まだ選手たちはあまり戻っていない…/原ゆみこのマドリッド

2021.07.21 19:00 Wed
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「とても視聴率は取れそうにない時間帯ね」そんな風に私が溜息をついていたのは火曜日、いよいよ開幕の迫った東京オリンピックのサッカー・スペイン代表グループ初戦のキックオフがいつなのか、チェックしていた時のことでした。いやあ、ユーロ2020の間は夜更かし?超早起き?をしないといけなかった日本にいるサッカーファンに比べれば、エジプト戦が木曜午前9時30分(日本時間午後4時30分)に始まるのなんて、全然、大したことじゃないかもしれないんですけどね。すでに7月も後半に入ったとあって、世間にはバケーション中の人も多いとはいえ、朝っぱらから、バル(スペインの喫茶店兼バー)で盛り上がれるはずもなし。平日でもありますし、せっかく、久々のユーロ準決勝進出で代表を見直したスペイン人ファンも勤務中にこっそり、スマホ観戦とかになるんでしょうか…。

え、いくらルイス・エンリケ監督率いるA代表でユーロを戦ったメンバー、GKウナイ・シモン(アスレティック)を筆頭にペドリ、エリック・ガリシア(バルサ)、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)、オジャルサバル(レアル・ソシエダ)、パウ・トーレス(ビジャレアル)ら、6人もの兼任選手がいるとしてもU24代表は別物。スペインが前回、出場した2012年のロンドン・オリンピックもキエフで大人のユーロ2連覇に貢献してきたばかりのジョルディ・アルバ(バルサ)、ファン・マタ(マンチェスター・ユナイテッド)、ハビ・マルティネス(バイエルンを退団してカタールSCに移籍)が参加していたものの、グループリーグで日本、ホンジュラスに連敗し、最後のモロッコにも勝てず、1分け2敗の敗退とダメダメだったんじゃないかって?

まあ、そうなんですが、そのチームにはコケやアドリアン(オサスナを退団してフリー)ら、当時はアトレティコ勢も参加していたため、私も応援していたものの、始まる前から、話題はサッカーより、チームがオリンピック選手村に滞在したり、開会式の行進に参加するかしないかといった辺りに集中。お祭り気分に浮かれてすぎて、本業がおろそかになってしまったんじゃないかと思いましたが、今回は初戦、日曜の2試合目、オーストラリア戦と会場が札幌ですし、大体がして、このコロナ禍にバブル合宿を続ける選手たちが、そんなワガママを言える訳もないですからね。

先週末土曜に行われた日本との親善試合などでも立ち上がりこそ、良かったものの、「開始5分でこれまでにないぐらい汗をかいていた」、「Solo pudimos estar bien durante 20 minutos/ソロ・プディモス・エスタル・ビエン・ドゥランテ・ベインテ・ミヌートス(ウチがいい状態でいられたのは20分間だけだった)」と初体験の湿度90%の暑さにデ・フエンテ監督のチームはペースダウン。前半41分には久保建英選手(昨季はレアル・マドリーからのレンタルでビジャレル、ヘタフェでプレー)のラストパスを堂安律選手(PSV)に決められ、先制点を奪われていましたが、それでも後半32分には途中出場のペドリが出したパスをミランダ(ベティス)がエリア内左奥から折り返し、プアド(エスパニョール)のシュートをカルロス・ソレル(バレンシア)が軌道を変えて同点に。

何とか、1-1で引き分けて面目を保つことができましたしね。とりわけ、このオリンピック代表ではアセンシオ、セバージョス(昨季はレンタル移籍してアーセナルでプレー)、バジェホ(同グラナダ)と、A代表には皆無だったレアル・マドリーの選手が3人もいるため、現在、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でプレシーズンのセッションをこなしながら、今季のチーム編成を思案中のアンチェロッティ監督など、大いに注目しているかと。

とりわけ、セルヒオ・ラモスが時間切れで契約延長できずにPSGに河岸を変え、フランス代表でユーロに参加後、近日中にチームに合流する予定になっているバランも来年には契約が満了。クラブの延長オファーに答えず、マンチェスター・ユナイテッドとの移籍交渉がまとまるのを待っていると言われており、昨季のレギュラー2人が抜けるCB陣では、昨季中にまとまったマルチDFのダビド・アラバ(バイエルンとの契約を満了)は水曜に練習場のプレスルームでZoomプレゼンがあって、そのまま、セッションに参加するんですけどね。

ただ、それでもミリトン、ナチョと合わせて、CBの頭数が3人にしかならないため、日本戦は軽い痛みで出場しなかったバジェホが第4のCBとして期待されているんですが、さて。ちなみにオリンピックでは久保選手の動向もクラブはチェックしているはずですが、彼が来季、マドリーのトップチームに残れる可能性はなし。というのもあと1年、契約が残っているベイル(昨季はトッテナムでプレー)が戻って来ると、今季からはイギリス国籍の選手もEU外扱いとなるためで、元々、3人の枠はミリトン、ビニシウス、ロドリゴだけで一杯なんですよ。

コロナ禍の影響で遅れているビニシウスのスペイン国籍取得が奇跡的に早まりでもしない限り、ジダン監督に結構、使われていたロドリゴまでが、RMカスティージャの所属にして、リーガ以外限定で使ったらいいとか、可哀そうなことを言われている程ですからね。久保選手は今季もレンタル移籍に活路を見出すことになりますが、今のところ、レアル・ソシエダなどが挙がっているものの、いいチームからオファーがもらえるかはオリンピックでの活躍次第になるかも。

そんな話の脇でマドリーは先週末も日曜にまた弟分、今度は1部に復帰したばかりのラージョと練習試合をしたんですが、やはりマスコミは入れなかったため、見られる映像はかなり限定。最初の試合では2部のフエンラブラダに3-1と快勝したものの、さすがに今季はヘタフェとマドリッド第3のチームを争う意欲満々のイラオラ監督のチームには手こずったか、イスコのPKゴールとカンテラーノ(RMカスティージャの選手)のチュストのオウンゴールで1-1と引分けることに。まあ、昨季終了後に各国代表で国際大会を戦った選手たちはベイル、バラン、ベンゼマらがようやく今週、続いて来週にモドリッチ、クロース、アザール、クルトワ、バルベルデといった感じで合流するため、まだまだトップチームの人員が少ないですからね。

最初からプレシーズンに参加しているメンバーでもメンディはリハビリ中、ヨビッチ(昨季はフランクフルトでプレー)、マリアーノ、カルバハルらも調整中でラージョ戦には出ていなかったため、まだまだマドリーがタイトル奪回に向け、レベルアップできているのかはわからないんですが、今週からマルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)でキャンプに入ったラージョと対照的に、ずっとバルデベバスにいる彼らも25日(日)にはいよいよ、グラスゴーでレンジャースとの親善試合を公開で実施。それまでにアラバの準備が整うのかはちょっと疑問ですが、昨季のリーガ最終戦以来となる久々のマドリーの勇姿が見られるのはきっと、ファンも嬉しいんじゃないでしょうか。

え、それで土曜には恒例のロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)での地獄のキャンプを急こう配猛ダッシュなどを含めた、1週間の超凝縮メニューで終え、マハダオンダ(マドリッド近郊)に戻って来たアトレティコはどうしているんだって?いやあ、早速、私も猛暑の中、月曜の午後セッションを見学に行ったんですが、トップチームのメンバーがGKオブラク、サウール、エルモーソ、アリアス(昨季はレバークーゼンにレンタル移籍して負傷)、サポンジッチ(同カディス)、ゲルビッチしかおらず、サビッチなど、同日の午前セッションで右太ももをケガして、開幕に間に合うかどうかという事態に。コパ・アメリカ序盤にブラジル代表で右ヒザ靭帯を部分断裂したフェリペの顔を見えましたが、彼もリハビリを開始したばかりと、こちらもしばらくはCB陣がお隣さん同様、ちょっと寂しくなりそうな。

ええ、左SB兼任のエルモーソは元気でしたが、ウルグアイ代表のヒメネスは来週にならないと戻って来ませんからね。グラナダにレンタル移籍していたナウエンもアルゼンチンU24代表でオリンピック参加中なんですが、アリアス同様、チームに残れるかどうかも、イギリス人のトリッピアーがEU外扱いになってしまったため、ロディ、フェリペとの3人で枠が一杯の現在、無理っぽいというのもマドリーと似ているかと。今のところ、シメオネ監督も助っ人としてかき集めたアトレティコBの選手中心の指導をするしかないんですが、何せ、昨季はこの後輩たちの出来が悪くてねえ。

定位置だった2部Bから降格したのは自業自得とはいえ、サッカー協会のカテゴリー改変の煽りも喰らい、2部BがRFEF1部とRFEF2部に分割されたため、今季は3部と言いながら、実質5部でプレーとなると、いざという時、トップチームの穴埋めに使える優秀な選手は残らないかも。そんなアトレティコはこの金曜午後7時(日本時間翌午前2時)から、ブルゴス・デ・オスナでヌマンシア(RFEF2部)とこのプレシーズン、最初の親善試合をするんですが、ユーロから帰還組第1陣となるはずのベルサイコ、レマルもまだ合流しておらず。ええ、スペイン代表に行っていたマルコス・ジョレンテなど、バケーション真っ盛りの時間を有効活用、ワンダ・メトロポリターノに彼女のパトリシアさんを誘い出し、サプライズプロポーズなんてこと、やっていましたからね。

先週はキャンプ地を訪問、チームメートに挨拶していたジョアン・フェリックスも足首の手術後、まだ松葉杖が必要な状態でしたし、よって、こちらもアトレティコBの試合みたいになってしまうかもしれませんが、今は新デザインのユニフォームが見られるぐらいで良しとしましょうか。ちなみにアトレティコの移籍関連話では丁度、前回、グリーズマン(バルサ)とサウールのトレード話が消えたようだとお伝えしたすぐ後に状況が急変。契約延長の合意ができたメッシをリーガに登録するため、他の高額年棒選手を整理する必要に迫られている相手が大乗り気で、交渉成立は秒読みなんて言われ、私も焦ったんですが、この世はまさに徒然。

