まって以来、UCLAに滞在しての長期キャンプはやらなくなったんですけどね。この夏は7月23日にラス・ベガスでクラシコ(伝統の一戦、マドリーvsバルサ戦のこと)、26日にはサンフランシスコでクラブ・アメリカ戦、30日には本家本元のロサンジェルスでユベントス戦と、パパッと試合だけして、あとはバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でトレーニングするよう。 ちなみにシーズンも終わり、とうに活動を停止しているバルデベバスではこの週明け、立て続けにイベントがあって、まず月曜には昨季限りでマドリーを退団するマルセロのお別れセレモニー。私はまだ、マラガから戻れていなかったものの、やはり前日、ラ・ロサレダ(2部のマラガのホーム)でのスペイン代表戦が終わってすぐ、サッカー協会のチャーター便で帰京できた人は余裕がありますね。バケーションに出る前のアセンシオとカルバハルの2人、アンチェロッティ監督やRMカスティージャのラウール監督も出席して、施設の関係者専用エリアでペレス会長の送辞やマルセロのスピーチといった内輪のセレモニーが行われた後、プレスルームでマスコミを前に記者会見があったんですが、もう12年も経つんですね。その頃はセッションも見学できて、よくバルデベバスに行っていた私が、18才でマドリーに入団した初々しい彼をクラブの女子職員たちがベタ推し。最高に可愛いと褒めそやしているのに呆気に取られていた時から。 今や当人は35才となり、12才の長男のエンツォ君など、マドリーのインファンティルB(ユースチーム)でFWとして活躍するまでに成長。最後のシーズンはCL決勝を含め、あまり出番がありませんでしたが、「La última no la jugué, y fue en la que más importante me sentí/ラ・ウルティマ・ノー・ラ・フゲ、イ・フエ・エン・ラ・ケ・マス・インポルタンテ・メ・センティ(最後の決勝はプレーしなかったけど、一番、自分が重要な役目を負っていると感じた)。ロドリゴが怯えていたから、ベンチで5分程、話したんだ。ミリトンやバルベルデともね。そんなこと、前の4回の決勝ではやらなかった。若い選手たちと話して、残り2分にはハグしたりとか。不可能なことはないと彼らが理解できるように、そういう内面的なことを自分は残したかった」というマルセロの言葉にはまさに、ベテランの重みが感じられるかと。 クラブとの話し合いで契約延長はせず、マドリーを離れるのが双方のためになるという結論に至ったそうですが、「la vida no se acaba aquí/ラ・ビダ・-・ノー・セ・アカバ・アキー(人生がここで終わる訳じゃない)」とまだ、現役引退はしないことも表明。新シーズンにはどこか、違うチームで元気にプレーしている彼の姿が見られるものと思いますが、去る者あれば来たる者ありとはよく言ったものです。翌火曜には前夜、パリのスタッド・ド・フランスでフランス代表のネーションズリーグ4節、クロアチア戦でプレーしていたチュアメニが入団プレゼンされているんですから、まったくせわしない。 こちらもまあ、形式はマルセロと同じで、マスコミ非公開で内部セレモニーがあった後、モナコから移籍金1憶ユーロ(約142億円)でやって来た22才のMFが記者会見。「CL決勝トーナメントのremontada(レモンターダ/逆転突破)を見てすぐ、代理人にメッセージを送ったんだ。マドリーに移籍するため、できることは全部やってくれって」という本人はPSGからのオファーにも心が揺らがなかったようで、代表合宿中にはエムバペにも「ボクのファーストチョイスはマドリーだから」と言って、納得してもらったらしいんですけどね。 とはいえ、前日はPKでクロアチアの決勝点を挙げ、フランスを2試合残して、2連覇の懸かったファイナルフォーへの出場権がもらえる1位の座から、完全に遠ざけたモドリッチを始め、チュアメニのプレーするポジションはブラジル代表レギュラーのカセミロ、そしてクロースがいる激戦区。もちろんベンゼマやカマビンガら、代表仲間がチームメートにいるのは心強いはずですが、何せ、8月から始まるシーズンの3カ月余りでプレー時間が少ないと、11月のW杯の招集メンバーから漏れる可能性もありますからね。好きな背番号だという8に一番近かった18を選んだ彼ですが、果たしてこの賭けは吉と出るのでしょうか。 え、ベンゼマがオーストリア代表の同僚アラバをケガさせてしまったりと、順位以外でも波乱万丈。挙句の果てに今はBリーグへの降格を避けるため、最下位脱出が最優先課題となったフランスとは対照的に、ネーションズリーグの4試合が終わってみれば、最後は丸く収まっていたチームもあるんだろうって?