最終節まで一喜一憂の試合は続く…/原ゆみこのマドリッド
2021.05.18 20:30 Tue
「やっぱり不公平よね」そんな風に私が怒っていたのは月曜日、37節全試合同時開催リーガの結果をチェックしていた時のことでした。というのもコロナ感染者が少ない州だけに許された特権で今季、初めて観客を入れたメスタジャでバレンシアがエイバルに4-1、ラ・セラミカではビジャレアルがセビージャに4-0と大勝。その一方でまだ、無観客試合を続けないといけないマドリッドでは、キックオフ1時間前に大勢のファンがそれぞれ、コリセウム・アルフォンソ・ペレス、ワンダ・メトロポリターノの外縁に集結し、チームバスを力一杯、お出迎えすることしかできなかったから。
それでもとりわけ、ワンダでは先日のレアル・ソシエダ戦を越える数のファンが隣接する駐車場に留まり、スタジアムの中まで届く声量で応援を続けてくれたため、アトレティコも最後の最後まで頑張れたんですけどね。ただ、この日曜はいきなり気温が上がって夏日になったため、ビール持参のグループも多く、これだったら、着席は数シート置き、FFP2マスクの着用、飲食喫煙禁止を課した場内観戦の方がずっと安全な気もしますが、こればっかりはねえ。
最終節となる今週末もリーガ1部ではバライドスのセルタvsベティス戦、シュタット・デ・バレンシアのレバンテvsカディス戦、マルティネス・バレロのエルチェvsアスレティック戦の3試合が収容人数の25%まで、5000人以下の観客を迎えられるんですが、バレンシアに負けて、降格1番手となったエイバルなど、言うまでもなし。あと2席ある2部落ちの運命を避けようと3チームで争っているウエスカ、バジャヤドリーなどは、エルチェだけがスタンドからファンに応援してもらえるのをズルいと思っているかもしれませんね。
まあ、その辺のことはともかく、この日曜の試合がどうだったか、お伝えしていかないと。もちろん、私はワンダに行ったんですが、これがもう、前半のアトレティコはオサスナにシュートを浴びせまくり。ただ、困ったことにルイス・スアレスが絶好機にポストに当ててしまったのを筆頭にコレア、サウール、カラスコと皆、枠を外したり、GKエレーラに弾かれたりと、ゴールにならないんですよ。そうこうするうち、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の3元実況中継からは早くも前半13分、ククレジャのラストパスをアレニャが決めて、ヘタフェがレバンテから先制点を奪ったという朗報が。でも喜んだのも束の間で、アンヘルがケガでマタに代わった後、30分にはメレロに同点弾を入れられてしまうことに。
え、要はサン・マメスでのアスレティック戦、レアル・マドリーからの音沙汰はオドリオソラのパスがモンカジョラの腕にエリア内で当たりながら、ハンドでのペナルティにならなかったぐらいで、ワンダ共々0-0、ヘタフェも1-1で、マドリッド勢は揃って引き分け状態でハーフタイムに入ったんだろうって?その通りで、ついでに言うと、メッシのゴールで先制したバルサもサンティ・ミナのゴールで追いつかれ、セルタと1-1と、皆が同じ結果なら、順位も変わらないため、その頃までは私も落ち着いた気分でいられたんですけどね。それがまさか、後半もFKからサビッチのゴール、そしてカラスコのゴールもオフサイドで認められず、それを真剣に悔やむ破目に陥るとは!
