ユーロは始まったけど…/原ゆみこのマドリッド

2021.06.13 22:30 Sun
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「絶対、暑さまでは考えてなかったわね」そんな風に私が首を振っていたのは土曜日、前日のセビージャ(スペイン南部)市内の街頭気温表示が41℃になっているのをTVで見た時のことでした。いやあ、ここ数日はマドリッドも一気に真夏モードに突入、お昼を食べた後、うっかり街に用事を済ませに行った自分もシェスタ(お昼寝)の時間帯の外出は命にかかわるんだったということを思い出しながら、クラクラして帰って来たなんてこともあったんですけどね。

これがまだ、当初の開催地ビルバオ(スペイン北部)だったら、まだマシなんでしょうが、地元の自治体がサン・マメス(アスレティックのホーム)での有観客試合をUEFAに保証できず、OKが出たカルトゥーハに代わったのはともかく、皆、頭にあるのはコロナのことばかり。1万6000人の観戦客にPCRや抗原検査陰性証明を義務付けするのは撤回されたものの、この時期のセビージャの想像を絶する酷暑を忘れていたって、ちょっと東京オリンピックに似ていない?

まあ、そうは言っても去年もコロナによる中断の後、再開したリーガでは6月、7月にサンチェス・ピスファン(セビージャのホーム)でもベニト・ビジャマリン(同ベティス)でも試合をしていた訳ですから、プレーできなくはないんですけどね。一応、用心はしたか、今週もラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設で合宿を続けているスペイン代表は、「Estamos entrenando a las horas de más calor para adaptarnos a Sevilla/エスタモス・エントレナンドー・ア・ラス・オラス・デ・マス・カロール・パラ・アダプタールノス・ア・セビージャ(セビージャに慣れるため、一番暑い時間帯に練習している)」(ルイス・エンリケ監督)と、意図的にセッションの時間を午後6時近辺に設定。

その近辺とあやふやな表現なのは、日曜夜にブスケツ(バルサ)のPCR検査陽性が判明して以来、チームは最多8人の少人数グループに分かれての個人練習になってしまったから。都合3セッションに付き合わないといけなくなったルイス・エンリケ監督が誰より、日焼けしているのは当然だったかと。おまけに来週火曜のユーロ初戦で戦うスェーデンは気温15℃のストックホルムで、続くポーランド、スロバキアもせいぜい20℃ちょっとの地元で練習しているとあって、30℃以上の環境で鍛えれば、スペインの体力的有利は揺るがないということでしょうが、いやあ。

何せ、このヨーロッパ11都市で開催されるこの広域ユーロはグループリーグこそ、3試合ともスペインはセビージャ開催ですが、参加24チーム中、各グループの1位と2位、成績上位の3位4チームが進む、甘々決勝トーナメント16強対決では国外遠征の可能性が濃厚。そう、グループ1位突破なら、グラスゴー(スコットランド)でグループA/B/C/Dの3位と、2位突破なら、コペンハーゲン(デンマーク)でグループD2位と、3位で突破した時のみ、カルトゥーハでグループB1位と4試合目を戦うことになり、もう帰って来ないとなれば、過密日程だったシーズンを終えたばかりの選手たちだけにあまり、暑い中、ムリさせない方がいいかもしれませんよね。

え、それにしたって、今週のスペイン代表は毎日、毎日、PCR検査三昧で大変そうじゃなかったかって?その通りで一応、順番にお話ししていくことにすると、ブスケツが車でバルセロナ(スペイン西部)の自宅に強制送還された後、月曜にはディエゴ・ジョレンテ(リーズ)もPCR陽性に。こちらはレアル・マドリーのカンテラ(ユース組織)育ちだけあって、マドリッドにある実家に救急車で送り帰されたんですが、おかげであと1人、陽性が出たら、クラスター発生になると代表合宿は大厳戒態勢に入ります。当然、テストマッチもできないので、月曜夜には先週木曜にU21ユーロ準決勝でポルトガルを前に敗退。バケーションに入ったばかりの若い選手たち、20人が超特急で集められ、火曜の親善試合リトアニア戦に備え、1回だけのセッションを行ったんですが…。

大丈夫でしたよ。A代表の親善試合というカテゴリーを変える訳にはいかなかったため、このリトアニア戦では総勢16人が一気にA代表デビュー。ククレジャ(ヘタフェ)など、お隣さんのブタルケ(レガネスのホーム)でいきなりキャプテンデビューしていましたが、彼らの多くはこれで所属クラブから代表戦出場ボーナスがもらえるとなれば、バケーションを中断して駆けつけた甲斐は十分あった?経験者はすでに3月にルイス・エンリケ監督の下でプレーしていたブライアン・ヒル(セビージャからレンタルして昨季はエイバルでプレー)だけでしたが、当人は先日に続いて、2019-20シーズンもブタルケで2部降格しているだけにちょっと、苦い思い出が蘇ったかも。スタンドの入りも先週日曜の1部昇格プレーオフ2ndレグ、レガネスvsラージョ戦には遠く及ばなかったものの、代表の後輩選手たちは本当に効率が良くてねえ。

ええ、前半4分にはCKから、早くもギジャモン(バレンシア)が先制点を挙げたかと思えば、24分にはブライム(マドリーからレンタルで昨季はミランでプレー)が2点目をゲット。ブライアン・ヒルの獲得したPKはアベル・ルイス(スポルティング・ブラガ)が敵GKに弾かれてしまいましたけどね。後半も、モンカジョラ(オサスナ)のコロナ陽性でU21ユーロメンバーに急遽、追加招集、スロベニアでは出番をもらえなかったものの、昨季はジダン監督に中盤の助っ人として、重宝されていたブランコ(RMカスティージャ)が2階級特進でA代表デビューとなったのに私が驚いている間にミランダ(ベティス)が直接FKを決めて3点目。最後は38分にプアド(エスパニョール)が仕上げして、4-0の大勝となれば、ラス・ロサスの合宿所でソーシャルディスタンスを保ってTV観戦していた先輩たちも安心したかと。

数日前から、バルデベバス(バラハス空港の近く)のマドリー練習場を借りて、トレーニングをしていたというリトアニアもこれでは面目が立ちませんが、実はU21メンバーのお勤めはこの試合だけで終わらず。そう、日曜月曜にはロドリゴ(リーズ)、フォルナレス(ウェストハム)、カルロス・ソレル(バレンシア)、ブライン・メンデス(セルタ)、アルビオル(ビジャレアル)、ケパ(チェルシー)を別途招集し、ラス・ロサスでburbuja paralela(ブルブハ・パラレラ/平行バブル)として、元祖招集メンバーから更なるコロナ陽性が発生した場合に交代要員となるべく備えていたグループにU21からも11人が参加することになったんですよ。その横でサッカー協会は関係省庁に代表選手の即時ワクチン接種を交渉していたものの、これもまた、口を出す行政当局が多すぎたか、ようやく実現したのが金曜だったって、いや、ちょっと遅すぎなくない?

うーん、当日にはスペイン軍の医療部隊がラス・ロサスにやって来て、すでにコロナ感染済みで抗体のある8人、ガヤ(バレンシア)、オジャルサバル(レアル・ソシエダ)、チアゴ・アルカンタラ(リバプール)、ラポール、エリック・ガリシア、フェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)、ファビアン・ルイス(ナポリ)、アダマ・トラオレ(ウォルバーハンプトン)は2回目の必要なしとしてファイザー製を、残りの選手たちには1回で済むものの、スペイン国内では血栓予防のため、50才以下には使っていなかったジョンソン・アンド・ジョンソン製が投与されたんですが、どちらも効果が現れるのは2週間後と、グループリーグが終わってからですからね。

ルイス・エンリケ監督も「Nos hubiera gustado que se hubiera hecho en el momento oportuno, que era después de la lista official/ノス・ウビエラ・グスタードー・ケ・セ・ウビエラ・エッチョー・エン・エル・モメントー・オポルトゥーノ、ケ・エラ・デスプエス・デ・ラ・リスタ・オフィシアル(もっと適正な時期にやった方が良かった。招集リスト発表の後にね)」と言っていたように5月24日以降すぐ、もしくは31日に合宿を開始した直後に打てなかったんだという不満も代表関係者にはあるんですが、何せ、最初のタイミングではまだEL決勝(ビジャレアルのパウ・トーレスとジェラール・モレノ、マンチェスター・ユナイテッドのデ・ヘア)やCL決勝(ロドリを加えたマンチェスター・シティ勢、チェルシーのアスピリクエタ)を控えていた選手が多かったですしね。それこそ副反応が怖くて、接種などできなかったはずですが、となれば、初戦の3日前というのもあまりお勧めできなくない?

先週、クルセフスキ(ユベントス)、スバンベリ(ボローニャ)と2人のコロナ陽性を出した最初の対戦相手、スウェーデンがワクチン接種をしなかったのもその辺に理由がありそうですが、実は金曜には朗報も。というのも月曜に強制帰宅させられていたディエゴ・ジョレンテが、当人も「No era alguien que hubiera estado en contacto estrecho con Busquets/ノー・エラ・アルギエン・ケ・ウビエラ・エスタードー・エン・コンタクトー・エストレッチョー・コン・ブスケツ(自分はブスケツと濃厚接触していた訳じゃないのに)」と不思議がっていた通り、3日連続、PCR陰性となり、疑陽性だったことが判明。金曜には晴れて、再合流を許されたのは良かったかと。

まあ、それは夕方だったため、午前中のワクチン接種会には間に合わず、彼1人だけ打ってないんですけどね。金曜のランチでGKウナイ・シモン(アスレティック)の24才のバースデーを祝ったームメートたちからも、その映像を見た限り、合宿所でオープンテラスでの個食徹底というのは本当だったか、新たな陽性者は出ていません。そして、セルヒオ・ラモス(マドリー)が招集されなかった今回、メンバー中、最多の114試合出場でキャプテンとなったブスケツをチームの支柱と見なすルイス・エンリケ監督が初戦には間に合わずとも、2試合目までには陰性になって復帰してくれることに賭けたため、市内のホテルから、5日間、ラス・ロサスに練習に通っていたヘルプメンバー計17人は誰も本招集されることなく、土曜には解散。まあ、実際は試合当日までコロナによる選手交代は可能とはいえ、いつまでも無償奉仕はさせてはおけないってことでしょうか。

