もう誰にも説明できない…/原ゆみこのマドリッド

2022.05.07 20:00 Sat
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©Atlético de Madrid
「もう少し早い時期だったら、盛り上がったのにね」そんな風に私が肩を落としていたのは金曜日、この週末にはマドリーダービー2本立てがありながら、その関連話題があまり出ていないことに気づいた時のことでした。いやあ、確かに日曜午後2時から、コリセウム・アルフォンソ・ペレスで始まる弟分ダービーは前節、ベティスと0-0で引き分けたヘタフェが降格圏と勝ち点5差の15位、同様にレアル・ソシエダと1-1だったラージョが同10差の11位と、どちらも確定はまだとはいえ、ほぼ来季も1部でプレーできる見通しが立っていますからね。

もちろん、出場停止となるCBミトロビッチと入れ替わりでクエンカが戻って来るヘタフェはシーズン前半戦に3-0とやられた借りを返したいと思っているとか、あと勝ち点2で上がりとなるラージョは先週末の試合でファルカオがゴールと共に復帰したことで、ますます自信をつけているといった話はありますが、双方共、勝っても負けてもそれ程、懐は痛まず。よって、純粋にマドリッド第1の弟分の地位を巡る戦いを楽しんでもらえればいいんですが、え?となると、深刻なことになっているのはアトレティコだけ?

だってえ、兄貴分ダービーは日曜午後9時(日本時間翌午前4時)にキックオフとなるんですが、すでに前節にはレアル・マドリーが今季4試合を残して戴冠。シベレス広場でのお祝いも終わっているため、彼らにとって、リーカはもう消化試合なのと対照的に、アトレティコの方は未だに来季のCL出場権獲得競争の真っ只中なんですよ。しかもマズいことにここ、6試合で2得点だけ、勝ったのもそのカラスコが2ゴール挙げたエスパニョール戦だけという、最悪の日照り状態に陥っているとなれば、シメオネ監督が金曜土曜と2日連続、練習場所をマハダオンダ(マドリッド郊外)から、ワンダ・メトロポリターノに移して、選手たちにゴールの位置を再確認させているのも仕方なかったかと。

何せ、先週末こそ、自分たちはアスレティックに2-0と負けながら、弟分たちの援護射撃のおかげで5位のベティスとは3、6位のレアル・ソシエダとは6と勝ち点差を1縮められただけに済んだとはいえ、今回はそうはいきませんからね。レイニウドこそ、金曜の上訴委員会で前節のイエローカードが取り消され、累積警告による出場停止を免れたものの、サビッチと入れ替わりにエルモーソは出られませんし、ジョアン・フェリックスとレマルはまだリハビリ中。

それこそルイス・スアレスやグリーズマン、コレア、クーニャらが全力を振り絞って、ゴールを挙げてくれないことには残り4試合、到底、白星は望めませんし、うっかりCL圏外で終わろうものなら、現在、世界一多い4000万ユーロ(約55億円)と言われるシメオネ監督の年棒だけでなく、選手たちも給料大幅減になるのだとか。その辺を考えれば、入場時にお隣さんを”Pasillo de campeones/パシージョ・デ・カンペオネス(チャンピオンの花道)”で迎えるのをガンとして拒むのではなく、とりあえずは愛想良くしておいて、相手を油断させた方がいいんじゃないかと思いますが…やっぱり、あの水曜の奇跡を見た後では何をしてもムダかもしれませんね。

そう、今週のミッドウィークはCL準決勝2ndレグがあったんですが、いえ、火曜にリバプールを迎えたビジャレアルもラ・セラミカのファンの後押しもあって、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転突破)のお膳立てまでは整えたんですよ。というのも開始早々、3分にはエストゥピニャンのクロスをカプエがゴール前のディアスに送り、彼のシュートで先制。座して待つの姿勢一辺倒だったアンフィールドとは別のチームのように敵陣に攻め込んで、いえ、36分にロ・チェルソがGKアリソンに倒されたペナルティは主審にスルーされてしまったんですけどね。それでも40分、今度はカプエがエリア内右奥から上げたクロスをコケリンがヘッドで決めて、前半のうちに総合スコアを2-2にしてしまったから。

でもねえ、そこはCL優勝経験が6回もあるリバプール、クロップ監督がハーフタイムに「サッカーをプレーするんだ!」と選手たちに檄を飛ばし、FWの1人をジオゴ・ジョタから、ルイス・ディアスに代えたところ、うーん、「Hemos pagado el esfuerzo de la primera parte/エモス・パガードー・エル・エスフエルソ・デ・ラ・プリメーラ・パルテ(ボクらは前半の努力のツケを払った)」(アルビオル)という、体力的な理由もあったようですけどね。16分にはサラーのスルーパスから、ファビーニョに撃たれたシュートがGKルリの股間を通ってネットへ。21分にもアレクサンダー=アーノルドのクロスをディアスがヘッドしたところ、またしてもルリに当たって、2点目を取られてしまうとは!

おまけに悪いことは重なるもので、この試合に超特急でリハビリを間に合わせたエースのジェラール・モレノがまた太ももに痛みを覚え、23分には交代せざるを得なかっただけでなく、29分にはエリアを飛び出したルリがマネを逃がし、止めの3点目を奪われているとなれば、もう万事休す。決勝トーナメントではユベントス、バイエルンらの強豪を倒し、17年ぶりの準決勝に進出したビジャレアルでしたが、3度目の奇跡は起きず、予想通りの敗退となってしまいましたっけ(総合スコア5-2)。

え、いくら逆転にゴールが必要な2ndレグとはいえ、エメリ監督も「Nos hemos quedado sin fuerzas/ノス・エモス・ケダードー・シン・フエルサ(ウチは力尽きてしまった)」と言っていたように、前半からガンガン飛ばす作戦はあまりお勧めできないんじゃないかって?そうですね、チームバスのお出迎えに15万人のファンがサンティアゴ・ベルナベウ周辺に集結したマドリーも準々決勝2ndレグのアトレティコを参考にしたか、水曜のマンチェスター・シティ戦では壮絶な撃ち合いとなった1stレグとは打って変わり、0-0で前半を終えることに。

すでにその前半から、シティのGKエメルソンのゴールキックが遅く、スタンドからピーピーやられていた上、後半に入ると負傷明けのウォーカーが2度程倒れていたため、これはまた、1stレグの1点リードを守るため、グアルディオラ監督のotro futbol/オトロ・フトボル(もう1つのサッカー)、最終奥義、時間稼ぎが発動するのかと思いきや、早計でした。ええ、後半26分にはウォーカーとデ・ブライネがジンチェンコとギュンドガンに代わったんですが、その2分後、ベルナルド・シウバのパスから、マフレズがゴールを決めてしまったから、さあ大変!

いや、大変なのは世間一般の普通のチームであって、16強対決のPSG戦もそうでしたが、マドリーに限っては、点差が広がるのが逆にモチベーションになるから、あら不思議。ええ、30分にはモドリッチ、カセミロに代わって、カマビンガとアセンシオが入ったんですが、先にクロースと代わっていたロドリゴも合わせ、5年間でCL優勝4回を成し遂げたジェネレーションがピッチを去っても、クラブに連綿と受け継がれる根性のレモンターダ精神は健在でした。40分過ぎにはグリーリッシュが2度、エリア内からシュートを放ち、最初はメンディがゴールライン前でクリア、次はGKクルトワが伸ばした左足のスパイクで軌道を逸らし、ピンチを凌いだ後、いよいよ時間は45分。

実際、当人までが、試合後に家族で訪れたデ・マリア(マドリッドのステーキレストラン)でマイクを向けられて、その時は「Pensé que ya estábamos fuera, estábamos muertos/ペンセー・ケ・ジャー・エスタバモス・フエラ、エスタバモス・ムエルトス(もう敗退すると思っていた。ボクらは死んでいた)」と言っていたぐらいだったんですが、いよいよベルナベウのmagia(マヒア/マジック)が具現したから、ビックリしたの何のって。そう、カマビンガがエリア外からクロスを入れると、ベンゼマがゴールラインぎりぎりのジャンピングボレーで戻し、ルーベン・ディアスに先んじたロドリゴがまず、1点差に迫るゴールで口火を切ったんですよ。

それだけならともかく、ロスタイム6分が表示された後、1分もしないうちに今度はカルバハルがクロスを送り、アセンシオの頭がかすって落ちて来たボールをロドリゴがヘッドで決め、あっという間に総合スコアが同点になるなんてこと、あっていい? 準々決勝チェルシー戦に続き、またしても彼のお手柄で延長戦に入ったマドリーとなれば、ええ、アンチェロッテイ監督も「En la prórroga lo más importante era la cabeza, la psicología/エン・ラ・プロロガ・ロ・マス・インポルタンテ・エラ・ラ・カベッサ、ラ・シコロヒア(延長戦で一番大事なのは頭、心理学だ)。最後の最後になって追いつかれると、私もリバプール戦で経験したが、流れは良くなかった」と、2004-05シーズンにミランを率いて挑んだCL決勝で後半、3-3と追いつかれ、PK戦までもつれ込んで負けた試合を思い出していたんですけどね。

シティの選手たちもこれには同様したか、延長戦前半5分にはベンゼマがルーベン・ディアスにエリア内で倒され、ペナルティをゲット。一旦はハットトリックの可能性があったロドリゴにキッカーを打診したキャプテンでしたが、最後は1stレグでも成功していた彼がPKを決め、ついにマドリーが逆転です。延長戦後半には脚を痛めたミリトンが複数回、医療スタッフのお世話になるなど、心配なシーンもあったものの、セバージョス、ルーカス・バスケス、バジェホで守備をソツなく固めた彼らが5年ぶりのCL決勝進出を果たしているんですから、まさにこちらは2度あることは3度ある方の奇跡だった(総合スコア5-6)?