いやあ、その通りで、昨年はファイナルフォー決勝でフランスを前に涙を飲んだスペインは日曜に4節のチェコ戦をプレーしたんですけどね。前日からマラガ入りしていた私も昼間は近隣のビーチで地中海の海を楽しんだ後、いそいそとラ・ロサレダに向かったんですが、6年ぶりの代表戦に地元のファンの熱気が凄かったことといったらもう。 スタジアム周辺の人の多さからして、クラクラウするぐらいだったんですが、一分の隙もなく埋まったスタンドが赤と黄の色に染まっている光景はまさに壮観の一言。ただ、序盤はチェコも高い位置でプレスをかけてきたため、スペインが攻勢に出られず、前半15分には退屈したファンたちが場内を何周もするola(オラ/ウェーブ)を始めたりしたんですけどね。幸い、プラハでの試合では痛い目にあったカウンターも今回は不発。チェルニー(トゥエンテ)、クフタ(ロコモティブ・モスクワ)のシュートはGKウナイ・シモン(アスレティック)がしっかり弾いてくれたから、助かったの何のって。 すると24分、コケ(アトレティコ)がセンターから出したロングパスが珍しく味方にヒットし、極上のコントロール力を見せたアセンシオがゴール前にボールを入れると、後ろから駆けつけたカルロス・ソレル(バレンシア)が押し込んで先制点が入ったんです!いやあ、3節のスイス戦ではマルコス・ジョレンテ(アトレティコ)のアシストでサラビア(昨季はPSGからスポルティングCPにレンタル移籍)が決勝点を挙げたんですが、同じMFでもこの夏、アトレティコ移籍の噂が出ているソレルはPKのスペシャリストで、直接FKのゴールとかも決めていますからね。本当にシメオネ監督のチームに来たら、それこそコケなんて、先発を下ろされてしまうんじゃないかと心配しているのは私だけ? ちなみにその3分後にもアセンシオからまたパスをもらい、今度はゴール枠を外してしまったソレルでしたが、まだ先のことは決めていないと試合後の記者会見でコメント。「Ahora mismo voy a coger el coche y me voy a marchar a Sevilla que me está esperando mi novia/アオラ・ミスモ・ボイ・ア・コヘール・エル・コーチェ・イ・メ・ボイ・ア・マルチャル・ア・セビージャ・ケ・メ・エスタ・エスペランドー・ミ・ノビア(今すぐボクは車を捕まえて、彼女が待っているセビージャに行くよ)」と先週、ボルダラス監督が1年契約を残して解任され、もうガットゥーゾ新監督がパテルナ(バレンシアの練習場)で仕事を始めている地元には帰る気がないようでしたが、まあ、それはそれ。 試合の方は前半31分にはウナイ・シモンが再びやらかして、ゴールキックをエリア内にいたペセク(プタルタ・プラハ)に蹴ってしまうなんてこともあったんですが、大事には至らず、1-0のままハーフタイムに入ることに。後半、再びローテーションを始めたルイス・エンリケ監督は13分にはモラタ(昨季はアトレティコからユベントスにレンタル)、ソレルをフェラン・トーレス、ガビ(バルサ)に代えたんですが、今回の4試合目で初めてスタメン落ちした17才はもう完全にスペイン代表のアイドルになっちゃったようですねえ。 ええ、声を揃えての大音量コールはもちろん、ボールに触る度、拍手されるぐらいの人気だったんですが、いくら「Es un volcán en erupción/エス・ウン・ボルカン・エン・エルプシオン(噴火中の火山のような選手)。私が昨日、ガビにはピッチの外でも中でも改善するところが沢山あると会見で伝えたメッセージも素早く受け取った」とルイス・エンリケ監督も褒めていたとはいえ、もし彼が27才だったら、ここまでファンも神扱いしなかったのでは? とうとう当たりが出たのは26分、アセンシオがサラビアに代わった後のことでした。ええ、30分にはガビが出したパスをダニ・オルモ(ライプツィヒ)がエリア内のフェランに送り、そこからゴール前に入ったボールをオルモは撃たず、ファーサイドにいたサラビアがワンタッチでネットの中へ。これで2-0になったため、いえ、先週の対戦でチェコとは2-2で引分けていたスペインですから、僅かな懸念はあったんですけどね。そのすぐ後にはコケとミケル・アロンソ(チェルシー)をブスケツとジョルディ・アルバに代え、ピッチを5人のバルサ勢が占める中、「Hemos tenido una energía extra de la afición que nos ha empujado/エモス・テニードー・ウナ・エネルヒア・エクストラ・デ・ラ・アフィシオン・ケ・ノス・ア・エンプハードー(ボクらは後押ししてくれるファンからエキストラのエネルギーをもらった)」(エリック・ガルシア)おかげか、そのまま、失点なしで勝つことができましたっけ。 