スーパーダービーはなかった…/原ゆみこのマドリッド

2022.01.15 22:00 Sat
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「同じ敗退組なのにこうも明暗が分かれるとは」そんな風に私が愕然としていたのは金曜日、午前中にバラハス空港から、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に着いたアトレティコの選手たちの映像をお昼のニュースで見た時のことでした。いえ、マドリッドでは明け方に気温が急激に下がったせいで、選手たちが屋外駐車場止めておいた車のフロントガラスが霜で真っ白に。各自、自分の手でコシコシ払ってからでないと、運転できなかったなんていうのは別にいいんですけどね。

何というか、1日早く、水曜のスペイン・スーパーカップ準決勝で宿命のライバルに負けたバルサについては、17才のガビを筆頭に、67日ぶりの出場でゴールを挙げた19才のアンス・ファティ、負傷とコロナ感染の逆境ダブルから回復した19才のペドリ、尚且つ、チーム練習を1回もせずに先発デビューした21才のフェラン・トーレス(マンチェスター・シティから移籍)、先週金曜に手の手術をしたばかりながら、保護カバーをして120分の激闘を戦い抜いた22才のアラウホと、何人もの若手がこのスーパーカップ・クラシコ(伝統の一戦、レアル・マドリー戦のこと)で善戦。おかげで世間から、チャビ監督のチームの未来は明るい的な評価をされることに。

実際のところ、リーガでは首位のマドリーと勝ち点差17でCL出場圏外の6位、サウジアラビアから帰国後の初戦、来週木曜のコパ・デル・レイ16強対決の相手も昨季のスペイン・スーパーカップ決勝でトロフィーをさらわれたアスレティックですし、2月にあるEL16強対決のプレーオフではナポリと対戦。そうそう楽観的になれるとも思えないんですけどね。ええ、同じティーンエイジャーで、もう1つの準決勝でアスレティックに勝利をもたらしたニコ・ウィリアムスが、マルセリーノ監督に「Tiene 19 años y no hay que añadirle presión. Vamos a ir paso a paso/ティエネ・ディエシヌエベ・アーニョス・イ・ノー・アイ・ケ・アニャディルレ・プレシオン。バモス・ア・イル・ア・パソ・ア・パソ(19才だから、プレッシャーを増やしちゃいけない。一歩一歩、やっていくつもりだ)」と気遣われているのを見れば、何をか言わんやですって。

世が世なら、天下のバルサの屋台骨を若い子ばかりに背負わせる訳にもいかないはずですが、何せ、アトレティコなど、移籍金1憶2700万ユーロ(約170億円)で3年前に獲得した若手ギャラクティコ、22才のジョアン・フェリックスがまたしても期待に応えられませんでしたからね。今季もう、何度繰り返したかわからないチーム全員のミスも一向に直らないとあって、昨年12月の4連敗の後、年明けの2連勝で一時、収まっていたシメオネ監督批判も再燃してきたんですが、はあ。こちらもお隣さんとは勝ち点差16のリーガ4位、来週水曜のコパ16強対決は去年4月、アスレティックを破って、2019-20シーズンのコパ王者となったレアル・ソシエダとですし、CL16強対決の相手もマンチェスター・ユナイテッドとあって、何だかお先真っ暗な気がしてきたんですが…いや、今は嘆いてないで、スペイン・スーパーカップ準決勝の2試合がどうだったか、お伝えしていかないと。

まずは水曜、リヤドのキング・ファハドスタジアムで昨季リーガ2位のマドリーとコパ優勝のバルサが激突、今季2度目のクラシコとなったんですが、先手を取ったのはアンチェロッティ監督のチームの方。ええ、相手が「Hemos jugado con muchos complejos durante 20 o 25 minutos/エモス・フガードー・コン・ムーチョ・コンプレホス・ドゥランテ・ベインテ・オ・ベインテシンコ・ミヌートス(ウチは20か25分間ぐらい、コンプレックスを沢山抱えてプレーしていた)」(チャビ監督)という前半25分には、センターでベンゼマがブスケツからボールを奪い、最後はフラメンゴから移籍して4年目、21才の今季、いよいよ開花したビニシウスがアラウホを振り切ってシュート。これが見事に先制点となったため、やはり戦前の予想通り、リーガでの差が如実に反映する展開になるのかと思いきや…。

まあ、確かに41分、デンベレのシュートをゴール前でミリトンがクリアしようとして、ルーク・デ・ヨングにボールが当たり、同点ゴールになってしまったのは運が悪かったんですけどね。バルサがフランキー・デ・ヨングと10月のネーションズリーグ・ファイナルフォーのスペイン代表で負傷して以来、プレーしていなかったフェランをペドリとアブデ(20才)に代えた後半27分には再びマドリーが得点。これも一旦はベンゼマが弾かれて、カルバハルが撃ち直したボールもGKテア・シュテーゲンの足で逸らされてしまったものの、そのボールがベンゼマの前に。もちろん、リーガピチチ(得点王)がこんなチャンスを逃す訳はなく、またしてもマドリーがリードを奪ったとなれば、もう勝負はあった?

でもそうは問屋が卸さなかったんですよ。というのもやはり、年少の選手の中でも2020年からスペイン!代表に招集され、メッシ(現PSG)の背番号10を受け継いだアンス・ファティは才能が飛び抜けているんでしょうかね。負傷を繰り返している今季は8試合しか出場していないにも関わらず、4ゴールを挙げているんですが、この日も後半21分にピッチに入ると、38分にはジョルディ・アルバのクロスをヘッド。易々とGKクルトワを破ってしまったから、ビックリしたの何のって。これでスコアは2-2となり、試合は延長戦に入ることに。

でも大丈夫。この日も途中から、「Apretar arriba nos cuesta más/アプレタル・アリバ・ノス・クエスタ・マス(ウチは高い位置でプレスをかけるのに苦労する)」(アンチェロッティ監督)という理由により、自陣で敵を待ち受ける戦法に切り替えたマドリーの必殺カウンターが、延長戦前半8分にとうとう爆発したんですよ。いやもう、モウリーニョ監督下のBBC(ベンゼマ、ベイル、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)時代から、足の速い選手が多いチームは羨ましいと思っていたんですが、この時も5人程、ドドッと白のユニフォームがバルサのゴールに突進する中、敵はたったの3人。右からロドリゴが送ったラストパスを後ろにベンゼマの気配を感じ取ったビニシウスはスルーしたんですが、まさかモドリッチと交代で入っていた、やはり健脚のバルベルデが先んじてシュートしてしまうとは!

この3点目のゴールで、いえ、2-3で負けたチャビ監督は試合後も「Hemos dominado al Madrid, que se ha metido atrás/エモス・ドミナードー・アル・マドリッド・ケ・セ・ア・メティードー・アトラス(ウチがマドリーを支配していたから、彼らは自陣に引きこもっていた)」と言っていましたけどね。アンチェロッティ監督は「Partido igualado/パルティードー・イグアラードー(拮抗した試合)」と反論。「El bloque bajo no es muy estético/エル・ブロケ・バホ・ノー・エス・ムイ・エスティコ(低い位置でプレーするのはあまり美的ではない)が、ウチの前線にある質の高さを楽しまないのはもったいなさすぎる」そうですが、まあ昔から、世界最高のクラブと自称する彼らがボールポゼッションを捨てて、カウンター戦法を取ると、あれこれ世間がうるさいですからね。

その辺はアンチェロッティ監督も気が引けているのかもしれませんが、合わせて38得点14アシストという、ベンゼマとビニシウスのコンビの豊作を見れば、誰も文句はつけられないかと。そこで翌木曜は、スペイン・スーパーカップ決勝ではスーパークラシコに続いて、スーパーダービーを見ることになるのかと、私も気を引き締めて、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に連日出勤したんですが、とんでもない。前日はコロナ感染予防のため、キャパ50%までの観客制限ギリギリの4万人を集めたスタジアムに6000人しか入らなかったのにもめげず、キックオフ直後、アトレティコはレマルからパスを受けたジョアンがアスレティックのエリアに切り込んでシュート。電光石火の先制点と喜んだのも束の間、あっさりオフサイドでノーゴールとなった時から、今になって思えば、ケチがついていたんでしょうか。

そこから15分程は攻めていたアトレティコもいつしか尻つぼみとなり、0-0のままだった後半開始時には臀部の負傷を三度、再発させたマルコス・ジョレンテがロディに交代。更に5分にはコンドグビアもどこかを痛め、デ・パウルに代わることになり、こうなるとスコアレスでの延長戦も覚悟しないといけないと、私も2杯目のカーニャ(グラスビール)をいつ頼むか、思案していたんですけどね。それでも17分にはレマルの蹴ったCKをジョアンがヘッド、ゴールポストに弾かれたボールがGKウナイ・シモンの背中に当たってオウンゴールになってくれたため、ちょっとは気が楽になったんですが、何せ今季のアトレティコはよく逆転されていましたからねえ。とても1点だけでは心もとないというのに、まさか、お家芸の「リードしたら一歩後退」をこの日も忠実に実行してくれるとは!

案の定、アスレティックの猛反撃に遭い、うーん、FKからのイニゴ・マルティネスのヘッドやウィリアムス兄の一撃はGKオブラクが必死にセーブしてくれたんですけどね。32分には苦手中の苦手、CKの守備がお約束のように破綻。ええ、ムニアインの上げたボールに合わせたジェライに潰されるばかりだったコケにそのヘッドを阻むことはできず、同点ゴールを決められてしまったから、さあ大変。おまけにその4分後にも再びCKを与え、今度はイニゴ・マルティネスのヘッドこそ、ダニ・ガルシアに当たって逸れたものの、エリア内に転がったボールをウィリアムス弟にフリーで撃ち込まれているって、もう一体、どうしたらいいのやら。

その後はジョアン、ルイス・スアレス、クーニャのFW3人で同点を目指したアトレティコですが、ゴールは生まれず、それどころか、ロスタイムにはヒメネスが空中キックでイニゴ・マルティネスの頭を直撃して、レッドカードで退場する始末。いやあ、1-2で敗退が決まった後、シメオネ監督も「El equipo no tiene fortaleza defensiva en el juego aéreo/エル・エキポ・ノー・ティエネ・フォルタレサ・デフェンシバ・エン・エル・フエゴ・アエレオ(チームは空中戦での守備力がない)」と認めていましたけどね。もうシーズンも半ば過ぎているというのに今更、「Hay que trabajar la concentración/アイ・ケ・トラバハール・ラ・コンセントラシオン(集中力を鍛えないといけない)」(コケ)なんていう言葉を聞くと、やっぱり彼らは全然、学んでいない?

