勝ち点1では物足りない…/原ゆみこのマドリッド
2021.10.30 20:00 Sat
「結局、いい目が出たのはラージョだけだったのね」そんな風に私がウツウツとしていたのは金曜日、最高の始まり方をしたと思ったミッドウィークリーガのマドリッド勢が尻つぼみに終わり、気がつくと、もう翌日には次節が迫っていた時のことでした。いやあ、別に負けたチームがある訳ではないため、そこまで落ち込むこともないんですけどね。レアル・マドリーのアンチェロッティ監督など、「最後までリーガの優勝争いは非常に拮抗したものになるだろう。No necesitas 100 puntos pero algo menos para ganarla/ノー・ネセシータス・シエン・プントス・ペロ・アルゴ・メノス・パラ・ガナールラ(勝ち点100は必要ないが、勝つにはそれよりちょっと少ないくらいか)」と言っていたものの、いや、今のペースだと、もっと全然、少なくても大丈夫そうな。
まあ、まだリーガは1/4が終わったぐらいなので、捕らぬ狸の皮算用をしても仕方ないんですが、とりあえず、前節の試合がどうだったのか、お伝えしていくことにすると。マドリッド勢で先陣を切ったのは弟分のラージョで、水曜にはエスタディオ・バジェカスにバルサを迎えたんですが、どうやら今回もチケット販売に手間取ったんでしょうかねえ。abonado(アボナドー/年間指定席購入者)以外の一般向けは前日、発売開始となったため、スタジアムの窓口にまたしても長蛇の列ができることに。これでは相変わらず、プレサ会長への抗議のカンティコが続いていたのもいた仕方ありませんが、やはり相手は人気チーム、スタジアムの改装工事で人を入れられないバックスタンド2階部分を除いて、満員になりましたっけ。
そこで見事に応援に駆けつけたファンの期待に応えたのがイラオラ監督のチームで前半30分、「Me duermo, me roba la cartera/メ・ドゥエルモ、メ・ロバ・ラ・カルテラ(自分は眠ってしまって、サイフを盗まれた)」というブスケツからトレホがボールを奪うと、アップ中に2人で打ち合わせていた通り、ファルカオにスルーパス。2011年の夏にアグエロから、アトレティコのエースの座を引き継いだ彼がピケを切り返し、GKテア・シュテーゲンの手の届かないゴール左隅を狙ったシュートがポストに当たって入ったから、場内のファンたちもどんなに盛り上がったことか。
とはいえ、いくらクラシコ(伝統の一戦)でマドリーに完敗したばかり、その日はアンス・ファティもケガでいなかったとはいえ、そこはラージョの何10倍ものの予算を持つバルサ。チャンスが作れない訳はなく、後半25分にはオスカル・バレンティンがエリア内でデパイを倒し、PKを献上してしまったから、さあ大変!この時は誰もが同点を覚悟したものでしたが…GKディミトリエフスキが止めてしまったんですよ、デパイの蹴ったPKを。その後、ファルカオはエヌテカと交代してしまったんですが、バルサの中では比較的活発だったアグエロもゴールを決めることはできず、そのまま試合は1-0で終了です。
いやあ、イラオラ監督も「Tenemos que disfrutarla. No se gana al Barça todos los días/テネモス・ケ・ディスフルタールラ。ノー・セ・ガナ・アル・バルサ・トードス・ロス・ディアス(楽しまないといけない。毎日、バルサに勝つ訳じゃないんだから)」と言っていましたが、これはラージョにとって、実に19年ぶりの勝利。ええ、バルサ戦でゴールを挙げたことのあるファルカオも試合に勝ったのは初めてだったそうですが、今季の彼らが偉いのはここまでのホームゲームで5連勝と、応援しに来てくれたファンを1度も失望させていないところかと。逆にアウェイでは6試合でまだ1勝と、ちょっと弱いんですが、幸い月曜のセルタ戦もバジェカスでの開催。現在、EL出場圏の5位という高みを維持するにはもってこいですよね。
逆にイエローカードをもらったカマビンガをハーフタイムにロドリゴに代えた後半など、4分にモンカジョラのシュートがゴールポストを直撃。跳ね返ったボールがカルバハルに当たって、下手したら、オウンゴールになっていたかもしれないというドッキリもあったんですが、上位陣に喰い込んでいる敵もさるものですね。「マドリーを前にしたら、戦略を選ばないといけない。高いプレスをかけて、背後にスペースを与えるか、defender en un bloque medio y tener orden defensivo/デフェンデール・エン・ウン・ブロケ・メディオ・イ・テネール・オルデン・デフェンシーボ(中盤のブロックで守って、統率のとれた守備をするか)」というアラサーテ監督は後者を採用。
