気が休まる週はまだ当分来ない…/原ゆみこのマドリッド
2022.02.26 19:00 Sat
「この日程を見ると、CLの方が断然、いいわよね」そんな風に私が首を振っていたのは金曜日、前夜にプレーオフ2ndレグが終わってすぐ、EL16強対決の組み合わせ抽選があったのを知った時のことでした。いやあ、スペイン勢はグループリーグを2位で勝ち抜けたベティス、レアル・ソシエダとCLグループリーグ3位で転戦したバルサ、セビージャがEL決勝トーナメントに参加。うち、1stレグでライプツイヒと2-2で引分けていたレアル・ソシエダだけが、2ndレグで1-3と敗れ、早々に姿を消すことになったんですけどね。
CLの16強対決は1stレグと2ndレグの間が3週間も空くのとは違い、ELは3月10日と17日に16強対決の2試合を開催。よって、ナポリを総合スコア3-5で下した後、ガラタサライとの対戦が決まったバルサ、アウェイではディナモ・ザグレブに1-0で負けながら、総合スコア2-3で勝ち抜け、次のウェストハムも撃破して、EL前人未到のSeptima(セプティマ/7回目の優勝のこと)を目指すセビージャ、そしてベニト・ビジャマリンでのスコアレスドローにより、1stレグの2-3の勝利を守り切って、次はフランクフルトに挑むベティスと皆、ハードスケジュールが続くんですよ。
加えて、ロシアのウクライナへの軍事侵攻を受けて、金曜には今季のCL決勝会場がゼニトのホーム、ガスプロム・アレナから、パリのスタッド・フランスに変更されたため、今季、UEFAの大会で最後にそのスタジアムを訪れたことになったベティスなど、来週木曜にもコパ・デル・レイ準決勝ラージョ戦2ndレグの予定が。要はまったくお休みがないことになりますが、これって、2010年のアトレティコと同じ道のり?ええ、その時はキケ・サンチェス・フローレス監督の下、ハンブルクでのEL決勝でフラムを破り、UEFAカップからELに名称変更後の初優勝チームとなった後、カンプ・ノウでのコパ決勝でセビージャに負けたんですが、まあ2012年にはアスレティックがEL決勝ではアトレティコに、コパ決勝ではバルサにトロフィーをさらわれたなんて気の毒な例もありますからね。
何にせよ、来季のCL出場権を争うライバルたちには忙しくしてもらった方がアトレティコ的には得なんですが、え、それより今週の彼らにはCL16強対決マンチェスター・ユナイテッド戦1stレグというビッグマッチがあったんだろうって?その通りなんですが、とにかくワンダ・メトロポリターノでのCL決勝トーナメントの試合は2年前、16強対決リバプール戦1stレグが最後でしたからね。ファンがこぞって駆けつけたのも当然ですが、マンチェスター・ユナイテッドのイギリス人サポーターたちも国外遠征する機会を今か今かと伺っていたよう。その浮かれぶりときたら、エスタディオ・メトロポリターノ駅まで10駅以上離れたメトロ7号線への乗り換え駅でも構内に響き渡る大声でカンティコを歌いながら、大集団でホームに雪崩込んでくるほどでしたっけ。
ワンダでもキックオフ前には久々にスタンド三面をビッシリ埋め尽くすモザイクと、「Vuela Atleti/ブエラ・アトレティ(飛べ、アトレティコ)」という文字の入った大きな垂れ幕も現れ、これぞまさにヨーロッパの晴れ舞台の雰囲気と言って良かったかと。さすがにここまでされれば、とりわけ今季、眠ったまま前半を過ごしてしまうことの多いアトレティコでもやる気が出るんでしょうね。「Hemos sido nosotros, por el tema de la intensidad/エモス・シードー・ノソトロス、ポル・エル・テマ・デ・ラ・インテンシダッド(プレーの強度に関して、ボクらはボクら自身だった)と後でコンドグビアも言っていたように、スタートから積極的に攻めていったんですが、その成果が7分にはもう、現れたんです!
