熱い首位争いはどこに行った…/原ゆみこのマドリッド
2021.04.21 19:30 Wed
「本来なら、今週もリーガ優勝戦線の行方で盛り上がるはずだったのに」そんな風に私が気分を害していたのは火曜日、マスコミの話題がスーパーリーグの創設宣言と、それに入らないクラブやサッカー諸団体、とりわけUEFAと利権争いの方に集中しているのを見た時のことでした。いやあ、CLに代わる大会として、15の永久出場エリートチームの中には一応、レアル・マドリー、バルサだけでなく、創設メンバーに加わらないと他のクラブを選ぶと脅されたアトレティコも名を連ねているんですけどね。もしこれが実現すれば、サポーターの夢を掻き立てたEurogeta(エウロヘタ/ヨーロッパの大会に出場するヘタフェ)なんて、もう2度とお目にかかれないだけでなく、予め出場権を保証されたりしたら、毎季CL出場権獲得が目標だったアトレティコなど、マジメにリーガをプレーしなくなる危険すらあるのでは?
うーん、月曜にはUEFAから、次期CL新フォーマットの発表があって、それも出場チームが32から36に増加。グループ分けがなくなり、規定に沿って、各チームが10試合戦い、8位以上が決勝トーナメント16強対決に直接進出、残りは9位から24位の間でプレーオフという案も何だか、意味不明のバトルロイヤルみたいで、あまり魅力は感じないんですけどね。スーパーリーグ初代会長に任命されたマドリーのペレス会長も月曜にTVのインタビューを受け、「コロナ禍でクラブの財政が悪化しているのに、CLの新フォーマットが2024年からなんて、その頃には皆、息が絶えている」と発言。どうやらこの夏、8月にでもスーパーリーグを開催したいようでしたが、え、それまでに現在、絶賛大改装中のサンティアゴ・ベルナベウは使用可能になるですかあ。
他にもUEFAが創設メンバーに入っているマドリー、チェルシー、マンチェスター・シティを今季のCLから失格にしたがっている(準決勝に残るのはPSGだけ。戦わずして初優勝?)とか、それらのクラブにいる選手はユーロやW杯に参加させないとか、ラ・リーガもこの3チームを除外する(優勝するのはセビージャ?ビジャレアル、ベティス、レアル・ソシエダがCL出場?)とか、債務が途方もなく超過しているバルサはスーパーリーグからの収入でネイマール(PSG)やハーランド(ドルトムント)の獲得が可能になるとか、もう際限なく、色んな話が派生しているんですが、いやあ。えりにえって、アトレティコが元気を取り戻した日にこんな騒ぎが始まるとは、ホント、いい迷惑だったかと。
そう、先週末は土曜に今季のコパ・デル・レイ決勝でバルサが0-4と大勝して戴冠。またしてもガバラ(ビルバオの運河を航行した木材運搬船、1984年のリーガ優勝パレードに使われて以来、格納されている)に乗る機会を失ったアスレティックには同情を禁じ得ませんが、おかげでファイナリストのカード以外、残り8試合のリーガ戦の方は日曜に集中開催されることに。先にプレーしたのはアトレティコだったんですが、どうにも最近の成績不振の影響か、序盤から強いプレスをかけてくるエイバルになかなか反撃ができず、また今日もパスが3度も繋がらない日なのかと、私も半ば達観して見ていたところ、何と、40分過ぎに奇跡が起きたんですよ!
それもエースのルイス・スアレスが負傷で欠場の折り、得点オプションを増やそうと、このところシメオネ監督が入念に特訓させていたセットプレーからで、いえ、42分のCKはこの試合初めてではなく、それまでショートで出してはセンターまで後退とか、いわゆるgiricorner(ヒリコルネル/最低のCK)を連発していた彼らだったんですが、おそらくそれで敵も油断したんでしょうね。トリッピアーの蹴ったボールをエレーラが頭で流し、ファーサイドでゴールに押し込んだのがコレアだったから、ビックリしたの何のって!それどころか、その2分後にも彼はエレーラのロングパスから始まったプレーでカラスコからラストパスを受け、ゴール前で敵を背に1回転してシュート。またしてもネットを揺らし、あっという間に2-0になってしまったって、丁度、ランチの後のシエスタ(お昼寝)の時間帯だけに、もしや私は夢を見てる?