いや実際、「Es fácil entrenarlo cuando no hay gente, el problema es cuando hay rival/エス・ファシル・エントレナールロ・クアンドー・ノー・アイ・ヘンテ、エル・プロブレマ・エス・クアンドー・アイ・リバル(人がいない時に練習するのは簡単だが、問題は敵がいる時)」とシメオネ監督も嘆いていたんですけどね。チームのリードを守ろうと孤軍奮闘したオブラクなど、もっと踏み込んで、「ゴールを入れた後、ウチは後ろに下がって待つけど、si esperamos a lo que va a pasar es que ocurren cosas como las de hoy/シー・エスペラモス・ア・ロ・ケ・バ・ア・パサール・エス・ケ・オクレン・コーサス・コモ・ラス・デ・オイ(何が起きるか待っていると、今日みたいなことが起きる)」と苦言を呈していましたが、とにかく彼らには暇になるこの週末に今一度、猛省を促したいところです。

一方、ロッカールームで決勝進出をまたしてもビジャリブレのトランペット伴奏で祝ったアスレティックはスペイン・スーパーカップ2連覇のチャンスをゲットしたんですが、奇しくも彼らは12月中にリーガで2回、マドリーと対戦。マルセリーノ監督も「jugamos como nunca y perdimos como siempre/フガモス・コモ・ヌンカ・イ・ペルディモス・コモ・シエンプレ(今までないぐらいにいいプレーをしたが、いつものように負けてしまった)」と話していた通り、サンティアゴ・ベルナベウではベンゼマのゴールで1-0。年内最終戦だったサン・マメスでも7分までにベンゼマに2点を決められ、サンセットが1点返しただけで、1-2で涙を飲んでいるんですよ。

それも後者の日など、マドリーが大量5人もコロナ感染で選手がいなかったとなると、いくら延長戦だったとはいえ、休みが1日多い相手が有利なのは変わらないかと思いますが、金曜になって、カルバハルが検査で陽性になったのはちょっと注意が必要かと。ええ、月曜にリヤド入りした彼らは練習と試合以外、外出していないため、それでもうつったとなれば、チーム内クラスターである可能性もなきにしろあらず。加えて、バルサ戦をふくらはぎ痛で欠場したアラバも回復が難しいとなれば、今年もアスレティックが波乱を起こすかもしれません。

そして最後にマドリッドの弟分チームの予定も見ておくと、この週末は土曜にラージョがコパ16強対決ジローナ戦に挑むことに。しかも会場は昨季の昇格プレーオフ決勝2ndレグでまさにこの相手を下し、1部復帰を決めたモンテリビ。向こうの指揮官がこれまた、ラージョのレジェンドであるミチェル監督となれば、結構、見応えのある試合になりそうな。対照的に2回戦でコパ敗退しているヘタフェは来週木曜のリーガ21節グラナダ戦まで、ゆっくりしていられるんですが、この金曜には残留達成に大きく力を貸してくれそうな選手が2人、ローマからレンタル移籍で到着。マドリー出身のFWボルハ・マジョラルとエルチェ出身のMFゴンサロ・ビジャルなんですが、ネックはチェマがエイバル(2部)に行った後もまだ1つ登録選手枠が足らず、早く空きを作らないといけないことでしょうか。