いやあ、正直、ロドリゴなども「Creo que no lo puedo explicar/クレオ・ケ・ノー・ロ・プエド・エクスプリカル(説明することはできないと思う)」と言っていたように、彼らのレモンターダ体質については、「En una palabra, Real Madrid/エス・プナ・パラブラ、レアル・マドリッド(一言で言えば、レアル・マドリーだから)」という、それこそ2014年、リスボンでのCL決勝でアトレティコのゴールを守り、「Noventa y Ramos/ノベンタ・イ・ラモス(90分過ぎのラモス弾)」で同点とされ、延長戦で負けたクルトワの言葉を引用するしかないんですけどね。

準々決勝では1点差を追いつくべく、攻勢に出ていた後半44分、フェリペがフォーデンに足をかけて退場。tangana(タンガナ/小競り合い)が始まったせいで、逆転のシナリオがうやむやになってしまったお隣さん相手とはまさに真逆の結果には、グアルディオラ監督も「tenían que hacer dos goles y eran capaces de hacerlo, lo dice su historia/テニアン・ケ・アセール・ドス・ゴーレス・イ・エラン・カパセス・デ・アセールロ、ロ・ディセ・ス・イストリア(向こうは2点取らないといけなくて、それは可能だった。彼らの歴史がそう言っている)」と頭を垂れるしかないようでしたっけ。

おかげで試合終了後のベルナベウのピッチでは、先週土曜のリーガ優勝決定から続けて、選手たちのフィエスタが始まったんですが、スタンドが、「Si, si, si, nos vamos a Paris!/シー、シー、シー、ノス・バモス・ア・パリス(イエス、ボクらはパリに行く!)」とカンティコを唱和する中、気の毒だったのは、ロドリゴのゴールが決まる前にスタジアムを出ていた、諦めの早い一部のファン。歓声を聞いて、戻ろうとしても再入場は認められず、結局、場外で同点、そして逆転劇に耳を澄ますことになったんですが、この教訓はいつか、マドリーのCLマッチ観戦に行こうと思っている日本人ファンも忘れない方がいいかと。

まあ、そんな具合で28日のスタッド・ド・フランスでのCL決勝は2018年の再戦、リバプールとマドリーが激突することになったんですが、今や、戦争の最中にあるキエフのオリンピスキ・スタジアム(ディナモ・キエフのホーム)での大一番では前半30分にサラーがセルヒオ・ラモスとの接触プレーで肩を痛めて交代。3-1で負けて優勝を逃したこともあり、「We have a score to settle(ボクらには決着をつけることがある)」と当人が早速、ツィートしていたんですけどね。ここしばらく決勝から遠ざかっていたマドリーも選手全員が「A POR LA 14/ア・ポル・ラ・デシモクアルタ(14回目のCL優勝を目指せ)」と書かれたシャツを着て、士気の高さでは決して負けておらず。

何せ、すでにリーガの片がついた彼らと比べ、クロップ監督のチームは勝ち点差1でシティとプレミアリーグ優勝をまだ争っていますからねえ。これをアンチェロッテイ監督が利用しない手はないですし、残り4試合は日曜のマドリーダービーを始め、主力選手の休養を考えたローテーション体制に入ってくれるんじゃないかと期待しているんですが、はあ。シティ戦でもはっきりしたように、とにかくアトレティコがゴールを取り戻してくれない限り、どうにもならないんですよね。

【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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まさかこんなに勝てないとは…/原ゆみこのマドリッド

「今年は昇格プレーオフがないから余裕なのね」そんな風に私が頷いていたのは火曜日、マドリッド勢弟分のラージョがプレシーズン開始を7月8日に設定したという記事を読んだ時のことでした。いやあ、ヨーロッパ各地ではネーションズリーグの代表戦が行われる中、スペインのリーガ2部ではいまだに来季1部に上がる3チーム目を決めるためのプレーオフが続行中。昨季など、ラージョとレガネスが準決勝で骨肉の争いを繰り広げたりしたんですけが、残念なことに今年はマドリッド勢2部のアルコルコンとフエンラブラダが相次いで降格の憂き目に。 柴崎岳選手のいるレガネスだけは昨年中にアシエル・ガリターノ監督をナフティ監督に代えたのが功を奏して、12位で残留することができたんですが、プレーオフ圏の6位には勝ち点差14と遥か及ばず。先日はそのナフティ監督が続投せず、昨季はビジャレアルでウナイ・エメリ監督の下でアシスタントコーチを務めていたイディアケス監督が就任することがひっそり発表されていたりするんですが、大体がして今、レガネスはアメリカ資本の企業に売却交渉の真っ最中ですからね。 本決まりすると、来季のチーム編成もどうなるのか、ちょっとわからなくなるんですが、その脇で粛々と続いていたプレーオフ準決勝では、ラス・パルマスとのカナリア諸島勢対決で2連勝したテネリフェ、1stレグでエイバルに0-1と負けたのを2ndレグで0-2と引っくり返したジローナが決勝に進出。とりわけ後者はここ2年連続、それぞれ決勝でエルチェ、ラージョに負け、あと一歩のところで涙を飲んでいるだけに、土曜の1stレグ、その1週間後となる19日の2ndレグに向けて、ラージョのレジェンドであるミチェル監督も相当、気合が入っているかと。 実際、そこからバケーションに入って、8月12日の新シーズン開幕に準備を間に合わせるとなると、本当に休んでいる時間がないんですが、それ以外のチームは各国代表に駆り出されている選手たちですら、今年はW杯が11月になったため、今週末頃までにはお勤めも終了。プレシーズン開始まで1カ月近く休めるからでしょうかね。6人がレンタル移籍を終え、8人が他チームへのレンタルから帰って来る予定だけはわかるものの、今のところ、まだラージョには補強選手が1人も到着せずと、結構、フロントも呑気に構えているようですが、まあヘタフェ同様、彼らは大手クラブの構想外になった選手など、掘り出しモノを待っているところがありますからね。 その一方で兄貴分たちもレアル・マドリーこそ、自由契約でCBリュディガー(チェルシーから移籍)が入団することが発表されましたが、ベンゼマとエムバペ(PSG)がフランス代表で勧誘合戦を繰り広げているというチュアメニ(モナコ)は移籍秒読みと言われながら、まだ正式発表はなし。アトレティコなどに至っては、火曜にこのところ、ローリングストーンズやアレハンドロ・サンツなどが立て続けに公演して、完全にコンサート会場と化しているワンダ・メトロポリターノのオフィスやミュージアムでルイス・スアレスのお別れセレモニーが内輪で行われたぐらいなんですよ。 あとはカルロス・ソレル(バレンシア)、RdT(ラウール・デ・トマス/エスパニョール)、サラビア(昨季はPSGからレンタルでスポルティングCPに移籍)と、スペイン代表にいる選手たちが番記者の思いつきのように日替わりで補強候補に挙がってくるようではまったく、信頼が置けず。確実なのは1年間のロンドン生活を終え、サウール(チェルシーにレンタル移籍)が戻って来る程度で、同様に2年ぶりにユベントスから帰還するモラタが残るのかどうかを含め、新シーズンの陣容はまだわからないんですが、そんな中、ウルグアイ代表のアメリカ戦でまた、ヒメネスがケガをしたなんて聞くと、とにかく代表選手たちにはプレシーズン開始に間に合う程度の不具合しか起きてほしくないと願うばかりかと。 まあ、そんなことはともかく、今はスペイン代表のネーションズリーグ2節がどうだったのか、お伝えしていかないと。実を言うと、日曜のチェコ戦は丁度、キックオフ前に全仏テニスのローランギャロス決勝でラファ・ナダルがプレー。