お隣さんの強さが眩しい…/原ゆみこのマドリッド

2021.04.10 00:30 Sat
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©Atlético de Madrid
「そりゃ景気づけは必要だけど、こんなご時世にいいのかしら」そんな風に私が首を傾げていたのは木曜日、いよいよ、リーガで後のなくなったアトレティコが午前中に練習を済ませると、チーム全員でバスに乗って、マドリッド郊外に遠足。ヒル・マリン筆頭株主の別荘で決起ランチを行ったというニュースを聞いた時のことでした。いやあ、コロナ感染防止政令のあるスペインでは今でもまだ、飲食店内での1テーブル人数は4人まで、テラスでも6人までに制限されているんですけどね。個人宅に外から人を招くことも禁じられていて、とりわけ週末など、ガンガン違法フィエスタが摘発されているんですが、チーム丸々にクラブ上層部が参加したら、その数、30名は軽く超えていない?

うーん、確かに彼らはリーガでも1、2を争う数の選手、果てはシメオネ監督まで、チームの半数程はすでに感染済みですから、集団免疫がもうあるだろうと、勝手に誤解していても不思議はないんですけどね。先月から始まったワンダ・メトロポリターノでのワクチン接種会の対象はまだ、エッシェンシャルワーカーとようやく65才以上が対象になってきたところですから、選手たちには関係ないとはいえ、まあ、各試合前など、折々、全員がPCR検査を実施。陽性者のいない今なら、大丈夫だろうと踏んだんでしょうが、でもわかりませんよお。この火曜、同様に厳しい予防策を取っているお隣さんなんか、いきなりバランの感染がCL準々決勝1stレグ当日に発覚しているんですから。

そう、今週はバルサ、セビージャ、アトレティコが次々とCL16強対決で敗退した後、スペイン勢唯一の生き残りとなったレアル・マドリーがエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)でリバプールと火曜に対戦。ラッキーなことに私もまた、スタジアム観戦できたんですが、16強対決アタランタ戦の時とは違い、3月末にはスペインはサマータイム入ってくれたのが幸いしました。同じ午後9時キックオフでもまだ辺りが明るいうちにスタンドに着くことができたのは嬉しかったかと。

もうその頃には、前日の検査の結果で怪しかったバランはバルデベバス(バラハス空港の近く)での前夜合宿には参加せずに自宅待機、陽性が確定した後、カンテラーノ(RMカスティージャの選手)のチュストが招集されたなんてこともわかっていましたが、何せ、キャプテンでDFの要、とにかくCLでいないとマドリーの勝率が格段に落ちるという、セルヒオ・ラモスがスペイン代表戦最終日の試合後、ふくらはぎにケガをして、1カ月のbaja(バハ/欠場)が決まっていましたからね。更にバランもいないとなると、ジダン監督も相当、胃が痛かったんじゃないかと思いますが、「Hemos cambiado a Militao por Varane, 4-3-3, no hemos cambiado nada de lo que preparamos/エモス・カンビアードー・ア・ミリタオ・ポル・バラン、クアトロ・トレス・トレス、ノー・エモス・カンビアドー・ナーダ・デ・ロ・ケ・プレパラモス(バランをミリトンに代えただけの4-3-3、ウチは準備したことは何も変えなかった)」作戦が見事に成功するとは!

というのも、キックオフ前には丁度、リバプールが自分の座っている側のピッチでアップをしていたため、昨季CL16強対決では、このサラー、マネ、フィルミーノ、GKアリソンといった、名前を聞くだけでも強そうな選手が沢山いるチームにアトレティコが何度も窮地に立ちながら、最後は勝ったのよねと妙なノスタルジーを感じていた私だったんですけどね。何と、前線のフィルミーノをジオゴ・ジョタに代えただけの相手は立ち上がりから、まったく攻めて来なかったから。

それは実際、CBファン・ダイクなど、DF陣に長期負傷者大量発生、守備が弱体化していたせいでの用心だったんでしょうかね。対照的にその日は、後でルーカス・バスケスが、「奥行きのあるパスを出して長くプレーを繋いで、スペースを見つけるためにボールをサイドからサイドへと移動させた」と説明していた通り、マドリーの動きがやけに軽やか。とうとう27分にはクロースのロングパスをビニシウスが絶妙のトラップで受け、彼にしては滅多にお目にかかれない正確なシュートを決めて、先制点を奪ったとなれば…。

