FW4人並べて吉と出たのは…/原ゆみこのマドリッド
2021.10.02 18:00 Sat
「もうどこでもいいってことね」そんな風に私が達観していたのは木曜日、ネーションズリーグのファイナルフォーに向けたスペイン代表の招集リストを見て、マルコス・ジョレンテがFWの括りに入っていたのに気づいた時のことでした。いやあ、これまで夏のユーロや9月のW杯予選では右SBレギュラーのカルバハル(レアル・マドリー)が負傷していたため、DFの一員として呼ばれていた彼だったんですけどね。その影響もあってか、最近ではシメオネ監督の試合毎、及び試合中のシステム変更により、アトレティコでもかなり右SBの修練を積んでいたんですよ。
その挙句に「何も変わっていない。Marcos seguro que está encantado, aunque le pusiera con los tres porteros/マルコス・セグロ・ケ・エスタ・エンカンタードー、アウンケ・レ・プシエラ・コン・ロス・トレス・ポルテーロス(たとえ、3人のGK枠で呼ばれようと、マルコスはきっと喜んでいるだろう)」(ルイス・エンリケ監督)などと言われては、ちょっと存在を軽んじられているように思いますが、実際、今はスペイン人FWに不足が出ていますからねえ。そう、ユーロ参加メンバーではモラタ(ユベントス)、ジェラール・モレノ(ビジャレアル)、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)が負傷中。
9月に呼ばれたアベル・ルイス(スポルティング・ブラガ)もケガ、スペイン代表期待の星だった18才のアンス・ファティ(バルサ)も先日、ようやく長期のリハビリを終え、途中出場を2度しただけですしね。となれば、今季はまだゴールを挙げていないものの、2年前のCL16強対決リバプール戦2ndレグで、誰も知らなかったゴールゲッターとしての才能を開花。その因縁の相手との再戦を代表戦明けに控え、当時の感触を取り戻そうと張り切っているはずのジョレンテを前線のメンバーに加えたいという、ルイス・エンリケ監督の気持ちはわからないでもない?
いえ、やはり18才のペドリ(バルサ)がティーンエイジャー1人では当人の肩身が狭いかと思ったか、同じバルサのカンテラーノ(バルサBの選手)で、まだトップチームでは4試合にしか出場していない17才のMFガビを抜擢招集。「Le conozco desde hace mucho tiempo/ロ・コノスコ・デスデ・アセ・ムーチョ・ティンポー(彼のことはずっと昔から知っていた)。カンテラを代表する選手だったからね」と、2014年から2017年までバルサの監督を務め、13才までのガビを身近で見ていたからと説明するルイス・エンリケ監督には、だったら、RMカスティージャ所属ながら、トップチームでプレーしているブランコやミゲール・グティエレスを呼んであげたっていいじゃないと、再び、アセンシオもナチョもおらず、マドリー勢が誰も来ないことに突っ込みたくもなるんですけどね。
それ以外でも今回の招集リストにはCFタイプのFWがいないなど、幾つか疑問が沸く点はあるものの、スペインがユーロ準決勝でPK戦まで行って涙を呑んだ相手、イタリアにリベンジを期して戦うネーションズリーグ・ファイナルフォー準決勝は来週の水曜日。ベルギーもしくはフランスと顔を合わせる3位決定戦及び決勝は10月10日の日曜とあって、まだ少し日があるため、代表についてはまた後日、お話しすることにしますが、ええ、今はCLグループリーグ2節がどうだったか、お伝えしたいんですよ。
「Once contra once el Milan fue mejor que nosotros/オンセ・コントラ・オンセ・エル・ミラン・フエ・メホール・ケ・ノソトロス(11対11ではウチよりミランが上だった)」と後でシメオネ監督も認めていた通り、序盤から、押し込まれるばかりだった彼らは早速、失点してしまったんですよ。それは前半19分、マドリーからミランにレンタル移籍2年目となるブライムにエリア内で翻弄され、パスを受け取ったレオンがシュートを撃つのを誰も止めようとしないって、一体、どういうこと?簡単に先制点を決められてしまったのに頭がクラクラしていた私でしたが、実はベルナベウのピッチでもすぐに異変が起こることに。そう、こちらは25分、センターからのスルーパスをクリスチアーノがエリア外左から上げ、ヤクフシバエフがヘッドでGKクルトワを破り、え?先にシェリフがゴールを挙げた?