5人DF制を軸に低い位置で相手を待つことにしたため、とりわけ、先発のアセンシオ、カルバハル、メンディがアザール、ルーカス・バスケス、マルセロに代わった後半25分以降など、マドリーは毎分のように敵ゴールに迫っていたんですけどね。アンチェロッティ監督も「Buen partido jugado. Nos ha faltado finalización/ブエン・パルティードー・フガードー。ノス・ア・ファルタードー・フィナリサシオン(プレーとしてはいい試合だったが、ウチにはフィニッシュが欠けていた)」と認めていた通り、シュートが決まらなければ、勝ち点3はゲットできませんって。
その間、お約束のようにオサスナのGKエレーラがどこかを痛めて倒れていたりもしたんですが、45分、第4審判の電光掲示板に表示されたロスタイムはたったの4分。結局、最後まで点を取れず、スコアレスドローになってしまったため、終了直後にはビニシウス、ミリトン、ロドリゴら、ブラジル人選手たちが揃って抗議に行ったものの、ソト・グラド主審に「Habéis tenido 90 minutos/アベイス・テニードー・ノベンタ・ミヌートス(君らには90分あったじゃないか)」と一蹴されるというシーンも。まあ、「En el Clásico estuve en el suelo y añadieron siete/エン・エル・クラシコ・エストゥーベ・エン・エル・スエロ・イ・アニャディエロン・シエテ(クラシコでボクが倒れていたら、ロスタイムが7分もあった)」(クルトワ)、「エレーラ1人で4分は失っていたし、2回の交代の際もトロトロ歩いていたのに」(カルバハル)と、マドリーの選手たちが文句を言うのもわかりますけどね。
それよりマドリーはビジャレアル戦、CLシェリフ戦から続けて3試合、ホームゲームで白星がないとなると、せっかく改装工事中のスタンドを修復して、5万人まで入れることになったファンもあまり喜べない?ちなみに彼らの週末の試合は土曜午後2時(日本時間午後9時)から、アウェイでのエルチェ戦なんですが、アンチェロッティ監督はここまで皆勤していたベンゼマに休養を与えることに。代わって、オサスナ戦を疲労でお休みしたモドリッチが戻り、イスコも復帰しているんですが、エースがいないこの試合、一応は2位でも、セビージャ、ベティスと同じ勝ち点の第2陣の地位を守るためにはもう少し、アセンシオやアザールも得点に貢献しないとマズいんじゃないでしょうか。
そして私が家に着く頃には、バルセロナ(スペイン西部)に帰るチャーター便の中でラポルタ会長から本人に伝えられたという、クーマン監督の解任がクラブから正式発表されていたんですが、後継の本命と見なされているチャビ(現アル・サッド監督)の到着はすぐではないよう。当面はBチームを率いていたセルジ・バルジュアン監督が取るとかで、ラージョに負けたせいで、大変なことになっているようですが、マドリッドの1部勢にもだんだん、後がなくなってきたチームが1つ。もちろん、最下位を爆走する弟分ヘタフェのことで、いやあ、彼らは木曜にやはり降格圏にいるグラナダとロス・カルメネスで対戦したんですけどね。
次のレバンテvsアトレティコ戦を見るため、私が近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に行った時にはまだ、前半36分にダミアンのFKから、カバコのヘッドを経て、セルタ戦で負傷したサンドロの代わりに先発したエネス・ウナルが決めた今季初ゴールでリードを保っていたんですが、シュタット・デ・バレンシアでのキックオフから僅か4分、エリア内でボールに当たったアランバリがVARでハンド認定され、グラナダにPKが与えられてしまうとは、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の2元中継を聞いていた私も焦ったの何のって。でも大丈夫、この時はコロンビア人FWのルイス・スアレスがボールを天高く蹴り上げてくれたため、同点にされずに済むことに。
