そろそろリーガが気になりだした…/原ゆみこのマドリッド

2021.09.08 20:00 Wed
©︎RFEF
「もう戻って来る選手もいるのね」そんな風に私が各国代表戦週間の終わりが近いのを感じていたのは火曜日、移籍市場最終日にレアル・マドリー入団が決まったカマビンガ(レンヌから移籍)のプレゼンが水曜にあるという通知をスマホで受けた時のことでした。いえ、17才だった昨年にはフランスA代表に招集され、ネーションズリーグなどで3試合出場している彼ですが、この9月のお勤め先はフランスU21代表。W杯予選が3試合ある大人の代表とは違い、2023年U21ユーロ予選をプレーする弟分チームのマケドニア戦でゴールを挙げて3-0の勝利に貢献し、月曜にはフェロー諸島戦で1-1と引分けたところでお役目御免に。

よって火曜にはもうマドリッドに来て、水曜にはプレゼンができるんですが、やっぱり差があるんですよね。この夏、本命のギャラクティコ候補だったエムバペ(PSG)の獲得が決まっていれば、日曜のセルタ戦目指して現在、芝をピッチに張っている途中のサンティアゴ・ベルナベウの改修工事を急がせて、ファンを入れてのメガイベントが噂されていたんですが、カマビンガはまだ新進気鋭の若手だからでしょうか。ダビド・アラバ(バイエルンとの契約を満了して移籍)同様、プレゼンはバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場で関係者のみが出席、ユニフォームでのポーズはエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)、その後の記者会見もZOOM越しって、ちょっと寂しくない?

といってもお隣さんもこの夏の入団プレゼンに関しては決して威張れたものではなく、うーん、まだ正式に告知はされていないんですが、火曜にはフランスA代表の9月最終戦、フィンランドとのW杯予選がリヨンであったため、早くて水曜、余裕を見て木曜といった感じでしょうかね。やはり移籍市場のラストデー、午前零時のクローズ間際に決まったグリーズマン(バルサからレンタル移籍)の復帰プレゼンは無人のワンダ・メトロポリターノでセレソ会長と一緒にユニを掲げてポーズ、追ってインタビュービデオの配信という、デ・パウル(ウディネーゼから移籍)、ルコント(同モナコ)らと同じ道を辿るよう。
もちろん、2年前のバルサ移籍の経緯を快く思っていない一部のファンから、プレゼンの席でpito(ピト/ブーイング)を浴びては可哀そうという、クラブの心配りもあるんでしょうけどね。ケガでエムバペが離脱しながら、フィンランド戦で見事なgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を2本も決めて、フランスに3試合ぶりの勝利をもたらした彼の勇姿をワンダで再び見られるのは、来週水曜のCLポルト戦までお預けになるかと。

そしてもう1つ、私が気になっているのは先週土曜に正式にラージョへの入団が発表されたファルカオのプレゼンなんですが、何せ彼は今回の代表戦週間、とりわけヨーロッパで物議を醸しているW杯南米予選のコロンビア代表に参加中ですからね。スペイン時間の木曜深夜にチリ戦をプレーしてからでないと、マドリッド行きの飛行機には乗れず、到着は土曜の朝となるため、当然、その日の午後6時30分から、シュタット・デ・バレンシアで開催されるレバンテ戦出場はムリでしょうし、プレゼンも週明けとなる可能性が高そうな。
大体がして、この4節は南米代表帰りの選手に配慮して、ほとんどのカードが最初の開催時間割から1日遅れに。それだけでなく、来週火曜にCLグループリーグ1節がある3チームを、だからと言って、土曜にプレーさせる訳にはいかないと、セビージャvsバルサ戦、ビジャレアルvsアラベス戦の延期をラ・リーガは決定。ええ、火曜にはCSD(スポーツ上級委員会)から、それに反対するサッカー協会の訴えに一時停止命令も出ましたしね。要はCLに縁のないラージョの都合など、知ったこっちゃないってことでしょうけど、このトラブルはやはり3試合が組まれている10月の南米予選の後にもリピートする見込み。元々、空いているミッドウィーク自体、少ないため、あまり延期試合が増えると、後々、過密日程に苦しむチームが出るんじゃないかと思いますが…まあ、今は先にスペイン代表の試合の話をすることにしましょうか。

そう、先週、フレンズ・アレナでスウェーデンに1-2と負け、グループ2位に転落してしまった彼らは後のない状態で日曜にジョージア戦に挑んだんですけどね。実はその前日、心配になった私もラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設に偵察に行ってみたところ、ユーロ大会中の賑わいとは大違い。ストリーミング配信もあるせいか、アルビオル(ビジャレアル)が36才のバースデーをチームメートに花道で祝われていた20分間の公開練習を見に来るメディアも少なかったんですが、ルイス・エンリケ監督の試合前記者会見ですら、スペインメディア数社の代表番記者しかいないって、もしやW杯予選って、あまり世間に注目されていない?