予想通り、「ゴールを入れた後、いつもそうするように一歩引いた」(ラングニック監督)アトレティコだったんですが、前半は今週、負傷したキャプテンのコケがパルコ(貴賓席)から見守る中、コンドグビアとエレーラのボランチコンビが完璧に機能。ブルーノ・フェルナンデスやポグバにまったく仕事をさせず、相手が「ウチは足元でボールを捌くのを恐れていた」(ラングニック監督)せいもあったか、ピンチを迎えることもなく、過ごせたんですけどね。44分には再びロディのクロスから、ベルサイコのヘッドがリンデロフに当たった後、ゴールバーに弾かれてしまったため、リードをそれ以上広げることはなく、ハーフタイムに入ります。
そして後半、先に交代のカードを切ったのはマンUで22分にはリンデロフ、ショーの両SBとポグバを下げ、アレックス・テレス、ワン・ビサカ、マティッチを入れてきたんですが、ゲームの流れにインパクトを与えたのはむしろ30分、ラッシュフォードが19才の新鋭FWエランカに代わったことの方。いえ、同時にアトレティコも「Le veía cansado, que no podía correr hacia atrás/レ・ベイア・カンサードー、ケ・ノー・ポディア・コレール・アシア・アトラス(疲れているように見えた。後方に走れなくなっていたし)」という理由で、シメオネ監督がジョアンを下げてしまい、才能の煌めきを随所で披露していた彼の交代はファンの間でも物議を醸したもんですけどね。
まあ、スタメンに戻った先週末のオサスナ戦でも開始3分にゴールを挙げたジョアンは、時間が経つにつれ、敵のファールを受ける数が増えていく傾向にありますからね。グリーズマンに代わったのも仕方ないかと思いますが、一緒にポルトガル語お喋り仲間のロディもレマルに交代。幸い、クリスチアーノ・ロナウドの近距離FKはスタンドに向かってくれたものの、そのすぐ後、35分のことでした。アトレティコが「En la única que tuvieron nos han marcado/エン・ラ・ウニカ・ケ・トウビエロン・ノス・アン・マルカードー(唯一のチャンスでゴールを奪われた)」(コレア)のは。
ええ、ブルーノ・フェルナンデスのスルーパスから始まったプレーで、うーん、「Reinildo quiso anticiparse yendo al suelo/レイニルドー・キソ・アンティシパールセ・ジェンドー・アル・スエロ(レイニウドは地面にスライディングして先取りしたかった)」(シメオネ監督)という当人を責めることはできませんけどね。タッチの差でボールを持って抜け出したエランガがエリア内に入り、GKオブラクと1対1のシュートを決めてしまったから、さあ大変!残り4分にはCKから、グリーズマンの撃ったシュートがゴール枠に弾かれるという惜しいチャンスもあったものの、結局、その日は1-1の引分けで終わってしまいましたっけ。
まあ何にしろ、3月15日にはアウェイゴールルールのなくなった2ndレグがありますからね。思い起こしてみれば、2019-20シーズンの16強対決の彼らはワンダでリバプールに1-0で勝ちながら、アンフィールドで延長戦にもつれ込み、マルコス・ジョレンテの2発とモラタ(現ユベントス)のゴールで奇跡のremontada(レモンダータ/逆転劇)突破。その前年など、2-0でユベントスに先勝しながら、トリノではロナウドのハットトリックで3-0と逆転敗退するという間抜けな経験もしていたため、3点差、4点差の勝利でない限り、私も決して安心できませんでしたしね。
実際、今回はコロナ感染規制のため、ワンダにはミックスゾーンもなく、当人の挑戦的な態度は見られなかったんですが、前回、ワンダに来た時同様、パッとしない1stレグをプレーしたロナウドは自身のインスタに、「Now we have the opportunity to close this for us in our stadium, showing everybody why Old Trafford is and will always be The Theatre Of Dreams(今度はボクらのスタジアムでこの対戦を終わらせるチャンスがある。皆にどうしてオールド・トラッフォードがずっと、夢の劇場と言われているのかを示しながらね)」と投稿。