でもねえ、10節まで勝ち星が1つもないというのはやはり、運気の悪いんでしょうかね。まさに後半ロスタイム7分、最後の最後で2年前までヘタフェのエースだったホルヘ・モリーナにCKから、ヘッドでゴールを決められてしまうとは、これ如何に。ええ、ミチェル監督を引き継いで3試合、まだ勝てていないキケ・サンチェス・フローレス監督も「Cuando las dinámicas no son positivas cualquier minuto se convierte en veneno/クアンドー・ラス・ディナミカス・ノー・ソン・ポシティバス・クアルキエル・ミヌート・セ・コンビエルテ・エン・ベネノ(流れがポジティブでない時はいかなる時間も毒になりうる)」と苦い顔をしていたんですけどね。1-1の引分けではとても最下位を抜け出すことはできず、ヘタフェは日曜、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでのエスパニョール戦で再び、今季初勝利を目指すことになりました。
え、もうその頃には兄貴分の試合もスコアが動いていたんだろうって?その通りで、眠ったままピッチに入っていた日々を反省したか、この日のアトレティコは前半12分に先制したんですよ。グリーズマンが蹴ったCKからボールが回り回って、今度はエリア内から彼が上げたクロスを反対サイドにいたフェリペがヘッドで戻し、最後はグリーズマンもヘッドで決めるという、ちょっと珍しいプレーだったんですが、そのせいでしょうか。「Creo que nos relajamos después del primer gol/クレオ・ケ・ノス・レラハモス・デスプエス・デル・プリメール・ゴル(最初のゴールの後、ウチはリラックスしてしまったと思う)」とグリーズマン自身も言っていたんですが、30分過ぎのCK攻撃ではコケがボールを奪われ、レバンテのカウンターを招いているんですから、困ったもんじゃないですか。
ただ、もっと最悪だったのは続いたレバンテのCKをコンドグビア、レマル、マルコス・ジョレンテの負傷でやっと先発が回ってきたエレーラが敵エリア内からクリアできず。おかげでボールを追ったベソをルイス・スアレスが倒してしまい、PKを献上しているのはいただけません。バーディがこれを決め、1-1でハーフタイムに入ったところ、後半はやたらアトレティコの守備ミスが増えて、怖い思いをさせられたんですが、捨てる神あれば救う神あり。31分には交代で入ったデ・パウルのスルーパスをクーニャがシュート、勝ち越し点を奪ってくれたから、ビックリしたの何のって。その後、35分にはシメオネ監督が2枚目のイエローカードをもらい、退席処分となったんですが、別に選手が減った訳ではないのだから、影響はないだろうと思っていたところ…。
何ですかねえ。41分、主審がVARからの連絡を受け、モニターに確認に行ったプレーはもう何分も前のもの。それもレバンテの選手が誰1人、アピールしていなかった、デ・フルートスのシュートにゴール前で当たったロディのハンドだったなんて、そんな振り返りジャッジあっていい?結局、45分にはバーディがその日、2本目のPKを蹴ることになり、その時はバルサのデパイも止められているし、ちょっと前にはグラナダのルイス・スアレスも失敗しているしと、空しい夢を見た私でしたが、GKオブラクが逆を突かれ、レバンテは土壇場で同点に。大体、気がつけば、ラージョのGKディミトリエフスキもバーディもマケドニア代表の同僚だなんて、まったくどういう偶然なんでしょう。
ロスタイムは8分あったものの、両者共、追加点はなかったため、2-2の引き分けで終わったんですが、これぞまさにシュタット・デ・バレンシアの呪い。シメオネ監督に率いられた8試合でたったの1勝、4分け3敗なんですから、もう処置なしといったところですが、試合後、アトレティコの選手たちが文句を言っていたのは、ロディのハンド判定よりも審判の不公平なファールの取り扱い。ええ、「ウチは7、8枚イエローカードをもらったのに相手は1、2枚。ジョアン・フェリックスなんて沢山、やられていたのに」(グリーズマン)というのには私も同意ですが、実際、シメオネ監督もカラスコやデ・パウルへファールしたレバンテの選手にイエローカードが出ないのが原因での抗議でしたからね。
それでも「ウチはPKも、ジョアンへのファールも、何枚ものイエローカードも言い訳にはできない。La realidad es que tenemos que mejorar nosotros de forma urgente/ラ・レアリダッド・エス・ケ・テネモス・ケ・メホラル・ノソトロス・デ・フォルマ・ウルヘンテ(緊急に自分たちが改善しないといけないのが現実だ)」とシメオネ監督も言っていたように、何せ10月の代表戦週間が終わった後の彼らはCLでリバプールに負け、レアル・ソシエダ戦、このレバンテ戦の引分けと続き、3試合連続白星から遠ざかっていますからねえ。
