ユーロは始まったけど…/原ゆみこのマドリッド

2021.06.13 22:30 Sun
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「絶対、暑さまでは考えてなかったわね」そんな風に私が首を振っていたのは土曜日、前日のセビージャ(スペイン南部)市内の街頭気温表示が41℃になっているのをTVで見た時のことでした。いやあ、ここ数日はマドリッドも一気に真夏モードに突入、お昼を食べた後、うっかり街に用事を済ませに行った自分もシェスタ(お昼寝)の時間帯の外出は命にかかわるんだったということを思い出しながら、クラクラして帰って来たなんてこともあったんですけどね。これがまだ、当初の開催地ビルバオ(スペイン北部)だったら、まだマシなんでしょうが、地元の自治体がサン・マメス(アスレティックのホーム)での有観客試合をUEFAに保証できず、OKが出たカルトゥーハに代わったのはともかく、皆、頭にあるのはコロナのことばかり。1万6000人の観戦客にPCRや抗原検査陰性証明を義務付けするのは撤回されたものの、この時期のセビージャの想像を絶する酷暑を忘れていたって、ちょっと東京オリンピックに似ていない?

まあ、そうは言っても去年もコロナによる中断の後、再開したリーガでは6月、7月にサンチェス・ピスファン(セビージャのホーム)でもベニト・ビジャマリン(同ベティス)でも試合をしていた訳ですから、プレーできなくはないんですけどね。一応、用心はしたか、今週もラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設で合宿を続けているスペイン代表は、「Estamos entrenando a las horas de más calor para adaptarnos a Sevilla/エスタモス・エントレナンドー・ア・ラス・オラス・デ・マス・カロール・パラ・アダプタールノス・ア・セビージャ(セビージャに慣れるため、一番暑い時間帯に練習している)」(ルイス・エンリケ監督)と、意図的にセッションの時間を午後6時近辺に設定。

その近辺とあやふやな表現なのは、日曜夜にブスケツ(バルサ)のPCR検査陽性が判明して以来、チームは最多8人の少人数グループに分かれての個人練習になってしまったから。都合3セッションに付き合わないといけなくなったルイス・エンリケ監督が誰より、日焼けしているのは当然だったかと。おまけに来週火曜のユーロ初戦で戦うスェーデンは気温15℃のストックホルムで、続くポーランド、スロバキアもせいぜい20℃ちょっとの地元で練習しているとあって、30℃以上の環境で鍛えれば、スペインの体力的有利は揺るがないということでしょうが、いやあ。

何せ、このヨーロッパ11都市で開催されるこの広域ユーロはグループリーグこそ、3試合ともスペインはセビージャ開催ですが、参加24チーム中、各グループの1位と2位、成績上位の3位4チームが進む、甘々決勝トーナメント16強対決では国外遠征の可能性が濃厚。そう、グループ1位突破なら、グラスゴー(スコットランド)でグループA/B/C/Dの3位と、2位突破なら、コペンハーゲン(デンマーク)でグループD2位と、3位で突破した時のみ、カルトゥーハでグループB1位と4試合目を戦うことになり、もう帰って来ないとなれば、過密日程だったシーズンを終えたばかりの選手たちだけにあまり、暑い中、ムリさせない方がいいかもしれませんよね。

え、それにしたって、今週のスペイン代表は毎日、毎日、PCR検査三昧で大変そうじゃなかったかって?その通りで一応、順番にお話ししていくことにすると、ブスケツが車でバルセロナ(スペイン西部)の自宅に強制送還された後、月曜にはディエゴ・ジョレンテ(リーズ)もPCR陽性に。こちらはレアル・マドリーのカンテラ(ユース組織)育ちだけあって、マドリッドにある実家に救急車で送り帰されたんですが、おかげであと1人、陽性が出たら、クラスター発生になると代表合宿は大厳戒態勢に入ります。当然、テストマッチもできないので、月曜夜には先週木曜にU21ユーロ準決勝でポルトガルを前に敗退。バケーションに入ったばかりの若い選手たち、20人が超特急で集められ、火曜の親善試合リトアニア戦に備え、1回だけのセッションを行ったんですが…。

大丈夫でしたよ。A代表の親善試合というカテゴリーを変える訳にはいかなかったため、このリトアニア戦では総勢16人が一気にA代表デビュー。ククレジャ(ヘタフェ)など、お隣さんのブタルケ(レガネスのホーム)でいきなりキャプテンデビューしていましたが、彼らの多くはこれで所属クラブから代表戦出場ボーナスがもらえるとなれば、バケーションを中断して駆けつけた甲斐は十分あった?経験者はすでに3月にルイス・エンリケ監督の下でプレーしていたブライアン・ヒル(セビージャからレンタルして昨季はエイバルでプレー)だけでしたが、当人は先日に続いて、2019-20シーズンもブタルケで2部降格しているだけにちょっと、苦い思い出が蘇ったかも。スタンドの入りも先週日曜の1部昇格プレーオフ2ndレグ、レガネスvsラージョ戦には遠く及ばなかったものの、代表の後輩選手たちは本当に効率が良くてねえ。

ええ、前半4分にはCKから、早くもギジャモン(バレンシア)が先制点を挙げたかと思えば、24分にはブライム(マドリーからレンタルで昨季はミランでプレー)が2点目をゲット。ブライアン・ヒルの獲得したPKはアベル・ルイス(スポルティング・ブラガ)が敵GKに弾かれてしまいましたけどね。後半も、モンカジョラ(オサスナ)のコロナ陽性でU21ユーロメンバーに急遽、追加招集、スロベニアでは出番をもらえなかったものの、昨季はジダン監督に中盤の助っ人として、重宝されていたブランコ(RMカスティージャ)が2階級特進でA代表デビューとなったのに私が驚いている間にミランダ(ベティス)が直接FKを決めて3点目。最後は38分にプアド(エスパニョール)が仕上げして、4-0の大勝となれば、ラス・ロサスの合宿所でソーシャルディスタンスを保ってTV観戦していた先輩たちも安心したかと。

数日前から、バルデベバス(バラハス空港の近く)のマドリー練習場を借りて、トレーニングをしていたというリトアニアもこれでは面目が立ちませんが、実はU21メンバーのお勤めはこの試合だけで終わらず。そう、日曜月曜にはロドリゴ(リーズ)、フォルナレス(ウェストハム)、カルロス・ソレル(バレンシア)、ブライン・メンデス(セルタ)、アルビオル(ビジャレアル)、ケパ(チェルシー)を別途招集し、ラス・ロサスでburbuja paralela(ブルブハ・パラレラ/平行バブル)として、元祖招集メンバーから更なるコロナ陽性が発生した場合に交代要員となるべく備えていたグループにU21からも11人が参加することになったんですよ。その横でサッカー協会は関係省庁に代表選手の即時ワクチン接種を交渉していたものの、これもまた、口を出す行政当局が多すぎたか、ようやく実現したのが金曜だったって、いや、ちょっと遅すぎなくない?

うーん、当日にはスペイン軍の医療部隊がラス・ロサスにやって来て、すでにコロナ感染済みで抗体のある8人、ガヤ(バレンシア)、オジャルサバル(レアル・ソシエダ)、チアゴ・アルカンタラ(リバプール)、ラポール、エリック・ガリシア、フェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)、ファビアン・ルイス(ナポリ)、アダマ・トラオレ(ウォルバーハンプトン)は2回目の必要なしとしてファイザー製を、残りの選手たちには1回で済むものの、スペイン国内では血栓予防のため、50才以下には使っていなかったジョンソン・アンド・ジョンソン製が投与されたんですが、どちらも効果が現れるのは2週間後と、グループリーグが終わってからですからね。

ルイス・エンリケ監督も「Nos hubiera gustado que se hubiera hecho en el momento oportuno, que era después de la lista official/ノス・ウビエラ・グスタードー・ケ・セ・ウビエラ・エッチョー・エン・エル・モメントー・オポルトゥーノ、ケ・エラ・デスプエス・デ・ラ・リスタ・オフィシアル(もっと適正な時期にやった方が良かった。招集リスト発表の後にね)」と言っていたように5月24日以降すぐ、もしくは31日に合宿を開始した直後に打てなかったんだという不満も代表関係者にはあるんですが、何せ、最初のタイミングではまだEL決勝(ビジャレアルのパウ・トーレスとジェラール・モレノ、マンチェスター・ユナイテッドのデ・ヘア)やCL決勝(ロドリを加えたマンチェスター・シティ勢、チェルシーのアスピリクエタ)を控えていた選手が多かったですしね。それこそ副反応が怖くて、接種などできなかったはずですが、となれば、初戦の3日前というのもあまりお勧めできなくない?

先週、クルセフスキ(ユベントス)、スバンベリ(ボローニャ)と2人のコロナ陽性を出した最初の対戦相手、スウェーデンがワクチン接種をしなかったのもその辺に理由がありそうですが、実は金曜には朗報も。というのも月曜に強制帰宅させられていたディエゴ・ジョレンテが、当人も「No era alguien que hubiera estado en contacto estrecho con Busquets/ノー・エラ・アルギエン・ケ・ウビエラ・エスタードー・エン・コンタクトー・エストレッチョー・コン・ブスケツ(自分はブスケツと濃厚接触していた訳じゃないのに)」と不思議がっていた通り、3日連続、PCR陰性となり、疑陽性だったことが判明。金曜には晴れて、再合流を許されたのは良かったかと。

まあ、それは夕方だったため、午前中のワクチン接種会には間に合わず、彼1人だけ打ってないんですけどね。金曜のランチでGKウナイ・シモン(アスレティック)の24才のバースデーを祝ったームメートたちからも、その映像を見た限り、合宿所でオープンテラスでの個食徹底というのは本当だったか、新たな陽性者は出ていません。そして、セルヒオ・ラモス(マドリー)が招集されなかった今回、メンバー中、最多の114試合出場でキャプテンとなったブスケツをチームの支柱と見なすルイス・エンリケ監督が初戦には間に合わずとも、2試合目までには陰性になって復帰してくれることに賭けたため、市内のホテルから、5日間、ラス・ロサスに練習に通っていたヘルプメンバー計17人は誰も本招集されることなく、土曜には解散。まあ、実際は試合当日までコロナによる選手交代は可能とはいえ、いつまでも無償奉仕はさせてはおけないってことでしょうか。