実はコレアは努力が報われる運の持ち主だったというのは本当に喜ばしい限りですが、この日のアトレティコはそれだけでは気が済まず。ええ、前日のコパ決勝を見て、たまにはgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を真似してみたくなったのか、後半4分にはサウールが自陣から出したパスにカラスコが抜け出すと、エリア外に飛び出して来たGKドミトロビッチをかわして3点目をゲットしてくれます。そして8分にも、今度はコレアが駆け込んで来たマルコス・ジョレンテにアシストして、とうとう4点目って、いやあ、この辺から、アトレティコのパス運びがやけにスムースに。まるで勝ち点57のうち、7しか取りこぼさず、絶対首位に輝いていたシーズン折り返しの頃のような、いいプレーを見せていたんですが、これって、やっぱり、ゴールのおかげ?
ええ、シメオネ監督もゴールは、「Generan entusiasmo, ilusión, energía/ヘネラン・エントゥシアスモ、イルシオン、エネルヒア(熱狂や夢、エネルギーを生む)。後半のウチはパスがより正確で、動きもあって、生き生きしていた」と言っていたんですが、ううん。となると、ベティス戦の後、コケが「全てはメンタル次第」と主張していたのも、あながちウソではなかったのかと納得してしまいますが、その日の最後の仕上げは、キャプテンと殊勲のコレアがデンベレとビトロに代わり、お休みをもらった後の23分。今度はカラスコがラストパスを供給し、前節出場停止だった間にガソリンを再チャージしたジョレンテが自身2点目を決めて、とうとうスコアは5-0になってしまいましたっけ。
さすがにここまで来ると、シメオネ監督も心にゆとりができて、カラスコとヘレーラもさくさく、トレイラとコンドグビアに代えていましたが、え、後半の3点、上手くセビージャ戦とベティス戦に分散させられていれば、勝ち点6が取れていたのにと思ってしまう私はちょっとせこすぎですか?いえまあ、コレアも「Los atléticos estamos más acostumbrados a sufrir/ロス・アトレティコス・ノー・エスタン・アコンストゥンブラードス・ア・エストー、エスタモス・マス・アコストクンブラードス・ア・スフリル(アトレティコは苦しむ方に慣れている)」と言っていたように、こんな盆と正月が一緒にやってきたような大勝は滅多にありませんからね。これでまた、もう1節、首位でいられることを素直に喜んでおかないと。
その一方で、後半に入った乾貴士選手も奮闘しながら、「ウチが抵抗を止めてしまったから、相手は2点取った後も攻め続けていた」とメンディリバル監督が嘆いていたように、これで14試合白星なし。最下位のままとなってしまったエイバルもちょっと気の毒でしたが、残留ライン17位にいるウエスカとの差は勝ち点4と変わっていませんからね。それこそ、アトレティコが今週木曜午後7時(日本時間翌午前2時)から、ワンダ・メトロポリターノにその相手を迎えるのが、少しは心の慰めになるのでは?
