ゴールの入るチームが強いのは当たり前…/原ゆみこのマドリッド

2021.09.21 20:00 Tue
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「これじゃ態勢を立て直す時間もありゃしない」そんな風に私が嘆いていたのは月曜日、週末のリーガ戦が終わったばかりなのにもう、試合前記者会見にシメオネ監督とミチェル監督が出ているのに気がついた時のことでした。いやあ、近年はヨーロッパの大会常連となっているアトレティコにしてみれば、週2試合ペースなど、いつものことなんですけどね。翻って、ELに数回出場経験のあるだけのヘタフェは今季、リーガだけのノーマルな日常を送っているんですが、逆にそういうチームが辛くなるのが、1週間にリーガ3試合という、ミッドウィーク開催週。

とりわけ、先週末にはアルメリアに0-4と負け、1勝5敗の最下位となった2部の弟分、アルコルコンのアンテケーラ監督が早くも解任されたりもしていますしね。まだ白星が1つもないヘタフェにとっては、ただでさえ、苦手な兄弟分ダービーにそれこそ、背水の陣で挑まないといけないというのは気の毒なんですが、実を言うと、今は昨季王者もあんまり威張れる状態でないのが悩みの種なんですよ。

どうしてそうなったのか、とりあえず、先週末の試合の様子からお話しすることにすると、まずは土曜の午後2時、私はエスタディオ・バジェカスへ。この弟分ダービーでは、早々にアレニャの直接FKがゴールポストに当たるなど、4連敗のヘタフェがやる気を見せていたんですが、やっぱり彼らは大殺界真っ只中なんですかねえ。「Todo lo que pasa lo hace en contra de nosotros/トードー・ロ・ケ・パサ・ロ・アセ・エン・コントラ・デ・ノソトロス(起きることは全て、ウチに悪い目が出る)」とミッチェル監督も嘆いていたように、7分には振り返りVAR(ビデオ審判)判定が入り、エヌテカがエリア内で倒れているのをスルーしてプレーが続いていたのが、遅ればせながら、元凶がジェネのファールだったことが発覚。

ラージョにPKが与えられ、トレホが先制ゴールを決めたんですが、ヘタフェの不運はまだ続きます。ええ、13分には今季加入して、チームの希望の光となっていたチェコ代表のヤンクト(サンプドリアから移籍)がジャンプした際に足を痛め、担架退場となってしまうんですから、本当にツイていない。急遽、ビトロが入って、前半は1-0のままで凌いだんですが、どうにもゴールを決められるようには見えなくてねえ。後半8分、FKから入ったサベリッチのゴールがオフサイドで追加点を免れたのも束の間、とうとう25分には歓喜にスタンドが沸く中、ファルカがピッチへ。これにはヘタフェの選手たちも威圧されてしまったか、32分にはCKから、カテナ、シスにヘッドを繋がれ、2点目を取られているんですから、もう万事休すだったかと。

でもどんな状況でもゴールを追い求めるのが、Tigre(ティグレ/虎、ファルカオの愛称)の生まれ持っての本能なんです。いやあ、実は午後4時15分からのワンダ・メトロポリターノでのアトレティコvsアスレティック戦に行くため、途中、主審の無線機器が何度も不調となり、進行が遅れていたせいもあり、15分も残して、私が席を立つことになったのもタイミングが悪かったんですけどね。1階のスタンドまで下りたところで場内から大歓声。シスのスルーパスから、ファルカオがラージョ初ゴールを決めるシーンを見逃して、ファンが狂喜乱舞しているのを後ろから眺めているしかなったんですから、もう悔しいっちゃありませんって。

そして試合の残りはタクシーの中、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の中継を聞いていたんですが、マイナス運気にドップリはまったヘタフェはせっかく、41分にはマシアスがバリウスに倒されて、ペナルティをゲットしながら、エネス・ウナルがPKをGKデミトリエフスキに止められてしまう始末。15分という超ロングロスタイムも空しく、3-0で5連敗となったのも何ですが、得点もまだバルサ戦でサンドロが挙げたゴールしかなく、その彼も負傷で離脱中なんですよ。ミチェル監督によると、ハムストリングスを肉離れしたアランバリを始め、ビトロもラージョ戦でふくらはぎを肉離れ、カバコはアキレス腱を痛め、マクシモビッチとオリベイラも火曜のアトレティコ戦出場は当日まで様子見とかなると、もうヘタフェはチーム全員でお祓いにでも行った方がいい?

そしてキックオフギリギリで間に合ったワンダの試合の方はどうだったかというと、うーん、開始早々にはマルコス・ジョレンテの切り込みから、グリーズマンのシュートというチャンスもあったものの、CLポルト戦から続く低調な流れにほとんど変化は見られず。この日のシメオネ監督はまた趣向を変えて、前線にはコレアとグリーズマンを置き、ルイス・スアレスとカラスコがベンチスタートとなるローテーションをしたのも影響あったか、前半は0-0のまま、ハーフタイムに入ります。後半9分には最近、恒例となっている3人一気替え、グリーズマン、コンドグビア、ロディをルイス・スアレス、カラスコ、エレーラにしたんですが、まさか、その5分後、コレアに代わって入ったジョアン・フェリックスが事件を起こしてくれるとは!

いやあ、スタンドの上の方から見ていたため、私も最初は敵にユニを引っ張られていたジョアンがどうしてイエローカードをもらうのか、わからなかったんですけどね。どうやら主審は相手を振り払う際、ジョアンの腕がベンセドールの顔に当たったことを重視。それで警告を受けたのはともかく、その後がいけません。いくら怒っていても審判に「estás loco/エスタス・ロコ(あんた気違いか)」なんて、しかもスタンドにいる3万9000人の観客のせいで聞こえないことを心配したか、念を入れて自分の頭を指さしてまで言っては、即座に2枚目のカードを突きつけられ、退場処分になってしまっても仕方なかったかも。

結局、最後はクーニャも入れて、自慢のFW陣全員を使いながら、得点に一番近かったのはジョレンテのエリア外からのシュートがポストに当たったぐらい。逆にウィリアムスとビジャリブレが揃って、フリーのシュートを外してくれていなければ、アスレティックに負けかねなかったアトレティコなんですが、何とか試合は0-0で終了です。これでポルト戦から連続スコアレスドロー、代表戦期間前のビジャレアル戦を入れれば、ホームで3連続引き分けという体たらくなんですが、ゴール日照りの時期は毎シーズン、必ずありますからね。なるたけ早く、アタッカーたちにツキが巡ってくるよう、祈るしかないとはいえ、この試合だけでも6枚、5試合で20枚というリーガでダントツ、イエローカードゲット王の称号だけはどうにかならないものかと。

まあ、シメオネ監督も「Si el gesto se lo hace otro probablemente no le expulse/シー・エル・ヘストー・セ・ロ・アセ・オトロ・プロバブレメンテ・ノー・レ・エクスプルセ(他のチームがやった仕草だったら、おそらく退場はなかっただろう)」と嫌味を言っていたように、この日の主審だったヒル・マンサーノ審判とは元々、相性も良くないんですけどね。それでも彼らのイエローカードはラフプレーではなく、半分は抗議によるものとなれば、1試合か2試合の出場停止処分が火曜のヘタフェ戦前に決まるジョアンも含めて、チーム全員で反省してもらわないと。

え、まだ5節終わったところだから、累積警告の心配はさすがにしなくてもいいだろうけど、アトレティコもだんだん、ケガ人が増えてきたんじゃないかって?その通りで、ポルト戦でケガをしたコケとレマルはまだ戻らず、その代理を務めたコンドグビアもアスレティック戦で負傷。3人揃って、火曜午後7時30分(日本時間翌午前2時30分)からのヘタフェ戦を自宅でTV観戦することになったんですが、そのうちの誰かは土曜のアラベス戦前に回復してくれないとマズいことに。何せ、来週火曜にはCL2節目のミラン戦もありますし、その週末はバルサをワンダに迎えないといけませんからね。その頃までにはゴール力も取り戻して、せっかくスタンドで応援できるようになったファンを喜ばせて欲しいものです。

一方、勝ち点1ゲットで結構、満足していたようなアスレティックにこの火曜、午後10時からサン・マメスで挑むのがラージョなんですが、やはりこのクラスのチームには中2日の試合は辛いようで、主軸のトレホが筋肉痛で出場が微妙なよう。それでも期待してしまうのは、イラオラ監督がファルカオのコンディションが整い、今度は先発も可能と言ってくれたせいで、何せ、彼のゴールへの執念は2012年のEL決勝で対戦した当人だけでなく、その2ゴールなどでアトレティコに負けたアスレティック勢に知れ渡っていますからね。月曜にバルサがグラナダと1-1と分けたせいで、10位に落ちてしまったものの、ここまで2勝1分け2敗のラージョには気持ち的な余裕もあるため、いい勝負ができるものと信じています。

一方、日曜の夜にメスタジャでプレーしたレアル・マドリーはどうだったのかというと元々、負傷禍に悩まされていたのはアンチェロッティ監督のチームだったんですが、試合が進むにつれ、拮抗していくことに。というのも試合直前にはガヤがハムストリングスのケガでベンチ外になっただけに飽き足らず、前半15分にはカルロス・ソレルが、22分にはコレイアも太ももを痛め、バレンシアの主力が次々と交代してしまったから。それでもボルダラス監督に率いられ、今季から体力を惜しむことなく、戦う集団となった相手はその程度の逆境には挫けず。それどころか、26分にふくらはぎを痛め、せっかくオサラバしたはずだった昨季の悪夢を再来させてしまったカルバハルと交代。右SBを務めていたルーカス・バスケスのミスを後半21分にしっかり利用しているんですから、侮れないじゃないですか。

ちなみにその主役となったのは、ボルダラス監督にヘタフェ時代のパフォーマンスを見込まれ、リクルートされた2人で、フルキエが右サイドから上げたクロスをルーカス・バスケスが頭でクリアすると、そのボールがウーゴ・ドゥロの正面に。少し前にはGKクルトワにシュートを弾かれていたヘタフェのカンテラーノ(Bチーム出身の選手)がワンバウンドしたところを蹴ったボールがネットに突き刺さり、バレンシアの先制点となったとなれば、もしかして、ミチェル監督も移籍最終日に彼をレンタルに出したことを後悔してる?

