勝ったチームも負けたチームも課題がある…/原ゆみこのマドリッド
2021.11.06 20:01 Sat
「何か幽霊部員みたいだわ」そんな風に私が呟いていたのは金曜日、レアル・マドリーのアンチェロッティ監督が2日前からチーム練習に合流したベイルについて、「明日の招集リストには入らないが、ウェールズ代表には行って、そこでプレーするかどうか、判断してもらう」とラージョ戦前日記者会館で言っているのを聞いた時のことでした。いやあ、思い起こせば、リーガ開幕から3試合連続出場した後、9月にウェールズのW杯予選でプレーして戻って来た当人は、サンティアゴ・ベルナベウの全面改装工事により、遅めの初ホームゲームとなったセルタ戦直前に負傷。10月の代表戦週間はリハビリ真っ只中でマドリッドに居残ったものの、ようやくバルデベバス(バラハス空港の近く)でのセッションビデオに姿が映るようになったと思いきや、計ったように代表戦で復帰って、もしや、またケガして帰って来たりしない?
まあ、現在、チェコと同勝ち点で3位にいるウェールズはこの11月のベラルーシ戦、そして同僚のアザールとキャプテン対決となるベルギー戦の結果次第では、2位で来年3月のプレーオフに進めますからね。ベイルが張り切る気もわかりますが、実は負傷明けで、まだ本調子ではないにも関わらず、母国へのご奉仕に駆り出される選手は彼だけではなし。ええ、丁度、金曜に発表となったスペイン代表の招集リストにも長期離脱の後、まだ数試合しかプレーしていないカルバハルも呼ばれちゃったんですよ。その代わりに10月に準優勝したネーションズカップ・ファイナルフォーでいい働きをしたマルコス・アロンソ(チェルシー)が落ちてしまうのも何ですが、バルサのFWアンス・ファティの場合は仕方ない面も。
というのも、昨夏はユーロ、オリンピックと立て続けに国際大会があった影響もあるんでしょうかね。スペイン代表ではオジャルサバル(レアル・ソシエダ)、フェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)、ジェラール・モレノ(ビジャレアル)ら、常連FWが負傷中。入れ替わりのように治ったアンス、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)、モラタ(ユベントス)が招集されたんですが、実は彼らも現在、スウェーデンと勝ち点差2の2位で、いえ、ネーションズリーグ・ファイナルフォーに出たおかげで一応、3位になってもプレーオフへの参加は保証されているんですけどね。できれば、来年3月はW杯出場の懸かった準決勝、決勝の2試合に挑むより、まったり親善試合で過ごしたいという思惑もあってか、ルイス・エンリケ監督も11月のギリシャ、スウェーデン戦に連勝して、1位突破といきたいようなんですが、果たして今回はケガ人を出さずに済むのでしょうか。
え、それより今週はCLグループリーグの4節があったんじゃないかって?その通りで、水曜は私もサンティアゴ・ベルナベウに出動。シャフタール戦はCLの早い時間帯のキックオフだったため、まだマシだったんですが、最近はマドリッドも一気に冬モードに気温が低下、しかも改装中のベルナベウには例年、観客の強い味方となっていた暖房がないため、かなり寒い思いをしたんですが、そのせいもあったんですかね。前半9分早々にシャルフタールのシュートがゴールポストに当たるという、ヒヤリとするシーンがあった後、14分にはGKトゥルビンが返したボールをCBマルロンが不可解にも逃し、それを奪ったビニシウスがガラ空きのゴール前にいたベンゼマにパスして、幸運な先制点を挙げたマドリーだったものの、それから妙にペースが落ちてねえ。
