【2021-22プレミアリーグ前半戦総括】超WS選出の最優秀選手はベルナルド・シウバ! コロナ感染拡大でイレギュラーな前半戦に

2022.01.06 18:00 Thu
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◆順位はおおむね予想通りも、コロナ感染際拡大でパニックに…

上位戦線はおおむね予想通りとなった。王者マンチェスター・シティは、開幕戦こそトッテナム相手に不覚をとってしまったものの、その後は何事もなかったかのように白星を並べた。第10節でクリスタル・パレスに敗れたのは意外だったが、チェルシーやマンチェスター・ユナイテッド、アーセナルなどリバプールを除く上位陣を軒並み蹴散らし、堂々の首位で前半戦を終えることに。一方、イギリス史上最高額での加入となったグリーリッシュは、序盤戦から重宝されたものの、2ゴール2アシストと物足りない結果に。本人も「初心に帰る必要がある」と前半戦を反省しているようだが、クリスマス前の夜遊びが報じられ、グアルディオラ監督からお灸を据えられることに。後半戦はさらなる活躍を期待したい。

そんなシティに次いで2位につけたのは覇権奪還を狙うリバプールだ。前半戦はわずか1敗という安定した戦いを見せた中、目を引いたのが攻撃力の高さ。加入5年目を迎えたサラーは、32ゴールを挙げた初年度に匹敵する勢いでゴールを量産。ユナイテッド戦のハットトリックなど、15ゴールを記録した。また、加入2年目のジョタも、早くも昨季の9ゴールを上回る10ゴールでサラーに追随。2人はプレミアリーグ前半戦におけるトップスコアラーだった。

欧州王者として臨んだチェルシーは3位でシーズンを折り返すことに。序盤戦では10人でリバプールと引き分けに持ち込むなど、代名詞となった堅守を全面に発揮した戦いを見せ、第14節までに喫した失点はわずかに「6」だった。しかし、第15節のウェストハム戦で3失点の黒星を喫すると、翌節のリーズ戦でも2失点。さらに次のエバートン戦でも失点を許し、5試合連続失点という無残な姿を晒してしまった。離脱者続出というエクスキューズがあっただけに、後半戦の立て直しに注目だ。

4位にはアーセナルが食い込んだ。チェルシーやシティと対戦した開幕直後は3連敗、その後もリバプールやユナイテッドなどビッグクラブ相手には遅れを取ったが、中堅以下との対戦が続いた第4節から第11節にかけては6勝2分けと波に乗り、折り返しにかけては4連勝と、勝つべき試合はモノにしたという印象だ。オーバメヤンが規則違反でアルテタ監督からお咎めを受けた一幕はあったものの、チーム力は着実に上がってきている。また、冨安健洋の活躍も期待したい。

マンチェスター・ユナイテッドは激動の前半戦に。クリスティアーノ・ロナウドの復帰やサンチョ、ヴァランといった実力者の加入に沸いたが、序盤から不安定な戦いが続き、2018年末から指揮していたスールシャール監督を11月24日に解任。後任には、モダン・フットボールの最先端を行くラングニック氏が半年契約で就任し、来季以降はコンサルタントという形でフロント入りすることが決まっている。新体制発足以降は調子を上げてきており、後半戦でチームがどのように変化していくか、刮目したい。

ユナイテッド同様に、前半戦の内にトッテナムも指揮官交代に踏み切った。新たにヌーノ監督を招へいして迎えた今シーズン、開幕節でシティ相手に金星を挙げて絶好のスタートを切ったものの、その後のロンドン・ダービー3連戦を全て落とすと、第10節終了時点で5勝5敗と低迷。11月1日にヌーノ監督を解任し、かつてチェルシーをプレミア制覇に導いたコンテ監督に託した。

イタリア人指揮官就任後はリーグ戦で無敗をキープしているが、トッテナムは他のチームとは様子は異なる。新型コロナウイルス感染の再拡大がイギリスで起こり、プレミアリーグは試合の延期を余儀なくされるなど、その影響をモロに受けてしまっている。特にクラスターが発生した同クラブでは2試合が延期を強いられており、加えて大雪の影響で第13節のバーンリー戦も中止となったため、通常より3試合も消化が少ない状況だ。