そんなスペイン代表は土曜夕方には副反応が出る選手もいなかったか、とうとうチーム練習を再開。久々だったため、セッションは2時間も続いたそうですが、月曜午後9時(日本時間翌午前4時)の試合まで、皆で動きを合わせる機会はあと、日曜1回しかありませんからね。セビージャへは前日移動となり、試合後はまたラス・ロサスに戻って来るんですが、ワクチン接種は終わったとはいえ、感染可能性はある訳ですから、道中、気をつけるに越したことはいかと。

とりあえず、ユーロ自体は金曜にスタディオ・オリンピコ・ディ・ローマ(ローマのホーム)での開会式の後、トルコvsイタリア戦(0-3)で始まっているんですが、土曜はウェールズvsスイス戦(1-1)がバクー(アゼルバイジャン)、途中、エリクセン(インテル)が意識を失って倒れたため、中断があったデンマークvsフィンランド戦(0-1)がコペンハーゲン、ベルギーvsロシア戦(3-0)がサンクトペテルブルク(ロシア)と場所がバラバラのせいですかね。大勢の観客が入ったスタンドは新鮮だったものの、まだスペイン国内でユーロの盛り上がりはない感じです。

え、代表もいいけど、日曜には1部昇格プレーオフの1stレグもあるんだろうって?いやあ、その通りで、それもラージョが準決勝で弟分仲間のレガネスを下したため、来季のマドリッド1部4チーム体制復活を懸けて、ジローナをまずはエスタディオ・バジェカスに迎えるんですよ。ただねえ、今度は時間の余裕があったため、システムエラーもなく、1時間半で25ユーロ(約3500円)のチケット1500枚を完売できた彼らだったんですが、その後になって、予期せぬ逆境が発生。というのも2019-20シーズンのアルバセテ戦で起きたウクライナ人選手ゾズリャをナチよばわりした野次への処分が協議委員会から通達され、主犯と見なされたブカネーロス(ラージョのウルトラ)が陣取っていたfondo sur(フォンド・スール/ゴール裏南側席)をこのジローナ戦では閉鎖しないといけないことになったから。

それはちょっと、スタジアムはバックスタンドが改装中で使えないだけに、前回のレガネス戦1stレグに増して、正面スタンドの密を生み出すんじゃないかと心配なんですが、チームの方ではプレーオフ準決勝で負傷したベベとサベリイッチが回復。W杯予選でペルー代表に招集されていたアドビンクラもコパ・アメリカには参加しないことになったため、戻って来ているんですが、正GKのディミトリエフスキの参加しているマケドニア代表のユーロ・グループリーグは21日まで続くため、この2試合もジダン監督の次男、ルカが守護神を務めることになります。

一方のジローナは準決勝でアルメリアを総合スコア3-0で破り、今度はエースのストゥアーニもケガが治って出場できるよう。選手の70%が代わっているとはいえ、昨季もプレーオフ決勝でエルチェに負けたフランシスコ監督もリベンジを誓っているはずですしね。日曜午後9時からの対戦は、果たしてどちらがアドバンテージを得られるのでしょうか。ちなみに決勝2ndレグは19日の土曜なんですが、バッチリ、スペインのグループ第2戦ポーランド戦と重なるのはともかく、昇格が決まっても場所はモンティリビ(ジローナのホーム)。2011年の昇格時にエスタディオ・バジェカスで私が目撃した、ピッチにファンが溢れかえるという光景だけは絶対ありえないのは、こんなコロナ流行の折りですし、いいことかもしれませんね。

【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している

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FWが沢山いたってゴールが入らなきゃ…/原ゆみこのマドリッド