ただ、ドゥロは昨季も「Por la repercusión que tiene el club, incluido su filial/ポル・ラ・レペルクシオン・ケ・ティエネ・エル・クルブ、インクルイードー・ス・フィリアル(クラブの持っている反響の大きさから。Bチームも含めてね)」という理由で、ラウール監督率いるRMカスティージャにレンタル移籍したちゃっかり者。しかも「パンデミックのせいで、マドリーは誰も補強しないと思ったし、シーズン中にはケガ人とか、イロイロあるから、トップチームに呼ばれるチャンスもあるかも」という当人の予想が見事に的中し、ジダン監督にCLアタランタ戦他、計3試合で使われたんですが、残念ながら、買取オプションは行使してもらえなかったため、バレンシア行きは渡りに船だったようですけどね。

とはいえ、そこはアンチェロッティ監督が即座に反応。それも驚いたことにカセミロ、モドリッチ、中盤の要2人をロドリゴとカマンビンガに代えたんですが、リードしたバレンシアが疲れたのもあって、守りに入ったのもマズかったですかね。おかげで一方的に攻められるようになり、何とか終盤まで耐えていたものの、41分にはとうとう、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)体質が爆発したんですよ。ええ、ロドリゴのパスをエリア内で受けたベンゼマがボールをビニシウスに出すと、今季は決定力をメキメキ向上させているブラジル人FWがシュート。これがフルキエの足に当たり、それまで好セーブを続けていたGKママルシェビリを破って、同点ゴールになるんですから、さすが本家本元。

それどころか、その2分後には絶好調の前線2人が役割を入れ替え、ビニシウスが上げたクロスにベンゼマがヘッドで勝ち越しゴールって、いえ、リプレーで見ると、使ったのは頭ではなく、肩だったようですけどね。これで1-2の逆転勝利となれば、アンチェロッティ監督が「No hemos ganado por la calidad, sino por el espíritu indomable del equipo/ノー・エモス・ガナードー・ポル・ラ・カリダッド、シノ・ポル・エル・エスピリトゥ・インドマブレ・デル・エキポ(ウチは質の高さで勝った訳ではない。チームの反骨精神のおかげだ)」と言っていたのも頷けるかと。いやあ、もうセルヒオ・ラモス(契約満了でPSGに移籍)もいないのに、こんな見事な終盤の逆転劇を見せられた日にはやっぱり、マドリーのDNAにはレモンターダ体質が刷り込まれているんだって、私も思うしかありませんって。

そんなマドリーはこの勝利で単独首位となり、水曜午後10時(日本時間翌午前6時)から、サンティアゴ・ベルナベウに久保建英選手のいる9位のマジョルカを迎えることになるんですが、何か、羨ましいですよねえ、ベンゼマだけでなく、ビニシウスまでがゴールづいて、2人で今季、チームの15得点中、11ゴールを挙げているなんて。とはいえ、負傷者状況の方はあまり変わらず、カルバハルはもちろん、クロース、マルセロ、メンディ、セバージョス、ベイルの復帰もまだ見込めない様子。先週のCLインテル戦で出番がなかったように、「昨季のケガがあるから、2試合連続で先発するのは難しいかもしれない」とアンチェロッティ監督が言っていたアザールもまたベンチに戻るかもしれませんが、ここしばらく、彼らの快進撃は続きそうな気がします。

【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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リベンジされてしまった…/原ゆみこのマドリッド