だが、緊急事態に陥っているのはトッテナムだけでない。上位陣ではユナイテッドや5位のウェストハムも1〜2試合が延期に。ただ、予定通りに試合をこなしているリバプールやチェルシーでもコロナ感染者が続出しており、指揮官らは延期を求める声を挙げていた。

【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆ベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティ)
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シーズン前には移籍も取り沙汰されたベルナルド・シウバが前半戦のMVPだ。上述したグリーリッシュの加入もあり、今季は序盤が低下するかに思われたが、蓋を開けてみれば7ゴール1アシストと、チームトップスコアラーの大活躍。今季のベルナルド・シウバはそれだけでなく、迅速なトランジションでファーストディフェンダーとして非常に“利く”存在だった。まさに大車輪の活躍と言ったところか。ペップも手放しで絶賛しており、給与倍増のオファーの噂も流れている。

★最優秀監督
◆デイビッド・モイーズ(ウェストハム)
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昨シーズンに1998-99シーズン(5位)以降最高位となる6位に導いたモイーズ監督は、今季も引き続き好調を維持している。開幕から白星の山を築くと、第11節でリバプール、第15節ではチェルシーを下すなど、第2勢力として上位に食い込んで見せた。また、5シーズンぶりの参戦となったヨーロッパリーグ(EL)でも、前身のUEFAカップも含めて初の決勝トーナメント進出を決めている。

今季は3バックと4バックを併用していた昨季から[4-2-3-1]に絞り、守備から攻撃への円滑性を高める戦い方にシフト。昨季から見せていた的を絞った守備に磨きがかかり、カウンターの鋭さも比例して増した。守備ではオグボンナがヒザの大ケガに見舞われる事態に見舞われたが、チェルシーから加入したズマをはじめ、ユーロ2020で躍動したチェコ代表の面々がさらに頼もしい存在に。攻撃ではボールコントロールに長けたフォルナルスを中心に、2年目を迎えたボーウェンが大きなアクセントとなっていた。

【期待以上】
★チーム
◆アーセナル
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開幕3連敗を喫した時はどうなるかと思ったが、前半戦を終えてみれば4位と健闘したアーセナル。夏の移籍市場ではベン・ホワイトやラムズデール、そして昨季のレンタル加入でインパクトを残したウーデゴールを獲得するなど、3季目を迎えるアルテタ監督を大枚を叩いてサポートした。また、冨安健洋の加入も大きなサプライズとなったが、その冨安が期待以上の活躍。この男が右サイドバックに定着したことで守備が安定し、攻撃陣には大胆里安心感が芽生えるようになった。アカデミー上がりのサカやスミス・ロウの止まらない成長もファンにとっては見どころだ。

★選手
◆冨安健洋
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夏の移籍市場が迫る中で急遽加入が決まった冨安。ボローニャでの前評判は高いものがあったが、初のプレミアリーグでもその実力は遺憾なく発揮された。チーム合流2日後に行われたノリッジ戦でいきなり先発デビューを果たすと、62分間のプレーでアルテタ監督の心を掴んだ。現地メディアも絶賛する中、以降は全試合で先発出場。ニューカッスル戦では絶妙なクロスからマルティネッリのゴールをお膳立てし、プレミア初アシストを記録した。現在は守備に重きを置いたプレー役割となっているが、ゆくゆくは攻守に躍動する姿を期待したい。


【期待外れ】
★チーム
◆レスター・シティ
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昨季5位という成績を考えると、2試合未消化ながら10位で折り返したのは不調と言われても仕方がない。昨季はクラブ史上初のFAカップ制覇を果たし、今季で就任4シーズン目を迎えたロジャーズ監督には、いよいよ優勝争いが期待されていたが、蓋を開ければ17試合で6勝4分け7敗という結果に。攻撃がヴァーディ一辺倒だった上、ティーレマンスやエンディディがなかなか揃わなかったことも響いた。

★選手
◆オーバメヤン (アーセナル)
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好調のアーセナルにおいて、一人心ここに在らずだったのがオーバメヤンだ。今季も主将として迎えたものの、第15節までに奪ったゴールは4得点。なかなかリーダーとして威厳が保てない日々が続くと、極めつけは規律違反によるチーム追放。12月上旬に一時海外渡航を許可されていたオーバメヤンだったが、帰国後の合流が遅れ、アルテタ監督の逆鱗に触れてしまった。第16節のセインツ戦から欠場が続いており、年明けにはガボン代表でアフリカネーションズカップに参加することから、早くても来年2月まで復帰はないと見られている。一方で、オーバメヤンの状況とは裏腹にチームは好調。このまま退団の可能性も否定できない。