でも大丈夫。バダホス(スペイン南西部)で行われた試合は8500人程のファンの応援のおかげもあったか、嬉しいことにスペインはノーマルな状態を取り戻したんですよ。ルイス・エンリケ監督もスタメンを5人も変更と、いえ、スウェーデン戦での負傷で代表離脱したジェラール・モレノ(ビジャレアル)は仕方ないんですけどね。その代わりに入ったサラビア(PSGからスポルティングCPに移籍)以外にもモラタ(ユベントス)をアベル・ルイス(スポルティング・ブラガ)に、ジョルディ・アルバ(バルサ)をガヤ(バレンシア)、ブスケツ(バルサ)とコケ(アトレティコ)の中盤もロドリ(マンチェスター・シティ)とマルコス・ジョレンテ(アトレティコ)へと入れ替えているんですが、これが単なるローテーションなのか、スウェーデン戦でのダメダメぶりのせいだったかははっきりせず。

ただ効果は抜群で、前半14分にはサラビアの蹴ったCKから、エリア外にクリアされてきたボールをガヤが撃ち込んで早くもスペインは先制。その後も左SBとその日は中盤の左サイドに入ったバレンシアのキャプテンコンビのいい連携で優勢に進めていたんですが、25分にはこれまで代表では、「He jugado donde más cómodo me siento, donde hice mi mejor temporada/エ・フガドー・ドンデ・マス・コモド・メ・シエントー、ドンデ・イセ・ミ・メホール・テンポラーダ(自分がより快適に感じる場所、一番いいシーズンを送った場所でプレーした)」ことがなかったジョレンテがその本領を発揮。ええ、カルバハル(マドリー)の負傷もあって、ユーロにも右SBとして招集されてしまった彼はグループリーグ2試合目までスタメンだったんですが、クラブでの3人CB制でカリレーロ(長い距離をカバーするSB)とも勝手が違ったか、アタッカーとしての類い稀な資質を披露することができず。

2引き分けでスタートしたせいもあって、その後は準決勝まで進んだチームにあまり加われませんでしたが、右サイドの中盤に起用されたこの日はアトレティコファンにはお馴染み、敵陣右奥深くまで切り込んで、折り返しのラストパス。それをソレルが決めて、A代表初招集組ながら、2試合連続で得点しているんですから、ビックリしたの何のって。これで調子に乗ったか、ジョレンテは33分にもフェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)のオフサイドで認められなかったものの、ガヤのゴールを導き、41分には再びフェランと連携して、3点目のアシストをしているとなれば、シメオネ監督が満面笑顔になっていたのは間違いなかったかと。

3-0で折り返したスペインは後半もフェランと代わったフォルナルス(ウェストハム)のクロスから、サラビアがフィニッシュして4点目をゲット。守備陣ではCBのラポール(マンチェスター・シティ)がハーフでアルビオルに代わり、エリック・ガルシアもどこかを痛めたか、途中で交代、更にガヤも29分にふくらはぎの負傷でプレー続行不能になったため、CL王者キャプテンのアスピリクエタ(チェルシー)がCBになったり、左SBになったり、マルチぶりを存分に発揮することに。同様に終盤など、ルイス・エンリケ監督曰く、「彼のような万能性の高い選手がいる時、sería hasta injusto usarle en una sola posición/セリア・アスタ・インフスト・ウサールレ・エン・ウナ・ソラ・ポシシオン(1つのポジションだけで使うのは不公平とまで言っていい)」というジョレンテも右SBに回されていましたっけ。

といっても、まあ、3月のアウェイでの対戦では後半ロスタイムにダニ・オルモ(ライプツィヒ)がゴールを挙げて、やっとこ1-2の辛勝だったとはいえ、基本的にジョージアは格下のチームですからね。ルイス・エンリケ監督も残り15分にはGKウナイ・シモン(アスレティック)を下げ、ユーロで抜擢招集されながら、まだデビューしていなかったロベルト・サンチェス(ブライトン)をピッチに入れているぐらいの余裕ぶりで、この4-0の勝利でスペインは再びグループ首位に返り咲き。とはいえ、もろ手を挙げて喜べないのは同日、スウェーデンがお休みだったせいで、向こうは消化試合が2つも少ないですからね。