そんなスペイン代表は土曜夕方には副反応が出る選手もいなかったか、とうとうチーム練習を再開。久々だったため、セッションは2時間も続いたそうですが、月曜午後9時(日本時間翌午前4時)の試合まで、皆で動きを合わせる機会はあと、日曜1回しかありませんからね。セビージャへは前日移動となり、試合後はまたラス・ロサスに戻って来るんですが、ワクチン接種は終わったとはいえ、感染可能性はある訳ですから、道中、気をつけるに越したことはいかと。

とりあえず、ユーロ自体は金曜にスタディオ・オリンピコ・ディ・ローマ(ローマのホーム)での開会式の後、トルコvsイタリア戦(0-3)で始まっているんですが、土曜はウェールズvsスイス戦(1-1)がバクー(アゼルバイジャン)、途中、エリクセン(インテル)が意識を失って倒れたため、中断があったデンマークvsフィンランド戦(0-1)がコペンハーゲン、ベルギーvsロシア戦(3-0)がサンクトペテルブルク(ロシア)と場所がバラバラのせいですかね。大勢の観客が入ったスタンドは新鮮だったものの、まだスペイン国内でユーロの盛り上がりはない感じです。

え、代表もいいけど、日曜には1部昇格プレーオフの1stレグもあるんだろうって?いやあ、その通りで、それもラージョが準決勝で弟分仲間のレガネスを下したため、来季のマドリッド1部4チーム体制復活を懸けて、ジローナをまずはエスタディオ・バジェカスに迎えるんですよ。ただねえ、今度は時間の余裕があったため、システムエラーもなく、1時間半で25ユーロ(約3500円)のチケット1500枚を完売できた彼らだったんですが、その後になって、予期せぬ逆境が発生。というのも2019-20シーズンのアルバセテ戦で起きたウクライナ人選手ゾズリャをナチよばわりした野次への処分が協議委員会から通達され、主犯と見なされたブカネーロス(ラージョのウルトラ)が陣取っていたfondo sur(フォンド・スール/ゴール裏南側席)をこのジローナ戦では閉鎖しないといけないことになったから。

それはちょっと、スタジアムはバックスタンドが改装中で使えないだけに、前回のレガネス戦1stレグに増して、正面スタンドの密を生み出すんじゃないかと心配なんですが、チームの方ではプレーオフ準決勝で負傷したベベとサベリイッチが回復。W杯予選でペルー代表に招集されていたアドビンクラもコパ・アメリカには参加しないことになったため、戻って来ているんですが、正GKのディミトリエフスキの参加しているマケドニア代表のユーロ・グループリーグは21日まで続くため、この2試合もジダン監督の次男、ルカが守護神を務めることになります。

一方のジローナは準決勝でアルメリアを総合スコア3-0で破り、今度はエースのストゥアーニもケガが治って出場できるよう。選手の70%が代わっているとはいえ、昨季もプレーオフ決勝でエルチェに負けたフランシスコ監督もリベンジを誓っているはずですしね。日曜午後9時からの対戦は、果たしてどちらがアドバンテージを得られるのでしょうか。ちなみに決勝2ndレグは19日の土曜なんですが、バッチリ、スペインのグループ第2戦ポーランド戦と重なるのはともかく、昇格が決まっても場所はモンティリビ(ジローナのホーム)。2011年の昇格時にエスタディオ・バジェカスで私が目撃した、ピッチにファンが溢れかえるという光景だけは絶対ありえないのは、こんなコロナ流行の折りですし、いいことかもしれませんね。

【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している
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ゴールはしばらくお預けかも…/原ゆみこのマドリッド