そして試合後には予期せぬ朗報も待っていて、同時進行だったスイスvsポルトガル戦では開始1分、セフェロビッチ(ベンフィカ)のヘッドによる1点がモノを言って、スイスが今回のネーションズリーグで初勝利をゲット。この試合の前にクリスチアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド)をお役御免にして、早めのバケーションを与えたフェナンド・サントス監督を激しく後悔させることになったんですが、その結果、スペインがポルトガルを追い越して、勝ち点差1で首位に立つとは、あら不思議。いやまあ、9月にあるサラゴサでのスイス戦、ブラガでのポルトガル戦が終わってみないと、またファイナルフォーに行けるかどうかはわからないんですけどね。 その頃になれば、今回は見学参加だったアンス・ファティ(バルサ)、シーズン最後の最後まで、ケガに祟られたジェラール・モレノ(ビジャレアル)、CL決勝にムリして出たため、間に合わなかったチアゴ・アルカンタラ(リバプール)らもプレーできるはずですからね。試合の後は選手皆で場内一周と最近はまた、チームとファンの雰囲気もいいようですし、一応、これでスペインは上げ潮に乗ったと言っていいかと。折しも火曜にはニュージーランドとの大陸間プレーオフにコスタリカが1-0で勝利。ようやくW杯グループリーグ初戦で彼らが戦うチームも決まったことですし、続いてドイツ、日本と当たる異例の冬の大会もだんだん、楽しみになってきました。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.06.15 09:15 Wed
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代表選手もいい加減、バケーション入りしたいかも…/原ゆみこのマドリッド

「億超えって、結構、外れがあるからなあ」そんな風に私が疑心暗鬼になっていたのは土曜日、レアル・マドリーがモナコに払うチュアメニの移籍金が目標達成オプションも含めると、1憶ユーロ(約142億円)近くなるとマルカ(スポーツ紙)で知った時のことでした。いやあ、カセミロの後継となりうる22才のMFを彼らが獲得しようとしていることはかなり以前から話題になっていたため、入団決定のニュースには全然、驚かなかったんですけどね。PSGと競り合いになり、そこまで値段が上がったにも関わらず、やはりプレゼンはバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習施設で来週火曜に実施というのもまあ、置いといて。 それこそエムバペ(PSG)が入団していたら、現在、改装中のサンティアゴ・ベルナベウが夏季集中工事フェーズ入りしたのを中断してもファンをスタンドに入れて、メガプレゼンとなったんじゃないかと想像していますが、問題はこれまでマドリーが大台を超えたのは2013年のベイル(トッテナムから移籍)、2019年のアザール(同チェルシー)のみ。とはいえ、元を取るどころか、有り余るほどのお釣りがあったのはほぼ1憶(9800万ユーロ/約140億円)で2009年に入団したクリスチアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッドから移籍)だけなんですよ。 うーん、アザールは来季での復活を先日、シベレス広場でのCL優勝イベントの際、ファンに誓っていただけでなく、ネーションズリーグのベルギー代表戦でもだんだん、いい感じになってきているため、まだ期待できなくもないんですけどね。この3シーズンはケガもあって、大したことができなかった度ではお隣さんの1憶2800万ユーロ(約182億円)、ジョアン・フェリックスといい勝負と言っていい?それでもジョアンはまだ22才と若いですし、31才のアザールより、ゴールを挙げているんですが、バルサもネイマールのPSG移籍で手にした2億2000万ユーロ(約320億円)の投資で大失敗。 ええ、1憶4500万ユーロ(約210億円)のデンベレ(ドルトムントから移籍)もケガが多く、結局、契約延長をせずにこの夏、フリーで移籍しようとしていますし、1憶6000万ユーロ(約230億円)のコウチーニョ(同リバプール)もレンタルを繰り返した挙句、5月には2000万ユーロ(約29億円)の買取オプションを行使したアストン・ヴィラに完全移籍しちゃいましたからね。