決着の日が迫っている…/原ゆみこのマドリッド
2021.05.15 22:30 Sat
「一気に終わってくれるのは楽なんだけど」そんな風に私が溜息をついていたのは金曜日、全てのカードが日曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)にunificacion(ウニフィカシオン/統合)された37節の対戦表を眺めていた時のことでした。いやあ、今季の前半にはよく、レアル・マドリーとアトレティコのCLグループリーグ試合日時が重なって、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で2台のTV前を行ったり来たりした日もなきにしろあらず。今回はもっとややこしいことに、アトレティコが勝利して、お隣さんが勝てなければ、優勝が決定するため、実はもう、その事態に備えて、ネプトゥーノ(アトレティコがいつも優勝を祝う広場)の路肩には人の流れを遮るための柵が準備されているんですけどね。
それがシベレス(マドリーが祝う広場)にはないのは別に昨季、ジダン監督のチームが1試合残して優勝を決めた後、さすが34回目ともなると、新型コロナ流行により、当時もお勧めされていなかった密を避けようと思ったか、ファンがほとんど集まらなかったからというより、この日曜にマドリーの優勝が決まることは絶対ないせい。その一方でアトレティコはこれまで10回しか、リーガ優勝していませんし、2014年以来のこととなれば、当局が用心するのもわかりますが、困るのは弟分のヘタフェの1部残留が決まっておらず、下位チームの対戦にも目を光らせていないといけないことなんですよ。となるとまた、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の3元中継を頼りに一喜一憂する破目になりそうですが…。
まあ、そんなことはともかく、何とも長かった、このミッドウィーク開催のリーガがどうだったか、お話ししていくことにすると。優勝戦線の先陣を切ったのは火曜にレバンテと対戦したバルサで、うーん、前半にメッシとペドリが決めて、2点リードという速報を見た時には、アトレティコが暫定2位に落ちることを覚悟したんですけどね。そこは1月末にはマドリーに1-2と勝ち、しつこく進退を訊かれたジダン監督を怒らせて、2月には延期されていたシーズン前半分と後半分の2連戦でアトレティコから勝ち点5を奪った大物喰いのレバンテ。気がつけば、後半15分にはメレロとモラレスのゴールで同点に追いつき、デンベレに勝ち越し点を挙げられても38分、セルヒオ・レオンが3-3に持ち込んでしまうとは見上げた心意気じゃないですか。
すでに残留を達成、かといってヨーロッパの大会に行ける位置にはなく、何の目標もないチームがそれだけのガッツを見せてくれたとなると、もうパコ・ロペス監督には拍手を贈るしかありませんが、そのレバンテがヘタフェの日曜の相手というのは心配なところ。というのも水曜にセルタ戦に挑んだ彼らは前半24分にノリトに奪われた1点が最後まで返せず、これで3試合連続最小得点差負けとなってしまったから。ボルダラス監督によると、「el resultado es totalmente injusto/エル・レスルタードー・エス・トタルメンテ・インフストー(完全に不公平な結果だ)。セルタには1度しかチャンスがなかった」そうですが、サッカーの正義はゴール。シュートが入らなければ、勝てませんって。
それでも36節はエルチェがアラベスに、バジャドリーもビジャレアルに0-2で負け、エイバルはベティスと1-1のドロー。下位で勝ったのはアスレティックを1-0と下したウエスカだけだったため、ヘタフェは16位となったものの、降格圏とは勝ち点3差あるんですけどね。コリセウム・アルフォンソ・ペレスでのレバンテ戦で勝つことができれば、下のチームの結果によっては残留が確定するものの、また負けて、最終節に全てを懸けることになったりすると…5年前の悲劇を再現しないよう、とにかく選手たちが最後の力を振り絞ってくれることを祈るばかりです。
まるでそれに応えるかのように試合の方もアトレティコはトップギアでスタートします。序盤からレアル・ソシエダを圧倒すると、前半16分にはCKから、グルリと回ったボールをマルコス・ジョレンテがエリア内にクロス。カラスコがGKレミロの股間を抜くシュートで決めて、先制点を奪っているのですから、手持ちのスマホで中継を見ている外のファンたちもどんなに盛り上がったことか。更に28分にも今度はルイス・スアレスのスルーパスをコレアが自己最多記録に並ぶ、今季8得点目をゲット。これでスコアが2-0となったため、ちょっと選手たちも気が緩んだんですかね。前日のバルサの例だってあるんですから、用心しないといけないのに、ハーフタイムまでにGKオブラクが2度もイサクのエリア内シュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)って、あんまりドッキリさせないでほしいものです。