「だからって、今更交換する訳にもいかないしねえ」そんな風に私が溜息をついていたのは日曜日、エスタディオ・バジェカスのプレスルームで会った顔見知りのイギリス人記者から、「グリーズマンじゃなくて、ファルカオをアトレティコは獲るべきだったな」と言われた時のことでした。いやあ、若さに目がくらんでしまうのは世の常で、要はサッカー界も同じなんですけどね。どちらもシメオネ監督の下で一世を風靡したストライカーとはいえ、今季、ラージョに入団したファルカオ(ガラタサライとの契約を解除)は35才。 3年ぶりにアトレティコに戻って来たグリーズマン(バルサからレンタル移籍)は30才となれば、何せ、昨季のリーガ優勝に大きく貢献したエースのルイス・スアレスも34才ですからね。前線コンビがあまりに熟年すぎるのもどうかとシメオネ監督が思っても当然なんですが、まさか、リーガ10試合も終わらないうちから、こうまで選択を誤った感が沸々と沸いてくるとは。いえ、シーズンはまだ序盤ですから、彼らが2位から4位に転落して、首位のお隣さんとの勝ち点差が3に開いてしまったぐらいで動じることはありませんよ。それよりショックだったのは7節終了後、すぐ下の5位にいるのが、まさにその弟分ラージョで、しかも勝ち点差が1しかないという現実だったんですが…。 とりあえず、どうしてそんなことになったのか、先週末のリーガ戦を振り返っていくことにすると。土曜午後2時のランチタイムにマドリッド勢の先陣を切ったアトレティコだったんですが、メンディソローサでのアラベス戦ではまたしても眠ったままピッチに出るという、タイトルを獲得できるようになる前のダメダメ時代から連綿と続く、しかも原因不明、よって解決策もない悪癖が発現。そう、前半4分、CKの守備でフェリペとサビッチが反応できず、ラガルディアにヘッドで先制点を奪われているんですから、もうこれは呪われているとしか言いようがない? それでもこのところはリードされながら、お隣さんばりに土壇場のremontada(レモンターダ/逆転劇)で勝てた試合もあったため、私も希望は失っていなかったんですが、もしかして、シメオネ監督も一気呵成の交代策を過信しすぎていた?ええ、ほとんどチャンスもないまま、後半が始まると、13分にはトリッピアー、カラスコ、コンドグビアをコレア、クーニャ、ロディに、更に2分も置かないうちにエルモーソをエレーラに、その3分後にもマルコス・ジョレンテをベルサイコにと、あれよあれよという間に5人の枠を使い切ったんですが、気づきました?先発したルイス・スアレスとグリーズマンはそのままで、コレアとクーニャが加わって、残り30分のアトレティコは何と、FW4人体制だったんですよ。 とはいえ、船頭多くして船山に上るとはまさにこのことで、いえ、ここまで1つも勝ち点がないアラベスが大人数で自陣近くに密集して守っていたせいもあるんですけどね。スルーパスを通せる選手がいないアトレティコはボールを持ってもなかなかゴール前まで行けず、惜しかったチャンスもせいぜい、後半23分にコレアのシュートがGKパチェコに弾かれたぐらい。CKも8回程あったんですが、とにかく今季はセットプレーが攻守共に最低で、うーん、シメオネ監督も「No creo que sea por el sistema. Puede ser de concentración/ノー・クレオ・ケ・セサ・ポル・エル・システマ。プエデ・セル・デ・コンセントラシオン(システムの問題だとは思わない。集中力のせいかも)」と言っていたんですけどね。 マハダオンダ(マドリッド郊外)の練習場でセッションが公開されるのはいつも冒頭15分だけなので、確かなことは言えないものの、もっとセットプレーの鍛錬に時間を割けばいいのにと思ってしまう程、私もイライラさせられたんですが、結局、最後はGKオブラクの参加したFK攻撃も実らず、アトレティコは1-0で敗戦。その彼も「Tenemos que salir desde el primer segundo a mostrar que queremos ganar/テネモス・ケ・サリール・デスデ・エル・プリメール・セグンド・ア・モストラル・ケ・ケレモス・ガナール(1秒目から、勝ちたいという意志を示して、ピッチに出ないといけない)」と苦い顔で言っていたんですが、ホント、この悪癖、どうしたら直るんですかあ。 え、確かにこんなでは次のリーガ戦で日曜にレバンテに3-0と勝利、アンス・ファティの復帰もあって、息を吹き返したようなバルサを迎えるのも心配だけど、火曜午後9時(日本時間翌午前4時)に迫ったCLミラン戦の方がもっと不安じゃないかって?その通りで何せ、アトレティコはグループリーグ初戦でポルトとスコアレスドローでしたからね。相手もリバプールに3-2と負け、黒星発進しているため、勝ち点が必要なのは同じですが、イブラヒモビッチがまだ負傷中にも関わらず、週末にはスペツィアに1-2で勝って、セリエA2位と今季も好調みたいなんですよ。その上、会場となるサン・シーロは2016年CL決勝でレアル・マドリーに2014年のリスボン決勝同様、あと一息でトロフィーをさらわれた悲劇のスタジアム。 シメオネ監督も当時のことを思い出したくなかったか、月曜はマドリッドで練習してから、ミラノに移動するぐらいだったんですが、朗報はアラベス戦をベンチ見学したコケに加え、レマルも遠征メンバーに入ったこと。ビトリア(スペイン北部、アラベスのホームタウン)まで同行しながら、結局、TAD(スポーツ行政法廷)の一時停止処分が下りず、スタンド観戦となったジョアン・フェリックスも今度は出られますしね。欠けているのは4試合の出場停止処分2試合目となるサビッチだけですが、アトレティコのカンテラーノ(ユース出身選手)だったテオ・エルナンデスやお隣さんからレンタル移籍しているブライムもいるミランとの一戦、果たして勝つことはできるんでしょうか。 そして土曜の夜はサンティゴ・ベルナベウに向かった私でしたが、並行して改装工事もやっているとあって、まだキャパの30%ぐらいしか、観客は入れてないものの、もうソシオ(協賛会員)でなくてもチケットがオフィシャルサイトで買えるんですね。周辺にはスペイン語以外の言葉を話している観光客っぽいファンも大勢いて、かなりコロナ前の状態に近くなっていたんですが、セルタ戦、マジョルカ戦のようなgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を期待していた向きには残念な結果に。いえ、前節にはハットトリックで一躍脚光を浴びたアセンシオもトップ下で先発リピートしたんですけね。ただ、この日はベンゼマ、ビニシウスにあまり冴えが見られず、逆に本職でないバルベルデが右SBで入ったサイドから突破を許し、GKクルトワがダンジュマのシュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)で凌ぐことも。 おまけにマドリーが、「Era difícil quitarles el balón. Hemos fallado demasiados pases. A veces pasa/エラ・ディフィシル・キタールレス・エル・バロン。エモス・ファジャードー・デマシアドス・パセス。ア・ベセス・パサ(相手からボールを奪うのが難しかった。ウチはパスを失敗しすぎていたしね。時々、そういうことはあるよ)」(クルトワ)という状態だったせいで、ボールを長く持っていたビジャレアルが、いやあ、彼らはワンダ・メトロポリターノに来た時もそうだったんですけどね。最初から、ゆとりモードのサッカーを展開していたため、GKルリがゴールキックに手間取る度、スタンドからpito(ピト/ブーイング)が飛んでくることに。 ちなみに彼の日はロスタイムにサウール(現チェルシー)のロングパスをマンディがオウンゴールにしてくれて、アトレティコが土壇場で2-2に追いつき、私など、時間稼ぎまくりだったルリにバチが当たったと思ったものですが、この日は違いました。ええ、後半37分にイスコが至近距離からヘッドしたボールも見事に防がれ、そのまま試合は0-0で終わったんですが、エースのジェラール・モレノをケガで欠いているビジャレアルにしてみれば、美味しい勝ち点1だった?マドリーにしたって、アンチェロッティ監督も「No es un paso atrás, es un paso adelante porque seguimos líderes/ノー・エス・ウン・パソ・アトラス、エス・ウン・パソ・アデランテ・ポルケ・セギモス・リデレス(これは一歩後退ではなく前進だ。ウチは首位のままなんだから)」と言っていたように、アトレティコに代わって2位に浮上したレアル・ソシエダとも勝ち点差1ありますからね。 何より羨ましいのはこの火曜9時から、マドリーがCL2節でホームに迎えるのは初出場の新興チーム、モルドバのシェリフだということで、大体がして、2週間前の1節ではインテルに0-1と勝利と、スペイン勢5チーム中、唯一、白星をゲットした彼らですからね。となれば、2014年に待望のDecima(デシマ/CL10回目の優勝)をもたらしてくれたアンチェロッティ監督が、「tenemos más costumbre que otros en ganarla, tenemos una pequeña ventaja/テネモス・マス・コストクンブレ・ケ・オトロス・エン・ガナールラ、テネモス・ウナ・ペケーニャ・ベンタハ(他よりウチはCL優勝に慣れているから、小さなアドバンテージがある)」と楽観的なのも当然だった? まあ、その後、2016、2017、2018年と3連覇したジダン監督の下、昨季のグループリーグではシャフタールに2敗、そのシャフタールを1節で2-0と破ったシェリフだけに決して油断はできないんですけどね。世間からは、今度はアザールが先発、もしかしたらベンゼマもヨビッチに代えて温存するかもといったローテーション案件の試合に見られているようですし、恥骨炎がようやく治って、ベンチ入りしたクロースが足慣らしをするにも丁度良さそうですが、どうなることやら。何はともあれ、リーガに続いて、いよいよCLがベルナベウに戻って来るのはファンにとって、嬉しいことではあります。 そして翌日曜はラージョvsカディス戦を見に行った私だったんですが、ここ2試合、途中出場でゴールを挙げていたファルカオがとうとう先発したんですよ。その効果は覿面で、いえ、ホームではグランダ戦4-0、ヘタフェ戦3-0とゴールづいていた彼らだったんですけどね。この日もデジャブのように、前半9分にはトレホがエリア内右奥から入れたラストパスから、ファルカオのシュートはGKレデスマに弾かれたものの、跳ねたボールをアルバロ・ガルシアが押し込んで先制。このリードは22分にFKから、ジョンソンが頭で送ったボールをハロヤンに決められて、長続きしなかったんですが、43分には真打が登場します! もちろんそれはファルカオで、バリウのアシストをゴール前から流し込み、ラージョの勝ち越し点をゲット。ちょっともう、これで出場3試合3得点って、このペースで行ったら、あと31試合、34ゴールでピチチ(リーガ得点王)ゲットは間違いなし?体力温存のためか、後半19分にはエヌテカと交代していましたが、それでも終盤には惜しいヘッドを2度程、弾かれていたイシがとうとう、エリア外からのシュートを決めて、イラオラ監督のチームは3-1で快勝。ついに5位まで上がったとなれば、加入から5試合出場でゴールやアシストどころか、枠内シュートすら、1回もないグリーズマンとファルカオが比較されてしまうのも仕方なかったんですが…。 その脇で幸せなラージョとは真逆で、もうどうしたらいいのか、わからないぐらいの苦境に陥っている弟分がいるんですよ。それはヘタフェで、私もほっておけない気持ちがあって、バジェカから戻った足で近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に直行。ベティス戦の後半を見ていたんですが、すでに前半14分には4人で周りを囲みながら、フェキルからのパスをウィリアム・ホセに撃たれ、先制点を挙げられていてはねえ。ハーフタイム間際にはマクシモビッチが負傷で交代と、その日も不幸の種は尽きない彼らでしたが、まさか後半10分にはゴール前でクリアしたボールが味方に当たり、落ちた先にいたウィリアム・ホセに2点目も決められてしまうとは大殺界もここに極まれり。 実際、攻撃の方はエネス・ウナルのシュートも枠ギリギリで外れてしまうし、負傷から復帰組第1弾となったサンドロもGKクラウディオ・ブラボに弾かれ、一番のチャンスがフロレンティーノのミドルシュートが枠に当たったぐらいとなれば、今季はELとの両立を考えて編成されたペレグリーニ監督のチームに追いつくなんて夢のまた夢かと。そのまま2-0で済んだだけでも儲けものだったぐらいですが、3連敗ぐらいならまだ笑顔でいられたミチェル監督も7連敗ともなると、さすがに進退が危うくなってきましたからね。ただ、言い訳にはならないんですが、シーズン序盤のヘタフェにはバレンシア、セビージャ、バルサ、ラージョ、アトレティコ、ベティスと上位チームとばかり当たるというクジ運の悪さも。それだけにエルチェ戦で負けてしまったのが悔やんでも悔やみきれないかと。 次節、日曜も現在2位のレアル・ソシエダと当たるとなると、情けない兄貴分のせいで20チーム中、唯一、勝ち点0という汚名をヘタフェが返上するのは、10月の各国代表戦明けのレバンテ戦までお預けということになるかもしれませんが、まったく。土曜のオサスナ戦をウキウキして待っているラージョとは天と地の差ですが、実は最下位のドツボにはまっているのは2部の弟分、アルコルコンも同じ。嬉しいことに出足最悪だった柴崎岳選手のいるレガネスは最近、持ち直して、14位まで上昇、ペドロ・レオンの加入でパワーアップしたフエンラブラダは月曜に岡崎慎司選手のいるカルタヘナにも2-1で勝ち、9位とまずまずなんですが、とにかく今は不調のマドリッド勢2チームがいい方向に向かってくれることを祈るばかりです。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2021.09.28 21:00 Tue
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ゴールに年齢は関係ない…/原ゆみこのマドリッド