でも、ここは名門同士のCLカードに超満員となったサンティアゴ・ベルナベウではなく、無観客のディ・ステファノ。現地での前日練習もせず、この試合で初めて足を踏み入れたクロップ監督など、キックオフ前のインタビューで「これはスタジアムじゃなくて、練習場だ」と言っていたぐらいの地味な舞台とあって、歓声もパルコ(貴賓席)やマドリーの控え選手たちが座っている辺りから聞こえたぐらいでしたからね。こういう淋しさを感じるたび、私が遠い目をしてしまうのも仕方なかったかと。

それでも攻撃の手を緩めなかったマドリーは36分にも、アレクサンダー・アーノルドの不用意なバックパスにアセンシオが追いついて、GKの頭を越えるvaselina(バセリーナ/ループシュート)。距離が足りなかったか、アリソンをかわして、更にゴール前で押し込んでいましたが、もうこれで4試合連続得点ですからね。2年前、ヒザの靭帯断裂を治して戻って来て以来、あまりプレーに冴えが見られなかった彼ですが、もう完全に復調したと言っていいのでは?さすがに前半だけで2点のビハインドにはクロップ監督も自身のゲームプランミスを悟ったか、ハーフタイムを待たず、42分にはケイタをチアゴ・アルカンタラに代えるという、先日のセビージャ戦でロディをコレアに代えたシメオネ監督みたいな戦術訂正をする破目になっていましたっけ。

まあ、これは当たったと言っていいでしょう。というのも心を入れ替えてピッチに立った後半、早くも5分にリバプールはジョタからボールを受けたサラーがシュート。これが人垣の間を通って、GKクルトワを破ったため、スコアは2-1に。ゴールにはVAR(ビデオ審判)判定が入ったため、選手たちが祝うのには時間がかかったんですが、何せ貴重なアウェイゴール。この1点があれば、たとえそのまま負けたとしても、ホームで1-0とすれば、勝ち抜けできますからね。チアゴ効果もあって、勢いづいてきた相手に私もちょっと、不安を覚えていたんですが、大丈夫。この日のマドリーは止めを刺すことを知っていたんです。

それは20分、今度は敵の左サイドから入ったモドリッチがエリア内のビニシウスにラストパス。それをワンタッチで流し込んでしまったのですから、ビックリしたの何のって。3点目を挙げたマドリーは、うーん、その頃には普通のリーガ戦以上に勤勉に走ったためか、前線の選手にも疲れが出て、せっかく敵エリアまで着きながら、カウンターに失敗するというケースも何度か、ありましたしからね。といっても、こういうビッグマッチでジダン監督が信頼できる選手がベンチに沢山いた訳ではないため、アセンシオが、負傷から復帰が何とか間に合ったバルベルデに、ビニシウスが同郷のロドリゴに代わっただけでしたが、自陣エリアを取り囲んでのリバプール最後の猛攻も無事にやり過ごすと、試合は3-1で終了。

え、でもリバプールには2018-19シーズンのCL準決勝でバルサに3-0と負けながら、アンフィールドで4-0のremontada(レモンターダ/逆転突破)をした経験があるんだろうって?そうですね、ただ、クロップ監督も「バルサに逆転勝ちした試合の80%はファンのおかげだったが、今はそういう訳にはいかない」と言っていたように、来週水曜のホームゲームも無観客試合なのは、いくらもう、そんな状態がずっと続いているからとはいえ、かなり辛いところ。とはいえ、マドリーの方もラモスやバランは戻って来られないですから、2-0でいいとなれば、必死で喰らいついてくるはずですが、さて。ちなみにマドリーが順調に準決勝進出できた場合、今季はもう組み合わせが決まっていて、相手はポルトかチェルシー。水曜の1stレグでは後者が0-2とアウェイで勝利していたため、アトレティコのリベンジをすることになりそうですが、まだそれは先の話で、今は…。