「またゲリラ親善だった訳?」そんな風に私が嘆いていたのは土曜日、ほとんど東京オリンピック話題一色だったお昼のスポーツニュースの後、午後4時からのヘタフェのプレシーズンマッチのネットライブ中継を見ようと、いそいそとパソコンでツィッターを開いた時のことでした。いやあ、確かに前日の天気予報ではムルシア(スペイン南東部)に熱中警報が出ていて、ひょっとすると、気温が43℃になるかもしれないと聞いた覚えがあり、海に近いラ・マンガでもその時間にプレーするのは自殺行為かもと思ったもんですけどね。クラブのツィートを見てみると、アトロミトス(ギリシャ)戦はまだ涼しい午前10時にキックオフ、とっくの昔に終わっていたなんて、え、このパターン、初戦のUDイビサ(2部)戦と同じじゃない? まあ、どうやらその日はネット中継もなかったようなので、仕方ないと諦めるしかなかったんですが、幸いながら、金曜にはGOL(ゴル/スペインのスポーツ専門オープン放送局)がアトレティコのこの夏、最初の親善試合を生中継。暑い中、ブルゴ・デ・オスナ(マドリッドから北へ3時間)の市営スタジアムに900人程の観客を入れて、ヌマンシア(RFEF2部/実際は4部)戦が行われたんですが、うーん、昨季の栄えあるリーガ王者のプレーが見られると期待していたファンにはちょっと物足りなかったかも。というのも先発にトップチームのメンバーがGKオブラク、サウール、エルモーソの3人しかおらず、あとはガッツリ、アトレティコBのカンテラーノで固められていたから。 ただ、最初に見せ場を作ったのもその後輩たちで前半3分、右サイドで粘ったジュリアーノが敵をかわしてラストパス。カメージョはこれをスルーしたものの、後ろから駆けつけたソリアーノがシュートして、先制点を取ってしまったから、驚いたの何のって。ええ、実はこの、ジュリアーノという18才のFWはシメオネ監督の三男で昨季途中、フベニルからBチームに昇格。それ以来、何度か、トップチームの練習にも呼ばれ、このプレシーズンキャンプにも最初から参加と急激に成長を遂げているんですが、これはもしかして、長男ジョバンニ(カリアリ/セリエA)、次男ジャンルカ(CDイビサ/RFEF2部)に先んじて、2024年まで契約を延長した父親の下でアトレティコ公式戦デビューの夢を果たすことになるのかも。 え、その後、前半31分に自陣エリア前でヌマンシアの選手にパスを送るという大ポカをやって、デェエゴ・スアレスの同点ゴールを呼び込んだのも三男じゃなかったかって?いやあ、その通りで、ジョナタン(昨季は2部Bのアルコジャーノでプレー)、アーロン(同ヌシア)ら、ニゲス3兄弟の中で一番の出世株であるサウールがその張本人なんですが、コケがまだバケーション中のため、カンテラの後輩を束ねる立場とはいえ、この夏はずっと移籍の噂が絶えませんからね。ロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)でのキャンプ時から、その日の試合の後も声を掛けてくるファンたちは、「Quedate, Saul/ケダテ、サウール(残って)」と訴えているんですが、グリーズマン(バルサ)とのトレード交渉が決裂した現在でも、当人の希望もあって、クラブはいいオファーが来るのを待っている状態なのだとか。 そのまま、1-1で試合を折り返したアトレティコは後半、メンバーを一新。それこそ、16分にフランが負傷交代となり、アリアス(昨季はレバークーゼンにレンタル中にヒザの靭帯断裂)が入るまで、ピッチには控えGKゲルビッチしか、大人のチームの選手はおらず、うーん、シメオネ監督も水曜にマルカとAS(スペインの大手スポーツ紙)に同時掲載となった巻頭インタビューで、「このプレシーズンはよりBチームの選手中心になっている。Les dijimos que alguno puede quedarse si está preparado para ello/レス・ディヒモス・ケ・アルグーノ・プエデ・ケダールセ・シー・エスタ・プレパラードー・パラ・エジョ(準備ができている者は残ることができると、彼らには言ったよ)」と、トップチーム入りの人参をぶら下げていたんですけどね。 25分過ぎにはガソリン切れとなったジュリアーノに代わり、サポンジッチ(昨季後半はカディスにレンタル)の応援も得たんですが、やはり今季は3部、実質5部でプレーする選手たちには荷が重かったか、90分で勝負はつかず。一応、この試合は前会長の出身地で毎年、開催されるヘスス・ヒル杯に当たるため、トロフィーを懸けて、PK戦となったところ、まったくもう、心臓に悪い。先攻のヌマンシアの第1キッカーを見事、GKゲルビッチが止め、アトレティコはサンポンジッチ、ボルハ・ガルセス(昨季はレガネスにレンタル)が責任を果たした後、この夏、入団したマルコ・パウロ(フルミネンセから移籍)が敵GKに止められてしまう始末。 何せ、2016年のCL決勝や2年前のスペイン・スーパーカップ決勝など、お隣さんとのPK戦でいい思い出がないアトレティコですからね。せっかくヌマンシアの第4キッカーが枠外に飛ばしながら、リケルメ(昨季はボーンマスにレンタル)が弾かれた時には万事休すかと思いましたが、意外や意外。アリアスも第5キッカーとして、トップチーム選手の矜恃を見せた後、ヌマンシアの第7キッカーをゲルビッチが防ぎ、大先輩オブラクに唯一、欠けているPK戦での強さを披露してくれたおかげで、最後にカムスが決めたアトレティコが4-5で勝利することに。いやあ、この夏はクロアチア代表のユーロに呼ばれなかった彼もずっとベンチを温めていることに飽きて、他のチームで修行したいとレンタル希望を出しているそうなんですけどね。試合後半にはいいセーブも何度かしていましたし、今季こそ、初戦敗退さえしなければ、コパ・デル・レイ要員として、大きく貢献できるはずですが、こればっかりはねえ。 ちなみにこの試合であったネガティブなことは、コンドグビアのコロナ陽性発覚。それも当日、マドリッドを発つ前に全員が受けた抗原検査では陰性だったにも関わらず、たまたま当人がこの週末、練習が休みになるのを利用して国外に旅行するため、余分に受けたPCR検査の結果が現地に着いてからわかるという流れで、もちろん、彼は速攻、強制送還で自宅隔離になったんですが、これってもしや、一緒のバスに乗っていたチームメートは濃厚接触者にならない?このプレシーズン、アトレティコで陽性者が出たのは練習初日のマヌ・サンチェス(昨季後半はオサスナにレンタル)だけで、彼もやっと陰性に。木曜からチームに合流したベルサイコ、レマルと共にこの2日間、マハダオンダ(マドリッド近郊)でお留守番練習をしているんですが、来週は水曜にザルツブルク戦、土曜にボルフスブルク戦と遠征親善試合が続きますからね。 週明けにはカラスコ、ヒメネス、そしてジョアン・フェリックスも手術した足首のリハビリに戻って来ますが、今はただ、コロナ陽性選手が増えないことを祈るばかりかと。加えて、まだシメオネ監督が「Necesitamos un delantero. Vendrá otro si no viene/ネセシタモス・ウン・デランテーロ。ベンドラ・オトロ・シー・ノー・ビエネ(ウチにはFWが必要だ。来ないなら、他のが来るだろう)」とグルーズマンの復帰が叶ずとも、補強はあることを打ち明けていたゴールゲッターはまだ到着しておらず。ルイス・スアレスも特別延長休暇をもらい、コレア、ロディ、トリッピアーら、国際大会決勝組と一緒の8月2日まで合流しないため、このプレシーズンはあまり、アトレティコのゴール祭りは期待できそうにありませんが、8月15日のリーガ開幕セルタ戦で見せてくれれば、別に構いませんよね。 そして最初にお話ししたヘタフェはアトロミトス戦でもエネス・ウナルの2ゴールに加え、またしてもティモルが直接FKを決め、3-0で快勝。これでイビサ戦、スタッド・レンヌ戦から3連勝と、快進撃が始まっているんですが、ラ・マンガでのキャンプもこの日曜で終了となります。帰京後は30日にマドリッド2部の弟分フエンラブラダと、翌日には1部に戻って来たラージョと試合をしてから、8月4日にはミチェル新監督の息子、アドリアンがいるサラゴサ(2部)との対戦も。それを聞いて、最初に彼がヘタフェの監督になったのは当時、在籍したアドリアンの練習をよく見に来ていたのがキッカケだったことを思い出したんですが、となると、またラージョ戦ではGKルカの父親、ジダン前マドリー監督の姿が期待できる? 今のところ、ラージョもマルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)でキャンプ中なんですが、あちらではアル・シャバブ(サウジアラビア)とアンドレス・マルティンの2ゴールで2-2と引分けた後、土曜の午前中にはエスパニョールにアルバロ・ガルシア、カスミの得点で0-2と勝利。1部昇格プレーオフ中はマセドニア代表でユーロに行っていたディミトリエフスキが戻っているため、今季、ジダン監督の次男が活躍できるかどうかはわかりませんが、ピッチに出たエスパニョール戦後半には元ラージョのラウール・デ・トマスのPKを止めるお手柄だったとか。 そしてアンチェロッティ監督が復帰したレアル・マドリーはこの日曜、いよいよバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場を出て、午後7時(日本時間翌午前2時)から、グラスゴーでレンジャーズとの親善試合に挑むんですが、ええ、フエンラブラダ、ラージョ共、敷地内のグラウンドでの練習試合でしたし、水曜に入団プレゼンしたアラバ(バイエルンとの契約を満了して移籍)もエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)でユニフォームを着て、ポーズしていましたからね。当人はその翌日から、チーム練習に加わり、金曜に合流したクロース、モドリッチ、ベイル、バランらより、遥かに体調もいいようなので、もしかしたら、アイブロックス・スタジアムでは早速、CB、左SB、ボランチでプレーできるマルチぶりを披露してくれるかもしれません。 ただ、これもPCR検査の結果待ちで、イギリスへは当日移動のため、まだどの選手が遠征に参加するのか、確実には言えないんですが、そう、マドリーにもコロナ陽性者が現れたんですよ。それは同じく金曜に練習を始めるはずだったベンゼマで、リヨンからマドリッドに移動する前の検査で判明。よって、陰性になるまで、フランスを離れられないんですが、ヨビッチは筋肉痛が治ったばかり、マリアーノもずっとジム籠りとあって、もしや、お隣さん同様、FWが足りてない?うーん、マドリーからはオリンピック・スペイン代表にアセンシオが行っているため、今のところ、ルーカス・バスケス、ロドリゴぐらいしかいませんが、金曜はワクチン接種の副反応で熱を出し、練習を休んだイスコぐらいは回復してくれているといいですよね。 え、そのアセンシオと一緒に日本に行っているセバージョス(昨季はマドリーからアーセナルにレンタル)が大変なことになっているんじゃないかって?いやあ、その通りで、彼らは木曜にグループリーグ1節のエジプト戦に挑んだんですけどね。相手の手荒いタックル戦法に見舞われ、前半21分にはミンゲサ(バルサ)がハムストリングを痛めて、早くもバジェホ(同マドリーからグラナダ)に交代。45分にはセバージョスがモンカジョラ(オサスナ)に代わることになったんですが、この件に関しては、「Yo defiendo el VAR, pero bien utilizado/ジョ・デフィエンド・エル・バル、ペロ・ビエン・ウティリサードー(自分はVARを支持するが、上手く使われてこそだ)。最初に言ったことが次の日、ピッチで変わっているのは違う」とデ・ラ・フエンテ監督を始め、スペイン代表から、大いに文句が出ることに。 それも審判がモニターを見に行きながら、違反の選手にイエローカードしか出さなかったせいですが、いや、ホントにねえ。セバージョスの負傷後の足首の写真を見ると、正直、オリンピックの後、マドリーに戻って、アンチェロッティ監督にアピールするどころではないかと。おまけにチームが2節まで滞在する札幌では病院に行かず、月曜に東京に移動、選手村に入ってから、オリンピックのために手配された病院の一般診療がない時間帯に診てもらうって、ちょっとお、あんまりな扱いじゃない? といっても前半はそのセバージョスのシュートがゴールポストに当たったぐらい、後半もラファ・ミール(昨季はウォルバーハンプトンからウエスカにレンタル)のヘッドは敵GKがセーブ、ロスタイムのバジェホのシュートが惜しかったぐらいで、結局、0-0のまま、終わってしまったのは、頂けないですけどね。どうにもアセンシオら、オリンピック招集組はまだプレシーズン感覚、ペドリ(バルサ)、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)、オジャルサバル(レアル・ソシエダ)ら、ユーロから連続勤務組は永遠に終わらないシーズンにもう、力が残っていないような気がしましたが、実際のところ、どうなんでしょう。 そんな調子で日曜の12時30分(日本時間午後7時30分)には2節のオーストラリア戦を迎えるため、不安が絶えないんですが、もちろん、ミンゲサとセバージョスは欠場。エジプト戦には痛みで出られなかったスビメンディ(レアル・ソシエダ)が戻って来るのだけが朗報ですが、ダメですよ。大人のスペイン代表も初戦のスウェーデン戦でスコアレスドロー発進。次のポーランド戦でも1-1で引き分けながら、スロバキアに0-5と大勝して、決勝トーナメントに進んでいるのを心のよりどころにしては。何せ、ユーロ2020は3位のほとんどが16強対決に進む、大甘グループリーグでしたからね。2位までしか、準々決勝に進めないオリンピックは一戦、一戦が決勝戦。 それだけでなく、最終節は冷房が効いて、気温19℃の札幌ドームから、埼玉スタジアムに変わるため、暑さにも苦しめられますし…うーん、選手村に入った彼らがオリンピックムードに舞い上がり、2012年ロンドン大会のダメダメぶりをリピートしないか、もしくは最近、拡大中のコロナ陽性者が出ることの方が心配であったりしますが、とにかく今はデ・ラ・フエンテ監督が計画しているらしい、スタメン入れ替えが、初戦でアルゼンチンを破る波乱を起こしたオーストラリアに有効なことを信じるしかありません。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2021.07.25 18:00 Sun
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まだ選手たちはあまり戻っていない…/原ゆみこのマドリッド