日が経つにつれ、バルサが等価トレートでは不公平とサウールに加え、エルモーソかロディをつけることを要求したとか、サウール+1500万ユーロ(約20億円)の移籍金になったとか、逆にアトレティコが2100万ユーロ(約27億円)の年棒を半額にすることをグリーズマン側がOKしても、それすら、昨季のルイス・スアレスのようにバルサに補填するように求めているとか、ポロポロ出て来て、結局、現在ではこのトレードは交渉決裂という見方がされているんですけどね。事実、スアレスを補佐するCFは必要なアトレティコなだけに、ここで話が止まっていると、第2候補らしい、今はオリンピック・スペイン代表にいるラファ・ミール(昨季はウォルバーハンプトンからレンタルしてウエスカでプレー)の方も進められないため、ちょっとじれったい感じがするものの、移籍市場が閉まるのは8月末。

まだまだ焦る必要はありませんが、もう1つの弟分、今はラ・マンガ(スペイン南東部)でキャンプしているヘタフェもプレシーズン開始1週目の怒涛の4連続プレゼンの後はかなり静か。先週金曜にはいきなり、午前10時から、イビサ(2部)と前後半35分形式のミニ親善試合をしていて、YouTubeでライブ配信があったのに私が気づいた時にはもう遅かったんですが、一応、初戦はティモルのFKゴールで0-1と勝利したようです。この水曜にも今度は午後7時から、スタッド・レンヌと対戦しますしね。あちらもぼちぼち、エンジンを温めていってくれるといいかと。

え、それで柴崎岳選手のいるマドリッド2部の弟分、レガネスでは4人目の陽性者が出たようだけど、このプレシーズンのリーガのコロナ状況はどうなっているのかって?いやあ、丁度、マハダオンダに行った時、トップチームの隣のグラウンドで練習していたカンテラーノ(ユースチームの選手)が、「この前、ワクチン打たれちゃったよ」と言っているのを小耳にはさんだんですが、どうやら、もう若年層の接種も始まっているスペインではかなり多くのチームが各自治体から、ワクチンを供給されているよう。すでにエスパニョール、ベティス、ラージョ、セビージャ、レアル・ソシエダ、カディス、オサスナ、ヘタフェなどは終わっており、マドリーでもマルセロ、ルーカス・バスケス、ロドリゴらが注射を打たれるシーンをアップしていたんですけどね。

スペインのように国際大会の前に集団接種する各国代表チームもあったため、新シーズンは皆、抗体ができた状態でスタートできると思うんですが、それでも感染するのがコロナ。すでに1部2部、それぞれ12チームで陽性選手が判明し、計63人程が隔離されましたが、ワクチン接種後はウィルス保持量があまり増えず、他人への感染可能期間が7日間から、2日間になるとスペイン人のお医者さんが記事で言っていましたからね。とりあえず、プレシーズンマッチのキャンセルは幾つかあったものの、今季の公式戦には影響しないことを祈っています。

【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している

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ゴールに年齢は関係ない…/原ゆみこのマドリッド

「過密日程にしてはまだマシな方よね」そんな風に私が頷いていたのは金曜日、ミッドウィーク開催の6節が終わったかと思いきや、すぐに7節が始まるのに備えて、週末の日程表を見直していた時のことでした。いやあ、前日はカディスと0-0で引き分けた後、バルサのピケが試合間隔が短すぎると、延々と文句を言っていたのを聞いて、思わず、マドリッド勢の予定もチェックしてみたんですけどね。来週はCLグループリーグ2節が火曜にあるため、兄貴分2チームが土曜にプレーしないといけないのは当然ですが、火曜にプレーしたアトレティコは中3日。水曜にプレーしたレアル・マドリーは中2日となりますが、こちらはマジョルカ戦でたっぷりローテーションしましたからね。 翻って、弟分2チームの方はどちらも日曜開催で、早く今季初勝ち点をゲットしないといけないヘタフェも、1部では20年ぶりとなる好発進を遂げたラージョも中4日。しっかり間が空いているだけでなく、前者の相手ベティス、後者の相手カディスは共に木曜プレー組で中2日となれば、かなりラッキーだったと言えますが、どうにもミチェル監督のチームはまだ復帰できそうな選手がいなくてねえ。ラージョとの弟分ダービーで脚を折ったかと思われていたヤンクトはネンザで済んだそうですが、アランバリ、ビトロ、サンドロらの肉離れ勢が治る前に10月の各国代表戦週間が来てしまいそうというのはホント、辛いところじゃないでしょうか。 え、ヘタフェをますます崖っぷちに追い詰めたのはアトレティコだったんじゃないのかって?いや、実際、その通りで、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでの兄弟分ダービーでは私もどっちを応援したらよいものやら、踏ん切りがつかなかったんですけどね。最初はいいスタートを切りながら、「luego faltó intensidad, velocidad, circulación para lastimar al rival/ルエゴ・ファルトー・インテンシダッド、ベロシダッド、シルクラシオン・パラ・ラスティマール・アル・リバル(その後、プレーの強度、スピード、相手にダメージを与えるボール回しに欠けていた)」(シメオネ監督)昨季王者はハーフタイム入り直前、まさかの先制点を奪われてしまうことに。 ええ、珍しくGKオブラクがボールを掴み損ね、逃してしまったところ、マクシモビッチが右から入れたクロスをミトロビッチにヘッドで撃たれ、ゴールポストに当たって入ってしまったから、驚いたの何のって。もちろん、それにはここ10年程、ヘタフェはアトレティコにただ白星がないだけでなく、通算対戦スコアが34-0と、得点すらできていなかったという理由もあったんですけどね。1点ビハインドで後半に入り、ここ3試合連続ドロー中のシメオネ監督が恒例のテコ入れを行ったのは17分。まずはトリッピアーとロディの両SBを下げ、デ・パウルとエルモーソを入れたんですが、ルイス・スアレスのヘッドもゴールバーに弾かれてしまったため、これは懐事情の厳しい弟分に、さして裕福でもない我が身を顧みず、彼らがそのまま勝ち点3を心優しく差し出してしまう恐れもなんて考え、単なる私の杞憂にすぎませんって。 転機が訪れたのは28分、アレニャがクーニャに後ろからタックルしたプレーを一旦、主審は流したものの、シメオネ監督の執拗な抗議も効いたか、VAR(ビデオ審判)の注進でモニターチェックすることに。すると、スパイクがふくらはぎに当たっていたのがわかり、アレニャにレッドカードが出されたんですが、まあ、「人目を引くプレーだが、alguien que ha jugado al futbol sabe que no hay intención de hacer daño/アルギエン・ケ・ア・フガードー・アル・フトボル・サベ・ケ・ノー・アイ・インテンシオン・デ・アセール・ダーニョ(サッカーをしたことのある者なら、ケガさせる意図はないのがわかるはず)」というミチェル監督の言い分も理解できますけどね。 敵が1人、少なくなったおかげでスペースを見つけやすくなったか、33分にはエルモーソのスルーパスをスアレスが決めて、アトレティコは同点に。更に45分にも前節のアスレティック戦では、もう年で走れないと散々叩かれていたエースが本領発揮。ベルサイコの上げたクロスをゴール前、ミトロビッチの背後でジャンプするまでもなく、頭で決勝ゴールを挙げたとなれば、いやあ、シメオネ監督も「Cualquiera hubiera quitado a Suárez y Suárez hizo goles/クアルキエラ・ウビエラ・キタードー・ア・スアレス・イ・スアレス・イソ・ゴーレス(誰もがスアレスを代えていたところだろうが、そのスアレスがゴールを決めた)」と交代策の正しさを自画自賛していましたけどね。昨季21得点でチームを優勝に導いてくれた34才を決して侮ってはいけません。 