いやあ、もうマドリーが1点を取った直後から、首位転落していたアトレティコだったんですが、これでは完全に立場が逆転。最終節でお隣さんが勝ち点を落としてくれないと優勝できないという、他人頼みの境遇になってしまったんですが、失点の直後、丁度、気温が高い時にもらえるお水休憩が入ってくれたのが幸いしたんですかね。とりわけ、同じバルカン半島諸国出身で言葉が通じるサビッチ(モンテネグロ)がブドミル(クロアチア)とやり合って、イエローカードをもらっていたのも心配だったか、シメオネ監督は選手たちに「vamos a estar fuertes de la cabeza/バモス・ア・エスタル・フエルテス・デ・ラ・カベッサ(気をしっかり持っていこう)」と声掛け。
重ねて、「ウチのやらないといけないことはまず追いつくこと。そうすれば、勝利にも繋がるから」と鼓舞したところ、後でエルモーソも「Cuando el equipo encaja el primer gol, las cosas se tuercen, esta gente nos empuja/クアンドー・エル・エキポ・エンカハ・エル・プリメール・ゴル、ラス・コーサス・セ・トゥエルセン、エスタ・ヘンテ・ノス・エンプハ(チームが先制点を取られて、状況が悪くなった時には、ファンがボクらを後押ししてくれる)」と言っていたように、一際、音量の上がった応援にも力づけられたんでしょうか。37分には交代で入っていたジョアン・フェリックスが出したスルーパスをロディがエリア内に持ち込み、同点ゴールを挙げてしまったから、ビックリしたの何のって。
するとまるで、連動するように弟分にも幸運の女神が微笑んでくれたようで、39分にはヘタフェが途中出場した久保建英選手のゴールで、とうとう勝ち越し点を奪ったという嬉しいニュースが。いやあ、実は残留争いも後半にはエルチェがカディス戦で逆転、勝っていたため、引き分けでは不十分に。ええ、彼もアップ中に「nos dijeron que había que ir a por el gol/ノス・ディヘロン・ケ・アビア・ケ・イル・ア・ポル・エル・ゴル(ゴールを挙げないといけないと言われた)」そうなんですけどね。とりあえず、これでヘタフェが安全圏に入ったのは良かったんですが…。
アトレティコも同点じゃ、直接対決のゴールアベレージでお隣さんに負けて、2位のままなんですよ。どんどん残り時間も少なくなっていくし、私も固唾を飲んで戦況を見守っているしかなかったんですが、いよいよ、最後のアタッカーとしてビトロがピッチサイドで交代を待っていた43分、その奇跡は起きました。ええ、トリッピアーが送ったボールをカラスコがエリア内右側から、ゴール前にラストパス。これが信じられないことに何人ものオサスナDFの間を通り抜け、ルイス・スアレスのシュートが決まるって、いや、これ、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)体質のマドリーじゃなくて、ホントにアトレティコですかあ?
実際、この時の選手たちの喜びようは尋常ではなく、スタンドに座っていた控え選手たちまでがコーナーまで駆けつけて団子になっているような有様。でもシメオネ監督が派手な身振り手振りをしていたのはどうやら、リードしたことで、ビトロでなく、守備固めにコンドグビアを入れようとしたものの、お祝い集団に加わっていた当人がなかなか帰ってこなかったせいと後で判明。何とか、その場はゴールを挙げた勢いで、ユニフォームのシャツを脱いでしまったため、イエローカードをもらったスアレスと交代して収まったんですが、ロスタイムの5分があんなにも長く感じられたことはありませんでしたっけ。
最後はチミ・アビラのシュートをGKオブラクが止めてくれて、無事、試合は2-1の勝利で終了です。うーん、3月21日以来の得点で、今季20ゴールに達して特別ボーナスももらえることになったスアレスも「アトレティコが苦しむことが多いチームというのは皆に言われていたけど、no pensaba que tanto/ノー・ペンサバ・タントー(これ程だとは思わなかった)」と言っていましたが、まったくその通りなんですよね。折りしもこのオサスナ戦の前日会見で、「entramos en la zona Suárez/エスタモス・エン・ラ・ソーナ・スアレス(私たちはスアレスゾーンにいる)。彼のように逆境を打開できる選手にとって理想的な時期で、当人もそれに慣れている」とシメオネ監督はスアレスを絶賛。その言葉が的中してくれたのが何より、有難いことです。
これで再び、アトレティコはマドリーと勝ち点2差の首位に戻り、今週末の土曜午後6時(日本時間翌午前1時)にunificacion(ウニフィカシオン/統合)されたバジャドリー戦で勝てば、エスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)にビジャレアルを迎えるお隣さんの結果を気にせず、優勝できることに。すでにファンの間では、バジャドリー(マドリッドの北にある内陸都市)までは特急で1時間、車でも3時間弱と近いせいもあってか、ホセ・ソリージャの外で応援する企画が持ち上がっているといいますが、これも先日、スペインの警戒事態宣言が解けて、人々が自由に国内移動できるようになったおかげかと。