ただ、現在5位でベティス、ビジャレアルとEL出場権争い中。とりあえず、7位でコンフェレンスリーグ(来季からUEFAが開催するヨーロッパ第3の大会)に回るのだけは避けたいぐらいの感じのレアル・ソシエダは、イマノル監督がシルバやル・ノルマン、ゴロサベルらを温存。日曜のバジャドリー戦に懸けることにしたか、後半頭にはイサク、時間が経つにつれ、モンレアル、オジャルサバルとレギュラーを下げてくれたため、楽になったはずだったんですけどね。なかなかスアレスのゴールが戻って来ないせいもあって、リードを広げられなかったアトレティコは終盤、たっぷり冷や汗をかくことに。
ええ、34分にポルトゥのシュートがゴールポストに弾かれた後、バウティスタはサビッチがブロック、そしてメレンケラスは枠を外すという、相手のトリプルチャンスで奇跡的に失点を免れた4分後、メレンケラスの蹴ったCKをクリアできず、スベルディアに撃ち込まれてしまうんですから、たまったもんじゃありません。そこから、ロスタイムの3分が終わるまで、外のファンたちも「Echare huevo/エチャレ・ウエボ(根性を出せ)」と歌って励ましていましたが、まったく。最後は2-1で無事終わったものの、ホントに「El sufrimiento fue innecesario/エル・スフリミエントー・フエ・インネセサリオ(必要のない苦しみだった)」(シメオネ監督)ですよ。
いえ、まあ、オンダ・マドリッドの元コーチの解説者によると、カンテラ(ユース)時代は何度もオーバーウェイトでチームをクビになりかけていたそうですが、何とか2009年のバルサ戦でトップチームデビュー。2011-12シーズン冬にはマラガへのレンタル移籍が決まりながら、就任したばかりのシメオネ監督の説得に応じて残留した甲斐あって、この日、アトレティコでとうとう500試合出場を達成したコケなど、「Somos el Atleti y si no sufurimos no seriamos nosotros/ソモス・エル・アトレティ・イ・シー・ノー・スフリモス・ノー・セリアモス・ノソトロス(ウチはアトレティで、もし苦しまなかったら、ボクらじゃない)」と達観していたんですけどね。
それも一理ありますが、日曜のオサスナ戦ではあまり心臓に悪くない試合を期待。幸い、こちらもワンダでの開催とあって、いやあ、クラブは残り2節は有観客試合になると踏んで、すでにチケット割り当ての手筈も整えていたんですが、結局、政府の許可が出たのはバレンシア、ガリシアなど、コロナ感染者が50人以下のフェーズ1にある州のみ。1部で言うと、今節はバレンシアvsエイバル戦、ビジャレアルvsセビージャ戦だけが、収容人数の30%、5000人まで入れられることになったんですが、マドリッドは対象外のため、またファンは外から、応援してくれるようですしね。残留決定後で気が楽になり、水曜には3-2とカディスに撃ち勝ったオサスナとはいえ、モチベーションで負けるアトレティコではないと私も信じています。
そして翌木曜、背水の陣でグラナダに挑んだお隣さんはどうだったかというと、いやあ、前日、普通に練習していたマルセロが招集リストに入らず、カンテラーノ(RMカスティージャの選手)のミゲールが左SBで、右SBも同マルビンを使うという、勇気ある布陣を敷いたジダン監督だったんですけどね。その両人が活躍して、前半17分にはミゲールの浮かせたラストパスをモドリッチが角度のないところから決めて、マドリーは先制。次は46分、今度はマルビンの奪ったボールをロドリゴがエリア内まで持ち込んで2点目のゴールを挙げ、0-2という、優勝争いのライバルたちとまったく同じスコアでハーフタイムに入ることに。
それでも3試合前にはバルサに勝っていたグラナダですから、油断はならないと思っていたところ、案の定、後半26分には交代出場のソロのパスから、コロンビア人のルイス・スアレスがシュート。これはGKクルトワに弾かれてしまったものの、いいところで待っていた、39才のホルヘ・モリーナがvolea(ボレア/ボレーシュート)で撃ち込んで、今季13得点目って、ホント、ヘタフェはどうして彼を移籍させてしまったんしょう。ただ、マドリーの反撃も早くて、その4分後にはアザールがエリア内右奥から送ったパスを後半、ケガをしたマルビンと代わっていたオドリオソラが決め、リードは再び2点に。