でもまあ、記者席の近くにシェリフファンのグループがいて、飛び跳ねていたのには驚かされましたが、たったの1点ですし、大抵の時間はマドリーが攻めていましたからね。あまり気にしてもと、画面に視線を戻したところ、何と28分にはケシエがジョレンテを蹴って、2枚目のイエローカードをゲット。いきなりミランが10人になっていて、ビックリしたんですが、なかなか始まりませんでしたね、アトレティコの反撃は。うーん、まだハーフタイムになる前、41分にはトリッピアーをジョアン・フェリックスに(ジョレンテが右SB)、後半頭からはエルモーソ、カラスコをデ・パウル、ロディに、そして15分にはコケをグリーズマンに、18分にはコンドグビアをレマルにして(ボランチはデ・パウルとレマル)、リーガ前節に1-0で負けたアラベス戦に続き、またしてもFW4人体制に移行していったのはともかく、あまりにボールロストが多いのにはただただ、閉口するばかりだったかと。
え、そうこうするうち、マドリーもビニシウスがエリア内で受けたファールでペナルティをゲット。同点のチャンスを迎えたんだろうって?その通りで、いえ、最初、後半15分にコンスタンサに倒されたプレーはスルーされてしまったんですけどね。その2分後にもアドに倒され、さすがに審判もムシできなかったんでしょうね。VAR(ビデオ審判)を経て、PKが認められ、ベンゼマがラウール(現RMカスティージャ監督)を抜いて、CL通算72得点で歴代単独4位(クリスチアーノ・ロナウド、メッシ、レバンドフスキの下)となるゴールを決めることに。すると21分、これを機にアンチェロッティ監督も嵩にかかって相手を追い詰めることにしたか、ナチョ、ミゲール・グティエレス、カセミロ、アザールをクロース、モドリッチ、ロドリゴ、ヨビッチへと4人一斉交代。
こちらもFW4人体制となり、もう終始、相手を攻めたてている様相になったんですが、最初から、「ウチが完璧に守り倒すだろうことはわかっていた」(ベルニドゥブ監督)というシェリフの壁、というか、29分にはモドリッチの至近距離シュートさえ、顔面セーブで防いでしまうGKアタナシアディスを計31回、枠内シュートも11回ありながら、破ることができず。そこへ38分にはミラノから朗報が届き、いやあ、ネットのTV中継は2分程、時差があるため、ラジオも聴いていた私は映像に先んじて喜んでいたんですけどね。何と、ロディが頭で落としたボールをグリーズマンがvolea(ボレア/ボレーシュート)で撃ち込み、貴重な同点弾でアトレティコ復帰後初ゴールを祝ってくれたから、もうホッとしたの何のって。
いやあ、当人の弁によると、バルサに行っていたのはたったの2年間ながら、「Es otra táctica, otro vestuario, cuesta, son muchos cambios/エス・オトラ・タクティカ、オトロ・ベストゥアリオ、クエスタ、ソン・ムーチョス・カンビオス(戦術が違うし、チームメートも違うし、沢山の変化があって苦労する)」そうで、昨季のリーガ王者に馴染むのには時間が必要らしいんですけどね。実際、これ程、前線に豊富なタレントをアトレティコで保持したことのないシメオネ監督も「Hemos probado a todos/エモス・プロバードー・ア・トードス(ウチは全てを試してみた)が、チームとして、より良い形を見つけないといけない」と今はまだ、手探り状態とあっては、少なくとも、効果的なFW4人制の陣容がわかったのは収穫と言えるでしょうか。
そしてベルナベウの方で先に45分が到来、いよいよ、マドリーもお家芸、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)の見せどころかと思ったんですが、いやあ。アンチェロッティ監督は「試合はコントロールできていた。カマビンガを左SBに置いたから、負けた訳じゃない。Perdimos por mala suerte/ペルディモス・ポル・マラ・スエルテ(負けたのは運が悪かったから)」と言っていたんですけどね。まさか、スローインから回ってきたボールをエリア前右でティルがフリーで受けてるって、誰もチェックしていない?そのシュートがネットに突き刺さり、土壇場で勝ち越し点を挙げたのがシェリフの方では、これじゃ、ゴールラッシュを期待していたベルナベウのファンも肩をすかされてしまったかと。
うーん、ワンダだったら、チームがリードされた途端、スタンドから大きな励ましのカンティコが聞こえてくるんですけどね。ロスタイムも6分間とたっぷりあったんですが、結局、マドリーは1-2で負け、シェリフがまさかの2連勝でグループ首位に立つことに。同日は早い時間帯でシャフタールとインテルがスコアレスドローだったため、マドリーは勝ち点3で2位ですが、次のCLグループリーグは昨季、2敗しているシャフタールとの連戦になりますからね。もちろん、その前にはリーガ首位死守のため、日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)から、アウェイでのエスパニョール戦のことを考えないといけませんが、シェリフ戦で戻ったクロース以外、マルセロ、メンディ、ベイル、セバージョス、カルバハルはまだリハビリ中。
加えて、この日もマドリーの攻撃を賑わせてはいたものの、ビニシウスのゴール照準がまたズレてきたみないなのが気になりますが、実はピッチでシェリフの選手たちのお祝いが続いている間、やはり6分という長いロスタイムをもらい、「El equipo cree hasta el final/エル・エキポ・クレエ・アスタ・エル・フィナル(チームは最後まで信じていた)」(シメオネ監督)というアトレティコはまだ戦っていたんです。それが最近はかなり、お隣さんのレモンターダ体質がうつってきたようで、まさか、51分にはエリア内でレマルと落ちて来るボールを争ったカルルがハンドを取られ、PKをもらえるんですから、まさしく信じる者は救われる?