そうそう、実は33節で彼らがアスレティックに負け、後のない状態になった時、キャプテンのコケが送ったWhatsAppの会話がSNNで出回っているそうで、そこには「Vamos a ganar esta Liga, nadie cree en nosotros y es cuando mejor hacemos las cosas/バモス・ア・ガナール・エスタ・リーガ、ナディエ・クレエ・エン・ノソトロス・イ・エス・クアンドー・メホール・アセモス・ラス・コーサス(ボクらはこのリーガに勝つよ。誰も自分たちを信じてくれない時こそ、ウチは上手くやれるんだ)」と書いてあったらしいんですけどね。相手にはまだ僅かに残留の希望があるとはいえ、日曜にはレアル・ソシエダに4-1負けと力尽きているようでしたし、これまで10回リーガ優勝しているアトレティコは、うち9回が最終節での戴冠。ゲンもいいだけにちょっと、ここは期待してもいいかもしれません。
逆にアスレティックに0-1で勝ち、希望を繋いだマドリーでは何ですかねえ。先週金曜ぐらいから、来季はジダン監督が続投しない意志を選手たちに告げたという情報が飛び交い、試合後もその件に関する質問が多かったんですが、当人は「Es mentira/エス・メンティーラ(それは嘘)。今、自分たちは優勝を争っているというのに何でそんなことを言うはずがある」とキッパリ否定。ただ、相変わらず、シーズン終了後のことについては話してくれないため、今季限りというのは十分、ありそうです。
それだけでなく、現在、鋭意リハビリ中のレギュラーCBコンビ、6月いっぱいで契約の終わるセルヒオ・ラモスもまだ更新せず、あと1年あるバランも移籍を考えているといった具合で、この夏のマドリーはイロイロ人が動きそうな気配がなきにしろあらず。ただ、今、優先されるべきはビジャレアル戦なんですが、何せ、月曜にはコロナ感染者との濃厚接触で自宅隔離していたクロースの陽性が判明と、またしても逆境が発生していますからね。
しかも相手は一応、今はコンフェレンスリーグ(来季から始まるUEFA第3の大会)出場権をもらえる7位であるものの、5位レアル・ソシエダとは勝ち点差1、6位のベティスとは同じ勝ち点とあって、順位を上げる気満々。おまけに来週水曜にはマンチェスター・ユナイテッドとのEL決勝もあって、そこで勝てば、CL出場権が手に入るため、ウナイ・エメリ監督にしてみれば、この試合は保険のようなものでしょうが、決して侮れるチームではないかと。
そして土壇場で残留を勝ち取ったヘタフェは、今いる16位より下になる可能性はなく、上がれても15位、相手も10位のグラナダということで、統一時間帯から離れて日曜に最終節を迎えるんですが、本当に今季は苦労しましたよねえ。ボルダラス監督も「ウチはリーガで一番、得点数が少ないにも関わらず、残留に必要な勝ち点を溜めることができた」とようやく、肩の荷が下ろせたみたいでしたが、まあそういうシーズンもありますって。
来季はどこでプレーするかわからないとはいえ、一応、久保選手も最高の置き土産ができましたしね。ちなみに弟分チームたちについては、あとはヘタフェのお隣さん、柴崎岳選手のいる4位のレガネス、そして39節で6位に戻ったラージョが昇格プレーオフ出場権を手に入れて、来季はマドリッド1部4チーム体制が復活するかどうかといったところになるでしょうか。
それでもとりわけ、ワンダでは先日のレアル・ソシエダ戦を越える数のファンが隣接する駐車場に留まり、スタジアムの中まで届く声量で応援を続けてくれたため、アトレティコも最後の最後まで頑張れたんですけどね。ただ、この日曜はいきなり気温が上がって夏日になったため、ビール持参のグループも多く、これだったら、着席は数シート置き、FFP2マスクの着用、飲食喫煙禁止を課した場内観戦の方がずっと安全な気もしますが、こればっかりはねえ。
最終節となる今週末もリーガ1部ではバライドスのセルタvsベティス戦、シュタット・デ・バレンシアのレバンテvsカディス戦、マルティネス・バレロのエルチェvsアスレティック戦の3試合が収容人数の25%まで、5000人以下の観客を迎えられるんですが、バレンシアに負けて、降格1番手となったエイバルなど、言うまでもなし。あと2席ある2部落ちの運命を避けようと3チームで争っているウエスカ、バジャヤドリーなどは、エルチェだけがスタンドからファンに応援してもらえるのをズルいと思っているかもしれませんね。
え、要はサン・マメスでのアスレティック戦、レアル・マドリーからの音沙汰はオドリオソラのパスがモンカジョラの腕にエリア内で当たりながら、ハンドでのペナルティにならなかったぐらいで、ワンダ共々0-0、ヘタフェも1-1で、マドリッド勢は揃って引き分け状態でハーフタイムに入ったんだろうって?その通りで、ついでに言うと、メッシのゴールで先制したバルサもサンティ・ミナのゴールで追いつかれ、セルタと1-1と、皆が同じ結果なら、順位も変わらないため、その頃までは私も落ち着いた気分でいられたんですけどね。それがまさか、後半もFKからサビッチのゴール、そしてカラスコのゴールもオフサイドで認められず、それを真剣に悔やむ破目に陥るとは!