そんな中、マドリーのもう1人の1憶プレーヤーが意外なところでいきなり主役になっていたから、ビックリしたの何のって。 いやあ、今週は久々のお出かけをして、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでヘタフェの新シーズン用ユニフォームのプレゼンを見に行ってきた私だったんですけどね。ユースの選手たちがモデルを務めた2022-23モデルはデザインにはあまり変化がなく、色も青、赤、そして黄緑と定番で落ち着いていたんですが、何せ、コロナ禍のせいで、そんなイベントがあるのも2年ぶりでしたからね。コリセウムのVIPルームがマスコミや招待客で賑わっていたのが新鮮だったのはともかく、まさかアンヘル・トーレス会長から、「丁度、45分前にガレス・ベイルの代理人と話しをしたよ。Nos lo han ofrecido/ノス・ロ・アン・オフレシードー(ウチに移籍をオファーしてきた)」という、サプライズ発言を聞くことになろうとは! いやだって、先日はファンへの手紙で9年間、在籍したマドリーにお別れした当人は昨季、ほとんどクラブでの試合には出なかったものの、日曜には予選プレーオフでウクライナを1-0で下し、W杯出場の大願を成就。その前後にあったネーションズリーグのポーランドオランダ戦でプレーしていないのは体調のせいなのか、気分が乗らないせいなのかもわからないんですが、要は数年前、「Wales. Golf. Madrid. In that order(ウェールズ、ゴルフ、マドリー。この順番)」という旗を掲げていたぐらい、大事なウェールズ代表戦でもその程度の参加率となれば、ヘタフェに来たって、その優先順位は変わらないのでは? 実際、しばらく前にはアトレティコにもオファーが届いたそうで、おそらくお気に入りのゴルフ場もあるマドリッドから、ベイルが離れたくないということでしょうが、兄貴分は1200万ユーロ(約17億円)とも言われる高額年棒を嫌って、早々に辞退。ま、これはヘタフェにしろ、ファルカオが来季も続投するという朗報が届いたばかりのラージョも同様で、選手本人がかなりの減収を覚悟しないと、ムリかと思いますが、大体がして、ヘタフェには昨季、アトレティコからビトロをレンタル、チームの質を上げてくれると期待されながら、結局、シーズン通してケガに悩まされ、ほとんどプレーできなかったという悪しき前例がありますからね。 ただ、金曜にウェールズ代表での記者会見ではベイル自身が、「ヘタフェに行かないのは確かだ」とオファーを否定。更に「どこに行くにしてもウィンウィンの関係になるよ。だって、ボクはW杯前には試合に出るからね」なんて言っているようではそれこそ、12月に大会が終わった後はどうする気なのかという疑問も出て来るため、最後は来ないことになって、ホッとしているファンも少なくないんじゃないでしょうか。 それ以外でも、「Yo es una costumbre que tengo, visito al Madrid y al Atleti por si pesco algo/ジョ・エス・ウナ・コストゥンブレ・ケ・テンゴ、ビシト・レアル・マドリッド・イ・アル・アトレティ・ポル・シー・ペスコ・アルゴ(何か掘り出し物があるかもしれないから、習慣的にマドリーとアトレティコを訪問している)」というトーレス会長は先週もバルデババスのオフィスに赴き、マリアーノやヨビッチ、もしくはRMカスティージャの有望選手レンタル移籍の可能性を探っていたようですが、まだそっちの方は海のものとも山のものとも。何にせよ、7月4日のプレシーズン開始までに新シーズンの陣容が整うことはないようです。 その一方で、同じ水曜にはクロアチア代表参加中のモドリッチがマドリッドに電撃帰還。バルデベバスで契約の1年延長書類にサインして、金曜にネーションズリーグ初白星が懸かったデンマーク戦(0-1で勝利)を控えるチームにとんぼ帰りしたなんてことがあったんですが、もしやこれって、来週月曜のフランス戦が終わったら即、バケーションに入れるようにというクラブの気遣いだった?内々のセレモニーで、ファンはビデオでその様子を見ることとなったんですが、何にしろ、来季も彼がマドリーにいてくれるのは嬉しいですよね。 そして翌木曜にはやはり、まだ未勝利だったスペインもネーションズリーグ3節のスイス戦にジュネーブで挑んだんですが、ルイス・エンリケ監督は今回も8人のメンバーをローテーション。チェコ戦を経て、ほぼ最初のポルトガル戦のスタメンリピートで、違いはカルロス・ソレル(バレンシア)の代わりにマルコス・ジョレンテ(アトレティコ)が入っただけだったんですが、これが前半13分、見事に当たってくれたんです! そう、フェラン・トーレス(バルサ)が敵エリア右前で奪い返したボールが、今回はアスピリクエタ(チェルシー)とカルバハル(マドリー)のおかげで右SBからお役御免に。