足の痛みに苦しみながらもカスパー・ルードを破り、先日は大会の合間を縫って、スタッド・ド・フランスまでCL決勝リバプール戦の応援に駆けつける程、大好きなマドリーと並ぶ、Decimocuarto/デシモクアルト(14回目のローランギャロス優勝のこと)を達成していたため、よっぽどのことがない限り、翌日のスポーツ紙の表紙は彼が飾ることはわかっていたんですけどね。 それがまさか、ナダルのおかげで世間の目が逸れた幸運を喜ぶような試合になってしまうとは一体、誰に予想できた?ええ、1-1で引き分けた初戦のポルトガル戦から8人もスタメンを変えて、プラハのシノボ・スタジアム(スラビア・プラハのホーム)でのチェコ戦に挑んだルイス・エンリケ監督のチームは前半4分、早くも敵のカウンターを喰らい、センター右からのスルーパスに抜け出したクフタ(ロコモティブ・モスクワ)がエリア内までドリブル。最後はペセク(スパルタ・プラハ)に送って、そのシュートがあっさり決まってしまったから、ビックリしたの何のって。 その後は延々とボールを独占し、自陣にチェコを閉じ込めていたスペインでしたが、もうお約束ですよね。彼らが5人DF体制に手こずるのは。ルイス・エンリケ監督は「No recuerdo un equipo que nos haya defendido de una manera tan agresiva/ノー・レクエルドー・ウン・エキポ・ケ・ノス・アヤ・デフェンディードー・デ・ウナ・マネラ・タン・アグレシーバ(あれ程、アグレシッブな形で守備をするチームは思い出せない)」と言っていましたが、私だって、敵のブロックを取り囲み、彼らが外側でパスを回しているばかりの風景を何度見せられたか、思い出せませんってば。 ただ、この日のチェコには早い時間から、負傷者が出るという逆境があって、24分には左のカリレーロ(長い距離をカバーするSB)のツェルニー(ヤブロネツ)がヤンクト(ヘタフェ)に交代。おまけに昨年末、肩の脱臼で長期離脱した後、戻って来たシーズン終盤もあまりキケ・サンチェス・フローレス監督には使われなかったサイドアタッカーも41分にはサラビアと激突して、プレー続行が不可能に。うーん、そこでシルハビ監督がハーフタイムまで数的劣勢を耐えることにしたのも裏目に出てしまったんでしょうかね。 前半ロスタイム3分にはロドリ(マンチェスター・シティ)がエリア前でキープしたボールをもらったガビ(バルサ)が撃ち込み、その日はベンチ外となっていたクラブの先輩、アンス・ファティの17才311日のスペイン代表最年少ゴール記録を更新する、17才304日の初ゴールで同点にしてくれるんですから、空恐ろしいっちゃありません。おかげで試合は1-1のイーブンで折り返すことになったんですが…。 後半頭からはサラビアに代えて、フェラン・トーレス(バルサ)が入ったスペインだったんですが、ほとんど展開は変わらず、8分にはまた、DF陣がクフタに裏を取られ、GKウナイ・シモン(アスレティック)と1対1でのシュートを撃たれる有り様。この時は幸い外れてくれたんですが、16分にはロドリ、RdT、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)から、一気にブスケツ(バルサ)、アセンシオ(マドリー)、モラタと投入しても、「Es difícil de atacar y no hemos estado inspirados/エス・デフィシル・デ・アタカル・イ・ノー・エモス・エスタードー・インスピラードス(攻撃するのが難しくて、ウチにはインスピレーションもなかった)」(ルイス・エンリケ監督)ではねえ。 折しも来年にはマドリーとの契約が切れるため、更新あるいは高値をつけてくれるクラブのオファーをゲットしたいアセンシオ渾身のシュートもゴールポストに嫌われてしまったのは残念でしたが、それより許せないのは22分。チェルニー(トゥエンテ)のスルーパスに抜け出したクフタが今度は自分でvaselina(バセリーナ/ループシュート)を放ち、ウナイ・シモンの頭を越したボールがチェコの2点目となった日には、え?先日のポルトガル戦でも終盤、オルタ(スポルティング・ブラガ)に同点ゴールを決められるなど、今回のスペイン守備陣はかなりザル度が高くないかって? いやあ、初戦はアスピリクエタ(チェルシー)、パウ・トーレス(ビジャレアル)、ディエゴ・ジョレンテ(リーズ)、ジョルディ・アルバ(バルサ)で、この日はカルバハル(マドリー)、イニゴ・マルティネス(アスレティック)、エリック・ガルシア(バルサ)、ミケル・アロンソ(チェルシー)とメンツはまったく違うんですけどね。どうやらチーム全体の守備システムのずれがあるようで、ルイス・エンリケ監督も「Tememos cosas que mejorar, yo el primero/テネモス・コーサス・ケ・メホラル、ジョー・エル・プリメーロ(私を筆頭に、改善しないといけないことがある)」と反省していましたが、こんな状態が続けば、いよいよ9月の代表戦ではセルヒオ・ラモス(PSG)やピケ(バルサ)の復帰もありうる? 何せ、最近のスペインは有り余るゴール力を誇っている訳でもありませんからね。フェランのヘッドが惜しくもポストをかすめ、後半26分にはコケ(アトレティコ)がクラブの同僚のマルコス・ジョレンテに代わり、5人の交代枠を使い切っても一向に得点が入らなかったため、私も敗戦を覚悟しかけたんですが…45分、短いCKから、アセンシオが上げたクロスをイニゴ・マルティネスがヘッド。これがボールバーに当たり、落ちたのがゴール内だったとVAR(ビデオ審判)が認めてくれたんですから、有難いじゃないですか。 とはいえ、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)体質なのはチームにアセンシオとカルバハルしかいませんでしたからね。マドリーのCL決勝進出を牽引したベンゼマ、ビニシウス、ロドリゴ、モドリッチらは他国の代表でお勤め中となれば、そのまま、2-2の引分けで終わってしまったのも仕方ないんですが、この2試合でスペインはたったの勝ち点2を貯めただけ。同時刻、スイス戦をプレーしていたポルトガルが、今度は先発したクリスチアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド)の2発を始め、カルバーリョ(ベティス)、カンセロ(マンチェスター・シティ)のゴールで4-0と大勝し、一気に首位にまで昇ったのを見ると、ちょっと焦りを感じてしますのは私だけではない? 結局、80%という高いボールポゼッションにも関わらず、スピーディなパス回しができずに敵陣を崩せなかったスペインはその日はプラハに連泊。翌日はチーム全員で恒例の外食ランチをした後、次の試合の地、スイスのジュネーブに向かったんですが、初戦でもチェコに2-1と負け、勝ち点0で最下位となったスイスも同じ、相手にボールを持たせて閉じこもる戦法を取るのは火を見るよりも明らかですからね。いくら1、2位との差が勝ち点2で、1勝すれば、かなりパノラマが変わるとはいえ、果たして、長いシーズンを終え、疲れている選手たちにどこまで期待できるのやら。 火曜にセルベッテの練習場で調整したチームはスタッド・ド・ジュネーブ(セルベッテのホーム)での前日セッションの後、木曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、3節をプレーしますが、今週になってもフランスとクロアチア、ドイツとイングランドが1-1で引分けるなど、このネーションズリーグはいわゆる強豪の代表が苦戦。それだけ実力が拮抗しているとも言えますが、やっぱり、W杯がまだ遠い先なのに、気楽だったはずの親善試合が公式戦に変わり、2週間で4試合もこなさないといけないのは皆、辛いのかもしれませんね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.06.09 21:10 Thu
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まだ働いている選手たちがいる…/原ゆみこのマドリッド