「とても視聴率は取れそうにない時間帯ね」そんな風に私が溜息をついていたのは火曜日、いよいよ開幕の迫った東京オリンピックのサッカー・スペイン代表グループ初戦のキックオフがいつなのか、チェックしていた時のことでした。いやあ、ユーロ2020の間は夜更かし?超早起き?をしないといけなかった日本にいるサッカーファンに比べれば、エジプト戦が木曜午前9時30分(日本時間午後4時30分)に始まるのなんて、全然、大したことじゃないかもしれないんですけどね。すでに7月も後半に入ったとあって、世間にはバケーション中の人も多いとはいえ、朝っぱらから、バル(スペインの喫茶店兼バー)で盛り上がれるはずもなし。平日でもありますし、せっかく、久々のユーロ準決勝進出で代表を見直したスペイン人ファンも勤務中にこっそり、スマホ観戦とかになるんでしょうか…。 え、いくらルイス・エンリケ監督率いるA代表でユーロを戦ったメンバー、GKウナイ・シモン(アスレティック)を筆頭にペドリ、エリック・ガリシア(バルサ)、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)、オジャルサバル(レアル・ソシエダ)、パウ・トーレス(ビジャレアル)ら、6人もの兼任選手がいるとしてもU24代表は別物。スペインが前回、出場した2012年のロンドン・オリンピックもキエフで大人のユーロ2連覇に貢献してきたばかりのジョルディ・アルバ(バルサ)、ファン・マタ(マンチェスター・ユナイテッド)、ハビ・マルティネス(バイエルンを退団してカタールSCに移籍)が参加していたものの、グループリーグで日本、ホンジュラスに連敗し、最後のモロッコにも勝てず、1分け2敗の敗退とダメダメだったんじゃないかって? まあ、そうなんですが、そのチームにはコケやアドリアン(オサスナを退団してフリー)ら、当時はアトレティコ勢も参加していたため、私も応援していたものの、始まる前から、話題はサッカーより、チームがオリンピック選手村に滞在したり、開会式の行進に参加するかしないかといった辺りに集中。お祭り気分に浮かれてすぎて、本業がおろそかになってしまったんじゃないかと思いましたが、今回は初戦、日曜の2試合目、オーストラリア戦と会場が札幌ですし、大体がして、このコロナ禍にバブル合宿を続ける選手たちが、そんなワガママを言える訳もないですからね。 先週末土曜に行われた日本との親善試合などでも立ち上がりこそ、良かったものの、「開始5分でこれまでにないぐらい汗をかいていた」、「Solo pudimos estar bien durante 20 minutos/ソロ・プディモス・エスタル・ビエン・ドゥランテ・ベインテ・ミヌートス(ウチがいい状態でいられたのは20分間だけだった)」と初体験の湿度90%の暑さにデ・フエンテ監督のチームはペースダウン。前半41分には久保建英選手(昨季はレアル・マドリーからのレンタルでビジャレル、ヘタフェでプレー)のラストパスを堂安律選手(PSV)に決められ、先制点を奪われていましたが、それでも後半32分には途中出場のペドリが出したパスをミランダ(ベティス)がエリア内左奥から折り返し、プアド(エスパニョール)のシュートをカルロス・ソレル(バレンシア)が軌道を変えて同点に。 何とか、1-1で引き分けて面目を保つことができましたしね。とりわけ、このオリンピック代表ではアセンシオ、セバージョス(昨季はレンタル移籍してアーセナルでプレー)、バジェホ(同グラナダ)と、A代表には皆無だったレアル・マドリーの選手が3人もいるため、現在、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でプレシーズンのセッションをこなしながら、今季のチーム編成を思案中のアンチェロッティ監督など、大いに注目しているかと。 とりわけ、セルヒオ・ラモスが時間切れで契約延長できずにPSGに河岸を変え、フランス代表でユーロに参加後、近日中にチームに合流する予定になっているバランも来年には契約が満了。クラブの延長オファーに答えず、マンチェスター・ユナイテッドとの移籍交渉がまとまるのを待っていると言われており、昨季のレギュラー2人が抜けるCB陣では、昨季中にまとまったマルチDFのダビド・アラバ(バイエルンとの契約を満了)は水曜に練習場のプレスルームでZoomプレゼンがあって、そのまま、セッションに参加するんですけどね。 ただ、それでもミリトン、ナチョと合わせて、CBの頭数が3人にしかならないため、日本戦は軽い痛みで出場しなかったバジェホが第4のCBとして期待されているんですが、さて。ちなみにオリンピックでは久保選手の動向もクラブはチェックしているはずですが、彼が来季、マドリーのトップチームに残れる可能性はなし。というのもあと1年、契約が残っているベイル(昨季はトッテナムでプレー)が戻って来ると、今季からはイギリス国籍の選手もEU外扱いとなるためで、元々、3人の枠はミリトン、ビニシウス、ロドリゴだけで一杯なんですよ。 コロナ禍の影響で遅れているビニシウスのスペイン国籍取得が奇跡的に早まりでもしない限り、ジダン監督に結構、使われていたロドリゴまでが、RMカスティージャの所属にして、リーガ以外限定で使ったらいいとか、可哀そうなことを言われている程ですからね。久保選手は今季もレンタル移籍に活路を見出すことになりますが、今のところ、レアル・ソシエダなどが挙がっているものの、いいチームからオファーがもらえるかはオリンピックでの活躍次第になるかも。 そんな話の脇でマドリーは先週末も日曜にまた弟分、今度は1部に復帰したばかりのラージョと練習試合をしたんですが、やはりマスコミは入れなかったため、見られる映像はかなり限定。最初の試合では2部のフエンラブラダに3-1と快勝したものの、さすがに今季はヘタフェとマドリッド第3のチームを争う意欲満々のイラオラ監督のチームには手こずったか、イスコのPKゴールとカンテラーノ(RMカスティージャの選手)のチュストのオウンゴールで1-1と引分けることに。まあ、昨季終了後に各国代表で国際大会を戦った選手たちはベイル、バラン、ベンゼマらがようやく今週、続いて来週にモドリッチ、クロース、アザール、クルトワ、バルベルデといった感じで合流するため、まだまだトップチームの人員が少ないですからね。 最初からプレシーズンに参加しているメンバーでもメンディはリハビリ中、ヨビッチ(昨季はフランクフルトでプレー)、マリアーノ、カルバハルらも調整中でラージョ戦には出ていなかったため、まだまだマドリーがタイトル奪回に向け、レベルアップできているのかはわからないんですが、今週からマルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)でキャンプに入ったラージョと対照的に、ずっとバルデベバスにいる彼らも25日(日)にはいよいよ、グラスゴーでレンジャースとの親善試合を公開で実施。それまでにアラバの準備が整うのかはちょっと疑問ですが、昨季のリーガ最終戦以来となる久々のマドリーの勇姿が見られるのはきっと、ファンも嬉しいんじゃないでしょうか。 え、それで土曜には恒例のロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)での地獄のキャンプを急こう配猛ダッシュなどを含めた、1週間の超凝縮メニューで終え、マハダオンダ(マドリッド近郊)に戻って来たアトレティコはどうしているんだって?いやあ、早速、私も猛暑の中、月曜の午後セッションを見学に行ったんですが、トップチームのメンバーがGKオブラク、サウール、エルモーソ、アリアス(昨季はレバークーゼンにレンタル移籍して負傷)、サポンジッチ(同カディス)、ゲルビッチしかおらず、サビッチなど、同日の午前セッションで右太ももをケガして、開幕に間に合うかどうかという事態に。コパ・アメリカ序盤にブラジル代表で右ヒザ靭帯を部分断裂したフェリペの顔を見えましたが、彼もリハビリを開始したばかりと、こちらもしばらくはCB陣がお隣さん同様、ちょっと寂しくなりそうな。 ええ、左SB兼任のエルモーソは元気でしたが、ウルグアイ代表のヒメネスは来週にならないと戻って来ませんからね。グラナダにレンタル移籍していたナウエンもアルゼンチンU24代表でオリンピック参加中なんですが、アリアス同様、チームに残れるかどうかも、イギリス人のトリッピアーがEU外扱いになってしまったため、ロディ、フェリペとの3人で枠が一杯の現在、無理っぽいというのもマドリーと似ているかと。今のところ、シメオネ監督も助っ人としてかき集めたアトレティコBの選手中心の指導をするしかないんですが、何せ、昨季はこの後輩たちの出来が悪くてねえ。 定位置だった2部Bから降格したのは自業自得とはいえ、サッカー協会のカテゴリー改変の煽りも喰らい、2部BがRFEF1部とRFEF2部に分割されたため、今季は3部と言いながら、実質5部でプレーとなると、いざという時、トップチームの穴埋めに使える優秀な選手は残らないかも。そんなアトレティコはこの金曜午後7時(日本時間翌午前2時)から、ブルゴス・デ・オスナでヌマンシア(RFEF2部)とこのプレシーズン、最初の親善試合をするんですが、ユーロから帰還組第1陣となるはずのベルサイコ、レマルもまだ合流しておらず。ええ、スペイン代表に行っていたマルコス・ジョレンテなど、バケーション真っ盛りの時間を有効活用、ワンダ・メトロポリターノに彼女のパトリシアさんを誘い出し、サプライズプロポーズなんてこと、やっていましたからね。 先週はキャンプ地を訪問、チームメートに挨拶していたジョアン・フェリックスも足首の手術後、まだ松葉杖が必要な状態でしたし、よって、こちらもアトレティコBの試合みたいになってしまうかもしれませんが、今は新デザインのユニフォームが見られるぐらいで良しとしましょうか。ちなみにアトレティコの移籍関連話では丁度、前回、グリーズマン(バルサ)とサウールのトレード話が消えたようだとお伝えしたすぐ後に状況が急変。契約延長の合意ができたメッシをリーガに登録するため、他の高額年棒選手を整理する必要に迫られている相手が大乗り気で、交渉成立は秒読みなんて言われ、私も焦ったんですが、この世はまさに徒然。 日が経つにつれ、バルサが等価トレートでは不公平とサウールに加え、エルモーソかロディをつけることを要求したとか、サウール+1500万ユーロ(約20億円)の移籍金になったとか、逆にアトレティコが2100万ユーロ(約27億円)の年棒を半額にすることをグリーズマン側がOKしても、それすら、昨季のルイス・スアレスのようにバルサに補填するように求めているとか、ポロポロ出て来て、結局、現在ではこのトレードは交渉決裂という見方がされているんですけどね。事実、スアレスを補佐するCFは必要なアトレティコなだけに、ここで話が止まっていると、第2候補らしい、今はオリンピック・スペイン代表にいるラファ・ミール(昨季はウォルバーハンプトンからレンタルしてウエスカでプレー)の方も進められないため、ちょっとじれったい感じがするものの、移籍市場が閉まるのは8月末。 まだまだ焦る必要はありませんが、もう1つの弟分、今はラ・マンガ(スペイン南東部)でキャンプしているヘタフェもプレシーズン開始1週目の怒涛の4連続プレゼンの後はかなり静か。先週金曜にはいきなり、午前10時から、イビサ(2部)と前後半35分形式のミニ親善試合をしていて、YouTubeでライブ配信があったのに私が気づいた時にはもう遅かったんですが、一応、初戦はティモルのFKゴールで0-1と勝利したようです。この水曜にも今度は午後7時から、スタッド・レンヌと対戦しますしね。あちらもぼちぼち、エンジンを温めていってくれるといいかと。 え、それで柴崎岳選手のいるマドリッド2部の弟分、レガネスでは4人目の陽性者が出たようだけど、このプレシーズンのリーガのコロナ状況はどうなっているのかって?いやあ、丁度、マハダオンダに行った時、トップチームの隣のグラウンドで練習していたカンテラーノ(ユースチームの選手)が、「この前、ワクチン打たれちゃったよ」と言っているのを小耳にはさんだんですが、どうやら、もう若年層の接種も始まっているスペインではかなり多くのチームが各自治体から、ワクチンを供給されているよう。すでにエスパニョール、ベティス、ラージョ、セビージャ、レアル・ソシエダ、カディス、オサスナ、ヘタフェなどは終わっており、マドリーでもマルセロ、ルーカス・バスケス、ロドリゴらが注射を打たれるシーンをアップしていたんですけどね。 スペインのように国際大会の前に集団接種する各国代表チームもあったため、新シーズンは皆、抗体ができた状態でスタートできると思うんですが、それでも感染するのがコロナ。すでに1部2部、それぞれ12チームで陽性選手が判明し、計63人程が隔離されましたが、ワクチン接種後はウィルス保持量があまり増えず、他人への感染可能期間が7日間から、2日間になるとスペイン人のお医者さんが記事で言っていましたからね。とりあえず、プレシーズンマッチのキャンセルは幾つかあったものの、今季の公式戦には影響しないことを祈っています。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2021.07.21 19:00 Wed
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プレシーズンマッチが早く見たい…/原ゆみこのマドリッド