それから1分もしないうちには、GKルイ・シウバがマドリー陣内から飛んできたロングボールをクリアしようとエリアを飛び出し、ベンゼマに4点目を入れられてしまったんですが、グラナダのスアレスも本家同様、当たっていないのが幸いしましたかね。というか、3試合の出場停止処分中のソルダードがいれば、また展開も変わっていたんでしょうが、この日は1-4でマドリーが勝ち点3をゲット。お隣さんとの差を2に戻し、ジダン監督も「Hasta el último minuto lo vamos a dar todo/アスタ・エル・ウルティモ・ミヌート・ロ・バモス・ア・ダール・トードー(最後の1分まで全力を尽くす)」と言っていたように、リーガ優勝を諦めない決意を示していましたっけ。
まあ、それでも彼らは実際、「Tenemos que seguir presionando al Atleti/テネモス・ケ・セギモス・プレシオナンドー・アル・アトレティ(ボクらはアトレティコにプレッシャーをかけ続けないといけない)。ウチが近くにいれば、彼らはミスできないし、それがオサスナやバジャドリーに活路を与えるだろう」と、2014年にあちらで優勝した経験があるクルトワも認めていた通り、首位チームが勝ち点を落としてくれない限り、追い越せないんですけどね。おまけにこのロス・カルメネスでの試合は木曜24時近くに終わり、最寄りの空港がクローズ。グラナダ(スペイン南部)からマラガまで1時間半かけてバス移動しての帰京となったため、選手たちが家に着いたのが午前5時だったという凄いことに。
日曜もビルバオ(スペイン北部)のサン・マメスで行われるアウェイ戦とあって、マドリーにはほとんど休む暇もないんですが、こんな時に限って運も味方してくれないよう。ええ、グラナダ戦をスタンドで見ていたクロースが金曜にコロナ濃厚接触者となり、自身は陰性であるものの、強制隔離で遠征に加われないことが判明したんですよ。うーん、相変わらず、ケガ人の多いチームにはセルヒオ・ラモス、バランもまだ復帰できず、カルバハルとルーカス・バスケスはすでにシーズンが終わり、一時はユーロにも間に合わないと言われたメンディだけ、意表を突いて、バルデベバス(バラハス空港の近く)のグラウンドで練習を始めているんですけどね。
アスレティック戦には間に合わないため、またRMカスティージャに助っ人を頼まないといけないジダン監督なんですが、実はこの日曜はラウール監督のチームも2部昇格を懸けたプレーオフ準決勝でイビサと対戦。あまりいい顔はされないかと思いますが、やっぱり最優先はトップチームの優勝?ちなみにアスレティックは9位で残留は達成しているものの、ヨーロッパの大会出場には届かずと、まあ、アトレティコの当たるオサスナと似たり寄ったりですが、要注意はバルサが対戦するセルタ。8位の彼らだけ、もしかしたら、7位以上に躍進できる可能性があるため、ちょっと気を抜くと、今季はセビージャが3位に喰い込むなんてこともあるかもしれませんよ。
それがシベレス(マドリーが祝う広場)にはないのは別に昨季、ジダン監督のチームが1試合残して優勝を決めた後、さすが34回目ともなると、新型コロナ流行により、当時もお勧めされていなかった密を避けようと思ったか、ファンがほとんど集まらなかったからというより、この日曜にマドリーの優勝が決まることは絶対ないせい。その一方でアトレティコはこれまで10回しか、リーガ優勝していませんし、2014年以来のこととなれば、当局が用心するのもわかりますが、困るのは弟分のヘタフェの1部残留が決まっておらず、下位チームの対戦にも目を光らせていないといけないことなんですよ。となるとまた、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の3元中継を頼りに一喜一憂する破目になりそうですが…。
まあ、そんなことはともかく、何とも長かった、このミッドウィーク開催のリーガがどうだったか、お話ししていくことにすると。優勝戦線の先陣を切ったのは火曜にレバンテと対戦したバルサで、うーん、前半にメッシとペドリが決めて、2点リードという速報を見た時には、アトレティコが暫定2位に落ちることを覚悟したんですけどね。そこは1月末にはマドリーに1-2と勝ち、しつこく進退を訊かれたジダン監督を怒らせて、2月には延期されていたシーズン前半分と後半分の2連戦でアトレティコから勝ち点5を奪った大物喰いのレバンテ。気がつけば、後半15分にはメレロとモラレスのゴールで同点に追いつき、デンベレに勝ち越し点を挙げられても38分、セルヒオ・レオンが3-3に持ち込んでしまうとは見上げた心意気じゃないですか。