「過密日程にしてはまだマシな方よね」そんな風に私が頷いていたのは金曜日、ミッドウィーク開催の6節が終わったかと思いきや、すぐに7節が始まるのに備えて、週末の日程表を見直していた時のことでした。いやあ、前日はカディスと0-0で引き分けた後、バルサのピケが試合間隔が短すぎると、延々と文句を言っていたのを聞いて、思わず、マドリッド勢の予定もチェックしてみたんですけどね。来週はCLグループリーグ2節が火曜にあるため、兄貴分2チームが土曜にプレーしないといけないのは当然ですが、火曜にプレーしたアトレティコは中3日。水曜にプレーしたレアル・マドリーは中2日となりますが、こちらはマジョルカ戦でたっぷりローテーションしましたからね。 翻って、弟分2チームの方はどちらも日曜開催で、早く今季初勝ち点をゲットしないといけないヘタフェも、1部では20年ぶりとなる好発進を遂げたラージョも中4日。しっかり間が空いているだけでなく、前者の相手ベティス、後者の相手カディスは共に木曜プレー組で中2日となれば、かなりラッキーだったと言えますが、どうにもミチェル監督のチームはまだ復帰できそうな選手がいなくてねえ。ラージョとの弟分ダービーで脚を折ったかと思われていたヤンクトはネンザで済んだそうですが、アランバリ、ビトロ、サンドロらの肉離れ勢が治る前に10月の各国代表戦週間が来てしまいそうというのはホント、辛いところじゃないでしょうか。 え、ヘタフェをますます崖っぷちに追い詰めたのはアトレティコだったんじゃないのかって?いや、実際、その通りで、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでの兄弟分ダービーでは私もどっちを応援したらよいものやら、踏ん切りがつかなかったんですけどね。最初はいいスタートを切りながら、「luego faltó intensidad, velocidad, circulación para lastimar al rival/ルエゴ・ファルトー・インテンシダッド、ベロシダッド、シルクラシオン・パラ・ラスティマール・アル・リバル(その後、プレーの強度、スピード、相手にダメージを与えるボール回しに欠けていた)」(シメオネ監督)昨季王者はハーフタイム入り直前、まさかの先制点を奪われてしまうことに。 ええ、珍しくGKオブラクがボールを掴み損ね、逃してしまったところ、マクシモビッチが右から入れたクロスをミトロビッチにヘッドで撃たれ、ゴールポストに当たって入ってしまったから、驚いたの何のって。もちろん、それにはここ10年程、ヘタフェはアトレティコにただ白星がないだけでなく、通算対戦スコアが34-0と、得点すらできていなかったという理由もあったんですけどね。1点ビハインドで後半に入り、ここ3試合連続ドロー中のシメオネ監督が恒例のテコ入れを行ったのは17分。まずはトリッピアーとロディの両SBを下げ、デ・パウルとエルモーソを入れたんですが、ルイス・スアレスのヘッドもゴールバーに弾かれてしまったため、これは懐事情の厳しい弟分に、さして裕福でもない我が身を顧みず、彼らがそのまま勝ち点3を心優しく差し出してしまう恐れもなんて考え、単なる私の杞憂にすぎませんって。 転機が訪れたのは28分、アレニャがクーニャに後ろからタックルしたプレーを一旦、主審は流したものの、シメオネ監督の執拗な抗議も効いたか、VAR(ビデオ審判)の注進でモニターチェックすることに。すると、スパイクがふくらはぎに当たっていたのがわかり、アレニャにレッドカードが出されたんですが、まあ、「人目を引くプレーだが、alguien que ha jugado al futbol sabe que no hay intención de hacer daño/アルギエン・ケ・ア・フガードー・アル・フトボル・サベ・ケ・ノー・アイ・インテンシオン・デ・アセール・ダーニョ(サッカーをしたことのある者なら、ケガさせる意図はないのがわかるはず)」というミチェル監督の言い分も理解できますけどね。 敵が1人、少なくなったおかげでスペースを見つけやすくなったか、33分にはエルモーソのスルーパスをスアレスが決めて、アトレティコは同点に。更に45分にも前節のアスレティック戦では、もう年で走れないと散々叩かれていたエースが本領発揮。ベルサイコの上げたクロスをゴール前、ミトロビッチの背後でジャンプするまでもなく、頭で決勝ゴールを挙げたとなれば、いやあ、シメオネ監督も「Cualquiera hubiera quitado a Suárez y Suárez hizo goles/クアルキエラ・ウビエラ・キタードー・ア・スアレス・イ・スアレス・イソ・ゴーレス(誰もがスアレスを代えていたところだろうが、そのスアレスがゴールを決めた)」と交代策の正しさを自画自賛していましたけどね。昨季21得点でチームを優勝に導いてくれた34才を決して侮ってはいけません。 まあ、「試合開始時に何が影響するのか、no sabemos si es actitud y preparación/ノー・サベモス・シー・エス・アクティトゥッド・イ・プレパラシオン(自分たちの態度や準備のせいなのかはわからない)」とエルモーソも言っていたように、眠ったままピッチに出るというお家芸が時々、出てしまう欠点はいまだに直ってないようですけどね。とりあえず、スアレスもエンジンがかかってきたことですし、あとは今の協調的なプレースタイルに進化したアトレティコにグリーズマンが適応してくれれば、土曜午後2時(日本時間午後9時)からのアラベス戦でも難なく勝って、少なくとも同じ0ポイントで最下位を争っている弟分の援護射撃はできるかと。 ちなみに金曜に私が見学に行ったマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場ではレマルの姿こそ、見えなかったものの、コンドグビアはもうチームに合流。最初の10分程、コーチとマンツーマンで調整をしていたコケも遅れて加わり、ビトリア(スペイン北部、アラベスのホームタウン)遠征の招集リストに入っています。アスレティック戦での退場で受けた出場停止処分の2試合目となるジョアン・フェリックスも上訴委員会には減刑を認められなかったものの、クラブが処分一時停止措置を求めてTAD(スポーツ行政法廷)に訴えているため、万が一に備えて同行していますが、今季の前線レギュラー争いは例年になく熾烈ですからね。足首が完全に治った彼もそろそろ、本気でアピールしないとマズかもしれません。 その一方で日曜夜、ベニト・ビジャマリンでオサスナに1-3と快勝したばかりのベティスに挑むヘタフェには幸運を祈るばかりですが、火曜の兄弟分ダービーの後には4チーム目のマドリッド勢、ラージョがサン・マメスでアスレティックと対戦。まだ私がコリセウムにいるうちから、前半5分、アルバロ・ガルシアがvaselina(バセリーナ/ループシュート)でGKウナイ・シモンを破り、早くも先制という報が入り、それはメトロに乗っていた33分、敵のCKをシスがオウンゴールにして、帳消しになっていましたが、後半途中からでも見た甲斐は十分ありました。というのも、ドシャ降りの雨が弱まった後半31分、ウナイ・ロペスと交代でファルカオがピッチに入ったから。規定時間内にはあまり動きがなかったものの、6分間与えられたロスタイムの最後のFKに彼が完璧なタイミングで頭を合わせ、まさか土壇場で勝ち越しゴールを奪ってしまうとは、35才になってもTigre(ティグレ/虎、ファルカオの愛称)の本能はまったく衰えていない? それもエリア近くでアスレティックのファールを誘ったのも彼自身なら、FKをベベが蹴る前、どこを狙うべきか細かく指示しているんですから、見上げたゴールへの執念と言えますが、これで1-2の勝利をもぎ取ったラージョはEL出場権のもらえる6位まで上昇。イラオラ監督が「前節、ヘタフェに勝ったウチより、相手はアトレティコ戦で消耗していた」と言っていたのは何ですが、デビューから2試合で2得点と、ファルカオの加入がラージョファンの夢を掻き立てているのは事実かと。木曜にはまた、この日曜にエスタディオ・バジェカスでプレーするカディス戦のチケットを求めるファンの長い列ができていましたが…ただ、これって、チケットのオンライン販売システムに再度の不具合が出ているせいなのかもしれないんですよね。 そして翌水曜は今季2回目のサンティアゴ・ベルナベウ観戦をした私でしたが、最近のマドリーはベテランが多いですからね。この日のアンチェロッティ監督はモドリッチ、カセミロ、アザールをベンチに置くローテーションを敢行。システムも4-2-3-1にして、中盤は初先発の18才カマビンガと23才のバルベルデという若いコンビになったんですが、それがどうとか言う前に、DFに負傷者が多発しているマジョルカで先発CBに抜擢されたカンテラーノ(Bチームの選手)、ガヤが自陣エリア近くで痛恨のミスを犯してしまったんですよ。ええ、足を滑らせてボールを失ったところ、駆けつけて来た絶好調、33才ベンゼマに先制点を決められてしまってはもう、お手上げです。 続いてマドリーは24分にも、ロドリゴのシュートはGKレイナに弾かれたものの、この日、トップ下として起用されたアセンシオが2点目をゲット。実はこの直後、マジョルカのキックオフからのプレーでイ・ガンインにゴールを決められてしまったんですが、それも4分もしないうちにベンゼマのアシストを受けて、アセンシオが追加点を挙げてくれたため、問題はなかったかと。いやあ、実はこの試合にはマドリーからマジョルカにレンタル移籍をしている久保建英選手も先発、所属元と6回目の対戦となったんですけどね。前半途中から、ヒザを気にする仕草をしていた彼は3-1で入ったハーフタイムで交代。翌日にはマドリッド泊のホテルに入る際、松葉杖をついていたとの報もあり、当人も自身のインスタで10月の日本代表戦にも間に合わない負傷で離脱することを告げていたのは、ちょっと気の毒な結末になりましたね。 そして後半もマドリーのgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)は続き、いえ、3分にベンゼマが入れたゴールはVARで直前にファールがあったことが発覚して、スコアボードには上がらなかったんですけどね。10分には再びアセンシオを決めて、ここまで出番が少なかった鬱憤を晴らすかのようにハットトリックを達成。そして33分にはベンゼマが自身2点目、39分にもビニシウスのラストパスをイスコが押し込んで、ベルナベウ復帰試合だったセルタ戦の5-2を上回る6-1で大勝となれば、午後10時キックオフという、最近では十分肌寒い時間に応援に駆けつけたファンも大満足して、家路を辿れたに違いありませんって。 え、これだけ活躍できるんだったら、どうしてアンチェロッティ監督はアセンシオをもっと使ってこなかったんだって?まあ、今はベイルがリハビリ中とはいえ、マドリーも前線にはロドリゴ、アザール、ルーカス・バスケスなど、オプションがイロイロありますからね。「Lo puede hacer muy bien ahí, en esa posición entre líneas/ロ・プエデ・アセール・ムイ・ビエン・アイー、エン・エサ・ポシシオン・エントレ・リネアス(ライン間のあのポジション、そこがとてもうまくやれる場所)」(アンチェロッティ監督)という、当人が得意とするトップ下もシステムによっては存在しない場合もあって、大体がして、それがスペインA代表にルイス・エンリケ監督が最近呼んでくれない理由だったりするかもしれないんですが、まあ、それはそれ。 この土曜午後9時(日本時間翌午前4時)もマドリーはホームにエースのジェラール・モレノをケガで欠きながら、エルチェ戦では4-1と大勝したビジャレアルを迎えるんですが、ベンゼマとビニシウスのコンビは現在不動らしいため、アセンシオが先発リピートできるかは微妙なところかと。ちなみに金曜のバルデベバス(バラハス空港の近く)でのセッションには恥骨炎のリハビリのため、ずっと休んでいたクロースが普通に加わっていたんですが、夜に発表された招集リストにはまだ入らず。他、ベイル、メンディ、マルセロ、セバージョスと負傷休場選手は同じで、再びアンチェロッティ監督はミゲール・グティエレスやブランコら、カンテラーノ(RMカスティージャの選手)を当てにすることに。 いやあ、それにしてもリーガ、たったの7試合を消化しただけでもう21ゴールというのは、マドリーでも30年以上ぶりのハイペースなんだそうですけどね。別にまだ9得点しか挙げていないアトレティコも勝ち点差2での2番手をキープしていますから、最後は効率の問題とはいえ、このままいくと、久々に100得点以上という、マドリーのゴール祭りシーズンが戻ってきたりするんでしょうか。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2021.09.25 19:00 Sat
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ゴールの入るチームが強いのは当たり前…/原ゆみこのマドリッド