「この激戦の後、中2日は可哀そうかも」そんな風に私が驚いていたのは水曜日、マドリッド勢のCL戦が同日開催で火曜に終わったのもあって、アルコルコンとレガネスの2部弟分ダービーを現地観戦した後のことでした。いやあ、平日の夜9時キックオフという時間が悪かったのか、ずっと最下位なのにファンが失望したのか、試合1時間前に私がサント・ドミンゴに着いた時は周辺にほとんど人影がなく、もしや日付を間違えたのかと心配したもんですけどね。両チームのアップ中もスタンドはガラガラで、まさかスペイン中のスタジアムがキャパ100%の入場を許可されたのを無視して、ここだけ無観客試合を続けているのかと思ったぐらいですが、それは大丈夫。 始まる頃には車で15分程のお隣の街、レガネスからも応援団が到着して、ホームチームのファンも300~400人はいたようですが、柴崎岳選手も先発したこの試合、開始3分にはドゥクレの犯したペナルティから、ファン・エルナンデスがPKゴールを決め、アルコルコンが先制。23分にはフェデ・ビコのスルーパスから、バルセナスが同点ゴールを挙げ、すぐにレガネスも追いついたんですが、更にそれぞれ、ファンマ、ハビ・エルナンデセスが追加点と、2-2でハーフタイムに入るという乱戦模様に。後半18分にはバルセナスのクロスをアルナイスがヘッドして、とうとうレガネスが逆転したものの、30分、エリア外からフライレにgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決められて、最後は3-3の引分けで終わってしまいましたっけ。 返す返すも後半41分に柴崎選手のクロスをゴール前、アトレティコのカンテラーノ(Bチーム出身の選手)、今季はレガネスでレンタル修行中のボルハ・ガルセスがヘッドしながら、GKダニ・ヒメネスに止められたのが悔やまれますが、弟分同士で潰し合うのも不毛ですからね。ただ辛いのは、ヨーロッパの大会週にミッドウィークリーガを当てがわれた2部はすぐに週末の試合が来て、降格圏ギリギリ19位で上2チームと同じ勝ち点のレガネスは土曜午後9時から、ブタルケでテネリフェ戦をプレーしないといけないんですよ。アルコルコンも最下位のままで、まあ、次戦のラル・パルマス戦が日曜なことだけがちょっと救いですが、どこのチームもだんだんケガ人が増えてきた昨今、試合が立て続けにあるのはアシエル・ガリターノ監督も、アンケーラ監督を引き継ぎ、Bチームから昇格したホルヘ・ロメロ監督もやりくりが大変ですよね。 え、それよりワンダ・メトロポリターノでのCLリバプール戦がどうだったかの方が気になるって?そうですね、こちらはアルコルコンとは真逆で、うーん、前日記者会見でシメオネ監督が「前回の対戦ではキックオフ前からファンが伝えてきたエネルギーで、ウチは勝ち始めていた」とアジッたせいもあったんですけどね。もしやと私も1時間15分前にはスタジアムの駅に着いていたんですが、ちょっと遅かったようで、その時はもう、チームバスを迎えるため、沿道に集結したファンが焚いた大量のbengala(ベンガラ/発煙筒)の煙の匂いが残るばかり。 どうやらコロナ大流行中だった昨季とは違い、ロッカールームに長くいてもいいせいか、チームはまた1時間半前にスタジアム入りするようになったみたいですが、すでに違いは行きのメトロの中でもくっきりと。そう、リバプールを応援にやって来た3000人以上のイギリス人ファンで車内が賑わっていたせいですが、最初のサプライズと言えば、スタメンにエースのルイス・スアレスがいなかったことの方でしょうか。といっても開始7分、サラーのシュートがミルナーに当たり、早々に先制点を奪われてしまったのは、別にグリーズマンとジョアン・フェリックスのツートップだったせいではなし。シメオネ監督も後で「Salah vino para dentro 12 o 15 metros y nadie salió a taparle/サラー・ビノ・パラ・デントロ・オンセ・オ・キンセ・メトロス・イ・ナディエ・サリオ・ア・タパールレ(サラーが内方向に12、15メートルも来て、それを誰も止めなかった)」と言っていた通り、カラスコ、レマル、コケが傍観してしまったからなんですけどね。 更に守備ミスは13分にも発生し、今度はフェリペがエリア前にいたケイタの正面にボールをクリア、volea(ボレア/ボレーシュート)でGKオブラクを破られてしまったとなると事態は深刻で、もちろんスタンドの多数派だったアトレティコファンはますます、声援の音量を高めたんですけどね。その窮地を打開してくれるのが、バルサから出戻りして、ワンダで復帰ゴールをまだ挙げていなかったグリーズマンになるとは一体、誰が予想した?まずは20分、CKから始まったプレーでレマルがエリア内左奥から戻したボールをコケが反対側からシュート。ゴール前には人が密集していたものの、グリーズマンが流し込んで、1点を返したかと思うと、GKアリソンとの1対1を失敗した後の33分、ジョアンのスルーパスを受け、2点目を挙げてくれるんですから、1期目のアトレティコでエースを張っていたのは決してダテではありませんって。 おかげで後半を2-2の同点で迎えることができたんですが、うーん、早くファンの支持を取り戻したいグリーズマンの熱意が過ぎたんでしょうかね。守備にも積極的に参加していた彼は再開早々の3分、ハイボールをクリアしようとして高く上げた足でフィルミーノの頭を蹴ってしまったから、さあ大変!すぐさま審判がレッドカードを提示して、いえ、クロップ監督は「運は悪かったが、あれはレッド。ウチの選手の顔に足が当たったんだから」と言っていましたけどね。彼らと同グループのもう1試合、ポルトvsミラン戦ではイブラヒモビッチが似たようなファールをしながら、イエローカードで済んだという例があるため、かならずしも退場に値する訳ではないのが悔しいところ。 ただ、10人になったものの、それでもアトレティコが崩れることはなく、かなりいい戦いをしていたんですが、全ての努力が水泡に帰したのは30分。ええ、まさかエルモーソがエリア内に落ちてくるボールを見もせず、マネと代わって入っていたジオゴ・ジョタに体当たり、ペネルティを献上しているようではどうしたらいいんでしょう。PKはサラーがしっかり決め、リバプールがまた1点をリードした直後、シメオネ監督はもう10分近く、ライン際で交代を待っていた4人を一斉に投入。ええ、ジョアン、レマル、デ・パウル、エルモーソから、スアレル、コレア、マルコス・ジョレンテ、ロディにして、同点を目指したんですが、まさかその1分後、FKでヒメネスがジョタに倒され、アトレテシコにもPKがもらえるとは! でも、せっかくスアレスがボールを持ってPKマークのところで待っていたにも関わらず、VAR(ビデオ審判)に呼ばれてモニターを見に行った主審が気を変えてしまったんですよ。いや、まあ、フェリペなど、「エルモーソの時はいやに早かったのに、para el nuestro, miró, miró, miró, volvió, miró otra vez…/パラ・エル・ヌエストロ、ミロ、ミロ、ミロ、ボルビオ、ミロ・オトラ・ベス(ボクらのは見て見て見て、また見て…)。ちょっと不公平だ」と愚痴っていたんですけどね。そうは言ってもペナルティになるかどうかは運次第のところもあるため、その前に「皆で勝って、皆で負ける。No hay error de uno u otro/ノー・アイ・エロール・デ・ノ・ウ・オトロ(1人や誰かのミスではない)」(フェリペ)なんて開き直ってないで、エルモーソ同様、自身の2失点目のクリアミスを反省した方が良くなくない? 結局、ロスタイムにコレアが放ったシュートもゴールを大きく外れ、アトレティコは2-3で敗戦。それこそ、グリーズマンの失敗した1対1の他にもジョアン、レマル、カラスコがGKアリソンに弾かれていたため、全然、歯が立たなかった感はないんですけどね。試合後には審判が終了の笛を吹いた途端、いつもようにシメオネ監督が脱兎のごとく、ロッカールームへの階段を走り上がって行ってしまったため、挨拶をしようとしてすかされたクロップ監督が照れ隠しなのか、アトレティコのスタッフや控え選手らの手を1人ひとり握っていたなんてシーンも。 とりあえず、2年前のワンダでのリベンジを果たされてしまったアトレティコですが、まだ11月3日にはアンフィールドでの対戦が待っていますからね。イブラの退場はなかったものの、ミランがポルトに1-0で負けてしまったため、勝ち点4で並ばれてしまった彼らとしては次こそ、リバプールに勝って、グループ突破に近づきたいところですが、実は悪いニュースも。というのもその2020年のCL16強対決2ndレグ延長戦で2得点し、一気にゴールゲッターの素質を開花させたジョレンテがparon(パロン/リーガの停止期間)前のバルサ戦で負った右太もものケガを再発。全治1カ月となってしまったため、少なくとも1試合は出場停止が課されるグリーズマンと共にグループリーグ4節に出られないことですが、例年よりショック度が低いのはやはり、今季は前線が充実しているおかげでしょうか。 日曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのレアル・ソシエダ戦にはスアレス、ジョアン、コレア、クーニャに加え、グリーズマンも出られますし、何より相手は木曜にオーストリアのグラーツでシュトルムとのEL戦をプレーしていますからね。そちらではオジャルサバルの負傷欠場も何のその、イサクのゴールで0-1と勝っているんですが、当然、遠征続きとなる疲れはあるかと。丁度、お隣さんがクラシコ(伝統の一戦)でガチンコ勝負をしている隙に、ワンダで勝ち点差3を稼ぎ、リーガ首位に並ぶのにいいチャンスかとも思えますが、2位グループにはレアル・マドリーの他にセビージャ、オサスナもいるため、しばらくこの熾烈なトップ争いは続きそうですね。 え、面倒だから、差し挟まなかったけど、ワンダのスタンドでは私もオンダ・マドリッド(ローカルラジオ)の2元中継のおかげで、マドリーのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を逐一、知ることができたんだろうって?その通りで、昨季はCLグループリーグで2敗していたシャフタール戦が同時進行していたんですが、こちらもまずはキエフのオリンピスキーでリベンジ第1部に成功。前半のうちは37分にルーカス・バスケスのクロスをベンゼマが受ける前にクリフトフがクリア、そのボールがオウンゴールになってしまっただけだったんですが、後半にはここ4試合、なりを潜めていたビニシウスが爆発したんですよ。6分にはベンゼマ、モドリッチと繋いだパスからチームの2点目を決めたかと思えば、11分には敵DF4人をかわしてまたゴール。19分にも今度は1つ年下のブラジル人の後輩、ロドリゴのゴールをアシストしているとなれば、やっぱり今季はビニシウス台頭の年となるのかも。 更にロスタイムにもベンゼマが1点を加えたマドリーは0-5という大勝を収めたんですが、昨季までのジダン監督もできなかった、ビニシウスの才能を引き出したアンチェロッティ監督にはただただ、感心するばかり。ええ、当人も「時々、シュートに失敗すると、監督は『Te voy a quitar, te voy a quitar/テ・ボイ・ア・キタール(お前を下げるぞ)』って、ピッチの外から言うんだ。ボクが集中力を保って、チームのためにゴールを挙げられるようにね」と言っていたんですが、それぐらいであんなに的を外してばかりだった選手が成長できる訳もなく、きっとバルデベバス(バラハス空港の近く)での練習で相当、しごかれたのでは? これでいよいよ、CLグループで同日、インテルに3-1と負け、そろそろメッキが剥げてきたモルドバのシェリフと同じ勝ち点6、2位となったマドリーは11月3日にサンティアゴ・ベルナベウで再び、シャフタールを下せば、かなり突破に近づくんですが、1日練習休みを置いて、木曜からのセッションではすでにクラシコが照準に。何せ、相手も水曜にはカンプ・ノウで同じオリンピスキーをホームとするディナモ・キエフにピケのゴールで勝ったとはいえ、1-0であんまり見栄えのしないプレーぶりだったらしいですからね。更にメンディが復帰し、左SBの心配がなくなったマドリーとは対照的に、あちらはジョルディ・アルバが右足首をネンザ。 一応、木曜にはペドリに続き、同じ18才のアンス・ファティとクラブ史上最高額の契約破棄金10億ユーロ(約1330億円)で延長契約を結び、クラシコ前の雰囲気を盛り上げていましたが、直前の試合でゴール祭りとなったマドリーではアザールやカルバハルも復帰できる可能性もありますしね。とはいえ、クラシコは予想できないことが起きる試合でもあるため、日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)からのカンプ・ノウでの一戦はどちらのファンも見逃せません。 そしてマドリッド1部の弟分チームたちは今週末、ラージョが日曜にベニト・ビジャマリンでベティス戦。木曜にホームでのELレバークーゼン戦に1-1と引分けたばかりの相手はリーガでも勝ち点15の8位と、勝ち点16で6位のイラオラ監督のチームにとって、現時点での好敵手になりますが、ミッドウィークに試合がない方がこういう時は有利かも。前節のエルチェ戦には出場機会がなかったファルカオもコロンビア代表戦の疲れが取れ、今度は体調万全のはずですからね。来週のミッドウィーク節にバルサをエスタディオ・バジェカスに迎える前にここは勝っておいてほしいかと。 一方、いまだに勝ち点が2しかないヘタフェは月曜試合で、キケ・サンチェス・フローレス監督が3度目のコリセウム・アルフォンソ・ペレスデビュー。前節、引き分けに終わったレバンテ戦から中8日もあったんですが、どうやらヤンクト、ビトロ、マタは間に合わないようです。ただ、そうこうするうち、どんどんリーガは進んで行きますし、15位のセルタだって、完全な状態で来る訳じゃありませんしね。まだ上との距離が近いうちにヘタフェなり、アルコンコンなり、マドリッド勢から最下位がいなくなってくれるのが一番ですが、それにはやっぱり、ホームサポーターの応援が欠かせませんよね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2021.10.22 17:00 Fri
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リーガは先が長いけど…/原ゆみこのマドリッド