【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。


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リーガの決着がついた…/原ゆみこのマドリッド

「今ならメガプレゼンの絶好の機会だったのに」そんな風に私がガッカリしていたのは月曜日、とうとう今季リーガ1部の全日程が終わり、W杯も11月開催とあって、これからしばらく暇を持て余すことに気がついた時のことでした。いやあ、去年の夏もエムバペ移籍に2億ユーロ(約280億円)のオファーを出して、PSGに蹴られたレアル・マドリーだったんですけどね。昨季はコロナの流行により、ホームゲーム全てをエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)で無観客開催。サンティアゴ・ベルナベウではシーズオフになっても全面改装工事が続いていたため、とてもファンをスタンドに入れての入団プレゼンなんて望めなかったのは本当ですよ。 今季はまだ事情が変わり、昨年9月からはベルナベウのスタンドにも観客が入れるようになって、いえまあ、そのおかげでCL決勝トーナメント16強対決PSG戦、準々決勝チェルシー戦、準決勝マンチェスター・シティ戦と3回も奇跡のremontada(レモンターダ/逆転突破)を達成することができたという見方もありますけどね。もちろん、この土曜のリバプールとの決勝もスタジアムに大型スクリーンを設置して、ソシオ(協賛会員)限定のスタッド・ド・フランスのチケット購入権やUEFA販売分の抽選に外れたファンのため、もしくは航空券や宿泊費の高騰で涙を飲んだ私のような者のため、パブリックビューイングを実施してくれるんですが、マドリーの場合、ピッチに組んだその設備が翌日夜には祝賀イベントの舞台に転用されるのも2014年以来、4回あったCL決勝のお約束。 その分、スタッフも手馴れているというのはともかく、まだ場内にはシートに覆われているセクションがあるため、2009年夏に8万人を集めたクリスティアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッドから移籍)には及ばずとも、エムバペの入団プレゼンも2019年に5万人が駆けつけた現時点で最後のギャラクティコ、アザール(同チェルシー)並みの規模にはなったんじゃないかと思いますが、いやあ。それがまさか、2週間程前にはマドリッドをチームの同僚アクラフと電撃訪問。フランス・サッカー協会の年間最優秀選手表彰行事のミックスゾーンなどでも一段と流暢になったスペイン語での受け答えを披露していたため、もうマドリーへの入団契約はまとまっているとまで言われていた彼なんですけどね。 先週半ば辺りから急に風向きが変わり、とうとうリーグ1最終節のメス戦キックオフ前にパルク・デ・プランスのピッチにアル・ケライフィ会長と立ち、2025年までの契約延長を発表って、もしやこれがPSGのレモンターダ返し?うーん、そのメス戦でハットトリックを挙げ、リーグ優勝したチームの有終の美に華を添えたエムバペは日曜の記者会見で、「マドリーファンの失望はわかるけど、ボクの決断を理解してほしい。自分はフランス人で、ここでキャリアを続けてタイトルを獲りたい」と言っていましたけどね。マルカ(スポーツ紙)などによると、マドリーの提示したPrima de fichaje(プリマ・デ・フィチャヘ/移籍金なしで入団する選手へのボーナス)は1憶3000万ユーロ(約180億円)に対して、PSGのPrima de renovacion(プリマ・デ・レノバシオン/契約延長へのボーナス)は3億ユーロ(約420億円)。 年棒も向こうが税引き後5000万ユーロ(約69億円)、マドリーは2600万ユーロ(約36億円)と、金額だけ見ると、比べ物にならないんですが、何とも世知辛い。こうなると今回、パリでの決勝では絶対勝って、クラブ大会最高のタイトルを得るには、マドリーが最適な場所であることを知らしめてやりたいという、ファンの気持ちもわかりますが、実際問題として、今季リーガ27得点でピチチ(得点王)に輝いたベンゼマは34才とはいえ、まだ1、2年は賞味期限がありそうですしね。 同17得点で2位のビニシウス、ロドリゴらも順調に成長しているため、アタッカーの補強が是が非でも必要ではないとはいえ、ここしばらく、ギャラクティコ選手の加入がないのはちょっと、淋しい感もなくはなし。まあ、モナコにいた2017年頃から、追いかけていたクラックに振られてしまったペレス会長が次に誰をターゲットにするかは、おいおいに名前も出て来るかと思いますが、今は先週末のリーガ最終節の話をしていかないと。 金曜にはベルナベウでのベティス戦に行った私だったんですが、5節前には優勝が決まり、ここ4試合はずっと消化試合モードだったせいか、ファンの関心もすでにCL決勝一択。ええ、fondo sur/フォンド・スール(南側ゴール裏席)に上がった横断幕も「El Rey de Europa siempre vuelve/エル・レイ・デ・エウロッパ・シエンプレ・ブエルベ(ヨーロッパの王は常に戻ってくる)」という文面でしたし、「Nos vamos a Paris!/ノス・バモス・ア・パリス(ボクらはパリへ行く)」のカンティコも何度か聞こえましたしね。試合の方はまず、マドリーの選手がPasillos de campeones(パシージョ・デ・カンペオネス/チャンピオンの花道)を作って、コパ・デル・レイ王者であるベティスを迎えると、そこを通り向けた選手たちがまたは花道を作って、リーガ王者のマドリーを称えるというdoble pasillo/ドブレ・パシージョ(花道ダブル)でスタート。 それはそれで私も初めて見たため、興味深かったんですが、ゲーム的には同時刻に始まったエスタディオ・バジェカスの方が沢山、ゴールが生まれていたんですよね。ええ、前半18分にはアルバロ・ガルシアが口火を切って、1部残留祝いに集まったラージョのファンを歓喜させたものの、すでに兄貴分とのベルナベウの試合で2部降格が決まっていたレバンテながら、26分にはマレロが反撃の狼煙を上げる同点弾。44分にもロジェールに決められ、リードが広がっただけでなく、後半はキャプテンのモラレスに1部お別れゴールを奪われたと思いきや、一転、その直前のプレーが見直しVAR(ビデオ審判)でペナルティに。セルジ・グアルディオラがPKを沈めて、1-4のスコアが2-3に変わるとは、あら不思議。 とはいえ、3節前の弟分ダービーで残留を達成して以来、すでにラージョの選手たちの頭はバケーション入りしていたんでしょう。結局、31分にはコケに4点目を決められて、2-4で負けてしまいましたが、え、私がオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の2元中継でレバンテのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を聞いている間、マドリーとベティスは何をしていたのかって?いやあ、それがロドリゴとナチョ以外、土曜のCL決勝先発メンバーを並べたアンチェロッティ監督だったんですが、選手たちも「El partido ha sido más para coger ritmo, se notaba más como un partido de verano/エル・パルティードー・ア・シードー・マス・パラ・コヘール・リトモ、セ・ノタバ・マス・コモ・ウン・パルティードー・デ・ベラーノ(どちらかと言うと、リズムを掴むための試合で、夏のプレシーズンマッチみたいな感じだったね)」(クルトワ)というのが災いしましたかね。 遠めからシュートを撃つばかりだったんですが、後半24分には6月で契約の終わるマルセロ、イスコ、移籍濃厚のセバージョスが出場。結局、ベンチにも入らなかったベイルを除いて、ベルナベウのファンとのお別れセレモニーとなってしまったのと並行して、相手のベティスもやはり、勝ち点1で5位確定となれば、どこにムリする必要があるでしょう。こちらも28分には7月に42才となるホアキンがピッチに立ち、両チームのファンが1部リーグ最多出場歴代2位の600試合となる彼を拍手で迎えていましたが、最後までゴールはなく、試合はスコアレスドローで終わってしまいましたっけ。 