あまり悲観的にはなりたくないけど…/原ゆみこのマドリッド
2021.12.04 20:00 Sat
「これ以上、絶対、差は広げられないわよね」そんな風に私が慄いていたのは金曜日、ようやく3日間に渡るコパ・デル・レイ1回戦が終わり、週末のリーガ16節に向けて、順位表を見直していた時のことでした。いやあ、1月のスペイン・スーパーカップに出場する昨季リーガ優勝、準優勝のマドリッドの両雄、コパ優勝、準優勝のバルサ、アスレティックは32強対決までシードされていた上、その他のマドリッド勢1部2部チームの試合も自宅のTVで見られなかったため、まだあまり、コパには感慨が沸かないんですけどね。
そのコパウィークに1試合だけ、10月の代表戦週間後、延期されたリーガ9節がゲリラ開催。しかもレアル・マドリーがアスレティックを破り、首位固めに成功したせいで、前節は勝ち点差4で2位だったアトレティコが何もできず、手をこまねいて見ているうちに勝ち点差7の2位になってしまうって、ちょっとショックじゃありません?
おまけに来週末にはサンティアゴ・ベルナベウでのマドリーダービーも控えていて、そこで負ければ勝ち点差が10に。更に仕事納めの22日にはアトレティコが延期分の9節グラナダ戦、マドリーが今度はサン・マメスで、スペイン・スーパーカップ期間中に当たる21節のアスレティック戦を先取り開催するため、そこでも吉凶が分かれたら、差が13に広がる可能性もあるんですよ。となると現在7位で、それこそ首位との勝ち点差が13あるバルサと同列になってしまう訳で、いえ、これはもちろん最悪が積み重なった場合の計算なんですけどね。チャビ監督こそ、まだ希望を失っていないとはいえ、年内にこれだけ差がつくと、もう逆転優勝なんて、アトレティコには夢にも思えなくなりそうなのが、とにかく今は怖いんですが…。
まあ、そんな暗い予想をしていても仕方ないので、水曜のアスレティック戦がどうだったか、お話ししていくことにすると。夕方に激しく降っていた雨もサンティアゴ・ベルナベウに向かう頃にはすっかり上がり、改装工事中で記者席の上には屋根ではなく、日差しよけのような天幕しかないのを心配していたのも杞憂に終わったんですが、やはり最近は試合が立て込んでいるからですかね。ローテーションもあまりしていないせいもあるのか、「La primera parte parecía una exhibición, jugamos sin punch/ラ・プリメーラ・パルテ・パレシア・ウナ・エクシビシオン、フガモス・シン・プンチ(前半はエキシビションマッチのようで、ウチはパンチ力なしでプレーしていた)」とアンチェロティ監督も後で認めていたような、チャンスに乏しいマドリーだったんですが、大丈夫。彼らにはツキがあったんですよ。
というのもアスレティックのエース、ウィリアムスが、うーん、もうトップチームで8年目、27才とベテランの域に入っているはずなんですけどね。スピードもあるし、マーク外しもできるのに課題の決定力不足がいまだに克服できず、この日も前半だけで3度もシュートに失敗してくれたから。逆に遠めから狙っていったマドリーは40分、アセンシオがエリア前から撃ったボールをGKウナイ・シモンは弾いたものの、跳ね返りがモドリッチの前に。その渾身のシュートが大失敗で、ボールは横に飛んでしまったんですが、いや、ホント、ラッキーですよね。丁度いいところにベンゼマがいて、先制点を挙げてくれたとなれば、スタンドから、「Balon de oro, Karim, balon de oro/バロン・デ・オロ、カリム、バロン・デ・オロ(ベンゼマはバロンドール賞)」というカンティコが聞こえてきたのも当然だった?