「波乱を起こしているのはラージョだけじゃなかったんだ」そんな風に私が驚いていたのは月曜日、リーガ順位表の上位混戦状態に今更ながら、気がついた時のことでした。いやあ、paron(パロン/リーガの停止期間)明けだった先週末は、CLグループリーグ3節が火曜に組まれているマドリッドの両雄のカードが延期となったため、土壇場でマジョルカに勝ったレアル・ソシエダが勝ち点3差つけて、単独首位に立ったのはまあ、想定内であったんですけどね。むしろ、弟分のラージョが6位のままながら、レアル・マドリー、アトレティコとたった1差に詰めていた方が衝撃的だったんですが、え、2位から5位まで同じ勝ち点で並ぶ4チームの中に昨季も4位だったセビージャはともかく、オサスナが入っている? それで慌てて成績を調べてみたところ、アラサーテ監督率いるチームは突極のアウェイキラー。ここまでビジターとなった4試合全てで白星とは20チーム中、彼らだけが達成している偉業で、そういえば、日曜にもビジャレアルに1-2で勝っていましたしね。ちなみに真逆なのがラージョで、彼らはこれまでのホームゲーム4試合で全勝。おかげで昨季は2部6位ながら、プレーオフを経て、3年ぶりの1部に復帰したチームとは思えない高みにいられる訳ですが、それだけにもう1つの弟分、ヘタフェの苦境が余計、見ていられなくなってしまうんですが…。 ええ、リーガ再開9節のトップバッターを土曜に飾った彼らはキケ・サンチェス・フローレス監督の3度目の初陣を白星で飾れなかったんですよ。同じくハビエル・ペレイラ新監督率いるレバンテ戦にはサンドロのワントップで挑んだものの、勝ててないチームの常でどちらもゴールが遠くて、うーん、終盤には交代出場したエネス・ウナルが絶好機を2度も得ながら、「Ahora mismo jugamos aún con un poco de ansiedad/アオラ・ミスモ・フガモス・アウン・コン・ウン・ポコ・デ・アンシエダッド(今はまだ、ちょっと焦燥感に駆られてプレーしていた)」(キケ監督)せいでしょうか。1本目はGKアイトル・フェルナンデスに弾かれ、2本目はゴールポストに当ててしまう始末。結局、スコアレスドローで終わったんですが、ここまで無失点試合が1つもなかった両チームにとっては、せめて立て直しの最初の1歩になってほしいかと。 ヘタフェの次の試合は25日月曜のセルタ戦と中8日もありますし、その頃にはマタやヤンクト、ビトロらリハビリ中の選手たちも戻ってこられそうですしね。何より、今度はホームのコリセウム・アルフォンソ・ペレスで戦えるため、まずは最下位脱出を目標に、選手たちが日々の練習に精進してくれることを願うしかないんですが、はあ。前節は2部のアルコルコンもスポルティング・ヒホンに1-0で負け、最下位のままですし、柴崎岳選手が日本代表から帰って来たレガネスもバジャドリーに0-2で負けて、こちらも降格圏の19位。一番頑張っているのが、2部での経験が最も少ないフエンラブラダで11位というのも何ですが、マドリッド郊外南部の弟分たちの調子はいつになったら、上向くんでしょうか。 そして日曜にはエスタディオ・バジェカスにラージョvsエルチェ戦を見に行った私ですが、凄いですね。前日はabono(アボノ/年間指定席)のカードを遠方の練習場まで遥々受け取りに行かされ、そこでは長蛇の列となり、午前10時から4時間余り待たされたらしいサポーターたちですが、その疲れも見せず、午後2時からの試合では7000人程が熱烈に応援。それも前半14分、4人もの選手がかわされ、エルチェに先制点を与えるgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)をボジェに決められたものの、雰囲気が盛り下がらないどころか、ますます力が入ってきたから、さすがラージョのファンじゃないですか。それに呼応するように26分、コメサニャのクロスから、その日、右SBバリウの出場停止処分でトップチームデビューとなった22才のカンテラーノ(ラージョBの選手)、マリオ・エルナンデスがヘッドで狙って、同点ゴールを挙げてくれます。 1-1のままで始まった後半には、いよいよファルカオの投入も期待されたんですが、17分、イラオラ監督はセルジ・グアルディオラに代え、先にエヌテカをピッチへ送り出すことに。すると3分もしないうちにその彼が、こちらもエリア前から撃ち込んで、勝ち越しゴールを奪ってくれたとなれば、コロンビア代表でのW杯予選3試合勤務と大西洋を横断する長旅の後、土曜の1回しか、セッションに加わっていないファルカオの手をわざわざ、煩わすことはない?終盤にはエルチェの抵抗も多少、あったものの、そのままラージョは2-1で勝利。その余韻か、試合後もファンたちはすぐに帰らず、スタンドに残って、昇格祝いなどでよくやっていたカンティコ、「La vida pirate/ラ・ビダ・ピラタ(海賊生活)」を意気揚々と歌っているのを選手たちもピッチで堪能していましたっけ。 ただ、イラオラ監督も「エル・サダル(オサスナのホーム)ではオプションがなかったけど、今日は報償をゲットできた。この先はva a costar sumar/バ・ア・コスタル・スマール(勝ち点を貯めるのが大変だからね)」と言っていたように、ラージョの次戦は日曜にベティスとのアウェイゲーム、その後、バルサをバジェカスに迎えないといけませんからね。もう勝ち点16ともなれば、目標の1部残留まではあと24ポイント、8勝すればいいだけとはいえ、最近はファンもヨーロッパの大会出場の夢が頭をかすめていたりもしますし、何より、ホームでいい試合を続けているとなれば、応援のし甲斐もあるってもんですよ。 え、それで週末はお休みだった兄貴分たちの様子はどうなのかって?そうですね、月曜にはもう、キエフのオリンピスキーでCLシャフタール戦に挑むマドリーはウクライナに旅立って行ったんですが、FIFAウィルスは予想された程、影響がなかったよう。代表戦で負傷したと伝えられたミリトン(ブラジル)、ダビド・アラバ(オーストリア)もすぐ治り、更にはこの2週間でメンディ、マルセロ、アセンシオ、マリアーノも回復。お留守番となったのはベイル、セバージョス、カルバハルら、リハビリ中の定番3人に加え、練習中にケガをしたイスコとヨビッチ、そしてネーションズリーグ・ファイナルフォー準決勝でハムストリングの筋肉痛を起こしたアザール(ベルギー)だけとなりましたっけ。 月曜夕方にはスタジアムのプレスルームで2020年3月のCL16強対決マンチェスター・シティ戦以来、初めてZoom越しでないマドリーの試合前記者会見があったんですが、アンチェロッティ監督のコメントで頭に残ったのは、「エスパニョール戦では4-4-2で守ろうと思ったが、上手くいかなかった。Este equipo tiene que jugar 4-3-3/エステ・エキポ・ティエネ・ケ・フガール・クアトロ・トレス・トレス(このチームは4-3-3でプレーしないといけない)」というくだり。ということは、アザールのいないこの試合、ベンゼマ、ビニシウスときて、3人目のFWがロドリゴになるのか、アセンシオになるのか、はたまた意表を突いて、ルーカス・バスケスを使ったりするのか、気になるところですが、こればっかりはキックオフ1時間前になってみないとねえ。 それより今回、グループ2位の彼らが絶対勝たないといけないのは、2節で対戦したシェリフに負けていたからで、いえ、現在、勝ち点6で首位に立つモルドバの新鋭がこのまま、すんなり突破するとは思いませんけどね。昨季もダークホースだったシャフタールに2敗して、最後は1位で決勝トーナメントに進んだものの、かなりヒヤヒヤさせられたマドリーだけに、モドリッチも「No tenemos mucho margen más para equivocarnos después de la última derrota/ノー・テネモス・ムーチョ・マルヘン・マス・パラ・エキボカールノス・デスプエセウ・デ・ラ・ウルティマ・デロータ(最後の敗戦の後、ウチにはあまり間違いを犯す余地は残っていない)」と言っていたように、今季は早めに勝ち点を集めておきたいところかと。 彼らには週末の日曜、奇しくも水曜にはシャフタールとホームを同じくするディナモ・キエフと対戦。週末、3-1でバレンシアに勝利した試合から、カンプ・ノウで3連戦となるバルサとのクラシコ(伝統の一戦)も控えていますしね。丁度、各国代表戦前は3試合白星なしだったこともあり、今週はマドリーにとって、シーズンの先行きを占う大事な節目となるかもしれません。 一方、同じ火曜午後9時(日本時間翌午前4時)から、ワンダ・メトロポリターノにリバプールを迎えるアトレティコはというと。前日には私もマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場にセッションを見学に行ったんですが、やはりビッグゲームの前は取材陣も多いですね。選手たちの様子はいつも通りだったんですが、こちらの朗報はウルグアイ代表を早退してきたヒメネスが復活、ケガで代表戦に行けなかったマルコス・ジョレンテ、クーニャも普通に参加しており、シメオネ監督によると、「Mañana haremos un entrenamiento más para ver la evolución/マニャーナ・アレモス・ウン・エントレナミエントー・マス・パラ・ベル・ラ・エボルシオン(回復具合を見るため、明日、もう1度練習する)」のだそう。 それでOKなら、彼らも招集リストに入って、午後1時にヒルトン・エアポートホテルにチームは当日合宿。いやあ、シメオネ監督が「スタジアムがアトレティコのユニを着たファンで満員になって、2シーズン前のリバプール戦を皆が思い出せるように。ウチは彼らのおかげで1stレグに勝って、16強対決を始められた」と煽っていたため、もしかしてまた、チームバスがワンダに着く時、赤々と輝く大量のbegala(ベンガラ/発煙筒)でお出迎えしてもらいたいのかなと思いましたけどね。今回はいよいよ、ビジターチームのファンも入場できるため、およそ3000人のリバプール・サポーターがやって来るのだとか。 一応、アトレティコはルイス・スアレス(ウルグアイ)、デ・パウル、コレア(アルゼンチン)ら、南米代表で一番遅く帰って来た選手たちも含め、「Hemos hecho un entrenamiento hoy espectacular todos. Uruguayos, argentinos, franceses.../エモス・エッチョー・ウン・エントレナミエントー・オイ・エスペクタクラル・トードス。ウルグアージョス、アルヘンティーノス、フランセセス(ボクらは皆、今日はスペクタルな練習をやった。ウルグアイ人もアルゼンチン人もフランス人も)」と、キャプテンのコケが請け合っていたように体調は万全なようですからね。それでも土曜にはリバプールがプレミアリーグのワトフォード戦でサラー、マネ、フィルミーノ(ハットトリック)が揃い踏み、0-5のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)で勝ったなんて聞くと、不安は沸かなくもないんですが、クロップ監督もあまりアトレティコのサッカースタイルは好きでないと言っていたものの、とりあえずはリスペクトしてくれているよう。 コロナ禍によるCL中断直前の2年前にはルイス・スアレスやグリーズマンもおらず、ジョアン・フェリックスもまだまだ成長途中だったにも関わらず、勝つことができましたからね。かなり前線の火力が増した今季なら、もっと期待できるかと思いますが、このリバプールとの2連戦、勝ち点0という結果だけは避けたいところかと。ええ、このグループはあとポルトとミランで、アトレティコは1勝1分けで2位なんですが、悠長に構えていると、アゼルバイジャンのカラバフに躓いて、シーズン後半はELをプレーする破目になった4年前の悪夢(でも優勝した)が蘇ってくる可能性もなきにしろあらず。リーガもこの日曜は首位のレアル・ソシエダをワンダに迎えるとあって、こちらもお隣さん同様、気の抜けない週になりそうです。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2021.10.19 20:30 Tue
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今回は時間稼ぎができた…/原ゆみこのマドリッド