となると、ここはせめて、コロナ禍による入国規制のせいで、ホームゲームをブカレスト開催にされた挙句、チェルシーに0-1で負け、2ndレグでは相手ファンだけでスタンドの埋まったスタンフォード・ブリッジで2-0と完敗した昨季よりはずっとマシな状況であることを喜ぶ方がいい?一応、今季は3000人のアトレティコファンが応援に行けるようですしね。引分けた後、「どうしていつも今日のような強度の高いプレーができなのか?」と記者に訊かれたシメオネ監督が、「Es una buena pregunta... pero no sé la respuesta/エス・ウナ・ブエナ・プレグンタ…ペロ・ノー・セ・ラ・レスプエスタ(それはいい質問だが…答えはわからない)」と言っていたのは懸念材料ではありますが、きっと1stレグと同レベルのパフォーマンスを見せられれば、堂々勝って、準々決勝進出できるんじゃないでしょうか。
そしてまた、あっという間に週末のリーガが来てしまったんですが、この26節は1部のマドリッド勢が揃って土曜開催。まずは午後4時15分から、弟分のヘタフェがコリセウム・アルフォンソ・ペレスにアラベスを迎えるんですが、折りもメンディリバル監督のチームは先週末もサンティアゴ・ベルナベウを訪れて、兄貴分に3-0で完敗しているんですよね。ヘタフェもアトレティコとの兄弟分ダービーで4-3と負け、前節のカディス戦では1-1の引分けと、ここ2試合、あと勝ち点14に迫った残留確定ゾーン到達に足踏みしているんですが、大丈夫。どちらも今季まだ1勝もしていない、苦手とするアウェイゲームだったため、現在、4連勝中のホームに戻って来られるのは何より力強いかと。
続いて土曜はラージョvsレアル・マドリーの兄弟分ダービーが午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)からキックオフとなるんですが、何せ、イラオラ監督のチームは今年になって、1分け5敗と、リーガで白星が1つもなくてねえ。シーズン前半は無敗だったエスタディオ・バジェカスでもアスレティック、オサスナに負けているんですが、幸い順位は11位で、あと3勝もすれば残留ゾーンに。そのせいもあってか、選手たちもつい、コパ準決勝ベティス戦2ndレグで1-2の結果を引っくり返す方に気を取られてしまっている感じがしなくもありませんが、いやいや。
さすがに3年ぶりにマドリーが来るとなれば、このところ、プレサ会長への抗議のため、しばしば定位置のゴール裏スタンドを空にするブカネーロス(ラージョの過激なサポーター)も応援に来てくると思いますけどね。11月のサンティアゴ・ベルナベウでの対戦以来、ファルカオがゴールを挙げておらず、未だに5得点に留まっているのもイラオラ監督にとっては頭痛の種かと。
おまけに2位のセビージャに勝ち点6差、現在の最重要課題は3月9日のCL16強対決PSG戦2ndレグで、1-0で負けた1stレグの結果を覆す方に。ベルナベウも収容力を5万人から、6万5000人まで増やそうと、改装ピッチを速めているんですけどね。金曜の記者会見でその試合で出場停止となるカセミロの代理をリーガで試さないのかと訊かれ、アンチェロッティ監督は「親善試合でもあれば、そうするところだが、tenemos dos finales y voy a meter al mejor equipo ante el Rayo y ante la Real/テネモス・ドス・フィナレス・イ・ボイ・ア・メテール・アル・メホール・エキポ・アンテ・エル・ラージョ・イ・アンテ・ラ・レアル(2つの決勝のようなものだから、ラージョ戦にもレアル・ソシエダ戦にも最高のチームを出す)」と返答。
もちろん、今週はミッドウィークに試合がなく、選手たちも余裕の調整ができたことを考えれば、ここでリーガ優勝への道を固めてしまいたい気持ちもわかりますけどね。ベイルとアラバこそ、筋肉痛でお休みするものの、直前のアラベス戦でも揃い踏みでゴールを挙げたベンゼマ、アセンシオ、ビニシウスの前線トリオにはラージョも相当、手を焼くかもしれませんね。
そして土曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのトリを飾るのがアトレティコで再び、ワンダでセルタ戦となるんですが、こちらの負傷欠場者はヴァス、クーニャ、コケと変わらず。唯一、CLでは準々決勝2ndレグまで出られないカラスコが戻るぐらいなんですが、やはりポイントは序盤から、しっかり気合を入れて試合を始められるかどうかかと。9位のセルタも前節はレバンテと1-1で分けているとはいえ、何せ、シメオネ監督のチームは最下位のその相手にのんべんだらりとプレーしているうちに後半、ゴールを奪われ、0-1で負けるという悲劇をちょっと前に味わったばかりですからね。CLの疲れは当然、あると思いますが、同じ勝ち点で並び、日曜にアスレティック戦が控えるバルサにプレッシャーをかけるには、1日天下となっても4位の座を取り返しておくに越したことはありませんって。