「毎日、試合はあるのにね」そんな風に私が溜息をついていたのは土曜日、本来ならW杯直前のテストマッチで盛り上がっているはずの代表戦週間でありながら、今年はカタールの猛暑を避けるため、異例の11月に本大会が開催。その隙を利用して始まったネーションズリーグが、あまりに淡々と進んでいることに気がついた時のことでした。いえ、ランキング順にグループ割りして、実力の拮抗したチーム同士の対戦ばかりの大会ですから、きっといずこも白熱した試合が展開されているんだとは思うんですけどね。 元凶はスペイン代表の試合以外、こちらではTV中継がないせいで、結局、他国のカードは夜のサッカー番組でサマリーを見るしか手立てがなし。よって、気になるマドリッドのクラブの選手たちが出ていても、国際メジャートーナメントに縁のないGKオブラクがゴールを守るスロベニアがスウェーデンに0-2で負けたとか、先週末にはレアル・マドリーがDecimocuarta(デシモクアルタ/CL優勝14回目のこと)を達成した、まさにスタッド・ドフランスでベンゼマが技ありの先制点。なのにグリーズマンがシーズン後半戦のゴール日照りから抜け出せていないせいもあってか、フランスがデンマークに1-2と逆転負けしたとか、モドリッチが後半途中からしか出なかったクロアチアはアラバのいないオーストリアに0-3と完敗なんてことも。 GKクルトワが恥骨炎で参加を見合わせたベルギーに至っては、エデン・アザールがキャプテンとして先発しながら、オランダに1-4で負けるなど、そここで波乱が起きていても、どこか遠い世界の出来事のようにしか感じられないのは仕方なかった?ちなみにこのネーションズリーグ、最強ランクのリーグAのグループ首位チームだけがファイナルフォーに進んで、トロフィーを争うことができるんですけどね。6月に4試合した後、9月に残り2試合開催というのはいいにしても、その肝心の準決勝と決勝は来年の6月。しかも会場すら、決まっていないとなれば、W杯もありますし、冬の間にすっかり忘れられてしまわないかと心配ですが、ま、それはそれ。今はスペインの初戦がどうだったか、お伝えしていくことにすると。 今週月曜からラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設で合宿に入ったルイス・エンリケ監督のチームは水曜にはセビージャ(スペイン南部)に移動。翌木曜のネーションズリーグ初戦でポルトガルとベニト・ビジャマリン(ベティスのホーム)で対決したんですが、最初に戸惑ったのは、うーん、昨年もユーロ2020のグループリーグ3試合が同市内にあるカルトゥーハであったりして、現地のファンも代表慣れしてしまったんでしょうかね。6万人収容のスタジアムに4万人程しか入らず、結構、空席が目立ったことだったんですが、スタメンの方でもポルトガルがクリスチアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド)をベンチに置くというサプライズが。 これはフェルナンド・サントス監督によると、「技術的、戦術的なオプション」ということで、ベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティ)なども「Ya estamos acostumbrados a jugar sin Cristiano/ジャー・エスタモス・アコストゥンブラードス・ア・フガール・シン・クリスティアーノ(すでにボクらはクリスチアーノ抜きでプレーするのに慣れている)」と言っていたように、ポルトガルも徐々に世代交代が進んでいるってことなんでしょうけどね。ジョアン・フェリックスもアトレティコのシーズン終盤戦には間に合わずとも、さっさとハムストリングの負傷を治して代表招集されていれば、活躍の機会をもらえていたのにと、ちょっと残念ではあったかと。 穏やかなペースで進んだ前半、先にシュートを撃ったのはポルトガルのレオン(ミラン)だったものの、ゴールを挙げたのはスペインで24分、ガビ(バルサ)が自陣からドリブルで上がると、サラビア(スポルティングCP)にパス。心の広い彼がエリア内でモラタに送り、そのシュートが決まって先制点になります。いやあ、これでモラタは代表通算26得点、歴代7位になったなどと聞くと、2年間のレンタル生活を過ごしたユベントスが移籍金3500万ユーロ(約50億円)の買取オプションを行使せず。プレシーズンにはアトレティコに帰還するため、最初はすぐに次の移籍先を探す予定と言っていたのが、残留を切望されているという話に変わったのもわからなくはない? ただ、28分に再び、ガビのパスからカルロス・ソレル(バレンシア)が撃ったシュートはGKジオゴ・コスタ(ポルト)に弾かれてしまい、後半もモラタが外してしまったため、スペインには追加点が入らず。その時にはもう、ポルトガルはロナウドとグエデス(バレンシア)がピッチに入り、スペインもソレルとフェラン・トーレス(バルサ)がコケ(アトレティコ)とダニ・オルモ(ライプツィヒ)に代わっていたんですが、モラタも後半25分にはこちらも、アトレティコのCF補強候補として最近挙がってきたRdT(ラウール・デ・トマス/エスパニョール)と交代することに。ちなみに一番、スタンドから喝采を浴びていたのは、8月まで、mayor de edad/マジョール・デ・エダッド(成人)にもならないガビで、ええ、先輩たちがパッとしない中、孤軍奮闘していましたからね。 昨年夏、クーマン前監督に抜擢され、トップチームでプレーするようになってから、10月にはもう、前回のネーションズリーグ・ファイナルフォーのメンバーに招集。先見の明のあることを示したルイス・エンリケ監督も彼のことは、「ガッツがあって、パワーもあるのはすでに見せているが、持っているサッカーの全てを披露した日には…no todos los que le tienen cerca saben lo que tiene/ノー・トードス・ロス・ケ・レ・ティエネン・セルカ・サベン・ロ・ケ・ティエネ(側にいる者全員が、彼が何を秘めているのか知っている訳ではない)」と意味深なことを言っていましたが、まったくそう。 揃ってバルサというのは何ですが、17才のガビと、この日は「思う存分、チームを助けられるだけの必要なリズムがまだない」(ルイス・エンリケ監督)という理由でベンチに留まった19才のアンス・ファティ、そしてシーズン終盤の負傷で今回は招集されていない、同じく19才のペドリが一緒にプレーするようになれば、またスペイン代表に黄金時代が戻って来たりするんじゃないかと、ちょっと私も夢見てしまわないこともなし。ただ、35分、そのガビがマルコス・ジョレンテ(アトレティコ)に代わったのが影響したんでしょうかね。その1分後にはカンセロ(マンチェスター・シティ)のラストパスをオルタ(スポルティング・ブラガ)が撃ち込んで、同点にされてしまったから、さあ大変! それでもスペインは勝利を諦めず、自分の担当サイドから、パスを通されてしまった責任を感じたか、41分にはサラビアのchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)をジオゴ・コスタが弾いて上がったボールをジョルディ・アルバ(バルサ)がヘッドで狙っていったんですけどね。ゴールはガラ空きだったにも関わらず、枠の外へ。結局、1-1の同点で終わり、これでポルトガルとは親善試合を含め、3連続ドローとなったんですが、まあ、選手たちもクラブでのシーズンが終わったばかりとあって、疲れていたのかもしれません。 実際、土曜にはイングランドがハンガリーに1-0で負けたり、ドイツがイタリアと1-1と引分けるなど、いわゆる強豪チームが軒並み、ネーションズリーグの初戦で躓いているのを見ると、まだいい方じゃないかと思いますが、スペインがボールを60%とボールを握りながらも、あまり見栄えのしない展開だったせいでしょうか。CL決勝出場のためにムリしたケガが癒えていなかったチアゴ・アルカンタラ(リバプール)がポルトガル戦をスタンド見学した後、代表離脱した翌金曜はベティスの練習場を借りて、チームはリハビリセッション。 土曜には次のチェコ戦が行われるプラハに移動したスペインでしたが、シノボ・スタジアム(スラビア・プラハのホーム)での試合前記者会見に出たコケなど、「試合の数が多すぎると、プレーの質に影響しないか?」なんて訊かれてしまうことに。まあ、彼が「Me gusta jugar al fútbol. Me gusta mi trabajo. No sabría decirte si puede bajar el nivel/メ・グスタ・フガール・アル・フトボル。メ・グスタ・ミ・トラバッホ。ノー・サブリア・デシールテ・シー・プエデ・バハール・エル・ニベル(ボクはサッカーが好きで、自分の仕事も好きだから。レベルが下がるかどうかは言いようがないよ)」と話していたのは今季、アトレティコでほとんど、いいところを見せられなかった当人だけに、あまり参考にならないんですけどね。 何せ、日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からの相手、チェコは初戦でスイスに2-1と勝利。ここはスペインも勝ち点3を獲って、ひとまず首位に立っておかないといけませんからね。今回は来週も木曜にジュネーブでのスイス戦、日曜にマラガでのチェコ戦と試合が多いため、ルイス・エンリケ監督もスタメンのローテーションをするようですが、やはりファンが楽しみにしているのは久々に代表に戻ったアンス・ファティやアセンシオ(マドリー)のゴールではないかと。 ええ、今季はベンゼマ、ビニシウスに次ぐチームで3番目に多い12得点を挙げながら、CL決勝では出番がないという、ちょっとイレギュラーなシーズンを送った後者に関しては、ルイス・エンリケ監督も「El chut de Asensio no lo tienen más de seis jugadores en el mundo/エル・チュト・デ・アセンシオ・ノー・ロ・ティエネン・マス・デ・セイス・フガドーレス・エン・エル・ムンド(世界で6人以上、アセンシオのようなシュートができる選手はいない)」と絶賛していましたしね。 9月になれば、常連のオジャルサバル(レアル・ソシエダ)やジェラール・モレノ(ビジャレアル)らもケガを完治させて戻って来るかもしれないため、アセンシオもW杯参加に向けて、ここが最後の頑張りどころかと。CL決勝トーナメント3連続奇跡のremontada(レモンターダ/逆転突破)劇でゴールを挙げて、少々差を付けられた感のあるロドリゴに先んじて、アンチェロッティ監督に使ってもらうためにも、ライバルがブラジル代表でまだ控え待遇であるだけに、スペイン代表で活躍しておくことは決してムダにはなりませんって。 え、それでバケーション中のマドリッドのチームのニュースはまったくないのかって?そうですね、マドリーなどは退団するベイルやイスコから、お別れのメッセージがあった翌日、木曜にはこの夏、最初の補強として、リュディガー(チェルシー)の入団を公式発表。ただ、契約満了で加入するCBについてはもう5月頃から、確定事項になっていたため、驚きはまったくないんですが、当人が今、ドイツ代表でお勤め中とあって、プレゼンは20日にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場で実施されることに。 いやあ、それこそエムバペ(PSG)が入団していれば、試合がなくなって、改装工事突貫態勢に入ったサンティアゴ・ベルナベウを無理にでも開けさせたんでしょうけどね。まだコロナ禍の残っていた昨年夏のカマビンガ(レンヌから移籍)、アラバ(同バイエルン)と同じ扱いなのはちょっと、リュディガーが可哀そう?まだPSGの横槍が入ったりして、決まっていませんが、移籍金8000万ユーロ(約120億円)とも言われるチュアメンディ(モナコ)の方は果たしてどこでプレゼンされるのか、これは少し注目ですね。 そしてお隣さんの方はすでに言ったように、ルイス・スアレスの穴を埋めるべく、補強候補の名前は幾つか出ているんですが、そう簡単には決まりそうになし。昨季もクーニャ(フランクフルトから移籍)が来たのは8月になってから、グリーズマン(バルサからレンタル)なんて、それこそ最終日に決まったため、今年も時間はかかるんじゃないかと思いますが、さて。ちなみにまた、移籍が噂されているコレアは水曜にフィナリシマ(ユーロ王者とコパ・アメリカ王者が対決する新しい大会)でイタリアを0-3で破り、優勝したアルゼンチン代表にデ・パウルと共に参加していたんですが、その翌日には離脱。小さな手術をした後、バケーションに入るようですが、彼もいなくなった場合、果たしてアトレティコはゴールを期待できるFWを2人も獲れるんでしょうか。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.06.05 14:30 Sun
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余計なことは言っちゃいけない…/原ゆみこのマドリッド