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3度のW杯制覇にルール変更、誰もが知る「サッカーの王様」ペレの偉業

一流と呼ばれる選手たちはこれまでのサッカー史の中で数知れず。その中において、記憶にも記録にも残り、誰もが知る超一流の選手はほんの一握りだ。 現役選手では、パリ・サンジェルマンのアルゼンチン代表FWリオネル・メッシやマンチェスター・ユナイテッドのポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドがその位置にいると思われるが、誰もが知る「サッカーの王様」と呼ばれるペレは、異質な存在だった。 <span class="paragraph-title">◆3度のW杯制覇の偉業</span> 今年11月にカタールで開催されるワールドカップ(W杯)。前述のメッシ、C・ロナウドは出場すれば共に5度目のW杯となる。 ペレは記録によれば1954年に14歳でデビュー。1977年まで23年間現役でプレーした。 ブラジル代表としても16歳9カ月でデビューを果たしており、これは当時の最年少記録。ペレは1958年のスウェーデンW杯に背番号10で初めて出場。そこから4大会連続でW杯に出場した。 W杯の出場回数では4回ともちろん多いが、4回中3回優勝をしているのだから驚きだ。 現在とはレギュレーションも違った中ではあるが、初めてでたスウェーデン大会では6ゴールを奪い、ブラジルに初めてのW杯優勝をもたらせる。この活躍により、ペレの背番号「10」がエースと見なされるようになったという話があるが、「10」は偶然背負ったもの。エースは違う番号だった可能性も十分にあった。 1962年のチリ大会にも出場したペレだったが、大会序盤で負傷。しかし、チームはペレ抜きでもしっかりと勝ち上がり、連覇を達成。ブラジル代表の存在価値が高まった大会と言われた。 1966年のイングランド大会にも出場したペレだったが、ケガを抱えていたことでこの大会も途中でプレーできないことに。チームも3連覇を逃し、大きな話題となっていた。 イングランド大会を最後にW杯には出場しないと決めていたペレだったが、1970年のメキシコ大会にも出場。3度目の優勝を目指してプレーすると、決勝でもゴールとアシストで貢献し、見事に3度目の優勝を果たすこととなった。 <span class="paragraph-title">◆ルールを変えていった男</span> まだまだテレビやインターネットなどが普及せず、現代とは比べ物にならないくらい情報伝達が遅かった時代に活躍したペレ。それでも、世界中で称賛されるということがどれだけ凄かったかということだ。 今ならプレーシーンは試合中にインターネット上に出回り、一瞬にして世界に広まるが、そんなことは不可能な時代にだ。ブラジルと対戦する全ての相手がペレを警戒し、今であれば考えられないようなラフプレーで平然と止めていた。 というのも、当時はイエローカードやレッドカードというルールはなく、試合中にケガをしても交代できないという、現代では考えられないルールだった。 しかし、このラフプレーでペレにケガが絶えなかったこと、さらにはW杯でのプレーを拒否するような事があり、ラフプレー対策としてイエローカードとレッドカードが導入されることとなったのだ。 また選手交代ができない時代にケガを押してプレーしていたことも多く、試合中の選手交代もペレによって生まれたルールといって良い。現代サッカーの根本となるルールを生み出すあたり、レベルの違う偉人と言えるだろう。 <span class="paragraph-title">◆偉大なるゴール記録も</span> そのペレはキャリアを通じて1375試合に出場し1284ゴールを記録したとされている。オフィシャルの記録では世界で最もゴールを決めているとされている偉大なスコアラーだ。 ただ、このゴールには親善試合も含まれており、クラブや代表チームでの公式戦でのゴールは831試合で767ゴール。十分凄い記録であるが、これはC・ロナウドが2021年3月14日に更新していた。 記録こそ抜かれたが、C・ロナウドも「プロキャリアで770ゴールに到達した。最初の言葉はペレに捧げたい」とコメントするなど、偉大さが失われるわけではない。 時代も進化し、テクノロジーやトレーニング法など、様々な面が大きく変化している中でも、永遠に語り継がれるであろうペレ。「サッカーの王様」は彼しか存在し得ないと言って良いだろう。 <div id="cws_ad"><hr>ブラジル代表で活躍し、「サッカーの王様」として知られているペレが大人気スポーツ育成シミュレーションゲーム『プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド』(サカつくRTW)に登場!<br/><br/>現役時代に魅せた卓越したプレーが『サカつくRTW』でも再現。是非一度チェックしてみよう。<a href="https://ryan.onelink.me/C7cD/79aae7be" target="_blank"><div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/900/img/2022/sega20220413.jpg" style="max-width:100%;"></div></a></div> <span class="paragraph-title">【動画】見たことある!?「サッカーの王様」ペレのスーパーゴール!</span> <span data-other-div="movie"></span> <div class="dugout-video dugout-embed-eyJrZXkiOiJmT2lSczhmNCIsInAiOiJ1bHRyYXNvY2NlciIsInBsIjoiIn0="></div><script type="text/javascript" src="https://embed.dugout.com/v3.1/ultrasoccer.js"></script> <div id="cws_ad"><hr>ブラジル代表で活躍し、「サッカーの王様」として知られているペレが大人気スポーツ育成シミュレーションゲーム『プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド』(サカつくRTW)に登場!<br/><br/>現役時代に魅せた卓越したプレーが『サカつくRTW』でも再現。是非一度チェックしてみよう。<a href="https://ryan.onelink.me/C7cD/79aae7be" target="_blank"><div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/900/img/2022/sega20220413.jpg" style="max-width:100%;"></div></a></div> 2022.04.15 10:00 Fri
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岩政流で見えた“常勝軍団”復活の兆し、監督合流で鹿島が新たな“強さ”を掴む/編集部コラム