このPKはルイス・スアレスがちょっと危ないながら、何とかGKメニャンに止められずにゴールにしたため、結局、100分まで必死に守ったアトレティコが土壇場で1-2と逆転勝利をゲット。いやあ、後日、インタビューを受けた当人が言っていたんですが、この時、「蹴る前にマリオ(・エルモーソ)がミランの選手たちがPKマークの辺りを踏みつけてグチャグチャにしていたから、気をつけろと警告してくれた。ウチはもうピッチから出ている選手もそれ位、試合に集中しているんだ。自分は気がつかなかったけど、プレーしていない選手の方が冷静だからね。言われて、そっちを見たら、もうジョアンがカバーしてくれていた」そうで、おかげで彼も6年ぶりとなるCLアウェイゴールを挙げることができたなんて、結構、いい話かも。
これでアトレティコも1節のポルト戦、失意の0-0ドローを乗り越えて、いえ、paron(パロン/リーガの停止期間)明けにワンダに迎えるリバプールはその日もポルトに1-5と大勝して、勝ち点6でしっかり首位をキープしているんですけどね。2位ならまあ、そんなに悲観することもないですし、この土曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのリーガ戦の相手、バルサは翌水曜、初戦のバイエルンに続き、ベンフィカにも3-0と連敗。あちらが2シーズン前、それこそダ・ルス(ベンフィカのホーム)で行われたコロナ休止明けの集中CL決勝トーナメント準々決勝で、こちらもバイエルンに2-8と叩きのめされたショックを克服できなかったのと対照的に、アトレティコは2016年CL決勝でお隣さんにPK戦で負けたサン・シーロの悪夢を払拭できましたからね。
まあ、元々、2014年以来、CLに出ていないミランにはそのシーズン、同スタジアムでの16強対決1stレグで0-1と勝っているため、そんな大袈裟なものですないかもしれませんが、このバルサ戦での注目はかなり、解任が近づいているようなクーマン監督と、その彼の下、アトレティコ移籍が決まるまで、「no me olvido que el año pasado en la pretemporada me mandaban a entrenar aparte/ノー・メ・オルビド・ケ・エル・アーニョ・パサードー・エン・ラ・プレテンポラーダ・メ・マンダバン・ア・エントレナール・アパルテ(昨年のプレシーズン、チームと別練習させられたことは忘れない)」とリベンジを誓っているスアレス。いよいよ、この週末から、マドリッドを含む、スペイン大部分のスタジアムはキャパ100%で営業していいことになったため、ワンダのスタンドも凄いことになるんじゃないでしょうか。
そして最後にマドリッドの弟分の週末の予定も伝えておくことにすると。ファルカオが出場するようになって以来、3試合負け知らずのラージョは土曜の午後2時という早い時間のキックオフで、相手は9位のオサスナ。4位の兄貴分を勝ち点差1で追う彼らですから、気合もかなり入っているはずです。一方、20チーム中、唯一、勝ち点がまったくないヘタフェは日曜午後6時30分から、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでレアル・ソシエダ戦。大量発生中の負傷休場者も前節ベティス戦で戻ったサンドロぐらいしか、回復していないんですが、イマノル監督のチームは木曜にELグループリーグ2節モナコ戦をプレー、1-1と引分けて、まだ白星がないのはともかく、彼らもケガ人が多いため、体力的には辛いはずですからね。すぐ上のグラナダとアラベスとは勝ち点3差ですし、まだちょっと頑張れば、降格圏脱出もすぐなので、とにかく手遅れになる前にヘタフェも運気が変わってくれるといいですよね。