結局、そのまま1-0でマドリーが勝った後、改装工事が始まって以来、というか、コロナ禍による無観客試合をエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)でずっとプレーしていた昨季が終わり、ベルナベウに戻って来て以来、初めて私が入ることができたミックスゾーンでは、同業のスペイン代表守護神でもあるウナイ・シモンがマスク着用でマスコミに応対。「el partido de hoy sin Courtois no hubieran sumado ni un punto/エル・パルティードー・デ・オイ・シン・クルトワ・ノー・ウビエラン・スマードー・ニ・ウン・プント(今日の試合、クルトワがいなかったら、彼らは勝ち点1も取れてなかっただろう)」とシャッポを脱いでいたんですけどね。
ちなみにその新しいミックスゾーンでは、いきなりアスレティック番のラジオ記者が自撮り棒でセルフィーしているかと思えば、いきなりマルセリリーノ監督への質問を始めて、ビックリさせられるなんてことも。いやあ、新装オープンしたプレスコンフェレンスルームもすぐ近くにあったんですが、ワンダ・メトロポリターノでの試合後のお隣さんとは違い、マドリーでは記者会見がいまだにZoom越し。おかげで監督、選手どちらのコメントも1人でカバーできてしまうというのはいいのか、仕事が増えて大変なのか、わかりませんが、まあ確かに私もコロナ前は2つの場所を何度も行ったり来たりして、落ち着きませんでしたからね。
当のマルセリーノ監督は、「チームがあれだけ努力して、まったく成果が得られないと絶望的な気持ちになることがある。それもte mete un gol en dos rechaces y nosotros hacemos muchas ocasiones claras/テ・メテ・ウン・ゴル・エン・ドス・レチャセス・イ・ノソトロス・アセモス・ムーチャス・オカシオネス・クラーラス(相手のゴールは2度もリバウンドしてのものだし、ウチには沢山の絶好機があったというのに)」と嘆いていたんですが、サッカーはゴールをより多く入れたチームが勝つスポーツ。「Hemos sufrido los últimos 20 minutos/エモス・スフリードー・ロス・ウルティモス・ベインテ・ミヌートス(ウチはラストの20分間、苦しんだ)」とアンチェロッティ監督も認めていたマドリーながら、これでもう7連勝ともなれば、誰も文句なんて言えませんよね。
一方、まだ選手をミックスゾーンに派遣する気のないマドリーは、中継局のフラッシュインタビューにクルトワが登場。「相手のプレスを抜けられたら、2点目も3点目も入れられたんだけどね。それをやらなかったから」と話していましたが、前節は先週金曜にグラナダ戦をプレーしたアスレティックに比べて、マドリーは日曜にセビージャ戦で休養が2日も少なかったことも大きかったかと。それでも3位だったセビージャにも終盤にビニシウスのゴールで2-1と勝利していますし、次の土曜午後9時(日本時間翌午前5時)からはアトレティコと同じ勝ち点で今は3位のレアル・ソシエダ戦。
今度の相手は同じ水曜にコパのパナデリア・プリドー(RFEF3部/実質5部)戦をカナリア諸島まで行ってプレーしていますしね。アンチェロティ監督がクロース、モドリッチ、そしてあとイエローカード1枚で累積警告になるカセミロら、鉄板の中盤を始め、ほとんどローテーションをしていないのは少々、体力的に心配ですが、来週ミッドウィークのCL最終節インテル戦はすでに突破が決定済みで、引分けで1位という楽なシチュエーション。そこへマドリーダービー到来と、リーガはトップ争いの直接対決ばかり続くんですから、こんなに効率的にライバルと差をつけられる巡り合わせ、利用しない手はない?