「簡単に直せるもんなのね」そんな風に私が目を丸くしていたのは火曜日、前夜にはワンダ・メトロポリターノ前の地面から、誰かに引きはがされ、その辺に捨てられていたクルトワのアトレティコ出場100試合以上記念のプレートが早くも復活している映像をお昼のTVニュースで見た時のことでした。いやあ、実はこの事件には口の軽い複数の責任者がいて、発端はクルトア自身なんですけどね。 ええ、CL決勝前の記者会見で、2014年の決勝ではアトレティコのゴールを守っていた当人が、お隣りさんにDecima(デシマ/10回目のCL優勝のこと)を持って行かれたことを踏まえ、「レアル・マドリーが決勝に出るといつも勝つ。だから、estoy en el lado bueno de la historia/エストイ・エン・エル・ラドー・ブエノ・デ・ラ・イストリア(自分は歴史のいい方の側にいる)」と言ったのが、大いなる過ちの始まりだったのは誰にも否定できないところかと。 その言葉にアトレティコファンから、猛反発が起こったのも当然で、土曜にはペーニャ(ファンクラブ)連合から、クルトワのプレートを撤去するよう、クラブに正式依頼がされるまでに。更には日曜日、CL優勝後の表敬訪問先の一つ、マドリッド市役所ではアトレティコファンを公言するアルメイダ市長から、「en el lado bueno también estamos los que lloramos contigo en Lisboa/エン・エル・ラドー・ブエノ・タンビエン・エスタモス・ロス・ケ・ジョラモス・コンティーゴ・エン・リスボア(いい方の側には我々、君と一緒にリスボンで泣いた者たちもいる)」と諭されていたんですが、やはり止めはセレソ会長でしょうか。 というのも月曜にこの件についてマスコミに訊かれた際、「Si quieres quitar la placa de Courtois ve con un pico y una pala y quítala/シー・キエレス・キタール・ラ・プラカ・デ・クルトワ・ベ・コン・ウン・ピコ・イ・ウナ・パラ・イ・キターラ(クルトワのプレートを撤去したいなら、ツルハシとシャベルを持って行って取ればいい)」って、いや、冗談だったのはわかるんですけどね。それが最後の一押しになったか、まさか、本当に実行してしまう輩がいるとは! まあ、こんなにプレート製造が容易なら、100試合なんて区切りは作らず、2013年のコパ・デル・レイ優勝の立役者だったファルカオ(現ラージョ)や2014年のリーガ優勝に貢献したビジャ、同昨季優勝のルイス・スアレスのプレートも設置してあげてもいいんじゃないかと思いますが、その一方で騒ぎの元凶となったクルトワは祝賀行事明けの月曜には母国に戻り、弟さんの婚姻届け提出に付き合った後、ベルギー代表合宿へ。といっても今年になって、ずっと悩まされていた恥骨炎の診察を受けただけで、すぐにお役御免となったため、当分、表舞台に出ることはないはずですが…プレシーズン練習開始頃にはほとぼりも冷めているでしょうから、ここしばらくはおとなしくしていてほしいものです。 え、それで週末の夜、土日連ちゃんで私が過ごしたサンティアゴ・ベルナベウの様子はどうだったのかって?いやあ、もうCL決勝パブリックビューイングも祝賀行事もそれこそ、スタジアム周辺はCL決勝トーナメントのマッチデー並みの混雑だったんですけどね。完売となった入場チケットのreventa(レベンタ/ダブ屋)まで出ていたのにはビックリだったかと。 幸い、決勝リバプール戦キックオフ15分前に前代未聞の15分遅延の知らせが入った時も、それが更に長引いて、ようやく午後9時23分にセレモニーがピッチの大画面に映った時も6万人になるスタンドのファンたちはゆったり構えていたんですけどね。「リバプールファンがまだ半分しか入っていない」、「大量の偽造チケットのせいでゲートが閉鎖された」、「柵を乗り越える猛者もいて、警察が催涙スプレーで撃退している」といったラジオから届く現地情報に私など、ヤキモキするばかりだったんですが、試合は36分遅れでようやくスタート。 あとで2700人以上のリバプールファンが本物のチケットを所有しながら、スタジアムに入れなかったと聞くと、カルハバルの家族、親族、友人その他が入場を諦めざるを得なかったなんてことはあったものの、ファンのほとんどが無事に席につけたマドリーにその辺りから、ツキがあったのかもしれないんですけどね。とはいえ、「Con el retraso el más nervioso he sido yo/コン・エル・レトラソ・エル・マス・ネルビオーソ・エ・シードー・ジョ(遅延で一番、神経質になったのは自分だった)。見られないように個室に閉じこもっていたが、選手たちは全然平気なようだった」とアンチェロッティ監督は言っていたものの、序盤から、リバプールに押し込まれっぱなしだったのはその影響も少しはあった? まあ、「hemos dado el juego vertical, atrás lo hemos hecho muy bien/エモス・ダードー・エル・フエゴ・ベルティカル、アトレアス・ロ・ヘモス・エッチョー・ムイ・ビエン(相手に縦にプレーさせて、ウチは後ろの守備がとても良かった)」(アンチェロッティ監督)という作戦通りだったのかもしれませんが、それもクルトワがサラーやマネのシュートを弾きまくってくれたからこそ。ハーフタイムが近づくまで、GKアリソンを脅かすこともなかったマドリーだったんですが、それが42分、いきなりチャンスがやって来ます。ええ、ベンゼマがゴール右前で撃てずに後ろに出したパスが、そこへ突っ込んできたバルベルデと激突したファビーニョのヒザに当たり、戻って来たボールをベンゼマがゴールにしてくれたから、スタンドは一転して歓喜の渦に。 残念ながら、この得点は主審とVAR(ビデオ審判)の協議でファビーニョにはクリアの意志はなかったと判断され、ベンゼマがオフサイドを取られて認められなかったんですが、大丈夫。これで目を覚ましたマドリーは後半13分、バルベルデのラストパスをビニシウスが決めて、先制点を奪うことに成功したんです!うーん、この後もクルトワにはサラーや途中出場のジオゴ・ジョタからゴールを守るという重労働があったんですけどね。今季の決勝トーナメントは奇跡のremontada(レモンターダ/逆転突破)を後押しするため、イケイケの応援ばかりしていたベルナベウのファンたちが息を詰めて見守る中、「1回、枠内シュートがあっただけで、それがゴールになった」(クロップ監督)マドリーがリバプールに得点を許さず、0-1で逃げ切ってしまいましたっけ。 え、これはどう見ても9回ものparadon(パラドン/スーパーセーブ)を披露し、決勝MVPにも選ばれたクルトワあってのDecimocuarta(デシモクアルタ/14回目のCL優勝のこと)だろうって?そうですね、惜しむらくはそれこそ2014年、ダ・ルスでの後半ロスタイム、セルヒオ・ラモスのヘッドを止めてくれていたら、今頃は当人も自身2度目のCL優勝を祝っていたはずですが、その頃の彼は弱冠22才。 ヤブヘビをつつく癖は変わらずとも、30才の今とは成熟度が格段に違うんでしょうけどね。これで指揮官として最多となる4回目のCL戴冠をしたアンチェロッティ監督が、「Es más fácil ganar una Champions con el Real Madrid/エス・マス・ファシル・ガナール・ウナ・チャンピオンズ・コン・エル・レアル・マドリー(CL優勝をレアル・マドリーで遂げるのは他より易しい)」と言うのも頷けるかと。 実際、選手の9人、カルバハル、ナチョ、マルセロ、カセミロ、クロース、モドリッチ、ベンゼマ、イスコ、ベイルはマドリーで5度目のCL優勝ですし、勝ったそばから、もうDecimoquinta/デシモキンタ(15回目のCL優勝のこと)の話をしている辺り、やはり並みのチームではないことがわかりますが、まあそれはそれ。大画面でマルセロがトロフィーを掲げる表彰式まで楽しんだベルナベウの観衆はその後、多くがシベレス広場まで移動。他の場所で決勝を見ていたファンたちも加わり、選手たちがお祝いに来るのは翌日とわかっていたにも関わらず、明け方近くまで盛り上がっていたようです。 そして日曜日、午後6時にスーツ姿でバスに乗り、祝賀行事のはしごにベルナベウを出発したマドリーは、リーガとCL2つのトロフィーと一緒にまずは大聖堂へ。続いて向かったマドリッド州庁舎では、私も最近、行ってなくて知らなかったんですが、選手たちが挨拶に出るバルコニーが面したプエルタ・デ・ソルが全面工事中だったせいですかね。ファンも広場に入る放射線状の道に留まって、互いに遠目にしか、見えなかったからか、割とすぐに次のマドリッド市庁舎に移動。そしてまさにその市庁舎のすぐ目の前がシベレス広場なんですが…。 ええ、もちろんこの一部始終、私はテレマドリッド(ローカルTV局)の追っかけ番組で見ていたんですけどね。そろそろかとベルナベウに向かったところ、やっぱりこういう行事は予定通りにはいきません。いやあ、シベレス広場の噴水の周りに設けられたキャットウォークでアザールがマイクを握り、実際、チェルシーから移籍して、この3シーズンはケガでいないことが多く、話せるようになったのかも知らなかったスペイン語で、「イロイロあったけど、el año que viene lo voy a dar todo por vosotros/エル・アーニョ・ケ・ビエネ・ロ・ボイ・ア・ダール・トードー・ポル・ボソトロス(来季は君たちのために全てを出す)」と誓い、ファンに大喝采を浴びていた頃でしょうか。 丁度、その日、最終節をプレーしていたリーガ2部の同時刻一斉開催試合が終わったんですが、実はマドリッド南部ではドラマが起きていたんですよ。ええ、私が行き損ねたブタルケで2位だったアルメリアがレガネスと2-2で引分けている間に、3位のバジャドリーがウエスカに3-0で爆勝して、1位に上昇。お隣りのサント・ドミンゴでエイバルも0-0で引分けていたため、そのままだと、アルメリアは3位でプレーオフに回ることになったんですが、後半ロスタイム、すでに何節も前にダントツ最下位での降格が決定していたアルコルコンがゴールを挙げて、1-0で勝ってしまったから、さあ大変! 最後は1位アルメリア、2位バジャドリーの2チームが1部昇格決定となり、2週間前のレガネス戦同様、大勢のファンが応援に駆けつけながら、最終節前には1位だったエイバルは3位となって、6位のジローナと木曜にプレーオフ準決勝1stレグを戦うことに。もう1つの準決勝は4位のテネリフェと5位のラス・パルマスという、カナリア諸島仲間の対戦で、何か昨季のレガネスとラージョの弟分ダービープレーオフを思い出させますが、まあ、そんな時間ですよ。本来だったら、ベルナベウでの祝賀フィエスタ開始時刻だった午後10時、ようやくマドリーのオープンデッキバスがシベレス広場を出発したのは。 結局、スタジアムでのCL祝勝イベントが始まったのは10時50分頃でした。ここ8年で5回もあればもう、いつも通りと言っていいと思いますが、レーザー光線の煌めくなか、一人ひとり、名前を呼ばれた選手が登場。前日のパブリックビューイング用大画面の四方はそのままで、新たに屋根に設けられた舞台に上がり、そこではアンチェロッティ監督がHimno de Decima/イムノー・デ・デシマ(CL10回目の優勝のクラブ歌)をカラオケで歌ったり、クラブ史最多の25タイトルを獲得して、16年間プレーしたマドリーを退団するマルセロが胴上げされたり、盛大な花火が撃ち上げられたりといった感じですが、あ、大丈夫ですよ。9年間勤めあげて、やはりこの6月で契約が終わるイスコも舞台を下りて、チームが場内一周している時にちゃんと胴上げされていますって。 それだけに、リーガ優勝祝いには参加せず、この日いたことだけでも驚きだったベイルには何もなかったのがちょっと、気の毒に思えましたが、まあ彼にはこの日曜、水曜のスコットランドvsウクライナ戦で勝ったチームと当たる、W杯予選プレーオフ決勝がありますからね。ウェールズが本大会に行けるかどうかで、来季の移籍先を探すか、そのまま引退するかを決めるようですが、そんなこんなでようやく、ベルナベウのフィエスタがお開きとなったのは午後11時30分。どうやら、決勝トーナメントの2ndレグ3連続延長戦から、CL絡みでマドリーと付き合うと、帰りが午前様になるのが定番になってしまったようです。 え、それでも翌日、カルバハルもアセンシオも午後1時の集合時刻にラス・ロサス(マドリッド郊外)のサッカー協会施設に姿を見せ、休みも取らずにスペイン代表合宿に駆けつけていたのは感心じゃないかって?そうですね、パリからイギリスに戻り、日曜にはリバプールの2冠優勝(FAカップとカラバオカップ)市内パレードに参加していたチアゴ・アルカンタラはどうやら、CL決勝にもギリギリの状態で先発していたらしく、練習はせずに検査を受けていたんですけどね。すでに集合前にラポール(マンチェスター・シティ)がケガでディエゴ・ジョレンテ(リーズ)と入れ替わっていたのに続いて、メンバーチェンジがあるかはまだわからず。 ちなみに今回の代表戦はネーションズリーグ、そのグループリーグ4試合を11日間で消化するというものなんですが、スペインは木曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、セビージャのベニト・ビジャマリン(ベティスのホーム)で開催されるポルトガル戦でスタート。日曜にはプラハでのチェコ戦、来週木曜にはジュネーブでスイス戦、そして12日の日曜にマラガでまたチェコ戦というスケジュールになっているため、ラス・ロサスでは火曜までしか練習しないんですが、いやまったく。11月のW杯前に別の大会を挟むのも、CL決勝に参加した3人以外、1週間、バケーションを取った後に選手たちが参加というのも何か、中途半端な感じがしますよね。 <hr> 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.06.01 23:00 Wed
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CL決勝は勝つのがお約束だけど…/原ゆみこのマドリッド