そう、23分、とうとうラジオから、マドリー番実況アナの「Gooool!Gol del Madrid!(マドリーのゴール)」の絶叫が飛び込んできたんですよ。どうやらCKから始まったプレーで、カセミロがゴール前に上げたクロスがナチョのヒザに当たり、ゴールに入ったようでしたが、悪いことは続くのがこの世の常。31分には何と、それまでほとんど守ってばかりだったオサスナの攻撃が実り、ルーベン・ガルシアのパスをブドミルがヘッドしたところ、GKオブラクがparadon(パラドン/スーパーセーブ)しながら、すでにボールはゴールラインを割っていたって、そんな不条理なことがあっていい?
いやあ、もうマドリーが1点を取った直後から、首位転落していたアトレティコだったんですが、これでは完全に立場が逆転。最終節でお隣さんが勝ち点を落としてくれないと優勝できないという、他人頼みの境遇になってしまったんですが、失点の直後、丁度、気温が高い時にもらえるお水休憩が入ってくれたのが幸いしたんですかね。とりわけ、同じバルカン半島諸国出身で言葉が通じるサビッチ(モンテネグロ)がブドミル(クロアチア)とやり合って、イエローカードをもらっていたのも心配だったか、シメオネ監督は選手たちに「vamos a estar fuertes de la cabeza/バモス・ア・エスタル・フエルテス・デ・ラ・カベッサ(気をしっかり持っていこう)」と声掛け。
重ねて、「ウチのやらないといけないことはまず追いつくこと。そうすれば、勝利にも繋がるから」と鼓舞したところ、後でエルモーソも「Cuando el equipo encaja el primer gol, las cosas se tuercen, esta gente nos empuja/クアンドー・エル・エキポ・エンカハ・エル・プリメール・ゴル、ラス・コーサス・セ・トゥエルセン、エスタ・ヘンテ・ノス・エンプハ(チームが先制点を取られて、状況が悪くなった時には、ファンがボクらを後押ししてくれる)」と言っていたように、一際、音量の上がった応援にも力づけられたんでしょうか。37分には交代で入っていたジョアン・フェリックスが出したスルーパスをロディがエリア内に持ち込み、同点ゴールを挙げてしまったから、ビックリしたの何のって。
するとまるで、連動するように弟分にも幸運の女神が微笑んでくれたようで、39分にはヘタフェが途中出場した久保建英選手のゴールで、とうとう勝ち越し点を奪ったという嬉しいニュースが。いやあ、実は残留争いも後半にはエルチェがカディス戦で逆転、勝っていたため、引き分けでは不十分に。ええ、彼もアップ中に「nos dijeron que había que ir a por el gol/ノス・ディヘロン・ケ・アビア・ケ・イル・ア・ポル・エル・ゴル(ゴールを挙げないといけないと言われた)」そうなんですけどね。とりあえず、これでヘタフェが安全圏に入ったのは良かったんですが…。
アトレティコも同点じゃ、直接対決のゴールアベレージでお隣さんに負けて、2位のままなんですよ。どんどん残り時間も少なくなっていくし、私も固唾を飲んで戦況を見守っているしかなかったんですが、いよいよ、最後のアタッカーとしてビトロがピッチサイドで交代を待っていた43分、その奇跡は起きました。ええ、トリッピアーが送ったボールをカラスコがエリア内右側から、ゴール前にラストパス。これが信じられないことに何人ものオサスナDFの間を通り抜け、ルイス・スアレスのシュートが決まるって、いや、これ、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)体質のマドリーじゃなくて、ホントにアトレティコですかあ?