クラシコ(伝統の一戦)が土曜に迫っているんですよ。それも両者共、リーガで好調が続いていて、3位のマドリーと2位のバルサの差は勝ち点3。首位アトレティコと2位もとうとう1差になってしまったため、どちらもここで宿敵を倒して、てっぺんに立とうと牙を研いでいるんですが、どちらが有利かというと微妙でねえ。前節のバジャドリー戦では、ジョルディ・アルバのハンドによるペナルティのスルーやオスカル・プラーノへの厳格なレッドカードがあった後の終盤、土壇場でデンベレのゴールが決まり、1-0と辛勝したバルサより、先週末のエイバル戦から、いいプレーを見せて勝っているマドリーの方が勢いに乗ってそうですが、何せ、向こうにはこのミッドウィークに試合がなかったというアドバンテージが。

とりわけ、リバプール戦の後、多くの選手が芝生に座り込むなど、ヘトヘト状態だったのを目の前で見ていますし、主力のモドリッチ、クロース、ベンゼマらは軒並み30代。ジダン監督はスタメンをリピートするようですが、しっかり体力が回復してくれるのか、ちょっと心配かと。メンバーの方では木曜のセッションではカルバハルが、アザールも先週後半からチーム練習に参加していますが、2人共、今季は復帰した途端、またケガしてリハビリ生活に逆戻りというのを繰り返していますからね。招集リストに入るかどうか、まだわからないんですが、敵もピケが急ピッチで調整中。この木曜、4月8日には長女ミアちゃん、長男アマロ君とまったく同じバースデーで次女アルバちゃんを奥さんのエリカさんが出産したグリーズマンなども張り切っているはずですし、とにかく土曜午後9時(日本時間翌午前4時)からの一戦は見逃す訳にはいきません。

そして同じ土曜の午後2時(日本時間午後9時)からはマドリッドの弟分、ヘタフェがカディスをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎えるんですが、こちらはどうも、相手が大変なことになっていてねえ。というのもカディスは前節のバレンシア戦に2-1で勝ったんですが、途中、ディアカビが「Negro de mierda/ネグロ・デ・ミエルダ(黒人のクソ野郎)」と人種差別発言を受けたと訴え、一時は全員がロッカールームに引き上げるという騒ぎに。結局はピッチに戻って、試合は無事終わったものの、それから差別発言の張本人とされたカラがバレンシアは元より、世間から轟々の非難を浴びることに。

ただカラ自身はずっと、そんなことは言っていないと主張、どうやらラ・リーガ協会の綿密なオーディオ調査では、その言葉には南米系のアクセントがあったため、アンダルシア(スペイン南部)出身のカラのものではありえないとか、更に映像でカラの唇を読んだところ、言ってないとか、イロイロ出てきて、といってもディカビが嘘をついているとも考えがたいですからね。結末がどうなるのか、私も全然、わからないんですが、ま、試合の方は13位と勝ち点2差の15位の対決という、ヘタフェにとっては先週末のオサスナと似たような状況でしょうか。

一応、ここまでで勝ち点30は溜めているため、焦らなければ、そのうち彼らも残留ラインには届くんじゃないかと思いますが、今回はCBチャクラが出場停止と負傷が重なっていない上、トルコでコロナ感染隔離されているエネス・ウナルもまだ帰っていないとあって、ここ3試合連続引き分けの流れを断ち切るのは難しいかも。何にしろ、この先はマドリー、バルサと強敵が待っているため、できれば勝ち点3を取れるといいのですが…。

そして日曜午後9時から、またセビージャ(スペイン南部)に遠征して、今度はベティスと対戦するのがアトレティコなんですが、この水曜には途方もない不幸がチームを襲うことに。いえ、どちらにしろ、ルイス・スアレス、マルコス・ジョレンテ、コンドグビアは累積警告で出場停止なんですけどね。それが、たった1試合の我慢のはずだったのに、スアレスがマハダオンダ(マドリッド近郊)での練習中に左ふくらはぎを痛め、全治3週間となってしまったとなれば、もうここ10試合で4勝2分け4敗とどんどん、貯金を吐き出しているシメオネ監督のチームは、どうやって点を取ったらいい?