「クルトワの言った通りになったわ」そんな風に私が茫然としていたのは金曜日、フェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)に続き、ネーションズリーグ・ファイナルフォーに参加したスペイン代表のオジャルサバル(レアル・ソシエダ)が練習中、ハムストリングに小さい肉離れを起こし、戦線離脱したという報を聞いた時のことでした。いやあ、クルトワがトリノでの3位決定戦の後、近年の試合数過多やバケーションの少ないことをあげつらい、このままだと皆、ケガしてしまうと怒っていたのは半分、ベルギーがイタリアにも2-1と負け、計5失点の4位で大会を去ることになったせいによる、八つ当たりもあるんじゃないかと思っていた私ですけどね。 右足中足骨の骨折が判明したフェランに関しては実際、ケガをしたのは準決勝のイタリア戦でのことだったため、絶対決勝に出たいという当人の意欲も災いした感があって、この夏の東京オリンピック・グループリーグ初戦で足首を捻挫。大会中に復帰するため、ムリにトレーニングしたものの、以降の試合には出られず、帰国してみれば、実は足首の靭帯を3つも断裂していることがわかり、今でもリハビリ中のセバージョス(レアル・マドリー)にちょっと似ている気もしますけどね。まあ、後者はこのところ、ルイス・エンリケ監督に呼ばれていないのが不幸中の幸いで、イタリア相手に2ゴールを決めて、スペインに決勝進出をもたらす原動力となったフェランが全治2カ月半、つまり2022年W杯出場が懸かった11月の予選2試合にも出られないのはあまりに痛いかと。 一方、オジャルサバルも決勝のフランス戦で先制ゴールを挙げた貴重なスペイン代表の得点源なんですが、こちらは今年の夏、ユーロ2020と東京オリンピックを梯子した6選手のうちの1人。このネーションズリーグ・ファイナルフォー中も24才という若さを過信したか、「バケーションがなくても、今のフィジカルコンディションはベストで、それを利用したい」と言っていましたが、いやいや。だってえ、同じ梯子組、18才のペドリ(バルサ)ですら、9月に負傷して、ミラノに行くことができなかったんですよ。 ダニ・オルモ(ライプツィヒ)もリーグ開幕からケガでまだ出場していませんしね。とりあえず、GKウナイ・シモン(アスレティック)、パウ・トーレス(ビジャレアル)、エリック・ガルシア(バルサ)は元気なようですが、ユーロオンリーだったジェラール・モレノ(ビジャレアル)やモラタ(ユベントス)もファイナルフォーには負傷で招集できず。これじゃ、ルイス・エンリケ監督もギリシャ、スウェーデンを連続撃破して、グループ首位でW杯出場権を手に入れるはずの2試合に一体、誰が使えるか、今から気が気ではない? まあ、国際大会や代表戦数についてはFIFAやUEFA、各大陸連盟が考えることなので、今は置いておくとして、この土曜にもう再開するリーガの話もしていかないと。実はこの9節は9月のparon(パロン/リーガの停止期間)直後の節同様、CONMEBOL(南米サッカー連盟)のW杯予選3試合開催と翌週火曜にCLグループリーグをプレーするチームの過密日程を慮って、2カードが延期となっているんですが、今回はそれがスペイン首都の両雄に当たることに。ええ、グラナダvsアトレティコ戦とレアル・マドリーvsアスレティック戦なんですが、ヨーロッパの大会のないマドリッドの弟分たちは2週間ぶりにリーガ戦に挑みます。 先陣を切るのは前節にレアル・ソシエダと1-1で分け、8試合で勝ち点1の最下位という最悪の流れを断ち切るため、ミチェル監督を解任し、キケ・サンチェス・フローレス監督を招聘したヘタフェ。同じく、パコ・ロペス監督から、ハビエル・ペレイラ監督(河南嵩山龍門との契約を破棄して就任)になったレバンテと土曜にシュタット・デ・バレンシアで対戦となるんですが、向こうは新任指揮官が中国から来るのに時間がかかり、まだ数回しか、チームのセッションを率いておらず、これは代表戦週間入り直後から、ダブルセッションを重ねてきたキケ監督の方に有利に働くかも。幸い、各国代表組に南米勢はおらず、キャプテンのジェネ(トーゴ)も、マクシモビッチとミトロビッチのセルビアコンビなど、それこそW杯予選グループ首位で意気揚々と水曜には戻って来ていますからね。 まだビトロとマタはケガが治っていないようですが、キケ監督も「No son jugadores rotos, no son jugadores que están mentalmente atravesando un drama/ノー・ソン・フガドーレス・ロトス、ノー・ソン・フガドーレス・ケ・エスタン・メンタルメンテ・アトラベサンドー・ウン・ドラマ(選手たちは壊れている訳じゃなく、メンタル的に悲劇に浸ってもない)」と言っていたように、チームは前向きになっているようですからね。このレバンテ、セルタ、グラナダ、エスパニョールと続く、上位陣との試合がない間に白星を稼いでいけば、降格圏脱出も早々にできると思いますが、さて。怖いのはやはり、まだ今季勝利のない相手も同じことを考えていることですが、果たして新監督効果勝負はどちらに軍配が挙がるんでしょうか。 そして翌日曜午後2時からエスタディオ・バジェカスにエルチェを迎えるのがラージョなんですが、丁度、前節からキャパ100%の入場が可能になったのを機にクラブは遅ればせながら、今季のabono(アボノ/年間指定席)を発売。ところが、またシステムトラブルでサイトがダウンしたようで、木曜にはスタジアムにファンが詰めかける騒ぎになっていましたが、購入できてもそのカードを受け取るのに試合前日、メトロでもっと遥か先まで南下して、駅から徒歩30分の練習場まで行かないといけないって、いやホント、このクラブ、大丈夫?テレ・マドリッド(ローカルTV局)の現地レポでは、年少の子供の席が親と反対のスタンドになっていたとかいう話もありましたし、この辺がやはり、試合中など、何かというと、「Presa vete ya!/プレサ・ベテ・ジャ(プレサ会長、もう出て行け)」のカンティコが始まってしまう理由なのかもしれません。 え、それよりコロンビア代表に行っていたファルカオがちゃんと戻って来られるのか方が気になるって?いやあ、ウルグアイ、ブラジル、エクアドルとの3試合に彼が出場しながら、全部スコアレスドローで終わったというのも何ですが、エルチェにも同僚のモヒカがいて、エスクリバ監督が金曜の午後には着くと言っていたため、おそらくファルカオも一緒かと。加えて、相手はチリから帰って来るエンソ・リコが土曜着と、あと2人の各国代表組がバリウ(アルバニア)とディミトリエフスキ(マケドニア)のヨーロッパ勢であるラージョはむしろ、余裕のある方なんですが、代表戦前はオサスナに1-0で負けていますからね。それでも6位の高みにいるとはいえ、EL出場権はともかく、なるたけ早く1部残留を確定させるためにも、ファルカオのゴールがまた見られるといいですよね。 一方、今週末は試合がなく、火曜にそれぞれ、アウェイでシャフタール、ワンダ・メトロポリターノでリバプールとのCLグループリーグ3節を迎える兄貴分たちはというと。まずは南米に出向していた選手たちの動向から話すと、マドリーからブラジル代表に招集されたカセミロ、ミリトン、ビニシウスは悲喜こもごも。というのも親知らずで歯茎が腫れて、1試合も出ずに直帰したカセミロは十分休めたものの、ミリトンは2試合目のコロンビア戦で右脚を負傷。3試合目には出ずに戻り、それ程、重傷ではなかったのは良かったんですが、ビニシウスなど、初戦のベネズエラ戦に途中出場しただけで、あとはベンチ観戦だったなんて、一体、何のための長旅だったんでしょう。 同じことはお隣さんのコレアにも言えて、こちらはまったく出場機会がもらえず。いえ、デ・パウルの方は3試合全部先発で、3-0と勝ったウルグアイ戦ではゴールも挙げる活躍ぶりだったんですけどね。ビニシウスにしろ、コレアにしろ、今季は開幕からゴールづいていたものの、最近はスランプ気味という共通点がありますが、まあ、首位と2位、どちらも代表もW杯出場圏内にいるのは喜ばしいことかと。何せ、両チームから選手が派遣されているウルグアイはこの3試合、1分け2敗で5位に落ち、このままだと大陸間プレーオフに行く破目になりますからね。その上、マドリーはバルベルデが皆勤、アトレティコもルイス・スアレスが3連続先発しながら、彼の得点はブラジルに4-1で負けた最後の試合で焼石に水のFKゴールだけなんですよ。 更にアトレティコのヒメネスは1試合目のコロンビア戦で太ももを負傷して帰還と、いよいよグループ内最強の敵、リバプールが2年前の16強対決敗退のリベンジを懸けて乗り込んでくるというのに、サビッチの出場停止処分もまだ終わっていないとあって、少々、シメオネ監督のチームは守備体制が不安なんですけどね。木曜にはコケ(スペイン)、グリーズマン(フランス)、カラスコ(ベルギー)のネーションズリーグ・ファイナルフォー組がチーム練習はお休みだったにも関わらず、マハダオンダ(マドリッド近郊)に出勤していたと聞いたため、翌日は私も見学に行ってきたんですが、開始から15分間のマスコミ公開中にはリハビリ最終段階にいるはずのマルコス・ジョレンテやクーニャはヒメネス同様、グラウンドの片隅にあるテント内のジムにいたようで、姿は見えず。 いやあ、先日はシメオネ監督がアルゼンチンのメディアから受けたインタビューで、マハダオンダにも以前はなかった完璧なジム設備が今では整ったし、選手たちが朝食や昼食を一緒に食べられるようにもなったと話していたんですけどね。それでも「ウチには使えるグラウンドが2つしかない。Son dos canchas que nos pueden ver desde afuera cotidianamente/ソン・ドス・カンチャス・ケ・ノス・プエデン・ベル・デスデ・アフエラ・コティディアーナメンテ(日常的に外から見ることができる2つのグラウンドだ)。キャンバス地で周りは覆ったが、日光の当たり具合によっては見えてしまうんだから、同じだよ」と、お隣さんの入り口から15分は歩かないとグラウンドに着かない、バルデベバス(バラハス空港の近く)のような広大な練習場が欲しいみたいでしたけどね。 といっても何回か、外縁を周ったことのある私も、ま、キャンバス地に穴が開いている時はありましたが、逆にクラブの人から注意されるのが怖くて、そうそう覗き見はできず。個人的には昔のようにファンがフェンスに張り付いて応援しているぐらいの方が、チームに親しみが持てるんじゃないかと思ったりもするんですが、こればっかりはねえ。結局、内通者がいるようなマルカやAS(大手スポーツ紙)の記事で、その日は後からジョレンテが出て来て、ボールを蹴っていたとか、コンドグビアを急造CBとして使っていたとか、知るしかなかったんですが、まだ日にちもありますし、もっと近くなってから、リバプール戦の先発予想などはお知らせしていきたいかと。 一方、マドリーではミリトンだけでなく、水曜にはオーストリア代表のデンマーク戦でアラバも左ヒザをケガしたと報じられ、シャフタール戦に向けて暗雲が垂れ込めたんですが、金曜には2人共、火曜までに回復できる見込みに。うーん、セバージョス、ベイル、カルバハルはもちろん、ネーションズリーグ・ファイナルフォー準決勝フランス戦でハムストリングの筋肉痛と診断されたアザールには悪い前例もあって、ちょっと微妙なんですが、カセミロやフランスU21代表を早退して、足の甲の治療に専念したカマビンガも18才と若いせいか、もう治ったようですしね。この2週間でイスコ、アセンシオ、メンディ、マルセロらも普通に練習できるようになったため、キエフでのシャルタール戦で人材不足に陥るということはなさそうな。 ただ、ゴールアベレージの差でアトレティコを抑え、リーガ首位を保っているマドリーですが、代表戦週間前の成績は3試合白星なしと低迷気味。何より、サンティアゴ・ベルナベウでのCLシェリフ戦、RCDEスタジアムでのエスパニョール戦をどちらも最少得点差で落としたのは頂けなかったんですが、今はベンゼマが乗りに乗っていますからね。ただ、その彼が今年のバロンドール賞に輝けるかという話題以外、ここ数日はエムバペ(PSG)やポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)ら、来季の補強選手候補ばかり、取り沙汰されていたため、もしかしてスペインメディアのマドリー番記者も他にファンの夢を膨らませるネタがないのかなという気もしましたが、さて。何はともあれ、昨季のCLではエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)でも、NSCオリンピスキーでも負けてしまったシャフタールにはちゃんとリベンジしておかないといけませんよね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2021.10.16 21:00 Sat
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あと一歩が足りなかった…/原ゆみこのマドリッド