日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)にワンダ・メトロポリターノにベティスを迎える試合ではいい加減、勝たないと、現在、ラージョ、オサスナと共に形成する第3陣、6位の座も危なくなってしまうため、何とかしてもらいたいものですが…勝ち点2差で4位の相手もバレンシアに4-1と大勝したばかりと絶好調。来週はCL4節のリバプール戦、アンフィールド遠征もありますし、早いうちに勝ち癖を取り戻してほしいところです。
まあ、まだリーガは1/4が終わったぐらいなので、捕らぬ狸の皮算用をしても仕方ないんですが、とりあえず、前節の試合がどうだったのか、お伝えしていくことにすると。マドリッド勢で先陣を切ったのは弟分のラージョで、水曜にはエスタディオ・バジェカスにバルサを迎えたんですが、どうやら今回もチケット販売に手間取ったんでしょうかねえ。abonado(アボナドー/年間指定席購入者)以外の一般向けは前日、発売開始となったため、スタジアムの窓口にまたしても長蛇の列ができることに。これでは相変わらず、プレサ会長への抗議のカンティコが続いていたのもいた仕方ありませんが、やはり相手は人気チーム、スタジアムの改装工事で人を入れられないバックスタンド2階部分を除いて、満員になりましたっけ。
そこで見事に応援に駆けつけたファンの期待に応えたのがイラオラ監督のチームで前半30分、「Me duermo, me roba la cartera/メ・ドゥエルモ、メ・ロバ・ラ・カルテラ(自分は眠ってしまって、サイフを盗まれた)」というブスケツからトレホがボールを奪うと、アップ中に2人で打ち合わせていた通り、ファルカオにスルーパス。2011年の夏にアグエロから、アトレティコのエースの座を引き継いだ彼がピケを切り返し、GKテア・シュテーゲンの手の届かないゴール左隅を狙ったシュートがポストに当たって入ったから、場内のファンたちもどんなに盛り上がったことか。
いやあ、イラオラ監督も「Tenemos que disfrutarla. No se gana al Barça todos los días/テネモス・ケ・ディスフルタールラ。ノー・セ・ガナ・アル・バルサ・トードス・ロス・ディアス(楽しまないといけない。毎日、バルサに勝つ訳じゃないんだから)」と言っていましたが、これはラージョにとって、実に19年ぶりの勝利。ええ、バルサ戦でゴールを挙げたことのあるファルカオも試合に勝ったのは初めてだったそうですが、今季の彼らが偉いのはここまでのホームゲームで5連勝と、応援しに来てくれたファンを1度も失望させていないところかと。逆にアウェイでは6試合でまだ1勝と、ちょっと弱いんですが、幸い月曜のセルタ戦もバジェカスでの開催。現在、EL出場圏の5位という高みを維持するにはもってこいですよね。
一方、同日プレーした兄貴分の方はというと。僅差だったため、終了の笛が鳴るまでバルサ戦を見ていたものの、タクシーの運転手さんの機転のおかげで、信号の多い市内中央部を通らず、外縁を周る高速道路で迂回。次の時間帯だったサンティアゴ・ベルナベウでのオサスナ戦にもほぼキックオフ時刻に到着できた私でしたが、どうしたものやら。アンチェロッティ監督がクラシコのスタメンをリピートしなかったせいか、兄貴分チームはオサスナ相手にまったく得点できないんですよ。前半24分にビニシウスがトロにエリア内ゴールラインギリギリで足首を踏まれるペナルティ疑惑もあったんですが、いくらこれがVAR(ビデオ審判)にスルーされてしまったとはいえ…。
逆にイエローカードをもらったカマビンガをハーフタイムにロドリゴに代えた後半など、4分にモンカジョラのシュートがゴールポストを直撃。跳ね返ったボールがカルバハルに当たって、下手したら、オウンゴールになっていたかもしれないというドッキリもあったんですが、上位陣に喰い込んでいる敵もさるものですね。「マドリーを前にしたら、戦略を選ばないといけない。高いプレスをかけて、背後にスペースを与えるか、defender en un bloque medio y tener orden defensivo/デフェンデール・エン・ウン・ブロケ・メディオ・イ・テネール・オルデン・デフェンシーボ(中盤のブロックで守って、統率のとれた守備をするか)」というアラサーテ監督は後者を採用。
5人DF制を軸に低い位置で相手を待つことにしたため、とりわけ、先発のアセンシオ、カルバハル、メンディがアザール、ルーカス・バスケス、マルセロに代わった後半25分以降など、マドリーは毎分のように敵ゴールに迫っていたんですけどね。アンチェロッティ監督も「Buen partido jugado. Nos ha faltado finalización/ブエン・パルティードー・フガードー。ノス・ア・ファルタードー・フィナリサシオン(プレーとしてはいい試合だったが、ウチにはフィニッシュが欠けていた)」と認めていた通り、シュートが決まらなければ、勝ち点3はゲットできませんって。