まあ、「試合開始時に何が影響するのか、no sabemos si es actitud y preparación/ノー・サベモス・シー・エス・アクティトゥッド・イ・プレパラシオン(自分たちの態度や準備のせいなのかはわからない)」とエルモーソも言っていたように、眠ったままピッチに出るというお家芸が時々、出てしまう欠点はいまだに直ってないようですけどね。とりあえず、スアレスもエンジンがかかってきたことですし、あとは今の協調的なプレースタイルに進化したアトレティコにグリーズマンが適応してくれれば、土曜午後2時(日本時間午後9時)からのアラベス戦でも難なく勝って、少なくとも同じ0ポイントで最下位を争っている弟分の援護射撃はできるかと。 ちなみに金曜に私が見学に行ったマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場ではレマルの姿こそ、見えなかったものの、コンドグビアはもうチームに合流。最初の10分程、コーチとマンツーマンで調整をしていたコケも遅れて加わり、ビトリア(スペイン北部、アラベスのホームタウン)遠征の招集リストに入っています。アスレティック戦での退場で受けた出場停止処分の2試合目となるジョアン・フェリックスも上訴委員会には減刑を認められなかったものの、クラブが処分一時停止措置を求めてTAD(スポーツ行政法廷)に訴えているため、万が一に備えて同行していますが、今季の前線レギュラー争いは例年になく熾烈ですからね。足首が完全に治った彼もそろそろ、本気でアピールしないとマズかもしれません。 その一方で日曜夜、ベニト・ビジャマリンでオサスナに1-3と快勝したばかりのベティスに挑むヘタフェには幸運を祈るばかりですが、火曜の兄弟分ダービーの後には4チーム目のマドリッド勢、ラージョがサン・マメスでアスレティックと対戦。まだ私がコリセウムにいるうちから、前半5分、アルバロ・ガルシアがvaselina(バセリーナ/ループシュート)でGKウナイ・シモンを破り、早くも先制という報が入り、それはメトロに乗っていた33分、敵のCKをシスがオウンゴールにして、帳消しになっていましたが、後半途中からでも見た甲斐は十分ありました。というのも、ドシャ降りの雨が弱まった後半31分、ウナイ・ロペスと交代でファルカオがピッチに入ったから。規定時間内にはあまり動きがなかったものの、6分間与えられたロスタイムの最後のFKに彼が完璧なタイミングで頭を合わせ、まさか土壇場で勝ち越しゴールを奪ってしまうとは、35才になってもTigre(ティグレ/虎、ファルカオの愛称)の本能はまったく衰えていない? それもエリア近くでアスレティックのファールを誘ったのも彼自身なら、FKをベベが蹴る前、どこを狙うべきか細かく指示しているんですから、見上げたゴールへの執念と言えますが、これで1-2の勝利をもぎ取ったラージョはEL出場権のもらえる6位まで上昇。イラオラ監督が「前節、ヘタフェに勝ったウチより、相手はアトレティコ戦で消耗していた」と言っていたのは何ですが、デビューから2試合で2得点と、ファルカオの加入がラージョファンの夢を掻き立てているのは事実かと。木曜にはまた、この日曜にエスタディオ・バジェカスでプレーするカディス戦のチケットを求めるファンの長い列ができていましたが…ただ、これって、チケットのオンライン販売システムに再度の不具合が出ているせいなのかもしれないんですよね。 そして翌水曜は今季2回目のサンティアゴ・ベルナベウ観戦をした私でしたが、最近のマドリーはベテランが多いですからね。この日のアンチェロッティ監督はモドリッチ、カセミロ、アザールをベンチに置くローテーションを敢行。システムも4-2-3-1にして、中盤は初先発の18才カマビンガと23才のバルベルデという若いコンビになったんですが、それがどうとか言う前に、DFに負傷者が多発しているマジョルカで先発CBに抜擢されたカンテラーノ(Bチームの選手)、ガヤが自陣エリア近くで痛恨のミスを犯してしまったんですよ。ええ、足を滑らせてボールを失ったところ、駆けつけて来た絶好調、33才ベンゼマに先制点を決められてしまってはもう、お手上げです。 続いてマドリーは24分にも、ロドリゴのシュートはGKレイナに弾かれたものの、この日、トップ下として起用されたアセンシオが2点目をゲット。実はこの直後、マジョルカのキックオフからのプレーでイ・ガンインにゴールを決められてしまったんですが、それも4分もしないうちにベンゼマのアシストを受けて、アセンシオが追加点を挙げてくれたため、問題はなかったかと。いやあ、実はこの試合にはマドリーからマジョルカにレンタル移籍をしている久保建英選手も先発、所属元と6回目の対戦となったんですけどね。前半途中から、ヒザを気にする仕草をしていた彼は3-1で入ったハーフタイムで交代。翌日にはマドリッド泊のホテルに入る際、松葉杖をついていたとの報もあり、当人も自身のインスタで10月の日本代表戦にも間に合わない負傷で離脱することを告げていたのは、ちょっと気の毒な結末になりましたね。 そして後半もマドリーのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)は続き、いえ、3分にベンゼマが入れたゴールはVARで直前にファールがあったことが発覚して、スコアボードには上がらなかったんですけどね。10分には再びアセンシオを決めて、ここまで出番が少なかった鬱憤を晴らすかのようにハットトリックを達成。そして33分にはベンゼマが自身2点目、39分にもビニシウスのラストパスをイスコが押し込んで、ベルナベウ復帰試合だったセルタ戦の5-2を上回る6-1で大勝となれば、午後10時キックオフという、最近では十分肌寒い時間に応援に駆けつけたファンも大満足して、家路を辿れたに違いありませんって。 え、これだけ活躍できるんだったら、どうしてアンチェロッティ監督はアセンシオをもっと使ってこなかったんだって?まあ、今はベイルがリハビリ中とはいえ、マドリーも前線にはロドリゴ、アザール、ルーカス・バスケスなど、オプションがイロイロありますからね。「Lo puede hacer muy bien ahí, en esa posición entre líneas/ロ・プエデ・アセール・ムイ・ビエン・アイー、エン・エサ・ポシシオン・エントレ・リネアス(ライン間のあのポジション、そこがとてもうまくやれる場所)」(アンチェロッティ監督)という、当人が得意とするトップ下もシステムによっては存在しない場合もあって、大体がして、それがスペインA代表にルイス・エンリケ監督が最近呼んでくれない理由だったりするかもしれないんですが、まあ、それはそれ。 この土曜午後9時(日本時間翌午前4時)もマドリーはホームにエースのジェラール・モレノをケガで欠きながら、エルチェ戦では4-1と大勝したビジャレアルを迎えるんですが、ベンゼマとビニシウスのコンビは現在不動らしいため、アセンシオが先発リピートできるかは微妙なところかと。ちなみに金曜のバルデベバス(バラハス空港の近く)でのセッションには恥骨炎のリハビリのため、ずっと休んでいたクロースが普通に加わっていたんですが、夜に発表された招集リストにはまだ入らず。他、ベイル、メンディ、マルセロ、セバージョスと負傷休場選手は同じで、再びアンチェロッティ監督はミゲール・グティエレスやブランコら、カンテラーノ(RMカスティージャの選手)を当てにすることに。 いやあ、それにしてもリーガ、たったの7試合を消化しただけでもう21ゴールというのは、マドリーでも30年以上ぶりのハイペースなんだそうですけどね。別にまだ9得点しか挙げていないアトレティコも勝ち点差2での2番手をキープしていますから、最後は効率の問題とはいえ、このままいくと、久々に100得点以上という、マドリーのゴール祭りシーズンが戻ってきたりするんでしょうか。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2021.09.25 19:00 Sat
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ゴールの入るチームが強いのは当たり前…/原ゆみこのマドリッド