え、となると、お隣さんの試合の直前の土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)、ワンダ・メトロポリターノにマジョルカを迎えるアトレティコはかなりプレッシャーにさらされているんじゃないかって?うーん、金曜にマハダオンダ(マドリッド近郊)に練習を見に行った限りでは、多分、前節は久々に1-4とgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)でカディスに勝ったせいですかね。皆、楽しそうにフィジカルコーチのプロフェ・オルテガが考案する複雑なパス回し&ミニゴールへのシュートゲームをやっていましたが、この5日間に「seguir con el juego ofensivo y recuperar la solidez defensiva/セギール・コン・エル・フエゴ・オフェンシボ・イ・レクペラール・ラ・ソリデス・デフェンシバ(攻撃的なプレーを続け、守備的な堅固さを回復する)」というシメオネ監督の課題が達成できたかは不明。
メンバー的にはカラスコ、ヒメネスがケガで休場、代わってジョアン・フェリックスがいよいよ復帰しますが、巷では今週はメッシにトロフィーを渡す役目を果たしに、パリでのバロンドール授与式に行っていたルイス・スアレスを来週火曜のCL生き残り、もしくはEL参加が懸かったポルト戦に備えて温存、クーニャ初先発の噂もチラホラと。ちなみに相手のマジョルカは水曜にはアトレティコの夏の恒例、地獄のロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)キャンプの後、よく最初のプレシーズンマッチをしているヒムナスティカ・セゴビアーナ(RFEF2部/実質4部)とコパ1回戦をプレー。0-0のまま入った延長戦でアンヘルが2ゴールを挙げ、0-2で勝ち抜いた後、島には戻らず、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設で練習していたんですが、そのコパでは控えで出番のなかった久保建英選手のスタメン復帰があるかもしれませんよ。
そして日曜にはラージョがエスタディオ・バジェカスでエスパニョールに挑むんですが、格下相手のコパ序盤ラウンドは全てアウェイゲームというのも内弁慶の気味がある彼らには影響したんでしょうか。木曜のギフエラ(RFEF3部/実質5部)戦では前半4分にポソが先制ゴールを挙げながら、19分に同点にされると、ケビン・ロドリゲスの退場などもあって、トレホやイシら、レギュラーを投入しても勝ち越し点が奪えず。延長戦でも1-1のままで、最後はジダン監督の次男、GKルカがPK戦で敵の最後のキッカーを止め、セルジ・グアルディオラが決めてくれたため、3-4で勝利できましたが、まあ、水曜にプレーしたエスパニョールもソラレス(RFEF3部)と2-3の接戦でしたからね。
どっちもどっちという感じですが、やはりこの試合、ファンにとって楽しみなのは懐かしい選手の顔が見られること。ええ、昨季23ゴールで2部得点王に輝き、11月はスペイン代表でもデビューしたラウール・デ・トマスはラージョが降格した2019年まで、バジェカスのヒーローでしたし、2020年1月にエスパニョールに移籍し、2年連続の最下位降格を経験したエンバルバはラージョ育ちのカンテラーノ(ユースチーム出身の選手)。その2人の力もあって、最速Uターンしたエスパニョールと苦節2年、プレーオフで昇格したイラオラ監督のチームの対決となれば、盛り上がらない訳がありませんって。何はともあれ、今季まだホームで黒星がないラージョですから、ファルカオが出られる、出られないを別にしても、EL出場圏の6位は維持してくれるんじゃないかと思いますが…。
そしてもう1つの弟分、ヘタフェは月曜試合で、またマドリッド遠征となるアスレティックをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎えるんですが、実はコパ1回戦参加の1部16チームはまだどこも敗退しておらず、彼らも火曜にモレルサ(カタルーニャ地方リーグ1部/実質6部)に1-5と快勝しています。リーガ前節のマジョルカ戦ではゴールが生まれず、スコアレスドローと、あと勝ち点2に迫った降格圏脱出への快進撃に足踏みしてしまったんですが、コパでハットトリック達成のマタやヘタフェ初ゴールを挙げたダリオ・ポベダ(アトレティコからレンタル移籍)ら、エネス・ウナル以外のFWにも得点が期待できるようになったのは朗報かと。
とりあえず、金曜の抽選で決まったアトレティコ・バレアレス(RFEF1部/実質3部)とのコパ2回戦は16日の木曜と、来週は余裕ができるため、ホーム3連勝できるよう、ここはキケ・サンチェス・フローレス監督のチームには全力を尽くしてもらいたいところ。そうそう、ラージョもコパ2回戦のベルガンティーニョス(RFEF2部/実質4部)戦が15日にあるんですが、前節16位に上昇したレガネスはともかく、まだ降格圏にいる19位のフエンラブラダ、最下位のアルコルコンのマドリッド2部弟分チームたちも揃って2回戦に進んでしまったのは負担が増えそうで、ちょっと心配です。
そのコパウィークに1試合だけ、10月の代表戦週間後、延期されたリーガ9節がゲリラ開催。しかもレアル・マドリーがアスレティックを破り、首位固めに成功したせいで、前節は勝ち点差4で2位だったアトレティコが何もできず、手をこまねいて見ているうちに勝ち点差7の2位になってしまうって、ちょっとショックじゃありません?