CLの16強対決は1stレグと2ndレグの間が3週間も空くのとは違い、ELは3月10日と17日に16強対決の2試合を開催。よって、ナポリを総合スコア3-5で下した後、ガラタサライとの対戦が決まったバルサ、アウェイではディナモ・ザグレブに1-0で負けながら、総合スコア2-3で勝ち抜け、次のウェストハムも撃破して、EL前人未到のSeptima(セプティマ/7回目の優勝のこと)を目指すセビージャ、そしてベニト・ビジャマリンでのスコアレスドローにより、1stレグの2-3の勝利を守り切って、次はフランクフルトに挑むベティスと皆、ハードスケジュールが続くんですよ。
加えて、ロシアのウクライナへの軍事侵攻を受けて、金曜には今季のCL決勝会場がゼニトのホーム、ガスプロム・アレナから、パリのスタッド・フランスに変更されたため、今季、UEFAの大会で最後にそのスタジアムを訪れたことになったベティスなど、来週木曜にもコパ・デル・レイ準決勝ラージョ戦2ndレグの予定が。要はまったくお休みがないことになりますが、これって、2010年のアトレティコと同じ道のり?ええ、その時はキケ・サンチェス・フローレス監督の下、ハンブルクでのEL決勝でフラムを破り、UEFAカップからELに名称変更後の初優勝チームとなった後、カンプ・ノウでのコパ決勝でセビージャに負けたんですが、まあ2012年にはアスレティックがEL決勝ではアトレティコに、コパ決勝ではバルサにトロフィーをさらわれたなんて気の毒な例もありますからね。
ワンダでもキックオフ前には久々にスタンド三面をビッシリ埋め尽くすモザイクと、「Vuela Atleti/ブエラ・アトレティ(飛べ、アトレティコ)」という文字の入った大きな垂れ幕も現れ、これぞまさにヨーロッパの晴れ舞台の雰囲気と言って良かったかと。さすがにここまでされれば、とりわけ今季、眠ったまま前半を過ごしてしまうことの多いアトレティコでもやる気が出るんでしょうね。「Hemos sido nosotros, por el tema de la intensidad/エモス・シードー・ノソトロス、ポル・エル・テマ・デ・ラ・インテンシダッド(プレーの強度に関して、ボクらはボクら自身だった)と後でコンドグビアも言っていたように、スタートから積極的に攻めていったんですが、その成果が7分にはもう、現れたんです!
その日、レイニウドを第3のCBにしたのと、3試合出場停止のカラスコもおらず、コロナ濃厚接触者隔離明けで1回しか練習をしていなかったレマルも控えになったため、左のカリレーロ(長い距離をカバーするSB)として入ったロディがゴール前にクロス。すると、この日はルイス・スアレスがベンチ待機だったにも関わらず、バランとマグワイアの間、頭でボールをネットに叩き込んだ選手がいたから、ビックリしたの何のって。それはジョアン・フェリックスで、いえ、当人よると、「Es mi segundo gol de cabeza aquí/エス・ミ・セグンド・ゴル・デ・カベッサ・アキー(ここではボクの2本目のヘッドのゴール)。先週、レナン(・ロディ)とシメ(・ベルサイコ)のクロスに合わせる練習をしていて、それが上手くいった」そうなんですけどね。とはいえ、アトレティコが1点取れば、大船に乗った気でいられた時代は今や遥か昔。最近では早い時間帯にリードしても決して油断はできなかったんですが…。
予想通り、「ゴールを入れた後、いつもそうするように一歩引いた」(ラングニック監督)アトレティコだったんですが、前半は今週、負傷したキャプテンのコケがパルコ(貴賓席)から見守る中、コンドグビアとエレーラのボランチコンビが完璧に機能。ブルーノ・フェルナンデスやポグバにまったく仕事をさせず、相手が「ウチは足元でボールを捌くのを恐れていた」(ラングニック監督)せいもあったか、ピンチを迎えることもなく、過ごせたんですけどね。44分には再びロディのクロスから、ベルサイコのヘッドがリンデロフに当たった後、ゴールバーに弾かれてしまったため、リードをそれ以上広げることはなく、ハーフタイムに入ります。