21-22シーズンのアトレティコ、リーガ優勝に大貢献した時のMF業に専念できるようになったマルコス・ジョレンテが繋ぎ、そのラストパスをサラビア(PSGからレンタルで昨季はスポルティングCPでプレー)がゴールに押し込んでくれたとなれば、意気も上がるってもんじゃないですか。 幸いVAR(ビデオ審判)もオフサイドがなかったことを確認してくれたため、スペインは早い時間に先制点を挙げることに成功したんですが、うーん、それにしたって、何でもっと景気よくゴールが入らないんですかね。別にスイスはチェコのように5人DF体制で自陣に固まっていた訳でもなく、それなりにスペースはあった感じでしたが、後半になって、サラビアがダニ・オルモ(ライプツィヒ)に代わり、モラタ(アトレティコからレンタルで2年間、ユベントスでプレー)とガビ(バルサ)から、アセンシオ(マドリー)とコケ(アトレティコ)になってもスペインのシュート数が大して増えることもなかったかと。 折しもこの試合の当日にはもう1人のCF、RdT(ラウール・デ・トマス/エスパニョール)が喉の痛みを訴えて代表を離脱。今のところ、コロナ陽性は出ていないようですが、それで23人のベンチ入り枠に入れたアンス・ファテ(バルサ)はどうやら今回、戦力としてより、慣らし招集されたみたいですからね。おかげで攻撃カードの尽きたスペインは最後まで、その1点を守り切るしかなくなってしまったんですが…いや、ホント、紙一重でしたよ。 というのも残り4分になって、GKゾマー(メンヘングラッドバッハ)の長いロングキックをクリアしようとGKウナイ・シモン(アスレティック)がエリアを出て突進。セフォロビッチ(ベンフィカ)にボールを奪われ、エンボロ(メンヘングラッドバッハ)にガラ空きのゴールに撃たれた時にはとても生きた心地はしなかったかと。おまけにそのシュートが外れた後、1分もしないうちに今度はディエゴ・ジョレンテ(リーズ)がトラップミス。これもセフェロビッチがスペインDF陣に当ててくれたため、事なきを得たんですが、こんな状況を目の当たりにしても、「No me pone nervioso nunca/ノー・メ・ポネ・ネルビオーソ・ヌンカ(決して自分を神経質にさせることはない)」と言ってしまえるルイス・エンリケ監督はかなりの強心臓の持ち主かと。 そんな危ないシーンはあったものの、スイスでの代表戦では17試合で13勝4分けというゲンの良さも味方してくれたんでしょうね。そのままスペインは0-1で勝利。並行してプレーしていたポルトガルもチェコを2-0と破っていたため、彼らが勝ち点差2の首位となり、スペインは2位でネーションズリーグ6月分、最後となるチェコ戦を迎えることになったんですが、もう今更ですからねえ。リーガ終了直後にバケーション入りした選手たちは練習しなくなって久しいこともあったか、この試合のため、RdT離脱を補う追加招集はしないのだとか。 そして金曜にジュネーブから、マラガにチームが移動するのに合わせ、私も海水浴を兼ねて、現地に行くことに。いやあ、まさか安いから選んだ早朝6時45分発の便のおかげで、通常の夕方ではなく、ラ・ロサレダ(2部マラガのホーム)での前日スタジアム練習が午前10時30分からになっても間に合ってしまうとは。とはいえ、やはりもう4試合目ともなると、毎回、スペイン代表オフィシャルページで最初の20分間、ライブ配信されているのとまったく同じ光景、軽いランニングのアップ、ピッチ中央で全員参加の巨大ロンド(中に入った選手がボールを奪うゲーム)、ビブスを配ってpartidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)が始まって少ししたところで終了というのを見るのもちょっと、マンネリ感がなきにしろあらず。 おそらく、金曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのチェコ戦ではルイス・エンリケ監督のローテーション計画から察するに、先週日曜にプラハで2-2と引分けたメンバーが中心になりそうですしね。ただ、その日はイニゴ・マルティネス(アスレティック)が前日、練習中に足を踏まれ、「tiene el dedo bastante hinchado/ティエネ・エル・デドー・バスタンテ・インチャードー(かなり指が腫れている)」(ルイス・エンリケ監督)せいで不在だったため、エリック・ガルシア(バルサ)とCBコンビを組むのはパウ・トーレス(ビジャレアル)か、ディエゴ・ジョレンテになるかもしれません。 