いきなりヒマになった…/原ゆみこのマドリッド
2022.01.26 19:00 Wed
「今の時期にparon(パロン/リーガの停止期間)があるなんてね」そんな風に私が愚痴っていたのは火曜日、この週末にはリーガ2部の試合しかなく、マドリッドの1部チームたちは9日から14日間もの中休みに入ることに気がついた時のことでした。いやあ、昨今は過密日程に文句を言う選手も増えていることですし、年明け早々、リーガやコパ・デル・レイ、更にはスペイン・スーパーカップまで、ずっと週2試合が続いていたチームにとっては有難いと思うんですけどね。といっても休養できるのは今回、試合のないヨーロッパの国々の代表選手だけ。コロナ禍により、W杯予選が終わっていない中南米の代表に招集された選手たちはいつものように、綱渡りの旅程でクラブの試合に間に合うよう、帰って来ないといけないって、かなり不公平では?
おまけにその中でもすでに本大会出場が決定しているブラジルに呼ばれているビニシウス、カセミロ、ミリトン、ロドリゴ(レアル・マドリー)、クーニャ(アトティコ)、同アルゼンチンのコレア、デ・パウル(アトレティコ)などはどちらかと言えば、気楽な方で、いえまあ、2月2日のパラグアイ戦終了直後、3日のコパ・デル・レイ準々決勝アスレティック戦のため、マドリー勢はチャーター便で駆けつけないといけなかったりするんですけどね。同じ2日に2試合目のベネズエラ戦があるウルグアイなんて、予選グループ7位とW杯出場が危うくなっているため、必死度も高いんですが、バルベルデ(マドリー)以外、ミッドウィークにコパの試合はなし。
ええ、タバレス監督解任の後を引き継いだディエゴ・アロンソ監督にルイス・スアレスとヒメネスのみならず、フィジカルコーチのプロフェ・オルテガまで徴用されてしまったアトレティコはリーガ戦が6日ですし、アランバリ、ダミアンが参加するヘタフェも金曜試合とはいえ、定期便で帰って来る余裕はありますからね。一番気の毒なのは2日にコパ準々決勝マジョルカ戦がありながら、同日にはW杯出場圏内の4位死守を懸けて、アルゼンチン戦に挑むラージョのファルカオだったりするんじゃないかと思いますが…片や、1日に日本でサウジアラビア戦がある久保建英選手がエスタディオ・バンジェカスでの試合に間に合うのかも、ちょっと気になるところです。
まあ、その辺は日付が近くなってから、また話すことにして、今は先週末のマドリッド勢がどうだったか、伝えていくことにすると。この22節、土曜試合だったのはアトレティコだけで、サウジアラビアでのスペイン・スーパーカップ準決勝でアスレティックに敗れ、サン・セバスティアン(スペイン北部)でのコパ16強対決でもレアル・ソシエダに負けるという悲しい行脚を終えた彼らは2週間ぶりにワンダ・メトロポリターノに帰還。それでもシメオネ監督の呼びかけに応え、スタンドのファンはキックオフ前から、いつものように盛り上げていたんですが、とにかく肝心の選手たちのリアクションがなくてねえ。
ええ、前半25分にはバレンシアのカウンターを喰らい、右サイドを上がるゲデスを全員で追いかけたものだから、左側がガラ空きに。クロスを受けたムサーに対するのはベルサイコ1人だけだったとなれば、あっさり先制点を奪われてしまっても仕方なかった?すぐに始まった「Echale huevos/エチャレ・ウエボス(根性見せろ)」のカンティコも選手たちの目を覚ますことはできず、輪をかけてシュールだったのは44分。エルモーソが自陣エリア前から、クリアボールをラト目掛けて蹴ったかと思えば、そのスルーパスがアトレティコの選手が何人もいる間を通り抜け、ウーゴ・ドゥーロに2点目を決められているって、もしや今季のアトレティコはもう1つもゴールが入らず、1勝もできないのではという私の予感は正しかった?