ちなみに日曜にはアラベスに1-0で負けているウエスカも、その16位アラベス、18位バジャドリーと同じ勝ち点で並ぶ残留争い真っ最中のチーム。まだスアレスの復帰はなく、ネンザ中のジョアン・フェリックス、2試合連続で直前に招集リスト落ちしているレマルが間に合うのかもわからないアトレティコなんですが、先週などは、サポーターも心配になったんでしょうね。マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場の柵に連日、「Contra todo y contra todos, adelante campeón/コントラ・トードー・イ・コントラ・トードス、アデランテ・カンペオン(全てに対して、全ての相手に対して、前に進め、チャンピン)」、「Quien no crea, que no venga/キエン・ノー・クレア、ケ・ノー・ベンガ(信じない者はここに来るな)」、「Morid por el Atlético de Madrid/マドリッド・ポル・エル・アトレティコ・デ・マドリッド(アトレティコ・マドリーに命を捧げよ)」といった横断幕を日替わりで掲げていた程でしたが、選手たちがこの大量点で回復した自信を失わなければ、きっといいプレーを見せてくれるんじゃないでしょうか。
え、それでその降格圏ギリギリの3チームのすぐ上、勝ち点差4で15位にいるヘタフェの兄弟分ダービーはどうだったのかって?いや、これがまた、兄貴分が欠場者の嵐で、とりわけカルバハル、セルヒオ・ラモス、バラン、ナチョ、メンディ、更にカセミロまでいない守備陣が大変なことになっていたんですけどね。そこへジダン監督がベンゼマ、クロースを温存したせいもあって、これでヘタフェが勝てなければ、一生、マドリーには勝てないんじゃないかとさえ、思ったぐらいだったんですが、とんでもない。前半7分にはミリトンが自陣から送ったパスから、マリアーノがGKダビド・ソリアをかわしてシュート。これがVAR(ビデオ審判)により、ミリ単位のオフサイドを取られていなければ、先制されるところだったんですから、いやはや、勝負とはわからないもの。
マリアーノはその後にもシュートをゴールライン上でティモルにクリアされるなど、この日はツキがありませんでしたが、ゴール運の悪さでは比類ないのが今季のヘタフェ。前半はマタのヘッドがゴールポストを直撃したり、後半もマクシモビッチのシュートがカンテラーノ(RMカスティージャの選手)のチュストに当たり、軌道が変わったボールをGKクルトワにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されるなど、チャンスは作ったものの、こうも点が取れないのではねえ。CL準々決勝リバプール戦、クラシコ(伝統の一戦)とハードな3試合の後、体力的にも人員的にも限界にあったマドリーもベンゼマが後半19分にマリアーノに代わった以外、前日、2部Bの試合でフル出場していたブランコとアリバスを入れるぐらいしか、ジダン監督にも打つ手がなく、そのままスコアレスドローで終わってしまいましたっけ。
まあ、これで首位とマドリーの差は勝ち点3に、試合をしていない3位のバルサとの差は2になったんですが、ミッドウィーク開催のリーガがある今週はもう、水曜午後10時(日本時間翌午前5時)から、シーズン前半には0-1で負けているカディスに挑みますからね。順位なんて、日替わりで変わってしまいそうですが、実はジダン監督のチームには更なる逆境が発生しているんですよ。というのも火曜の練習で、ヘタフェ戦を含め、この2週間の4試合に皆勤していた35才のモドリッチが背筋を痛めてしまったから。アンフィールドで打撲を受けたクロースも招集リストに入れず、コロナ感染者との濃厚接触で隔離されていたバルベルデも欠場リピートなんですが、それでもバランがコロナ陰性に、ナチョ、カセミロも出場停止処分が終わり、とうとうカルバハルも復帰と朗報もなくはないんですけどね。
こちらは土曜にベティス戦、来週はいよいよCL準決勝チェルシー戦1stレグと、またしばらく週2試合ペースが続くため、早く使える戦力を増やさないと、出ずっぱりの選手がケガで脱落するという悪循環に陥ってしまいかねないんですが、さて。ちなみにヘタフェの次戦は木曜午後10時から、カンプ・ノウでのバルサ戦。実は今季の不調ぶりとは対照的に彼ら、シーズン前半の対戦ではクーマン監督のチームにコリセウム・アルフォンソ・ペレスで1-0と勝利しており、先日はアトレティコともスコアレスドロー。そして直近のマドリー戦でも勝ち点1を稼いでいるとなれば、マドリッドの両雄もちょっとは援護射撃を期待していいかと思いますが…どちらの兄弟分ダービーでも出番のなかった久保建英選手も今度はプレーする機会がもらえるといいですよね。