「今頃、ペレス会長はこの夏にエムバペを獲れなかったのを後悔しているかも」そんな風に私が考えていたのは火曜日、久々の国外旅行となった1週間のイタリア滞在を終え、自宅でくつろいでいる時のことでした。いやあ、世間一般にはイタリア語とスペイン語は似ているように思われているんですが、あちらはイントネーションが派手なせいですかね。やっぱり耳に入る分にはスペイン語の方が落ち着いていていいと実感していたのはともかく、せっかく2012年ユーロ優勝以来となる国際代表大会の決勝でルイス・エンリケ監督のチームはトロフィーに手が届かず。それもベンゼマ、エムバペ揃い踏みのゴールでフランスが優勝したとなれば、もし今季のレアル・マドリーで2人が一緒にプレーしていたらと地団太を踏んでいるのは絶対、アンチェロッティ監督だけではない? え、ネーションズリーグ・ファイナルフォーでの活躍で評価が赤丸急上昇したベンゼマだからって、彼をバロンドール本命に挙げるのは、いくら何でも持ち上げすぎじゃないかって?うーん、確かに今年は絶対的な候補がおらず、通常だったら、昨季CLと夏のユーロでdoblete(ドブレテ/2冠優勝のこと)を達成した、チェルシーのイタリア代表選手が来そうなものですけどね。それに該当するのはジョルジーニョだけで、一応、UEFA年間最優秀選手賞は受賞したものの、当人はキャプテンでもなく、ボランチとあって、少々地味な感じは否めず。一方、ベンゼマも久々に復帰したフランス代表でのユーロは16強止まり、マドリーもCLは準決勝でチェルシーに敗退、リーガはお隣さんに及ばず2位と、獲得タイトルはネーションズリーグだけですからね。 2021年に限った得点数でも彼は34(アシスト15)で、レバンドフスキ(バイエルン)50(同5)、メッシ(バルサからPSGに移籍)42(同17)、ハーランド(ドルトムント)42(同14)、クリスチアーノ・ロナウド(ユベントスからマンチェスター・ユナイテッドに移籍)36(同9)と上には何人もの選手が。そうなると、何となく、バロンドールに関しては、3年前のロペテギ監督(現セビージャ)、昨年のジダン監督2期をなぞるように、ここ3試合白星なし。CLシェリフ戦とエスパニョール戦では連敗となり、アンチェロッティ監督の下でも10月のクライシスが始まったかのようなマドリーに華やかな話題を提供しないといけないという、クラブとスペインマスコミの使命感によるキャンペーンにも思えますが…。 まあ、そんなことはともかく、日曜のネーションズリーグの試合がどうだったのか、お伝えしていくことにすると。同日は午後3時から、ユベントス・スタジアムで3位決定戦があったんですが、何せ木曜のベルギーvsフランスの準決勝の後、終バスが行ってしまったことに1時間近く気づかず、街中の宿まで帰るのに難儀した経験がありましたからね。トリノーミラノ間は急行電車でも1時間ちょっとかかることもあって、とても8時45分にサン・シーロに着いている自信がなかったため、私はパスしたんですが、こちらは開催国が意地を見せたか、イタリアが後半にバレッラ(インテル)のゴールとベラルディ(サッスオーロ)のPKで2点をリード。ベルギーも41分にはデ・ケテラエレ(クラブ・ブルージュ)が1点を返したものの、2-1でイタリアが勝つことに。 ただ、この結果には気が収まらなかった選手が1人いて、それはGKクルトワ(マドリー)。ええ、準決勝のフランス戦でも3失点と、別に当人の責任ではないんですが、この大会で計5点も奪われたのがムカついたのか、試合後には「この3位決定戦はお金のためだけの試合。UEFAがエキストラマネーを稼ぐためにボクらはプレーした。もしこれが決勝だったら、違う選手が出ていただろう」とインタビューでぶちまけていたから、驚いたの何のって。更に批判は昨今の試合数過多にも及び、「今度は毎年、ユーロかW杯をやるようになるみたいだけど、そしたらボクらはいつ休む?来年は11月にW杯があって、リーガは6月末までになる。皆、ケガしちゃうよ。バケーションが3週間だけじゃ、12カ月間、最高レベルのパフォーマンスを見せるには十分じゃないんだ」とはごもっとも。 私も今年の夏などは、ユーロと東京オリンピックを梯子して、バケーションが細切れ単位になった選手たちのことを心配していましたけどね。世の中には色んな意見があるもので、いつも新聞を買うキオスコのオジさんなど、「あれだけの給料をもらえたら、何年か、休みがなくたって、自分は全然、構わない」そう。フランス戦でハムストリングに筋肉痛を起こし、イタリア戦は欠場となったアザール(マドリー)など、数試合出るたびに負傷して、結局はかなり長い期間、休んでいるような気もしますし、とりあえず、後半43分までプレーしたカラスコ(アトレティコ)には特に異変はなかったため、今はこの発言でクルトワがUEFAから迫害を受けないことを祈るばかりでしょうか。 そしてサン・シーロの決勝の方は、いやあ、準決勝の日とは違い、天気も良かったため、先日のCLミラン戦の時にはアトレティコファンが大量に集まっていたドゥオモ(大聖堂)前広場にスペイン人サポーターがいないか、昼間には立ち寄ってみたんですけどね。ネーションズリーグのトロフィーを展示したUEFAのテントには列ができていたものの、国旗や赤のユニを身に着けた人は少なく、今ではコロナ禍前のように観光客でごった返しているのに閉口して、早々に退散することに。スタジアムへの入場や、幾つか、私が行った博物館などではグリーンパス(ワクチン接種完了証明)の提示を要求されたんですが、1年半前にはロックダウンで死に絶えた街のようになっていたミラノが、今ではこれ程、賑わっているとは予想もしませんでしたっけ。 それでもサン・シーロには3000人程のスペインサポーターがいたようで、フランス側に負けじと熱心に応援する中、いよいよキックオフとなったんですが、ルイス・エンリケ監督はイタリア戦から、コケ(アトレティコ)をロドリ(マンチェスター・シティ)に、パウ・トーレス(ビジャレアル)をエリック・ガルシア(バルサ)に代えただけで、足の甲のケガが心配されたフェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)も無事回復して、あとは同じメンバーでスタート。立ち上がりこそ、いきなりベンゼマが1人、エリア内に現れてドッキリさせられたものの、折り返しのパスをクリアして何とか凌いだところ、前半はそのまま膠着状態に。ボールはスペインが持っていたとはいえ、どちらのチームもほとんどシュートがなく、43分にはバラン(マンチェスター・ユナイテッド)がケガをして、ウパメカーノ(バイエルン)と交代したぐらいが、特筆すべきことでしょうか。 それとは対照的だったのが後半で、いやあ、サラビア(スポルティングCP)がジェレミー・ピノ(ビジャレアル)と代わり、ガビ(バルサ)と2人ティーンエイジャー体制になったスペインが19分、ブスケツ(バルサ)のスルーパスを受けたオジャルサバル(レアル・ソシエダ)がウパメカーノをかわし、先制ゴールを挙げた時にはこれは行けると私も思ったもんですけどね。まさか、「La pena es que no hemos podido disfrutar ni meterles el miedo durante más de 30 segundos/ラ・ペナ・エス・ケ・ノー・エモス・ポディードー・ディスルフルタル・ニ・メテールレス・エル・ミエードー・ドゥランテ・マス・デ・トレインタ・セグンドス(残念なのは30秒以上、ウチがリードを満喫も、相手に恐れを抱かせるのもできなかったこと)」とルイス・エンリケ監督も言っていた通り、もう2分後にはエムバペのパスを受けたベンゼマに、「蹴った途端、自分にはゴールに入るとわかった」シュートを決められてしまうとは情けない。 