何より、アトレティコファンの心の広さに感心したのは、「Sabíamos que la gente no nos iba a fallar/サビアモス・ケ・ラ・ヘンテ・ノー・ノス・イバ・ア・ファジャール(人々が我々を失望させないのは知っていた)。他のスタジアムならどこでも批判されていただろう」(シメオネ監督)という言葉通り、後半のピッチに選手たちが現れた時もスタンドからは一切、pito(ピト/ブーイング)が聞こえなかったこと。ただ、さすがにまだ0-2のままだった12分、ジョアン・フェリックスとレマルが交代。FWクーニャはともかく、何故かCBフェリペが入った時には、「敵エリア内でプレーする選手が欲しくてクーニャ。Y un central para parar las contras/イ・エン・セントラル・パラ・ラス・コントラス(そしてカウンターを止めるためのCB)」という監督の深淵な意図がわからず、場内が騒然となるなんてこともありましたっけ。
その後もベルサイコがエレーラに代わったりして、後でヒメネスなど、頻繁にポジションチェンジしても選手たち自身はちゃんと理解してやっていると、記者の失礼な質問に答えていたんですけどね。正直、私も何がなんだかわからなくなっていたものの、結果から察するに、どうやら鍵は右のカリレーロ(長い距離をカバーするSB)でスタートしたカラスコが得意の左サイドに移ったことにあったよう。19分には彼のCKをクーニャがゴール前から流し込んで、1点差に迫ると、そこからまた一段、ギアを挙げた彼らは45分、今度はカラスコが左から入れたラストパスにルイス・スアレスは間に合わず。GKドメネクに弾かれてしまったものの、ハーフタイム明けからピッチに入っていたコレアが同点ゴールを入れてしまったから、ビックリしたの何のって。
いやあ、その夜はかなり寒かったため、2-2になったところで満足して、ワンダを出てしまったファンも結構、いたんですけどね。それだけでは飽きたらず、まさかボルダラス監督のチームがゴールキックなどを遅らせて、ずっと時間稼ぎをしていたせいでもらった7分という、長いロスタイムまで活用してしまうとは!ええ、48分にはエレーラのパスから、コレアがtaconazo/タコナソ(ヒールキック)でエリア内のクーニャに繋ぎ、反対サイドのゴール前で勝利のゴールをエルモーソが撃ち込んているって、え、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)はお隣りさんの専売特許じゃなかった?
実際、こんな奇跡を目の当たりにしたのは2019-20シーズンCL16強対決リバプール戦2ndレグ以来で、あの時は延長戦に入ってから、総合スコア2-1とされたのをマルコス・ジョレンテの2発で逆転したんですけどね。その直後、コロナ第1波によるCLやリーガの中断があったりしたため、すっかり忘れていたんですが、うーん。3-2で勝利した後、シメオネ監督もヒメネスも「En el primer tiempo se vio lo que no somos, y el segundo, lo que realmente somos nosotros/エン・エル・プリメール・テェンポー・セ・ビオ・ケ・ノー・ソモス、イ・エル・セグンド・ロ・ケ・レアルメンテ・ソモス・ノソトロス(前半はウチじゃないチームで、後半は本当のボクたちだった)」と口を揃えていたんですが、いやいや。
それが本当なら、スペイン・スーパーカップでもコパでも逆転できていたはずですから、どちらもアトレティコの真の姿だと思いますが、何にせよ、嬉しいですよね。勝ち越しゴールが入った時など、シメオネ監督を始め、ベンチの選手たちや私服で来ていた負傷中のグリーズマンまで飛び出して、団子になって喜んでいる姿を見られたのは。そのお祝いのせいもあって、最後は11分近くまで、全力で守った彼らは終了後もピッチに残り、ファンに感謝していましたが、実はこの時、ジョアンの姿だけが見えず。1人だけ、さっさとロッカールームに帰ってしまったのはちょっと、尾を引くかもしれませんね。