そして月曜にはまた、ブタルケにレガネスの試合を見に行った私だったんですが、どうも彼らも最近は足踏み状態。前節、首位のエスパニョールにアウェイで2-1と負けてしまったのは仕方ないところもありましたが、この日の相手、8位のポンフェデラディーナにも前半31分にCKから、セルヒオ・ゴンサレスのゴールで先制しながら、後半にシエルバの直接FKで追いつかれてしまうとは。それもオメロウが2枚目のイエローカードで退場となったファールが元凶ともなると、自業自得の感がなくもありませんが、残り7試合で1部にそのまま昇格となる2位のマジョルカとの差は勝ち点10。今となってはもう、プレーオフ出場圏の4位の座を死守することを考えた方がいいかもしれません。
ただ、そうなると現在、6位のラージョとマドリッド勢同士で争うことになるのが、難点ですけどね。ちなみにこのポンフェデラディーナ戦では、柴崎岳選手の出場はなく、せっかく私もレガネスの試合に行かせてもらいながら、あまりプレーする姿を見ることができないのがちょっと残念。当人にしても無観客のブタルケしか、まだ知らないというのは不幸なことですが、何だか、やっぱり今季はこのまま、ファンはスタジアムに入れずに終わってしまいそうな予感が最近、ひしひしとしています。
うーん、月曜にはUEFAから、次期CL新フォーマットの発表があって、それも出場チームが32から36に増加。グループ分けがなくなり、規定に沿って、各チームが10試合戦い、8位以上が決勝トーナメント16強対決に直接進出、残りは9位から24位の間でプレーオフという案も何だか、意味不明のバトルロイヤルみたいで、あまり魅力は感じないんですけどね。スーパーリーグ初代会長に任命されたマドリーのペレス会長も月曜にTVのインタビューを受け、「コロナ禍でクラブの財政が悪化しているのに、CLの新フォーマットが2024年からなんて、その頃には皆、息が絶えている」と発言。どうやらこの夏、8月にでもスーパーリーグを開催したいようでしたが、え、それまでに現在、絶賛大改装中のサンティアゴ・ベルナベウは使用可能になるですかあ。
他にもUEFAが創設メンバーに入っているマドリー、チェルシー、マンチェスター・シティを今季のCLから失格にしたがっている(準決勝に残るのはPSGだけ。戦わずして初優勝?)とか、それらのクラブにいる選手はユーロやW杯に参加させないとか、ラ・リーガもこの3チームを除外する(優勝するのはセビージャ?ビジャレアル、ベティス、レアル・ソシエダがCL出場?)とか、債務が途方もなく超過しているバルサはスーパーリーグからの収入でネイマール(PSG)やハーランド(ドルトムント)の獲得が可能になるとか、もう際限なく、色んな話が派生しているんですが、いやあ。えりにえって、アトレティコが元気を取り戻した日にこんな騒ぎが始まるとは、ホント、いい迷惑だったかと。
それもエースのルイス・スアレスが負傷で欠場の折り、得点オプションを増やそうと、このところシメオネ監督が入念に特訓させていたセットプレーからで、いえ、42分のCKはこの試合初めてではなく、それまでショートで出してはセンターまで後退とか、いわゆるgiricorner(ヒリコルネル/最低のCK)を連発していた彼らだったんですが、おそらくそれで敵も油断したんでしょうね。トリッピアーの蹴ったボールをエレーラが頭で流し、ファーサイドでゴールに押し込んだのがコレアだったから、ビックリしたの何のって!それどころか、その2分後にも彼はエレーラのロングパスから始まったプレーでカラスコからラストパスを受け、ゴール前で敵を背に1回転してシュート。またしてもネットを揺らし、あっという間に2-0になってしまったって、丁度、ランチの後のシエスタ(お昼寝)の時間帯だけに、もしや私は夢を見てる?
違うんです。うーん、コレアと言えば、ここずっと決定力改善の取り組みを続けていながら、2週間続けて、チームに勝ち点を与える絶好機に敵GKに弾かれるという有り様。そのせいで、どんなに努力しても1シーズン、5得点レベルの選手なんだろうと、自分もひどいことを言ってしまったりしたんですが、すみません。シメオネ監督も「Me pone muy contento lo de Correa y revalida lo que pienso del trabajo, de insister/メ・ポネ・ムイ・コンテントー・ロ・デ・コレア・イ・レバリダ・ロ・ケ・ピエンソ・デル・トラバッホ、デ・インシスティル(コレアのゴールにはとても満足している。努力や粘り続けることに対しての私の考えを裏付けるものだからね)」と試合後に話していたんですけどね。
実はコレアは努力が報われる運の持ち主だったというのは本当に喜ばしい限りですが、この日のアトレティコはそれだけでは気が済まず。ええ、前日のコパ決勝を見て、たまにはgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を真似してみたくなったのか、後半4分にはサウールが自陣から出したパスにカラスコが抜け出すと、エリア外に飛び出して来たGKドミトロビッチをかわして3点目をゲットしてくれます。そして8分にも、今度はコレアが駆け込んで来たマルコス・ジョレンテにアシストして、とうとう4点目って、いやあ、この辺から、アトレティコのパス運びがやけにスムースに。まるで勝ち点57のうち、7しか取りこぼさず、絶対首位に輝いていたシーズン折り返しの頃のような、いいプレーを見せていたんですが、これって、やっぱり、ゴールのおかげ?