ちなみにここまで3試合、連続先発をしているのはウナイ・シモン、サラビア、ガビ(バルサ)の3人だけ。中でも8月にようやく成人年齢を迎えるMFについては、ルイス・エンリケ監督も「Yo creo que Gavi podría jugar 16 partidos seguidos/ジョ・クレオ・ケ・ガビ・ポドリア・フガール・ディエシセイス・パルティードス・セギードス(ガビは16試合連続出場だってできると思う)」と、17才の若さをいいことに使いまくっているんですけどね。クラブの先輩、前年度は代表でもユーロ、東京五輪と皆勤したせいで昨季は負傷が続き、このネーションズリーグには招集されていないペドリの二の舞は避けてほしいところかと。 逆に楽しみなのは初戦のポルトガル戦では会場のベニト・ビジャマリン(ベティスのホーム)のスタンドに結構、空席があったのとは違い、このチェコ戦は3万枚のチケットが15分で完売。地元のサッカーファンが2018年にマラガが2部降格して以来、1部チームの選手を見る機会がないのもあるんでしょうが、一応、パスやセルカニアス(国鉄近郊路線)など、公共交通機関の中だけはまだマスク着用が義務。もうそれ以外はコロナ禍なんて存在しなかったのように大勢のバケーション客で街が溢れかえっているだけに、その辺からの需要もあったんじゃないでしょうかね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.06.13 17:35 Mon
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まさかこんなに勝てないとは…/原ゆみこのマドリッド

「今年は昇格プレーオフがないから余裕なのね」そんな風に私が頷いていたのは火曜日、マドリッド勢弟分のラージョがプレシーズン開始を7月8日に設定したという記事を読んだ時のことでした。いやあ、ヨーロッパ各地ではネーションズリーグの代表戦が行われる中、スペインのリーガ2部ではいまだに来季1部に上がる3チーム目を決めるためのプレーオフが続行中。昨季など、ラージョとレガネスが準決勝で骨肉の争いを繰り広げたりしたんですけが、残念なことに今年はマドリッド勢2部のアルコルコンとフエンラブラダが相次いで降格の憂き目に。 柴崎岳選手のいるレガネスだけは昨年中にアシエル・ガリターノ監督をナフティ監督に代えたのが功を奏して、12位で残留することができたんですが、プレーオフ圏の6位には勝ち点差14と遥か及ばず。先日はそのナフティ監督が続投せず、昨季はビジャレアルでウナイ・エメリ監督の下でアシスタントコーチを務めていたイディアケス監督が就任することがひっそり発表されていたりするんですが、大体がして今、レガネスはアメリカ資本の企業に売却交渉の真っ最中ですからね。 本決まりすると、来季のチーム編成もどうなるのか、ちょっとわからなくなるんですが、その脇で粛々と続いていたプレーオフ準決勝では、ラス・パルマスとのカナリア諸島勢対決で2連勝したテネリフェ、1stレグでエイバルに0-1と負けたのを2ndレグで0-2と引っくり返したジローナが決勝に進出。とりわけ後者はここ2年連続、それぞれ決勝でエルチェ、ラージョに負け、あと一歩のところで涙を飲んでいるだけに、土曜の1stレグ、その1週間後となる19日の2ndレグに向けて、ラージョのレジェンドであるミチェル監督も相当、気合が入っているかと。 実際、そこからバケーションに入って、8月12日の新シーズン開幕に準備を間に合わせるとなると、本当に休んでいる時間がないんですが、それ以外のチームは各国代表に駆り出されている選手たちですら、今年はW杯が11月になったため、今週末頃までにはお勤めも終了。プレシーズン開始まで1カ月近く休めるからでしょうかね。6人がレンタル移籍を終え、8人が他チームへのレンタルから帰って来る予定だけはわかるものの、今のところ、まだラージョには補強選手が1人も到着せずと、結構、フロントも呑気に構えているようですが、まあヘタフェ同様、彼らは大手クラブの構想外になった選手など、掘り出しモノを待っているところがありますからね。 その一方で兄貴分たちもレアル・マドリーこそ、自由契約でCBリュディガー(チェルシーから移籍)が入団することが発表されましたが、ベンゼマとエムバペ(PSG)がフランス代表で勧誘合戦を繰り広げているというチュアメニ(モナコ)は移籍秒読みと言われながら、まだ正式発表はなし。