水曜のギリシャ戦で相手が躓くのを期待するしかないというのは変わりませんが、予選初戦でスペインと1-1で引き分けたギリシャはジョージア、コソボともドローと、一体、どこまで当てになるのやら。とにかく水曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのコソボ戦、スペインには勝利一択しかないんですが、日曜深夜にバダホスからラス・ロサスに戻って来たチームからは、重傷ではないものの、用心のため、ガヤが離脱。今回は代わりにレギロン(トッテナム)を追加招集して、月曜に即日合流となりました。

まあ、翌日にはコソボのプリスティナに移動し、前日スタジアム練習をしたルイス・エンリケ監督も「Dependemos de nosotros mismos para clasificarnos, más allá de que no seamos primeros de grupo/デペンデモス・デ・ノソトロス・ミスモス・パラ・クラシフィカールノス、マス・アジャー・デ・ケ・ノー・セアモス・プリメーロス・デ・グルッポ(グループ首位で終われなくても本大会に出場できるかは我々次第だ)」と言っていましたしね。このコソボ戦ではモラタやブスケツ、コケらがスタメンに復帰するのかといった興味もありますし、とにかく今は、たとえ、来年3月のプレーオフに回っても勝ち抜けてくれることを信じるしかありません。

そして最後にマドリッド勢の近況も伝えておくと、どこも週末を練習休みにした後、月曜から稼働しているんですが、気になるのは日曜午後9時(日本時間翌午前)に待ちになったサンティアゴ・ベルナベウでのホーム開幕、セルタ戦を迎えるマドリーの中盤。というのも恥骨炎のクロース、太ももを痛めたモドリッチの回復が遅れているようで、ここに南米出向組のカセミロ(ブラジル)、バルベルデ(ウルグアイ)の遅い帰還が重なるとなると、もしやスタメンがイスコ、入団ほやほやのカマビンガ、カンテラーノ(RMカスティージャの選手)のブランコになったりする?その一方でベイルがウェールズ代表のベラルーシ戦でハットトリックを達成したり、ベルギー代表ではアザールもチェコ戦で久々の得点、加えてGKクルトワは3試合目のベラルーシ戦を免除されて、早帰りできるなんて朗報もあるんですけどね。

それ以上にビニシウス、ミリトンもブラジル組というのは辛いところですが、まあ、そこはヒメネス(ウルグアイ)、デ・パウル、コレア(アルゼンチン)がケガなく無事に戻って、日曜午後2時(日本時間午後9時)からのエスパニョール戦に参加できるように祈っているシメオネ監督のアトレティコも同じかと。ちなみにこちらはジョアン・フェリックス、フェリペ、エレーラの3人は完全に負傷から回復。paron(パロン/リーガの一時停止期間)直前のビジャレアル戦でヒザを腫らしたルイス・スアレスだけが、まだ別練習となっていますが、週が進めば、合流できるんじゃないでしょうか。

え、今週はフロレンティーノ・ルイス(ベンフィカからレンタル移籍)のプレゼンをコリセウム・アルフォンソ・ペレスのプレスルームにマスコミを集めて行い、この4節から、観客数の制限がキャパの40%から60%に上がったため、月曜のエルチェ戦ではとうとう、abonado(アボナードー/年間指定席購入者)を全員入れられることになった弟分のヘタフェも意外と各国代表に行っている選手が多くないかって?いやあ、私も確認してみて驚いたんですけどね。マクシモビッチ、ミトロビッチ(セルビア)、ジェネ(トーゴ)、エネス・ウナル(トルコ)、アランバリ(ウルグアイ)、ヤンクト(チェコ)と何と、総勢6人もいたんですよ。

こちらはリーガ戦が週明け開催になったため、南米組の心配はしなくてもいいし、初戦のベラルーシ戦でケガをしたと言われていたヤンクトも軽傷だったのは幸いでしたが、まあ、彼らの場合はシーズン初勝利も初勝ち点もまだ挙げていませんからね。ビトロはしばらく負傷でダメなようですが、2週間、ばっちり練習に励んだマタやサンドロにゴール勘が戻ってくれることを、ミチェル監督も切に願っているんじゃないでしょうか。

NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly