気がついたら次はクラシコだった…/原ゆみこのマドリッド
2022.01.12 21:00 Wed
「スペインから応援に行けないんじゃねえ」そんな風に私が嘆いていたのは火曜日、オミクロン株によるコロナ感染拡大を受けて、水曜からサウジアラビアで開催されるスペイン・スーパーカップはほとんどの観客が地元民の大会になると知った時のことでした。いやあ、ここ数日はテニスのオーストラリアオープンにワクチン接種をしていないジョコビッチが出られるのか、出られないのか、世間の注目を集めていたため、とってつけたように参加4チームの中にワクチン非接種の選手がいたら、サウジアラビアに入国できないなんて話もあったんですけどね。ヨーロッパの他のリーグに比べると、ラ・リーガは接種率が高く、それで引っかかった選手はいなかったようですが、リヤドのキング・ファハドスタジアムではお馴染みのファンのカンティコ(応援歌)が聞こえないというのは結構、淋しいかも。
実際、まだ先週末のリーガ戦の余韻も覚めやらぬうち、月曜にはスペイン・スーパーカップを最初に戦うレアル・マドリーとバルサが、火曜にはアトレティコとアスレティックがそれぞれ、リヤド入りしたんですが、水木の準決勝も日曜の決勝もバル(スペインの喫茶店兼バー)のTVで見られるのはいいとして、その間、リーガ戦はないですからね。土日にはコパ・デル・レイ16強対決の5試合があるものの、すでに敗退しているチームなど、クリスマス休暇並に1週間以上、ヒマになるというのもどうかと。
ちなみに昨季、無観客のカルトゥーハで開催されたスペイン・スーパーカップで王者となったのは準決勝でマドリーを破り、レアル・ソシエダを破って決勝に進出したバルサを2-1で倒したアスレティック。ただ、その後に行われた2019-21シーズンのコパ決勝ではレアル・ソシエダに負け、続いて2021-22シーズンのコパ決勝でもバルサに負けるという、悔しい思いをしているだけに、マルセリーノ監督もリベンジに燃えているかと思いますが、今回の出場チーム中、彼らはリーガ9位と、一番順位が低いのはちょっと、辛いところかもしれませんね。
まあ、スペイン・スーパーカップについてはまた、後で話すとして、今は先にリーガ前節のマドリッド勢の試合を見ていくことにすると。1チームだけ土曜にプレーしたのが兄貴分のマドリーで、サンティアゴ・ベルナベウでの年明け初試合ではバレンシアと対戦。コロナからビニシウスも回復し、ほぼベストメンバーで挑めた彼らとは対照的に欠場者が多かったボルダラス監督のチームですが、前半は拮抗していたんですよ。そう43分、アルデレテがカセミロをエリア内で倒したとして、マドリーがPKをゲットするまでは。それもスロー再生のリプレーではどうにも、カセミロの方がぶつかっていったみたいで、審判が頑としてVAR(ビデオ審判)のモニターを見に行かないものだから、バレンシアのスタッフが自前のパソコンで映像を提示しようとまでしていたんですけどね。
まったく相手にされず、ベンゼマのPKが決まって、1-0でハーフタイムに入ることになったんですが、クラブ公式ツィッターでもすぐさま、「Lo de los robos en Madrid empieza a ser algo repetitivo/ロ・デ・ロス・ロボス・エン・マドリッド・エンピエサ・ア・セル・アルゴ・レペティティーボ(マドリッドで盗まれるのはもうリピートされる何かになっている)」と呟いていたように、バレンシア側がこの件にこだわりすぎたせいでしょうか。後半はマドリーのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が始まり、7分にはベンゼマとのワンツーでエリア内に入ったビニシウスがディアカビとアルデレテをかわしてシュート。2点目を挙げると、15分にはアセンシオの一撃はGKシレッセンに弾かれたものの、丁度いい位置に詰めていたビニシウスがヘッドで3点目もゲットすることに。
これで2位のセビージャに距離を縮められる懸念も払拭、ベンゼマ(17得点)とビニシウス(12得点)のリーガピチチ(得点王)と次点のコンビを引っ提げて、スペイン・スーパーカップのクラシコ(伝統の一戦、バルサ戦のこと)に臨めることになったマドリーだったんですが、サウジアラビア遠征には更にコロナ明けのヨビッチ、そして負傷の治ったカルバハルでパワーアップして出発。いえ、アンチェロッティ監督によると、「カルバハルの先発は微妙、右サイドもアセンシオにするか、ロドリゴにするか。Son las únicas dudas que tengo/ソン・ラス・ウニカス・ドゥーダス・ケ・テンゴ(決まっていないのはそれだけだ)」とスタメンにはまだ迷いがあるようですけどね。