「とうとう離陸できたのね」そんな風に私がホッとしていたのは火曜日、本来なら前日の夕方、アリカンテから飛び立つ予定だったスペイン・オリンピック代表のチャーター機が故障で動けず。ユーロ2020で準決勝敗退した後、ミニバケーションとなり、当日に合流した最優秀若手選手賞獲得のペドリ、エリック・ガリシア(バルサ)、オジャルサバル(レアル・ソシエダ)、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)、ウナイ・シモン(アスレティック)、パウ・トーレス(ビジャレアル)らを含め、22人の選手たちは空港で2時間以上待機させられた挙句、ベニドロム(スペイン南東部のビーチリゾート)のホテルに引き返して延泊せざるを得ないことに。ようやく翌朝には機体の整備も終わり、燃料補給でタシケント(ウズベキスタン)を経由して、水曜に関西空港に着くという長い旅路に出たのを知った時のことでした。 まあ、彼らの合宿は7月1日から始まって、スペインの中では60%と、かなり湿度の高いベニドロムでの練習で少しは日本の真夏の気候に耐久性もついたんじゃないかと思いますし、神戸で行われるオリンピック前、最初で最後となるU24日本代表との親善試合も土曜ですからね。時差呆けを解消して、体調を整える時間が十分あるのは喜ばしいとはいえ、気が休まらないのはこの夏、ユーロとオリンピックの二重奉公に駆り出されている選手たちの所属する監督たち。 というのもマドリッド勢で言えば、レアル・マドリーのアセンシオやセバージョス(昨季はアーセナルにレンタル)、バジェホ(同グラナダ)、ヘタフェのククレジャらはバケーションを済ませて、オリンピック代表合宿でプレシーズン練習を始めたため、早ければグループリーグが終わる28日、最長で8月7日の決勝の後、すぐクラブの練習に参加できるんですけどね。 その一方でユーロから回って来た選手たちは、EL優勝組のパウ・トーレスだけは別ですが、リーグ終了後の1週間と今回の6日間という短いバケーションを取っているだけで、オリンピック参加が終わってからもお休みが必要。ラ・リーガなど、開幕が8月13日とあって、全然、間に合わないだけではなく、グループのエジプト、オーストラリア、アルゼンチン戦を始めとする日本での試合でケガをする可能性もあるとなれば、イタリアやイギリスのクラブが選手のオリンピック参加にノーと言うのもわかるんですが…。 え、それよりユーロ決勝も終わり、しばらく試合が楽しめない今は、各チームのプレシーズン練習が順調に進んでいるのか、気になるって?そうですね、まずは5日から、バルデベバス(バラハス空港の近く)で13人のトップチームメンバーにカンテラーノ(RMカスティージャの選手)を加えてスタートしたマドリーの様子から話すことにすると。実は彼ら、先週末にはどこより早いプレシーズンマッチを実施していて、いえ、去年の夏のヘタフェ戦のように練習試合と銘打って、マスコミは一切入れず。マドリッド2部の弟分、フエンラブラダとエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(バルデベバスの敷地内にあるRMカスティージャのホーム)ですらなく、練習用グラウンドの1つで対戦したんですけどね。 もちろん映像などもなく、大手スポーツ紙などから、伝わってきた結果はウーデゴール(昨季後半はアーセナルにレンタル)、チュスト(カンテラーノのCB)、マリアーノの3人がゴールを挙げ、3-1でマドリーが快勝。昨季終盤に痛めた脛骨がまだ治っていないメンディと筋肉痛のヨビッチ(昨季後半はアイントラハトにレンタル)は出場しなかったことぐらいしかわからないんですよ。ちなみに昨年同様、コロナ禍を懸念して、ずっとバルデベバスにいる彼らのプレシーズン、この先の親善試合がもう幾つか決まっていて、25日にはグラスゴーのアイブロックス・スタジアムで観客を入れてレンジャースと、8月8日にはオーストリアでミランと対戦。 その合間を縫って、ユーロやコパ・アメリカで敗退した順に7月19日にはモドリッチ(クロアチア)、クロース(ドイツ)、バラン、ベンゼマ(フランス)、ベイル(ウェールズ、昨季はトッテナムにレンタル)、アラバ(オーストリア、バイエルンから移籍)ら、数日置いて、クルトワ、アザール(ベルギー)、バルベルデ(ウルグアイ)、そして決勝まで行ったカセミロ、ビニシウス、ミリトン(ブラジル)が8月2日にアンチェロッティ監督のチームに合流することになっていますが、ちょっと寂しいのは今のところ、新顔がアラバしかいないことでしょうか。それどころか、あと1年だけになった契約の延長をまだしておらず、移籍の噂も多々聞こえてくるバランなどは戻って来もしないかもしれませんが、いえ、ペレス会長はエムバペ(PSG)やハーランド(ドルトムント)といったギャラクティコ獲得の努力を続けているんですけどね。 どちらも相手クラブの拒否姿勢や移籍金の問題でこの夏に決まるとは思えず、まあ、どちらにしろ、全面改装中のサンティアゴ・ベルナベウは新シーズンが開幕しても8月中は使用不能。3万から5万人と予想されている有観客試合は9月の各国代表戦の後、12日の週末、4節のセルタ戦まで待たないといけないため、今、ビッグネームを獲ってもスタンドにファンが溢れるメガプレゼンはできませんからね。それを見越して、クラブもワンダ・メトロポリターノがオープンした年のお隣さん同様、3節まではアウェイ開催をラ・リーガに頼んでおり、8月14日に原大智選手(クロアチアのイストラから移籍)が入団したアラベスと当たる開幕戦、レバンテ戦、ベティス戦は首都を離れて戦うことになりますが、あ、ダメですよ。それって、アトレティコがリーガ2連覇に向けて、序盤からマドリーに差をつける大きなチャンスじゃないかなんて思っちゃ。 まあ、確かに彼らは8月15日の開幕セルタ戦こそ、アウェイとなるものの、その後、エルチェ、ビジャレアルと2試合続けてホームゲームというクジ運の良さでしたけどね。お隣さんに遅れること3日、マハダオンダ(マドリッド近郊)で始動したトップチームメンバー9人とカンテラーノ(アトレティコBの選手)たちは、先日、2024年まで契約を延長したシメオネ監督の下、マヌ・サンチェス(昨季後半はオサスナにレンタル)がコロナ陽性になるというアクシデントも乗り越え、日曜にはロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)での地獄のキャンプ入り。こちらも代表参加中にケガをしたフェリペ(ブラジル)、足首の手術をしたジョアン・フェリックス(ポルトガル)を除いて、大会を敗退した順に19日頃にはベルサイコ(クロアチア)、レマル(フランス)、23日頃にはカラスコ(ベルギー)、ルイス・スアレス、ヒメネス(ウルグアイ)、27日頃にコケ、マルコス・ジョレンテ(スペイン)、そして8月になってから、コレア(アルゼンチン)、ロディ(ブラジル)、トリッピアー(イングランド)が戻って来ることになっています。 ただ、明暗が分かれてしまったのが最終到着組で、いやあ、ユーロ決勝でトリッピアーのラストパスから、ルーク・ショー(マンチェスター・ユナイテッド)のゴールが決まり、イングランドが先制点を取った時には私も嬉しかったんですけどね。