シャフタールに反撃されるがままになっていたため、キャパ100%の5万人には及ばないとはいえ、3万8000人の今季最多の入りを記録したスタンドのファンからはpito(ピト/ブーイング)が聞こえてくることに。更に悪いことに39分にはアラン・パトリックが胸で落としたロングボールをフェルナンドがエリア内から撃ち込んで、同点ゴールを奪われているとなれば、場内がシンとなってしまったのも仕方なかったかと。おかげでワンダ・メトロポリターノなどでは考えられない、有観客でありながら、声援するのはFondo sur/フォンド・スール(ゴール裏南側席)に陣取った応援団だけというベルナベウ特有の環境のせいもあって、3階席にいた私にも選手たちの声が聞こえてくるって、これじゃ、まるでブタルケやコリセウム・アルフォンソ・ペレスみたいじゃないですか。
そのベンゼマも34分にはお役御免となり、というか、この試合はカルバハルがナチョに、ベンゼマがヨビッチに代わっだけで終わってしまったんですが、ロスタイムにもクルトワのセーブで難を逃れるなど、何せ、相手は昨季のグループリーグで2連敗を喰らったシャフタールですからね。2-1で勝てたのは良かったですが、最近、ベルナベウに行くたびにファンのブーイングを聞くのも辛いもの。いえ、経験豊富なアンチェロッティ監督など、「es bueno que la afición nos despierte con algunos pitos/エス・ブエノ・ケ・ラ・アフィシオン・ノス・デスピエルテ・コン・アルグーノス・ピトス(ファンがブーイングで私たちを目覚めさせてくるのはいいことだ)」と平然としていましたけどね。
打撲と疲労で途中交代したベンゼマも「lo más importante son los tres puntos, no siempre se puede jugar bien/ロ・マス・インポルタンテ・ソン・ロス・トレス・プントス、ノー・シエンプレ・セ・プエデ・フガール・ビエン(大事なのは勝ち点3だし、常にいいプレーをすることはできない)」と開き直っていたんですが、まあ、確かにねえ。同日、シェリフがインテルに1-3と負けたのもあり、この勝利でマドリーは単独首位になれましたし、次節、モルドバでのシェリフ戦で勝てば、突破が確定。引分けても最終戦のインテル戦であと勝ち点1を取れば、決勝トーナメントに行けるとなれば、もう年内はCLで頭を煩わすこともなく、リーガに専念できるかと思いますが、そんな彼らが土曜午後9時(日本時間翌午前5時)に迎えるのは弟分のラージョ。
ちなみにイラオラ監督のチームは前節、エスタディオ・バジェカスでのセルタ戦でスコアレスドローとし、今季初めてホームの勝ち点を失ったんですが、アウェイでは1勝1分4敗とあまり稼いでおらず。それでも堂々たるリーガ6位となれば、いくら、ベルナベウで勝ったのが、1995-96シーズンの1度しかないとはいえ、今回はファルカオの勇姿を見るため、大勢のコロンビア人ファンも駆けつけそうですからね。決して油断はできないんですが、2節前、バルサに1-0で勝利したスタメンをリピートすると言われているラージョに対して、不明なのはアンチェトッティ監督がこの試合、ローテーションするのかどうか。バルベルデが負傷でいない中盤はクロース、モドリッチ、カセミロの一択しかないんですが、何せ、ベルギー代表のネーションズリーグ・ファイナルフォー準決勝でのケガから回復しているアザールなど、もう2試合もプレーしていませんからね。
もちろんアンチェロッティ監督も「En un 4-3-3 su sitio es la izquierda, hay que ver si puede jugar en la derecha/エン・ウン・クアトロ・トレス・トレス・ス・シティオ・エス・ラ・イスキエルダ、アイ・ケ・ベル・シー・プエデ・フガール・エン・ラ・デレッチャ(4-3-3のシステムで彼の場所は左だが、右でもプレーできるか、見てみないと)」と話していたように、最近のマドリーの前線3人の左側はビニシウスの独壇場。そのビニシウスこそが、右でもプレーできたらと言われていた時代もあったものですが、実質、現在、ローテーションが可能なのは負傷でロドリゴがいない右側しかありませんからね。そうでもして使わないと、それこそアザールもベルギー代表専従で第2のベイルになってしまいかねない?