確かに「Nadie sabe lo que puede pasar, independientemente de la diferencia de puntos/ナディエ・サベ・ロ・ケ・プエデ・パサール、インデペンディエンテメンテ・デ・ラ・ディフェレンシア・デ・プントス(勝ち点差とは関係なく、何が起きるかは誰もわからない)」(チャビ監督)のがクラシコとはいえ、相手は土曜のグラナダ戦でも終盤に追いつかれ、1-1で引分けるという無念を味わったばかり。アンス・ファティが満を持して復帰、金曜に手を手術したばかりのアラウホも強行参加、入団プレゼン直後にコロナ陽性となり、ようやく陰性となって、ペドリと一緒に1日遅れて現地に移動したフェラン・トーレス(マンチェスター・シティから移籍)もコウチーニョのアストン・ビラへのレンタル移籍、ウムティッティの減給契約延長により、ラ・リーガのサラリーキャップをかわして選手登録はできたとはいえ、その期待の彼も負傷明けだったりしますからね。
そうなると、コパのアルコジャノ(RFEF1部/実質3部)戦で負傷したマリアーノと今度は背筋痛でやはり、ウェールズ代表のW杯プレーオフがある3月が近づくまで、クラブの実戦に出る気はないんじゃないかという疑いのあるベイルだけが欠場となるマドリーの方が、水曜午後8時(日本時間翌午前4時)からの準決勝には有利な気がしますが、さて。そういえば、昨年10月のリーガ、シーズン前半クラシコもアラバとルーカス・バスケスのゴールで1-2とマドリーが勝利していましたが、その時のバルサの1点が心臓のトラブルで昨年中に現役引退したアグエロのゴールだったのを思い出すとちょっと、しんみりしてしまいますね。
そして翌日曜には今季、ラージョの定番時間帯となったような午後2時からのベティス戦を見にエスタディオ・バジェカスに行った私だったんですが、こちらもジャッジでトラブルが発生。ええ、まだ0-0だった前半35分、2019年に2部に落ちたラージョから、ベティスに河岸を変えたアレックス・モレノの足がイシの頭に当たり、当人はピッチに倒れていたにも関わらず、プレーが続いていたんですけどね。一段落ついて、審判が様子を見に近づいた頃にはイシのスキンヘッドの頭が血まみれだったため、アレックス・モレノにはレッドカードが出されることに。
まあ、実のところは「相手が頭を下げたから、足が当たっただけ。Con la sangre se impresionó/コン・ラ・サングレ・セ・インプレシオノ(出血を見てショックを受けたんだろう)」(ペジェグリーニ監督)というのが正解でしょうが、でもねえ。相手が10人になったのにラージョが油断してしまったんですよ。おかげで前半ロスタイムにはベジェリンが送ったラストパスをカナレスに、ディミトリエフスキの負傷で最近、先発を任されるようになったジダン監督の次男、ルカがガラ空きのゴールに決められて、0-1とリードされてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。
いえ、後半26分にはその日、コパに続いてスタメン出場していたファルカオのヘッドはGKルイ・シウバに弾かれてしまったものの、ゴール前に人が沢山、倒れているうちにバリュウが撃ち込んで、何とか同点にはなったんですけどね。結局、1-1のドローで終わり、8勝2分けとホーム無敗は維持できたんですが、レアル・ソシエダが勝ったため、順位が7位に落ちてしまったのは残念だったかと。それでも帰りがけ、スタジアム前でファンにサインしていたイシは傷口こそ、パーカーのフードで見えなかったものの、元気そうでしたし、肉離れで戦線離脱していたアルバロ・ガルシアも途中出場で復帰という朗報もあるため、今週土曜のコパ16強対決、昨季のプレーオフ決勝2ndレグで勝利し、1部昇格を決めた思い出のモンテリビでのジローナ(2部)戦ではいい試合が期待できると思いますよ。
え、でも日曜は次の時間帯でプレーしたもう1つの弟分も、夜9時の試合となった兄貴分も勝利は掴めなったんだろうって?その通りでラージョ以上にアウェイが苦手で、今季1勝も挙げていないヘタフェは、まあ、相手が2位のセビージャというのもありますけどね。前半22分、オカンポスのパスからラファ・ミールにtaconazo(タコナソ/ヒールキック)でシュートを撃たれ、「uno de nuestros mejores jugadores, Soria, no está acertado/ウノ・デ・ヌエストロス・メホーレス・フガドーレス、ソリア、ノー・エスタ・セルタードー(ウチの最高の選手の1人、ソリアが上手く捌けなかった)」(キケ・サンチェス・フローレス監督)というGKのミスで先制点を奪われてしまうことに。