ええ、シメオネ監督もゴールは、「Generan entusiasmo, ilusión, energía/ヘネラン・エントゥシアスモ、イルシオン、エネルヒア(熱狂や夢、エネルギーを生む)。後半のウチはパスがより正確で、動きもあって、生き生きしていた」と言っていたんですが、ううん。となると、ベティス戦の後、コケが「全てはメンタル次第」と主張していたのも、あながちウソではなかったのかと納得してしまいますが、その日の最後の仕上げは、キャプテンと殊勲のコレアがデンベレとビトロに代わり、お休みをもらった後の23分。今度はカラスコがラストパスを供給し、前節出場停止だった間にガソリンを再チャージしたジョレンテが自身2点目を決めて、とうとうスコアは5-0になってしまいましたっけ。
さすがにここまで来ると、シメオネ監督も心にゆとりができて、カラスコとヘレーラもさくさく、トレイラとコンドグビアに代えていましたが、え、後半の3点、上手くセビージャ戦とベティス戦に分散させられていれば、勝ち点6が取れていたのにと思ってしまう私はちょっとせこすぎですか?いえまあ、コレアも「Los atléticos estamos más acostumbrados a sufrir/ロス・アトレティコス・ノー・エスタン・アコンストゥンブラードス・ア・エストー、エスタモス・マス・アコストクンブラードス・ア・スフリル(アトレティコは苦しむ方に慣れている)」と言っていたように、こんな盆と正月が一緒にやってきたような大勝は滅多にありませんからね。これでまた、もう1節、首位でいられることを素直に喜んでおかないと。
その一方で、後半に入った乾貴士選手も奮闘しながら、「ウチが抵抗を止めてしまったから、相手は2点取った後も攻め続けていた」とメンディリバル監督が嘆いていたように、これで14試合白星なし。最下位のままとなってしまったエイバルもちょっと気の毒でしたが、残留ライン17位にいるウエスカとの差は勝ち点4と変わっていませんからね。それこそ、アトレティコが今週木曜午後7時(日本時間翌午前2時)から、ワンダ・メトロポリターノにその相手を迎えるのが、少しは心の慰めになるのでは?
ちなみに日曜にはアラベスに1-0で負けているウエスカも、その16位アラベス、18位バジャドリーと同じ勝ち点で並ぶ残留争い真っ最中のチーム。まだスアレスの復帰はなく、ネンザ中のジョアン・フェリックス、2試合連続で直前に招集リスト落ちしているレマルが間に合うのかもわからないアトレティコなんですが、先週などは、サポーターも心配になったんでしょうね。マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場の柵に連日、「Contra todo y contra todos, adelante campeón/コントラ・トードー・イ・コントラ・トードス、アデランテ・カンペオン(全てに対して、全ての相手に対して、前に進め、チャンピン)」、「Quien no crea, que no venga/キエン・ノー・クレア、ケ・ノー・ベンガ(信じない者はここに来るな)」、「Morid por el Atlético de Madrid/マドリッド・ポル・エル・アトレティコ・デ・マドリッド(アトレティコ・マドリーに命を捧げよ)」といった横断幕を日替わりで掲げていた程でしたが、選手たちがこの大量点で回復した自信を失わなければ、きっといいプレーを見せてくれるんじゃないでしょうか。
え、それでその降格圏ギリギリの3チームのすぐ上、勝ち点差4で15位にいるヘタフェの兄弟分ダービーはどうだったのかって?いや、これがまた、兄貴分が欠場者の嵐で、とりわけカルバハル、セルヒオ・ラモス、バラン、ナチョ、メンディ、更にカセミロまでいない守備陣が大変なことになっていたんですけどね。そこへジダン監督がベンゼマ、クロースを温存したせいもあって、これでヘタフェが勝てなければ、一生、マドリーには勝てないんじゃないかとさえ、思ったぐらいだったんですが、とんでもない。前半7分にはミリトンが自陣から送ったパスから、マリアーノがGKダビド・ソリアをかわしてシュート。これがVAR(ビデオ審判)により、ミリ単位のオフサイドを取られていなければ、先制されるところだったんですから、いやはや、勝負とはわからないもの。