実際、この時の選手たちの喜びようは尋常ではなく、スタンドに座っていた控え選手たちまでがコーナーまで駆けつけて団子になっているような有様。でもシメオネ監督が派手な身振り手振りをしていたのはどうやら、リードしたことで、ビトロでなく、守備固めにコンドグビアを入れようとしたものの、お祝い集団に加わっていた当人がなかなか帰ってこなかったせいと後で判明。何とか、その場はゴールを挙げた勢いで、ユニフォームのシャツを脱いでしまったため、イエローカードをもらったスアレスと交代して収まったんですが、ロスタイムの5分があんなにも長く感じられたことはありませんでしたっけ。
最後はチミ・アビラのシュートをGKオブラクが止めてくれて、無事、試合は2-1の勝利で終了です。うーん、3月21日以来の得点で、今季20ゴールに達して特別ボーナスももらえることになったスアレスも「アトレティコが苦しむことが多いチームというのは皆に言われていたけど、no pensaba que tanto/ノー・ペンサバ・タントー(これ程だとは思わなかった)」と言っていましたが、まったくその通りなんですよね。折りしもこのオサスナ戦の前日会見で、「entramos en la zona Suárez/エスタモス・エン・ラ・ソーナ・スアレス(私たちはスアレスゾーンにいる)。彼のように逆境を打開できる選手にとって理想的な時期で、当人もそれに慣れている」とシメオネ監督はスアレスを絶賛。その言葉が的中してくれたのが何より、有難いことです。
これで再び、アトレティコはマドリーと勝ち点2差の首位に戻り、今週末の土曜午後6時(日本時間翌午前1時)にunificacion(ウニフィカシオン/統合)されたバジャドリー戦で勝てば、エスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)にビジャレアルを迎えるお隣さんの結果を気にせず、優勝できることに。すでにファンの間では、バジャドリー(マドリッドの北にある内陸都市)までは特急で1時間、車でも3時間弱と近いせいもあってか、ホセ・ソリージャの外で応援する企画が持ち上がっているといいますが、これも先日、スペインの警戒事態宣言が解けて、人々が自由に国内移動できるようになったおかげかと。
そうそう、実は33節で彼らがアスレティックに負け、後のない状態になった時、キャプテンのコケが送ったWhatsAppの会話がSNNで出回っているそうで、そこには「Vamos a ganar esta Liga, nadie cree en nosotros y es cuando mejor hacemos las cosas/バモス・ア・ガナール・エスタ・リーガ、ナディエ・クレエ・エン・ノソトロス・イ・エス・クアンドー・メホール・アセモス・ラス・コーサス(ボクらはこのリーガに勝つよ。誰も自分たちを信じてくれない時こそ、ウチは上手くやれるんだ)」と書いてあったらしいんですけどね。相手にはまだ僅かに残留の希望があるとはいえ、日曜にはレアル・ソシエダに4-1負けと力尽きているようでしたし、これまで10回リーガ優勝しているアトレティコは、うち9回が最終節での戴冠。ゲンもいいだけにちょっと、ここは期待してもいいかもしれません。
逆にアスレティックに0-1で勝ち、希望を繋いだマドリーでは何ですかねえ。先週金曜ぐらいから、来季はジダン監督が続投しない意志を選手たちに告げたという情報が飛び交い、試合後もその件に関する質問が多かったんですが、当人は「Es mentira/エス・メンティーラ(それは嘘)。今、自分たちは優勝を争っているというのに何でそんなことを言うはずがある」とキッパリ否定。ただ、相変わらず、シーズン終了後のことについては話してくれないため、今季限りというのは十分、ありそうです。
それだけでなく、現在、鋭意リハビリ中のレギュラーCBコンビ、6月いっぱいで契約の終わるセルヒオ・ラモスもまだ更新せず、あと1年あるバランも移籍を考えているといった具合で、この夏のマドリーはイロイロ人が動きそうな気配がなきにしろあらず。ただ、今、優先されるべきはビジャレアル戦なんですが、何せ、月曜にはコロナ感染者との濃厚接触で自宅隔離していたクロースの陽性が判明と、またしても逆境が発生していますからね。
しかも相手は一応、今はコンフェレンスリーグ(来季から始まるUEFA第3の大会)出場権をもらえる7位であるものの、5位レアル・ソシエダとは勝ち点差1、6位のベティスとは同じ勝ち点とあって、順位を上げる気満々。おまけに来週水曜にはマンチェスター・ユナイテッドとのEL決勝もあって、そこで勝てば、CL出場権が手に入るため、ウナイ・エメリ監督にしてみれば、この試合は保険のようなものでしょうが、決して侮れるチームではないかと。
そして土壇場で残留を勝ち取ったヘタフェは、今いる16位より下になる可能性はなく、上がれても15位、相手も10位のグラナダということで、統一時間帯から離れて日曜に最終節を迎えるんですが、本当に今季は苦労しましたよねえ。ボルダラス監督も「ウチはリーガで一番、得点数が少ないにも関わらず、残留に必要な勝ち点を溜めることができた」とようやく、肩の荷が下ろせたみたいでしたが、まあそういうシーズンもありますって。
来季はどこでプレーするかわからないとはいえ、一応、久保選手も最高の置き土産ができましたしね。ちなみに弟分チームたちについては、あとはヘタフェのお隣さん、柴崎岳選手のいる4位のレガネス、そして39節で6位に戻ったラージョが昇格プレーオフ出場権を手に入れて、来季はマドリッド1部4チーム体制が復活するかどうかといったところになるでしょうか。
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