試合が進んでみれば、後半にはCKからボヌッチ(ユベントス)のゴールで同点に追いつかれ、1-1のまま延長戦突入。それでも決着がつかず、PK戦が始まったところ、ルイス・エンリケ監督のチームどころか、ユーロ史上、誰も達成したことのなかった2試合連続PK戦勝利を達成してしまうとは!スペインとの準決勝でモラタ(ユベントス)を止めたのに続き、イングランドのジェイドン・サンチョ(ドルトムントからマンチェスター・ユナイテッドに移籍)、サカ(アーセナル)をGKドンナルンマ(ミランからPSGに移籍)が弾き、イタリアが53年ぶり、2度目の優勝を遂げてしまうんですから、もう感服するしかありませんって。 まあ、決勝当日のウェンブリー周辺の群衆やローマでの祝賀風景などを見ていると、今のコロナ情勢をわきまえたか、スペインが準決勝敗退となったのは、マドリッドでファンが集まって大騒ぎする前だったため、不幸中の幸いだった気すらしてくるんですけどね。実はリーガとのdoblete(ドブレテ/2冠優勝)を逃したのはトリッピアーだけではなくて、前日のコパ・アメリガ決勝ではロディも同じ目に遭っているんですよ。ええ、ブラジルがアルゼンチンに1-0で負けたからですが、勝者の側にいたコレアは出場しなかったって、ちょっとは当人の慰みになる? でも凄い偶然もあって、何とそのマラカナでの大一番、ディ・マリア(PSG)の先制ゴールをアシストしたのが、この月曜、アトレティコ入団が発表されたMFロドリゴ・デ・パウル(ウディネーゼから移籍)だったんですよ。先週は20才のブラジル人FW、マルコス・パウロ(同フルミネンセ)も加入し、もう練習に参加しているんですが、こちらはディオゴ・ジョタ(現リバプール)やラウール・ヒメネス(現ウォルバーハンプトン)らのようにレンタル、レンタルの繰り返しとなって、シメオネ監督の下でプレーできるかは成長次第。一方、デ・パウルの方は27才の即戦力で、コケやジョレンテ、コンドグビア、そして現在、メキシコ代表としてコパ・デ・オロに参加中、最長、決勝のある8月1日まで拘束されているエレーラらと中盤の定位置を争うことになるんだとか。 うーん、そのせいでますます、サウール退団の噂が強くなっているようですが、昨季は本当にパッとしなかった本人が河岸を変えたがっているというのはともかく、2年前にバルサに移籍したグリーズマンとのトレードがまとまらなさそうなのは良かったかと。どうやらこれは最初、バルサから受け取った1憶2000万ユーロ(約160億円)をアトレティコがベンフィカに丸々払って獲ったジョアンと交換したいという話だったようなんですが、まだ頼りないところはあっても、彼はクラブの長期成長計画の中心となるべくして、一世一代の大番振る舞いをした選手ですからね。クラブ幹部が歯牙にもかけなかったところ、サウールにお鉢が回ったようで、でも彼では移籍金や年棒でバランスが取れず。 おまけにそのトレードの噂には、あまり退団の経緯を良く思っていなかったアトレティコファンもすぐ反応して、即日、#GriezmannNoTeQueremos(グリースマン・ノー・テ・ケレモス/グリーズマンはいらない)のハッシュタグがトレンディングトピック入りしたなんて話もありましからね。どうやら、この夏の課題であるルイス・スアレスをサポートするFW探しは昨季後半、オリンピック・リヨンからレンタルで来ていたウスマン・デンベレのリピートを含め、当分、続くことになりそうな。ちなみにアトレティコのプレシーズンマッチの予定は23日にヌマンシア(2部)戦、28日にザルツブルク戦、31日にボルフスブルク戦、8月4日にカディスとのカランサ杯となっていて、マドリッドで見られるものはありませんが、最初の試合以外はTV中継がきっとあると思いますよ。 え、それよりプレシーズンが始まってから、補強が止まらない弟分がいるようじゃないかって?それは昨季、最終節の1つ前で2部降格を回避、指揮官もボルダラス監督(現バレンシア)からミチェル監督に代わったヘタフェで、初っ端をビトロ(アトレティコからレンタル)が飾ったかと思いきや、21才のメキシコ人FW、JJマシアス(チバスから移籍)、31才のCB、ミトロビッチ(同ストラスブール)に続き、この月曜には昨季後半にレンタル移籍して、チームを助けてくれたアレニャ(バルサに500万ユーロ/約6億5000万円を払って5年契約で獲得)のプレゼンもあったんですよ。うーん、その席で当人の名プレー動画が上映された時には一緒に久保建英選手も映っていたせいでしょうかねえ。 マルカ(スペインのスポーツ紙)の記者が久保選手の再レンタルについて質問していたんですが、スポーツディレクターのアンヘル・マルティン氏は「No voy a decir ningún nombre de ningún jugador/ノー・ボイ・ア・デシール・ニングン・ノンブレ・デ・ニングン・フガドール(選手の名前は誰も言わない)」と取りつくしまもなし。まあ、まずは兄貴分クラブの都合が優先しますし、当人も今はオリンピックの準備で忙しいですからね。ビトロもアレニャもミチェル監督のボールを持って、いいプレーをするというサッカーに共感して来た口ですから、希望はあるかもしれませんが、どちらにしろ、夏のコリセウム・アルフォンソ・ペレスは恒例のメインテナンス工事中。 ユニフォームを着てピッチでお披露目もできませんし、コロナ感染予防のため、スタジアム正面ホールでのファンサービスもダメとあって、プレゼンの後、選手たちは丁度、その時間にabono(アボノ/年間指定席)の更新に来ていたサポーターたちのリクエストにこっそり応えてくれるぐらいなんですけどね。それが久保選手だったら、ちょっと楽しいかなと私なんか、思ってしまったものですが、ヘタフェもこの水曜からはトルコ代表のユーロ参加で遅れて戻って来たエネス・ウナルも同行して、ラ・マンガ(スペイン南東部のゴルフリゾート)でのキャンプがスタート。10日間の滞在中、あちらでイビサ(2部)、スタッド・レンヌ、アトロミトスとプレシーズンマッチを行い、その後はまた地元で練習となりますが、8月13日、メスタジャでボルダラス前監督と対決する開幕バレンシア戦までに補強が終わるかどうかはわかりません。 そしてプレーオフを経ての1部昇格だったため、他のクラブから1週間遅れのこの火曜にラージョも練習を始めたんですが、戦力では昨季、RMカスティージャからレンタルしていたフラン・ガルシアが200万ユーロ(約2億6000万円)の移籍金で、権利は半分ながらも保有選手に。プレーオフ準決勝レガネス戦1stレグで挙げた2得点で株を上げたベベも4年間の契約延長が決まったんですが、まだこちらは8月4日のバジャドリー(今季は2部)戦しか、プレシーズンマッチは決まっておらず。リーガ開幕戦ではセビージャと当たるため、あんまり呑気にもしていられないんですが、先週、1年契約延長となったイラオラ監督の下、今回こそ、最速2部Uターンしないチームを作れたらいいですよね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2021.07.14 20:00 Wed
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効率が悪いと泣きを見る…/原ゆみこのマドリッド