それだけでなく、ミールには他にもオフサイドで取り消されたゴールがありましたし、アランバリとオリベイラを累積警告で欠くヘタフェはほとんどシュートもできなかったため、そのまま1-0で負けてしまったのも仕方ないんですが、幸い降格圏外16位の順位は変わらず。コパ敗退済みの彼らは20日のグラナダ戦まで試合もありませんし、長らく欠場していたビトロも戻って来たため、ここしばらくは1月後半のリーガ戦に備えて、じっくり調整できるのを強みに変えてもらいたいところです。
一方、ラ・セラミカでビジャレアルに挑んだのが4位のアトレティコなんですが、いやあ、人生に1度起きるか起きないかの奇跡というのはやはり悲劇の前触れだったんですね。そう、序盤から、圧倒的にボールを敵に支配されていた彼らだったんですが、前半10分、パレホのパスをセンターでカットしたコレアがそのままロングシュート。「ya conozco a Rulli y sé que su manera de jugar es muy adelantado/ジャー・コノスコ・ア・ルリ・イ・セ・ケ・ス・マネラ・デ・フガール・エス・ムイ・アデランタードー(ルリのことは知っていて、ゴールから凄く前に出てプレーするのもわかっていた)」という当人の目論見通り、50メートルの距離からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めたんですが、だからといって、その後も3本とパスが続かない、ポゼッション最低プレーが改善するには至りません。
いえ、それでもクーニャが1対1のシュートをGKルリに弾かれたり、今度はコレアがゴール前から決めたゴールがオフサイドだったりということはあったんですが、20分、アルベルト・モレノのパスがレマルの腕に当たったとして、ペナルティを取られてしまってはねえ。幸運もここまでかと思われたんですが、それからが予想外の連続です。だってえ、スペシャリストのジェラール・モレノが、PKセーブがあまり得意でないGKオブラクに弾かれるなんて、滅多にあることじゃないんですよ。それなのにフェリペとぶつかり合った末、パレホの腰に当たったボールがゴールになったとなれば、もう泣いちゃうしかありませんって。
でも大丈夫。ここでもう1度、奇跡が起こり、VAR判定でパレホの手にボールが当たっていたとして、このゴールは認められないことに。といっても29分にはそのパレホのFKをオブラクがキャッチし損ね、こぼれたボールをパウ・トーレスに同点ゴールにされているんですから、まったく救えませんけどね。後半13分には再び、出場停止のヒメネスに頼れないフェリペとエルモーソのCBコンビが決壊し、ジェラール・モレノのスルーパスをアントニオ・モレノに撃ち込まれて、とうとう逆転されてしまった時にはもう、年明けのラージョ戦、コパのラージョ・マハダオンダ(RFEF1部、ラージョ・バジェカーノと経営関係はない)戦の快勝はただの幻だったのかと、私も肩を落としていたんですが…。
まさか選手交代の効果があそこまで出るなんて!ええ、リードされてすぐ、シメオネ監督がデ・パウル、クーニャ、ロディをコケ、ジョアン・フェリックス、ベルサイコに代え、4-4-2から、CBを3人にする5-3-2にシステムチェンジしたアトレティコは急に盛り返し、23分には右から左に移ったカラスコのラストパスをコレアがシュート。これはルリに弾かれてしまったものの、コンドグビアがエリア前から同点ゴールを決めてしまったから、驚いたの何のって。それどころか、2-2になった後の彼らはとても同じチームとは思えないぐらいパスが上手くなり、ガンガン繋げるようになったんですが、まったくもう。
それができるなら、最初からやればいいのにというのは私の勝手な言い分で、後半ロスタイムにはコンドグビアが2枚目のイエローカードをもらい、退場となったのもあり、結局、試合はそのままドローで終了。おかげで3位のベティスにも追いつけず、首位のお隣さんとの差もまた勝ち点16に開いてしまったんですが、まあこればっかりはねえ。ちなみに木曜午後8時からのスペイン・スーパーカップ準決勝ではこの日、出場停止だったヒメネスとルイス・スアレスは復帰するものの、コパで太ももケガを再発したグリーズマン、12月からずっとリハビリ中のサビッチは戻って来られず。シーズン前半戦ではスコアレスドローに終わったカードでしたが、今度は誰が勝利のゴールを入れてくれることになるんでしょうか。