Jリーグで最もタイトルを獲得しているのは、言わずと知れた鹿島アントラーズ。“常勝軍団”と呼ばれ、勝利を望み、クラブ内外からタイトルを常に求められている。 J1は最多の8度の優勝を誇り、リーグカップ、天皇杯、AFCチャンピオンズリーグを合わせた主要タイトルは「20」を数える。 ギリギリのところから、しかしリーグ優勝は2016年が最後。タイトルだけで見ても、この3年は無冠に終わっている。史上2度目の屈辱を味わっているという状況だが、特に近年は最終的に上位でフィニッシュしながらも、シーズンのスタートで大きく躓くという非常に不甲斐ない事態となっていた。 その鹿島は2022シーズンに向けてチームを改革。これまではテクニカルダイレクター(TD)を務めていたクラブのレジェンドでもあるジーコ氏、そして長年チームの強化を担当してきた鈴木満フットボールダイレクター(FD)が退任した。 これにより史上初となるヨーロッパ出身の監督を迎え、スイス人のレネ・ヴァイラー氏が就任。しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)のオミクロン株が流行した影響で新規入国が認められず、リーグ戦4試合はこちらも今季から就任のクラブOBである岩政大樹コーチが指揮した。 ホームでの川崎フロンターレ戦では不甲斐ない試合を見せてしまったが、その試合を除いては3勝。ここ数年では1番良いスタートを切ることとなった。 <span class="paragraph-title">◆岩政大樹コーチによるチームの変化</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/get20220314_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">©J.LEAGUE<hr></div> 今シーズンの鹿島も[4-4-2]をベースに、[4-2-3-1]、[4-3-3]、[3-4-3]と試合中にシステムを変えて対応力を見せていた。 特に岩政コーチの代行指揮ラストマッチとなった11日のヴィッセル神戸戦も、早々に先制すると、後半に追加点という展開。徐々に神戸が盛り返そうとする中、岩政監督は選手の並びを変えて状況を変化させようと手を打つ。 「攻撃の立ち位置を整理して、個人で相手から良いポジションを取るのは難しいので、攻撃の時は可変でやりました」 「3バックでやり、[3-4-3]でやって間でボールを受けれるということをやって、上手く受けられたと思います」 選手交代に合わせてシステムをいじり、神戸に行きそう流れを止めて行った岩政監督。更なる追加点こそ奪えなかったが、選手たちはしっかりと対応してプレーを続けた。 ここが1つ、鹿島の改革が進んだところと言えるだろう。これまでの鹿島では、流動的にシステムを変えてプレーするということは少なかった。戦い方を突き詰めて、それをしっかりと遂行していくということが主となり、自分たちのストロングポイントを出すスタイルだった。 しかし、時代が変わり、鹿島でもストロングポイントを出し続けることは難しい状況に。相手の出方を見て、臨機応変に対応するという闘い方の基礎を、岩政コーチは作った。 岩政コーチは「(ヴァイラー)監督が色々なオプションを持てるように、ここまでの4試合でシステムやオプションを色々使いました」と語り、「色々なシステムを使うことも選手にやってもらったので、ここからのチーム作りはスタッフとしても楽しみです」と、どのようにチームが変化するのか。選択肢をたくさん持たせたとした。 <span class="paragraph-title">◆選手も刺激を受けた指導法</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/get20220314_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">©KASHIMA ANTLERS<hr></div> プロを相手に指導するのは初めてだった岩政コーチ。一方で、解説者などとして活躍していたことは、事象を言語化する能力が非常に長けており、状況を見ての的確な指摘も話題となっていた。 その能力は、実際の現場での指導でも生かされていた。鹿島からシント=トロイデンへと移籍し、ベルギーの地でゴールを量産してきた鈴木優磨。