それでも36節はエルチェがアラベスに、バジャドリーもビジャレアルに0-2で負け、エイバルはベティスと1-1のドロー。下位で勝ったのはアスレティックを1-0と下したウエスカだけだったため、ヘタフェは16位となったものの、降格圏とは勝ち点3差あるんですけどね。コリセウム・アルフォンソ・ペレスでのレバンテ戦で勝つことができれば、下のチームの結果によっては残留が確定するものの、また負けて、最終節に全てを懸けることになったりすると…5年前の悲劇を再現しないよう、とにかく選手たちが最後の力を振り絞ってくれることを祈るばかりです。
え、この引き分けでバルサが優勝争いから一歩後退したため、私も水曜は幾らか、落ち着いた気分でワンダ・メトロポリターノに行くことができたんじゃないかって?そうですね、さすがに入場前に課されるコロナの抗原検査も3度目となると、度胸もついてきたんですが、リーガも大詰めとあって、この日はチームバスのお出迎えに駆けつけたファンもかなりの数に。それより凄かったのは、すでに私がスタジアム内でチームのアップを眺めていた頃、始まった場外応援で、100人以上のサポーターが、選手たちが1年以上、耳にすることができなかったカンティコ(応援歌)をずっと歌っているんですから、凄いじゃないですか。
まるでそれに応えるかのように試合の方もアトレティコはトップギアでスタートします。序盤からレアル・ソシエダを圧倒すると、前半16分にはCKから、グルリと回ったボールをマルコス・ジョレンテがエリア内にクロス。カラスコがGKレミロの股間を抜くシュートで決めて、先制点を奪っているのですから、手持ちのスマホで中継を見ている外のファンたちもどんなに盛り上がったことか。更に28分にも今度はルイス・スアレスのスルーパスをコレアが自己最多記録に並ぶ、今季8得点目をゲット。これでスコアが2-0となったため、ちょっと選手たちも気が緩んだんですかね。前日のバルサの例だってあるんですから、用心しないといけないのに、ハーフタイムまでにGKオブラクが2度もイサクのエリア内シュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)って、あんまりドッキリさせないでほしいものです。
ただ、現在5位でベティス、ビジャレアルとEL出場権争い中。とりあえず、7位でコンフェレンスリーグ(来季からUEFAが開催するヨーロッパ第3の大会)に回るのだけは避けたいぐらいの感じのレアル・ソシエダは、イマノル監督がシルバやル・ノルマン、ゴロサベルらを温存。日曜のバジャドリー戦に懸けることにしたか、後半頭にはイサク、時間が経つにつれ、モンレアル、オジャルサバルとレギュラーを下げてくれたため、楽になったはずだったんですけどね。なかなかスアレスのゴールが戻って来ないせいもあって、リードを広げられなかったアトレティコは終盤、たっぷり冷や汗をかくことに。
ええ、34分にポルトゥのシュートがゴールポストに弾かれた後、バウティスタはサビッチがブロック、そしてメレンケラスは枠を外すという、相手のトリプルチャンスで奇跡的に失点を免れた4分後、メレンケラスの蹴ったCKをクリアできず、スベルディアに撃ち込まれてしまうんですから、たまったもんじゃありません。そこから、ロスタイムの3分が終わるまで、外のファンたちも「Echare huevo/エチャレ・ウエボ(根性を出せ)」と歌って励ましていましたが、まったく。最後は2-1で無事終わったものの、ホントに「El sufrimiento fue innecesario/エル・スフリミエントー・フエ・インネセサリオ(必要のない苦しみだった)」(シメオネ監督)ですよ。
いえ、まあ、オンダ・マドリッドの元コーチの解説者によると、カンテラ(ユース)時代は何度もオーバーウェイトでチームをクビになりかけていたそうですが、何とか2009年のバルサ戦でトップチームデビュー。2011-12シーズン冬にはマラガへのレンタル移籍が決まりながら、就任したばかりのシメオネ監督の説得に応じて残留した甲斐あって、この日、アトレティコでとうとう500試合出場を達成したコケなど、「Somos el Atleti y si no sufurimos no seriamos nosotros/ソモス・エル・アトレティ・イ・シー・ノー・スフリモス・ノー・セリアモス・ノソトロス(ウチはアトレティで、もし苦しまなかったら、ボクらじゃない)」と達観していたんですけどね。
それも一理ありますが、日曜のオサスナ戦ではあまり心臓に悪くない試合を期待。幸い、こちらもワンダでの開催とあって、いやあ、クラブは残り2節は有観客試合になると踏んで、すでにチケット割り当ての手筈も整えていたんですが、結局、政府の許可が出たのはバレンシア、ガリシアなど、コロナ感染者が50人以下のフェーズ1にある州のみ。1部で言うと、今節はバレンシアvsエイバル戦、ビジャレアルvsセビージャ戦だけが、収容人数の30%、5000人まで入れられることになったんですが、マドリッドは対象外のため、またファンは外から、応援してくれるようですしね。残留決定後で気が楽になり、水曜には3-2とカディスに撃ち勝ったオサスナとはいえ、モチベーションで負けるアトレティコではないと私も信じています。