おまけに来週末にはサンティアゴ・ベルナベウでのマドリーダービーも控えていて、そこで負ければ勝ち点差が10に。更に仕事納めの22日にはアトレティコが延期分の9節グラナダ戦、マドリーが今度はサン・マメスで、スペイン・スーパーカップ期間中に当たる21節のアスレティック戦を先取り開催するため、そこでも吉凶が分かれたら、差が13に広がる可能性もあるんですよ。となると現在7位で、それこそ首位との勝ち点差が13あるバルサと同列になってしまう訳で、いえ、これはもちろん最悪が積み重なった場合の計算なんですけどね。チャビ監督こそ、まだ希望を失っていないとはいえ、年内にこれだけ差がつくと、もう逆転優勝なんて、アトレティコには夢にも思えなくなりそうなのが、とにかく今は怖いんですが…。
というのもアスレティックのエース、ウィリアムスが、うーん、もうトップチームで8年目、27才とベテランの域に入っているはずなんですけどね。スピードもあるし、マーク外しもできるのに課題の決定力不足がいまだに克服できず、この日も前半だけで3度もシュートに失敗してくれたから。逆に遠めから狙っていったマドリーは40分、アセンシオがエリア前から撃ったボールをGKウナイ・シモンは弾いたものの、跳ね返りがモドリッチの前に。その渾身のシュートが大失敗で、ボールは横に飛んでしまったんですが、いや、ホント、ラッキーですよね。丁度いいところにベンゼマがいて、先制点を挙げてくれたとなれば、スタンドから、「Balon de oro, Karim, balon de oro/バロン・デ・オロ、カリム、バロン・デ・オロ(ベンゼマはバロンドール賞)」というカンティコが聞こえてきたのも当然だった?
ただ、マドリーのゴールはこれで打ち止めで、後半になるとアスレティックがどんどん攻めてきたため、そのうち追いつかれるんじゃないかと思ったんですけどね。デ・マルコスのシュートはその日、カルバハルに代わって左SBに入ったルーカス・バスケスがクリア、ベスガのヘッドもミリトンに当たってしまい、サンセットの至近距離シュートもGKクルトワがparaodn(パラドン/スーパーセーブ)。いやあ、彼は前半にもラウール・ガルシアのヘッドを止めていたんですが、これはアンチェロッティ監督によると、そう驚く程のことでもないよう。「クルトワが試合でやるのは練習で毎日やっていること。A veces le digo que dé mas confianza a los delanteros, porque lo para todo…/ア・ベセス・レ・ディゴ・ケ・デ・マス・コンフィアンサ・ア・ロス・デランテーロス、ポルケ・ロ・パラ・トードー(時々、彼にはもっとFWたちに自信をつけさせてやってくれと言うんだ。全部、止めちゃうからね)」と言っていましたが、いやいや。
結局、そのまま1-0でマドリーが勝った後、改装工事が始まって以来、というか、コロナ禍による無観客試合をエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)でずっとプレーしていた昨季が終わり、ベルナベウに戻って来て以来、初めて私が入ることができたミックスゾーンでは、同業のスペイン代表守護神でもあるウナイ・シモンがマスク着用でマスコミに応対。「el partido de hoy sin Courtois no hubieran sumado ni un punto/エル・パルティードー・デ・オイ・シン・クルトワ・ノー・ウビエラン・スマードー・ニ・ウン・プント(今日の試合、クルトワがいなかったら、彼らは勝ち点1も取れてなかっただろう)」とシャッポを脱いでいたんですけどね。