実際、まだ先週末のリーガ戦の余韻も覚めやらぬうち、月曜にはスペイン・スーパーカップを最初に戦うレアル・マドリーとバルサが、火曜にはアトレティコとアスレティックがそれぞれ、リヤド入りしたんですが、水木の準決勝も日曜の決勝もバル(スペインの喫茶店兼バー)のTVで見られるのはいいとして、その間、リーガ戦はないですからね。土日にはコパ・デル・レイ16強対決の5試合があるものの、すでに敗退しているチームなど、クリスマス休暇並に1週間以上、ヒマになるというのもどうかと。
ちなみに昨季、無観客のカルトゥーハで開催されたスペイン・スーパーカップで王者となったのは準決勝でマドリーを破り、レアル・ソシエダを破って決勝に進出したバルサを2-1で倒したアスレティック。ただ、その後に行われた2019-21シーズンのコパ決勝ではレアル・ソシエダに負け、続いて2021-22シーズンのコパ決勝でもバルサに負けるという、悔しい思いをしているだけに、マルセリーノ監督もリベンジに燃えているかと思いますが、今回の出場チーム中、彼らはリーガ9位と、一番順位が低いのはちょっと、辛いところかもしれませんね。
まったく相手にされず、ベンゼマのPKが決まって、1-0でハーフタイムに入ることになったんですが、クラブ公式ツィッターでもすぐさま、「Lo de los robos en Madrid empieza a ser algo repetitivo/ロ・デ・ロス・ロボス・エン・マドリッド・エンピエサ・ア・セル・アルゴ・レペティティーボ(マドリッドで盗まれるのはもうリピートされる何かになっている)」と呟いていたように、バレンシア側がこの件にこだわりすぎたせいでしょうか。後半はマドリーのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が始まり、7分にはベンゼマとのワンツーでエリア内に入ったビニシウスがディアカビとアルデレテをかわしてシュート。2点目を挙げると、15分にはアセンシオの一撃はGKシレッセンに弾かれたものの、丁度いい位置に詰めていたビニシウスがヘッドで3点目もゲットすることに。
そんな彼の活躍ぶりにはアンチェロッティ監督も「Ha marcado goles de delantero centro, de delantero de área/ア・マルカードー・ゴーレス・デ・デランテーロ・セントロ、デ・デランテーロ・デ・アレア(CFのゴール、エリア内のFWのゴールを決めた)」と賛辞を惜しまなかったんですけどね。31分にはメンディがマルコス・アンドレの手を引っ張って、シュートの邪魔をしたため、バレンシアにもPKが与えられ、1度はGKクルトワが弾きながら、跳ね返りをキッカーのゲデスが再度ヘッド。これで1点を返されたものの、43分にはベンゼマがエースの貫禄を示す4点目を挙げているとなれば、「no vamos a poner excusas del árbitro cuando te ganan 4-1/ノー・バモス・ア・ポンーエル・エクスクーサス・デル・アルビトロ・クアンドー・テ・ガナン・クアトロ・ウノ(4-1で勝たれた時に審判を言い訳にするつもりはない)」というガヤの弁も当然だったかと。
これで2位のセビージャに距離を縮められる懸念も払拭、ベンゼマ(17得点)とビニシウス(12得点)のリーガピチチ(得点王)と次点のコンビを引っ提げて、スペイン・スーパーカップのクラシコ(伝統の一戦、バルサ戦のこと)に臨めることになったマドリーだったんですが、サウジアラビア遠征には更にコロナ明けのヨビッチ、そして負傷の治ったカルバハルでパワーアップして出発。いえ、アンチェロッティ監督によると、「カルバハルの先発は微妙、右サイドもアセンシオにするか、ロドリゴにするか。Son las únicas dudas que tengo/ソン・ラス・ウニカス・ドゥーダス・ケ・テンゴ(決まっていないのはそれだけだ)」とスタメンにはまだ迷いがあるようですけどね。