え、感動的な勝利でも順位表を見ると、やはり同日、2点ビハインドから追いついて、セルタと2-2で引分けた2位セビージャとの差が勝ち点10もあるのに愕然としなかったかって?まあ、その通りで首位のマドリーなど、14差もありますからね。とりあえずは翌日、アラベスに0-1と辛勝した5位のバルサと勝ち点差1を保てたのを良しとしないと。戦犯転じて英雄となったエルモーソも「この休止期間は試合でのミスを直して、改善するのにいい」と言っていたように、6日のCL出場圏を懸けた直接対決に備えて、マハダオンダ(マドリッド近郊)で黙々と練習に励むのがいいかと。その頃にはグリーズマン、マルコス・ジョレンテ、コンドグビアらのリハビリ組も合流していそうですし、バレンシア戦ではベンチ待機だったサビッチ、火曜にコロナ陽性になってしまったGKオブラクも準備が整っているはずなので、とにかく今はいいムードを持続できるようにしてもらいたいところです。
そして翌日曜はまだ明るい時間にサンティアゴ・ベルナベウに行った私だったんですが、先週、88才の大往生をしたマドリーのレジェンド、ヘント名誉会長の追悼セレモニーは想定内だったものの、ちょっと目算が狂いました。というのもエルチェとは先週木曜、コパ16強対決の延長戦で勝利していただけでなく、その時はお休みだったベンゼマとGKクルトワが出場。おまけにマドリーのホームで相手は1度も勝ったことがなく、フランシスコ監督もコロナ陽性隔離中で帯同してないとなれば、早い時間に大差がつくんじゃないかと思ったため、後半途中には次の時間帯のラージョvsアスレティック戦に行くつもりだったから。
今思えば、前半31分、クロースがペレ・ミジャの足を蹴ったファールをスルーして、エリア内でモヒカがビニシウスに足をかけたプレーをせっかくペナルティと認めてもらいながら、ベンゼマがそのPKを大きく外してしまったのがケチの付き始めだったんでしょうか。何と41分、ケガをしたモレンテの代わりに入ったフィデルのクロスを、コパの日はネンザでいなかったエルチェのエース、ボジェにヘッドで決められてしまったから、さあ大変!更にアンチェロッティ監督のチームの不幸は続き、後半12分にはハムストリングの筋肉痛でベンゼマがヨビッチに交代する破目に。同点ゴールが入らないまま、31分にはボジェのスルーパスから、ミジャのシュートで2点目を奪われているって、これじゃ、私も席を立てませんよ。
でもそこはレモンターダ体質の本家本元、粘った甲斐はあったんです。後半序盤はアザールがエリア内で倒されたプレーをVAR(ビデオ審判)のモニターを見た主審が翻意、ペナルティ宣告を取り消されていたマドリーですが、37分にはCKのボールにミジャの腕が当たり、この試合、2度目のPKをゲット。クロアチア代表ではお馴染みながら、マドリーでは初めてとなるPKゴールをモドリッチが決めて、反撃の狼煙を上げると、ロスタイムにはビニシウスのクロスをミリトンがヘッドして、土壇場で同点に追いついてしまうのですから、侮れないじゃないですか。
といってもこちらはロスタイムが4分、そしてマルセロが退場して1人少なくなっていたコパとは違い、逆境が少なかったのも悪かったんですかね。残念ながら、あと1点は奪えず、2-2の引分けで終わってしまいましたが、大丈夫。2位セビージャとの差は勝ち点4のままですし、3位のベティス以下は2桁差となれば、全然、余裕ですって。ベンゼマも軽傷だったようで、コパ準々決勝には間に合いそうですしね。あとは南米代表勢が無事に戻って来てくれれば、その頃にはアセンシオやバジェホもケガが治っているんじゃないかと思いますし、週明けにコロナ陰性となったカルバハルも調整する時間が十分あるため、マドリーには十分、明るい未来を期待していいかと。
ちなみに試合の結末を見届けてから、大急ぎでエスタディオ・バジェカスに移動した私だったんですが、ベルナベウ周辺が試合の時間は車両通行止めとなるのを失念。なかなかタクシーの通る道まで出られず、着いた時はすでに前半25分程が経過していることに。おまけにまさか、スタンドに出る直前だった前半34分、ラウール・ガルシアのクロスをシセがヘッドでクリアしたボールが初先発の18才、ニコ・セラーノの足元に落ち、先制点を決められてしまうとはまったくもって、ツイていません。うーん、スペイン・スーパーカップで決勝まで進出、先週のコパ16強対決も延長戦の激闘で疲れ果て、バルサを敗退に追い込むPKゴールを挙げたムニアインもコロナ陽性で来ていなかったアスレティックをとりわけ後半、ラージョは攻めまくったんですけどね。