その挙句に「何も変わっていない。Marcos seguro que está encantado, aunque le pusiera con los tres porteros/マルコス・セグロ・ケ・エスタ・エンカンタードー、アウンケ・レ・プシエラ・コン・ロス・トレス・ポルテーロス(たとえ、3人のGK枠で呼ばれようと、マルコスはきっと喜んでいるだろう)」(ルイス・エンリケ監督)などと言われては、ちょっと存在を軽んじられているように思いますが、実際、今はスペイン人FWに不足が出ていますからねえ。そう、ユーロ参加メンバーではモラタ(ユベントス)、ジェラール・モレノ(ビジャレアル)、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)が負傷中。
9月に呼ばれたアベル・ルイス(スポルティング・ブラガ)もケガ、スペイン代表期待の星だった18才のアンス・ファティ(バルサ)も先日、ようやく長期のリハビリを終え、途中出場を2度しただけですしね。となれば、今季はまだゴールを挙げていないものの、2年前のCL16強対決リバプール戦2ndレグで、誰も知らなかったゴールゲッターとしての才能を開花。その因縁の相手との再戦を代表戦明けに控え、当時の感触を取り戻そうと張り切っているはずのジョレンテを前線のメンバーに加えたいという、ルイス・エンリケ監督の気持ちはわからないでもない?
それ以外でも今回の招集リストにはCFタイプのFWがいないなど、幾つか疑問が沸く点はあるものの、スペインがユーロ準決勝でPK戦まで行って涙を呑んだ相手、イタリアにリベンジを期して戦うネーションズリーグ・ファイナルフォー準決勝は来週の水曜日。ベルギーもしくはフランスと顔を合わせる3位決定戦及び決勝は10月10日の日曜とあって、まだ少し日があるため、代表についてはまた後日、お話しすることにしますが、ええ、今はCLグループリーグ2節がどうだったか、お伝えしたいんですよ。
今週はマドリッド勢が火曜試合に当たったため、サンティアゴ・ベルナベウへシェリフ戦を見に行った私だったんですが、この日はツイていました。というのも隣に座った顔馴染みのイタリア人記者がパソコンでミランvsアトレティコ戦を映していたため、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の二元中継だけが頼りだった1節のワンダ・メトロポリターノとは違い、両チームの試合を同時に見ることが可能に。それもマドリーの相手はCL初出場、モルドバから来た新興チームだったため、1年半以上を経て、ようやくCLをホームスタジアムに迎えることができたファンが盛り上がっている眼下でいつ、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が始まるのかだけを気にしつつ、襟首と袖口に白赤ブロックの入った水色の第3ユニを着て、2週間前にはお隣さんがインテルに0-1と勝利したサン・シーロでプレーするアトレティコを見ていたところ…。
「Once contra once el Milan fue mejor que nosotros/オンセ・コントラ・オンセ・エル・ミラン・フエ・メホール・ケ・ノソトロス(11対11ではウチよりミランが上だった)」と後でシメオネ監督も認めていた通り、序盤から、押し込まれるばかりだった彼らは早速、失点してしまったんですよ。それは前半19分、マドリーからミランにレンタル移籍2年目となるブライムにエリア内で翻弄され、パスを受け取ったレオンがシュートを撃つのを誰も止めようとしないって、一体、どういうこと?簡単に先制点を決められてしまったのに頭がクラクラしていた私でしたが、実はベルナベウのピッチでもすぐに異変が起こることに。そう、こちらは25分、センターからのスルーパスをクリスチアーノがエリア外左から上げ、ヤクフシバエフがヘッドでGKクルトワを破り、え?先にシェリフがゴールを挙げた?