「ああも賑わっていると、行きたくなるわよね」そんな風に私がうずうずしていたのは金曜日、エッフェル塔前の定番セルフィースポットやCLトロフィーが展示されているパリ市内の広場をレアル・マドリーファンが闊歩しているのをお昼のTVニュースで見た時のことでした。いやあ、話を聞くと、やはり飛行機やホテル代高騰の影響はあったようで、スペインから10時間以上かけて自家用車でやって来たり、決勝前日深夜に出る日帰り弾丸バスツアーを利用するファンも多いようなんですけどね。 両チーム合わせて8万人程のサポターがパリ入りするものの、試合のチケットを持っているのはその半数しかいないなんて聞くと、サンティアゴ・ベルナベウでのパブリックビューイングで決勝を楽しめるだけ、まだましかなと思ったりもしますが、え?もしや、すでに優勝決定後、スタジアムから流れてくるファンに備え、シベレス広場周辺の交通規制準備をしているマドリッド当局も、それ以外のシナリオはまったく考えていないようじゃないかって? まあ、彼らが最後に負けたのは1981年、それこそ相手はリバプールだったというのは何ですが、その後は、Septima(セプティマ/7回目)からDecimotercera(デシモテルセーラ/13回目)まで、CL決勝では無敗を続けていますからね。たとえ、この土曜にトロフィーがもらえずとも、プレミアリーグも先週日曜の最終節にマンチェスター・シティに勝ち点差1で持っていかれたものの、今季はFAカップとカラバオカップに優勝しているため、日曜には市内パレードを予定しているリバプールとは違い、負けた場合、マドリーは現地解散。用意した祝賀行事もムダになってしまうなんてこと、今、心配しても仕方ありませんって。 ちなみに先週末にリーガが終わった後、月曜からCL決勝に向けての練習をバルデベバス(バラハス空港の近く)で始めたマドリーだったんですが、火曜には世間がコロナ禍に襲われて以来、2年ぶりに施設をプレスに開放。オープン・メディア・デーで私も久々に中に入ることができたんですが、いえ、サンティアゴ・ベルナベウに代わって、マドリーの無観客ホームゲームが開催された、同じ敷地内にあるエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)には昨季も通っていたんですけどね。 ビニシウスの2発とアセンシオのゴールでCL準々決勝リバプール戦1stレグに3-1と勝利した試合なども観戦できたんですが、トップチームの選手たちがセッションを行うグラウンド側の建物には近づけことはできず。といっても刻々と姿が変わる絶賛改装中のベルナベウとは違い、それ程、施設自体には変化はなかったんですが、アンチェロッティ監督のZOOM越しでない記者会見があった後、アトレティコのスタートから15分間だけの公開より、ずっと太っ腹に練習を最初から最後まで見られたのは嬉しかったかと。 お隣さんとはメニューの趣向も異なり、ほとんどフィジカルトレはなくて、ボールを使ったゲーム形式の演習が多かったのも見応えがあったんですが、この日こそ、まだマルセロがコーチとマンツーマンだったものの、何よりの朗報はマドリーには負傷者が1人もいないことだったでしょうか。ええ、リーガ最後の2試合を背筋痛で欠場したベイルも普通に参加していましたしね。アラバも完全に復活していたとなると、クロップ監督は「チアゴは2日続けて練習したし、ファビーニョも同じだ」と決勝前日に言っていたものの、回復間もない選手を複数抱えるリバプールの方が戦力的にはちょっと危うい? そしてその後はベランダにずらりと並んだインタビュースペースで選手たちのメディア対応が始まったんですが、エムバペのPSG残留発表があってから、間がなかったため、どの選手もその件について意見を求められるという気の毒なシーンも。それにしたって、マドリーのCL優勝経験者の多さは尋常ではなく2018年、キエフで行われたリバプールとの決勝にいた選手は11人。ゴール2本を決めたベンゼマ、マドリーではほぼ最後の勇姿だったと言っていいchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)でのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を披露したベイルはもちろん、カルバハル、マルセロ、モドリッチ、クロース、カセミロ、イスコ、ナチョ、アセンシオ、ルーカス・バスケスと、うち最後の2人以外、マドリーで5回目のCLトロイフィーゲットとなるかもしれないとは半端ない。 大体がして、アンチェロッティ監督自身、マドリーのDecima(デシマ/10回目のCL優勝のこと)の前にミランで2度、CLに優勝。リバプールとの決勝は1勝1敗なんですが、それ以外にもアラバはバイエルンで、アザールもチェルシーで経験済みとなれば、初の大舞台に挑むビニシウス、ロドリゴ、バルベルデ、ミリトンら、若手も何を恐れることがある?とはいえ、その逆で間の悪い選手もいて、それはGKクルトワなんですが、ええ、2014年にはマドリーとリスボンで決勝を戦ったアトレティコで”Noventa y Ramos/ノベンタ・イ・ラモス(90分過ぎのラモス弾)を喰らい、延長戦で4-1と負けることに。その夏に戻ったレンタル元のチェルシーがCL優勝をしたのは2021年になってからでしたからね。 要はマドリーに移籍した2018年から3年間、「ベンゼマがゴールゲッターの役目を完璧に果たせるようになるまで、ウチはクリスチアーノ・ロナウド(現マンチェスター・ユナイテッド)が毎シーズン挙げていた50ゴールを埋め合わせることができなかった」(クロース)というチームのCL日照りに付き合うことになったんですが、まったく運命とは残酷なもの。バルデベバスのマッサージルームなどではCL戦が近づく度、そのトラウマ映像がTVで何度もリピートされ、セルヒオ・ラモスの同点ゴールのシーンが映るたびにチームメートたちから、「Toma Tibu!/トマ・ティブー(喰らえ、クルトワ)」と冷やかされていたのだとか。 おかげで決勝前日の記者会見に出た当人も「Cuando el Real Madrid juega, las ganan. Estoy en el lado bueno de la historia/クアンドー・エル・レアル・マドリッド・フエガ、ラス・ガナン。エストイ・エン・エル・ラードー・ブエノ・デ・ラ・イストリア(レアル・マドリーが決勝をプレーする時は勝つ。ボクは歴史のいい方の側にいるよ)」なんて言っていたんだと思いますが、さあて。ちなみにクロップ監督はスタッド・ドフランスでの会見で、「明日のスタジアム入り前には2018年にマドリーに負けた時のビデオを選手たちに見せるつもりだ。そのリベンジだけが唯一のモチベーションではないけどね」と、メンタル的な準備も周到に進めていることを告白。となると、準決勝マンチェスター・シティ戦2ndレグ前には今季の決勝トーナメントPSG戦やチェルシー戦を含む、奇跡のremontada(レモンターダ/逆転突破)ビデオを編集し、最後に「あと1つ、欠けている」と括って、部下を鼓舞したアンチェロッティ監督は一体、今度はどんな映像を選ぶんでしょうかね。 そして木曜夕方には早くもフランスに飛んだマドリーは、パリ郊外のシャンティリーにある宮殿のようなホテル、オーベルジュ・ジュ・ド・ポームに宿をとったんですが、リバプールの方は前日の金曜にパリの中心部にあるホテルに到着。中でも2018年の決勝で前半30分にラモスとの接触プレーで肩を痛め、無念の交代となったサラーが、「自分が優勝を決められることを期待している」と誰より張り切っているのが要注意なんですが、グループリーグではアトレティコに2連勝と強さを見せつけた彼らも決勝トーナメントに入ってからは結構、苦労していたよう。 ええ、16強対決のインテル戦ではアンフィールドでの2ndレグで0-1と負け、総合スコア2-1の辛勝でしたし、準々決勝ベンフィカ戦も1-3で先勝した後、ホームでは3-3の撃ち合いに。そして準決勝ビジャレアル戦ではラ・セラミカでの2ndレグ前半に2-2と総合スコアをイーブンに持ち込まれ、後半にGKルリの連続ミスで3点取って勝ち抜けているため、これならマドリーにも十分、付け入る隙がある?とはいえ、奇跡の逆転勝利4連ちゃんというのはあまりに出来過ぎな感もしますし、できれば、あと2得点でクリスチアーノ・ロナウドの持つ、CL1シーズン最多の17得点と並ぶベンゼマ辺りがすんなりゴールを決めて、土曜午後9時(日本時間翌午前4時)からの決勝では、あまりファンをはらはらさせずにDecimocuarta/デシモクアルタ(14回目のCL優勝)達成となってくれるといいのですが。 一方、この月曜から完全にバケーションに入った残りのマドリッド勢1部3チームはどうしているのかというと、うーん、今のところ、あまり選手の出入りもないんですけどね。金曜にはキケ・サンチェス・フローレス監督の契約2年延長のプレゼンがあったヘタフェでは、オリベイラがナポリに1500万ユーロ(約21億円)の強制買取オプション付きでレンタル移籍したなんてことはあったんですが、新規加入に関してはラージョ同様、弟分チームは移籍市場が閉まる直前に活発化する傾向がありますからね。 当分、興味深い動きは出てきそうにありませんが、アトレティコもこの夏は大型補強をする予定はないのだとか。ただ、こちらは各国代表に招集されている選手が多いため、今週末頃からは6月上旬の代表戦週間に備えて、練習に戻る選手たちもちらほらと。いえ、先日はラジオのインタビュー番組に出演し、「セビージャ戦の前日にいきなり退団セレモニーをすると言われたけど、yo no sabia nada/ジョー・ノー・サビア・ナーダ(自分は何も知らなかった)」と裏話を暴露。クラブやシメオネ監督から契約延長をしないという連絡を受けずに決定事項にされていたことを明かしていたルイス・スアレスは古傷のメイテナンスがあって、ヒメネス1人参加となったウルグアイ代表を免除されているんですけどね。 ジョアン・フェリックスもまだケガが治らないのか、ポルトガル代表のネーションズリーグ4試合には参加しませんが、コレアやデ・パウルはアルゼンチン代表で6月1日にユーロ王者のイタリアとコパ・アメリカ王者がウェンブリーで対決する試合に備えて、メッシ(PSG)らと共にもうレサマ(アスレティックの練習場)でトレーニング中。来週、月曜にはコケとマルコス・ジョレンテもラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設でスペイン代表合宿が始まるとあって、少しは選手たちの活動報告もできるかと思いますが…この夏は国際メジャートーナメントがないせいで、サッカーファンにとって、普段以上に長いものになりそうです。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.05.28 20:00 Sat
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リーガの決着がついた…/原ゆみこのマドリッド