1-1でガス欠となったガビと代わり、コケがピッチ入ったのを見た時は何とも、2回目のマドリーダービーとなった2016年CL決勝延長、PK戦が頭をよぎって、帰りの足が不安になった私ですが、大丈夫。それより全然早く、35分にはその日、1つ年上の兄、ルカ(バイエルン)を差し置いて、2試合連続先発となったテオ・エルナンデス(ミラン)が送ったスルーパスにエムバペが反応。というか、彼は明らかにオフサイドの位置でスタートしたんですが、ボールが届く前にクリアしようとしたエリック・ガルシアのスパイクが当たったのが運の尽きだったんですよ。そのままエムバペがエリアに持ち込んで、立ちふさがるGKウナイ・シモン(アスレティック)をモノともせずに決めたゴールがVAR(ビデオ審判)に認められてしまったから、さあ大変! うーん、これには英語の得意な元マンチェスター・シティのエリック、アスピリクエタ、ミケル・アロンソ(チェルシー)らがテイラー主審を囲んで猛抗議したんですけどね。「El árbitro dice que tengo intención de jugar el balón/エル・アルビトロ・ディセ・ケ・テンゴ・インテンシオン・デ・フガール・エル・バロン(ボクにはボールをプレーする意志があったと審判は言うんだ)。足を出さず、エムバペにコントロールさせるべきだったって」(エリック)そうで、いや、「un defensa nunca en la vida se puede apartar/ウン・デフェンサ・ヌンカ・エン・ラ・ビダ・セ・プエデ・アパルタル(何があったって、DFが見過ごすなんてありえないよ)」というのは正論でしょう。ただ、これはプレー規則通りの解釈で、テオのパスにエリックが触れたため、敵からのボールを受けたことになるエムバペはオフサイドにはならないのだとか。 そうなると、「この規則を作った奴はサッカーをプレーしたことがないんだろう。Eric no quiere jugar, quiere despejar/エリック・ノー・キエレ・フガール、キエレ・デスペハール(エリックはプレーしたかったんじゃない。クリアしたかったんだ)」(オジャルサバル)とか、「Eric solo quiere cortar, no falla en el control/エリック・ソロ・キエレ・コルタル、ノー・ファジャ・エン・エル・コントロル(エリックはカットしたかっただけで、ボールコントロールに失敗した訳じゃない)」(ブスケツ)とか言われてもちょっと、屁理屈に聞こえてしまうんですが、まあ、その規則自体がおかしいとしても今更、変える訳にはいきませんからね。結局、このエムバペのゴールはスコアに上がり、フェラン、ロドリをフォルナルス(ウェストハム)、ミケル・メリノ(レアル・ソシエダ)に代えたスペインは残り時間で必死に同点を目指したんですが…。 ダメでした。終盤にはオジャルサバルやピノがシュートを至近距離から撃ったんですが、GKロリス(トッテナム)にparadon(パラドン/スーパーセーブ)されてしまい、フランスが2試合連続で逆転勝利。第1回のポルトガルを継いで、2代目ネーションズリーグ王者となった彼らは、サン・シーロまで駆けつけたフランス人ファンたちの前で盛大にお祝いしていたんですが…ま、これがユーロやW杯の決勝でないのは不幸中の幸いだったかと。一応、ルイス・エンリケ監督も「ウチはユーロ王者(イタリア)に勝ったし、hemos competido de tú a tú contra el campeón del mundo/エモス・コンペティードー・デ・トゥ・ア・トゥ・コントラ・エル・カンペオン・デル・ムンド(世界王者と互角に戦うことができた)」と言っていたように、最近のスペインにしては健闘した方だった? ただ、11月にはまだ大事な試合が残っていて、このネーションズリーグ・ファイナルフォー期間中にドイツやデンマークなど、W杯出場を決めたチームがあるのとは対照的に、スペインはギリシャ、スウェーデンとの予選残り2試合で突破を決めないといけないんですよ。それもこの火曜にはスウェーデンがギリシャに勝って、現在、勝ち点差2で首位に立たれているため、2連勝が必要かもしれないんですが、同時に次の招集リストはかなりの激戦区になりそうな。何せ、今回はモラタ(ユベントス)、ジェラール・モレノ(ビジャレアル)、ペドリ、ジョルディ・アルバ(バルサ)、カルロス・ソレル、ガヤ(バレンシア)、マルコス・ジョレンテ(アトレティコ)と負傷で呼べない選手が沢山いましたからね。ガビやピノら初招集組、3年ぶりに復帰したマルコス・アロンソもいい働きをしているだけに、ネーションズリーグ準優勝のメダルをもらった後、チームと別れ、家族としばらくイタリア滞在を楽しむことにしたルイス・エンリケ監督の選択もかなり吟味されたものになるかと。 まあ、その辺はまた試合が近くなってから、考えればいいんですが、ちょっとマドリッド勢のクラブの様子も見ておくと。2018年W杯優勝時には呼ばれていなかったフランス代表で念願の初タイトルを獲得して、意気揚々とベンゼマが戻って来たマドリーでは、マルセロ、イスコ、メンディらが負傷から、すでに回復してチームに合流。週末のアスレティック戦は延期されたため、次は来週火曜のCLシャフタール戦になりますが、アザール、そしてparon(パロン/リーガの停止期間)直前のエスパニョール戦で左足を痛めながら、フランスU21代表に行ったカマビンガは試合に出ずに戻って来たため、出場は微妙かと。歯の痛みでブラジル代表を早退したカセミロは大丈夫なようですが、この日曜にはゴルフのスペインオープンを観戦に行っていたベイルにもそろそろ復帰してほしいところですよね。 一方、アトレティコはあまりネーションズリーグでは目立つシーンがなかったものの、ベンゼマ、エムバペの2弾頭をトップ下として支えたグリーズマンが自信をつけてきたのが朗報で、いや、ま、コケは可哀そうでしたけどね。ウルグアイ代表からヒメネスが太もものケガで帰還したのは、こちらも初戦となるCLリバプール戦ではサビッチがまだ出場停止処分中のため、シメオネ監督のお気に入り、CB3人制に支障が出そうですが、ここはエルモーソとフェリペに頑張ってもらうしかないかと。今回の代表戦にはレマルとジョアン・フェリックスは呼ばれていないため、2人が体力十分で挑めるのも良かったですし、あとは木曜にW杯予選3試合目をこなさないといけないルイス・スアレス(ウルグアイ)、コレア、デ・パウル(アルゼンチン)らが無事に帰還してくれることを待つばかりかと。 そして日曜にリーガ戦のある弟分たちはラージョがエルチェ戦。月曜にドイツに0-4のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らったGKディミトリエフスキ(マケドニア)が落ち込んでいないかも心配ですが、やはり一番の懸念はファルカオ(コロンビア)の到着が間に合うかどうか。2期目は成功しなかったミチェル監督から、3期目となるキケ・サンチェス・フローレス監督に代わって、今季初勝利を目指すヘタフェは、こちらもパコ・ロペス監督を解任し、河南嵩山龍門からハビエル・ペレイラ監督を迎えるレバンテと対戦しますが、何せ選手たちは同じですからね。この2週間で負傷者が減って、気分的に上向いてくれていることを期待しています。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2021.10.13 17:00 Wed
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誰かが笑えば、誰かは泣く…/原ゆみこのマドリッド