マリアーノはその後にもシュートをゴールライン上でティモルにクリアされるなど、この日はツキがありませんでしたが、ゴール運の悪さでは比類ないのが今季のヘタフェ。前半はマタのヘッドがゴールポストを直撃したり、後半もマクシモビッチのシュートがカンテラーノ(RMカスティージャの選手)のチュストに当たり、軌道が変わったボールをGKクルトワにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されるなど、チャンスは作ったものの、こうも点が取れないのではねえ。CL準々決勝リバプール戦、クラシコ(伝統の一戦)とハードな3試合の後、体力的にも人員的にも限界にあったマドリーもベンゼマが後半19分にマリアーノに代わった以外、前日、2部Bの試合でフル出場していたブランコとアリバスを入れるぐらいしか、ジダン監督にも打つ手がなく、そのままスコアレスドローで終わってしまいましたっけ。
まあ、これで首位とマドリーの差は勝ち点3に、試合をしていない3位のバルサとの差は2になったんですが、ミッドウィーク開催のリーガがある今週はもう、水曜午後10時(日本時間翌午前5時)から、シーズン前半には0-1で負けているカディスに挑みますからね。順位なんて、日替わりで変わってしまいそうですが、実はジダン監督のチームには更なる逆境が発生しているんですよ。というのも火曜の練習で、ヘタフェ戦を含め、この2週間の4試合に皆勤していた35才のモドリッチが背筋を痛めてしまったから。アンフィールドで打撲を受けたクロースも招集リストに入れず、コロナ感染者との濃厚接触で隔離されていたバルベルデも欠場リピートなんですが、それでもバランがコロナ陰性に、ナチョ、カセミロも出場停止処分が終わり、とうとうカルバハルも復帰と朗報もなくはないんですけどね。
こちらは土曜にベティス戦、来週はいよいよCL準決勝チェルシー戦1stレグと、またしばらく週2試合ペースが続くため、早く使える戦力を増やさないと、出ずっぱりの選手がケガで脱落するという悪循環に陥ってしまいかねないんですが、さて。ちなみにヘタフェの次戦は木曜午後10時から、カンプ・ノウでのバルサ戦。実は今季の不調ぶりとは対照的に彼ら、シーズン前半の対戦ではクーマン監督のチームにコリセウム・アルフォンソ・ペレスで1-0と勝利しており、先日はアトレティコともスコアレスドロー。そして直近のマドリー戦でも勝ち点1を稼いでいるとなれば、マドリッドの両雄もちょっとは援護射撃を期待していいかと思いますが…どちらの兄弟分ダービーでも出番のなかった久保建英選手も今度はプレーする機会がもらえるといいですよね。
そして月曜にはまた、ブタルケにレガネスの試合を見に行った私だったんですが、どうも彼らも最近は足踏み状態。前節、首位のエスパニョールにアウェイで2-1と負けてしまったのは仕方ないところもありましたが、この日の相手、8位のポンフェデラディーナにも前半31分にCKから、セルヒオ・ゴンサレスのゴールで先制しながら、後半にシエルバの直接FKで追いつかれてしまうとは。それもオメロウが2枚目のイエローカードで退場となったファールが元凶ともなると、自業自得の感がなくもありませんが、残り7試合で1部にそのまま昇格となる2位のマジョルカとの差は勝ち点10。今となってはもう、プレーオフ出場圏の4位の座を死守することを考えた方がいいかもしれません。
ただ、そうなると現在、6位のラージョとマドリッド勢同士で争うことになるのが、難点ですけどね。ちなみにこのポンフェデラディーナ戦では、柴崎岳選手の出場はなく、せっかく私もレガネスの試合に行かせてもらいながら、あまりプレーする姿を見ることができないのがちょっと残念。当人にしても無観客のブタルケしか、まだ知らないというのは不幸なことですが、何だか、やっぱり今季はこのまま、ファンはスタジアムに入れずに終わってしまいそうな予感が最近、ひしひしとしています。
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