その間、お約束のようにオサスナのGKエレーラがどこかを痛めて倒れていたりもしたんですが、45分、第4審判の電光掲示板に表示されたロスタイムはたったの4分。結局、最後まで点を取れず、スコアレスドローになってしまったため、終了直後にはビニシウス、ミリトン、ロドリゴら、ブラジル人選手たちが揃って抗議に行ったものの、ソト・グラド主審に「Habéis tenido 90 minutos/アベイス・テニードー・ノベンタ・ミヌートス(君らには90分あったじゃないか)」と一蹴されるというシーンも。まあ、「En el Clásico estuve en el suelo y añadieron siete/エン・エル・クラシコ・エストゥーベ・エン・エル・スエロ・イ・アニャディエロン・シエテ(クラシコでボクが倒れていたら、ロスタイムが7分もあった)」(クルトワ)、「エレーラ1人で4分は失っていたし、2回の交代の際もトロトロ歩いていたのに」(カルバハル)と、マドリーの選手たちが文句を言うのもわかりますけどね。
それよりマドリーはビジャレアル戦、CLシェリフ戦から続けて3試合、ホームゲームで白星がないとなると、せっかく改装工事中のスタンドを修復して、5万人まで入れることになったファンもあまり喜べない?ちなみに彼らの週末の試合は土曜午後2時(日本時間午後9時)から、アウェイでのエルチェ戦なんですが、アンチェロッティ監督はここまで皆勤していたベンゼマに休養を与えることに。代わって、オサスナ戦を疲労でお休みしたモドリッチが戻り、イスコも復帰しているんですが、エースがいないこの試合、一応は2位でも、セビージャ、ベティスと同じ勝ち点の第2陣の地位を守るためにはもう少し、アセンシオやアザールも得点に貢献しないとマズいんじゃないでしょうか。
そして私が家に着く頃には、バルセロナ(スペイン西部)に帰るチャーター便の中でラポルタ会長から本人に伝えられたという、クーマン監督の解任がクラブから正式発表されていたんですが、後継の本命と見なされているチャビ(現アル・サッド監督)の到着はすぐではないよう。当面はBチームを率いていたセルジ・バルジュアン監督が取るとかで、ラージョに負けたせいで、大変なことになっているようですが、マドリッドの1部勢にもだんだん、後がなくなってきたチームが1つ。もちろん、最下位を爆走する弟分ヘタフェのことで、いやあ、彼らは木曜にやはり降格圏にいるグラナダとロス・カルメネスで対戦したんですけどね。
次のレバンテvsアトレティコ戦を見るため、私が近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に行った時にはまだ、前半36分にダミアンのFKから、カバコのヘッドを経て、セルタ戦で負傷したサンドロの代わりに先発したエネス・ウナルが決めた今季初ゴールでリードを保っていたんですが、シュタット・デ・バレンシアでのキックオフから僅か4分、エリア内でボールに当たったアランバリがVARでハンド認定され、グラナダにPKが与えられてしまうとは、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の2元中継を聞いていた私も焦ったの何のって。でも大丈夫、この時はコロンビア人FWのルイス・スアレスがボールを天高く蹴り上げてくれたため、同点にされずに済むことに。
でもねえ、10節まで勝ち星が1つもないというのはやはり、運気の悪いんでしょうかね。まさに後半ロスタイム7分、最後の最後で2年前までヘタフェのエースだったホルヘ・モリーナにCKから、ヘッドでゴールを決められてしまうとは、これ如何に。ええ、ミチェル監督を引き継いで3試合、まだ勝てていないキケ・サンチェス・フローレス監督も「Cuando las dinámicas no son positivas cualquier minuto se convierte en veneno/クアンドー・ラス・ディナミカス・ノー・ソン・ポシティバス・クアルキエル・ミヌート・セ・コンビエルテ・エン・ベネノ(流れがポジティブでない時はいかなる時間も毒になりうる)」と苦い顔をしていたんですけどね。1-1の引分けではとても最下位を抜け出すことはできず、ヘタフェは日曜、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでのエスパニョール戦で再び、今季初勝利を目指すことになりました。