「5年前の決勝最悪経験を繰り返すのはどっちかしら」そんな風に私が思いを馳せていたのは金曜日、2日後に迫ったスペインとフランスのネーションズリーグ・ファイナルフォー決勝に思いを馳せていた時のことでした。いやあ、この夏は楽しみにしていたユーロ2020もコロナ禍による入場人数制限などにより、セビージャ開催のグループリーグでさえ、マドリッドの自宅でTV観戦するしかなかったんですけどね。どういう訳か、スペイン代表の国際大会を現地で見るという長年の夢が突如、叶ったため、火曜にミラノに移動していたんですが、そう、前回、私がこの街に来たのは2016年CL決勝マドリーダービーの時。 サン・シーロではセルヒオ・ラモス(現PSG)に先制点を奪われ、せっかくカラスコの同点ゴールで追いついたアトレティコだったものの、グリーズマンがPKを失敗。延長戦でも勝ち越せず、最後はPK戦でファンフランがポストに当てた後、クリスチアーノ・ロナウド(現マンチェスター・ユナイテッド)が決めて、レアル・マドリーがUndecima(ウデシマ/11回目のCL優勝のこと)達成というショックな結末にクラクラしながら、ホテルに戻ることに。 え、ただのファンである自分が平常心を失い、あまつさえ、翌朝のマルペンサ空港では搭乗予定のフライトを逃し、ミラノに延泊する破目になったぐらいとなれば、その試合に出ていた選手たちの傷心ぶりはそれどころではなかったんじゃないかって?まあ、そうでしょうが、彼らはプロですからね。このネーションリーグ決勝には、当時ピッチにいたコケ、グリーズマン、すでに2年前のシーズンにCL優勝済みのルカ・エルナンデス(現バイエルン)が出場。勝ち組メンバーはベンゼマ、バラン(現マンチェスター・ユナイテッド)とどちらもフランス勢となりますが、きっと準決勝で涙を呑んだGKクルトワ(当時はアトレティコ)、カラスコの2人もできれば、リベンジの舞台に立ちたかったんじゃないでしょうか。 そんなことはともかく、まずはスペインがホスト国のイタリアと対決した水曜の準決勝がどうだったか、お伝えしていくことにすると。ミラノに来たビジターチームのファンが集結する定番ポイント、先日のCLミラン戦の時もアトレティコファンが騒いでいたドゥオモ前広場に私が行ったのは前日だったので、どのくらいスペイン人のファンが現地で応援するのか、見当もつかなかったんですけどね。大体、チケットの販売が始まったのだって、開催1週間前程という異例さだったんですが、最近はようやくマドリッドでもスタジアムのキャパ100%の観客入場が認められたものの、どうやらこの大会は50%までの制限があったよう。チケット完売でも3万7000人だったため、周辺の混雑もあまりなく、スタンドにも結構、隙間がありましたっけ。 開幕セレモニーもCL決勝のように凝ったものではなく、ネーションズリーグのロゴと両国の大きな国旗を広げて、ボランティアの若い子たちがパタパタ、波うたせるぐらい。それにしても絶対的に数が多かったイタリア人サポーターたちが、スペインのhimno(イムノ/国歌、ただしスペインは歌詞がない)が流れている間、ピーピーやっているのには驚いたものの、まさか、いくらサン・シーロをホームとするミランのファンが場所柄、多かったとはいえ、GKドンナルンマ(この夏、契約満了でPSGに移籍)へのpito(ピト/ブーイング)ときたら、いつぞや、ピケ(バルサ)がサンティアゴ・ベルナベウでの代表戦で受けていた音量とは比べものにならず。これでは当人もやりにくかったでしょうが、スペインサイドにも今回初招集の17才、ガビ(バルサ)がいきなりスタメンデビューというサプライズがあったんですよ。 まあ、「Tenía la tarea de marcar a su ídolo, Verrati/テニア・ラ・タレア・デ・マルカル・ア・ス・イドロ、ベラッティ(自分のアイドル、ベラッティをマークするという役目を負っていた)」という彼が、「Es anormal que juegue así/エス・アノルマル・ケ・フエゲ・アシー(あんな風にプレーできるのは普通ではない)。自分を持っていて、羨むばかりの高いフィジカル能力、ウチのプレースタイルにも合っている」(ルイス・エンリケ監督)という働きを示したのは、いやあ、何せ、私が当人のプレーを初めて見たのは先週土曜、ワンダ・メトロポリターノでアトレティコがバルサを2-0で破った試合でしたからね。その時はあまり印象に残らなかったものの、いくら横ではクラブの大先輩、ブスケツが見守ってくれていたとはいえ、大人の大会でここまで物怖じしないティーンエンジャーがいるとは! そのおかげもあってか、比較的攻撃に専念できたスペインは前半17分、先週はコリセウム・アルフォンソ・ペレスでのヘタフェ戦でミチェル監督にとどめを刺す同点ヘッドを決めていたオジャルサバル(レアル・ソシエダ)が、この日はアシスト役を務めることに。ええ、彼が左から出したラストパスをフェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)がゴール前でvolea(ボレア/ボレーシュート)して、先制ゴールを挙げているんですから、幸先がいいじゃないですか。スペインには41分にも運が味方して、ブスケツにボヌッチ(ユベントス)がcodazo(コダソ/肘打ち)を見舞っていたことがVAR(ビデオ審判)で発覚。レッドカードで退場となり、敵が1人少なくなったとなれば、ロスタイムに再び、オジャルサバルのクロスから、フェランが頭で決めた2点目はダメ押しのようなものだった? 確かに後でマンチーニ監督も「スペインとボールポゼッションで争うのは11人でも難しいんだが、10人になればそりゃあもう」と嘆いていたんですが、後半のイタリアはベルバルデスキをキッエリーニ(ユベントス)に代え、態勢を立て直すことに。逆にスペインは早くも3分にはフェランが足をケガして、18才に若年初招集仲間、ジェレミー・ピノ(ビジャレアル)と交代。30分頃にはサラビア(スポルティングCP)とコケの29才コンビが20才のブライアン・ヒル(トッテナム)と25才のミケル・メリノ(レアル・ソシエダ)に代わったため、まずますスペインはチームの平均年齢を下げたんですが、別にそのせいではないですよ。38分にはパウ・トーレス(ビジャレアル)のミスから、キエサ(ユベントス)がドリブルで独走、ゴール前でボールをもらったペッレグリニ(ローマ)が1点を返すというドッキリがあったのは。 何せ、パウはオジャルサバル、エリック・ガルシア(バルサ)、GKウナイ・シモン(アスレティク)と一緒にこの夏、ユーロ、東京オリンピックの連続勤務をした選手ですからね。それだけ代表に貢献してくれているのですから、感謝こそすれ、責めたりできませんって。実際、リーガが始まってから、2週間弱、バケーションを取っただけのオジャルサバルなどが、「ahora mismo estoy en un gran estado físico y tengo que aprovecharlo/アオラ・ミスモ・エストイ・エン・ウン・グラン・エスタードー・フィシコ・イ・テンゴ・ケ・アプロベチャールロ(今の自分はフィジカルが最高の状態にあって、それを利用しないと)」と言っているのを聞くと、「Estoy bien, pero nadie está al cien por cien/エストイ・ビエン、ペロ・ナディエ・エスタ・アル・シエン・ポル・シエン(元気だけど、100%な選手はいないよ)。ユーロに行ったメンバーはほとんどバケーションがなかったんだから」とボヤく、30代ブスケツと20代半ばの選手たちの体力差はかなりあるかと。 結局、イタリアにそれ以上、チャンスを作られることもなく、1-2で勝利したスペインはユーロ準決勝敗退のリベンジを達成。月曜にラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設に集合し、「Con entrenamiento y medio es difícil pero han estado genial de actitud/コン・エントレナミエント・イ・メディオ・エス・ディフィシル・ペロ・アン・エスタードー・ヘニアル・デ・アクティトゥッド(1回半の練習では大変だったが、選手たちの態度は素晴らしかった)」とルイス・エンリケ監督も褒めていたように目標通り、サン・シーロに近いミラノの本拠地ホテルを出ることなく、日曜の決勝まで居座れることに。でもねえ、こちらでのセッションは1時間程、街から離れた郊外にあるインテルの練習場でやっているんですよ。 とても私などが独力で行ける訳もなく、フェランの回復状況が気になりつつも翌木曜には電車でトリノに移動。もう1つの準決勝ベルギーvsフランス戦をユベントス・スタジアムで見ることにしたんですが、いやあ、ワンダ・メトロポリターノのように駅数は結構あっても、メトロでちゃっちゃと行けるサン・シーロと違い、これがまたセントロ(市内中心部)から遠くてねえ。おまけに夕方のラッシュ時にぶつかった日にはバスで1時間近くかかった上、試合後は満員で乗れず、1時間待った挙句、タクシーを捕まえるしかなかったなんてことも。それでも怖いもの知らずなのか、応援にやって来た両国のファンはいっぱいいて、お隣さんだからですかね。フランスのサポーターの方が数的には勝っていたようですが、こちらも前日とまったく同じ開幕セレモニーの後、キックオフ。 え、ベルギーが押し気味だった前半、37分にまさかと思う狭い隙間を縫って、カラスコの先制ゴールが決まった時には、サン・シーロでのリベンジマッチに燃えているアトレティコの選手がここにもいたと思わなかったかって?まあ、そうなんですが、むしろ私の目が釘付けになったのは40分、ルカク(チェルシー)がデ・ブルイネ(マンチェスター・シティ)のスルーパスを受けて、ゴール右横に切り込むのをデシャン監督の3CB制のおかげもあって、初の兄弟先発となったCBルカと左SBテオ(現ミラン)、アトレティコのカンテラーノ(ユースチーム出身の選手)が揃って止められず、まんまと2点目を決められてしまった時の方だったかと。 こうなると、前日のスペイン同様、もう決勝進出はもらったと、赤のユニを着たベルギーファンたちも大喜びしていたんですが、いえいえ、決して侮ってはいけません。2018年W杯で優勝した現世界王者はハーフタイムにデシャン監督から訓示を受け、心を入れ替えた後半、「キリアンとカリムは最高の仕事をしたよ。前線からプレスをかけて、ゴールを入れて、違いを見せつけた」と、ピッチ中を駆け回っていたグリーズマンも褒めていたんですけどね。17分にはまず、お隣さんのエースがエリア内で敵DF2、3人をかわしてシュート。いえ、リーガの前節、エスパニョール戦で彼が似たようなゴールを決めた日はあと1点が足らず、マドリーは負けてしまったものの、この日は21分にグリーズマンが隣人愛を発揮します。ティーレマンス(レスター)にエリア内で倒されて、VARでペナルティが認められたから、ここはベンゼマのdoblete(ドブレテ/1試合2ゴールのこと)かと思ったんですが…。 うーん、別に最近、盛んにメディアに「遅かれ早かれ、マドリーでプレーするはず」と話し、エムバペ(PSG)の勧誘に余念のないベンゼマだから、PKキッカーも譲ってしまった訳じゃないと思いますけどね。逆にこれで外したら、大変なことになると、いつも悪い方向にばかり考えてしまう私など、ドキドキしていたんですが大丈夫。エムバペがしっかり、こちらも来季は同僚になるかもしれないGKクルトワを破り、ブランスも2-2の同点に追いつんですから、根性あるじゃないですか。 ベルギーにとっては間の悪いことに、その5分後にはアザールがまた負傷して、いえ、翌日の検査で痛めたハムストリングスは筋肉痛だけで、肉断裂はしてないようですけどね。42分にはカラスコのスルーパスをルカクが決めて、土壇場で勝ち越し点を挙げたように見えたのも束の間、オフサイドでノーゴールとなっては運の尽き。45分、最後はエリア内でのクリアボールをベンゼマは拾えなかったものの、突っ込んできたテオが撃ち込んで、フランスが2-3で決勝に進むことになりましたっけ。 いやあ、ホント、デシャン監督も「こういう形でゲームに勝つのはチームの意志の強さを示している。ウチの選手たちは決して屈服しない」と言っていたんですけどね。2点リードに安心してしまったか、大舞台の場数を踏んでいないせいか、「後半はあまりに決勝のことを考えすぎてしまったかもしれない」(ロベルト・マルティネス監督)というベルギーと比べると、スペインの相手として、フランスはかなり怖い感じがしないでもなし。だってえ、ベンゼマ、エムバペ、グリーズマンの3弾頭にはあのGKクルトワでさえ、2失点ですよお。当人も「いくらフランスのような強敵相手でも2-0のリードをあんな風にムダにしちゃいけない」とプンプンしていましたが、果たしてスペインの守備陣とGKウナイ・シモンにそれを止めることができるのか。 そんなフランスとスペインが激突するネーションズリーグ決勝は日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、サン・シーロでキックオフなんですが、実はこの大会、W杯のように3位決定戦もあって、イタリアvsベルギー戦が午後3時から、ユベントス・スタジアムで開催。よって、マドリッド勢の選手たちもまだ代表から解放されなくて、何せ、木曜には大西洋を隔てた遥か彼方でW杯南米予選を戦っているウルグアイのルイス・スアレスとヒメネス(アトレティコ)が、向こうもファルカオ(ラージョ)が出場しながら、0-0と引分けたコロンビア戦でケガしたという報が入ってきましたからね。それも前者はヒザの切り傷だけのようですが、後者は筋肉系の負傷なので、paron(パロン/リーガの停止期間)明けの初戦となるCLリバプール戦に出られないというのは、まだサビッチの出場停止処分が終わっていないアトレティコには大打撃? まあ、その辺はシメオネ監督も、そして今は並行してネーションズリーグ・ファイナルフォーに出ていないヨーロッパのチームのW杯予選も行われているため、お隣さんのアンチェロッティ監督も心配しているはずですが、10月も3試合予定の南米と違い、こちらは全て2試合だけになったのはやや気が楽かと。ええ、各国代表選手は弟分のラージョにもファルカオ以外、バリウ(アルバニア)とディミトリエフスキ(マケトニア)、水曜にはキケ・サンチェス・フローレス監督の復帰プレレゼンがあったヘタフェにもジェネ(トーゴ)、マクシモビッチ、ミトロビッチ(セルビア)とそれぞれ、3人いますからね。どの選手も無事に帰還して、リーガ戦に障りが出ないといいのですが…。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2021.10.09 18:00 Sat
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