そして翌木曜、背水の陣でグラナダに挑んだお隣さんはどうだったかというと、いやあ、前日、普通に練習していたマルセロが招集リストに入らず、カンテラーノ(RMカスティージャの選手)のミゲールが左SBで、右SBも同マルビンを使うという、勇気ある布陣を敷いたジダン監督だったんですけどね。その両人が活躍して、前半17分にはミゲールの浮かせたラストパスをモドリッチが角度のないところから決めて、マドリーは先制。次は46分、今度はマルビンの奪ったボールをロドリゴがエリア内まで持ち込んで2点目のゴールを挙げ、0-2という、優勝争いのライバルたちとまったく同じスコアでハーフタイムに入ることに。
それでも3試合前にはバルサに勝っていたグラナダですから、油断はならないと思っていたところ、案の定、後半26分には交代出場のソロのパスから、コロンビア人のルイス・スアレスがシュート。これはGKクルトワに弾かれてしまったものの、いいところで待っていた、39才のホルヘ・モリーナがvolea(ボレア/ボレーシュート)で撃ち込んで、今季13得点目って、ホント、ヘタフェはどうして彼を移籍させてしまったんしょう。ただ、マドリーの反撃も早くて、その4分後にはアザールがエリア内右奥から送ったパスを後半、ケガをしたマルビンと代わっていたオドリオソラが決め、リードは再び2点に。
それから1分もしないうちには、GKルイ・シウバがマドリー陣内から飛んできたロングボールをクリアしようとエリアを飛び出し、ベンゼマに4点目を入れられてしまったんですが、グラナダのスアレスも本家同様、当たっていないのが幸いしましたかね。というか、3試合の出場停止処分中のソルダードがいれば、また展開も変わっていたんでしょうが、この日は1-4でマドリーが勝ち点3をゲット。お隣さんとの差を2に戻し、ジダン監督も「Hasta el último minuto lo vamos a dar todo/アスタ・エル・ウルティモ・ミヌート・ロ・バモス・ア・ダール・トードー(最後の1分まで全力を尽くす)」と言っていたように、リーガ優勝を諦めない決意を示していましたっけ。
まあ、それでも彼らは実際、「Tenemos que seguir presionando al Atleti/テネモス・ケ・セギモス・プレシオナンドー・アル・アトレティ(ボクらはアトレティコにプレッシャーをかけ続けないといけない)。ウチが近くにいれば、彼らはミスできないし、それがオサスナやバジャドリーに活路を与えるだろう」と、2014年にあちらで優勝した経験があるクルトワも認めていた通り、首位チームが勝ち点を落としてくれない限り、追い越せないんですけどね。おまけにこのロス・カルメネスでの試合は木曜24時近くに終わり、最寄りの空港がクローズ。グラナダ(スペイン南部)からマラガまで1時間半かけてバス移動しての帰京となったため、選手たちが家に着いたのが午前5時だったという凄いことに。
日曜もビルバオ(スペイン北部)のサン・マメスで行われるアウェイ戦とあって、マドリーにはほとんど休む暇もないんですが、こんな時に限って運も味方してくれないよう。ええ、グラナダ戦をスタンドで見ていたクロースが金曜にコロナ濃厚接触者となり、自身は陰性であるものの、強制隔離で遠征に加われないことが判明したんですよ。うーん、相変わらず、ケガ人の多いチームにはセルヒオ・ラモス、バランもまだ復帰できず、カルバハルとルーカス・バスケスはすでにシーズンが終わり、一時はユーロにも間に合わないと言われたメンディだけ、意表を突いて、バルデベバス(バラハス空港の近く)のグラウンドで練習を始めているんですけどね。
アスレティック戦には間に合わないため、またRMカスティージャに助っ人を頼まないといけないジダン監督なんですが、実はこの日曜はラウール監督のチームも2部昇格を懸けたプレーオフ準決勝でイビサと対戦。あまりいい顔はされないかと思いますが、やっぱり最優先はトップチームの優勝?ちなみにアスレティックは9位で残留は達成しているものの、ヨーロッパの大会出場には届かずと、まあ、アトレティコの当たるオサスナと似たり寄ったりですが、要注意はバルサが対戦するセルタ。8位の彼らだけ、もしかしたら、7位以上に躍進できる可能性があるため、ちょっと気を抜くと、今季はセビージャが3位に喰い込むなんてこともあるかもしれませんよ。
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