ちなみにマドリーは週明けの月曜から、CL決勝に向けての練習を再開したんですが、そちらには予定通り、負傷のリハビリの終わったアラバの姿があったのは心強いかと。ええ、アンチェロッティ監督も「4月26日からプレーしてないが、決勝はフィジカルだけが出場の目安ではない。También la habilidad y la experiencia/タンビエン・ラ・アビリダッド・イ・ラ・エクスペリエンシア(能力と経験もある)」と言っていた通り、彼がナチョに代わってスタメンに入るのは確実なようですが、何せ相手のリバプールはマドリーより2日遅い日曜にプレミリーグ最終節をプレーしていますからね。 それだけでなく、せっかく序盤に先行された1点をマネ、サラー、ロバートソンのゴールで3-1と逆転して、ウォルバーハンプトンに勝ちながら、やはりアストン・ビラに2点リードされたマンチェスター・シティも終盤にギュンドガンの2発とロドリのゴールで逆転勝利したため、リーグ優勝には届かず。勝ち点差1で2位に留まった無念さが、2018年にキエフでのCL決勝でマドリーに負けているクロップ監督のリベンジ願望を更にヒートアップさせるかどうかはわかりませんが、その試合ではチアゴ・アルカンタラが筋肉系の負傷をするという逆境も。 そのチアゴが月曜に発表された6月のネーションズリーグ用のスペイン代表招集リストに入っていたのは気になったんですが、CL決勝には間に合わないようですしね。そうそう、バルサを率いてCL優勝経験のあるルイス・エンリケ監督は、「si alguien merece ganar esta Champions es el Real Madrid/シー・アルギエン・メレセ・ガナール・エスタ・チャンピオンス・エス・エル・レアル・マドリー(誰かがこのCLを勝つに値するとしたら、レアル・マドリーだ)」と代表の記者会見で言っていたんですが、きっと今頃はクロップ監督も如何に敵のレモンターダ発動を封じるか、頭を絞っているんじゃないでしょうか。 そして1日空けて日曜、何も懸かってなかったもう1つの弟分、ヘタフェは午後5時30分という早い時間の試合でエルチェに3-1で負けてしまうことに。うーん、やはり彼らもラージョ同様、前節に残留が確定した後は気が緩んだか、せっかく前半33分にはヤンクトのクロスから、エネス・ウナルが自身今季16得点目となるゴールを挙げて先制しながら、3分後にはオラサに同点にされると、後半、キケ・ペレスに2発を浴びてしまったんですが、大丈夫。先に残留を決めていたエルチェだって、その後は負けていましたし、人の心理なんて所詮、そんなもんですって。 これで15位でのシーズン終了が決まったヘタフェでしたが、まさか、その次の時間帯にはボルダラス監督(現バレンシア)の下、一時代を築いたOBのベテランFWたちが吉凶分けることになるとは。ええ、残留を争っていたマジョルカではアンヘルがオサスナ戦で先制点を挙げたかと思えば、キックオフ前は16位にいたグラナダのホルヘ・モリーナがエスパニョール戦でPKを外してしまったから、さあ大変!全ては同時進行の後半での出来事で、そうこうするうち、カディスがロサノのゴールで降格済みのアラベスをリード、マジョルカもグラニエルが追加点を入れて0-2で勝利と、最後は0-0で終わったグラナダが第3の2部行きチームになるとは一体、誰に予想できたでしょう。 といっても私の関心があったのは夜10時から始まったレアル・ソシエダvsアトレティコ戦の方で、もうイマノル監督のチームはベティスを追い越して、5位に上がれる可能性はなかったんですけどね。それでも前半はセルロートのシュートをGKオブラクが弾いた後、ラフィーニャが蹴ったボールがポストに当たって逸れたり、その彼が再び1対1で外したりと、チャンスはソシエダの方があったんですが、どうやらハーフタイムには前日の記者会見で、「el objetivo del club es entrar en Champions, pero el nuestro es salir campeón/エル・オブヘティーボ・デル・クルブ・エス・エントラール・エン・チャンピオンズ、ペロ・エル・ヌエストロ・エス・サリール・カンペオン(クラブの目標はCL出場権獲得だったが、我々の目標は優勝だった)」と言っていたシメオネ監督の方から、今季最後の喝が入ったよう。 同時に「4-4-2と5-3-2を併用してきて、eso también produjo en mí una situación de marearme un poco/エソ・タンビエン・プロドゥーホ・エン・ミ・ウナ・シトゥアシオン・デ・マレアルメ・ウン・ポコ(それもちょっと、自分自身に眩暈を起こさせることになった)」(シメオネ監督)というフォーメーションにも訂正が入ったのが良かったんでしょうか。再開1分にエリア前からのシュートをGKレミロに止められていたデ・パウルが6分には同じような位置から、今度はgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めてしまったから、ビックリしたの何のって。 いやあ、実はこの時、多分、午後10時という遅いキックオフだったせいで、オンダ・マドリッドが実況中継を前半だけで終了。仕方なく、ラジオ・マルカ(スポーツ専門局)を聞いていたんですが、経費削減で近年、アウェイにスタッフを送らず、TV中継を見ながら実況している前者とは違い、後者はアナがスタジアムにいるんですね。よって、バル(スペインの喫茶店兼バー)のTVにゴールシーンが映る前から、「Gol, gol, gol, gol!」の絶叫が始まり、もしや勝ち点差1で3位の座を狙っているセビージャがアスレティック戦で先制したのかと、私も泡を喰らってしまったんですが、TVの映像は20秒程、遅いんですよ。まさか、それがアトレティコのゴールだったとは、ホント、心臓に悪い。 幸い直後にサンチェス・ピスファンで決まったレキクのゴールはオフサイドで認められなかったんですが、いや、だから普段、私はマドリッド勢のナレーションしかしないオンダ・マドリッドのヘビーリスナーなんですけどね。グリーズマンの1対1のシュートがGKを直撃した後の23分、今度はラファ・ミールがゴールを挙げ、本当にセビージャがリードするやいなや、レアル・アレナではカラスコのクロスをエリア内でコケが繋ぎ、コレアがシュート。アトレティコに2点目が入ったとなれば、もう3位の座は安泰と思っていい? いやまあ、ロスタイムにはフェリペのハンドでエリア前ギリギリのFKを献上。ヤヌザイの蹴ったボールはオブラクが弾いたものの、グリディにヘッドを決められて、1点差に迫られたなんてことはあったんですけどね。何とか1-2で逃げ切ったアトレティコは、1-0で勝利した4位との勝ち点差1をキープ。シメオネ監督就任2年目以来、ずっと3位以上という記録を守ったんですが、どこかファンに物足りなさが残るのはやはり昨季、リーガの頂点を極めてしまったせいだったかと。 ええ、コケなども「Cuando tienes las expectativas tan altas... ha sido un año compicado/クアンドー・ティエネス・ラス・エスペクティーバス・タン・アルタス…ア・シードー・ウン・アーニョ・コンプリカードー(期待値があんなに高いと…難しい年だったよ)」と告白していましたが、全てのチームがお隣りさんのようにはなれませんからね。イマノル監督にしてみれば、6位のソシエダでも「Ha sido un temporadón/ア・シードー・ウン・テンポラドン(今季は凄いシーズンだった)」そうですし、CL準決勝まで進みながら、最終節でバルサに0-2と勝って、ようやく7位でコンフェレンスリーグ(UEFA第3の大会)の出場権を勝ち取ったビジャレアルのエメリ監督も自身が14年連続でヨーロッパの大会に行けることで良しとしているようでしたし…いつかはアトレティコも毎年、タイトルを争えるぐらい強くなってくれたら、嬉しいですよね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.05.24 22:30 Tue
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もうこれで今季のリーガはお終い…/原ゆみこのマドリッド