その日はどうやら、ゴールが遠い日だったか、シュート29本(うち枠内3本)の猛攻も実らず、最後は0-1で終わってしまいましたが、まあ、仕方ないですよ。大体がして、2部から戻って来たばかりの今季ながら、1月までホームでの敗戦がなかっただけでも偉業だったとはい、久々に負け試合を見たラージョファンはちょっと困惑していたかも。順位も少し落ちて、8位になってしまいましたが、残留達成にはあと3勝で足りますし、次のコパ準々決勝のマジョルカ戦で頑張ってくれれば、皆、満足してくれますって。
そうそう、丁度、同時刻開催でレアル・ソシエダと戦っていたもう1つの弟分、ヘタフェはレアル・アレナで最後まで無失点をキープし、スコアレスドローで貴重な勝ち点1をゲット。こちらは前線レギュラーのエネス・ウナルとサンドロが揃って出場停止、前節のグラナダ戦でゴールデビューをしたボルハ・マジョラル(ローマからレンタル移籍)も得点できなかったんですが、その試合でポカとやって、コロンビア人のルイス・スアレスにゴールを献上していたGKダビド・ソリアが汚名返上の活躍をしてくれたよう。
キケ・サンチェス・フローレス監督になって持ち直したとはいえ、いまだに彼らはアウェーゲームでの白星がないんですが、もう降格圏とは勝ち点差が4もあるせいですかね。「Ganando en casa el 80 % de los partidos, podemos conseguir e l objetivo/ガナンドー・エン・カサ・エル・オチェンタ・ポル・シエントー・デ・ロス・パルティードス、ポデモス・コンセギール・エル・オブヘティーボ(ホームで80%の試合に勝てば、目標を達成できる)」(ソリア)というのも事実ですし、先週はコパで兄貴分がコロッと負けていた相手に一歩も引かなかったというだけで、十分、褒めてあげるに値しますよね。
おまけにその中でもすでに本大会出場が決定しているブラジルに呼ばれているビニシウス、カセミロ、ミリトン、ロドリゴ(レアル・マドリー)、クーニャ(アトティコ)、同アルゼンチンのコレア、デ・パウル(アトレティコ)などはどちらかと言えば、気楽な方で、いえまあ、2月2日のパラグアイ戦終了直後、3日のコパ・デル・レイ準々決勝アスレティック戦のため、マドリー勢はチャーター便で駆けつけないといけなかったりするんですけどね。同じ2日に2試合目のベネズエラ戦があるウルグアイなんて、予選グループ7位とW杯出場が危うくなっているため、必死度も高いんですが、バルベルデ(マドリー)以外、ミッドウィークにコパの試合はなし。
ええ、タバレス監督解任の後を引き継いだディエゴ・アロンソ監督にルイス・スアレスとヒメネスのみならず、フィジカルコーチのプロフェ・オルテガまで徴用されてしまったアトレティコはリーガ戦が6日ですし、アランバリ、ダミアンが参加するヘタフェも金曜試合とはいえ、定期便で帰って来る余裕はありますからね。一番気の毒なのは2日にコパ準々決勝マジョルカ戦がありながら、同日にはW杯出場圏内の4位死守を懸けて、アルゼンチン戦に挑むラージョのファルカオだったりするんじゃないかと思いますが…片や、1日に日本でサウジアラビア戦がある久保建英選手がエスタディオ・バンジェカスでの試合に間に合うのかも、ちょっと気になるところです。
ええ、前半25分にはバレンシアのカウンターを喰らい、右サイドを上がるゲデスを全員で追いかけたものだから、左側がガラ空きに。クロスを受けたムサーに対するのはベルサイコ1人だけだったとなれば、あっさり先制点を奪われてしまっても仕方なかった?すぐに始まった「Echale huevos/エチャレ・ウエボス(根性見せろ)」のカンティコも選手たちの目を覚ますことはできず、輪をかけてシュールだったのは44分。エルモーソが自陣エリア前から、クリアボールをラト目掛けて蹴ったかと思えば、そのスルーパスがアトレティコの選手が何人もいる間を通り抜け、ウーゴ・ドゥーロに2点目を決められているって、もしや今季のアトレティコはもう1つもゴールが入らず、1勝もできないのではという私の予感は正しかった?