「え、バブルから出しちゃうんだ」そんな風に私が驚いていたのは木曜日、ユーロ2020の参加を準決勝で終えたスペイン代表選手のうち、オリンピック代表にも招集されているペドリ(バルサ)、エリック・ガルシア(マンチェスター・シティからバルサに移籍)、ウナイ・シモン(アスレティック)、パウ・トーレス(ビジャレアル)、オジャルサバル(レアル・ソシエダ)、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)の6人はベニドロム(スペイン南東部のビーチリゾート)での合宿に行かず。チームが日本に向けて出発する13日まで、ミニバケーションという記事をAS(スポーツ紙)で読んだ時のことでした。いやあ、確かに5月31日からユーロ準備のため、ラス・ロサス(マドリッド郊外)のサッカー協会施設に缶詰。36日間も家族とも友人とも過ごせず、仕事仲間と朝昼版、ずうっと一緒なんて環境、普通の人だって、イヤになっちゃうと思いますけどね。 彼らには合宿1週目に接種したコロナワクチンにより、抗体もすでにできているとはいえ、折しもラ・リーガは今週仕事始めとなるチームが大多数。もちろん、トレーニングする前にはPCR検査を選手、スタッフ全員が受けるんですが、やっぱり出ているんですよ、陽性者が。そう、セルタのダニ・スアレス、アスレティックでもミケル・ベスガが初日から隔離となり、最速1部Uターンを果たしたエスパニョール、マジョルカでは3人、木曜に丁度、東京FC出身でクロアチアのイストラを経て、今季からリーガでプレーする原大智選手のプレゼンがあったアラベスでも2人。更にマドリッド2部の弟分、柴崎岳選手がいるレガネスでも2人と、やっぱりバケーション明けは油断がならない? よって、日本に行く6人には体を休めることに専念してもらって、あまり破目を外さず、というか、感染したらしたで、入国前に陽性反応が出てくれればいいんですけどね。オリンピック前、唯一のテストマッチとなる日本U24代表との17日の親善試合の頃に発覚したら、ホントに厄介なことになりそうですが、まあ、それはどこの国の代表も同じ。とりあえず、先行して合宿している16人は、初っ端からブスケス(バルサ)の自宅強制送還であたふたした兄貴分とは違い、誰も陽性になっていないのはいいニュースでしょうか。 まあ、そんなことはともかく、スペインのユーロ最後の試合となったイタリア戦がどうだったか、お伝えしていくことにすると。せっかく2012年以来の準決勝だったにも関わらず、イギリス政府の入国後、10日間の隔離義務が免除されなかったため、スペインからファンが応援に行くことは叶わず。サッカー協会が、「We need you(君たちが必要だ)」と銘打ったキャンペーンを行って、イギリス在住のスペイン人に観客が6万人入れるウェンブリーに来てと鼓舞したところ、その甲斐あったか、いや、何かもう、今回のユーロは1年遅れの開催になったり、開催11都市、それぞれ入国の条件やスタジアムのキャパ制限が違ったせいでしょうかね。チケット販売方法の詳細すら、私にはわからないんですが、およそ9000人余りのスペインサポーターがスタンドから、当日は応援してくれることに。 キックオフ前に意表を突かれたのは、「Morata y diez mas/モラタ・イ・ディエス・マス(モラタとあと10人)」という姿勢で大会を始めたルイス・エンリケ監督の突然の心変わりで、どうやら準々決勝のベルギー戦でルカク(インテル)がユベントスのベテランCBコンビ、キエッリーニとボヌッチの厳しいマークに苦しんでいたのを見たせいですかね。それこそ、クラブの同僚だけに弱みも知られていると思ったか、5試合連続先発していたCFをベンチに置いて、オルモをfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/シャドーCF)として起用したことでしたでしょうか。スイス戦でケガしたサラビア(PSG)も欠場だったため、フェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)とオジャルサバルで脇を固めたんですが、いやあ、またしてもシュートが決まらない病がリピートしてしまうとは。 それどころか、前半を両者無得点で終えた後、後半15分にはほとんどボールを持つことのなかったイタリアの効率的なプレーで失点。ええ、GKドンナルンマ(ミランからPSGに移籍)のゴールキックを受けたインモービレ(ラツィオ)から、ラポール(マンチェスター・シティ)がボールをクリアしたものの、それがキエーザ(ユベントス)に渡り、3人も前にDFがいながら、シュートを決められてしまうとは一体、どうしていいやら。でもねえ、ここですかさず、ルイス・エンリケ監督が昨季同じユーベでキエーザより、6本多い、20得点を挙げているモラタを入れたところ、これが大当たりだったんです! いえまあ、同点ゴールが入るまではかなり待たされて、その間にはコケ(アトレティコ)とオジャルサバルがロドリ(マンチェスター・シティ)とジェラール・モレノ(ビジャレアル)に代わったりもしたんですけどね。いよいよ残り僅かとなった35分、モラタがオルモとのワンツーでエリア内に入り、必殺の一撃が決まった時には私も大喜びしたの何のって。本来なら、そこからイケイケになるはずだったんですが…ダメでした。そのまま3試合連続となる延長戦に入るも、まるでグループリーグ最初の2試合のように的を外しまくったスペインは16本(うち枠内5本)もシュートを撃ちながら、7本(同2本)だったイタリアから、65%のボールポゼッションも空しく、勝ち越し点が奪えず。ええ、これで2試合連続のPK戦突入です。 うーん、準々決勝の相手スイスもそうでしたが、大概がして、2度も続けてPK戦に勝つというのは至難の業なんですよ。延長戦後半にガス欠となって、ブスケツがチアゴ・アルカンタラ(リバプール)に交代、代表キャプテンとしては場数の少ないジョルディ・アルバ(バルサ)が、キエッリーニにPK戦のゴール決め、順番決めのコイントスで要領を得ず、からかわれていた辺りからも怪しいと思ったんですが、とにかく最近のスペインはPK運が悪くてねえ。統計的に勝率が高い先攻を取れずとも、イタリアの第1キッカー、ロカテッリ(サッスオーロ)をGKウナイ・シモンが弾いてくれたため、少しは希望が出て来たものの、何でスイス戦でしっかり決めているオルモが、この日に限って、枠を外してしまうんでしょう! それでもスペイン第2、第3キッカーとなったジェラール・モレノ、チアゴ・アルカンタラは成功したため、ベロッティ(トリノ)、ボヌッチ、ベルナルデスキ(ユベントス)がゴールを続けていても拮抗していたんですが、はい、またしてもモラタでした。ええ、アトレティコ時代も何度かあったように、このユーロでもスロバキア戦でリピートしたように、「Tenía un problema en el aductor y ha querido tirar/テニア・ウン・プロブレマ・エン・エル・アドゥクトル・イ・ア・ケリードー・ティラール(内転筋に問題があったが、蹴りたがった)」(ルイス・エンリケ監督)という、彼のPKがドンナルンマに弾かれてしまったから、もう絶対絶命。スイスとのPK戦で2人を阻止して英雄となったウナイ・シモンも奇跡の再現はできず、イタリア第4キッカーのジョルジーニョ(チェルシー)に決められて、4-2でスペイン敗退となってしまいましたっけ。 いやあ、ルイス・エンリケ監督は「En la prórroga ellos deseaban llegar a penaltis y nosotros queríamos jugar media hora más/エン・ラ・プロロガ・エジョス・デセアバン・ジェガール・ア・ペナルティス・イ・ノソトロス・ケリアモス・フガール・メディア・オラ・マス(延長戦で相手はPK戦まで行くのを望んでいて、ウチはあと30分間、プレーしたたった)」と、最後までゴールを諦めなかった選手たちを称えていましたけどね。彼にしてみれば、「悲しくも失望でもない夜だ。Hay que saber ganar y saber perder/アイ・ケ・サベール・ガナール・イ・サベー-ル・ペルデル(勝つことも負けることも理解しないといけない)」だけなんでしょうが、せっかく9年ぶりの決勝で盛り上がりたかったファンには残念、極まりなしだったかと。 ただ、予想外の快進撃を見せた今回のスペイン代表は世間的に評価が上がっていて、オリンピックとのダブル招集が多かったことからもわかりますが、チーム最年少の18才ながら、全ての試合で先発を務めたペドリのように若い選手が増えたせいか、2022年W杯への期待が大いに膨らむことに。といってもまだ、その予選は2勝1分けの3試合しか終わってなくて、9月と11月の5試合で1位となり、出場権を勝ち取らないといけないんですけどね。おまけに10月にはネーションズリーグのファイナルフォーもあり、奇しくもサン・シーロで行われる準決勝の相手はまたしてもイタリア。 そこで見事にリベンジしてこそ、彼らの真の実力がわかるんじゃないかと思いますが、とにかくゴールが入るか入らないかは選手の調子の波にもよりますからね。そちらは置いておいても、やっぱり課題は合宿当初から、毎日、練習を欠かさずやっていても、ここまで本番で苦労されられるPK。となると、それだけでも次回の代表戦では、とうとう木曜にPSG入団が発表。パリでの新生活を始めたセルヒオ・ラモス(レアル・マドリーを契約満了で退団)を再招集する価値がある気がしますが、さあてこればっかりは。 ジョルディ・アルバなども「自分は10年ぐらい代表にいるけど、こんないいグループはしばらく見ていない。最高のチームだよ」と言っていたように、この長い隔離合宿期間に友好を深めた代表はその夜のうちにマドリッドに帰京。ウェンブリーに家族が応援に来ていた、ロンドン在住のアスピリクエタ(チェルシー)まで、一緒に戻り、バラハス空港で仲間に別れを告げてから、ロンドンにUターンしていったなんて聞くと、ちょっと普通の仲の良さだけではない感じがしなくもないかと。 そして翌日、もう1つの準決勝ではイングランドが延長戦でデンマークに2-1と勝利。それもハリー・ケイン(トッテナム)がPKを一旦は弾かれながらもこぼれ球を押し込むという幸運に恵まれ、日曜にイタリアとのユーロ決勝に挑むことになったため、大勢のサッカーファンが街に繰り出して大騒ぎという、コロナ禍中ではあまりお勧めできないお楽しみはその2国に任せておくことにして、マドリッド勢のプレシーズン開始にも少し触れておくと。月曜の夕方から初セッションと、先陣を切ったレアル・マドリーではどうやら、6年ぶりに復帰したアンチェロッテイ監督が張り切っているようで、いえ、各国代表国際大会に参加せず、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場に集まったトップチームのメンバーは13人しかいないんですけどね。早速、敷地内の宿泊施設で合宿して、火曜はダブルセッション、水曜など、朝8時30分から練習って、凄い気合が入っているじゃないですか。 といってもベンゼマ、クロース、モドリッチ、カセミロといった主力は19日過ぎから、五月雨式に戻ってくるため、今はできることも限られているんですが、だからですかねえ。木曜など、選手たちにSFチックなマスクを着けて、呼吸数を測るみたいな変わったトレーニングもしていましたが、朗報は昨季を負傷が治らずに終えたカルバハル、ルーカス・バスケスが復活していること。メンディだけはまだジムにいるようですが、あとはベルギー代表でまたケガをしたアザールが支障なく合流できることを祈るばかりかと。ちなみにこちらはスペン・オリンピック代表にアセンシオ、セバージョス(昨季はアーセナルでプレー)、バジェホ(同グラナダ)が行っています。 そしてマハダオンダ(マドリッド近郊)で始まったリーガ王者のセッションも、木曜に私が見に行った時は選手の数こそ、多かったものの、かなりカンテラーノ(アトレティコBの選手)で水増しされていて、トップチームのメンバーはオブラク、サビッチ、エルモーソ、コンドグビア、サウール、ゲルビッチ、そしてレンタルから戻ったサポンジッチ(昨季はカディスでプレー)、アリアス(レバークーゼンに行くも重傷を負って、昨季はリハビリ)、マヌ・サンチェス(同オサスナ)の9人だけ。ただ、もうユーロにはトリッピアー(イングランド)しか残っていませんし、コパ・アメリカも決勝組のロディ(ブラジル)とコレア(アルゼンチン)だけなので、7月末にはほとんどが戻って来れそうです。丁度、その日の夜にはシメオネ監督の2024年までの契約延長も発表されましたしね。この日曜には恒例のロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)での地獄のキャンプも始まるんですが、いつもの2週間ではなく、今回は1週間になったのだとか。 一方、弟分たちは、6月に昇格プレーオフで1部復帰を果たしたラージョが水曜にイラオラ監督の契約延長が発表。遅ればせながら、来週月曜には始動することに。ヘタフェはもう、地元の練習場でスタートしていて、こちらの不在はスペイン・オリンピック代表に行っているククレジャとトルコ代表でのユーロ参加で少し遅れるエネス・ウナルだけです。そうそう、戦力補強が着々と進んでいるのも彼らで、月曜にアトレティコからレンタル加入したビトロのプレゼンがあったと思いきや、水曜にはチバスから21才のメキシコ人FW、マシアスがこちらもレンタルで、金曜にはストラスブールから移籍金100万ユーロ(約1憶3000万円)で獲得した31才のセルビア人CBミトロビッチと、今週はプレゼンが続くわ続くわ。 どうやら、昨季後半、バルサから来て、1部残留に貢献したアレニャもまた来てくれるようですしね。ミチェル監督の復帰と共に再び、ヘタフェがいいプレーを見せてくれるチームになってくれると、ようやくコリセウム・アルフォンソ・ペレスのスタンドから応援できるようになったファンたちも嬉しいんじゃないでしょうか。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2021.07.09 18:00 Fri
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黄金時代が戻って来るかもしれない…/原ゆみこのマドリッド