「グリーズマンでしょ。他にいないし」そんな風に私が苦笑いしていたのは木曜日、オープンセッション15分の後、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場の外から、少しの角度だけ見えるミニエスタディオ内の様子を伺っていた時のことでした。いやあ、今季もリーガはあと1試合だけですし、すでにアトレティコの10年連続CL出場も決定。よって、別に最終節のレアル・ソシエダ戦に誰が先発してもあまり気にはならなかったんですが、皆、考えることは同じなんでしょうかね。 もしやジョアン・フェリックスが回復していないか、一応、見ておこうと足を向けたところ、いつも来ているラジオ複数局のアトレティコ番記者の姿はまったくなし。結局、AS(スポーツ紙)とラ・セスタ(スペインの民放)の女性レポーター2人と並んで、双眼鏡を持っていた私がpeto(ペト/ビブス)を着けているのが誰か、なしなのは誰か、確認してあげていたんですが、見える範囲が狭いため、先発予定組らしいクーニャと一緒に前線に入っているFWがわからず。 ルイス・スアレスとコレアはペト付きで控え組でしたし、中で見学していた時から、ジョアンはベルサイコ、コンドグビアと共にジム籠りをしていたのがわかっていたため、消去法でグリーズマンらしいということになったんですが、最近のアトレティコのFW陣はとにかくゴール日照りがひどくてねえ。そのせいか、partidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)の時間は程々で終わり、その後は前節セビージャ戦でのヒメネスのゴールに触発されたか、スタンドのせいで完全に隠れる位置でこそこそ、セットプレーの練習をしていましたが、いやあ。 折しも前夜にはセビージャのホーム、サンチェス・ピスファンでEL決勝が開催。そのアンダルシア州の首都は計15万人ものレンジャーズファンとフランクフルトファンで大賑わいだったようですが、まあ言ってみれば、2019年にワンダ・メトロポリターノでCL決勝が行われた時と同じですよ。ええ、当時もマドリッド勢が出場しないため、イギリスからやって来たリバプールとトッテナムのファンが街中で大騒ぎしているのを地元民は冷ややかな目で眺めているだけだったんですが、何せ、今回は会場も違う都市。試合中継もバル(スペインの喫茶店兼バー)に行かないと見られないとあって、私もサッカー番組でサマリーをチェックしただけだったんですが、あれ? レンジャーズに後半12分に先制された後、24分に同点ゴールを決め、更に延長戦に続いてのPK戦、3人目のキッカーだった鎌田大地選手が成功した後、アーロン・ラムジーがGKトラップに止められるミス。フランクフルト5人目のキッカーとして、優勝を決めるPKを沈めたサントス・ボレって、もしかして昔、アトレティコにいなかった?それでちょっと調べてみたところ、私の記憶は正しくて、彼はまだ19才だった2015年に入団。ただ、最初の1年はコロンビアの移籍元、デポルティボ・カリにレンタルで留まり、2016年夏のプレシーズンマッチには出たものの、アトレティコで公式戦デビューはせずにビジャレアルへレンタル移籍、その後はリーベル・プレートにいたんですが、26才になった今季、フランクフルトに完全移籍してとうとう、花開いたよう。 これって何か、どっかで聞いた話に似ていて、そう、今季CL決勝に出場するリバプールのジオゴ・ジョタがまさに同じパターンで、彼も19才だった2016年にポルトガルのパソス・デ・フェレイラから、アトレティコに移籍。こちらもデビューする間もあらば、ポルト、ウォルバーハンプトンとレンタルに出され、後者に買い取られた後、2020年にはリバプールに大栄転することになったんですが、25才の今季はすでに21得点も挙げていますからね。 そう思うと、もうちょっとクラブに若い選手を育てる辛抱があれば、せっかく2試合の3/4の時間を耐え忍び、残り45分で逆転する予定だったCL準々決勝2ndレグの後半にゴールを決められる選手が皆無。おかげでマンチェスター・シティに1-0で敗退するなんてことはなかったかもしれないなんて…いや、勝ち抜けたって、次の準決勝はCLの天敵であるお隣さん。レアル・マドリーでしたから、やっぱり取らぬ狸の皮算用ですよね。 まあ、そんなことはともかく、いよいよ最終節を向かえる今週末のマドリッド勢の試合を見ていくことにすると、まずは金曜午後9時(日本時間翌午前4時)に2試合が開催。ええ、マドリーとラージョがホームのファンと今シーズンのお別れをするんですが、前者はサンティアゴ・ベルナベウにベティスを迎え、来週土曜に迫ったCL決勝のための最終リハーサルをすることに。唯一、欠けるのは筋肉痛のアラバだけなんですが、ベンゼマ、ビニシウス、クルトワに休養を与えた前節とは違い、アンチェロッティ監督は残り全員を招集しています。 そのアラバも来週月曜からはチーム練習に加わるそうで、CL決勝は大丈夫らしいんですが、金曜の注目はこの試合がマドリー最後となるマルセロ、イスコ、ベイルの3人。ただ、エスパニョール戦後のリーガ優勝祝いにも、CL準決勝マンチェスター・シティ戦2ndレグの奇跡のremontada(レモンターダ/逆転突破)祝いにも背筋痛を理由に参加しなかったベイルに関しては、「Bale se ha entrenado y todavía no está al cien por cien/ベイル・セ・ア・エントレナードー・イ・トダビア・ノー・エスタ・アル・シエン・ポル・シエン(ベイルは練習はしたが、まだ100%ではない)。ベンチに入れるか、見てみることになる」(アンチェロッティ監督)そうなので、試合当日にリスト落ちする2人に入る可能性も。 その一方で足首のプレート除去手術からのリハビリが終わり、カディス戦で復帰したアザールは、いえ、その試合では張り切り過ぎたか、アカポを蹴って、イエローカードをもらっただけでなく、相手は中足骨を骨折。全治6~8週間のケガを負わせてしまった上、自身も打撲したんですが、こちらは回復した模様。パリでのCL決勝はわかりませんが、このベティス戦では主力選手のプレー時間調整のため、6月のベルギー代表戦に呼ばれている当人にとっても有難い、プレー機会がもらえるんじゃないでしょうか。 え、それでリーガ王者とコパ・デル・レイ王者が激突した場合、Pasillo de campeones/パシージョ・デ・カンペオネス(チャンピオンの花道)はどうなるのかって?いやあ、Doble pasillo(ドブレ・パシージョ/ダブルの花道)なる意見も聞いたんですが、具体的にそれがどういうものなのかは不明。ちなみに水曜の夜はEL決勝を見ていたというベティスのペレグリーニ監督は、「EL16強対決でフランクフルトに敗退したのは痛かったが、nos ayudó un poco a ganar la Copa del Rey/ノス・アジュド・ウン・ポコ・ア・ガナール・ラ・コパ・デル・レイ(コパ優勝を少し助けてくれた)。それまで40日間、ハードスケジュールでメンタル的にもフィジカル的にも消耗していたからね」と告白。 まあ、4月7日にELが終わって、23日がコパ決勝のバレンシア戦だった訳ですから、そのまま週2試合ペースが続いていたら、17年ぶりのタイトル獲得はできなかったかもしれませんけどね。それでも前節で4位のお隣さん、セビージャを追い越すことが数字的にムリとなり、CL出場の夢が消滅。コパ優勝に加え、リーガ5位でのEL連続出場は決まったとはいえ、今季のELで優勝していれば、来季はCLに出られたかと思うと、間近で決勝の雰囲気を味わったベティスファンもちょっと残念だったかも。 ただ、そうは言っても優勝したフランクフルトはベティスを破った後、準々決勝でバルサを、準決勝では16強対決でセビージャを破っていたウェストハムも倒すという、そうそう真似のできない道のりを歩んでいますからね。とりあえず、このマドリー戦での目標は勝ち点差2の6位で、3年連続のEL出場を決めたレアル・ソシエダに抜かれないようにすることでしょうか。 そして金曜の同じ時刻、弟分のラージョもエスタディオ・バジェカスにレバンテを迎えるんですが、木曜にはイラオラ監督が契約を1年延長したという嬉しいニュースが。ええ、彼は去年、チームを2部から昇格させて、今季も余裕を持って、残留を達成、コパでも準決勝初進出を果たした英雄ですからね。ちょっと気になるのは、上位を争っていたシーズン前半戦と打って変わって、年明けからは白星が挙げられず。ようやくエスパニョール、バルサとバルセロナで2連勝した後、3節前にはヘタフェとの弟分ダービーで引分けて残留確定したんですが、ここビジャレアル、マジョルカにまた2連敗という、極端な調子の波があることでしょうか。 とはいえ、最後の試合はすでに降格が決定しているレバンテ相手ですしね。向こうも最下位で終わるのはイヤなようで、前節はアラベスに3-1で勝利、2部への道連れを作っただけでなく、順位も19位に上げたなんてこともありますが、ラージョがホームのファンを勝利で喜ばせて、有終の美を飾ってくれるのを期待しています。 そして土曜はバレンシアvsセルタ戦だけで、こちらもいよいよ直接昇格の2チームが決まるかもしれない2部のカードが集中して開催。マドリッド勢残り2チームは日曜試合となるんですが、前節にバルサとスコアレスドロー、ラージョに続いて、残留を決めたヘタフェは同じ勝ち点で14、15位と並ぶエルチェと何も懸かっていない対戦を午後5時30分からキックオフすることに。うーん、どうも彼ら、木曜には市内のFilandon(フィランドン/スペイン料理レストラン)でシーズン打ち上げディナーをしていたようで、もう完全にバケーション体制に入っている節も見受けられるんですが、まあ、今季は開幕から8節まで勝ち点1しか貯められず、最下位から、這い上がって勝ち取った残留ですからね。 ただ、その席でアンヘル・トーレス会長が「Se ha demostrado que teníamos buena plantilla y mal entrenador/セ・ア・デモストラードー・ケ・テニアモス・ブエナ・プランティージャ・イ・マル・エントレナドール(ウチにはいい選手たちがいて、監督が悪かった)」とミチェル前監督に当てつけていたのはちょっと、スマートではない感じがしましたが、後継となって、チームの立て直しに成功したキケ・サンチェス・フローレス監督とは近々、2年間の契約延長が発表される予定。木曜頃から、今年初の熱波に襲われ、5月なのにいきなり気温が35度とかになっているスペインなので、とにかくその時間の試合では熱中症に気をつけてくれればいいです。 その後、日曜午後8時からはアラベスvsカディス、グラナダvsエスパニョール、オサスナvsマジョルカが同時開催され、レバンテ、アラベスに続く、2部行き3チーム目が決まるんですが、アトレティコが登場するのは最終時間帯の午後10時(日本時間翌午前5時)。こちらは7位のコンフェレンスリーグ(UEFA第3の大会)の出場権を1ポイント差で争っているビジャレアルとアスレティックがそれぞれ、バルサ、セビージャと対戦するのが一番気になるところなんですが、そこまでは行かずとも、アトレティコにも勝ち点差1のセビージャに3位の座を奪われる可能性がありますからね。 セコい話とはいえ、1つ順位が違うと、ラ・リーガからのTV放映権分配金に700万ユーロ(約10億円)の差が出るため、まあ何ですか、移籍で大物選手を獲るには雀の涙とはいえ、選手の年棒にしたら、アトレティコなら2人分ぐらい?となると、木曜の練習後にはこの土曜、ワンダ・メトロポリターノでラグビーのスペイン代表と親善試合を行うオール・ブラックス・レジェンド(ニュージーランド代表OB)の選手たちと遊んでいた彼らとはいえ、クラブ経営陣としてはハッパをかけたいところかと。 それには何より、金曜に先に試合をするベティスがマドリーに勝つか、引分けるかして、レアル・ソシエダに5位に上がるチャンスがなくなってしまうのが一番で、ちなみにアトレティコがレアル・アレナで勝てば、3位の座は安泰。引分けて、セビージャがアスレティックに勝利or負けて、セビージャが引分け以上だと4位になってしまうんですが、こればっかりはねえ。 そうそう、一緒に練習を見ていたASの番記者によると、来週火曜に予定されていたポンフェラディーナ(2部)創設100周年の親善試合は相手がまだ、1部昇格プレーオフ枠を争っているため、中止に。月曜からもうバケーションに入るそうで、プレシーズン開始は7月7日。今年は恒例のロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)での地獄のキャンプもしっかり2週間やるとのことで、まあ、6月前半にネーションズリーグのある各国代表選手たちは遅れて参加でしょうけどね。ヒメネス、サビッチ、レマル、グリーズマン、ジョアンら、今季、ケガが多かった向きはここでしっかり体を鍛えて、新シーズンに挑んでもらえればと思います。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.05.20 21:00 Fri
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いっぺんにプレーされるとややこしい…/原ゆみこのマドリッド