確かに「Nadie sabe lo que puede pasar, independientemente de la diferencia de puntos/ナディエ・サベ・ロ・ケ・プエデ・パサール、インデペンディエンテメンテ・デ・ラ・ディフェレンシア・デ・プントス(勝ち点差とは関係なく、何が起きるかは誰もわからない)」(チャビ監督)のがクラシコとはいえ、相手は土曜のグラナダ戦でも終盤に追いつかれ、1-1で引分けるという無念を味わったばかり。アンス・ファティが満を持して復帰、金曜に手を手術したばかりのアラウホも強行参加、入団プレゼン直後にコロナ陽性となり、ようやく陰性となって、ペドリと一緒に1日遅れて現地に移動したフェラン・トーレス(マンチェスター・シティから移籍)もコウチーニョのアストン・ビラへのレンタル移籍、ウムティッティの減給契約延長により、ラ・リーガのサラリーキャップをかわして選手登録はできたとはいえ、その期待の彼も負傷明けだったりしますからね。
そうなると、コパのアルコジャノ(RFEF1部/実質3部)戦で負傷したマリアーノと今度は背筋痛でやはり、ウェールズ代表のW杯プレーオフがある3月が近づくまで、クラブの実戦に出る気はないんじゃないかという疑いのあるベイルだけが欠場となるマドリーの方が、水曜午後8時(日本時間翌午前4時)からの準決勝には有利な気がしますが、さて。そういえば、昨年10月のリーガ、シーズン前半クラシコもアラバとルーカス・バスケスのゴールで1-2とマドリーが勝利していましたが、その時のバルサの1点が心臓のトラブルで昨年中に現役引退したアグエロのゴールだったのを思い出すとちょっと、しんみりしてしまいますね。
そして翌日曜には今季、ラージョの定番時間帯となったような午後2時からのベティス戦を見にエスタディオ・バジェカスに行った私だったんですが、こちらもジャッジでトラブルが発生。ええ、まだ0-0だった前半35分、2019年に2部に落ちたラージョから、ベティスに河岸を変えたアレックス・モレノの足がイシの頭に当たり、当人はピッチに倒れていたにも関わらず、プレーが続いていたんですけどね。一段落ついて、審判が様子を見に近づいた頃にはイシのスキンヘッドの頭が血まみれだったため、アレックス・モレノにはレッドカードが出されることに。
まあ、実のところは「相手が頭を下げたから、足が当たっただけ。Con la sangre se impresionó/コン・ラ・サングレ・セ・インプレシオノ(出血を見てショックを受けたんだろう)」(ペジェグリーニ監督)というのが正解でしょうが、でもねえ。相手が10人になったのにラージョが油断してしまったんですよ。おかげで前半ロスタイムにはベジェリンが送ったラストパスをカナレスに、ディミトリエフスキの負傷で最近、先発を任されるようになったジダン監督の次男、ルカがガラ空きのゴールに決められて、0-1とリードされてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。
いえ、後半26分にはその日、コパに続いてスタメン出場していたファルカオのヘッドはGKルイ・シウバに弾かれてしまったものの、ゴール前に人が沢山、倒れているうちにバリュウが撃ち込んで、何とか同点にはなったんですけどね。結局、1-1のドローで終わり、8勝2分けとホーム無敗は維持できたんですが、レアル・ソシエダが勝ったため、順位が7位に落ちてしまったのは残念だったかと。それでも帰りがけ、スタジアム前でファンにサインしていたイシは傷口こそ、パーカーのフードで見えなかったものの、元気そうでしたし、肉離れで戦線離脱していたアルバロ・ガルシアも途中出場で復帰という朗報もあるため、今週土曜のコパ16強対決、昨季のプレーオフ決勝2ndレグで勝利し、1部昇格を決めた思い出のモンテリビでのジローナ(2部)戦ではいい試合が期待できると思いますよ。
え、でも日曜は次の時間帯でプレーしたもう1つの弟分も、夜9時の試合となった兄貴分も勝利は掴めなったんだろうって?その通りでラージョ以上にアウェイが苦手で、今季1勝も挙げていないヘタフェは、まあ、相手が2位のセビージャというのもありますけどね。前半22分、オカンポスのパスからラファ・ミールにtaconazo(タコナソ/ヒールキック)でシュートを撃たれ、「uno de nuestros mejores jugadores, Soria, no está acertado/ウノ・デ・ヌエストロス・メホーレス・フガドーレス、ソリア、ノー・エスタ・セルタードー(ウチの最高の選手の1人、ソリアが上手く捌けなかった)」(キケ・サンチェス・フローレス監督)というGKのミスで先制点を奪われてしまうことに。