「これじゃ態勢を立て直す時間もありゃしない」そんな風に私が嘆いていたのは月曜日、週末のリーガ戦が終わったばかりなのにもう、試合前記者会見にシメオネ監督とミチェル監督が出ているのに気がついた時のことでした。いやあ、近年はヨーロッパの大会常連となっているアトレティコにしてみれば、週2試合ペースなど、いつものことなんですけどね。翻って、ELに数回出場経験のあるだけのヘタフェは今季、リーガだけのノーマルな日常を送っているんですが、逆にそういうチームが辛くなるのが、1週間にリーガ3試合という、ミッドウィーク開催週。 とりわけ、先週末にはアルメリアに0-4と負け、1勝5敗の最下位となった2部の弟分、アルコルコンのアンテケーラ監督が早くも解任されたりもしていますしね。まだ白星が1つもないヘタフェにとっては、ただでさえ、苦手な兄弟分ダービーにそれこそ、背水の陣で挑まないといけないというのは気の毒なんですが、実を言うと、今は昨季王者もあんまり威張れる状態でないのが悩みの種なんですよ。 どうしてそうなったのか、とりあえず、先週末の試合の様子からお話しすることにすると、まずは土曜の午後2時、私はエスタディオ・バジェカスへ。この弟分ダービーでは、早々にアレニャの直接FKがゴールポストに当たるなど、4連敗のヘタフェがやる気を見せていたんですが、やっぱり彼らは大殺界真っ只中なんですかねえ。「Todo lo que pasa lo hace en contra de nosotros/トードー・ロ・ケ・パサ・ロ・アセ・エン・コントラ・デ・ノソトロス(起きることは全て、ウチに悪い目が出る)」とミッチェル監督も嘆いていたように、7分には振り返りVAR(ビデオ審判)判定が入り、エヌテカがエリア内で倒れているのをスルーしてプレーが続いていたのが、遅ればせながら、元凶がジェネのファールだったことが発覚。 ラージョにPKが与えられ、トレホが先制ゴールを決めたんですが、ヘタフェの不運はまだ続きます。ええ、13分には今季加入して、チームの希望の光となっていたチェコ代表のヤンクト(サンプドリアから移籍)がジャンプした際に足を痛め、担架退場となってしまうんですから、本当にツイていない。急遽、ビトロが入って、前半は1-0のままで凌いだんですが、どうにもゴールを決められるようには見えなくてねえ。後半8分、FKから入ったサベリッチのゴールがオフサイドで追加点を免れたのも束の間、とうとう25分には歓喜にスタンドが沸く中、ファルカがピッチへ。これにはヘタフェの選手たちも威圧されてしまったか、32分にはCKから、カテナ、シスにヘッドを繋がれ、2点目を取られているんですから、もう万事休すだったかと。 でもどんな状況でもゴールを追い求めるのが、Tigre(ティグレ/虎、ファルカオの愛称)の生まれ持っての本能なんです。いやあ、実は午後4時15分からのワンダ・メトロポリターノでのアトレティコvsアスレティック戦に行くため、途中、主審の無線機器が何度も不調となり、進行が遅れていたせいもあり、15分も残して、私が席を立つことになったのもタイミングが悪かったんですけどね。1階のスタンドまで下りたところで場内から大歓声。シスのスルーパスから、ファルカオがラージョ初ゴールを決めるシーンを見逃して、ファンが狂喜乱舞しているのを後ろから眺めているしかなったんですから、もう悔しいっちゃありませんって。 そして試合の残りはタクシーの中、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の中継を聞いていたんですが、マイナス運気にドップリはまったヘタフェはせっかく、41分にはマシアスがバリウスに倒されて、ペナルティをゲットしながら、エネス・ウナルがPKをGKデミトリエフスキに止められてしまう始末。15分という超ロングロスタイムも空しく、3-0で5連敗となったのも何ですが、得点もまだバルサ戦でサンドロが挙げたゴールしかなく、その彼も負傷で離脱中なんですよ。ミチェル監督によると、ハムストリングスを肉離れしたアランバリを始め、ビトロもラージョ戦でふくらはぎを肉離れ、カバコはアキレス腱を痛め、マクシモビッチとオリベイラも火曜のアトレティコ戦出場は当日まで様子見とかなると、もうヘタフェはチーム全員でお祓いにでも行った方がいい? そしてキックオフギリギリで間に合ったワンダの試合の方はどうだったかというと、うーん、開始早々にはマルコス・ジョレンテの切り込みから、グリーズマンのシュートというチャンスもあったものの、CLポルト戦から続く低調な流れにほとんど変化は見られず。この日のシメオネ監督はまた趣向を変えて、前線にはコレアとグリーズマンを置き、ルイス・スアレスとカラスコがベンチスタートとなるローテーションをしたのも影響あったか、前半は0-0のまま、ハーフタイムに入ります。後半9分には最近、恒例となっている3人一気替え、グリーズマン、コンドグビア、ロディをルイス・スアレス、カラスコ、エレーラにしたんですが、まさか、その5分後、コレアに代わって入ったジョアン・フェリックスが事件を起こしてくれるとは! いやあ、スタンドの上の方から見ていたため、私も最初は敵にユニを引っ張られていたジョアンがどうしてイエローカードをもらうのか、わからなかったんですけどね。どうやら主審は相手を振り払う際、ジョアンの腕がベンセドールの顔に当たったことを重視。それで警告を受けたのはともかく、その後がいけません。いくら怒っていても審判に「estás loco/エスタス・ロコ(あんた気違いか)」なんて、しかもスタンドにいる3万9000人の観客のせいで聞こえないことを心配したか、念を入れて自分の頭を指さしてまで言っては、即座に2枚目のカードを突きつけられ、退場処分になってしまっても仕方なかったかも。 結局、最後はクーニャも入れて、自慢のFW陣全員を使いながら、得点に一番近かったのはジョレンテのエリア外からのシュートがポストに当たったぐらい。逆にウィリアムスとビジャリブレが揃って、フリーのシュートを外してくれていなければ、アスレティックに負けかねなかったアトレティコなんですが、何とか試合は0-0で終了です。これでポルト戦から連続スコアレスドロー、代表戦期間前のビジャレアル戦を入れれば、ホームで3連続引き分けという体たらくなんですが、ゴール日照りの時期は毎シーズン、必ずありますからね。なるたけ早く、アタッカーたちにツキが巡ってくるよう、祈るしかないとはいえ、この試合だけでも6枚、5試合で20枚というリーガでダントツ、イエローカードゲット王の称号だけはどうにかならないものかと。 まあ、シメオネ監督も「Si el gesto se lo hace otro probablemente no le expulse/シー・エル・ヘストー・セ・ロ・アセ・オトロ・プロバブレメンテ・ノー・レ・エクスプルセ(他のチームがやった仕草だったら、おそらく退場はなかっただろう)」と嫌味を言っていたように、この日の主審だったヒル・マンサーノ審判とは元々、相性も良くないんですけどね。それでも彼らのイエローカードはラフプレーではなく、半分は抗議によるものとなれば、1試合か2試合の出場停止処分が火曜のヘタフェ戦前に決まるジョアンも含めて、チーム全員で反省してもらわないと。 え、まだ5節終わったところだから、累積警告の心配はさすがにしなくてもいいだろうけど、アトレティコもだんだん、ケガ人が増えてきたんじゃないかって?その通りで、ポルト戦でケガをしたコケとレマルはまだ戻らず、その代理を務めたコンドグビアもアスレティック戦で負傷。3人揃って、火曜午後7時30分(日本時間翌午前2時30分)からのヘタフェ戦を自宅でTV観戦することになったんですが、そのうちの誰かは土曜のアラベス戦前に回復してくれないとマズいことに。何せ、来週火曜にはCL2節目のミラン戦もありますし、その週末はバルサをワンダに迎えないといけませんからね。その頃までにはゴール力も取り戻して、せっかくスタンドで応援できるようになったファンを喜ばせて欲しいものです。 一方、勝ち点1ゲットで結構、満足していたようなアスレティックにこの火曜、午後10時からサン・マメスで挑むのがラージョなんですが、やはりこのクラスのチームには中2日の試合は辛いようで、主軸のトレホが筋肉痛で出場が微妙なよう。それでも期待してしまうのは、イラオラ監督がファルカオのコンディションが整い、今度は先発も可能と言ってくれたせいで、何せ、彼のゴールへの執念は2012年のEL決勝で対戦した当人だけでなく、その2ゴールなどでアトレティコに負けたアスレティック勢に知れ渡っていますからね。月曜にバルサがグラナダと1-1と分けたせいで、10位に落ちてしまったものの、ここまで2勝1分け2敗のラージョには気持ち的な余裕もあるため、いい勝負ができるものと信じています。 一方、日曜の夜にメスタジャでプレーしたレアル・マドリーはどうだったのかというと元々、負傷禍に悩まされていたのはアンチェロッティ監督のチームだったんですが、試合が進むにつれ、拮抗していくことに。というのも試合直前にはガヤがハムストリングスのケガでベンチ外になっただけに飽き足らず、前半15分にはカルロス・ソレルが、22分にはコレイアも太ももを痛め、バレンシアの主力が次々と交代してしまったから。それでもボルダラス監督に率いられ、今季から体力を惜しむことなく、戦う集団となった相手はその程度の逆境には挫けず。それどころか、26分にふくらはぎを痛め、せっかくオサラバしたはずだった昨季の悪夢を再来させてしまったカルバハルと交代。右SBを務めていたルーカス・バスケスのミスを後半21分にしっかり利用しているんですから、侮れないじゃないですか。 ちなみにその主役となったのは、ボルダラス監督にヘタフェ時代のパフォーマンスを見込まれ、リクルートされた2人で、フルキエが右サイドから上げたクロスをルーカス・バスケスが頭でクリアすると、そのボールがウーゴ・ドゥロの正面に。少し前にはGKクルトワにシュートを弾かれていたヘタフェのカンテラーノ(Bチーム出身の選手)がワンバウンドしたところを蹴ったボールがネットに突き刺さり、バレンシアの先制点となったとなれば、もしかして、ミチェル監督も移籍最終日に彼をレンタルに出したことを後悔してる? ただ、ドゥロは昨季も「Por la repercusión que tiene el club, incluido su filial/ポル・ラ・レペルクシオン・ケ・ティエネ・エル・クルブ、インクルイードー・ス・フィリアル(クラブの持っている反響の大きさから。Bチームも含めてね)」という理由で、ラウール監督率いるRMカスティージャにレンタル移籍したちゃっかり者。しかも「パンデミックのせいで、マドリーは誰も補強しないと思ったし、シーズン中にはケガ人とか、イロイロあるから、トップチームに呼ばれるチャンスもあるかも」という当人の予想が見事に的中し、ジダン監督にCLアタランタ戦他、計3試合で使われたんですが、残念ながら、買取オプションは行使してもらえなかったため、バレンシア行きは渡りに船だったようですけどね。 とはいえ、そこはアンチェロッティ監督が即座に反応。それも驚いたことにカセミロ、モドリッチ、中盤の要2人をロドリゴとカマンビンガに代えたんですが、リードしたバレンシアが疲れたのもあって、守りに入ったのもマズかったですかね。おかげで一方的に攻められるようになり、何とか終盤まで耐えていたものの、41分にはとうとう、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)体質が爆発したんですよ。ええ、ロドリゴのパスをエリア内で受けたベンゼマがボールをビニシウスに出すと、今季は決定力をメキメキ向上させているブラジル人FWがシュート。これがフルキエの足に当たり、それまで好セーブを続けていたGKママルシェビリを破って、同点ゴールになるんですから、さすが本家本元。 それどころか、その2分後には絶好調の前線2人が役割を入れ替え、ビニシウスが上げたクロスにベンゼマがヘッドで勝ち越しゴールって、いえ、リプレーで見ると、使ったのは頭ではなく、肩だったようですけどね。これで1-2の逆転勝利となれば、アンチェロッティ監督が「No hemos ganado por la calidad, sino por el espíritu indomable del equipo/ノー・エモス・ガナードー・ポル・ラ・カリダッド、シノ・ポル・エル・エスピリトゥ・インドマブレ・デル・エキポ(ウチは質の高さで勝った訳ではない。チームの反骨精神のおかげだ)」と言っていたのも頷けるかと。いやあ、もうセルヒオ・ラモス(契約満了でPSGに移籍)もいないのに、こんな見事な終盤の逆転劇を見せられた日にはやっぱり、マドリーのDNAにはレモンターダ体質が刷り込まれているんだって、私も思うしかありませんって。 そんなマドリーはこの勝利で単独首位となり、水曜午後10時(日本時間翌午前6時)から、サンティアゴ・ベルナベウに久保建英選手のいる9位のマジョルカを迎えることになるんですが、何か、羨ましいですよねえ、ベンゼマだけでなく、ビニシウスまでがゴールづいて、2人で今季、チームの15得点中、11ゴールを挙げているなんて。とはいえ、負傷者状況の方はあまり変わらず、カルバハルはもちろん、クロース、マルセロ、メンディ、セバージョス、ベイルの復帰もまだ見込めない様子。先週のCLインテル戦で出番がなかったように、「昨季のケガがあるから、2試合連続で先発するのは難しいかもしれない」とアンチェロッティ監督が言っていたアザールもまたベンチに戻るかもしれませんが、ここしばらく、彼らの快進撃は続きそうな気がします。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2021.09.21 20:00 Tue
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サポーターが悩みの種になってはいけない…/原ゆみこのマドリッド