今シーズンから復帰し受けた岩政コーチの指導については「自分のサッカー人生において、ここまで具体的に言語化できる人が初めてで、すごく刺激になった」とコメント。充実感のある指導を受けられていたようだ。 また、三竿健斗も「選手として1人1人がピッチに立った時に良い判断ができるように色々と仕込んでもらっています」と、対応力を身につけ、再現性あるプレーを行うために、様々な判断のヒントをもらっていたと明かした。 その三竿は「僕がずっと求めていたものでもありますし、鹿島がそれをできれば強いチームになると思っています」と語り、岩政コーチの指導に感銘を受けていると語った。 また、試合中のシステム変更についても「僕らが優位に立てる選択をしてくれているだけ」と語り、「僕は凄くポジティブに捉えていますし、選手の良さを出せる配置だと思う」と、個々の特徴に合わせた配置で、相手に対して攻守に渡って良いプレーができるという手応えを感じているようだった。 岩政コーチは「彼らが新しいサッカーに前向きに取り組んで、楽しんでくれて、僕の言葉をしっかり消化してくれて、自分たちのサッカーを新しく作ろうと気概をもって取り組んでくれました」と語っており、選手たちが高い志で、前向きにトレーニングに取り組んでいる様子を語ってくれた。どこか停滞感のあったチームが、大きな変革を遂げようとする中では、非常にポジティブな状況であり、そこに結果がついてきているという点でも大きな一歩を踏み出していると感じられる。 <span class="paragraph-title">◆ヴァイラー監督合流でさらに変革が加速</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/get20220314_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">©KASHIMA ANTLERS<hr></div> 改革を掲げ、いきなり大成功を収めるということはなかなか起こらない。やはり、時間を要するものであり、上手く改革が進むということがない場合もある。 その中で言えば、結果を見ても、内容を見ても、しっかりと歩みを進めていることはわかるだろう。それは、監督不在の間にチームを預かった岩政コーチが作り出したものが、プラスに働いていると言える。 そしてついに来日したヴァイラー監督。「良い印象も、悪い印象も、良い部分も、悪い部分も色々あった」と、ここまでの試合の感想を語ったが、「そこをいきなり変えることは難しいので、徐々にやっていきたい」と慎重に進めていきたいと明かした。 そのヴァイラー監督が大事にしたいことは「選手の観察」だという。「選手たちを会話をし観察しながら、1番良いものを模索していきたい」と語り、システムにハメていくのではなく、選手個々の能力を把握して、最大限に出せる形を見つけていくというのだ。 この考えは岩政コーチと同じ。様々なパターンを試し、選手に色々な判断の選択肢を与えてきたことは、ヴァイラー監督が率いる上でも、非常に重要な基礎を作ったと言えるだろう。 「選手のパーソナリティを育てるというところで、特徴を見極める能力は長けていると思う」と自身について語ったヴァイラー監督。その中での育成方針は「非常にタフだが、それを楽しくやらなければ、成長や向上は見受けられない」と語り、雰囲気の良さは重要だとした。 若手も多い鹿島においては適任と言える監督ではないだろうか。「性格、スキル、長所・短所を分析しなければいけない。短所にどう取り組むのか。どう意識して成長するかが重要」と、ここを伸ばすためのリサーチは重点的に行い、的確に指導していくことになるだろう。 その中で求められるタイトルについても「優秀な選手を育てられれば強いチームになり、強いチームになれば成果が出る。そこを認識しなければいけない」と語り、まずは選手の成長が第一。「選手のポテンシャルを最大限引き出すことが重要で、それをチームに生かすことが大事」と語る中、どう改革を進めるか。この先の成長と変化が楽しみでならない。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2022.03.14 06:45 Mon
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5試合で23人が先発、横浜FMが持つ強みは“ポジション”に捉われない戦い方と“一貫性”/編集部コラム