それだけでなく、ミールには他にもオフサイドで取り消されたゴールがありましたし、アランバリとオリベイラを累積警告で欠くヘタフェはほとんどシュートもできなかったため、そのまま1-0で負けてしまったのも仕方ないんですが、幸い降格圏外16位の順位は変わらず。コパ敗退済みの彼らは20日のグラナダ戦まで試合もありませんし、長らく欠場していたビトロも戻って来たため、ここしばらくは1月後半のリーガ戦に備えて、じっくり調整できるのを強みに変えてもらいたいところです。
一方、ラ・セラミカでビジャレアルに挑んだのが4位のアトレティコなんですが、いやあ、人生に1度起きるか起きないかの奇跡というのはやはり悲劇の前触れだったんですね。そう、序盤から、圧倒的にボールを敵に支配されていた彼らだったんですが、前半10分、パレホのパスをセンターでカットしたコレアがそのままロングシュート。「ya conozco a Rulli y sé que su manera de jugar es muy adelantado/ジャー・コノスコ・ア・ルリ・イ・セ・ケ・ス・マネラ・デ・フガール・エス・ムイ・アデランタードー(ルリのことは知っていて、ゴールから凄く前に出てプレーするのもわかっていた)」という当人の目論見通り、50メートルの距離からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めたんですが、だからといって、その後も3本とパスが続かない、ポゼッション最低プレーが改善するには至りません。
いえ、それでもクーニャが1対1のシュートをGKルリに弾かれたり、今度はコレアがゴール前から決めたゴールがオフサイドだったりということはあったんですが、20分、アルベルト・モレノのパスがレマルの腕に当たったとして、ペナルティを取られてしまってはねえ。幸運もここまでかと思われたんですが、それからが予想外の連続です。だってえ、スペシャリストのジェラール・モレノが、PKセーブがあまり得意でないGKオブラクに弾かれるなんて、滅多にあることじゃないんですよ。それなのにフェリペとぶつかり合った末、パレホの腰に当たったボールがゴールになったとなれば、もう泣いちゃうしかありませんって。
でも大丈夫。ここでもう1度、奇跡が起こり、VAR判定でパレホの手にボールが当たっていたとして、このゴールは認められないことに。といっても29分にはそのパレホのFKをオブラクがキャッチし損ね、こぼれたボールをパウ・トーレスに同点ゴールにされているんですから、まったく救えませんけどね。後半13分には再び、出場停止のヒメネスに頼れないフェリペとエルモーソのCBコンビが決壊し、ジェラール・モレノのスルーパスをアントニオ・モレノに撃ち込まれて、とうとう逆転されてしまった時にはもう、年明けのラージョ戦、コパのラージョ・マハダオンダ(RFEF1部、ラージョ・バジェカーノと経営関係はない)戦の快勝はただの幻だったのかと、私も肩を落としていたんですが…。
まさか選手交代の効果があそこまで出るなんて!ええ、リードされてすぐ、シメオネ監督がデ・パウル、クーニャ、ロディをコケ、ジョアン・フェリックス、ベルサイコに代え、4-4-2から、CBを3人にする5-3-2にシステムチェンジしたアトレティコは急に盛り返し、23分には右から左に移ったカラスコのラストパスをコレアがシュート。これはルリに弾かれてしまったものの、コンドグビアがエリア前から同点ゴールを決めてしまったから、驚いたの何のって。それどころか、2-2になった後の彼らはとても同じチームとは思えないぐらいパスが上手くなり、ガンガン繋げるようになったんですが、まったくもう。
それができるなら、最初からやればいいのにというのは私の勝手な言い分で、後半ロスタイムにはコンドグビアが2枚目のイエローカードをもらい、退場となったのもあり、結局、試合はそのままドローで終了。おかげで3位のベティスにも追いつけず、首位のお隣さんとの差もまた勝ち点16に開いてしまったんですが、まあこればっかりはねえ。ちなみに木曜午後8時からのスペイン・スーパーカップ準決勝ではこの日、出場停止だったヒメネスとルイス・スアレスは復帰するものの、コパで太ももケガを再発したグリーズマン、12月からずっとリハビリ中のサビッチは戻って来られず。シーズン前半戦ではスコアレスドローに終わったカードでしたが、今度は誰が勝利のゴールを入れてくれることになるんでしょうか。
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