「今ならメガプレゼンの絶好の機会だったのに」そんな風に私がガッカリしていたのは月曜日、とうとう今季リーガ1部の全日程が終わり、W杯も11月開催とあって、これからしばらく暇を持て余すことに気がついた時のことでした。いやあ、去年の夏もエムバペ移籍に2億ユーロ(約280億円)のオファーを出して、PSGに蹴られたレアル・マドリーだったんですけどね。昨季はコロナの流行により、ホームゲーム全てをエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)で無観客開催。サンティアゴ・ベルナベウではシーズオフになっても全面改装工事が続いていたため、とてもファンをスタンドに入れての入団プレゼンなんて望めなかったのは本当ですよ。 今季はまだ事情が変わり、昨年9月からはベルナベウのスタンドにも観客が入れるようになって、いえまあ、そのおかげでCL決勝トーナメント16強対決PSG戦、準々決勝チェルシー戦、準決勝マンチェスター・シティ戦と3回も奇跡のremontada(レモンターダ/逆転突破)を達成することができたという見方もありますけどね。もちろん、この土曜のリバプールとの決勝もスタジアムに大型スクリーンを設置して、ソシオ(協賛会員)限定のスタッド・ド・フランスのチケット購入権やUEFA販売分の抽選に外れたファンのため、もしくは航空券や宿泊費の高騰で涙を飲んだ私のような者のため、パブリックビューイングを実施してくれるんですが、マドリーの場合、ピッチに組んだその設備が翌日夜には祝賀イベントの舞台に転用されるのも2014年以来、4回あったCL決勝のお約束。 その分、スタッフも手馴れているというのはともかく、まだ場内にはシートに覆われているセクションがあるため、2009年夏に8万人を集めたクリスティアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッドから移籍)には及ばずとも、エムバペの入団プレゼンも2019年に5万人が駆けつけた現時点で最後のギャラクティコ、アザール(同チェルシー)並みの規模にはなったんじゃないかと思いますが、いやあ。それがまさか、2週間程前にはマドリッドをチームの同僚アクラフと電撃訪問。フランス・サッカー協会の年間最優秀選手表彰行事のミックスゾーンなどでも一段と流暢になったスペイン語での受け答えを披露していたため、もうマドリーへの入団契約はまとまっているとまで言われていた彼なんですけどね。 先週半ば辺りから急に風向きが変わり、とうとうリーグ1最終節のメス戦キックオフ前にパルク・デ・プランスのピッチにアル・ケライフィ会長と立ち、2025年までの契約延長を発表って、もしやこれがPSGのレモンターダ返し?うーん、そのメス戦でハットトリックを挙げ、リーグ優勝したチームの有終の美に華を添えたエムバペは日曜の記者会見で、「マドリーファンの失望はわかるけど、ボクの決断を理解してほしい。自分はフランス人で、ここでキャリアを続けてタイトルを獲りたい」と言っていましたけどね。マルカ(スポーツ紙)などによると、マドリーの提示したPrima de fichaje(プリマ・デ・フィチャヘ/移籍金なしで入団する選手へのボーナス)は1憶3000万ユーロ(約180億円)に対して、PSGのPrima de renovacion(プリマ・デ・レノバシオン/契約延長へのボーナス)は3億ユーロ(約420億円)。 年棒も向こうが税引き後5000万ユーロ(約69億円)、マドリーは2600万ユーロ(約36億円)と、金額だけ見ると、比べ物にならないんですが、何とも世知辛い。こうなると今回、パリでの決勝では絶対勝って、クラブ大会最高のタイトルを得るには、マドリーが最適な場所であることを知らしめてやりたいという、ファンの気持ちもわかりますが、実際問題として、今季リーガ27得点でピチチ(得点王)に輝いたベンゼマは34才とはいえ、まだ1、2年は賞味期限がありそうですしね。 同17得点で2位のビニシウス、ロドリゴらも順調に成長しているため、アタッカーの補強が是が非でも必要ではないとはいえ、ここしばらく、ギャラクティコ選手の加入がないのはちょっと、淋しい感もなくはなし。まあ、モナコにいた2017年頃から、追いかけていたクラックに振られてしまったペレス会長が次に誰をターゲットにするかは、おいおいに名前も出て来るかと思いますが、今は先週末のリーガ最終節の話をしていかないと。 金曜にはベルナベウでのベティス戦に行った私だったんですが、5節前には優勝が決まり、ここ4試合はずっと消化試合モードだったせいか、ファンの関心もすでにCL決勝一択。ええ、fondo sur/フォンド・スール(南側ゴール裏席)に上がった横断幕も「El Rey de Europa siempre vuelve/エル・レイ・デ・エウロッパ・シエンプレ・ブエルベ(ヨーロッパの王は常に戻ってくる)」という文面でしたし、「Nos vamos a Paris!/ノス・バモス・ア・パリス(ボクらはパリへ行く)」のカンティコも何度か聞こえましたしね。試合の方はまず、マドリーの選手がPasillos de campeones(パシージョ・デ・カンペオネス/チャンピオンの花道)を作って、コパ・デル・レイ王者であるベティスを迎えると、そこを通り向けた選手たちがまたは花道を作って、リーガ王者のマドリーを称えるというdoble pasillo/ドブレ・パシージョ(花道ダブル)でスタート。 それはそれで私も初めて見たため、興味深かったんですが、ゲーム的には同時刻に始まったエスタディオ・バジェカスの方が沢山、ゴールが生まれていたんですよね。ええ、前半18分にはアルバロ・ガルシアが口火を切って、1部残留祝いに集まったラージョのファンを歓喜させたものの、すでに兄貴分とのベルナベウの試合で2部降格が決まっていたレバンテながら、26分にはマレロが反撃の狼煙を上げる同点弾。44分にもロジェールに決められ、リードが広がっただけでなく、後半はキャプテンのモラレスに1部お別れゴールを奪われたと思いきや、一転、その直前のプレーが見直しVAR(ビデオ審判)でペナルティに。セルジ・グアルディオラがPKを沈めて、1-4のスコアが2-3に変わるとは、あら不思議。 とはいえ、3節前の弟分ダービーで残留を達成して以来、すでにラージョの選手たちの頭はバケーション入りしていたんでしょう。結局、31分にはコケに4点目を決められて、2-4で負けてしまいましたが、え、私がオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の2元中継でレバンテのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を聞いている間、マドリーとベティスは何をしていたのかって?いやあ、それがロドリゴとナチョ以外、土曜のCL決勝先発メンバーを並べたアンチェロッティ監督だったんですが、選手たちも「El partido ha sido más para coger ritmo, se notaba más como un partido de verano/エル・パルティードー・ア・シードー・マス・パラ・コヘール・リトモ、セ・ノタバ・マス・コモ・ウン・パルティードー・デ・ベラーノ(どちらかと言うと、リズムを掴むための試合で、夏のプレシーズンマッチみたいな感じだったね)」(クルトワ)というのが災いしましたかね。 遠めからシュートを撃つばかりだったんですが、後半24分には6月で契約の終わるマルセロ、イスコ、移籍濃厚のセバージョスが出場。結局、ベンチにも入らなかったベイルを除いて、ベルナベウのファンとのお別れセレモニーとなってしまったのと並行して、相手のベティスもやはり、勝ち点1で5位確定となれば、どこにムリする必要があるでしょう。こちらも28分には7月に42才となるホアキンがピッチに立ち、両チームのファンが1部リーグ最多出場歴代2位の600試合となる彼を拍手で迎えていましたが、最後までゴールはなく、試合はスコアレスドローで終わってしまいましたっけ。 ちなみにマドリーは週明けの月曜から、CL決勝に向けての練習を再開したんですが、そちらには予定通り、負傷のリハビリの終わったアラバの姿があったのは心強いかと。