Jリーグ開幕から2週間が経過。新型コロナウイルス(COVID-19)のクラスターにより一部チームは活動停止に追い込まれたが、おおよそのJ1クラブが5試合を消化した。 開幕から週2回の試合開催を続けてきた中で、カップ戦を戦ったチームはどのチームも思い切ったターンオーバーを敢行。YBCルヴァンカップでは若手や控え組を積極的に起用し、週末のリーグ戦で主軸選手を起用するという形がおかった。 ここからは基本的に週1回の試合開催となり、一息つけると言ったところだろう。 しかし、4チームだけがリーグ戦を5試合消化という過酷な試練を受けていた。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に出場する川崎フロンターレ、浦和レッズ、横浜F・マリノス、ヴィッセル神戸の4チームだ。 神戸は15日に控えるプレーオフでメルボルン・ビクトリーに勝利しなければ本大会への出場は叶わない状況だが、この4チームの成績は対照的だ。 川崎フロンターレと横浜F・マリノスは3勝1分け1敗の勝ち点10。横浜FMが首位に立ち、2位に川崎Fがつける状況。浦和は6日に行われた湘南ベルマーレ戦で初勝利を記録も、団子状態のおかげで7位に位置している。 そして心配なのが神戸。未だ勝利なし、3分け2敗で16位と低迷中だ。セレッソ大阪、湘南ベルマーレが1勝でもすれば最下位という状況。勝ちきれない苦しさを味わっている。 <span class="paragraph-title">◆圧倒的なターンオーバー</span> 当然この4チームは、リーグ戦を5試合戦ったこともあり、同じメンバーで戦うことは不可能。他の14クラブがカップ戦で大幅なターンオーバーを行っているが、それをリーグ戦でやるのだから簡単ではない。 14チームの中で、リーグ戦に限って先発をした選手が最も多かったのは16人の湘南。最も少ないチームは12人の北海道コンサドーレ札幌だった。 一方で、ACL組の4チームでは川崎Fと浦和が18人、神戸に至っては21人が先発をすでに経験している。しかし、最も多いのは横浜FMで23人が先発出場をすでに果たしているのだ。 大事なリーグ戦を戦いながら、圧倒的にターンオーバーを採用している横浜FM。もちろん試合数が違うので比較はできないが、それでも5試合を戦って現在暫定首位。しっかりと結果を出しているのだから驚きだ。 21人の選手が先発した神戸が16位と低迷していることからもわかるように、多くの選手を入れ替えるとチームは機能しにくくなる。選手個々の力の差、そしてシーズン開幕から間もないことで、新加入選手のフィットがまだ足りていないこと、コンディションの問題などもあるだろう。往々にして起こりうる現象だが、横浜FMには関係ないようだ。 復帰組を除き、新加入の選手で先発していないのは、ユースから昇格した西田勇祐のみ。また、FWアンデルソン・ロペスは5試合で2得点、FW西村拓真は3試合で2得点を記録するなど、目に見えた数字も残している状況だ。 <span class="paragraph-title">◆強さの秘密は“一貫性”</span> 3連覇を目指す王者・川崎Fですら、新加入選手ではタイ代表MFチャナティップと流通経済大学から加入したDF佐々木旭が先発しているが、MF瀬古樹、MF松井蓮之、MF永長鷹虎、FW五十嵐太陽は起用されていない状況だ。 チャナティップこそ5試合連続で先発し、徐々にフィットしている感はあるが、まだまだ本調子とは言えない状況だ。 しかし、横浜FMは新加入選手も積極的に起用し、控え選手を起用しても結果を残せている。その理由は、チームの“一貫性”だ。 横浜FMは、2018年にアンジェ・ポステコグルー監督(現セルティック監督)が就任してからチームが変化。アグレッシブな戦い方と、サイドと中央をミックスした攻撃を武器に、前線からのハードワークとハイプレス、そして最終ラインが圧倒的なハイラインを敷き、後方の広大なスペースをGKが埋めるという超攻撃的な戦い方を見せている。 2年目の2019年にはリーグ優勝を果たすと、3年目は9位に沈んだが、2021年は再び上位争いに。しかし、夏にセルティックからのオファーを受けて退任。