「これじゃ態勢を立て直す時間もありゃしない」そんな風に私が嘆いていたのは月曜日、週末のリーガ戦が終わったばかりなのにもう、試合前記者会見にシメオネ監督とミチェル監督が出ているのに気がついた時のことでした。いやあ、近年はヨーロッパの大会常連となっているアトレティコにしてみれば、週2試合ペースなど、いつものことなんですけどね。翻って、ELに数回出場経験のあるだけのヘタフェは今季、リーガだけのノーマルな日常を送っているんですが、逆にそういうチームが辛くなるのが、1週間にリーガ3試合という、ミッドウィーク開催週。 とりわけ、先週末にはアルメリアに0-4と負け、1勝5敗の最下位となった2部の弟分、アルコルコンのアンテケーラ監督が早くも解任されたりもしていますしね。まだ白星が1つもないヘタフェにとっては、ただでさえ、苦手な兄弟分ダービーにそれこそ、背水の陣で挑まないといけないというのは気の毒なんですが、実を言うと、今は昨季王者もあんまり威張れる状態でないのが悩みの種なんですよ。 どうしてそうなったのか、とりあえず、先週末の試合の様子からお話しすることにすると、まずは土曜の午後2時、私はエスタディオ・バジェカスへ。この弟分ダービーでは、早々にアレニャの直接FKがゴールポストに当たるなど、4連敗のヘタフェがやる気を見せていたんですが、やっぱり彼らは大殺界真っ只中なんですかねえ。「Todo lo que pasa lo hace en contra de nosotros/トードー・ロ・ケ・パサ・ロ・アセ・エン・コントラ・デ・ノソトロス(起きることは全て、ウチに悪い目が出る)」とミッチェル監督も嘆いていたように、7分には振り返りVAR(ビデオ審判)判定が入り、エヌテカがエリア内で倒れているのをスルーしてプレーが続いていたのが、遅ればせながら、元凶がジェネのファールだったことが発覚。 ラージョにPKが与えられ、トレホが先制ゴールを決めたんですが、ヘタフェの不運はまだ続きます。ええ、13分には今季加入して、チームの希望の光となっていたチェコ代表のヤンクト(サンプドリアから移籍)がジャンプした際に足を痛め、担架退場となってしまうんですから、本当にツイていない。急遽、ビトロが入って、前半は1-0のままで凌いだんですが、どうにもゴールを決められるようには見えなくてねえ。後半8分、FKから入ったサベリッチのゴールがオフサイドで追加点を免れたのも束の間、とうとう25分には歓喜にスタンドが沸く中、ファルカがピッチへ。これにはヘタフェの選手たちも威圧されてしまったか、32分にはCKから、カテナ、シスにヘッドを繋がれ、2点目を取られているんですから、もう万事休すだったかと。 でもどんな状況でもゴールを追い求めるのが、Tigre(ティグレ/虎、ファルカオの愛称)の生まれ持っての本能なんです。いやあ、実は午後4時15分からのワンダ・メトロポリターノでのアトレティコvsアスレティック戦に行くため、途中、主審の無線機器が何度も不調となり、進行が遅れていたせいもあり、15分も残して、私が席を立つことになったのもタイミングが悪かったんですけどね。1階のスタンドまで下りたところで場内から大歓声。シスのスルーパスから、ファルカオがラージョ初ゴールを決めるシーンを見逃して、ファンが狂喜乱舞しているのを後ろから眺めているしかなったんですから、もう悔しいっちゃありませんって。 そして試合の残りはタクシーの中、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の中継を聞いていたんですが、マイナス運気にドップリはまったヘタフェはせっかく、41分にはマシアスがバリウスに倒されて、ペナルティをゲットしながら、エネス・ウナルがPKをGKデミトリエフスキに止められてしまう始末。15分という超ロングロスタイムも空しく、3-0で5連敗となったのも何ですが、得点もまだバルサ戦でサンドロが挙げたゴールしかなく、その彼も負傷で離脱中なんですよ。ミチェル監督によると、ハムストリングスを肉離れしたアランバリを始め、ビトロもラージョ戦でふくらはぎを肉離れ、カバコはアキレス腱を痛め、マクシモビッチとオリベイラも火曜のアトレティコ戦出場は当日まで様子見とかなると、もうヘタフェはチーム全員でお祓いにでも行った方がいい? そしてキックオフギリギリで間に合ったワンダの試合の方はどうだったかというと、うーん、開始早々にはマルコス・ジョレンテの切り込みから、グリーズマンのシュートというチャンスもあったものの、CLポルト戦から続く低調な流れにほとんど変化は見られず。この日のシメオネ監督はまた趣向を変えて、前線にはコレアとグリーズマンを置き、ルイス・スアレスとカラスコがベンチスタートとなるローテーションをしたのも影響あったか、前半は0-0のまま、ハーフタイムに入ります。後半9分には最近、恒例となっている3人一気替え、グリーズマン、コンドグビア、ロディをルイス・スアレス、カラスコ、エレーラにしたんですが、まさか、その5分後、コレアに代わって入ったジョアン・フェリックスが事件を起こしてくれるとは! いやあ、スタンドの上の方から見ていたため、私も最初は敵にユニを引っ張られていたジョアンがどうしてイエローカードをもらうのか、わからなかったんですけどね。どうやら主審は相手を振り払う際、ジョアンの腕がベンセドールの顔に当たったことを重視。それで警告を受けたのはともかく、その後がいけません。いくら怒っていても審判に「estás loco/エスタス・ロコ(あんた気違いか)」なんて、しかもスタンドにいる3万9000人の観客のせいで聞こえないことを心配したか、念を入れて自分の頭を指さしてまで言っては、即座に2枚目のカードを突きつけられ、退場処分になってしまっても仕方なかったかも。 結局、最後はクーニャも入れて、自慢のFW陣全員を使いながら、得点に一番近かったのはジョレンテのエリア外からのシュートがポストに当たったぐらい。逆にウィリアムスとビジャリブレが揃って、フリーのシュートを外してくれていなければ、アスレティックに負けかねなかったアトレティコなんですが、何とか試合は0-0で終了です。これでポルト戦から連続スコアレスドロー、代表戦期間前のビジャレアル戦を入れれば、ホームで3連続引き分けという体たらくなんですが、ゴール日照りの時期は毎シーズン、必ずありますからね。なるたけ早く、アタッカーたちにツキが巡ってくるよう、祈るしかないとはいえ、この試合だけでも6枚、5試合で20枚というリーガでダントツ、イエローカードゲット王の称号だけはどうにかならないものかと。 まあ、シメオネ監督も「Si el gesto se lo hace otro probablemente no le expulse/シー・エル・ヘストー・セ・ロ・アセ・オトロ・プロバブレメンテ・ノー・レ・エクスプルセ(他のチームがやった仕草だったら、おそらく退場はなかっただろう)」と嫌味を言っていたように、この日の主審だったヒル・マンサーノ審判とは元々、相性も良くないんですけどね。それでも彼らのイエローカードはラフプレーではなく、半分は抗議によるものとなれば、1試合か2試合の出場停止処分が火曜のヘタフェ戦前に決まるジョアンも含めて、チーム全員で反省してもらわないと。 え、まだ5節終わったところだから、累積警告の心配はさすがにしなくてもいいだろうけど、アトレティコもだんだん、ケガ人が増えてきたんじゃないかって?その通りで、ポルト戦でケガをしたコケとレマルはまだ戻らず、その代理を務めたコンドグビアもアスレティック戦で負傷。3人揃って、火曜午後7時30分(日本時間翌午前2時30分)からのヘタフェ戦を自宅でTV観戦することになったんですが、そのうちの誰かは土曜のアラベス戦前に回復してくれないとマズいことに。何せ、来週火曜にはCL2節目のミラン戦もありますし、その週末はバルサをワンダに迎えないといけませんからね。その頃までにはゴール力も取り戻して、せっかくスタンドで応援できるようになったファンを喜ばせて欲しいものです。 一方、勝ち点1ゲットで結構、満足していたようなアスレティックにこの火曜、午後10時からサン・マメスで挑むのがラージョなんですが、やはりこのクラスのチームには中2日の試合は辛いようで、主軸のトレホが筋肉痛で出場が微妙なよう。それでも期待してしまうのは、イラオラ監督がファルカオのコンディションが整い、今度は先発も可能と言ってくれたせいで、何せ、彼のゴールへの執念は2012年のEL決勝で対戦した当人だけでなく、その2ゴールなどでアトレティコに負けたアスレティック勢に知れ渡っていますからね。月曜にバルサがグラナダと1-1と分けたせいで、10位に落ちてしまったものの、ここまで2勝1分け2敗のラージョには気持ち的な余裕もあるため、いい勝負ができるものと信じています。 一方、日曜の夜にメスタジャでプレーしたレアル・マドリーはどうだったのかというと元々、負傷禍に悩まされていたのはアンチェロッティ監督のチームだったんですが、試合が進むにつれ、拮抗していくことに。というのも試合直前にはガヤがハムストリングスのケガでベンチ外になっただけに飽き足らず、前半15分にはカルロス・ソレルが、22分にはコレイアも太ももを痛め、バレンシアの主力が次々と交代してしまったから。それでもボルダラス監督に率いられ、今季から体力を惜しむことなく、戦う集団となった相手はその程度の逆境には挫けず。それどころか、26分にふくらはぎを痛め、せっかくオサラバしたはずだった昨季の悪夢を再来させてしまったカルバハルと交代。右SBを務めていたルーカス・バスケスのミスを後半21分にしっかり利用しているんですから、侮れないじゃないですか。 ちなみにその主役となったのは、ボルダラス監督にヘタフェ時代のパフォーマンスを見込まれ、リクルートされた2人で、フルキエが右サイドから上げたクロスをルーカス・バスケスが頭でクリアすると、そのボールがウーゴ・ドゥロの正面に。少し前にはGKクルトワにシュートを弾かれていたヘタフェのカンテラーノ(Bチーム出身の選手)がワンバウンドしたところを蹴ったボールがネットに突き刺さり、バレンシアの先制点となったとなれば、もしかして、ミチェル監督も移籍最終日に彼をレンタルに出したことを後悔してる? ただ、ドゥロは昨季も「Por la repercusión que tiene el club, incluido su filial/ポル・ラ・レペルクシオン・ケ・ティエネ・エル・クルブ、インクルイードー・ス・フィリアル(クラブの持っている反響の大きさから。Bチームも含めてね)」という理由で、ラウール監督率いるRMカスティージャにレンタル移籍したちゃっかり者。しかも「パンデミックのせいで、マドリーは誰も補強しないと思ったし、シーズン中にはケガ人とか、イロイロあるから、トップチームに呼ばれるチャンスもあるかも」という当人の予想が見事に的中し、ジダン監督にCLアタランタ戦他、計3試合で使われたんですが、残念ながら、買取オプションは行使してもらえなかったため、バレンシア行きは渡りに船だったようですけどね。 とはいえ、そこはアンチェロッティ監督が即座に反応。それも驚いたことにカセミロ、モドリッチ、中盤の要2人をロドリゴとカマンビンガに代えたんですが、リードしたバレンシアが疲れたのもあって、守りに入ったのもマズかったですかね。おかげで一方的に攻められるようになり、何とか終盤まで耐えていたものの、41分にはとうとう、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)体質が爆発したんですよ。ええ、ロドリゴのパスをエリア内で受けたベンゼマがボールをビニシウスに出すと、今季は決定力をメキメキ向上させているブラジル人FWがシュート。これがフルキエの足に当たり、それまで好セーブを続けていたGKママルシェビリを破って、同点ゴールになるんですから、さすが本家本元。 それどころか、その2分後には絶好調の前線2人が役割を入れ替え、ビニシウスが上げたクロスにベンゼマがヘッドで勝ち越しゴールって、いえ、リプレーで見ると、使ったのは頭ではなく、肩だったようですけどね。これで1-2の逆転勝利となれば、アンチェロッティ監督が「No hemos ganado por la calidad, sino por el espíritu indomable del equipo/ノー・エモス・ガナードー・ポル・ラ・カリダッド、シノ・ポル・エル・エスピリトゥ・インドマブレ・デル・エキポ(ウチは質の高さで勝った訳ではない。チームの反骨精神のおかげだ)」と言っていたのも頷けるかと。いやあ、もうセルヒオ・ラモス(契約満了でPSGに移籍)もいないのに、こんな見事な終盤の逆転劇を見せられた日にはやっぱり、マドリーのDNAにはレモンターダ体質が刷り込まれているんだって、私も思うしかありませんって。 そんなマドリーはこの勝利で単独首位となり、水曜午後10時(日本時間翌午前6時)から、サンティアゴ・ベルナベウに久保建英選手のいる9位のマジョルカを迎えることになるんですが、何か、羨ましいですよねえ、ベンゼマだけでなく、ビニシウスまでがゴールづいて、2人で今季、チームの15得点中、11ゴールを挙げているなんて。とはいえ、負傷者状況の方はあまり変わらず、カルバハルはもちろん、クロース、マルセロ、メンディ、セバージョス、ベイルの復帰もまだ見込めない様子。先週のCLインテル戦で出番がなかったように、「昨季のケガがあるから、2試合連続で先発するのは難しいかもしれない」とアンチェロッティ監督が言っていたアザールもまたベンチに戻るかもしれませんが、ここしばらく、彼らの快進撃は続きそうな気がします。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2021.09.21 20:00 Tue
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サポーターが悩みの種になってはいけない…/原ゆみこのマドリッド