おかげでハーフタイム中には、シーズン前半戦でのメスタジャでも後半ロスタイムにドゥーロに2ゴールを入れられ、1-3が3-3の引分けで終わった過ちから、全然学んでないじゃないかと頭を抱えていたものですが、どうやら、その時にはアトレティコのロッカールームでシメオネ監督の訓示があったよう。ええ、「Hablamos de que hay muchas maneras de perder, pero si perdiamos fuera con valentía/アブラモス・デ・ケ・アイ・ムーチャス・マネラス・デ・ペルデル、ペロ・シー・ペルディアモス・フエラ・コン・バンレティア(負け方は沢山あるが、もし負けるのなら、勇気を持って負けよう)」と本人も後で言っていたんですけどね。
何より、アトレティコファンの心の広さに感心したのは、「Sabíamos que la gente no nos iba a fallar/サビアモス・ケ・ラ・ヘンテ・ノー・ノス・イバ・ア・ファジャール(人々が我々を失望させないのは知っていた)。他のスタジアムならどこでも批判されていただろう」(シメオネ監督)という言葉通り、後半のピッチに選手たちが現れた時もスタンドからは一切、pito(ピト/ブーイング)が聞こえなかったこと。ただ、さすがにまだ0-2のままだった12分、ジョアン・フェリックスとレマルが交代。FWクーニャはともかく、何故かCBフェリペが入った時には、「敵エリア内でプレーする選手が欲しくてクーニャ。Y un central para parar las contras/イ・エン・セントラル・パラ・ラス・コントラス(そしてカウンターを止めるためのCB)」という監督の深淵な意図がわからず、場内が騒然となるなんてこともありましたっけ。
その後もベルサイコがエレーラに代わったりして、後でヒメネスなど、頻繁にポジションチェンジしても選手たち自身はちゃんと理解してやっていると、記者の失礼な質問に答えていたんですけどね。正直、私も何がなんだかわからなくなっていたものの、結果から察するに、どうやら鍵は右のカリレーロ(長い距離をカバーするSB)でスタートしたカラスコが得意の左サイドに移ったことにあったよう。19分には彼のCKをクーニャがゴール前から流し込んで、1点差に迫ると、そこからまた一段、ギアを挙げた彼らは45分、今度はカラスコが左から入れたラストパスにルイス・スアレスは間に合わず。GKドメネクに弾かれてしまったものの、ハーフタイム明けからピッチに入っていたコレアが同点ゴールを入れてしまったから、ビックリしたの何のって。
いやあ、その夜はかなり寒かったため、2-2になったところで満足して、ワンダを出てしまったファンも結構、いたんですけどね。それだけでは飽きたらず、まさかボルダラス監督のチームがゴールキックなどを遅らせて、ずっと時間稼ぎをしていたせいでもらった7分という、長いロスタイムまで活用してしまうとは!ええ、48分にはエレーラのパスから、コレアがtaconazo/タコナソ(ヒールキック)でエリア内のクーニャに繋ぎ、反対サイドのゴール前で勝利のゴールをエルモーソが撃ち込んているって、え、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)はお隣りさんの専売特許じゃなかった?