まあ、その辺はキックオフまでのお楽しみすることにして、同じ水曜日、超特急でベルナベウを後にして、自宅近くのバル(スペインの喫茶店兼バー)で前半10分頃から、見ることができたお隣さんのCL戦はどうだったかというと。これがまあ、私が席に落ち着くやいなや、悲劇がスタートして、13分にはアレクサンドル・アーノルドのクロスから、ジオゴ・ジョタのヘッドが決まり、リバプールに先んじられてしまったから、呆気に取られたの何のって。おまけに21分にもその光景は繰り返され、今度はアーノルドのラストパスをマネがシュート。どちらもフェリペのカバーが遅れたのが原因でしたが、まったくこの人たち、10月のワンダ・メトロポリターノでの対戦でも序盤から、2点を取られてしまったのを忘れてしまった?
うーん、トリッピアーなど、試合前、「ウチの守備に問題があるとは思わない。ゴールは幾つか入れられたけど、大部分はPKだったからね」と言っていたんですけどね。いやいや、真実はGKオブラクも後で「Nos han marcado dos goles muy fáciles, no puede pasar eso/ノス・アン・マルカードー・ドス・ゴーレス・ムイ・ファシレス、ノー・プエデ・パサール・エソ(ウチはとても簡単に2ゴールを奪われてしまったが、そんなことはあってはいけない)」と反省していた通りですよ。昨季のCL16強対決チェルシー戦で退場したサビッチが出場停止処分4試合目の最後だったのも重なって、問題ありありの上、その日はホームゲームで2ゴールを入れて、同点にしてくれたグリーズマンが出場停止。
それだけでも十分、お先真っ暗だったのに、まるでデジャブのように36分にはリバプールのカウンターを止めようと、マネに後ろからタックルをしたフェリペがレッドカードをもらうとは、ちょっとお、後半序盤に退場したグリーズマンを比べてもあまりに早すぎません?大体がして、今季のCLでのジャッジではアトレティコは割を喰らうことが多くて、この日も後半にはジョタがトリッピアーの頭を蹴ったのにイエローカード止まり。マネの顔に足が触れたグリーズマンがレッドだったことを考えると、不公平極まりませんが、ポルトとの初戦では同じようなタックルをした相手の選手がイエローだったという例もあるのだとか。
ただ、この日のVAR(ビデオ審判)はアトレティコをそれ以上のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)から守ってくれて、後半2分に入ったジョタのゴールはオフサイドで認められず。逆に11分にはデ・パウルのFKをヒメネスがヘッドで戻し、ルイス・スアレスがvolea(ボレア/ボレーシュート)で一矢を報いながら、こちらもオフサイドがバレてしまいましたけどね。その直後から、もう勝負は諦め、点差を広げないことに専念することにしたか、シメオネ監督はスアレス、ジョアン・フェリックス、カラスコ、コレアとスタメンアタッカーたちをロディ、エレーラ、ベルサイコ、更には18才のカンテラーノ(アトレティコBの選手)、ハビ・セラーノへと次々と交代。何とか守り切ったアトレティコは2-0で負けるだけで済んだんですが、これは同日、ミランに追いつかれ、2位のポルトが1-1で終了。勝ち点差1しかつけられていないことを考えると、とっても大事なことなんです。
というのも次節はワンダにミランを迎え、最終節にポルトとアウェイで対決するアトレティコにはまだ十分、突破の可能性が残されていて、最後はポルトと同じ勝ち点で、得失点差で順位が決まる可能性もあるから。もちろん、2シーズン前のCL16強対決2ndレグ延長戦で劇的な勝利を挙げたアンフィールドの思い出が悪夢に変わってしまったのは残念ですが、実際、その時のヒーロー、マルコス・ジョレンテも今回は負傷中でいませんでしたからね。ここはシメオネ監督も「Silencio, trabajar, estar juntos/シレンシオ、トラバハール、エスタル・フントス(沈黙、努力すること、団結すること)」と言っていたように、処分明けのグリーズマンとサビッチ、おそらくジョレンテとレマルも戻って来られるミラン戦まで、地道にリーガに集中するしかありませんが…。