「初めて見るラージョのメガプレゼンなのに」そんな風に私が溜息をついていたのは木曜日、マドリッドの天候が回復したのに伴って、前日にはエスタディオ・バジェカスでファルカオの入団プレゼンが開かれることが決定。1時間ぐらい前に着いた時にはもう、入場を待つファンの列の終わりが見えない程になっていたのにはビックリしたものですけどね。それとは別にチケット売り場にも人垣ができていたのは、昨季の1部昇格プレーオフで有観客試合が始まって以来、クラブのシステムがトラブル続き。その日も午前9時から販売が始まった土曜のヘタフェ戦のチケットを買いたくても買えないファンがたむろっていたんだと後でわかりましたが、プレゼン用のステージが設けられたfondo(フォンド/ゴール裏)のスタンドにはおよそ2500人余りが駆けつけることに。 黄青赤の横縞国旗や代表のイエローユニを着ていたファンも多かったため、その半数近くはファルカオを母国の誇りと慕う、スペイン在住のコロンビア人だったと思うんですが、まさか、彼を紹介するためにプレサ会長が現れた途端、試合中でもお馴染みのカンティコ(節のついたシュプレヒコール)、「Presa, vete ya/プレサ、ベテ・ジャ(プレサ、もう出て行け)」の合唱が大声で始まるとは。入団前、アトレティコで一緒だったマリオ・スアレスと、「estuvimos hablando y me transmitió lo que es el club/エストゥビモス・アブランドー・イ・メ・トランスミティオ・ロ・ケ・エス・エル・クルブ(話をしていて、このクラブがどんななのか伝えてくれた)」というファルカオも会長がなかなかスピーチできないのに困惑していましたし、大体、彼が入団したことで、にわかラージョファンとなったコロンビア人たちまでが一緒になって歌っているって、どういうことなんでしょう。 これじゃ、コロナ禍が始まって以来、一切、ファンに開かれた入団プレゼンをしなくなってしまった兄貴分たちの向こうを張るように、ファルカオのサインしたボールを11個もスタンドのファンにプレゼント。ラージョにしては珍しい出血大サービスまでしていたのも空しくなりますが、どこにでも場をわきまえないファン、そして大勢に流されやすいファンはいますからねえ。折しも同日、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に車で通勤してきたジョアン・フェリックスに、「Joao, lesiona a Griezmann, como el que no quiere la cosa/ジョアオ、レシオナ・ア・グリースマン、コモ・エル・ケ・ノー・キエレ・ラ・コーサ(ジョアン、グリーズマンをケガさせちまえ。こういうの、気に入らないんだからさ)」と言ったアトレティコファンがいたとか。 それには「Deberías tener más respeto por Griezmann/デベリアス・テネール・マス・レスペト・ポル・グリースマン(グリーズマンをもっとリスペクトすべきだよ)」と、良識ある言葉でジョアンは返していたんですが、まあ、水曜のワンダ・メトロポリターノで当人をpito(ピト/ブーイング)で迎えたのは決して少なくない人数。アトレティコ残留の意志をドキュメンタリーまで制作して示した後、1年後にはあっさりバルサに移籍したという経緯を踏まえれば、それも理解できるんですけどね。ただやっぱり変なファンもいて、試合前、一応、見ておこうと、ここ2年間はよくゴミが積まれたりしていたグリーズマンの100試合以上出場した選手プレートのところに行くと、やはりマスコミも同じこと、考えるんですね。 その周りには複数のTVカメラとレポーターが集まっていたため、キレいな状態でしたが、いきなりゲリラ的に出て来たファンがプレートの上にポチテをまき散らし、空き缶を投げていくって、うーん、これは単なるウケ狙い?といっても、CLポルト戦がキックオフすると、ブーイングはほとんど元お隣さんのペペに集中していましたし、後半途中からの出場となったグリーズマンが移籍前、カンプ・ノウでプレーしたヘタフェ戦の時のようにずっと、ピーピーされているということはなかったため、そんなに本人も気にすることはないはずですが…困ったのは試合の結果の方なんですよ。 そう、先週末のエスパニョール戦でルイス・スアレス、グリーズマン、コレアの3弾頭を並べた布陣があまり効率的でなかったのを反省したシメオネ監督は今回、FWをルイス・スアレス、ジョアン・フェリックスだけにして、後半ロスタイム10分にお手柄の勝ち越しゴールを挙げていたレマルを先発に。調子に乗っているその彼が前半36分、筋肉系の負傷で早くもデ・パウルと交代せざるを得なかったのがケチの付き始めだったかと。 過剰なほど、アグレッシブにボールを持った選手に詰めてくる相手に、「Tenemos que subir la velocidad en el juego, generar más intensidad en mitad de cancha hacia delante/テネモス・ケ・スビール・ラ・ベルシダッド・エン・エル・フエゴ、ヘネラル・マス・インテンシダッド・エン・ミタッド・デ・カンチャ・アシア・デランテ(プレーの速度を上げ、中盤から前線に向かって、もっとプレーの強度を高めないといけなかった)」(シメオネ監督)にも関わらず、それができなかったせいでしょうかね。前半のアトレティコはルイス・スアレスがエリア外のシュートとFKで敵ゴールに迫ったぐらいで終了。 後半10分にはエスパニョール戦の2匹目のドジョウを狙って、コケ、エルモーソ、ジョアン・フェリックスを一気にコレア、ロディ、グリーズマンに交代、システムも5人DF制から4人にしてみたんですが、あまり変化はありませんでしたねえ。それどころか、34分には呆気に取られるようなアクシデントが発生することに。ええ、ロディのバックパスをあれ?何でコンドグビアは見守っているだけなんだと思いきや、そこにタレミが突進。GKオブラクが体で防いだんですが、ボールは倒れ込んだポルトのFWに当たって、ゴールの内側へ。こんなポカで先制点を奪われてしまうなんて、また古き懐かしのマヌケなアトレティコに戻ってしまったのかと、私も頭を抱えていたところ…。 大丈夫、ここでVAR(ビデオ審判)が発動してくれたんですよ。ボールがたまたまタレミの手に当たっていたため、「Han pitado la mano, de un error nuestro casi nos marcan/アン・ピタード-・ラ・マノ、・デ・ウン・エロール・ヌエストロ・カシー・ノス・マルカン(ハンドを取ったんだ。ウチのミスのせいで点を入れられるところだったよ)」とオブラクもホッと胸を撫でおろすことに。そして0-0のまま、この日も7分という長いロスタイムが与えられたんですが、残念ながら、ここ2試合続いた奇跡はリピートできず。いやあ、ゴールにボールを持って向かったグリーズマンをエムベンバが倒し、レッドカードで退場した後のFKはゴール右前のいい位置だったんですけどね。ルイス・スアレスの蹴ったボールは惜しくもネット上部に落ちてしまったため、試合はスコアレスドローで終わってしまいましたっけ。 ちなみに後でデータを見てみると、ポルトはファールが21回もあって、イエローカードも6枚。アトレティコがファール14回でイエローカード3枚ですから、やっぱり向こうの方が乱暴だったんだと納得しましたが、「Una pena, siempre quieres ganar en tu casa. Con ese ambiente/ウナ・ペナ、シエンプレ・キレス・ガナール・エン・トゥ・カサ。コン・エサ・アンビエンテ(いつだって、ホームでは勝ちたいから残念だよ。あれだけのムードがあるんだから)」(コンドグビア)というのはともかく、彼らのいるグループBは強敵揃いですからね。28日(火)の2節にはその日、アンフィールドでリバプールに3-2と惜敗したミランにサン・シーロで立ち向かうとなれば、不安がこみあげてくるのは仕方ない? まあ、当面のアトレティコの課題は、土曜の午後4時15分(日本時間午後11時15分)から、再びワンダでのアスレティック戦ですけどね。相手はここまで2勝2分けの5位で、首位グループの彼らとは勝ち点差2があるんですが、金曜の夜にはレマルだけでなく、コケまでポルト戦で負傷していて、この試合に出られないというショックなニュースが。いや、別にキャプテンがいなくても中盤はコンドグビア、デ・パウル、エレーラで組めますから、穴が開くという程ではないものの、前線もまだ、ルイス・スアレスの横にどのFWを置けば、一番効率良く得点できるのか、結論が出ていませんからね。CL戦4試合出場停止のサビッチが戻り、トリッピアーも腹痛から回復したDF陣がしっかり守り、ここは最少得点差でも白星を挙げて、今度こそ、ファンを喜ばせてあげてほしいものです。 そしてアトレティコと平行して、水曜の夜にはそれこそサン・シーロでインテル相手に戦ったレアル・マドリーはどうだったかというと。いやあ、実はこちらもなかなか点が入らず、前半はGKクルトワがラウタロウやジェコのシュートparadon(パラドン/スーパーセーブ)で凌ぐなど、結構、危ないシーンもあったよう。それがカンテラーノ(RMカスティージャの選手)のミゲール・グティエレスにはCLの大舞台はまだ荷が重いということで、アンチェロッティ監督がナチョを左SBに、アラバをCBとして起用したせいかどうかは、ワンダにいて試合を見られなかった私には何とも言えないんですが、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の2元中継から、「Goool!」の絶叫が、マドリッド勢は揃ってスコアレスドロースタートかと思われた後半44分になって、聞こえてくるとは。 そう、この日はアザールをベンチに置いたマドリーは後半21分に先発したルーカス・バスケスをロドリゴに交代。更に35分にはモドリッチに代えて、カマビンガを投入したんですが、彼ら、若手選手たちがやってくれたんです。23才のバルベルデのパスを18才のカマビンガが受けると、ワンタッチでエリア内の20才へ。昨季のグループリーグの2試合に続き、インテル相手に自身3点目となるゴールをロドリゴが挙げて、0-1の勝利を引き寄せてくれたとなれば、当人が「Me encanta jugar y marcar goles en la Champions/メ・エンカンタ・フガール・イ・マルカル・ゴーレス・エン・ラ・チャンピオンズ(ボクはチャンピオンズでプレーして、ゴールを挙げるのが大好きだ)」と言っていたのも当然だったかと。 え、マドリーがCLグループリーグ白星スタートするのを見るのは久しぶりな気がするって?そうですね、2期目のジダン監督はCLスロースターターで、2019-20シーズンはPSGに、昨季はシャフタールに敗戦。途中で挽回して、決勝トーナメントには進出していますが、とにかく早めに勝ち点を貯めてしまえば、11月、12月に楽ができますからね。ちなみに彼らのグループリーグ2節は昨季、2試合共負けてしまったシャフタールをその日、2-0と破って波乱を起こした初出場のシェリフ(モルドバ)。無観客でエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)でプレーしていたのも今ではいい思い出、28日にはサンティアゴ・ベルナベウでファンの応援を受けて戦えますし、とりあえずは順風漫歩に見えなくはないとはいえ…。 やっぱり気になりますよね、今季も引き続き、マドリーが負傷者続出なのは。週末のリーガ戦、日曜午後9時(日本時間翌午前4時)から、2万9000人の観客が待ち受けるメスタジャでのバレンシア戦にはまだメンディもマルセロも戻れず。他にも恥骨炎のクロース、東京オリンピックで足首の靭帯を断裂したセバージョス、ハムストリングスを痛め、全治1、2カ月の離脱となったベイルらがいるため、当分は若いメンバーに頑張ってもらわないといけないんですが、相手のバレンシアも同じ3勝1分けの首位グループの一員ですからね。今週、ヨーロッパの大会をプレーしていないのも体力的に有利ですし、ここ2試合で7得点と決定力を上げているのも気になるんですが、今季から指揮するボルダラス監督はヘタフェ時代、マドリーとの兄弟分ダービー8試合で勝ち星なし。直近6試合は得点もしていないのは、果たして影響するのでしょうか。 そしてこの週末、ファルカのデビューが期待されるラージョvsヘタフェの弟分ダービーは土曜午後2時(日本時間午後9時)から始まるんですが、ええ、彼はガラタサライで今季をスタートして、9月のコロンビア代表戦にも出場。体調は完璧なため、イラオラ監督も「Lo vamos a meter en la convocatoria/ロ・バモス・ア・メテール・エン・ラ・コンボカトリア(招集リストに入れるつもりだ)」と言っていましたしね。2012年のヨーロッパリーグ決勝ではアスレティックのキャプテンとして出場し、これぞゴールの鬼と言わんばかりのファルカオの2得点などで、アトレティコに3-0で負けたイラオラ監督にしてみれば、無条件に信頼できるFWの加入には大感激している?同じく移籍最終日に加入したもう1人のFW、セルジ・グアルディオラ(バジャドリーからレンタル)も前節のレバンテ戦で土壇場に同点ゴールをゲットと、自信をつけているだけに、現在12位の彼らのことはあまり心配してないんですが、いやあ、ヘタフェの方がねえ。 というのも彼らは開幕から4連敗していて、まだ勝ち点1も獲得できておらず。アラベスも同じ0ポイントなんですが、あっちはビジャレアル戦が延期されて、1試合少ないんですよ。おかげで早くもミチェル監督解任説まで出てきた程で、更に中盤の要、アランバリがハムストリングスの肉離れで2、3週間離脱という悪いニュースも。また、前節のエルチェ戦のようなパスが2回と続かないサッカーを見せられてはたまらないんですが…ちなみにやはり苦境にある、お隣さん、柴崎岳選手がいる2部の弟分レガネスも土曜には今季初勝利を期してアモレビエタ戦。もう1つのお隣さん、アルコルコンなど、一足早く金曜にアルメリアに0-4と大敗し、2部の最下位2席をマドリッド勢が占めているのも何だか、先が思いやられます。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2021.09.18 21:00 Sat
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リーガ戦の盛り上がりをCLに繋げたい…/原ゆみこのマドリッド