アトレティコなどに至っては、火曜にこのところ、ローリングストーンズやアレハンドロ・サンツなどが立て続けに公演して、完全にコンサート会場と化しているワンダ・メトロポリターノのオフィスやミュージアムでルイス・スアレスのお別れセレモニーが内輪で行われたぐらいなんですよ。 あとはカルロス・ソレル(バレンシア)、RdT(ラウール・デ・トマス/エスパニョール)、サラビア(昨季はPSGからレンタルでスポルティングCPに移籍)と、スペイン代表にいる選手たちが番記者の思いつきのように日替わりで補強候補に挙がってくるようではまったく、信頼が置けず。確実なのは1年間のロンドン生活を終え、サウール(チェルシーにレンタル移籍)が戻って来る程度で、同様に2年ぶりにユベントスから帰還するモラタが残るのかどうかを含め、新シーズンの陣容はまだわからないんですが、そんな中、ウルグアイ代表のアメリカ戦でまた、ヒメネスがケガをしたなんて聞くと、とにかく代表選手たちにはプレシーズン開始に間に合う程度の不具合しか起きてほしくないと願うばかりかと。 まあ、そんなことはともかく、今はスペイン代表のネーションズリーグ2節がどうだったのか、お伝えしていかないと。実を言うと、日曜のチェコ戦は丁度、キックオフ前に全仏テニスのローランギャロス決勝でラファ・ナダルがプレー。足の痛みに苦しみながらもカスパー・ルードを破り、先日は大会の合間を縫って、スタッド・ド・フランスまでCL決勝リバプール戦の応援に駆けつける程、大好きなマドリーと並ぶ、Decimocuarto/デシモクアルト(14回目のローランギャロス優勝のこと)を達成していたため、よっぽどのことがない限り、翌日のスポーツ紙の表紙は彼が飾ることはわかっていたんですけどね。 それがまさか、ナダルのおかげで世間の目が逸れた幸運を喜ぶような試合になってしまうとは一体、誰に予想できた?ええ、1-1で引き分けた初戦のポルトガル戦から8人もスタメンを変えて、プラハのシノボ・スタジアム(スラビア・プラハのホーム)でのチェコ戦に挑んだルイス・エンリケ監督のチームは前半4分、早くも敵のカウンターを喰らい、センター右からのスルーパスに抜け出したクフタ(ロコモティブ・モスクワ)がエリア内までドリブル。最後はペセク(スパルタ・プラハ)に送って、そのシュートがあっさり決まってしまったから、ビックリしたの何のって。 その後は延々とボールを独占し、自陣にチェコを閉じ込めていたスペインでしたが、もうお約束ですよね。彼らが5人DF体制に手こずるのは。ルイス・エンリケ監督は「No recuerdo un equipo que nos haya defendido de una manera tan agresiva/ノー・レクエルドー・ウン・エキポ・ケ・ノス・アヤ・デフェンディードー・デ・ウナ・マネラ・タン・アグレシーバ(あれ程、アグレシッブな形で守備をするチームは思い出せない)」と言っていましたが、私だって、敵のブロックを取り囲み、彼らが外側でパスを回しているばかりの風景を何度見せられたか、思い出せませんってば。 ただ、この日のチェコには早い時間から、負傷者が出るという逆境があって、24分には左のカリレーロ(長い距離をカバーするSB)のツェルニー(ヤブロネツ)がヤンクト(ヘタフェ)に交代。おまけに昨年末、肩の脱臼で長期離脱した後、戻って来たシーズン終盤もあまりキケ・サンチェス・フローレス監督には使われなかったサイドアタッカーも41分にはサラビアと激突して、プレー続行が不可能に。うーん、そこでシルハビ監督がハーフタイムまで数的劣勢を耐えることにしたのも裏目に出てしまったんでしょうかね。 前半ロスタイム3分にはロドリ(マンチェスター・シティ)がエリア前でキープしたボールをもらったガビ(バルサ)が撃ち込み、その日はベンチ外となっていたクラブの先輩、アンス・ファティの17才311日のスペイン代表最年少ゴール記録を更新する、17才304日の初ゴールで同点にしてくれるんですから、空恐ろしいっちゃありません。おかげで試合は1-1のイーブンで折り返すことになったんですが…。 後半頭からはサラビアに代えて、フェラン・トーレス(バルサ)が入ったスペインだったんですが、ほとんど展開は変わらず、8分にはまた、DF陣がクフタに裏を取られ、GKウナイ・シモン(アスレティック)と1対1でのシュートを撃たれる有り様。この時は幸い外れてくれたんですが、16分にはロドリ、RdT、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)から、一気にブスケツ(バルサ)、アセンシオ(マドリー)、モラタと投入しても、「Es difícil de atacar y no hemos estado inspirados/エス・デフィシル・デ・アタカル・イ・ノー・エモス・エスタードー・インスピラードス(攻撃するのが難しくて、ウチにはインスピレーションもなかった)」(ルイス・エンリケ監督)ではねえ。 