実際、こんな奇跡を目の当たりにしたのは2019-20シーズンCL16強対決リバプール戦2ndレグ以来で、あの時は延長戦に入ってから、総合スコア2-1とされたのをマルコス・ジョレンテの2発で逆転したんですけどね。その直後、コロナ第1波によるCLやリーガの中断があったりしたため、すっかり忘れていたんですが、うーん。3-2で勝利した後、シメオネ監督もヒメネスも「En el primer tiempo se vio lo que no somos, y el segundo, lo que realmente somos nosotros/エン・エル・プリメール・テェンポー・セ・ビオ・ケ・ノー・ソモス、イ・エル・セグンド・ロ・ケ・レアルメンテ・ソモス・ノソトロス(前半はウチじゃないチームで、後半は本当のボクたちだった)」と口を揃えていたんですが、いやいや。
それが本当なら、スペイン・スーパーカップでもコパでも逆転できていたはずですから、どちらもアトレティコの真の姿だと思いますが、何にせよ、嬉しいですよね。勝ち越しゴールが入った時など、シメオネ監督を始め、ベンチの選手たちや私服で来ていた負傷中のグリーズマンまで飛び出して、団子になって喜んでいる姿を見られたのは。そのお祝いのせいもあって、最後は11分近くまで、全力で守った彼らは終了後もピッチに残り、ファンに感謝していましたが、実はこの時、ジョアンの姿だけが見えず。1人だけ、さっさとロッカールームに帰ってしまったのはちょっと、尾を引くかもしれませんね。
え、感動的な勝利でも順位表を見ると、やはり同日、2点ビハインドから追いついて、セルタと2-2で引分けた2位セビージャとの差が勝ち点10もあるのに愕然としなかったかって?まあ、その通りで首位のマドリーなど、14差もありますからね。とりあえずは翌日、アラベスに0-1と辛勝した5位のバルサと勝ち点差1を保てたのを良しとしないと。戦犯転じて英雄となったエルモーソも「この休止期間は試合でのミスを直して、改善するのにいい」と言っていたように、6日のCL出場圏を懸けた直接対決に備えて、マハダオンダ(マドリッド近郊)で黙々と練習に励むのがいいかと。その頃にはグリーズマン、マルコス・ジョレンテ、コンドグビアらのリハビリ組も合流していそうですし、バレンシア戦ではベンチ待機だったサビッチ、火曜にコロナ陽性になってしまったGKオブラクも準備が整っているはずなので、とにかく今はいいムードを持続できるようにしてもらいたいところです。
そして翌日曜はまだ明るい時間にサンティアゴ・ベルナベウに行った私だったんですが、先週、88才の大往生をしたマドリーのレジェンド、ヘント名誉会長の追悼セレモニーは想定内だったものの、ちょっと目算が狂いました。というのもエルチェとは先週木曜、コパ16強対決の延長戦で勝利していただけでなく、その時はお休みだったベンゼマとGKクルトワが出場。おまけにマドリーのホームで相手は1度も勝ったことがなく、フランシスコ監督もコロナ陽性隔離中で帯同してないとなれば、早い時間に大差がつくんじゃないかと思ったため、後半途中には次の時間帯のラージョvsアスレティック戦に行くつもりだったから。
今思えば、前半31分、クロースがペレ・ミジャの足を蹴ったファールをスルーして、エリア内でモヒカがビニシウスに足をかけたプレーをせっかくペナルティと認めてもらいながら、ベンゼマがそのPKを大きく外してしまったのがケチの付き始めだったんでしょうか。何と41分、ケガをしたモレンテの代わりに入ったフィデルのクロスを、コパの日はネンザでいなかったエルチェのエース、ボジェにヘッドで決められてしまったから、さあ大変!更にアンチェロッティ監督のチームの不幸は続き、後半12分にはハムストリングの筋肉痛でベンゼマがヨビッチに交代する破目に。同点ゴールが入らないまま、31分にはボジェのスルーパスから、ミジャのシュートで2点目を奪われているって、これじゃ、私も席を立てませんよ。