「初めて見るラージョのメガプレゼンなのに」そんな風に私が溜息をついていたのは木曜日、マドリッドの天候が回復したのに伴って、前日にはエスタディオ・バジェカスでファルカオの入団プレゼンが開かれることが決定。1時間ぐらい前に着いた時にはもう、入場を待つファンの列の終わりが見えない程になっていたのにはビックリしたものですけどね。それとは別にチケット売り場にも人垣ができていたのは、昨季の1部昇格プレーオフで有観客試合が始まって以来、クラブのシステムがトラブル続き。その日も午前9時から販売が始まった土曜のヘタフェ戦のチケットを買いたくても買えないファンがたむろっていたんだと後でわかりましたが、プレゼン用のステージが設けられたfondo(フォンド/ゴール裏)のスタンドにはおよそ2500人余りが駆けつけることに。 黄青赤の横縞国旗や代表のイエローユニを着ていたファンも多かったため、その半数近くはファルカオを母国の誇りと慕う、スペイン在住のコロンビア人だったと思うんですが、まさか、彼を紹介するためにプレサ会長が現れた途端、試合中でもお馴染みのカンティコ(節のついたシュプレヒコール)、「Presa, vete ya/プレサ、ベテ・ジャ(プレサ、もう出て行け)」の合唱が大声で始まるとは。入団前、アトレティコで一緒だったマリオ・スアレスと、「estuvimos hablando y me transmitió lo que es el club/エストゥビモス・アブランドー・イ・メ・トランスミティオ・ロ・ケ・エス・エル・クルブ(話をしていて、このクラブがどんななのか伝えてくれた)」というファルカオも会長がなかなかスピーチできないのに困惑していましたし、大体、彼が入団したことで、にわかラージョファンとなったコロンビア人たちまでが一緒になって歌っているって、どういうことなんでしょう。 これじゃ、コロナ禍が始まって以来、一切、ファンに開かれた入団プレゼンをしなくなってしまった兄貴分たちの向こうを張るように、ファルカオのサインしたボールを11個もスタンドのファンにプレゼント。ラージョにしては珍しい出血大サービスまでしていたのも空しくなりますが、どこにでも場をわきまえないファン、そして大勢に流されやすいファンはいますからねえ。折しも同日、マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に車で通勤してきたジョアン・フェリックスに、「Joao, lesiona a Griezmann, como el que no quiere la cosa/ジョアオ、レシオナ・ア・グリースマン、コモ・エル・ケ・ノー・キエレ・ラ・コーサ(ジョアン、グリーズマンをケガさせちまえ。こういうの、気に入らないんだからさ)」と言ったアトレティコファンがいたとか。 それには「Deberías tener más respeto por Griezmann/デベリアス・テネール・マス・レスペト・ポル・グリースマン(グリーズマンをもっとリスペクトすべきだよ)」と、良識ある言葉でジョアンは返していたんですが、まあ、水曜のワンダ・メトロポリターノで当人をpito(ピト/ブーイング)で迎えたのは決して少なくない人数。アトレティコ残留の意志をドキュメンタリーまで制作して示した後、1年後にはあっさりバルサに移籍したという経緯を踏まえれば、それも理解できるんですけどね。ただやっぱり変なファンもいて、試合前、一応、見ておこうと、ここ2年間はよくゴミが積まれたりしていたグリーズマンの100試合以上出場した選手プレートのところに行くと、やはりマスコミも同じこと、考えるんですね。 その周りには複数のTVカメラとレポーターが集まっていたため、キレいな状態でしたが、いきなりゲリラ的に出て来たファンがプレートの上にポチテをまき散らし、空き缶を投げていくって、うーん、これは単なるウケ狙い?といっても、CLポルト戦がキックオフすると、ブーイングはほとんど元お隣さんのペペに集中していましたし、後半途中からの出場となったグリーズマンが移籍前、カンプ・ノウでプレーしたヘタフェ戦の時のようにずっと、ピーピーされているということはなかったため、そんなに本人も気にすることはないはずですが…困ったのは試合の結果の方なんですよ。 そう、先週末のエスパニョール戦でルイス・スアレス、グリーズマン、コレアの3弾頭を並べた布陣があまり効率的でなかったのを反省したシメオネ監督は今回、FWをルイス・スアレス、ジョアン・フェリックスだけにして、後半ロスタイム10分にお手柄の勝ち越しゴールを挙げていたレマルを先発に。調子に乗っているその彼が前半36分、筋肉系の負傷で早くもデ・パウルと交代せざるを得なかったのがケチの付き始めだったかと。 過剰なほど、アグレッシブにボールを持った選手に詰めてくる相手に、「Tenemos que subir la velocidad en el juego, generar más intensidad en mitad de cancha hacia delante/テネモス・ケ・スビール・ラ・ベルシダッド・エン・エル・フエゴ、ヘネラル・マス・インテンシダッド・エン・ミタッド・デ・カンチャ・アシア・デランテ(プレーの速度を上げ、中盤から前線に向かって、もっとプレーの強度を高めないといけなかった)」(シメオネ監督)にも関わらず、それができなかったせいでしょうかね。前半のアトレティコはルイス・スアレスがエリア外のシュートとFKで敵ゴールに迫ったぐらいで終了。 後半10分にはエスパニョール戦の2匹目のドジョウを狙って、コケ、エルモーソ、ジョアン・フェリックスを一気にコレア、ロディ、グリーズマンに交代、システムも5人DF制から4人にしてみたんですが、あまり変化はありませんでしたねえ。それどころか、34分には呆気に取られるようなアクシデントが発生することに。ええ、ロディのバックパスをあれ?何でコンドグビアは見守っているだけなんだと思いきや、そこにタレミが突進。GKオブラクが体で防いだんですが、ボールは倒れ込んだポルトのFWに当たって、ゴールの内側へ。こんなポカで先制点を奪われてしまうなんて、また古き懐かしのマヌケなアトレティコに戻ってしまったのかと、私も頭を抱えていたところ…。 大丈夫、ここでVAR(ビデオ審判)が発動してくれたんですよ。ボールがたまたまタレミの手に当たっていたため、「Han pitado la mano, de un error nuestro casi nos marcan/アン・ピタード-・ラ・マノ、・デ・ウン・エロール・ヌエストロ・カシー・ノス・マルカン(ハンドを取ったんだ。ウチのミスのせいで点を入れられるところだったよ)」とオブラクもホッと胸を撫でおろすことに。そして0-0のまま、この日も7分という長いロスタイムが与えられたんですが、残念ながら、ここ2試合続いた奇跡はリピートできず。いやあ、ゴールにボールを持って向かったグリーズマンをエムベンバが倒し、レッドカードで退場した後のFKはゴール右前のいい位置だったんですけどね。ルイス・スアレスの蹴ったボールは惜しくもネット上部に落ちてしまったため、試合はスコアレスドローで終わってしまいましたっけ。 ちなみに後でデータを見てみると、ポルトはファールが21回もあって、イエローカードも6枚。アトレティコがファール14回でイエローカード3枚ですから、やっぱり向こうの方が乱暴だったんだと納得しましたが、「Una pena, siempre quieres ganar en tu casa. Con ese ambiente/ウナ・ペナ、シエンプレ・キレス・ガナール・エン・トゥ・カサ。コン・エサ・アンビエンテ(いつだって、ホームでは勝ちたいから残念だよ。あれだけのムードがあるんだから)」(コンドグビア)というのはともかく、彼らのいるグループBは強敵揃いですからね。28日(火)の2節にはその日、アンフィールドでリバプールに3-2と惜敗したミランにサン・シーロで立ち向かうとなれば、不安がこみあげてくるのは仕方ない? まあ、当面のアトレティコの課題は、土曜の午後4時15分(日本時間午後11時15分)から、再びワンダでのアスレティック戦ですけどね。相手はここまで2勝2分けの5位で、首位グループの彼らとは勝ち点差2があるんですが、金曜の夜にはレマルだけでなく、コケまでポルト戦で負傷していて、この試合に出られないというショックなニュースが。いや、別にキャプテンがいなくても中盤はコンドグビア、デ・パウル、エレーラで組めますから、穴が開くという程ではないものの、前線もまだ、ルイス・スアレスの横にどのFWを置けば、一番効率良く得点できるのか、結論が出ていませんからね。CL戦4試合出場停止のサビッチが戻り、トリッピアーも腹痛から回復したDF陣がしっかり守り、ここは最少得点差でも白星を挙げて、今度こそ、ファンを喜ばせてあげてほしいものです。 そしてアトレティコと平行して、水曜の夜にはそれこそサン・シーロでインテル相手に戦ったレアル・マドリーはどうだったかというと。いやあ、実はこちらもなかなか点が入らず、前半はGKクルトワがラウタロウやジェコのシュートparadon(パラドン/スーパーセーブ)で凌ぐなど、結構、危ないシーンもあったよう。それがカンテラーノ(RMカスティージャの選手)のミゲール・グティエレスにはCLの大舞台はまだ荷が重いということで、アンチェロッティ監督がナチョを左SBに、アラバをCBとして起用したせいかどうかは、ワンダにいて試合を見られなかった私には何とも言えないんですが、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の2元中継から、「Goool!」の絶叫が、マドリッド勢は揃ってスコアレスドロースタートかと思われた後半44分になって、聞こえてくるとは。 そう、この日はアザールをベンチに置いたマドリーは後半21分に先発したルーカス・バスケスをロドリゴに交代。更に35分にはモドリッチに代えて、カマビンガを投入したんですが、彼ら、若手選手たちがやってくれたんです。23才のバルベルデのパスを18才のカマビンガが受けると、ワンタッチでエリア内の20才へ。昨季のグループリーグの2試合に続き、インテル相手に自身3点目となるゴールをロドリゴが挙げて、0-1の勝利を引き寄せてくれたとなれば、当人が「Me encanta jugar y marcar goles en la Champions/メ・エンカンタ・フガール・イ・マルカル・ゴーレス・エン・ラ・チャンピオンズ(ボクはチャンピオンズでプレーして、ゴールを挙げるのが大好きだ)」と言っていたのも当然だったかと。 え、マドリーがCLグループリーグ白星スタートするのを見るのは久しぶりな気がするって?そうですね、2期目のジダン監督はCLスロースターターで、2019-20シーズンはPSGに、昨季はシャフタールに敗戦。途中で挽回して、決勝トーナメントには進出していますが、とにかく早めに勝ち点を貯めてしまえば、11月、12月に楽ができますからね。ちなみに彼らのグループリーグ2節は昨季、2試合共負けてしまったシャフタールをその日、2-0と破って波乱を起こした初出場のシェリフ(モルドバ)。無観客でエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)でプレーしていたのも今ではいい思い出、28日にはサンティアゴ・ベルナベウでファンの応援を受けて戦えますし、とりあえずは順風漫歩に見えなくはないとはいえ…。 やっぱり気になりますよね、今季も引き続き、マドリーが負傷者続出なのは。週末のリーガ戦、日曜午後9時(日本時間翌午前4時)から、2万9000人の観客が待ち受けるメスタジャでのバレンシア戦にはまだメンディもマルセロも戻れず。他にも恥骨炎のクロース、東京オリンピックで足首の靭帯を断裂したセバージョス、ハムストリングスを痛め、全治1、2カ月の離脱となったベイルらがいるため、当分は若いメンバーに頑張ってもらわないといけないんですが、相手のバレンシアも同じ3勝1分けの首位グループの一員ですからね。今週、ヨーロッパの大会をプレーしていないのも体力的に有利ですし、ここ2試合で7得点と決定力を上げているのも気になるんですが、今季から指揮するボルダラス監督はヘタフェ時代、マドリーとの兄弟分ダービー8試合で勝ち星なし。直近6試合は得点もしていないのは、果たして影響するのでしょうか。 そしてこの週末、ファルカのデビューが期待されるラージョvsヘタフェの弟分ダービーは土曜午後2時(日本時間午後9時)から始まるんですが、ええ、彼はガラタサライで今季をスタートして、9月のコロンビア代表戦にも出場。体調は完璧なため、イラオラ監督も「Lo vamos a meter en la convocatoria/ロ・バモス・ア・メテール・エン・ラ・コンボカトリア(招集リストに入れるつもりだ)」と言っていましたしね。2012年のヨーロッパリーグ決勝ではアスレティックのキャプテンとして出場し、これぞゴールの鬼と言わんばかりのファルカオの2得点などで、アトレティコに3-0で負けたイラオラ監督にしてみれば、無条件に信頼できるFWの加入には大感激している?同じく移籍最終日に加入したもう1人のFW、セルジ・グアルディオラ(バジャドリーからレンタル)も前節のレバンテ戦で土壇場に同点ゴールをゲットと、自信をつけているだけに、現在12位の彼らのことはあまり心配してないんですが、いやあ、ヘタフェの方がねえ。 というのも彼らは開幕から4連敗していて、まだ勝ち点1も獲得できておらず。アラベスも同じ0ポイントなんですが、あっちはビジャレアル戦が延期されて、1試合少ないんですよ。おかげで早くもミチェル監督解任説まで出てきた程で、更に中盤の要、アランバリがハムストリングスの肉離れで2、3週間離脱という悪いニュースも。また、前節のエルチェ戦のようなパスが2回と続かないサッカーを見せられてはたまらないんですが…ちなみにやはり苦境にある、お隣さん、柴崎岳選手がいる2部の弟分レガネスも土曜には今季初勝利を期してアモレビエタ戦。もう1つのお隣さん、アルコルコンなど、一足早く金曜にアルメリアに0-4と大敗し、2部の最下位2席をマドリッド勢が占めているのも何だか、先が思いやられます。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2021.09.18 21:00 Sat
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リーガ戦の盛り上がりをCLに繋げたい…/原ゆみこのマドリッド