そして後半、先に交代のカードを切ったのはマンUで22分にはリンデロフ、ショーの両SBとポグバを下げ、アレックス・テレス、ワン・ビサカ、マティッチを入れてきたんですが、ゲームの流れにインパクトを与えたのはむしろ30分、ラッシュフォードが19才の新鋭FWエランカに代わったことの方。いえ、同時にアトレティコも「Le veía cansado, que no podía correr hacia atrás/レ・ベイア・カンサードー、ケ・ノー・ポディア・コレール・アシア・アトラス(疲れているように見えた。後方に走れなくなっていたし)」という理由で、シメオネ監督がジョアンを下げてしまい、才能の煌めきを随所で披露していた彼の交代はファンの間でも物議を醸したもんですけどね。
まあ、スタメンに戻った先週末のオサスナ戦でも開始3分にゴールを挙げたジョアンは、時間が経つにつれ、敵のファールを受ける数が増えていく傾向にありますからね。グリーズマンに代わったのも仕方ないかと思いますが、一緒にポルトガル語お喋り仲間のロディもレマルに交代。幸い、クリスチアーノ・ロナウドの近距離FKはスタンドに向かってくれたものの、そのすぐ後、35分のことでした。アトレティコが「En la única que tuvieron nos han marcado/エン・ラ・ウニカ・ケ・トウビエロン・ノス・アン・マルカードー(唯一のチャンスでゴールを奪われた)」(コレア)のは。
ええ、ブルーノ・フェルナンデスのスルーパスから始まったプレーで、うーん、「Reinildo quiso anticiparse yendo al suelo/レイニルドー・キソ・アンティシパールセ・ジェンドー・アル・スエロ(レイニウドは地面にスライディングして先取りしたかった)」(シメオネ監督)という当人を責めることはできませんけどね。タッチの差でボールを持って抜け出したエランガがエリア内に入り、GKオブラクと1対1のシュートを決めてしまったから、さあ大変!残り4分にはCKから、グリーズマンの撃ったシュートがゴール枠に弾かれるという惜しいチャンスもあったものの、結局、その日は1-1の引分けで終わってしまいましたっけ。
まあ何にしろ、3月15日にはアウェイゴールルールのなくなった2ndレグがありますからね。思い起こしてみれば、2019-20シーズンの16強対決の彼らはワンダでリバプールに1-0で勝ちながら、アンフィールドで延長戦にもつれ込み、マルコス・ジョレンテの2発とモラタ(現ユベントス)のゴールで奇跡のremontada(レモンダータ/逆転劇)突破。その前年など、2-0でユベントスに先勝しながら、トリノではロナウドのハットトリックで3-0と逆転敗退するという間抜けな経験もしていたため、3点差、4点差の勝利でない限り、私も決して安心できませんでしたしね。
実際、今回はコロナ感染規制のため、ワンダにはミックスゾーンもなく、当人の挑戦的な態度は見られなかったんですが、前回、ワンダに来た時同様、パッとしない1stレグをプレーしたロナウドは自身のインスタに、「Now we have the opportunity to close this for us in our stadium, showing everybody why Old Trafford is and will always be The Theatre Of Dreams(今度はボクらのスタジアムでこの対戦を終わらせるチャンスがある。皆にどうしてオールド・トラッフォードがずっと、夢の劇場と言われているのかを示しながらね)」と投稿。
となると、ここはせめて、コロナ禍による入国規制のせいで、ホームゲームをブカレスト開催にされた挙句、チェルシーに0-1で負け、2ndレグでは相手ファンだけでスタンドの埋まったスタンフォード・ブリッジで2-0と完敗した昨季よりはずっとマシな状況であることを喜ぶ方がいい?一応、今季は3000人のアトレティコファンが応援に行けるようですしね。引分けた後、「どうしていつも今日のような強度の高いプレーができなのか?」と記者に訊かれたシメオネ監督が、「Es una buena pregunta... pero no sé la respuesta/エス・ウナ・ブエナ・プレグンタ…ペロ・ノー・セ・ラ・レスプエスタ(それはいい質問だが…答えはわからない)」と言っていたのは懸念材料ではありますが、きっと1stレグと同レベルのパフォーマンスを見せられれば、堂々勝って、準々決勝進出できるんじゃないでしょうか。