同じオーストラリア人のケヴィン・マスカット監督が就任すると、最終的には2位でシーズンを終えていた。 ポステコグルー監督が3年半で築いてきたサッカーをさらに推し進めるために招へいされたマスカット監督。より攻撃的になる片鱗を昨シーズンの終盤に見せていた。 そのスタイルは今シーズンも変わっておらず、攻撃的なサッカーを武器にすでに11得点を記録。川崎F戦では大量4得点を記録するなど、その破壊力は健在だ。 こうしてチームのスタイルを継続していることが、1つ好調の要因と言えるだろう。 <span class="paragraph-title">◆ポジションを気にせず、タスクを遂行するスタイル</span> そしてさらに大きな要因は、ポジションに捉われないサッカーを行っていることだ。 前述の戦い方のベースに加え、横浜FMの大きな特徴なのが、流動的なポジション取りだ。サイドバックの選手が中に入ってボランチのようにプレーすること、ボランチの選手がサイドに開いてアタッカーの役割を担ったり、サイドバックがウイングのように攻撃に参加したり、トップ下の選手とトップの選手が入れ替わるなど、試合中に目まぐるしく立ち位置が変化する。 両ウイングがサイドを変えることも少なくなく、気がつけば元に戻っていることも。また、ポリバレントな選手が多数揃っていることも大きいと言える。 例えば、DF岩田智輝は昨シーズンから在籍。大分トリニータでは3バックの右か右ウイングバックでプレーすることが多かったが、横浜FMでは右サイドバックや2センターバック、ボランチと3つのポジションでプレーしている。 より顕著なのはDF小池龍太。右サイドバックが主戦場だったが、左サイドバックも務め、人手が足りないとなればボランチでもプレーする。横浜FMのサッカーには欠かせない選手の1人となっている。 もちろん選手個々の能力の差、戦術理解度の差があることではあるが、横浜FMでは試合中はポジションに捉われてサッカーをしておらず、立ち位置は流動的。局面、局面に合わせてそれぞれの選手が立ち位置を変えるため、チームとしての約束事をそれぞれが守るだけで良い。これが“一貫性”が生み出したものであり、誰が出ても変わりないパフォーマンスを出せる秘訣と言えるだろう。 小池はこの点について「新加入選手やポジション関係なく、マリノスのサッカー、アタッキングフットボールを吸収しようというのが大きな違い」とコメント。また「マリノスのサッカーをプレーすることはポジションが関係ないというか、居なければいけない場所を認知しながら、やることは多いようで少ないというか、理解していれば迷うことはないです」と、チームのスタイルを語った。 つまり、原理原則を理解すれば、誰がどこでプレーしても変わらないということ。簡単なことではもちろんないが、しっかりと選手たちが理解していれば、選手が変わっても大きくパフォーマンスが落ちたりはしないということになる。 これはマスカット監督も「全員がプレーを理解して表現できれば、コントロールして上手く試合を進められるというのが見えてきた」と清水エスパルス戦後にコメント。6人のスタメンを入れ替えた清水戦の戦いでも「西村拓真、吉尾海夏がすごく良いプレッシャーをかけて相手からボールを奪ったりなど良いプレーができた」と、横浜FMのサッカーに日が浅い2人も力を発揮したと評価した。 戦い方を大きく変化させず、それでもブラッシュアップを続けて選手たちが高いパフォーマンスを維持し続けることで、クオリティを格段に上げている横浜FM。マスカット監督は「1人1人が緊張感をもってやらなければいけないと感じたはずだ」とコメント。その理由は「色々な選手がどこででもパフォーマンスを発揮する。 そのため、競争が激しくなると感じているはずだ」と、誰がどこで出てもおかしくない状況が作れるということを示唆した。 ポステコグルー監督が築いたスタイルを、マスカット監督が進化させている横浜FM。川崎Fの3連覇を阻止する急先鋒は変幻自在の“トリコロール”かもしれない。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2022.03.07 06:45 Mon
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