「何も同じ時間にぶつけなくてもいいのに」そんな風に私が怒っていたのは月曜日、リーガ37節の結果を踏まえ、最終節の試合日時がunificacion(ウニフィカシオン/一斉開催)から、バラけた時間割を見た時のことでした。いやあ、今週末、マドリッドでプレーするのはベティス戦でCL決勝の総合リハーサルをする予定のレアル・マドリーとラージョの2チームだけ。残留確定済みの弟分の相手は36節にサンティアゴ・ベルナベウでgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らい、7年ぶりの降格が決まったレバンテとあって、たとえ、向こうがこの日曜にアラベスを3-1と破り、2部行きの道連れにしたとはいえ、何も懸かっていない試合であるのは事実なんですけどね。 それでもこれで今季は終わりとなれば、2022年になってまだ1勝もしていないラージョが有終の美を白星で飾って、エスタディオ・バジェカスのファンにお別れするところを私も見たかったんですが、どうして金曜午後9時の兄貴分の試合と同時キックオフになったのかは永遠の謎。だってえ、よくよく順位表を見てみると、5位のベティスと6位のレアル・ソシエダはどちらもEL出場権は確定したものの、両者の差は勝ち点2と順番が引っくり返る可能性が。 そのレアル・ソシエダは日曜午後10時にアトレティコをレアル・アレナに迎えるんですが、まだ3位4位が入れ替わるかもしれないため、セビージャvsアスレティック戦もこの時間帯に。同じく勝ち点差1で7位のコンフェレンスリーグ(UEFAの第3の大会)出場権をアスレティックと争っているビジャレアルのバルサ戦も同時開催となるんですが、いえ、ラ・リーガが来週土曜にCL決勝を控えるマドリーになるたけ多く、休養日を与えたいというのはわかるんですけどね。 そこまでしなくても相手のリバプールは先週土曜にFAカップ決勝でPK戦を制し、チェルシーを破って戴冠。優勝祝いをする間もなく、プレミアリーグ首位のマンチェスター・シティが週末の37節でウェストハムと引分けたため、勝ち点差4からの奇跡の逆転優勝を目指して、火曜にサウザンプトン戦、日曜にもウルヴァーハンプトン戦と全力の戦いが続くとなれば、いえ、ウェンブリーでの決勝で負傷交代したサラーとバン・ダイクは軽傷のようなんですけどね。どちらにしろ、すでにリーガ優勝祝賀行事も済み、3節前から調整試合に入っているマドリーの方が全然、有利では? まあ、そんなことはともかく、まずは先週末の様子からお伝えしていかないと。37節は1部の試合が1カードを除いて全て日曜午後7時30分からの開始だったため、時間の空いた土曜には久々にブタルケに足を向けた私だったんですが、同じ残り2試合となる40節の2部の方もすでに大詰め。いえ、前節、残留を確定したレガネスはもう、消化試合に入っているんですけどね。相手のエイバルが1部に直接昇格できる1、2位をアルメリア、バジャドリーとの3つ巴で争っているため、この日はバス4台を連ねて応援に駆けつけたビジターファンでスタジアム周辺が大賑わいすることに。 試合もやはり目標のあるチームとはやる気の差が出てしまったか、前半21分にはラーマニのシュートをカットしようとしたニヨムがオウンゴールを献上して先制されると、30分にもゴール前の混戦から、ストイチコフに2点目を奪われていたレガネスだったんですが、いやいや。降格から早や2年、2部での戦いが3年目も続くことがすでにわかっていても忠実に応援してくれるファンに応えてくれました。ええ、45分にアルナイスが反撃の口火を切るゴールを挙げて、1-2のスコアで後半に入ることに。 すると再開4分には、ロベル・イバニェスのシュートが敵DFに阻まれ、こぼれたボールをエリア外にいた柴崎岳選手が撃ったところ、脚の林をすり抜けて、同点ゴールになってくれたから、ビックリしたの何のって。でもねえ、やはり昇格まであと一歩というチームの方が執念があったんでしょうね。20分にはラーマニにミドルシュートからのgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決められて、最後は2-3で負けてしまいましたっけ。 ちなみに2部のマドリッド勢に関してはずっと最下位を爆走していたアルコルコンがしばらく前にRFEF1部(実質3部)降格1番乗りとなり、お隣さんのフエンラブラダも2節前に後を追うことに。シーズン序盤にはアシエル・ガリターノ監督の下、レガネスも下位を低迷していたものの、ナフティ監督に代わってから、調子が上向いたんですが、それでも昇格プレーオフ圏下限の6位まで勝ち点差14の13位ですからね。1つでもマドリッドに2部チームが残ってくれたのは嬉しいとはいえ、あと2年、契約が残っている柴崎選手も今季も昇格できなかったとなると、ちょっと考えてしまうかもしれませんね。 そして日曜はワンダ・メトロポリターノのスタンドでオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の多元中継を聴きながら、試合を見ていた私だったんですが、すでに前節でCL出場権をゲットしていたアトレティコにまだ4位以上が決定していないセビージャが挑んだせいでしょうか。開始早々、エン・ネシリやデ・パウルがピッチに倒れているって、もしやこれって、荒れた展開になる?とはいえ、早い時間に動きがあったのは他会場の方で前半5分、カランサ改め、ヌエボ・ミランディージャでカディス戦をプレーしていたお隣さんのロドリゴが敵DF4人をゴボウ抜き。ゴール前へのラストパスをマリアーノが押し込んで、マドリーが先制したのが、残り1つの降格枠から逃れたい3チームをザワつかせることに。 おかげで力づけられたか、12分にはラージョと戦っていたマジョルカがムリキのヘッドで1点先行することになったんですが、ワンダで待望のゴールが生まれたのは30分になってから。契約の終わるルイス・スアレスが最後のホームゲームということで先発していたものの、カラスコの蹴ったCKはウルグアイ代表の後輩、ヒメネスが頭でゴールに入れてくれます。これでアトレティコがリードしたとなれば、何せ、マドリッドのセントロ(中心部)から1時間程離れたコリセウム・アルフォンソ・ペレスでは、ヘタフェがバルサと0-0の均衡を保っていましたからね。もしや、弟分の援護射撃で2位の座を狙えるかもしれないと、私もちょっと浮足立ったんですが…。 いやあ、その後も37分にソリアーノがゴールを挙げ、マドリーと1-1に持ち込んだカディスなど、後半15分にはクルトワに代わって先発していたGKルニンにネグレドが倒されて、PKをゲット。ところが、そのネグレドがPKを弾かれてしまうという悲劇が起こる一方で、ほぼ同時刻、ラージョがシスのヘッドでマジョルカに追いつくという、残留争い組は激しいバトルを繰り広げていたんですけどね。やっぱりすでに目標を達している余裕なんでしょうか。 ワンダでのハーフタイムにはRFEF3部(実質5部)から同2部(4部)への昇格が決まったアトレティコB、そしてフェルナンド・トーレス監督率いる、リーグ優勝したフベニル(Bチームの下のカテゴリー)のチームがピッチに登場。スタンドからお祝いの拍手をもらっていたんですが、久々に見たエル・ニーニョ(子供、トーレスの愛称)がヤケに恰幅が良くなっているのに目が離せなくなってしまう辺り、私もちょっと気が抜けていたかも。 それとは真逆で同じ街の宿敵、5位のベティスの影に怯えていたセビージャは後半頭から、モンティエル、オカンポスをヘスス・ナバス、コロナに、11分にはラキティッチ、パプ・ゴメスをオリベル・トーレス、ラフェ・ミールにと4人も選手を入れ替えて、同点を狙ってきたんですが、ちょっと残念でしたかねえ。お別れゴールを挙げることなしに時間が来て、19分にはシメオネ監督がスアレスをクーニャに代えてしまったのは。 そう、2年目の今季はリーガ11得点だけとはいえ、リーガ優勝を導いた昨季21得点の活躍を「Gracias Lucho por hacernos campeones/グラシアス・ルーチョ・ポル・アセールノス・カンペオネス(私たちをチャンピオンにしてくれてありがとう、ルーチョ/スアレスの愛称)」と書かれた横断幕を背にベンチに下がることに。まったく、どこかの誰かさんのように35回もスペイン王者になっているアトレティコじゃありませんからね。その全てが無観客試合だったとなれば、当人もファンもコロナ禍を恨むしかありませんって。 そしていよいよ残り時間もあと5分となった時、ワンダのスコアが動いて、いやあ、その前にも同じ形で右からのクロスを2度ヘッド、1つはゴールバーを直撃という予兆はあったんですけどね。CKから始まったプレーだったんですが、それまで何度もセビージャ選手たちの乱暴なプレーに倒されていたカラスコがこの時は1人でコケて、クリアボールに追いつけず。それを拾ったオリベルがエリア内に上げたところ、3度目の正直でエン・ネシリのヘッドが決まってしまうんですから、困ったもんじゃないですか。 そういうところがまさに、「昨季優勝したせいで、波に乗ったまま行けると思って、nos relajamos en algún momento/ノス・レラハモス・エン・アルグン・モメントー(リラックスしてしまった時もあった)」とヒメネスも言っていた今季の彼らの至らなさ。ええ、シメオネ監督も「somos muchos los que debimos hacerlo mejor/ソモス・ムーチョス・ロス・ケ・デビモス・アセールロ・メホール(私たちの多くがもっと上手くやらないといけなかった)」と、お隣さんと首位争いすらできなかったこのシーズンを総括していたんですけどね。 大体がして、昨季は通算67得点25失点だったのが、うーん、まあ、今季はスアレスが半減、13本挙げたマルコス・ジョレンテが未だにノーゴールの割に63得点挙げているのはともかく、すでに42失点ではねえ。5分のロスタイムに奇跡が起きることもなく、というか、奇跡はアブドン・プラッツが46分にゴールを挙げ、土壇場でラージョを2-1と下したビジット・マジョルカで起きていたんですけどね。ワンダが1-1で終わった後も試合が続いていたカディスは、ラストプレーでカルバハルがファリをエリア内で倒してもペナルティと認められることなく、こちらもベンゼマ、ビニシウス、モドリッチ、クルトワといった主力がお留守番だったマドリーと1-1で引分け。 要は「90分には降格圏外だったのに、マジョルカがゴールを挙げて、92分に落ちた」(セルヒオ監督)という、カディスにとって、気の毒な結末になったんですよ。ちなみにこの残留争いはベティスに2-0で負けたものの、16位で勝ち点1多いグラナダ、同勝ち点で並ぶ17位マジョルカと18位カディスの三者が最終節でそれぞれエスパニョール、オサスナ、アラベスと戦って、1チームだけがババを引くことになったんですが、え?残留が決まってなかったヘタフェは大丈夫だったのかって? はい、コリセウムではどちらも勝ち点1だけ、目標達成に必要だった両者が自重し合う展開となり、結局、スコアレスドローだったんですが、「ウチは自分たち次第で残留を決められる権利を勝ち取った。Cuando tienes eso haces el partido que te crea conveniente/クアンドー・ティエネス・エソ・アセス・エル・パルティードー・エ・テ・クレア・コンビニエンテ(そういう時は都合がいいと思う試合をするものだ)」(キケ・サンチェス・フローレス監督)というのはまさに正論。実際、ミチェル監督の下、開幕8試合で勝ち点1しかなく、最下位生活が長かったにも関わらず、「Hemos logrado un objetivo que en la jornada diez era impensable/エモス・ログラードー・ウン・オブヘティボ・ケ・エン・ラ・ホルナーダ・ディエス・エラ・インペンサブレ(10節の頃には考えられなかった目標をボクらは達成した)」(ダビド・ソリア)だけで賞賛に値するかと。 逆にいくら、ケガや出場停止で使える選手が少なかったとはいえ、いつものような攻撃には出ず。「Cubrimos unos mínimos exigibles en el Barça, que es jugar la Supercopa/クブリモス・ウノス・ミニモス・エクシヒブレス・エン・エル・バルサ、ケ・エス・フガール・ラ・スーペルコパ(バルサに要求される最低限、スペイン・スーパーカップ出場はクリアできた)」というチャビ監督のチームに2位確定されてしまったのはちょっと、シャクに触ったりもしますが、追いつかれて自ら、チャンスをフイにしてしまったアトレティコに文句を言える筋合いはありませんよね。 そしてコリセウムのピッチでは選手たちが場内一周して残留を祝い、アンヘル・トーレス会長、キケ監督、どちらからも来季も指揮官続投の確認が取れて、ヘタフェファンがお祭り騒ぎをしている間、ワンダでもスアレスとエレーラ(MSLのヒューストン・ダイナモに移籍)のお別れセレモニーが進行。選手やスタッフたちがpasillo(パシージョ/花道)を作る中、奥さんと子供連れの2人が順番に通り、キャプテンのコケ、オブラク、ヒメネス、サビッチらに額に入れたユニフォームをもらっていましたが、どちらもアトレティコでの出場試合数が100に足りない(エレーラ79試合、スアレス82試合)ため、スタジアム前に記念のネームプレートを置いてもらうことはできず。 まあ、2014年のリーガ優勝に貢献したビジャもそうでしたから、仕方ないんですが、少なくとも昨季とは違い、大勢のファンに囲まれてお別れが言えたのは良かったかと。あとは最終節のレアル・ソシエダ戦をスアレスがアトレティコの3位を確定するゴールで締めくくれたら、完璧かと思いますが、さて。何にしろ、試合後に3年連続の4位以上を確定させたセビージャのロペテギ監督が胴上げされていたように、タイトルには届かなくても、来季もまたCLに出られるというのは大事なことですよね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.05.17 21:30 Tue
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リーガの終わりが見えてきた…/原ゆみこのマドリッド