そしてまた、あっという間に週末のリーガが来てしまったんですが、この26節は1部のマドリッド勢が揃って土曜開催。まずは午後4時15分から、弟分のヘタフェがコリセウム・アルフォンソ・ペレスにアラベスを迎えるんですが、折りもメンディリバル監督のチームは先週末もサンティアゴ・ベルナベウを訪れて、兄貴分に3-0で完敗しているんですよね。ヘタフェもアトレティコとの兄弟分ダービーで4-3と負け、前節のカディス戦では1-1の引分けと、ここ2試合、あと勝ち点14に迫った残留確定ゾーン到達に足踏みしているんですが、大丈夫。どちらも今季まだ1勝もしていない、苦手とするアウェイゲームだったため、現在、4連勝中のホームに戻って来られるのは何より力強いかと。
続いて土曜はラージョvsレアル・マドリーの兄弟分ダービーが午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)からキックオフとなるんですが、何せ、イラオラ監督のチームは今年になって、1分け5敗と、リーガで白星が1つもなくてねえ。シーズン前半は無敗だったエスタディオ・バジェカスでもアスレティック、オサスナに負けているんですが、幸い順位は11位で、あと3勝もすれば残留ゾーンに。そのせいもあってか、選手たちもつい、コパ準決勝ベティス戦2ndレグで1-2の結果を引っくり返す方に気を取られてしまっている感じがしなくもありませんが、いやいや。
さすがに3年ぶりにマドリーが来るとなれば、このところ、プレサ会長への抗議のため、しばしば定位置のゴール裏スタンドを空にするブカネーロス(ラージョの過激なサポーター)も応援に来てくると思いますけどね。11月のサンティアゴ・ベルナベウでの対戦以来、ファルカオがゴールを挙げておらず、未だに5得点に留まっているのもイラオラ監督にとっては頭痛の種かと。
おまけに2位のセビージャに勝ち点6差、現在の最重要課題は3月9日のCL16強対決PSG戦2ndレグで、1-0で負けた1stレグの結果を覆す方に。ベルナベウも収容力を5万人から、6万5000人まで増やそうと、改装ピッチを速めているんですけどね。金曜の記者会見でその試合で出場停止となるカセミロの代理をリーガで試さないのかと訊かれ、アンチェロッティ監督は「親善試合でもあれば、そうするところだが、tenemos dos finales y voy a meter al mejor equipo ante el Rayo y ante la Real/テネモス・ドス・フィナレス・イ・ボイ・ア・メテール・アル・メホール・エキポ・アンテ・エル・ラージョ・イ・アンテ・ラ・レアル(2つの決勝のようなものだから、ラージョ戦にもレアル・ソシエダ戦にも最高のチームを出す)」と返答。
もちろん、今週はミッドウィークに試合がなく、選手たちも余裕の調整ができたことを考えれば、ここでリーガ優勝への道を固めてしまいたい気持ちもわかりますけどね。ベイルとアラバこそ、筋肉痛でお休みするものの、直前のアラベス戦でも揃い踏みでゴールを挙げたベンゼマ、アセンシオ、ビニシウスの前線トリオにはラージョも相当、手を焼くかもしれませんね。
そして土曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのトリを飾るのがアトレティコで再び、ワンダでセルタ戦となるんですが、こちらの負傷欠場者はヴァス、クーニャ、コケと変わらず。唯一、CLでは準々決勝2ndレグまで出られないカラスコが戻るぐらいなんですが、やはりポイントは序盤から、しっかり気合を入れて試合を始められるかどうかかと。9位のセルタも前節はレバンテと1-1で分けているとはいえ、何せ、シメオネ監督のチームは最下位のその相手にのんべんだらりとプレーしているうちに後半、ゴールを奪われ、0-1で負けるという悲劇をちょっと前に味わったばかりですからね。CLの疲れは当然、あると思いますが、同じ勝ち点で並び、日曜にアスレティック戦が控えるバルサにプレッシャーをかけるには、1日天下となっても4位の座を取り返しておくに越したことはありませんって。
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