でもまあ、記者席の近くにシェリフファンのグループがいて、飛び跳ねていたのには驚かされましたが、たったの1点ですし、大抵の時間はマドリーが攻めていましたからね。あまり気にしてもと、画面に視線を戻したところ、何と28分にはケシエがジョレンテを蹴って、2枚目のイエローカードをゲット。いきなりミランが10人になっていて、ビックリしたんですが、なかなか始まりませんでしたね、アトレティコの反撃は。うーん、まだハーフタイムになる前、41分にはトリッピアーをジョアン・フェリックスに(ジョレンテが右SB)、後半頭からはエルモーソ、カラスコをデ・パウル、ロディに、そして15分にはコケをグリーズマンに、18分にはコンドグビアをレマルにして(ボランチはデ・パウルとレマル)、リーガ前節に1-0で負けたアラベス戦に続き、またしてもFW4人体制に移行していったのはともかく、あまりにボールロストが多いのにはただただ、閉口するばかりだったかと。
え、そうこうするうち、マドリーもビニシウスがエリア内で受けたファールでペナルティをゲット。同点のチャンスを迎えたんだろうって?その通りで、いえ、最初、後半15分にコンスタンサに倒されたプレーはスルーされてしまったんですけどね。その2分後にもアドに倒され、さすがに審判もムシできなかったんでしょうね。VAR(ビデオ審判)を経て、PKが認められ、ベンゼマがラウール(現RMカスティージャ監督)を抜いて、CL通算72得点で歴代単独4位(クリスチアーノ・ロナウド、メッシ、レバンドフスキの下)となるゴールを決めることに。すると21分、これを機にアンチェロッティ監督も嵩にかかって相手を追い詰めることにしたか、ナチョ、ミゲール・グティエレス、カセミロ、アザールをクロース、モドリッチ、ロドリゴ、ヨビッチへと4人一斉交代。
こちらもFW4人体制となり、もう終始、相手を攻めたてている様相になったんですが、最初から、「ウチが完璧に守り倒すだろうことはわかっていた」(ベルニドゥブ監督)というシェリフの壁、というか、29分にはモドリッチの至近距離シュートさえ、顔面セーブで防いでしまうGKアタナシアディスを計31回、枠内シュートも11回ありながら、破ることができず。そこへ38分にはミラノから朗報が届き、いやあ、ネットのTV中継は2分程、時差があるため、ラジオも聴いていた私は映像に先んじて喜んでいたんですけどね。何と、ロディが頭で落としたボールをグリーズマンがvolea(ボレア/ボレーシュート)で撃ち込み、貴重な同点弾でアトレティコ復帰後初ゴールを祝ってくれたから、もうホッとしたの何のって。
いやあ、当人の弁によると、バルサに行っていたのはたったの2年間ながら、「Es otra táctica, otro vestuario, cuesta, son muchos cambios/エス・オトラ・タクティカ、オトロ・ベストゥアリオ、クエスタ、ソン・ムーチョス・カンビオス(戦術が違うし、チームメートも違うし、沢山の変化があって苦労する)」そうで、昨季のリーガ王者に馴染むのには時間が必要らしいんですけどね。実際、これ程、前線に豊富なタレントをアトレティコで保持したことのないシメオネ監督も「Hemos probado a todos/エモス・プロバードー・ア・トードス(ウチは全てを試してみた)が、チームとして、より良い形を見つけないといけない」と今はまだ、手探り状態とあっては、少なくとも、効果的なFW4人制の陣容がわかったのは収穫と言えるでしょうか。
そしてベルナベウの方で先に45分が到来、いよいよ、マドリーもお家芸、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)の見せどころかと思ったんですが、いやあ。アンチェロッティ監督は「試合はコントロールできていた。カマビンガを左SBに置いたから、負けた訳じゃない。Perdimos por mala suerte/ペルディモス・ポル・マラ・スエルテ(負けたのは運が悪かったから)」と言っていたんですけどね。まさか、スローインから回ってきたボールをエリア前右でティルがフリーで受けてるって、誰もチェックしていない?そのシュートがネットに突き刺さり、土壇場で勝ち越し点を挙げたのがシェリフの方では、これじゃ、ゴールラッシュを期待していたベルナベウのファンも肩をすかされてしまったかと。
うーん、ワンダだったら、チームがリードされた途端、スタンドから大きな励ましのカンティコが聞こえてくるんですけどね。ロスタイムも6分間とたっぷりあったんですが、結局、マドリーは1-2で負け、シェリフがまさかの2連勝でグループ首位に立つことに。同日は早い時間帯でシャフタールとインテルがスコアレスドローだったため、マドリーは勝ち点3で2位ですが、次のCLグループリーグは昨季、2敗しているシャフタールとの連戦になりますからね。もちろん、その前にはリーガ首位死守のため、日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)から、アウェイでのエスパニョール戦のことを考えないといけませんが、シェリフ戦で戻ったクロース以外、マルセロ、メンディ、ベイル、セバージョス、カルバハルはまだリハビリ中。
加えて、この日もマドリーの攻撃を賑わせてはいたものの、ビニシウスのゴール照準がまたズレてきたみないなのが気になりますが、実はピッチでシェリフの選手たちのお祝いが続いている間、やはり6分という長いロスタイムをもらい、「El equipo cree hasta el final/エル・エキポ・クレエ・アスタ・エル・フィナル(チームは最後まで信じていた)」(シメオネ監督)というアトレティコはまだ戦っていたんです。それが最近はかなり、お隣さんのレモンターダ体質がうつってきたようで、まさか、51分にはエリア内でレマルと落ちて来るボールを争ったカルルがハンドを取られ、PKをもらえるんですから、まさしく信じる者は救われる?