ちなみにその新しいミックスゾーンでは、いきなりアスレティック番のラジオ記者が自撮り棒でセルフィーしているかと思えば、いきなりマルセリリーノ監督への質問を始めて、ビックリさせられるなんてことも。いやあ、新装オープンしたプレスコンフェレンスルームもすぐ近くにあったんですが、ワンダ・メトロポリターノでの試合後のお隣さんとは違い、マドリーでは記者会見がいまだにZoom越し。おかげで監督、選手どちらのコメントも1人でカバーできてしまうというのはいいのか、仕事が増えて大変なのか、わかりませんが、まあ確かに私もコロナ前は2つの場所を何度も行ったり来たりして、落ち着きませんでしたからね。
当のマルセリーノ監督は、「チームがあれだけ努力して、まったく成果が得られないと絶望的な気持ちになることがある。それもte mete un gol en dos rechaces y nosotros hacemos muchas ocasiones claras/テ・メテ・ウン・ゴル・エン・ドス・レチャセス・イ・ノソトロス・アセモス・ムーチャス・オカシオネス・クラーラス(相手のゴールは2度もリバウンドしてのものだし、ウチには沢山の絶好機があったというのに)」と嘆いていたんですが、サッカーはゴールをより多く入れたチームが勝つスポーツ。「Hemos sufrido los últimos 20 minutos/エモス・スフリードー・ロス・ウルティモス・ベインテ・ミヌートス(ウチはラストの20分間、苦しんだ)」とアンチェロッティ監督も認めていたマドリーながら、これでもう7連勝ともなれば、誰も文句なんて言えませんよね。
一方、まだ選手をミックスゾーンに派遣する気のないマドリーは、中継局のフラッシュインタビューにクルトワが登場。「相手のプレスを抜けられたら、2点目も3点目も入れられたんだけどね。それをやらなかったから」と話していましたが、前節は先週金曜にグラナダ戦をプレーしたアスレティックに比べて、マドリーは日曜にセビージャ戦で休養が2日も少なかったことも大きかったかと。それでも3位だったセビージャにも終盤にビニシウスのゴールで2-1と勝利していますし、次の土曜午後9時(日本時間翌午前5時)からはアトレティコと同じ勝ち点で今は3位のレアル・ソシエダ戦。
今度の相手は同じ水曜にコパのパナデリア・プリドー(RFEF3部/実質5部)戦をカナリア諸島まで行ってプレーしていますしね。アンチェロティ監督がクロース、モドリッチ、そしてあとイエローカード1枚で累積警告になるカセミロら、鉄板の中盤を始め、ほとんどローテーションをしていないのは少々、体力的に心配ですが、来週ミッドウィークのCL最終節インテル戦はすでに突破が決定済みで、引分けで1位という楽なシチュエーション。そこへマドリーダービー到来と、リーガはトップ争いの直接対決ばかり続くんですから、こんなに効率的にライバルと差をつけられる巡り合わせ、利用しない手はない?