「アウェイなのはレアル・マドリーだけなんだ」そんな風に私が当惑していたのは火曜日、リーガ4節が終わるやいなや、CLグループリーグ1節が始まっているのに気がついた時のことでした。いやあ、昨季はヨーロッパリーグでビジャレアルが優勝したため、スペインからはCLに5チームが参戦しているんですけどね。先陣を切るのはサンチェス・ピスファンにザルツブルクを午後6時45分に迎えるセビージャ、続いて9時から、カンプ・ノウでバルサvsバイエルン戦、ラ・セラミカでビジャレアルvsアタランタ戦が開催された後、マドリッド勢2チームは水曜にプレー。 同様にマドリーとアトレティコが同日開催となった昨季は全て無観客試合だったため、バル(スペインの喫茶店兼バー)のTVで2試合同時観戦という荒業も可能だったものの、今ではスタジアムの入場者数もマドリッドではキャパの60%までOKに。幸か不幸か、自分も見に行けるようになったため、近い席にいる記者がパソコンで他会場の試合を見ているのを期待するか、定番オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の二元中継を当てにするしかないのも悔しいですが、大体がして、何でこの2チームを一緒の日付にする必要があるんでしょう。 まあ、それはともかく、先に週末の両者のリーガ戦を振り返ることにすると、南米W杯予選からの帰還組に配慮して、1日遅れとなった日曜午後2時から、先にプレーしたのは今季、史上最強のチームになったと、巷で株が上がっているアトレティコ。ただねえ、それが諸刃の剣となったか、シメオネ監督も前日会見では、「Los nombres no hacen equipo sino los hombres/ロス・ノンブレス・ノー・アセン・エキポ・シノ・ロス・オンブレス(チームを成すのは名前ではなく、男たちだ)」と言っていたんですけどね。やっぱり、一流のFWが複数揃ったことが嬉しかったか、ルイス・スアレス、グリーズマン、コレアをエスパニョール戦のスタメンに並べてしまったんですよ。 それに合わせてシステムも5-2-3としたため、中盤で劣勢となり、ヒメネスに代わってフェリペが今季初出場したCB3人制にも戸惑いがあったんでしょうかね。初っ端から、GKオブラクがエンバルバのシュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)する破目になっていましたが、まさか、前半40分にはセットプレーの守備まで崩れ、CKに頭で合わせに行ったラウール・デ・トマスをマルコス・ジョレンテが抑えられず、暑さにボオッとしていたか、周りで余った選手たちが眺めている間にヘッドを決められてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。 でも大丈夫。1-0の劣勢でハーフタイムに入ったアトレティコは後半頭から、コレア、エルモーソ、トリッピアーを下げ、レマル、コンドグビア、ロディを一気に投入。これにはエスパニョールのビセンテ・モレノ監督も「アトレティコがハーフで3人も代え、システムまで変えるなんて珍しい」と驚いていたようですが、その通り、ここから彼らは4-3-3でプレーすることに。いやあ、間がいいことに、マルコス・ジョレンテはルイス・エンリケ監督のスペイン代表でみっちり、この陣形で右SBの修行をしてきたばかりですし、ロディもDF4人制だとまごつかずに左SBを務められますしね。中盤もコンドグビアで補強され、コケが楽になったのはともかく、何よりレマルが絶品だったんですよ。 そう、各国代表戦期間前のビジャレアル戦でも見違えるような働きぶりだった彼はグリーズマンと一緒にフランス代表に行っていたんですが、あちらでは「tuvo un problema digestivo, bajó 3-4 kilos/トゥボ・ウン・プロブレマ・ディヘスティボ、バホ・トレス・クアトロ・キロス(消化器系の問題があって、3、4キロ痩せた)」(シメオネ監督)そうで、2試合目、3試合目には出場せず。それで監督も翌週のCLまで、リザーブする意向だったようですが、後半8分にはジョレンテのクロスをvolea(ボレア/ボレーシュート)で決めてしまったから、ビックリしたの何のって。ただ、この時は2人の間にいたルイス・スアレスがオフサイドだったと、VAR(ビデオ審判)に暴かれてしまったため、残念ながら、同点にはならなかったんですけどね。 すると続いて14分、シメオネ監督は、代表戦前まで住んでいたバルセロナ(スペイン東部)だったからか、バルサ時代のパフォーマンスをリピートしてしまったグリーズマンをジョアン・フェリックスに、26分にはスアレスをクーニャにと豊かなゴール資源を惜しみなく投入。とはいえ、とうとう33分に決まった同点弾はロディから折り返しのパスを受け、エリア内で3人の敵DFに揉まれながら、やっとこ抜け出したカラスコが決めたんですけどね。一応、これで勝ち点1はゲットできたし、相性の悪いRCDEスタジアムだし、そのまま45分を迎えた時には私もそれなりに諦めはついていたんですが…。 何と、ロスタイムが10分もあったんですよ!それでも後でTV各局がVARチェック、選手交代、お水休憩、選手のケガによる中断シーンを集計したところ、実際はプレーしていない時間が12分とか、14分あったと検証していたため、少ない位だったんですけどね。その滅多にない超ロングロスタイムの最後の最後にレマルが本領を発揮。ええ、カラスコのtaconazo(タコナソ/ヒールキック)によるワンツーでエリア内に入った彼がシュートを撃ち、それがGKディエゴ・ロペスの手を弾いてネットに突き刺さるって、え、いつからアトレティコはお隣さんみたいな奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)体質になった? いえ、ビジャレアル戦のラストプレーではオウンゴールで引き分けるに留まったんですけどね。アトレティコに来て4シーズン目、とうとう「Es el jugador que fuimos a buscar al Mónaco/エス・エル・フガドール・ケ・フイモス・ア・ブスカル・アル・モナコ(ウチがモナコに探しに行った選手)」(シメオネ監督)に戻ったレマルのおかげで、1-2の貴重な勝利を掴めたとなれば、もう当分は彼をスタメンから外せないかと。これで首尾よく、リーガの首位グループ維持を果たしたアトレティコは意気揚々と、水曜午後9時(日本時間翌午前4時)から、ワンダ・メトロポリターノでCLポルト戦に挑むことに。すると、私が見学に行った前日スタジアム練習では、一旦は出て来ながら、トリッピアーがマスクをしたまま、すぐロッカールームに戻ってしまい、後で急性胃腸炎にかかっていたことが発覚。 まあ、右SBはジョレンテでもベルサイコでもいいんですが、何せ、このグループリーグ、他はミランとリバプールなので、とにかくポルト戦では必勝が求められますからね。相手は現在、リーグ戦3勝2分けの3位と、そこそこの調子なんですが、とにかくシメオネ監督には一刻も早く、効率良く得点できる前線の人選を考えてもらわないと。昨季のCL16強対決チェルシー戦で退場したサビッチが4試合出場停止になっているものの、丁度、マドリッドでは10人に8人がコロナワクチン2回接種完了となったため、年明けから稼働していたワンダの接種会場業務もこの月曜で終了。水曜にはリーガ戦より多い4万人程のファンが応援してくれますし、白星スタートを皆で喜べるといいですよね。 そして日曜の夜は560日ぶりにサンティアゴ・ベルナベウに試合観戦に行った私だったんですが、心配していたように改装工事用の重機の間を縫って入るということはなし。ここ数日ですっかり周りは片付けられ、いえ、下に穴を掘っているピッチ近くのスタンドこそ、シートで覆われていましたけどね。上を見上げると、将来、開閉式天井を支えることになる巨大な鉄筋パーツが渡されていて、そこは少々、鬱陶しかったものの、2万人の観客も混乱なく入場。キックオフ前には昨年3月、パンデミック初期にコロナで亡くなったマドリー元会長、ロレンソ・サンス氏の追悼式も行われ、その彼の下、獲得したトロフィーをカシージャス、グティ、モリエンテスら、当時の選手が持ってピッチに上がるという演出もあったんですが、セルタとの試合の方は波乱の幕開けに。 いやあ、「nos tenemos que adaptar otra vez con el público/ノス・テネモス・ケ・アダプタル・オトラ・ベス・コン・エル・プブリコ(ボクらは観客のいるのに適応しないといけない)」とベテランのベンゼマも言っていたぐらいですから、ベルナベウデビューとなるカンテラーノ(RMカスティージャの選手)のミゲール・グティエレスなど、上がってしまったんですかね。開始早々4分にはその彼のボールロストから、もちろん、ちゃんとカバーしてあげられなかったナチョとミリトンも悪いんですが、サンティ・ミナに先制ゴールを奪われてしまっては、応援する気満々で駆けつけたファンもどうリアクションしていいのやら。ただこの1点ビハインドは24分、バルベルデのラストパスをベンゼマが決めて、すぐないものになったんですが、今度は31分。 イアゴ・アスパスがボールを出した後、カセミロに倒されて地面に横たわっているのを一顧だにせず、エリア近くまで上がったマジョがチェルビにラストパス。彼がヒールで放ったシュートはゴールポストに当たったものの、その跳ね返りを正面至近距離から撃たれてはGKクルトワも成す術ありません。これはまた、最後は3-3で引分けたレバンテ戦みたいになるのかと、ファンたちも頭を抱えたか、1-2のスコアでハーフタイムを迎えたマドリーの選手たちへのpito(ピト/ブーイング)も聞こえたんですが、いやいや。何と気合を入れ直した後半には、「El equipo ha mostrado mucha calidad ofensiva/エル・エキポ・ア・モストラードー・ムーチャ・カリダッド・オフェンシバ(チームは攻撃面で大いなる質の高さを示した)」(アンチェロッティ監督)のですから、立派じゃないですか。 観客の待ち望んでいたgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が始まったのは再開早々の1分、バルベルデのクロスをベンゼマがヘッドで決めて同点にしたんですが、彼は9分にもセンター近くから、ビニシウスにスルーパスを供給。ドリブルでGKディトゥロに迫ったブラジル人FWが、「delante de la portería se está comportando de forma muy fría/デランテ・デ・ラ・ポルテリア・セ・エスタ・コンポルタンドー・デ・フォルマ・ムイ・フリア(ゴールを前にして、とても冷静に振る舞っている)」とアンチェロッティ監督も褒めていたように、入団3年目にしてとうとうモノにした能力を披露したんですよ。ええ、これまではほぼ失敗していた1対1で勝ち越し点をマークしてしまったとなれば、当人が身軽に柵を飛び越えて、スタンドのファンに揉みくちゃにされながら、祝っていても咎められない? そしてベルギー代表での復調ぶりを披露できなかったアザールが先日、入団したばかりの18才、カマビンガ(レンスから移籍)と代わった後の27分には、先週9日に36才のバースデーを迎えたモドリッチが発奮。敵DFを何人もかわして放ったシュートはGKに弾かれてしまったものの、こぼれたボールをその新人選手が押し込んで、いきなりマドリーでのデビュー戦を初ゴールで飾るとはホントに運がいい。といってもやはり、この日の主役はビニシウスとベンゼマで、42分には前者がデニス・スアレスに倒されてゲットしたPKを後者が決めて、ハットトリックを達成。クリスチアーノ・ロナウド(現マンチェスター・ユナイテッド)が去って以来、あまり聞くことのなかったスタジアムDJの「Hattrick de Benzema!/ハットトリック・デ・ベンゼマ」というアナウンスに歓喜したファンもきっと、少なくなかったに違いありませんって(最終結果5-2)。 まあ、このゴール力が発揮できれば、水曜午後9時からのCLインテル戦でも何せ、昨季も彼らとはグループリーグで対戦して2連勝していますからね。サン・シーロでも問題はないかと思いますが、困ってしまうのは、せっかくウェールズ代表戦でハットトリックを挙げながら、セルタ戦前日に右のハムストリングを負傷したベイルが全治1、2カ月とも言われる長期離脱になってしまったこと。加えて、試合当日にベンチ外になったメンディは痛みを再発、最後の数分間出場したマルセロもケガとまた、欠場者が増えてしまっているんですが、朗報はダビド・アラバとヨビッチの復帰でしょうか。コンテ監督から、シモーネ・インザーキ監督に代わり、ルカク(チェルシーに移籍)、アクラフ(同PSG)など、昨季のセリエA優勝を牽引した選手を失っているインテルとはいえ、あとはシャフタール(ウクライナ)とシェリフ(モルドバ)のグループですからね。勝つのが一番難しいのは、このゲームかもしれません。 そして月曜にはコリセウム・アルフォンソ・ペレスでのエルチェ戦に行った私だったんですが、うーん、まさか、あんなパニック状態のヘタフェを目撃することになるとは。エスクリバ監督のチームには兄貴分のアトレティコも1-0と辛勝でしたから、なかなか点が取れないことは覚悟していたものの、まずは前半にウルグアイ代表帰りのアランバリをケガで失ったのがケチのつき始め。それまでもほとんどシュートのない弟分だったものの、後半24分にルーカス・ペレスに先制点を奪われた後はもう、パスが2回と続かない状態に陥ってしまってはねえ。そのまま0-1で負けて、開幕4連敗ともなれば、ミチェル監督にスタンドからブーイングが飛んだのも仕方なかった? 何せ、次の試合を頑張ればいいと言いたくても、ヘタフェはこの土曜にはエスタディオ・バジェカスでラージョとの弟分ダービーですからね。相手は土曜の4節でレバンテに後半ロスタイムまで1-0で負けながら、土壇場でババのクロスを移籍最終日に入団したセルジ・グアルディオラ(バジャドリーからレンタル)が決め、勝ち点1をゲット。更に今週木曜、火曜から雨模様のマドリッドですから、晴れた場合限定でファルカオ(ガラタサライと契約解除して移籍)の入団プレゼンをスタジアムにファンを招いて開催するともなると、士気的にも分が悪いかも。かといって、その次も今度はホームにアトレティコを迎える兄弟分ダービーとなるヘタフェにはもう、決死の覚悟で立ち向かうしか、残された道はない? そうこうするうち、火曜のCLでは3チーム共、リーガ4節を延期してもらいながら、PKを3本も献上したセビージャは奇跡的にラキティッチのPKゴールのおかげで、ザルツブルクと1-1の引分け。ビジャレアルも終盤にダンジュマのゴールウで逆転しながら、最後は追いつかれてアタランタと2-2、そしてバルサはバイエルンにミュラーとレバンドフスキの2発で0-3の完敗と、今のところ、スペイン勢の白星はないんですが、となると、ますます水曜には、マドリッドの両雄が今季のCLで存在感を示さないといけませんね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2021.09.15 23:05 Wed
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またリーガ戦の日常が帰ってきた…/原ゆみこのマドリッド