このPKはルイス・スアレスがちょっと危ないながら、何とかGKメニャンに止められずにゴールにしたため、結局、100分まで必死に守ったアトレティコが土壇場で1-2と逆転勝利をゲット。いやあ、後日、インタビューを受けた当人が言っていたんですが、この時、「蹴る前にマリオ(・エルモーソ)がミランの選手たちがPKマークの辺りを踏みつけてグチャグチャにしていたから、気をつけろと警告してくれた。ウチはもうピッチから出ている選手もそれ位、試合に集中しているんだ。自分は気がつかなかったけど、プレーしていない選手の方が冷静だからね。言われて、そっちを見たら、もうジョアンがカバーしてくれていた」そうで、おかげで彼も6年ぶりとなるCLアウェイゴールを挙げることができたなんて、結構、いい話かも。
これでアトレティコも1節のポルト戦、失意の0-0ドローを乗り越えて、いえ、paron(パロン/リーガの停止期間)明けにワンダに迎えるリバプールはその日もポルトに1-5と大勝して、勝ち点6でしっかり首位をキープしているんですけどね。2位ならまあ、そんなに悲観することもないですし、この土曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのリーガ戦の相手、バルサは翌水曜、初戦のバイエルンに続き、ベンフィカにも3-0と連敗。あちらが2シーズン前、それこそダ・ルス(ベンフィカのホーム)で行われたコロナ休止明けの集中CL決勝トーナメント準々決勝で、こちらもバイエルンに2-8と叩きのめされたショックを克服できなかったのと対照的に、アトレティコは2016年CL決勝でお隣さんにPK戦で負けたサン・シーロの悪夢を払拭できましたからね。
まあ、元々、2014年以来、CLに出ていないミランにはそのシーズン、同スタジアムでの16強対決1stレグで0-1と勝っているため、そんな大袈裟なものですないかもしれませんが、このバルサ戦での注目はかなり、解任が近づいているようなクーマン監督と、その彼の下、アトレティコ移籍が決まるまで、「no me olvido que el año pasado en la pretemporada me mandaban a entrenar aparte/ノー・メ・オルビド・ケ・エル・アーニョ・パサードー・エン・ラ・プレテンポラーダ・メ・マンダバン・ア・エントレナール・アパルテ(昨年のプレシーズン、チームと別練習させられたことは忘れない)」とリベンジを誓っているスアレス。いよいよ、この週末から、マドリッドを含む、スペイン大部分のスタジアムはキャパ100%で営業していいことになったため、ワンダのスタンドも凄いことになるんじゃないでしょうか。
そして最後にマドリッドの弟分の週末の予定も伝えておくことにすると。ファルカオが出場するようになって以来、3試合負け知らずのラージョは土曜の午後2時という早い時間のキックオフで、相手は9位のオサスナ。4位の兄貴分を勝ち点差1で追う彼らですから、気合もかなり入っているはずです。一方、20チーム中、唯一、勝ち点がまったくないヘタフェは日曜午後6時30分から、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでレアル・ソシエダ戦。大量発生中の負傷休場者も前節ベティス戦で戻ったサンドロぐらいしか、回復していないんですが、イマノル監督のチームは木曜にELグループリーグ2節モナコ戦をプレー、1-1と引分けて、まだ白星がないのはともかく、彼らもケガ人が多いため、体力的には辛いはずですからね。すぐ上のグラナダとアラベスとは勝ち点3差ですし、まだちょっと頑張れば、降格圏脱出もすぐなので、とにかく手遅れになる前にヘタフェも運気が変わってくれるといいですよね。
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