「あと2試合、気が抜けないといいんだけど」そんな風に私が心配していたのは金曜日、今季最後のミッドウィーク開催節が終わり、リーガも残すところ、キックオフ時間のunificacion(ウニフィカシオン/統一)がかかった2度の日曜のみとなった時のことでした。いやあ、といってもこの時期だと、もう2部降格もヨーロッパの大会出場権にも縁がないチーム同士の対戦もあったりして、37節でもエスパニョールvsバレンシア戦、セルタvsエルチェ戦の2カードだけは土曜にプレーするんですけどね。 翻って、マドリッド勢4チームは全て日曜午後7時30分(日本時間翌午前2時30分)にスタートするため、ワンダ・メトロポリターノに行ってアトレティコvsセビージャ戦を見ながら、他試合の進行状況はオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の多元中継に頼る選択をしたんですが、え、重要度から言ったら、残留確定にまだ勝ち点1が必要な弟分ヘタフェがコリセウム・アルフォンソ・ペレスにバルサを迎える一戦の方にならないかって?まあ、そうなんですが、水曜に来季のCL出場権獲得が決まった現在3位のアトレティコにはまだ、バルサを抜いて2位になれる可能性も、セビージャに逆転されて4位で終わる可能性もあるんですよ。 実のところ、スペイン4チームは皆、グループリーグから始まるため、CLに関して、順位の影響はないものの、違いが出るのはラ・リーガのTV放映権料分配金。ええ、2位と3位、3位と4位ではそれぞれ、700万ユーロ(約9億5000万円)の差があるため、クラブとしてはできるだけ高い順位で終わってもらいたいはずですが、いやあ。UEFAの報奨金など、桁が1つ違うため、給料大幅カットなどで脅されて、何とか、CL出場権ゲットまで漕ぎつけた選手たちですが、果たしてスペイン・スーパーカップに出場できる2位の座を狙うつもりがあるのかどうか。もちろん、それにはバルサがヘタフェ、ビジャレアルと連敗して、アトレティコがセビージャ、レアル・ソシエダに連勝する必要があるんですけどね。 スペイン・スーパーカップもサッカー協会とサウジアラビアのスポンサーとの変則的契約でバルサの800万ユーロ(約11億円)と比べ、彼らは100万ユーロ(約1億4000万円)しか、参加報酬がもらえなかったりするんですが、何にしろ、試合をするからにはモチベーションは必要。ちょっとお小遣いが増えるぐらいの動機でも構いませんから、コロナ禍による無観客試合のせいで、昨季、優勝へと邁進したチームを1度も見られなかっただけなく、今季は肩を落として帰ることの多かったファンに最終戦でいいところを見せられるといいのですが…。 まあ、その辺はともかく、36節のマドリッド勢の戦いぶりを振り返っていくことにすると。先陣を切ったのはヘタフェで水曜にエル・サダルを訪ねたんですが、確定はしていないものの、ここしばらく、ずっとほぼ残留見込みの位置にいるせいですかね。前半9分にはルーベン・ガルシアのクロスから、今季限りでオサスナを退団する35才のキャプテン、オイエルがヘッドで先制点。ファンへのお別れゴールをプレゼントしていたんですが、20分の同点弾もマクシモビッチのラストパスをトロがオウンゴールにしたものだったため、結局、ヘタフェの選手は誰も得点せず、一足早く残留を決めていた相手と1-1の引分けで終わることに。 うーん、今季は開幕から8試合で勝ち点1しか貯められず、ミチェル監督は解任。引き継いで、チームを立て直してくれたキケ・サンチェス・フローレス監督も3試合目のドローには、「Los últimos partidos se nos están haciendo largos/ロス・ウルティモス・パルティードス・セ・ノス・エスタン・アシエンドー・ラルゴス(最近の数試合はウチにとって、長いものになっている)。選手たちは焦燥感の中、27、28試合をこなして疲れているし、回復するのも難しい」と告白していたんですけどね。 それでもまた1つ、試合数が減ったおかげで、次のバルサ戦ではたとえ、負けても同日同時刻、もう1つの弟分、ラージョをホームに迎える18位のマジョルカが勝てなければ、勝ち点差4以上となって、残留が決まるのはいいニュースだったかと。これは水曜の次の時間帯でプレーしたエルチェと同じ状況なんですが、万が一、ラージョの援護射撃を受けられなくても、間の17位にはカディスもいますしね。ヘタフェの最終戦の相手もそのエルチェとなれば、来季も1部マドリッド4チーム体制は揺るがない? 一方、水曜の次の時間帯にマルティネス・バレロでエルチェと対戦した兄貴分はというと、その日は前節のマドリーダービーで先発したFWコンビをコレアとクーニャから、グリーズマンとクーニャに代えてスタート。開始6分にはベルサイコがケガをして急遽、ロディが入るというアクシデントがあったんですが、実はこれが大当たりとなったんです。ええ、11分にロディのパスから、クーニャのシュートが枠を外れてしまった時には相変わらず、ゴールが遠い症候群が続いているかに見えたんですけどね。エリア外から、コケが撃った2本のシュートもGKエドガルに難なく止められていたんですが、28分、ようやくカラスコ以外から、PKでもなく、普通に先制ゴールが生まれてくれたから、嬉しいじゃないですか。 ダービーから心機一転、坊主刈りにしていたグリーズマンが反対サイドのロディに大きなクロスを送ったところ、彼がゴール前のクーニャにラストパス。今度はタイミングもバッチリ合って、ネットに収まってくれたんですが、天は自ら助くる者を助くとはよく言ったものです。そう、0-1とリードして前半が終わると、ハーフタイム中にはマジョルカがセビージャと0-0で引き分けたという報が。おかげで「ピッチに戻る寸前、sabíamos que estábamos en Primera división la próxima temporada/サビアモス・ケ・エスタバモス・エン・プリメーラ・ディビシオン・ラ・プロキシマ・テンポラーダ(ウチは来季も1部にいると知った)」(バディア)というエルチェはスタンド共々、残留祝いを始めたとなれば、もうアトレティコが反撃を恐れることはない? まあ、それでも後半18分にグリーズマンとデ・パウルのワンツーから、後者が2点目を挙げてくれた時にはホッとしたんですけどね。終了間際には途中出場のコレアのシュートがバーを叩いたり、ルイス・スアレスのゴールが怪しげなオフサイドで認められなかったりということもあったんですが、もう、いいんです。0-2の勝利でアトレティコは10年連続となるCL出場をゲットしたんですから。 シメオネ監督も「Cuando llegamos nos pidieron cuatro o cinco Champions seguidas…van 10 y estarán contentos/クアンドー・ジェガモス・ノス・ピディエロン・クアトロ・オ・シンコ・チャンピオンズ・セギーダス…バン・ディエス・イ・エスタラン・コンテントス(赴任した時には4、5回連続のCL出場を頼まれた…10回ともなれば、きっと満足しているに違いない)」と言っていた通り、彼が来る前はUEFAカップ(ELの前身)出場順位ですら、滅多に届かなかったアトレティコですからね。ファンがヨーロッパの街を毎年、応援旅行で闊歩できるようになったのも彼のおかげですが、できればまた近い将来、お隣さんのようにCL決勝進出で盛り上がることができたら、もっと喜んでもらえるかと。 そして翌木曜にはまず、エスタディオ・バジェカスに足を運んだ私でしたが、いやあ、ラージョも前節のヘタフェ戦での引分けで残留が確定してしまったせいで、気が緩んでいたんでしょうかね。CL準決勝リバプール戦2ndレグで一時、同点に追いつきながらも後半に力尽き、敗退となったショックも何のその、7位でのコンフェレンスリーグ(UEFA第3の大会)出場、更にはレアル・ソシエダを追い越して、6位のEL出場権を獲得しようと野心を燃やすビジャレアルに完璧にやられてしまったから、ビックリしたの何のって。 ええ、前半3分にCKからペドラサに奪われた1点こそ、20分にセルジ・グアルディオラが今季自身7点目を挙げて追いついたものの、27分には再びセットプレーでフォイスに勝ち越し点を挙げらている始末。37分にはパコ・アルカセル、46分にもFKからパウ・トーレスに決められて、前半だけで1-4になっちゃったんですよお。うーん、その時点でサンティアゴ・ベルナベウに向かうため、スタジアムを出てしまったため、後半、バレンティンのゴールがファールで認められなかったり、43分にはペドロサがダメ押しの5点目、大敗でもバジェカスのファンは残留を達成したチームを盛大に称えていたなんてことは後から、知ることになったんですね(最終結果1-5)。 これも「Necesitamos estar muy presionados/ネセシタモス・エスタル・ムイ・プレシオナードス(ウチには大きなプレッシャーが必要なんだ)。全てのプレーに100%で立ち向かわないと、ゴールを決められてしまうのをわからないといけない」とイラオラ監督が言っていた通りですが、こうなるとやっぱり、日曜のマジョルカ戦でヘタフェの残留決定のお手伝いができるかは不安。それでも最終節にはすでに降格の決定したレバンテを迎えるため、今年になって、1度もホームでチームが勝利するのを見ていないファンを喜ばせるぐらいのことは、できるんじゃないでしょうか。 え、でもレバンテはそれこそ、優勝を2節前に決めて、もうリーガではやることのないマドリーと対戦したんじゃないのかって?いやあ、そうなんですが、多分、前節のダービーでCL準決勝マンチェスター・シティ戦2ndレグの奇跡のremontada(レモンターダ/逆転突破)酔いも覚めて、いよいよ28日の決勝の準備を本格的に始めたところに当たったのが悪かったんでしょう。ローテーションもワンダでより少なくて、それこそベンゼマ、ビニシウス、ロドリゴ、モドリッチがスタメンに名前を連ねているとなれば、普通のチームはもちろん、最下位で後のないレバンテには尚更、荷が重すぎたかと。 そう、アトレティコとは違い、Pasillo de campeones/パシージョ・デ・カンペオネス(チャンピオンの花道)を作ってリーガ優勝チームを迎えた彼らでしたが、前半12分には早くも容赦のないgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が始まったんです。まずはモドリッチが自陣から出したボールを追ったメンディがGKカルデナスを破って口火を切ると、18分にはビニシウスのクロスから、ベンゼマがヘッドで2点目。今季44本目となるゴールでクラブ歴代2位のラウール(現RMカスティージャ監督)と並ぶ、323得点を記録しているのですから、見事じゃないですか。 更に33分にはその少し前、オフサイドでゴールが認められかったロドリゴがモドリッチのアシストで3点目、これでリシ監督の我慢が尽きたか、その5分後にはカセレス、ラドジャの2人をカンパーニャとバーディに代える荒療治をしていましたが、もう焼石に水です。ええ、44分にはビニシウスもゴールを決め、前半だけで4-0となれば、もうどこにも希望はありませんって。 そんなマドリーのゴール祭りは後半も続き、というか、ビニシウス祭りだったんですけどね。23分、敵GKとDFをかわしたベンゼマからゴール前でパスをもらって押し込んだ後、30分には主力3人が代わる中、「監督にファンから拍手してもらうため、交代したいかと訊かれたから、le dije de quedarme para poder marcar mi primer hat-trick/レ・ディヘ・デ・ケダールメ・パラ・ポデール・マルカル・ミ・プリメール・ハットトリック(初めてのハットトリックを達成できるよう、残りたいと言ったんだ)」と当人も後で打ち明けていたんですが、有言実行とはまさにこのこと。ええ、終盤の38分には、すでにメンタル的にもボロボロだったレバンテから、自身3点目となるゴールを奪ってしまいましたっけ(最終結果6-0)。 いやまあ、キャプテンのモラレスが涙を浮かべて、「hemos estado 27 jornadas sin ganar y hemos reaccionado tarde/エモス・エスタードー・ベインテシエテ・ホルナーダス・シン・ガナール・イ・エメオス・レアクシオナードー・タルデ(27節もの間、勝てなかったのも、リアクションが遅かったのは自分たちだ)」と言っていたように、アトレティコから勝ち点4も奪いながら、レバンテが降格したのは別にこの試合のせいだけではありませんしね。 前回、2部落ちした2016年は翌シーズン、別格の強さを見せて、1位で1部に戻って来ましたし、36才と若いリシ監督も「Me veo totalmente preparado para devolver al Levante a Primera/メ・ベオ・トータルメンテ・プレパラードー・パラ・デボルベル・アル・レバンテ・ア・プリメーラ(レバンテを1部に戻すのに、自分は完璧に準備ができていると思う)」と続投への意欲を見せていたため、来季の奮闘を見守るばかりなんですが、マドリーの方はリバプールとのCL決勝があと2週間ちょっとに迫って、かなり手応えを感じているよう。 試合後記者会見でのアンチェロッティ監督のコメントも、「ロドリゴとバルベルデは決勝でプレーする」とか、「リバプール戦でのシステムはserá un 4-3-3 que a veces puede pasar a un 4-4-2/セラ・ウン・クアトロ・トレス・トレス・ケ・ア・ベセス・プエデ・パサール・ア・ウン・クアトロ・クアトロ・ドス(4-4-2にも変わる4-3-3になるだろう)」とか、いよいよ、ソシオ(協賛会員)限定のチケット1万4547枚の購入権抽選も終わった大一番に関しての方が多かったですしね。 それまでの足慣らしとなる日曜のカディス戦はレバンテ戦に出なかったクロース、カルバハル、ミリトン、アセンシオらが交代でスタメンを務め、ようやく足首のプレート除去手術から回復したアザールも戻って来る予定なんですが、最終節のベティス戦は総合リハーサルとなる模様。ここまで入念に準備ができるとなると、この土曜にはFAカップ決勝チェルシー戦を控え、プレミアリーグ残り2試合も勝ち点3差で首位のマンチェスター・シティを追いかけているだけにまったく手を抜けないリバプールより、全然、余裕でCL決勝を迎えられるような気がしますが…いや、勝負はやってみないとわかないから、面白いんです。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.05.14 20:00 Sat
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目標達成済みのチームが増えてきた…/原ゆみこのマドリッド