そんなアトレティコは今週末、日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)から、メスタジャでバレンシアとぶつかるんですが、どういう偶然か、その前の時間帯では弟分のヘタフェも近隣のカステジョンにあるラ・セラミカでビジャレアルと対戦。実はこちらにはいいニュースもあって、ビトロとサンドロのケガが治り、いよいよ復帰できそうなんですが、相手は火曜のCLヤング・ボーイズ戦で2-0と快勝し、マンチェスター・ユナイテッドと同じ勝ち点で首位に立っただけでなく、エメリ監督のニューキャッスル行きの噂にもあっさりケリがついちゃいましたからねえ。前節のエスパニョール戦勝利でようやく今季1勝目を挙げ、これからいよいよ降格圏脱出に本腰を入れようとしているキケ・サンチェス・フローレス監督のチームには幸運を祈るばかりかと。
そして最後に2部の弟分レガネスについてもちょっと触れておくと、いやあ、私がブタルケに観戦に行った火曜、ミッドウィーク開催のカルタヘナ戦はいきなり降りだした大雨の中、柴崎岳選手と岡崎慎司選手のスタメン対決は実現したんですが、結果は1-1の引分けに。先週末、解任となったアシエル・ガリターノ監督から引き継いだナフティ監督は初陣を飾ることができませんでしたが、金曜にはとうとうウエスカにランディエロビッチと、試合当日、兄弟の結婚式参列のため、午前練習をすっぽかし、前任者に干されていたボルハ・ガルセスの面目躍如のゴールで0-2と、8試合ぶりに白星を挙げることに。
といってもまだ降格圏は出ていないんですが、ふと見ると、いつの間にやら、境界線の18位にいるのが近隣の同僚フエンラブラダで、差が勝ち点1だけなのはちょっとショックなんですが、何せレガネスも毎回、先発している柴崎選手が日本代表出向で、来週日曜のオビエド戦に出られませんからね。おまけに弟分仲間のアルコルコンなど、木曜にもジローナに3-1で負け、22チーム中、唯一の勝ち点一桁という惨状で、最下位の深みにどんどんはまっていくばかりなのは悲しいんですが…どこも早いうち風向きが変わってほしいものです。
まあ、現在、チェコと同勝ち点で3位にいるウェールズはこの11月のベラルーシ戦、そして同僚のアザールとキャプテン対決となるベルギー戦の結果次第では、2位で来年3月のプレーオフに進めますからね。ベイルが張り切る気もわかりますが、実は負傷明けで、まだ本調子ではないにも関わらず、母国へのご奉仕に駆り出される選手は彼だけではなし。ええ、丁度、金曜に発表となったスペイン代表の招集リストにも長期離脱の後、まだ数試合しかプレーしていないカルバハルも呼ばれちゃったんですよ。その代わりに10月に準優勝したネーションズカップ・ファイナルフォーでいい働きをしたマルコス・アロンソ(チェルシー)が落ちてしまうのも何ですが、バルサのFWアンス・ファティの場合は仕方ない面も。
というのも、昨夏はユーロ、オリンピックと立て続けに国際大会があった影響もあるんでしょうかね。スペイン代表ではオジャルサバル(レアル・ソシエダ)、フェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)、ジェラール・モレノ(ビジャレアル)ら、常連FWが負傷中。入れ替わりのように治ったアンス、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)、モラタ(ユベントス)が招集されたんですが、実は彼らも現在、スウェーデンと勝ち点差2の2位で、いえ、ネーションズリーグ・ファイナルフォーに出たおかげで一応、3位になってもプレーオフへの参加は保証されているんですけどね。できれば、来年3月はW杯出場の懸かった準決勝、決勝の2試合に挑むより、まったり親善試合で過ごしたいという思惑もあってか、ルイス・エンリケ監督も11月のギリシャ、スウェーデン戦に連勝して、1位突破といきたいようなんですが、果たして今回はケガ人を出さずに済むのでしょうか。