「もう1カ月以上になるんだ」そんな風に私が日にちを数えて驚いていたのは日曜日、5月末にCL決勝が終わるやいなや、ラス・ロサス(マドリッドの郊外)にあるサッカー協会施設にバブル合宿となったスペイン代表が準々決勝のロシア遠征の後、また戻って来た日のことでした。いやあ、通常でもユーロやW杯などの際には開催国のホストタウンで結構、長い期間を過ごしているんですけどね。今回はヨーロッパ11都市に股がる史上初の広域開催ユーロで決勝トーナメントの地が不確定だったのはともかく、いまだに再流行の危険と無縁でないコロナ禍のせいで、選手たちは休養日もチーム揃っての決起ランチを除いて、一切外出ができず。家族や友人との面会も禁じられているとあって、せいぜい、試合の後にスタジアムに来てくれた奥さんや彼女、子供たちと短時間、触れあうぐらいしかできないんですが、それって、かなり可哀そうじゃない? おまけにA代表のうち、ウナイ・シモン(アスレティック)、パウ・トーレス(ビジャレアル)、ペドリ(バルサ)、エリック・ガルシア(マンチェスター・シテイからバルサに移籍)、オジャルサバル(レアル・ソシエダ)、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)の6人はユーロが終わり次第、この水曜から、ベニドロム(スペイン南東部のビーチリゾート)で合宿に入ったオリンピック代表に移動。スペインが準決勝で敗退すれば、1、2日ぐらいの休みはもらえるかもしれませんが、ここでバブルから出す訳もいきませんからね。13日には日本行きの飛行機に乗り、早ければ、グループリーグ終了の28日、最長8月7日の決勝まで、都合2カ月余り、家族と会えないなんて、とりわけ、18才のペドリなど、ホームシックになったりしないんでしょうか。 まあ、A代表でもオリンピック代表でも一番の若輩者ながら、ユーロ開幕から5試合連続スタメンという大役をルイス・エンリケ監督から与えられている当人は、「Estoy un poco cansado, pero con 18 años tengo fuelle para mucho más/エストイ・ウン・ポコ・カンサードー、ペロ・コン・ディエシオチョ・アーニョス・テンゴ・フエジェ・パラ・ムーチョ・マス(ちょっと疲れているけど、18才なんだから、まだまだ燃料はあるよ)」と早朝7時にサンクトペテルブルクから、マドリッドに着いたばかりの土曜の午後、クアトロ(スペインの民放)のインタビューでケロッとした顔で言っていましたけどね。あまり頑張りすぎて、バルサ2年目となる大事なシーズン、8月14日の週末のリーガ開幕前に燃えつきたりしなければいいのですが…。 そんなことはともかく、まずはスペインが9年ぶりに挑んだメジャー大会の準々決勝がどうだったか、お話ししていくことにすると。グループリーグ最終節のスロバキア戦、16強対決のクロアチア戦、どちらも大量5点を挙げて勝った後でしたし、相手が2018年W杯王者のフランスではなく、スイスに決まった時はかなり気が楽になったファンも多かったと思いますけどね。実際、前半8分にはコケ(アトレティコ)のCKを起点にジョルディ・アルバ(バルサ)のエリア外からのシュートがザカリア(ボルシア・メンヘングラッドバッハ)に当たり、オウンゴールで先制することもできたんですが、いやいや、とんでもない。 というのも、相手はキャプテンのジャカ(アーセナル)を累積警告で欠き、エンボロ(ボルシア・メンヘングラッドバッハ)も23分には負傷でバルガス(アウクスブルク)に交代という逆境にも襲われたにも関わらず、また始まってしまったんですよ。シュートを撃っても撃っても入らないという、スペイン代表の悪癖が。ええ、その流れを変えようとしたか、前半のうちから、太ももを痛めていたサラビア(PSG)がダニ・オルモに後半頭から代わっていたのに加え、ルイス・エンリケ監督は早くも9分、「la presión que hace es increíble y entendía que necesitaba frescura/ラ・プレシオン・ケ・アセ・エス・インクレイブレ・イ・エンテンディア・ケ・ネセシタバ・フレスクラ(信じられないぐらいのプレスをかけていて、フレッシュな選手が必要と思った)」とモラタ(ユベントス)をジェラール・モレノ(ビジャレアル)にしてみたんですが、あまり影響はありませんでしたっけ。 それどころか、23分にはパウ・トーレスとラポール(マンチェスター・シティ)が互いに邪魔し合って、エリア内のボールをクリアできず、フロイラー(アタランタ)からパスを受けたシャキリ(リバプール)に同点ゴールを決められてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。それでも32分にはフロイラーがジェラール・モレノへのタイミングの遅れたタックルで一発レッド退場。残り時間での勝ち越しゴールを狙ったスペインでしたが、これがまさかの逆効果で、1人少なくなったスイスに延長戦を乗り切り、フランス戦の勝利で味をしめたPK戦突入まで耐える決意させることになるとは。 うーん、スペインも後半ロスタイムにはコケをマルコス・ジョレンテ(アトレティコ)へ、延長戦後半にもパウをチアゴ・アルカンタラ(リバプール)、ペドリをロドリ(マンチェスター・シティ)にして攻め続けたんですけどね。ルイス・エンリケ監督も「Menos mal que ha fallado Gerard, porque si falla Morata lo empalan/メノス・マル・ケ・ア・ファジャードー・ゲラール、ポルケ・シー・ファジャ・モラタ・ロ・エンパラン(しくじったのがジェラールで良かった。モラタだったら、世間から惨々に言われていただろうから)」と認めていた当人を始め、オルモ、オジャルサバル、ジョレンテと次々シュートするもゴールは奪えず。延長戦だけでその数、16回ともなれば、GKゾマー(ボルシア・メンヘングラッドバッハ)のparadon(パラドン/スーパーセーブ)もあったとはいえ、まったくどうしたらいいものやら。 結局、16強対決クロアチア戦のように延長戦で決着をつけることはできず、PK戦が始まったんですが、何せ、直近でスペインが敗退した2018年W杯16強対決の悪夢がまだ私の頭の中に残っていてねえ。当時はサンクトペテルブルクではなく、モスクワでしたが、同じ国での試合で、やはり1-1のまま、延長、PK戦と進み、コケとイアゴ・アスパス(セルタ)が失敗。GKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)はロシアのPKを1本も止められず、負けてしまったんですが、この日も最初に蹴ったスペインはブスケツ(バルサ)がゴールポストに当ててしまうという、暗雲垂れ込める幕開けに。 対してスイスの第1キッカー、ガブラノビッチ(ディナモ・ザグレブ)が難なく決めたため、そう、相手はフランス戦でも5人全員成功していましたしね。一気に絶望感に襲われた私でしたが、幸い2番手のオルモはゴール。そこから差を見せたのがGKウナイ・シモン(アスレティック)で、いやあ、実は彼、プロデビューしてから、もう15本ぐらい止めているparapenalti(パラペナルティ/PK止め屋)だったんですよ。タオルの間に隠したGKコーチのくれたメモのおかげもあったようですが、シャル(ニューキャッスル)を見事に弾くと、PK要員として終了間際に入ったロドリがゾマーに防がれたショックも何のその、アカンジ(ドルトムント)も連続阻止。 するとグループリーグのポーランド戦でPKをポストに嫌われていたジェラール・モレノもあの、マンチェスター・ユナイテッドと互いに11人が蹴り合い、最後はデ・ヘアをルリが弾いてビジャレアルに初タイトルをもたらしたEL決勝の壮絶PK戦の心意気を思い出したんでしょうかね、いつものように冷静に決めてくれたため、逆に焦ったか、スイスはバルガスが上に外してしまって絶体絶命に。最後はこちらもクラブのスペシャリスト、4月にあった1年遅れのコパ・デル・レイ決勝でも優勝に繋がるPKを、その時の相手GKがまさにウナイ・シモンだったのは皮肉ですが、問題なく決めていたオジャルサバルがゾマーを破り、1-3で勝ってしまうんですから、思っていたより、このチームは根性があるのかも。 いえ、スイスは2試合連続のPK戦でしたし、このユーロの5試合では計1万3326kmも移動。セビージャ(スペイン南部)でグループリーグ3試合を戦い、5611kmしか動いていないスペインとは疲れ方も違ったでしょうし、ルイス・エンリケ監督が「He vivido la tanda más tranquila de mi vida/エ・ビビードー・ラ・タンダ・マス・トランキーラ・デ・ミ・ビダ(人生で一番、落ち着いていられたPK戦だった)」というのはちょっと、信用なりませんけどね。少なくもユーロ合宿が始まって以来、毎日、皆がPK練習をしていた成果というのは確かにあったよう。ちなみにこの日の夜にはイタリアがバレッラ(インテル)とインシーニェ(ナポリ)の2点で、ルカク(インテル)のPKゴールだけに終わったベルギーに1-2と勝利。来週火曜の準決勝でスペインと対決することになったんですが、もうここまで来れば、怖がってなんていられませんって。 だってえ、振り返ってみれば、スペインが黄金期の始まりとなる2008年のユーロに優勝した時も準々決勝でイタリアにPK戦で勝利。カシージャス(当時レアル・マドリー)がデ・ロッシ(同ローマ)とディ・ナターレ(同ウディネーゼ)の2人を弾いてくれたのが転機となり、続いて2010年W杯のタイトルもゲットすることに。2012年のユーロでも準決勝でポルトガルとPK戦となり、シャビ・アロンソ(同マドリー)以外、全員成功したスペインに対し、相手は2人失敗したため、最後のキッカーだったクリスチアーノ・ロナウド(同マドリー、現在はユベントス)が蹴ることなくして、敗退に追い込んだ前例がありますからね。その時の決勝ではイタリアに4-0と大勝していますし、大体、3大会共、戴冠への道筋ではフランスやドイツを含め、強豪国を下しているとなれば、どうして今回、リピートできないと言える? ただ、私も見学に行った土曜の夕方の練習ではサラビアとラポールが欠けており、とりわけ2ゴール2アシストの前者は回復が難しいよう。イタリアもベルギー戦で左SBのスピナッツォーラ(ローマ)がアキレス腱断裂の重傷を負い、代表離脱となっているため、その辺は互角かと思いますが、さて。準決勝の会場となるウェンブリーのピッチ保全のため、前日スタジアム練習を禁じられたスペインは月曜の午前中にラス・ロサスでセッションを行って、夕方にロンドン入りする予定です。 水曜のイングランドvsデンマーク戦勝者との決勝進出が決まってもあちらには滞在せず、また協会施設に戻ってくるそうですが、実はその火曜午後9時(日本時間翌午前4時)からの試合を巡っては、スペインでもイタリアでもファンが大変なことになっていてねえ。というのもイギリス政府のコロナ感染予防措置で入国後、5日間から10日間の隔離が義務付けられているためで、一応、スペイン政府もUEFAの招待客同様、隔離の免除を要請しているんですが…ホント、ここまで日が迫っていて、すでに航空券やチケット購入済みのファンは一体、どうしたらいいんでしょうか。 え、ユーロはまだ終わってないけど、もう月曜からはプレシーズン練習が始まるチームもあるんだろうって?その通りで一番乗りは昨季、最終節でリーガ優勝をお隣さんにさらわれ、無冠に終わったマドリー。メディカルチェックなどを済ませた後、午後6時から、バルデベバス(バラハス空港の近く)で初セッションとなりますが、初日にアンチェロッティ新監督と顔を合わせるのは13人程だとか。そこにRMカスティージャ(マドリーのBチーム)の助っ人10人程が加わることになりますが、比較的、ラッキーだったのはマドリー勢がすでにユーロで全滅していること。 よって、バイエルンとの契約を満了して移籍したアラバ(オーストリア)、昨季はトッテナムにレンタルしていたベイル(ウェールズ)は19日、モドリッチ(クロアチア)、バラン、ベンゼマ(フランス)は21日、代表引退を表明したクロース(ドイツ)は21日、そしてクルトワ、アザール(ベルギー)が25日と皆、3週間のバケーションを満喫した後、早々に合流することになりますが、イタリア戦にケガで出られなかったアザールがどんな状態なのかは今のところ、不明です。その一方でコパ・アメリカ参加組はバルベルデのウルグアイが土曜にコロンビアに負けて敗退したものの、カセミロ、ミリトン、ビニシウスのいるブラジルはまだ試合がありますからね。 加えて、幸いビニシウスのオリンピックとのダブル招集は避けられたものの、日本で待ち受ける久保建英選手はもちろん、スペインのオリンピック代表にもアセンシオ、セバージョス(昨季はアーセナルにレンタル)、バジェホ(同グラナダ)が行っているため、この4人の帰還はかなり遅れることになりそうです。同様に月曜にメディカルチェック、実働は水曜からという弟分のヘタフェもククレジャが日本に行くことになるんですが、ユーロ組はグループリーグで敗退したトルコのエネス・ウナルだけ。こちらは1週間程の時差で出て来られるんじゃないかと思いますが、プレシーズン開始のタイミングを狙ったように、この月曜には兄貴分のアトレティコからビトロのレンタル移籍が発表されたのはちょっと意表を突かれたかと。10年ぶりの復帰となるミチェル監督は前回の在任時にEL出場も遂げた指揮官ですから、ファンも結構、新シーズンには期待しているんじゃないでしょうか。 そして昨季、昇格プレーオフを制し、マドリッド1部第4のチームに返り咲いたラージョだけはまだ予定が出ていないんですが、アトレティコは水曜にマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に集合。こちらはまだ、ユーロにコケ、ジョレンテ、トリッピアー(イングランド)が残っており、ルイス・スアレス、ヒメネス(ウルグアイ)はコパ・アメリカを終了したものの、コレア(アルゼンチン)、ロディ(ブラジル)が稼働中です。ポルトガルの敗退後、木曜に足首の手術をしたジョアン・フェリックスの回復具合も気になりますしね。これからマドリッドの暑さもいよいよ本格化しますが、どのチームも熱中症だけには気をつけて、トレーニングを始めてくれたらと思います。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2021.07.05 21:00 Mon
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