折しも来年にはマドリーとの契約が切れるため、更新あるいは高値をつけてくれるクラブのオファーをゲットしたいアセンシオ渾身のシュートもゴールポストに嫌われてしまったのは残念でしたが、それより許せないのは22分。チェルニー(トゥエンテ)のスルーパスに抜け出したクフタが今度は自分でvaselina(バセリーナ/ループシュート)を放ち、ウナイ・シモンの頭を越したボールがチェコの2点目となった日には、え?先日のポルトガル戦でも終盤、オルタ(スポルティング・ブラガ)に同点ゴールを決められるなど、今回のスペイン守備陣はかなりザル度が高くないかって? いやあ、初戦はアスピリクエタ(チェルシー)、パウ・トーレス(ビジャレアル)、ディエゴ・ジョレンテ(リーズ)、ジョルディ・アルバ(バルサ)で、この日はカルバハル(マドリー)、イニゴ・マルティネス(アスレティック)、エリック・ガルシア(バルサ)、ミケル・アロンソ(チェルシー)とメンツはまったく違うんですけどね。どうやらチーム全体の守備システムのずれがあるようで、ルイス・エンリケ監督も「Tememos cosas que mejorar, yo el primero/テネモス・コーサス・ケ・メホラル、ジョー・エル・プリメーロ(私を筆頭に、改善しないといけないことがある)」と反省していましたが、こんな状態が続けば、いよいよ9月の代表戦ではセルヒオ・ラモス(PSG)やピケ(バルサ)の復帰もありうる? 何せ、最近のスペインは有り余るゴール力を誇っている訳でもありませんからね。フェランのヘッドが惜しくもポストをかすめ、後半26分にはコケ(アトレティコ)がクラブの同僚のマルコス・ジョレンテに代わり、5人の交代枠を使い切っても一向に得点が入らなかったため、私も敗戦を覚悟しかけたんですが…45分、短いCKから、アセンシオが上げたクロスをイニゴ・マルティネスがヘッド。これがボールバーに当たり、落ちたのがゴール内だったとVAR(ビデオ審判)が認めてくれたんですから、有難いじゃないですか。 とはいえ、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)体質なのはチームにアセンシオとカルバハルしかいませんでしたからね。マドリーのCL決勝進出を牽引したベンゼマ、ビニシウス、ロドリゴ、モドリッチらは他国の代表でお勤め中となれば、そのまま、2-2の引分けで終わってしまったのも仕方ないんですが、この2試合でスペインはたったの勝ち点2を貯めただけ。同時刻、スイス戦をプレーしていたポルトガルが、今度は先発したクリスチアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド)の2発を始め、カルバーリョ(ベティス)、カンセロ(マンチェスター・シティ)のゴールで4-0と大勝し、一気に首位にまで昇ったのを見ると、ちょっと焦りを感じてしますのは私だけではない? 結局、80%という高いボールポゼッションにも関わらず、スピーディなパス回しができずに敵陣を崩せなかったスペインはその日はプラハに連泊。翌日はチーム全員で恒例の外食ランチをした後、次の試合の地、スイスのジュネーブに向かったんですが、初戦でもチェコに2-1と負け、勝ち点0で最下位となったスイスも同じ、相手にボールを持たせて閉じこもる戦法を取るのは火を見るよりも明らかですからね。いくら1、2位との差が勝ち点2で、1勝すれば、かなりパノラマが変わるとはいえ、果たして、長いシーズンを終え、疲れている選手たちにどこまで期待できるのやら。 火曜にセルベッテの練習場で調整したチームはスタッド・ド・ジュネーブ(セルベッテのホーム)での前日セッションの後、木曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、3節をプレーしますが、今週になってもフランスとクロアチア、ドイツとイングランドが1-1で引分けるなど、このネーションズリーグはいわゆる強豪の代表が苦戦。それだけ実力が拮抗しているとも言えますが、やっぱり、W杯がまだ遠い先なのに、気楽だったはずの親善試合が公式戦に変わり、2週間で4試合もこなさないといけないのは皆、辛いのかもしれませんね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.06.09 21:10 Thu
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