シャフタールに反撃されるがままになっていたため、キャパ100%の5万人には及ばないとはいえ、3万8000人の今季最多の入りを記録したスタンドのファンからはpito(ピト/ブーイング)が聞こえてくることに。更に悪いことに39分にはアラン・パトリックが胸で落としたロングボールをフェルナンドがエリア内から撃ち込んで、同点ゴールを奪われているとなれば、場内がシンとなってしまったのも仕方なかったかと。おかげでワンダ・メトロポリターノなどでは考えられない、有観客でありながら、声援するのはFondo sur/フォンド・スール(ゴール裏南側席)に陣取った応援団だけというベルナベウ特有の環境のせいもあって、3階席にいた私にも選手たちの声が聞こえてくるって、これじゃ、まるでブタルケやコリセウム・アルフォンソ・ペレスみたいじゃないですか。
前半最後にはGKクルトワがフェルナンドのシュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)で防ぎ、1-1の同点のまま始まった後半もほとんど、攻めていたのはシャフタールの方だったんですが、大丈夫。16分にはマドリー選手の才能が一瞬の輝きを放ち、ビニシウスがカセミロとのワンツーでエリア内へ。最後はまたしてもベンゼマが決め、勝ち越し点を取ってくれたんですが、実はこれで彼、節目となるマドリーのCL1000本目、そして1001本目のゴールを挙げたことに。いやあ、このCL最多となるクラブ記録、2位はバイエルンで768本、3位がバルサで655本、アトレティコなど、148本で25位だなんて聞くと、本当に凄い数字に思えるかと。
そのベンゼマも34分にはお役御免となり、というか、この試合はカルバハルがナチョに、ベンゼマがヨビッチに代わっだけで終わってしまったんですが、ロスタイムにもクルトワのセーブで難を逃れるなど、何せ、相手は昨季のグループリーグで2連敗を喰らったシャフタールですからね。2-1で勝てたのは良かったですが、最近、ベルナベウに行くたびにファンのブーイングを聞くのも辛いもの。いえ、経験豊富なアンチェロッティ監督など、「es bueno que la afición nos despierte con algunos pitos/エス・ブエノ・ケ・ラ・アフィシオン・ノス・デスピエルテ・コン・アルグーノス・ピトス(ファンがブーイングで私たちを目覚めさせてくるのはいいことだ)」と平然としていましたけどね。
打撲と疲労で途中交代したベンゼマも「lo más importante son los tres puntos, no siempre se puede jugar bien/ロ・マス・インポルタンテ・ソン・ロス・トレス・プントス、ノー・シエンプレ・セ・プエデ・フガール・ビエン(大事なのは勝ち点3だし、常にいいプレーをすることはできない)」と開き直っていたんですが、まあ、確かにねえ。同日、シェリフがインテルに1-3と負けたのもあり、この勝利でマドリーは単独首位になれましたし、次節、モルドバでのシェリフ戦で勝てば、突破が確定。引分けても最終戦のインテル戦であと勝ち点1を取れば、決勝トーナメントに行けるとなれば、もう年内はCLで頭を煩わすこともなく、リーガに専念できるかと思いますが、そんな彼らが土曜午後9時(日本時間翌午前5時)に迎えるのは弟分のラージョ。