一応、セビージャ戦を休んだジョアン・フェリックス、カラスコ、サビッチはチームに復帰、それに母親をコロナで亡くしたトレイラもようやくウルグアイから帰って来たんですけどね。この先、エイバル、ウエスカ、アスレティック戦と、エース不在の試合が4つも続くのでは、もうリーガ優勝など、夢のまた夢のような気もしないではないんですが、予想もつかないことが起きるのがサッカー。まあ、現在6位、同じ勝ち点のレアル・ソシエダと共にEL出場圏内にいるベティスもエースのボルハ・イグレシアが前節エルチェ戦での打撲で、ほとんど練習ができていないようですし、とにかくこの試合では決して、GKオブラクにイヤな思いをさせないのが大前提。ジョアンやコレア、カラスコ辺りがゴールを挙げて、何とか首位を死守してもらいたいものです。

【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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いきなりフィナルマッチがやって来た…/原ゆみこのマドリッド

「もうこんなところにある!」そんな風に私が驚いていたのは月曜日、前夜の1部昇格プレーオフ決勝2ndレグの後のコメントを読もうと、ネットでマルカ(スポーツ紙)の2部セクションに行ったところ、何故か上部に並んでいる各クラブのアイコンからラージョが消失。同時にエスパニョールとマジョルカもなかったため、スタートページに戻ってみれば、1部チームのアイコンの列にすでに加わっていたのを見つけた時のことでした。いやあ、確かにリーガ1部の最終節があってから、ほぼ1カ月が経過。ユーロやコパ・アメリカのお勤めがない選手たちは十分、バケーションを満喫しきった頃じゃないかと思うんですけどね。 それと並行するように、マドリッド勢1部チームのプレシーズン開始時期の情報なども入ってきていて、休暇先のサルディーニャ島から、先週木曜に退団会見をしたセルヒオ・ラモスにお別れを言うことになったレアル・マドリーのアンチェロッティ新監督は、ジタン監督が辞任前に決めた日程を1週間前倒しして、7月5日にバルデベバス(バラハス空港の近く)でスタートすることに。昨年同様、まだコロナ禍が続いているため、アメリカツアーなどはせず、ずっとマドリッドの灼熱の太陽の下、CL3連覇の影の立役者だったフィジカルコーチ、ピントゥス氏の指導で、昨季は負傷地獄だった選手たちの体質改善に励む予定ですが、遅れて参加する10人の各国代表の中でバランが戻って来るのかは微妙なところかと。 あと契約が1年しか残っていない彼が延長交渉を行っておらず、PSGやマンチェスター・ユナイテッドなどからの引きもあるため、何せ、マドリーもエムバペ(PSG)、もしくはハーランド(ドルトムント)といった前線のギャラクティコを獲得するための資金が必要ですからね。7000万ユーロ(約92億円)程の移籍金が期待できるバランを売れば、かなり助けになると見られているんですが、その辺は当人がスタメンCBを務めるフランス代表のユーロが終わってみないと何とも。ただ、CB、左SB、ボランチとマルチユーズなアラバ(バイエルンとの契約を満了)の入団は早々に決まったものの、一気にラモスとバランの2人が抜けるとなると、ミリトン、ナチョに加え、あと一枚、CBができる選手は必要なのでは? そして同じ5日にはミチェル新監督もコリセウム・アルフォンソ・ペレスのすぐ側にある練習場でプレシーズンを始めるんですが、こちらには昨季、RMカスティージャ(2部B)にレンタル移籍して、ラウール監督の下、修行していたカンテラーノ(ヘタフェBの選手)のウーゴ・ドゥーロも加わる予定。試合にはコンスタントに出て、ゴールもそこそこ挙げていたんですが、買付オプションを行使してもらえなかったそうで、丁度、ヘタフェはアンヘルが退団して、FW枠に空きがありますからね。ラ・マンガ(スペイン南東部)でのキャンプで成長した姿を見せれば、トップチームに昇格できるかもしれませんし、このプレシーズンが彼も頑張りどころかもしれません。 一方、栄えあるリーガ王者は7月7日にマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に集合するんですが、何せ、アトレティコはバルサと共に大量13人を各国代表に派遣していますからね。初日から参加できるチームの半数ぐらいのメンバーは2日程、体力測定などに費やした後、恒例のLAキャンプに出発。そう、ロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)でたっぷり、プロフェ・オルテガに絞られるんですが、週末にはちょっと心配なニュースが海の向こうから到着。ブラジル代表でコパ・アメリカに参加中のフェリペが試合には出ていないのに、練習中に右ヒザの半月板を部分断裂したというから、何とも運が悪い。 かろうじて8月14日の週末からのラ・リーガ開幕には間に合いそうですけどね。ユーロでポルトガル代表に行っているジョアン・フェリックスも筋肉痛だか何だかで、未だに大会デビューしていませんし、本当はハードな過密日程リーガを終えたばかりの選手たちにはあまり、代表戦で過剰労働してほしくないんですが、この夏、実は一番大変なのはプレーオフ枠で昇格したラージョかも。