でもそこはレモンターダ体質の本家本元、粘った甲斐はあったんです。後半序盤はアザールがエリア内で倒されたプレーをVAR(ビデオ審判)のモニターを見た主審が翻意、ペナルティ宣告を取り消されていたマドリーですが、37分にはCKのボールにミジャの腕が当たり、この試合、2度目のPKをゲット。クロアチア代表ではお馴染みながら、マドリーでは初めてとなるPKゴールをモドリッチが決めて、反撃の狼煙を上げると、ロスタイムにはビニシウスのクロスをミリトンがヘッドして、土壇場で同点に追いついてしまうのですから、侮れないじゃないですか。
といってもこちらはロスタイムが4分、そしてマルセロが退場して1人少なくなっていたコパとは違い、逆境が少なかったのも悪かったんですかね。残念ながら、あと1点は奪えず、2-2の引分けで終わってしまいましたが、大丈夫。2位セビージャとの差は勝ち点4のままですし、3位のベティス以下は2桁差となれば、全然、余裕ですって。ベンゼマも軽傷だったようで、コパ準々決勝には間に合いそうですしね。あとは南米代表勢が無事に戻って来てくれれば、その頃にはアセンシオやバジェホもケガが治っているんじゃないかと思いますし、週明けにコロナ陰性となったカルバハルも調整する時間が十分あるため、マドリーには十分、明るい未来を期待していいかと。
ちなみに試合の結末を見届けてから、大急ぎでエスタディオ・バジェカスに移動した私だったんですが、ベルナベウ周辺が試合の時間は車両通行止めとなるのを失念。なかなかタクシーの通る道まで出られず、着いた時はすでに前半25分程が経過していることに。おまけにまさか、スタンドに出る直前だった前半34分、ラウール・ガルシアのクロスをシセがヘッドでクリアしたボールが初先発の18才、ニコ・セラーノの足元に落ち、先制点を決められてしまうとはまったくもって、ツイていません。うーん、スペイン・スーパーカップで決勝まで進出、先週のコパ16強対決も延長戦の激闘で疲れ果て、バルサを敗退に追い込むPKゴールを挙げたムニアインもコロナ陽性で来ていなかったアスレティックをとりわけ後半、ラージョは攻めまくったんですけどね。
その日はどうやら、ゴールが遠い日だったか、シュート29本(うち枠内3本)の猛攻も実らず、最後は0-1で終わってしまいましたが、まあ、仕方ないですよ。大体がして、2部から戻って来たばかりの今季ながら、1月までホームでの敗戦がなかっただけでも偉業だったとはい、久々に負け試合を見たラージョファンはちょっと困惑していたかも。順位も少し落ちて、8位になってしまいましたが、残留達成にはあと3勝で足りますし、次のコパ準々決勝のマジョルカ戦で頑張ってくれれば、皆、満足してくれますって。
そうそう、丁度、同時刻開催でレアル・ソシエダと戦っていたもう1つの弟分、ヘタフェはレアル・アレナで最後まで無失点をキープし、スコアレスドローで貴重な勝ち点1をゲット。こちらは前線レギュラーのエネス・ウナルとサンドロが揃って出場停止、前節のグラナダ戦でゴールデビューをしたボルハ・マジョラル(ローマからレンタル移籍)も得点できなかったんですが、その試合でポカとやって、コロンビア人のルイス・スアレスにゴールを献上していたGKダビド・ソリアが汚名返上の活躍をしてくれたよう。
キケ・サンチェス・フローレス監督になって持ち直したとはいえ、いまだに彼らはアウェーゲームでの白星がないんですが、もう降格圏とは勝ち点差が4もあるせいですかね。「Ganando en casa el 80 % de los partidos, podemos conseguir e l objetivo/ガナンドー・エン・カサ・エル・オチェンタ・ポル・シエントー・デ・ロス・パルティードス、ポデモス・コンセギール・エル・オブヘティーボ(ホームで80%の試合に勝てば、目標を達成できる)」(ソリア)というのも事実ですし、先週はコパで兄貴分がコロッと負けていた相手に一歩も引かなかったというだけで、十分、褒めてあげるに値しますよね。
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