ちなみにイラオラ監督のチームは前節、エスタディオ・バジェカスでのセルタ戦でスコアレスドローとし、今季初めてホームの勝ち点を失ったんですが、アウェイでは1勝1分4敗とあまり稼いでおらず。それでも堂々たるリーガ6位となれば、いくら、ベルナベウで勝ったのが、1995-96シーズンの1度しかないとはいえ、今回はファルカオの勇姿を見るため、大勢のコロンビア人ファンも駆けつけそうですからね。決して油断はできないんですが、2節前、バルサに1-0で勝利したスタメンをリピートすると言われているラージョに対して、不明なのはアンチェトッティ監督がこの試合、ローテーションするのかどうか。バルベルデが負傷でいない中盤はクロース、モドリッチ、カセミロの一択しかないんですが、何せ、ベルギー代表のネーションズリーグ・ファイナルフォー準決勝でのケガから回復しているアザールなど、もう2試合もプレーしていませんからね。
もちろんアンチェロッティ監督も「En un 4-3-3 su sitio es la izquierda, hay que ver si puede jugar en la derecha/エン・ウン・クアトロ・トレス・トレス・ス・シティオ・エス・ラ・イスキエルダ、アイ・ケ・ベル・シー・プエデ・フガール・エン・ラ・デレッチャ(4-3-3のシステムで彼の場所は左だが、右でもプレーできるか、見てみないと)」と話していたように、最近のマドリーの前線3人の左側はビニシウスの独壇場。そのビニシウスこそが、右でもプレーできたらと言われていた時代もあったものですが、実質、現在、ローテーションが可能なのは負傷でロドリゴがいない右側しかありませんからね。そうでもして使わないと、それこそアザールもベルギー代表専従で第2のベイルになってしまいかねない?
まあ、その辺はキックオフまでのお楽しみすることにして、同じ水曜日、超特急でベルナベウを後にして、自宅近くのバル(スペインの喫茶店兼バー)で前半10分頃から、見ることができたお隣さんのCL戦はどうだったかというと。これがまあ、私が席に落ち着くやいなや、悲劇がスタートして、13分にはアレクサンドル・アーノルドのクロスから、ジオゴ・ジョタのヘッドが決まり、リバプールに先んじられてしまったから、呆気に取られたの何のって。おまけに21分にもその光景は繰り返され、今度はアーノルドのラストパスをマネがシュート。どちらもフェリペのカバーが遅れたのが原因でしたが、まったくこの人たち、10月のワンダ・メトロポリターノでの対戦でも序盤から、2点を取られてしまったのを忘れてしまった?
うーん、トリッピアーなど、試合前、「ウチの守備に問題があるとは思わない。ゴールは幾つか入れられたけど、大部分はPKだったからね」と言っていたんですけどね。いやいや、真実はGKオブラクも後で「Nos han marcado dos goles muy fáciles, no puede pasar eso/ノス・アン・マルカードー・ドス・ゴーレス・ムイ・ファシレス、ノー・プエデ・パサール・エソ(ウチはとても簡単に2ゴールを奪われてしまったが、そんなことはあってはいけない)」と反省していた通りですよ。昨季のCL16強対決チェルシー戦で退場したサビッチが出場停止処分4試合目の最後だったのも重なって、問題ありありの上、その日はホームゲームで2ゴールを入れて、同点にしてくれたグリーズマンが出場停止。
それだけでも十分、お先真っ暗だったのに、まるでデジャブのように36分にはリバプールのカウンターを止めようと、マネに後ろからタックルをしたフェリペがレッドカードをもらうとは、ちょっとお、後半序盤に退場したグリーズマンを比べてもあまりに早すぎません?大体がして、今季のCLでのジャッジではアトレティコは割を喰らうことが多くて、この日も後半にはジョタがトリッピアーの頭を蹴ったのにイエローカード止まり。マネの顔に足が触れたグリーズマンがレッドだったことを考えると、不公平極まりませんが、ポルトとの初戦では同じようなタックルをした相手の選手がイエローだったという例もあるのだとか。