というのもここから規定の4週間、選手たちがバケーションを取った後、プレシーズンを始めることになるため、開幕までにあまり日数がないからですが…いや、まずはそのremontada(レモンターダ/逆転劇)を達成したジローナ戦2ndレグがどんなだったか、話していくことにしましょうか。 1週間前のエスタディオ・バジェカスでは序盤にイシのゴールで先制しながら、終わってみれば、1-2と負けていたマドリッドの弟分は、モンテリビで相手のファン1500人がスタンドからジローナに声援を送る中、またしても立ち上がりから果敢に攻撃。その甲斐あって、前半6分にはCBベラスケスが自陣から送ったロングボールにアルバロ・ガルシアが抜け出し、GKファン・カルロスの頭を越えるvaselina(バセリーナ/ループシュート)で先制点を奪います。早くも逆転まであと1点に迫っただけでなく、ハーフタイム直前にはアルバロが折り返したパスをキャプテンのトレホがゴール前からシュート。敵DFの脚に当たりながら、これがネットに入ってくれるんですから、有難いじゃないですか。 ただ後半、10分にはベラスケスが2枚目のイエローカードをもらって退場、残り時間を10人で戦うという試練が待っていたんですが、大丈夫。エースのストゥアーニも投入しながら、うーん、やっぱりジローナはこれまで昇格プレーオフ決勝で3度、それもホームで負けて1部行きの切符を逃しているというのが、乗り越えられないトラウマになっていたんですかね。無観客だった昨年のエルチェ戦とは違い、今回はサポーターの応援もあったものの、GKルカ・ジダンの活躍もあって、接触プレーによる転倒や選手交代などで必死に時間稼ぎしたイラオラ監督のチームから、最後までゴールを挙げることはできず。総合スコア3-2でラージョが3年ぶりの1部復帰を果たすことに。 いやあ、これも聞けば、クラブ史上8回目の昇格ということで、モンテリビのピッチやロッカールームで目一杯、騒いだ後、飛行機で帰京したチームも兄貴分のアトレティコ同様、恒例のクラブ祝賀スポットであるスタジアム近くのアサンブレア噴水広場には行かなかったんですけどね。そんなことは知ったこっちゃないとばかりにラージョファンが集結、一晩中、無礼講でお祝いしまくっていたようですが、やっぱり嬉しいですよね。ええ、マドリッド勢5チーム体制だった2018-19シーズン、ラージョが最下位で最短2部Uターンとなり、翌シーズンにはレガネスも続いたため、昨季は3チームしかなかったのが、いよいよ4チームに。各節、マドリッドで見られるリーガ戦が2試合あるとなれば、来季はスタジアムに入れる観客数もだんだん増えていくでしょうし、日本からも観戦に来たファンも満喫できるかと。 え、リーガ開幕はまだまだ先だけど、今はスペイン代表が大変なことになっているんじゃないかって?いやあ、その通りで先週土曜にはユーロ・グループリーグ2試合目のポーランド戦があったんですけどね。スコアレルドロー発進となったスウェーデン戦を反省して、ルイス・エンリケ監督もモラタ(ユベントス)に加え、リーガのサラ(スペイン人の中での得点王)であるジェラール・モレノ(ビジャレアル)をスタメンに入れたところ、前半25分には後者のラストパスを前者がゴールにして先制点をゲット。幸いVAR(ビデオ審判)により、モラタもオフサイド症候群を発現せずに済んだんですが、今度は守備陣の不出来ぶりが露呈してしまったんですよ。 というのも42分、シフィデルスキ(PAOK)のシュートがゴールポストに当たった後、こぼれ球を拾ったレバンドフスキ(バイエルン)の一撃はGKウナイ・シモン(アスレティック)がキャッチしてくれたんですが、やはりブンデスリーガ41得点のストライカーは只者ではなし。後半9分にはヨズヴィアク(ダービー・カウンティ)が右から上げたクロスをラポール(マンチェスター・シティ)に競り勝って、頭で決められてしまったとなれば、うーん、彼とはよく、マドリーがバイエルンと対戦した際にラモスがガチンコの争いをしていましたからね。そのシーンを見る限り、CL決勝でベンチだったフランス人のラポールに超特急でスペイン国籍を取ってもらうより、せめてコロナ陽性発生に備え、バケーションを中断してラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設にヘルプ要員として1週間通勤。その日も先発だったパウ・トーレス(ビジャレアル)をリードして、堂々たるEL王者となったアルビオルの方が、DFの要の位置にはふさわしかったのではないかと思うのは私だけ? いえ、そんなことも同点になった直後、モデル(レフ・ポズナン)にエリア内で左足を踏まれ、VARにより、ペナルティをもらったジェラール・モレノがPKを決めていれば、頭に浮かびもしなかったんですけどね。ところがEL決勝でマンチェスター・ユナイテッドと総勢22人が蹴り合うことになった悪夢のようなPK戦を始め、ここ13回連続PKを成功させていた彼が、この日は大殺界だったか、まだ足が痛かったのか、シュートをボールポストに当ててしまったんですよ。以前、ヘタフェのマタなども25回連続成功した後、EL2年連続出場を決めるはずだったPKを止められてしまったりと、ここはという時にミスがあるのは人間だから、仕方ないとはいえ、その跳ね返りをフリーで、しかも利き足の右でゴール前から蹴って、どうしてモラタは天高く打ち上げてしまうんでしょう。 