え、もうその頃には兄貴分の試合もスコアが動いていたんだろうって?その通りで、眠ったままピッチに入っていた日々を反省したか、この日のアトレティコは前半12分に先制したんですよ。グリーズマンが蹴ったCKからボールが回り回って、今度はエリア内から彼が上げたクロスを反対サイドにいたフェリペがヘッドで戻し、最後はグリーズマンもヘッドで決めるという、ちょっと珍しいプレーだったんですが、そのせいでしょうか。「Creo que nos relajamos después del primer gol/クレオ・ケ・ノス・レラハモス・デスプエス・デル・プリメール・ゴル(最初のゴールの後、ウチはリラックスしてしまったと思う)」とグリーズマン自身も言っていたんですが、30分過ぎのCK攻撃ではコケがボールを奪われ、レバンテのカウンターを招いているんですから、困ったもんじゃないですか。
ただ、もっと最悪だったのは続いたレバンテのCKをコンドグビア、レマル、マルコス・ジョレンテの負傷でやっと先発が回ってきたエレーラが敵エリア内からクリアできず。おかげでボールを追ったベソをルイス・スアレスが倒してしまい、PKを献上しているのはいただけません。バーディがこれを決め、1-1でハーフタイムに入ったところ、後半はやたらアトレティコの守備ミスが増えて、怖い思いをさせられたんですが、捨てる神あれば救う神あり。31分には交代で入ったデ・パウルのスルーパスをクーニャがシュート、勝ち越し点を奪ってくれたから、ビックリしたの何のって。その後、35分にはシメオネ監督が2枚目のイエローカードをもらい、退席処分となったんですが、別に選手が減った訳ではないのだから、影響はないだろうと思っていたところ…。
何ですかねえ。41分、主審がVARからの連絡を受け、モニターに確認に行ったプレーはもう何分も前のもの。それもレバンテの選手が誰1人、アピールしていなかった、デ・フルートスのシュートにゴール前で当たったロディのハンドだったなんて、そんな振り返りジャッジあっていい?結局、45分にはバーディがその日、2本目のPKを蹴ることになり、その時はバルサのデパイも止められているし、ちょっと前にはグラナダのルイス・スアレスも失敗しているしと、空しい夢を見た私でしたが、GKオブラクが逆を突かれ、レバンテは土壇場で同点に。大体、気がつけば、ラージョのGKディミトリエフスキもバーディもマケドニア代表の同僚だなんて、まったくどういう偶然なんでしょう。
ロスタイムは8分あったものの、両者共、追加点はなかったため、2-2の引き分けで終わったんですが、これぞまさにシュタット・デ・バレンシアの呪い。シメオネ監督に率いられた8試合でたったの1勝、4分け3敗なんですから、もう処置なしといったところですが、試合後、アトレティコの選手たちが文句を言っていたのは、ロディのハンド判定よりも審判の不公平なファールの取り扱い。ええ、「ウチは7、8枚イエローカードをもらったのに相手は1、2枚。ジョアン・フェリックスなんて沢山、やられていたのに」(グリーズマン)というのには私も同意ですが、実際、シメオネ監督もカラスコやデ・パウルへファールしたレバンテの選手にイエローカードが出ないのが原因での抗議でしたからね。
それでも「ウチはPKも、ジョアンへのファールも、何枚ものイエローカードも言い訳にはできない。La realidad es que tenemos que mejorar nosotros de forma urgente/ラ・レアリダッド・エス・ケ・テネモス・ケ・メホラル・ノソトロス・デ・フォルマ・ウルヘンテ(緊急に自分たちが改善しないといけないのが現実だ)」とシメオネ監督も言っていたように、何せ10月の代表戦週間が終わった後の彼らはCLでリバプールに負け、レアル・ソシエダ戦、このレバンテ戦の引分けと続き、3試合連続白星から遠ざかっていますからねえ。
日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)にワンダ・メトロポリターノにベティスを迎える試合ではいい加減、勝たないと、現在、ラージョ、オサスナと共に形成する第3陣、6位の座も危なくなってしまうため、何とかしてもらいたいものですが…勝ち点2差で4位の相手もバレンシアに4-1と大勝したばかりと絶好調。来週はCL4節のリバプール戦、アンフィールド遠征もありますし、早いうちに勝ち癖を取り戻してほしいところです。
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