「まるで話題を提供しに来たみたい」そんな風に私が呆れていたのは火曜日、前日の午後、マドリッド市内のステーキレストラン、Leña(レニャ)でPSGの同僚、レアル・マドリー出身のアクラフと一緒にランチに来たエムバペが目撃され、スペインマスコミが1日中、パパラッチのように張り付いていたのを知った時のことでした。いやあ、確かに彼のチームはしばらく前にリーグ1優勝を決定。今週末と来週末にあと2つ試合あるとはいえ、すでにバケーション気分なのか、ポチェッティーノ監督が3日間、練習休みを与えたというのもわかるんですけどね。 昼食後はポスエロ・デ・アラルコン(マドリッド近郊)にあるアクラフの自宅を訪ね、夜は再び、マドリッドのセントロ(中心地区)にあるRestaurante Amazonico(レスタウランテ・アマソニコ/エスニック料理店)でやはり、元マドリーのセルヒオ・ラモスやケイロル・ナバスらもご一緒して、ディナーをする予定だったものの、偶然にも同日、ワンダ・メトロポリターノで開かれたECA(欧州クラブ協会)の会合に合わせてセッティングされた夕食会とかぶることが発覚。結局、エムバペのグループは場所を変え、プエルタ・デ・アルカラ(アルカラ門)近くのレストランに来たPSGのアル・ヘライフィ会長が待ち構えていた記者たちに取り囲まれるというオチになっていましたが、まったく。 ええ、マドリー移籍があるにしろないにしろ、現在の契約が満了する6月末までは、クラブからも当人からも何の声明もないと言われていますからね。リーガも優勝チームが決まって早や1週間、待望のCL決勝は28日とまだ日にちがあるため、マスコミもネタに困っているんだと思いますが、実際、先週後半など、セバージョス、ビニシウス、クルトワら、マドリーの選手たちも何人か、カハ・マヒカのパルコ(ボックス席)でテニスのマドリッド・オープンを優雅に観戦していたぐらい。そんな光景を見ると、いよいよシーズンも終わりに近づいているのが感じられるんですが、とりあえず、今は先週末のリーガで他のマドリッド勢たちが目標を達成できたのか、お伝えしていくことにすると。 丁度、この35節はマドリーダービー2連発だったんですが、まず午後2時という早い時間に前座を務めたのは弟分たち。コリセウム・アルフォンソ・ペレスにヘタフェがラージョを迎えた一戦ではどちらもシュートを撃っていったものの、なかなか決まらず、いやあ、この日はイラオラ監督がセルジ・グアルディオラやファルカオをベンチに置いて、エヌテカのfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/シャドーCF)でスタートしたせいかもしれないんですけどね。前半にはイシがGKダビド・ソリアとぶつかり、肩を痛めてベベと交代するというアクシデントもあったんですが、0-0のまま、ハーフタイムを迎えます。 後半もベベのFKがバーを叩いたりしたものの、27分に入ったファルカオもこの日はゴールを挙げることはできず。ホームチームの方もアレニャのゴールがハンドで認められずと、そのまま試合はスコアレスドローで痛み分けに。まあ、これで2試合連続0-0となってしまったヘタフェですが、降格圏18位のマジョルカとの差は勝ち点5ありますからね。キケ・サンチェス・フローレス監督も「No nos vamos contentos pero sumamos un punto más y queda una jornada menos/ノー・ノス・バモス・コンテントス・ペロ・スマモス・ウン・プント・マス・イ・ケダ・ウナ・ホルナーダ・メノス(満足ではないが、勝ち点1を積み増したし、残りが1節減った)」と言っていたように、このまま差をキープしていれば、遅くとも週末のバルサ戦で、早ければ水曜のオサスナ戦でもう1つの弟分と肩を並べることができるかと。 そう、ヘタフェ戦で最後に必要だった勝ち点1を稼いだラージョはこれで1部残留が確定したんです!いやあ、来季はヨーロッパの大会を闊歩するかと思われたシーズン前半の快進撃の後、今年になって、リーガで13試合白星なしが続いていた時は私も心配していたんですけどね。「前半戦の貯金があったおかげで、nunca hemos estado cerca del descenso/ヌンカ・エモス・エスタードー・セルカ・デル・デセンソ(ウチは1度も降格圏に近づいたことはなかった)」というイラオラ監督の言葉通り、3試合を残して、目標を達成したとなれば、立派なもんじゃないですか。 ダービーだったおかげで、コリセウムに駆けつけることができたラージョファンたちと一緒にお祝いもできましたしね。今のところ、彼らは12位なんですが、この木曜のビジャレアル戦、週末のマジョルカ戦、最後のレバンテ戦で頑張れば、一桁順位の9位に上がることも可能かと。ええ、7位のコンフェレンスリーグ(UEFA第3の大会)出場権を争っているビジャレアルはともかく、残り2チームは対戦までに降格が決定しているかもしれませんしね。1つだけ、気になるのはイラオラ監督の契約延長交渉がまだ始まっていないことですが、昨季の1部昇格からの功績を考えると、きっとファンも彼が残ってくれることを強く願っているはずです。 そして夜はワンダへ兄貴分ダービーを見に行った私だったんですが、予定通り、前節で優勝を果たしたマドリーを入場時にアトレティコがPasillo de campeones/パシージョ・デ・カンペオネス(チャンピオンの花道)を作ってのお出迎えはなし。代わりにディズニーチャンネルのスター・ウォーズ最新作プロモなのか、いきなりダース・ベイダーとストームトルーパーがピッチに出て来たのにはビックリしましたけどね。ビジターファン席でこれ見よがしに「Campeones, campepnes(カンペオネス/チャンピオンズ)」と歌うマドリーサポーターにpito(ピト/ブーング)を飛ばすだけでなく、つられて「Que la Fuerza te acompane/ケ・ラ・フエルサ・テ・アコンパーニェ(フォースが共にあらんことを)」と祈ってしまったアトレティコファンはかなりいたのでは? だってえ、相手はすでに消化試合状態に入り、大規模ローテーションを実施。更にアップ中に先発予定だったマリアーノが痛みを訴え、急遽、CFがヨビッチに代わるというアクシデントに見舞われたとはいえ、シメオネ監督のチームはここ6試合、2点しか取っていないんですよ。5位のベティスに勝ち点3差と迫られ、CL出場権絶対維持に後がなくなったこの日の彼らは序盤から、高いプレスをかけて、敵を押し込んでいたんですが、お約束通り、前半8分のコレアのシュートは枠を外れてしまうことに。 ようやく滅多にない積極攻勢の成果があったのは36分になってからで、いえ、最初にクーニャがバジェホにエリア内で足を踏まれて倒れた時は審判が無慈悲にもスルー。プレー続行でボールが反対サイドに渡り、ロドリゴのシュートがGKオブラクにセーブされた後、選手たちが主審を取り囲んで猛抗議したところ…VAR(ビデオ審判)から、天の声が届いたんです!そこで主審がモニターを確認して、遅まきながら、PKを宣告。これをアトレティコ直近最後の2ゴールを決めているカラスコが沈め、ようやく先制点をゲットしたんですが、え?そんなの、人知を超えるremontada(レモンターダ/逆転劇)体質の相手を前にしたら、あってなきがごときだろうって? いやあ、まだ先週水曜のCLマンチェスター・シティ戦2ndレグのインパクトが克明に残っていたのは誰もが同じだったか、後半もスタンドの熱心な応援は続き、アトレティコも珍しく、お馴染みの「リードしたら、un paso atras/ウン・パソ・アトラス(一歩後退)」態勢には入らなかったんですけどね。もう、ああまでシュートが入らないとこっちだって、泣きたくなりますよ。ええ、カラスコはポストに当ててしまうし、コレアと交代で入ったグリーズマンの2発は枠外へ、クーニャなんて、クルトワに代わって初先発したGKルニンとの1対1を止められているとなれば、もうどうしていいやら。 そうこうするうちにマドリーもビニシウス、バルベルデ、モドリッチ、メンディと主力を投入してくるし、オブラクがベルベルデの2発やアセンシオのFKをparadon(パラドン/スーパーセーブ)で防いでくれなければ、それこそどうなっていたか、わかりませんが、大丈夫。どうやら、奇跡のレモンターダには発動条件があるようで、うーん、多分、2点差にならないといけないとか、サンティアゴ・ベルナベウに限るとか、CL決勝トーナメント敗退寸前まで追い詰められないとダメとかだと思うんですけどね。 今季のリーガピチチ(得点王)、ほぼ間違いなしのベンゼマが、「シティ戦の疲れから回復していなかったから、出すつもりはなかった」(アンチェロッティ監督)という理由でベンチに座ったままだったおかげもあって、恐怖のロスタイム5分も「aguantamos con la portería a cero por suerte/アグアンタモス・コン・ラ・ポルテリア・ア・セロ・ポル・スエルテ(ラッキーにも無失点で耐えきった)」(オブラク)アトレティコが1-0で逃げ切れたから、助かったの何のって。 いやまあ、昨季優勝した彼らが、「El objetivo es claro, estos partidos nos sirven para tener ritmo/エル・オブヘティーボ・エス・クラーロ、エストス・パルティードス・ノス・シルベン・パラ・テネール・リトモ(目的ははっきりしている。これらの試合はリズムを保つ役に立つ)」(アンチェロッティ監督)という、CL決勝に備えた足慣らしをしているチーム相手に全精力を尽くして、ようやく勝てるというのもちょっと、悔しくはあるんですけどね。とはいえ、ホームでダービーに勝利するのはアンチェロッティ監督第1期だった2015年のビセンテ・カルデロン以来、オープンしてから3分1敗だったワンダでは初勝利、そしてマドリーに勝つこと自体、2018年のUEFAスーパーカップ以来となれば、ここは素直に喜んでおくべきかと。 おかげで5位ベティスとの差も勝ち点6に広がったんですが、これはミッドウィーク開催リーガ、火曜のバレンシア戦でペレグリーニ監督のチームが0-3と勝利。再び、3差に戻してきたため、水曜午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)からのアウェイ、エルチェ戦でも「CL出場が確定するまで、no quitamos peso de encima/ノー・キタモス・ペソ・デ・エンシーマ(重荷は取り除けない)」(オブラク)のは変わらないんですけどね。相手はほぼ残留が確定しているとはいえ、何せ、今季は下位チームとの対戦でダ゛メダメだったアトレティコ。ダービー後半にケガで交代したレイニウドは肉離れこそ免れたものの、出られませんし、マルコス・ジョレンテも累積警告で出場停止となるのはともかく、ゴール力を回復してくれないことには、エルチェに勝って、4位以上を確定するのは難しいかもしれません。 一方、「木曜は今日、あまりプレーしなかった選手が出て、日曜もそんな感じだ。Contra el Betis más o menos el equipo que va a jugar la final/コントラ・エル・ベティス・マス・オ・メノス・エル・エキポ・ケ・バ・ア・フガール・ラ・フィナル(ベティス戦ではほぼ決勝でプレーするチーム)」とアンチェロッティ監督が言っていたマドリーは木曜午後9時30分から、ホームでレバンテ戦。こちらの相手は19位で、ほんの少しでも残留の可能性がある限り、死に物狂いで立ち向かってくるでしょうからね。4年ぶりのCL決勝が控えているだけに、誰かがケガして、アラバ、セバージョス、マリアーノ、ベイルらのリハビリグループに加わらないことが、一番の課題になるんじゃないでしょうか。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2022.05.11 20:00 Wed
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