ただ、この日のVAR(ビデオ審判)はアトレティコをそれ以上のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)から守ってくれて、後半2分に入ったジョタのゴールはオフサイドで認められず。逆に11分にはデ・パウルのFKをヒメネスがヘッドで戻し、ルイス・スアレスがvolea(ボレア/ボレーシュート)で一矢を報いながら、こちらもオフサイドがバレてしまいましたけどね。その直後から、もう勝負は諦め、点差を広げないことに専念することにしたか、シメオネ監督はスアレス、ジョアン・フェリックス、カラスコ、コレアとスタメンアタッカーたちをロディ、エレーラ、ベルサイコ、更には18才のカンテラーノ(アトレティコBの選手)、ハビ・セラーノへと次々と交代。何とか守り切ったアトレティコは2-0で負けるだけで済んだんですが、これは同日、ミランに追いつかれ、2位のポルトが1-1で終了。勝ち点差1しかつけられていないことを考えると、とっても大事なことなんです。
というのも次節はワンダにミランを迎え、最終節にポルトとアウェイで対決するアトレティコにはまだ十分、突破の可能性が残されていて、最後はポルトと同じ勝ち点で、得失点差で順位が決まる可能性もあるから。もちろん、2シーズン前のCL16強対決2ndレグ延長戦で劇的な勝利を挙げたアンフィールドの思い出が悪夢に変わってしまったのは残念ですが、実際、その時のヒーロー、マルコス・ジョレンテも今回は負傷中でいませんでしたからね。ここはシメオネ監督も「Silencio, trabajar, estar juntos/シレンシオ、トラバハール、エスタル・フントス(沈黙、努力すること、団結すること)」と言っていたように、処分明けのグリーズマンとサビッチ、おそらくジョレンテとレマルも戻って来られるミラン戦まで、地道にリーガに集中するしかありませんが…。
そんなアトレティコは今週末、日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)から、メスタジャでバレンシアとぶつかるんですが、どういう偶然か、その前の時間帯では弟分のヘタフェも近隣のカステジョンにあるラ・セラミカでビジャレアルと対戦。実はこちらにはいいニュースもあって、ビトロとサンドロのケガが治り、いよいよ復帰できそうなんですが、相手は火曜のCLヤング・ボーイズ戦で2-0と快勝し、マンチェスター・ユナイテッドと同じ勝ち点で首位に立っただけでなく、エメリ監督のニューキャッスル行きの噂にもあっさりケリがついちゃいましたからねえ。前節のエスパニョール戦勝利でようやく今季1勝目を挙げ、これからいよいよ降格圏脱出に本腰を入れようとしているキケ・サンチェス・フローレス監督のチームには幸運を祈るばかりかと。
そして最後に2部の弟分レガネスについてもちょっと触れておくと、いやあ、私がブタルケに観戦に行った火曜、ミッドウィーク開催のカルタヘナ戦はいきなり降りだした大雨の中、柴崎岳選手と岡崎慎司選手のスタメン対決は実現したんですが、結果は1-1の引分けに。先週末、解任となったアシエル・ガリターノ監督から引き継いだナフティ監督は初陣を飾ることができませんでしたが、金曜にはとうとうウエスカにランディエロビッチと、試合当日、兄弟の結婚式参列のため、午前練習をすっぽかし、前任者に干されていたボルハ・ガルセスの面目躍如のゴールで0-2と、8試合ぶりに白星を挙げることに。
といってもまだ降格圏は出ていないんですが、ふと見ると、いつの間にやら、境界線の18位にいるのが近隣の同僚フエンラブラダで、差が勝ち点1だけなのはちょっとショックなんですが、何せレガネスも毎回、先発している柴崎選手が日本代表出向で、来週日曜のオビエド戦に出られませんからね。おまけに弟分仲間のアルコルコンなど、木曜にもジローナに3-1で負け、22チーム中、唯一の勝ち点一桁という惨状で、最下位の深みにどんどんはまっていくばかりなのは悲しいんですが…どこも早いうち風向きが変わってほしいものです。
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