「機動力は褒めてあげないとね」そんな風に私が感心していたのは金曜日、お昼のニュースでブラジル代表から戻って来たカセミロがバルデベバス(バラハス空港の近く)のレアル・マドリー練習場に車で入っていく映像を見た時のことでした。いやあ、この9月の各国代表戦週間はCONMEBOL(南米サッカー連盟)がコロナ禍により、進行が遅れていたW杯予選を1つ増やして3試合実施、通常より日程が長くなったせいで物議を醸していたんですけどね。プレミアリーグに倣って、ラ・リーガはCAS(スポーツ仲裁裁判所)に招集拒否を認めるように訴えたものの、見事に蹴られてしまったため、各クラブ総勢28人にもなる選手たちを送り出したんですが、同時に超速帰還チャーター便大作戦が決行されることに。 ええ、南米予選の3試合目は木曜夜(スペインでは金曜早朝)に終わったんですが、まずはブラジルvsペルー戦(2-1)の開催されたレシフェから、カセミロ、ビニシウス、ミリトン(レアル・マドリー)、クーニャ(アトレティコ)、そしてペルー勢のルイス・アブラハム(グラナダ)、タピア(セルタ)が乗った飛行機がマドリッドに向かって出発。バランキージャからもコロンビアvsチリ戦(3-1)のすぐ後、クラウディオ・ブラボ(ベティス)、アラルコン(カディス)、エンソ・ロコ(エルチェ)らのチリ勢、先週土曜にラージョ入団が決まったファルカオ(ガラタサライとの契約を解除)を乗せた便が金曜午後には到着することに。 ただ、プレサ会長も「Es imposible que juegue mañana/エス・インポシブレ・ケ・フエガ・マニャーナ(明日の試合でプレーするのはムリ)。12時間前に試合したばかりで、回復する時間がないし、メディカルチェックもまだしていないから」と言っていたように、やはり土曜午後6時30分からのレバンテ戦でデビューはできず。この辺はCLグループリーグ1節が来週火曜にあることに忖度して、セビージャvsバルサ戦、ビジャレアルvsアラベス戦を延期することにしたラ・リーガの片手落ちと言っていい? そしてチャーター便第3弾はウルグアイvsエクアドル戦(1-0)の後、モンテビデオを離陸。ヒメネス(アトレティコ)、バルベルデ(マドリー)、アランバリ(ヘタフェ)ら、マドリッド勢の他、アラウホ(バルサ)、マキシ・ゴメス(バレンシア)、そしてエクアドルのエストゥピニャン(ビジャレアル)が乗った飛行機は途中、アスンシオンに寄り、パラグアイvsベネズエラ戦(2-1)を終えた4人の選手を拾って戻って来たんですが、ちょっと遅れているのはAFA(アルゼンチン・サッカー協会)の手配したフライトで来るコレア、デ・パウルのアトレティコ勢以下、モンティエル、アクーニャ、パプ(セビージャ)、ギド、ペッツェラ(ベティス)、ルリ、フォイス(ビジャレアル)。こちらは一夜明けてから、ブエノス・アイレスを出発と、別に週末のリーガ戦が延期になったチームの人たちはいいんですけどね。金曜夜のマドリッド着となると、日曜午後2時(日本時間午後9時)という早い時間に開催されるエスパニョール戦のため、バルセロナに前日移動しないといけないアトレティコは結構、貧乏クジを引いているかも。 まあ、リーガ戦のことはまた後で話すことにして、先にスペイン代表のW杯予選3試合目、水曜のコソボ戦がどうだったかもお伝えしておかないと。どうやら、ルイス・エンリケ監督にはスタメンを固定しない癖があるらしく、いえ、スウェーデン戦に2-1で負けた後、ジョージア戦で5人を変えていたのはわかるんですけどね。まさか、そのメンバーで4-0と快勝しながら、今度は6人も入れ替えてきたのにはちょっとビックリだったかと。しかも右サイドの中盤で2アシストと、ようやく代表でも本領を発揮できたマルコス・ジョレンテ(アトレティコ)を懲りずに右SBで先発させるって、天邪鬼にも程があると思うんですが、プリスティナ(コソボの首都)での試合の方はいつものようにスペインがボールを独占してスタート。 ただ、ゴールはなかなか入らず、ようやく先制点を挙げられたのは前半32分、ラポール(マンチェスター・シティ)のスルーパスをカルロス・ソレル(バレンシア)、モラタ(ユベントス)と繋いで、この日、初先発となったフォルナルス(ウェストハム)がゴール右隅に決めてくれたんですが、とてもそれだけでは安心感がわかず。というのも前半には2度、後半序盤にもスペインのボールロストから、敵選手がフリーでGKウナイ・シモン(アスレティック)に迫るシーンがあって、うーん、CBのイニゴ・マルティネス(アスレティック)は精神的疲労を理由にユーロ参加を辞退して、久々の代表戦でしたし、左SBのレギロン(トッテナム)など、ジョージア戦でふくらはぎを痛めたガヤ(バレンシア)の代わりに追加招集され、月曜に合流したばかりでしたからね。 仕方ない面もあるのかもしれませんが、どうにも今回の彼らは守備的なミスが目立ったかと。まあ、ルイス・エンリケ監督も「El balón no botaba en las mejores condiciones/エル・バロン・ノー・ボタバ・エン・ラス・メホーレス・コンディシオネス(いいコンディションでボールがバウンドしなかった)」と言っていたように、ピッチに難があったことは、後でラポールなども指摘していましたけどね。実力差が圧倒的にあったにも関わらず、後半45分、ミケル・メリノ(レアル・ソシテダ)のスルーパスを受けたフェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)がエリア前で敵をかわしてシュート。VAR(ビデオ審判)のオフサイドチェックを経て、やっと2点目がスコアボードに上がるまで、私もヒヤヒヤし続けでしたっけ(最終結果0-2)。 え、それでも同日、スウェーデンがアウェイでギリシャに2-1と不覚と取り、グループ首位に復帰していたスペインは勝ち点差を4に広げることができたんだろうって?ええ、その通りなんですが、相手は試合消化数が2つ少ないですからね。10月にスペインがネーションズリーグのファイナルフォー、6日に準決勝イタリア戦、10日に3位決定戦or決勝をベルギーかフランス相手に戦っている間にコソボ戦、今度はホームでのギリシャ戦をプレーして、ここで試合数が揃うんですが、連勝されれば、再び首位はスウェーデンの手に。 そうなっても11月のギリシャ戦、そして最終節の直接対決をスペインが制すれば、グループ1位で本大会出場権ゲットができるとはいえ、「Que dependa de nosotros no significa que lo vayamos a conseguir/ケ・デペンダ・デ・ノソトロス・ノー・シグニフィカ・ケ・ロ・バジャモス・ア・コンセギール(自分たち次第というのは、それを達成することを意味する訳じゃない)」(ルイス・エンリケ監督)とはごもっとも。まあ、今回はユーロ準優勝に貢献したペドリ(バルサ)やオジャルサバル(レアル・ソシテダ)、パウ・トーレス(ビジャレアル)、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)らが東京オリンピックとの連続勤務だったため、お休みをもらっていたというのもありますしね、逆にその不在のせいで、ユーロには呼ばれなかったカルロス・ソレルやフォルナルスが頭角を現すという収穫もあったため、10月は更に厳選されたメンバーが招集されるかと。何より、次回からは代表戦が3試合から2試合に減ってくれるというのは、これからヨーロッパの大会もスタートして、過密日程となる選手たちも助かるんじゃないでしょうか。 そしてマドリッド勢の近況を見ていくことにすると、土曜のラージョの後、エスパニョール戦で日曜のトップバッターを務めるのがアトレティコなんですが、とにかく水曜から、グリーズマン(バルサからレンタル移籍)祭りが続いていてねえ。