ええ、アンチェロッティ監督も「4月26日からプレーしてないが、決勝はフィジカルだけが出場の目安ではない。También la habilidad y la experiencia/タンビエン・ラ・アビリダッド・イ・ラ・エクスペリエンシア(能力と経験もある)」と言っていた通り、彼がナチョに代わってスタメンに入るのは確実なようですが、何せ相手のリバプールはマドリーより2日遅い日曜にプレミリーグ最終節をプレーしていますからね。 それだけでなく、せっかく序盤に先行された1点をマネ、サラー、ロバートソンのゴールで3-1と逆転して、ウォルバーハンプトンに勝ちながら、やはりアストン・ビラに2点リードされたマンチェスター・シティも終盤にギュンドガンの2発とロドリのゴールで逆転勝利したため、リーグ優勝には届かず。勝ち点差1で2位に留まった無念さが、2018年にキエフでのCL決勝でマドリーに負けているクロップ監督のリベンジ願望を更にヒートアップさせるかどうかはわかりませんが、その試合ではチアゴ・アルカンタラが筋肉系の負傷をするという逆境も。 そのチアゴが月曜に発表された6月のネーションズリーグ用のスペイン代表招集リストに入っていたのは気になったんですが、CL決勝には間に合わないようですしね。そうそう、バルサを率いてCL優勝経験のあるルイス・エンリケ監督は、「si alguien merece ganar esta Champions es el Real Madrid/シー・アルギエン・メレセ・ガナール・エスタ・チャンピオンス・エス・エル・レアル・マドリー(誰かがこのCLを勝つに値するとしたら、レアル・マドリーだ)」と代表の記者会見で言っていたんですが、きっと今頃はクロップ監督も如何に敵のレモンターダ発動を封じるか、頭を絞っているんじゃないでしょうか。 そして1日空けて日曜、何も懸かってなかったもう1つの弟分、ヘタフェは午後5時30分という早い時間の試合でエルチェに3-1で負けてしまうことに。うーん、やはり彼らもラージョ同様、前節に残留が確定した後は気が緩んだか、せっかく前半33分にはヤンクトのクロスから、エネス・ウナルが自身今季16得点目となるゴールを挙げて先制しながら、3分後にはオラサに同点にされると、後半、キケ・ペレスに2発を浴びてしまったんですが、大丈夫。先に残留を決めていたエルチェだって、その後は負けていましたし、人の心理なんて所詮、そんなもんですって。 これで15位でのシーズン終了が決まったヘタフェでしたが、まさか、その次の時間帯にはボルダラス監督(現バレンシア)の下、一時代を築いたOBのベテランFWたちが吉凶分けることになるとは。ええ、残留を争っていたマジョルカではアンヘルがオサスナ戦で先制点を挙げたかと思えば、キックオフ前は16位にいたグラナダのホルヘ・モリーナがエスパニョール戦でPKを外してしまったから、さあ大変!全ては同時進行の後半での出来事で、そうこうするうち、カディスがロサノのゴールで降格済みのアラベスをリード、マジョルカもグラニエルが追加点を入れて0-2で勝利と、最後は0-0で終わったグラナダが第3の2部行きチームになるとは一体、誰に予想できたでしょう。 といっても私の関心があったのは夜10時から始まったレアル・ソシエダvsアトレティコ戦の方で、もうイマノル監督のチームはベティスを追い越して、5位に上がれる可能性はなかったんですけどね。それでも前半はセルロートのシュートをGKオブラクが弾いた後、ラフィーニャが蹴ったボールがポストに当たって逸れたり、その彼が再び1対1で外したりと、チャンスはソシエダの方があったんですが、どうやらハーフタイムには前日の記者会見で、「el objetivo del club es entrar en Champions, pero el nuestro es salir campeón/エル・オブヘティーボ・デル・クルブ・エス・エントラール・エン・チャンピオンズ、ペロ・エル・ヌエストロ・エス・サリール・カンペオン(クラブの目標はCL出場権獲得だったが、我々の目標は優勝だった)」と言っていたシメオネ監督の方から、今季最後の喝が入ったよう。 同時に「4-4-2と5-3-2を併用してきて、eso también produjo en mí una situación de marearme un poco/エソ・タンビエン・プロドゥーホ・エン・ミ・ウナ・シトゥアシオン・デ・マレアルメ・ウン・ポコ(それもちょっと、自分自身に眩暈を起こさせることになった)」(シメオネ監督)というフォーメーションにも訂正が入ったのが良かったんでしょうか。再開1分にエリア前からのシュートをGKレミロに止められていたデ・パウルが6分には同じような位置から、今度はgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めてしまったから、ビックリしたの何のって。 いやあ、実はこの時、多分、午後10時という遅いキックオフだったせいで、オンダ・マドリッドが実況中継を前半だけで終了。仕方なく、ラジオ・マルカ(スポーツ専門局)を聞いていたんですが、経費削減で近年、アウェイにスタッフを送らず、TV中継を見ながら実況している前者とは違い、後者はアナがスタジアムにいるんですね。よって、バル(スペインの喫茶店兼バー)のTVにゴールシーンが映る前から、「Gol, gol, gol, gol!」の絶叫が始まり、もしや勝ち点差1で3位の座を狙っているセビージャがアスレティック戦で先制したのかと、私も泡を喰らってしまったんですが、TVの映像は20秒程、遅いんですよ。まさか、それがアトレティコのゴールだったとは、ホント、心臓に悪い。 幸い直後にサンチェス・ピスファンで決まったレキクのゴールはオフサイドで認められなかったんですが、いや、だから普段、私はマドリッド勢のナレーションしかしないオンダ・マドリッドのヘビーリスナーなんですけどね。グリーズマンの1対1のシュートがGKを直撃した後の23分、今度はラファ・ミールがゴールを挙げ、本当にセビージャがリードするやいなや、レアル・アレナではカラスコのクロスをエリア内でコケが繋ぎ、コレアがシュート。アトレティコに2点目が入ったとなれば、もう3位の座は安泰と思っていい? いやまあ、ロスタイムにはフェリペのハンドでエリア前ギリギリのFKを献上。ヤヌザイの蹴ったボールはオブラクが弾いたものの、グリディにヘッドを決められて、1点差に迫られたなんてことはあったんですけどね。何とか1-2で逃げ切ったアトレティコは、1-0で勝利した4位との勝ち点差1をキープ。シメオネ監督就任2年目以来、ずっと3位以上という記録を守ったんですが、どこかファンに物足りなさが残るのはやはり昨季、リーガの頂点を極めてしまったせいだったかと。 ええ、コケなども「Cuando tienes las expectativas tan altas... ha sido un año compicado/クアンドー・ティエネス・ラス・エスペクティーバス・タン・アルタス…ア・シードー・ウン・アーニョ・コンプリカードー(期待値があんなに高いと…難しい年だったよ)」と告白していましたが、全てのチームがお隣りさんのようにはなれませんからね。イマノル監督にしてみれば、6位のソシエダでも「Ha sido un temporadón/ア・シードー・ウン・テンポラドン(今季は凄いシーズンだった)」そうですし、CL準決勝まで進みながら、最終節でバルサに0-2と勝って、ようやく7位でコンフェレンスリーグ(UEFA第3の大会)の出場権を勝ち取ったビジャレアルのエメリ監督も自身が14年連続でヨーロッパの大会に行けることで良しとしているようでしたし…いつかはアトレティコも毎年、タイトルを争えるぐらい強くなってくれたら、嬉しいですよね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.05.24 22:30 Tue
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