「アウェイなのはレアル・マドリーだけなんだ」そんな風に私が当惑していたのは火曜日、リーガ4節が終わるやいなや、CLグループリーグ1節が始まっているのに気がついた時のことでした。いやあ、昨季はヨーロッパリーグでビジャレアルが優勝したため、スペインからはCLに5チームが参戦しているんですけどね。先陣を切るのはサンチェス・ピスファンにザルツブルクを午後6時45分に迎えるセビージャ、続いて9時から、カンプ・ノウでバルサvsバイエルン戦、ラ・セラミカでビジャレアルvsアタランタ戦が開催された後、マドリッド勢2チームは水曜にプレー。 同様にマドリーとアトレティコが同日開催となった昨季は全て無観客試合だったため、バル(スペインの喫茶店兼バー)のTVで2試合同時観戦という荒業も可能だったものの、今ではスタジアムの入場者数もマドリッドではキャパの60%までOKに。幸か不幸か、自分も見に行けるようになったため、近い席にいる記者がパソコンで他会場の試合を見ているのを期待するか、定番オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の二元中継を当てにするしかないのも悔しいですが、大体がして、何でこの2チームを一緒の日付にする必要があるんでしょう。 まあ、それはともかく、先に週末の両者のリーガ戦を振り返ることにすると、南米W杯予選からの帰還組に配慮して、1日遅れとなった日曜午後2時から、先にプレーしたのは今季、史上最強のチームになったと、巷で株が上がっているアトレティコ。ただねえ、それが諸刃の剣となったか、シメオネ監督も前日会見では、「Los nombres no hacen equipo sino los hombres/ロス・ノンブレス・ノー・アセン・エキポ・シノ・ロス・オンブレス(チームを成すのは名前ではなく、男たちだ)」と言っていたんですけどね。やっぱり、一流のFWが複数揃ったことが嬉しかったか、ルイス・スアレス、グリーズマン、コレアをエスパニョール戦のスタメンに並べてしまったんですよ。 それに合わせてシステムも5-2-3としたため、中盤で劣勢となり、ヒメネスに代わってフェリペが今季初出場したCB3人制にも戸惑いがあったんでしょうかね。初っ端から、GKオブラクがエンバルバのシュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)する破目になっていましたが、まさか、前半40分にはセットプレーの守備まで崩れ、CKに頭で合わせに行ったラウール・デ・トマスをマルコス・ジョレンテが抑えられず、暑さにボオッとしていたか、周りで余った選手たちが眺めている間にヘッドを決められてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。 でも大丈夫。1-0の劣勢でハーフタイムに入ったアトレティコは後半頭から、コレア、エルモーソ、トリッピアーを下げ、レマル、コンドグビア、ロディを一気に投入。これにはエスパニョールのビセンテ・モレノ監督も「アトレティコがハーフで3人も代え、システムまで変えるなんて珍しい」と驚いていたようですが、その通り、ここから彼らは4-3-3でプレーすることに。いやあ、間がいいことに、マルコス・ジョレンテはルイス・エンリケ監督のスペイン代表でみっちり、この陣形で右SBの修行をしてきたばかりですし、ロディもDF4人制だとまごつかずに左SBを務められますしね。中盤もコンドグビアで補強され、コケが楽になったのはともかく、何よりレマルが絶品だったんですよ。 そう、各国代表戦期間前のビジャレアル戦でも見違えるような働きぶりだった彼はグリーズマンと一緒にフランス代表に行っていたんですが、あちらでは「tuvo un problema digestivo, bajó 3-4 kilos/トゥボ・ウン・プロブレマ・ディヘスティボ、バホ・トレス・クアトロ・キロス(消化器系の問題があって、3、4キロ痩せた)」(シメオネ監督)そうで、2試合目、3試合目には出場せず。それで監督も翌週のCLまで、リザーブする意向だったようですが、後半8分にはジョレンテのクロスをvolea(ボレア/ボレーシュート)で決めてしまったから、ビックリしたの何のって。ただ、この時は2人の間にいたルイス・スアレスがオフサイドだったと、VAR(ビデオ審判)に暴かれてしまったため、残念ながら、同点にはならなかったんですけどね。 すると続いて14分、シメオネ監督は、代表戦前まで住んでいたバルセロナ(スペイン東部)だったからか、バルサ時代のパフォーマンスをリピートしてしまったグリーズマンをジョアン・フェリックスに、26分にはスアレスをクーニャにと豊かなゴール資源を惜しみなく投入。とはいえ、とうとう33分に決まった同点弾はロディから折り返しのパスを受け、エリア内で3人の敵DFに揉まれながら、やっとこ抜け出したカラスコが決めたんですけどね。一応、これで勝ち点1はゲットできたし、相性の悪いRCDEスタジアムだし、そのまま45分を迎えた時には私もそれなりに諦めはついていたんですが…。 何と、ロスタイムが10分もあったんですよ!それでも後でTV各局がVARチェック、選手交代、お水休憩、選手のケガによる中断シーンを集計したところ、実際はプレーしていない時間が12分とか、14分あったと検証していたため、少ない位だったんですけどね。その滅多にない超ロングロスタイムの最後の最後にレマルが本領を発揮。ええ、カラスコのtaconazo(タコナソ/ヒールキック)によるワンツーでエリア内に入った彼がシュートを撃ち、それがGKディエゴ・ロペスの手を弾いてネットに突き刺さるって、え、いつからアトレティコはお隣さんみたいな奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)体質になった? いえ、ビジャレアル戦のラストプレーではオウンゴールで引き分けるに留まったんですけどね。アトレティコに来て4シーズン目、とうとう「Es el jugador que fuimos a buscar al Mónaco/エス・エル・フガドール・ケ・フイモス・ア・ブスカル・アル・モナコ(ウチがモナコに探しに行った選手)」(シメオネ監督)に戻ったレマルのおかげで、1-2の貴重な勝利を掴めたとなれば、もう当分は彼をスタメンから外せないかと。これで首尾よく、リーガの首位グループ維持を果たしたアトレティコは意気揚々と、水曜午後9時(日本時間翌午前4時)から、ワンダ・メトロポリターノでCLポルト戦に挑むことに。すると、私が見学に行った前日スタジアム練習では、一旦は出て来ながら、トリッピアーがマスクをしたまま、すぐロッカールームに戻ってしまい、後で急性胃腸炎にかかっていたことが発覚。 まあ、右SBはジョレンテでもベルサイコでもいいんですが、何せ、このグループリーグ、他はミランとリバプールなので、とにかくポルト戦では必勝が求められますからね。相手は現在、リーグ戦3勝2分けの3位と、そこそこの調子なんですが、とにかくシメオネ監督には一刻も早く、効率良く得点できる前線の人選を考えてもらわないと。昨季のCL16強対決チェルシー戦で退場したサビッチが4試合出場停止になっているものの、丁度、マドリッドでは10人に8人がコロナワクチン2回接種完了となったため、年明けから稼働していたワンダの接種会場業務もこの月曜で終了。水曜にはリーガ戦より多い4万人程のファンが応援してくれますし、白星スタートを皆で喜べるといいですよね。 そして日曜の夜は560日ぶりにサンティアゴ・ベルナベウに試合観戦に行った私だったんですが、心配していたように改装工事用の重機の間を縫って入るということはなし。