その後にもモラタにはエリア内でシュートを狙うチャンスが2度程あったんですが、敵DFに囲まれて最後はひっくり返っている始末で、うーん、この日はルイス・エンリケ監督やチームメートの援護射撃のおかげもあり、カルトゥーハのスタンドからはpito(ピト/ブーイング)ではなく、熱い応援を受けていたんですけどね。フェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)、サラビア(PSG)、ファビアン・ルイス(ナポリ)、オジャルサバル(レアル・ソシエダ)とフレッシュな選手を送り込んでも2点目のゴールは奪えず、結局、試合は1-1のまま終了。「Las sensaciones no son las mejores, evidentemente/ラス・センサシオネス・ノー・ソン・ラス・メホーレス・、エビデンエメンテ(最高の感触ではない、明らかに)」という気分になったのは、おそらくルイス・エンリケ監督だけではなかったかと。 更に試合後にはまた、モラタが「Que digan lo que quieran. Opinar es gratis/ケ・ディガン・ロ・ケ・キエラン。オピナル・エス・グラティス(皆、好きなことを言うがいいや。意見するのはタダなんだから)」と拗ねたようなことを言っていたため、これはもう、雰囲気最悪なんじゃないかと、思わず、日曜の午後には私も1年半以上ぶりにラス・ロサスまで練習を見に行ってしまったんですけどね。15分間のマスコミ公開中は特に変わったこともなく、ポーランド戦前日に自宅隔離期間が明け、コロナ陰性となって合宿に帰還。その試合こそ、スタンド観戦になったものの、ようやくブスケツ(バルサ)もロンド(輪の中にいる選手がボールを奪うゲーム)に混じっていたため、水曜午後6時(日本時間午前1時)からのスロバキア戦には出場できそうなんですが、いやあ。 何と日曜夜にはAS(スポーツ紙)から、ルイス・エンリケ監督の進退が問われているというショッキングなニュースが流れたから、ビックリしたの何のって。彼がカルトゥーハの芝の状態に文句を言ったことについて、有観客試合を保証できなかったビルバオ(スペイン北部)のサン・マメス(アスレティックのホーム)でのユーロ開催権をUEFAに取り上げられた後、せっかく引き受けてくれたセビージャ(スペイン南部)のあるアンダルシア州当局への面目が立たないと協会幹部が気分を害しているだけでなく、采配にも不満があるというんですが、月曜のマルカでは真逆、協会はルイス・エンリケ監督に絶対的信頼を置いていると書いてあったから、もう、私も混乱するばかり。 どちらにしろ、グループ最終節で負けるとスペインは敗退が決定するとあって、その場合はいくら、契約が2022年W杯まであるとはいえ、続投はない気がしますけどね。彼らがこのユーロで生き残るにはスロバキアに勝ってグループ1位か2位で突破、もしくはポーランドがスウェーデンに勝たないことを祈りながら、引分けて、成績上位の3位で突破するしかないんですが、さて。月曜も月曜でブスケツが戻った今がチャンスとばかり、呑気にオフィシャルスーツやユニフォーム姿の全員集合写真を撮ったりしていた彼らですが、その日の記者会見に出て来た、CL王者のキャプテンでありながら、まだ出番のないアスピリクエタ(チェルシー)も「Si ganamos estaremos en octavos y será un partido de cara y cruz/シー・ガナモス・エントラレモス・エン・オクタボス・イ・セラ・ウン・パルティードー・デ・カラ・イ・クルス(勝てばボクらは16強対決に進める。表か裏かの試合になるだろう)」というのが本当のところ。 実際、2016年のW杯ブラジル大会や2004年ユーロ・ポルトガル大会ではグループリーグ敗退も見ている私なので、結構、不安もあったりするんですが、こればっかりはねえ。ちなみに気になるスロバキア戦のスタメンについては、ロドリ(マンチェスター・シティ)の代わりにブスケツが入るのは当然ながら、世間からは何でアトレティコの中盤でプレーして18得点も挙げたのに、本職でない右SBで使うんだとルイス・エンリケ監督に非難が集中。その当事者のマルコス・ジョレンテは、月曜のインタビューで「そのポジションで招集されたし、3月もそれでプレーしたから、他に回る方が驚きさ。No creo que ningún lateral se meta por dentro y rompa al espacio como yo/ノー・クレオ・ケ・ニングン・ラテラル・セ・メタ・ポル・デントロ・イ・ロンパ・アル・エスパシオ・コモ・ジョ(自分程、中に入って行ったり、スペースを突いたりするSBがいるとは思わない)」と自信ありげだったため、多分、また右SBリピートとなるんでしょうが…せめて参加24チーム中、16チームが進む決勝トーナメントに出るぐらいの力は今のスペインにもあることを、ファンに示してほしいです。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2021.06.22 22:35 Tue
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実はあんまり余裕じゃなかった…/原ゆみこのマドリッド