え、となると、お隣さんの試合の直前の土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)、ワンダ・メトロポリターノにマジョルカを迎えるアトレティコはかなりプレッシャーにさらされているんじゃないかって?うーん、金曜にマハダオンダ(マドリッド近郊)に練習を見に行った限りでは、多分、前節は久々に1-4とgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)でカディスに勝ったせいですかね。皆、楽しそうにフィジカルコーチのプロフェ・オルテガが考案する複雑なパス回し&ミニゴールへのシュートゲームをやっていましたが、この5日間に「seguir con el juego ofensivo y recuperar la solidez defensiva/セギール・コン・エル・フエゴ・オフェンシボ・イ・レクペラール・ラ・ソリデス・デフェンシバ(攻撃的なプレーを続け、守備的な堅固さを回復する)」というシメオネ監督の課題が達成できたかは不明。
メンバー的にはカラスコ、ヒメネスがケガで休場、代わってジョアン・フェリックスがいよいよ復帰しますが、巷では今週はメッシにトロフィーを渡す役目を果たしに、パリでのバロンドール授与式に行っていたルイス・スアレスを来週火曜のCL生き残り、もしくはEL参加が懸かったポルト戦に備えて温存、クーニャ初先発の噂もチラホラと。ちなみに相手のマジョルカは水曜にはアトレティコの夏の恒例、地獄のロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)キャンプの後、よく最初のプレシーズンマッチをしているヒムナスティカ・セゴビアーナ(RFEF2部/実質4部)とコパ1回戦をプレー。0-0のまま入った延長戦でアンヘルが2ゴールを挙げ、0-2で勝ち抜いた後、島には戻らず、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設で練習していたんですが、そのコパでは控えで出番のなかった久保建英選手のスタメン復帰があるかもしれませんよ。
そして日曜にはラージョがエスタディオ・バジェカスでエスパニョールに挑むんですが、格下相手のコパ序盤ラウンドは全てアウェイゲームというのも内弁慶の気味がある彼らには影響したんでしょうか。木曜のギフエラ(RFEF3部/実質5部)戦では前半4分にポソが先制ゴールを挙げながら、19分に同点にされると、ケビン・ロドリゲスの退場などもあって、トレホやイシら、レギュラーを投入しても勝ち越し点が奪えず。延長戦でも1-1のままで、最後はジダン監督の次男、GKルカがPK戦で敵の最後のキッカーを止め、セルジ・グアルディオラが決めてくれたため、3-4で勝利できましたが、まあ、水曜にプレーしたエスパニョールもソラレス(RFEF3部)と2-3の接戦でしたからね。
どっちもどっちという感じですが、やはりこの試合、ファンにとって楽しみなのは懐かしい選手の顔が見られること。ええ、昨季23ゴールで2部得点王に輝き、11月はスペイン代表でもデビューしたラウール・デ・トマスはラージョが降格した2019年まで、バジェカスのヒーローでしたし、2020年1月にエスパニョールに移籍し、2年連続の最下位降格を経験したエンバルバはラージョ育ちのカンテラーノ(ユースチーム出身の選手)。その2人の力もあって、最速Uターンしたエスパニョールと苦節2年、プレーオフで昇格したイラオラ監督のチームの対決となれば、盛り上がらない訳がありませんって。何はともあれ、今季まだホームで黒星がないラージョですから、ファルカオが出られる、出られないを別にしても、EL出場圏の6位は維持してくれるんじゃないかと思いますが…。
そしてもう1つの弟分、ヘタフェは月曜試合で、またマドリッド遠征となるアスレティックをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎えるんですが、実はコパ1回戦参加の1部16チームはまだどこも敗退しておらず、彼らも火曜にモレルサ(カタルーニャ地方リーグ1部/実質6部)に1-5と快勝しています。リーガ前節のマジョルカ戦ではゴールが生まれず、スコアレスドローと、あと勝ち点2に迫った降格圏脱出への快進撃に足踏みしてしまったんですが、コパでハットトリック達成のマタやヘタフェ初ゴールを挙げたダリオ・ポベダ(アトレティコからレンタル移籍)ら、エネス・ウナル以外のFWにも得点が期待できるようになったのは朗報かと。
とりあえず、金曜の抽選で決まったアトレティコ・バレアレス(RFEF1部/実質3部)とのコパ2回戦は16日の木曜と、来週は余裕ができるため、ホーム3連勝できるよう、ここはキケ・サンチェス・フローレス監督のチームには全力を尽くしてもらいたいところ。そうそう、ラージョもコパ2回戦のベルガンティーニョス(RFEF2部/実質4部)戦が15日にあるんですが、前節16位に上昇したレガネスはともかく、まだ降格圏にいる19位のフエンラブラダ、最下位のアルコルコンのマドリッド2部弟分チームたちも揃って2回戦に進んでしまったのは負担が増えそうで、ちょっと心配です。
|