ここ数日ですっかり周りは片付けられ、いえ、下に穴を掘っているピッチ近くのスタンドこそ、シートで覆われていましたけどね。上を見上げると、将来、開閉式天井を支えることになる巨大な鉄筋パーツが渡されていて、そこは少々、鬱陶しかったものの、2万人の観客も混乱なく入場。キックオフ前には昨年3月、パンデミック初期にコロナで亡くなったマドリー元会長、ロレンソ・サンス氏の追悼式も行われ、その彼の下、獲得したトロフィーをカシージャス、グティ、モリエンテスら、当時の選手が持ってピッチに上がるという演出もあったんですが、セルタとの試合の方は波乱の幕開けに。 いやあ、「nos tenemos que adaptar otra vez con el público/ノス・テネモス・ケ・アダプタル・オトラ・ベス・コン・エル・プブリコ(ボクらは観客のいるのに適応しないといけない)」とベテランのベンゼマも言っていたぐらいですから、ベルナベウデビューとなるカンテラーノ(RMカスティージャの選手)のミゲール・グティエレスなど、上がってしまったんですかね。開始早々4分にはその彼のボールロストから、もちろん、ちゃんとカバーしてあげられなかったナチョとミリトンも悪いんですが、サンティ・ミナに先制ゴールを奪われてしまっては、応援する気満々で駆けつけたファンもどうリアクションしていいのやら。ただこの1点ビハインドは24分、バルベルデのラストパスをベンゼマが決めて、すぐないものになったんですが、今度は31分。 イアゴ・アスパスがボールを出した後、カセミロに倒されて地面に横たわっているのを一顧だにせず、エリア近くまで上がったマジョがチェルビにラストパス。彼がヒールで放ったシュートはゴールポストに当たったものの、その跳ね返りを正面至近距離から撃たれてはGKクルトワも成す術ありません。これはまた、最後は3-3で引分けたレバンテ戦みたいになるのかと、ファンたちも頭を抱えたか、1-2のスコアでハーフタイムを迎えたマドリーの選手たちへのpito(ピト/ブーイング)も聞こえたんですが、いやいや。何と気合を入れ直した後半には、「El equipo ha mostrado mucha calidad ofensiva/エル・エキポ・ア・モストラードー・ムーチャ・カリダッド・オフェンシバ(チームは攻撃面で大いなる質の高さを示した)」(アンチェロッティ監督)のですから、立派じゃないですか。 観客の待ち望んでいたgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が始まったのは再開早々の1分、バルベルデのクロスをベンゼマがヘッドで決めて同点にしたんですが、彼は9分にもセンター近くから、ビニシウスにスルーパスを供給。ドリブルでGKディトゥロに迫ったブラジル人FWが、「delante de la portería se está comportando de forma muy fría/デランテ・デ・ラ・ポルテリア・セ・エスタ・コンポルタンドー・デ・フォルマ・ムイ・フリア(ゴールを前にして、とても冷静に振る舞っている)」とアンチェロッティ監督も褒めていたように、入団3年目にしてとうとうモノにした能力を披露したんですよ。ええ、これまではほぼ失敗していた1対1で勝ち越し点をマークしてしまったとなれば、当人が身軽に柵を飛び越えて、スタンドのファンに揉みくちゃにされながら、祝っていても咎められない? そしてベルギー代表での復調ぶりを披露できなかったアザールが先日、入団したばかりの18才、カマビンガ(レンスから移籍)と代わった後の27分には、先週9日に36才のバースデーを迎えたモドリッチが発奮。敵DFを何人もかわして放ったシュートはGKに弾かれてしまったものの、こぼれたボールをその新人選手が押し込んで、いきなりマドリーでのデビュー戦を初ゴールで飾るとはホントに運がいい。といってもやはり、この日の主役はビニシウスとベンゼマで、42分には前者がデニス・スアレスに倒されてゲットしたPKを後者が決めて、ハットトリックを達成。クリスチアーノ・ロナウド(現マンチェスター・ユナイテッド)が去って以来、あまり聞くことのなかったスタジアムDJの「Hattrick de Benzema!/ハットトリック・デ・ベンゼマ」というアナウンスに歓喜したファンもきっと、少なくなかったに違いありませんって(最終結果5-2)。 まあ、このゴール力が発揮できれば、水曜午後9時からのCLインテル戦でも何せ、昨季も彼らとはグループリーグで対戦して2連勝していますからね。サン・シーロでも問題はないかと思いますが、困ってしまうのは、せっかくウェールズ代表戦でハットトリックを挙げながら、セルタ戦前日に右のハムストリングを負傷したベイルが全治1、2カ月とも言われる長期離脱になってしまったこと。加えて、試合当日にベンチ外になったメンディは痛みを再発、最後の数分間出場したマルセロもケガとまた、欠場者が増えてしまっているんですが、朗報はダビド・アラバとヨビッチの復帰でしょうか。コンテ監督から、シモーネ・インザーキ監督に代わり、ルカク(チェルシーに移籍)、アクラフ(同PSG)など、昨季のセリエA優勝を牽引した選手を失っているインテルとはいえ、あとはシャフタール(ウクライナ)とシェリフ(モルドバ)のグループですからね。勝つのが一番難しいのは、このゲームかもしれません。 そして月曜にはコリセウム・アルフォンソ・ペレスでのエルチェ戦に行った私だったんですが、うーん、まさか、あんなパニック状態のヘタフェを目撃することになるとは。エスクリバ監督のチームには兄貴分のアトレティコも1-0と辛勝でしたから、なかなか点が取れないことは覚悟していたものの、まずは前半にウルグアイ代表帰りのアランバリをケガで失ったのがケチのつき始め。それまでもほとんどシュートのない弟分だったものの、後半24分にルーカス・ペレスに先制点を奪われた後はもう、パスが2回と続かない状態に陥ってしまってはねえ。そのまま0-1で負けて、開幕4連敗ともなれば、ミチェル監督にスタンドからブーイングが飛んだのも仕方なかった? 何せ、次の試合を頑張ればいいと言いたくても、ヘタフェはこの土曜にはエスタディオ・バジェカスでラージョとの弟分ダービーですからね。相手は土曜の4節でレバンテに後半ロスタイムまで1-0で負けながら、土壇場でババのクロスを移籍最終日に入団したセルジ・グアルディオラ(バジャドリーからレンタル)が決め、勝ち点1をゲット。更に今週木曜、火曜から雨模様のマドリッドですから、晴れた場合限定でファルカオ(ガラタサライと契約解除して移籍)の入団プレゼンをスタジアムにファンを招いて開催するともなると、士気的にも分が悪いかも。かといって、その次も今度はホームにアトレティコを迎える兄弟分ダービーとなるヘタフェにはもう、決死の覚悟で立ち向かうしか、残された道はない? そうこうするうち、火曜のCLでは3チーム共、リーガ4節を延期してもらいながら、PKを3本も献上したセビージャは奇跡的にラキティッチのPKゴールのおかげで、ザルツブルクと1-1の引分け。ビジャレアルも終盤にダンジュマのゴールウで逆転しながら、最後は追いつかれてアタランタと2-2、そしてバルサはバイエルンにミュラーとレバンドフスキの2発で0-3の完敗と、今のところ、スペイン勢の白星はないんですが、となると、ますます水曜には、マドリッドの両雄が今季のCLで存在感を示さないといけませんね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2021.09.15 23:05 Wed
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