そう、火曜のフランス代表のフィンランド戦で見事なgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を2発決め、今季はもう3得点と、自分がいない間に前線の定位置を確保するまで成長したコレアに遅れを取るものかいう意志を示した当人は、午前セッションでマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に顔を出すと、お昼休みにバッサリ髪を切って、ワンダ・メトロポリターノのピッチでセレソ会長と一緒にユニフォームを掲げる無観客プレゼンでポーズ。 その場には、2年前のバルサ移籍の際に「No te vayas del Atleti. Aquí serás leyenda, allí serás uno más/ノー・テ・バジャス・デル・アトレティ。アキー・セラス・レジェンダ、アジー・セラス・ウノ・マス(アトレティコから出ないで。ここでなら、レジェンドになれるけど、あっちではただの1人の選手よ)」という言葉で当人に警告した奥さんも同席。セレソ会長に「Tenías que haber hecho caso a Erika/テニアス・ケ・アベール・エッチョー・カソ・ア・エリカ(エリカの言うことを真剣に受け止めるべきだったね)」とネタにされていましたが、まあこんなのは序の口ですって。 背番号8を受け継ぐ前にサウール(チェルシーにレンタル移籍)には許可をもらったと言っていたグリーズマンは、次に収録したクラブメディアのビデオインタビューでも「Con Kokín siempre me llevé muy bien, hemos hablado por WhatsApp/コン・コキン・シエンプレ・メ・ジェベ・ムイ・ビエン、エモス・アブラードー・ポル・ホワッツアップ(コケとはすっと仲が良くて、WhatsAppで話していた)」と現キャプテンとツーカーであることを告白。更にはスタジアム併設のオフィシャルショップを訪れて、自身のネームをユニにプリントするわ、やはり併設のTerritorio Atleti(テリトリオ・アトレティ/アトレティコのクラブミュージアム)も見学と、ここまでビデオをガンガン出されると、来週水曜のCLポルト戦でホーム再デビューした時、できるだけファンのpito(ピト/ブーイング)を減らそうと、クラブが必死で印象操作しているように感じてしまうのは私だけではない? そんな調子で盛り上がっているアトレティコでは、木曜に練習見学に行った際にはコケとジョレンテは1日オフで、イングランド代表のトリッピアーも戻っていなかったんですが、金曜には南米組を除いて、選手たちは全員帰還。モンテネグロ代表でまたケガをしたサビッチも回復しており、負傷のリハビリでリーガデビューしていなかったジョアン・フェリックス、フェリペ、エレーラ、そしてビジャレアル戦でヒザを痛めたルイス・スアレスも完治と、これならコレア、デ・パウル、ヒメネスがエルチェ戦に間に合わなくても大丈夫かも。でもねえ、まさか金曜の夜、ワンダで昨季のリーガ優勝への道のりを描いたアマゾン・プライムのドキュメンタリー、「Otra forma de entender la vida(オトラ・フォルマ・デ・エンテンデール・ラ・ビダ/人生を理解するもう1つの形)」のプレミア試写会まで大々的に開催しているとは、凄い余裕じゃないですか。 いえ、さすがにこの席には、昨季はバルサで3位に終わったグリーズマンはいないようでしたけどね。今季は彼の前にもデ・パウル(ウディネーゼから移籍)やクーニャ(同ヘルタ・ベルリン)といった実力派が加入。世間から史上最強のチーム構成になったと称えられ、リーガ2連覇やCL初優勝を期待されているアトレティコですが、「Son los resultados los que te marcan ser mejor o peor/ソン・ロス・レスルタードース・ロス・ケ・テ・マルカン・セル・メホール・オ・ペオール(最高か、最低か決めるのは結果だから)」というコケの言う通り、慢心は禁物ですからね。選手たちも初心を忘れず、キャパの40%、1万6000人のファンがエスパニョールを応援するRCDEスタジアムでの試合で勝利してくれるといいのですが。 一方、同じ日曜の午後9時(日本時間翌午前4時)から、約1年半ぶり、2020年3月1日のクラシコ(伝統の一戦、バルサ戦のこと)以来となるサンティアゴ・ベルナベウでホームゲームを行うお隣さんはというと。いやあ、今週も私が水曜に近くを通った際、ザッと外から見た時には、まだ工事現場感が半端なかったんですけどね。金曜にはとうとうピッチの芝貼りも完成し、スタンドの客席も整えられていて、およそ2万人のファンをセルタ戦に迎える準備は整ったよう。負傷者が相次いだ開幕からの3試合とは違い、今回は欠場が確定しているのはオリンピックで足首を痛めたセバージョス、恥骨炎のクロースだけで、モドリッチ、ナチョ、メンディ、マルセロはもうチーム練習に参加しているため、アンチェロッティ監督も南米組を酷使する必要はない? ええ、来週水曜には彼らもCLインテル戦がありますしね。今のところ、リーガではマドリー、セビージャ、バレンシア、バルサ、アトレティコ、マジョルカが同じ勝ち点で首位グループを形成しているため、足並みを揃えておけば問題ありませんし、火曜に入団プレゼンがあったカマビンガ(リールから移籍)がデビューするのかも興味が沸きますしね。2023年1月までベルナベウの改修工事は続くものの、ようやくホームスタジアムに足を運ぶことができるようになったファンの前で、きっと選手たちもいいプレーを披露したいと思っているんじゃないでしょうか。 そして弟分のヘタフェは月曜のエルチェ戦で、今季2度目のコリセウム・アルフォンソ・ペレスでのホームゲームを迎えるんですが、実は9月になって、マドリッドのスタジアムはキャパの40%から、60%まで観客数を増やすことが可能に。おかげで前回のセビージャ戦では入りきらなかったabonado(アボナードー/年間チケット購入者)全員がスタンドに座れるようになったんですが、これが紛れもなく朗報なのは、ヘタフェがまだ白星どころか、勝ち点すら、獲れていないから。ええ、開幕戦のバレンシア戦は1-0、セビージャ戦も0-1で負け、カンプ・ノウでは健闘したものの、2-1でバルサに負けてしまいましたからね。今は消化試合数が少ないため、エルチェに勝てば、前節グラナダに大勝して一気に10位まで上がったラージョのように、ミチェル監督のチームも躍進が可能とはいえ…。 どうにもゲンが悪いのはお隣さんも開幕早々、ドツボにはまってしまったようで、金曜にスポルティング・ヒホン戦をプレーした2部の弟分、レガネスは2-1で敗戦。とうとう白星なしのまま5試合が経過と、引き分けで勝ち点は2あるとはいえ、今季こそ1部復帰を遂げたいチームにしては、あまりに不本意なスタートかと。うーん、2部は1部のようにラ・リーガの日程変更の配慮がなく、火曜にカタールで中国戦に出た柴崎岳選手はベンチに入ったものの、プレーはせず。オメロウ(ナイジェリア)、バルセナス(パナマ)などはお留守番と、戦力的にも辛かったんですけどね。これではホントに先行きが不安になりますが、次節、ブタルケ開催のアモレビエタ戦では風向きが変わってくれることを今は願うしかありません。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2021.09.11 19:00 Sat
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