「淋しくなっちゃうわね」そんな風に私が溜息をついていたのは木曜日、レアル・マドリーTVで6月末に契約が切れるセルヒオ・ラモスの退団お別れ会見を見ていた時のことでした。いやあ、ご存知の通り、コロナ流行により、リーガが中断した去年の3月から、サンティアゴ・ベルナベウは全面改装工事に突入。今季はずっと無観客だったのを幸いとばかり、全てのホームゲームをバルデベバス(バラハス空港の近く)のエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)で開催したのはいいんですが、あちらには未だにピッチもスタンドもないんですよ。それどころか、8月14日の週末に始まる2020-21シーズンのスタートにも間に合わないとあって、態勢が整う9月半ばまで、一時はお隣さんのワンダ・メトロポリターノを借りるという話もあったぐらいなんですけどね。 よって、当然、ラモスのお別れセレモニーも在りし日のベルナベウの写真をバックに映した練習場プレスルームで行われ、その場には関係者のみが出席。記者会見もZoomを通してと、2005年にセビージャから19才の若さで移籍した当人が経験した入団プレゼンとはまったく趣きの違うものとなりましたが、昨今のいいところは、クラブのTV局のみならず、Gol(ゴル/スポーツ専門放送局)やマルカ(スポーツ紙)のウェブページでもライブ配信で一部始終が見れてしまうこと。それでもやっぱり、ラモスを見送りたいと集まったファンでバルデベバスの選手用出入り口は凄いことになっていましたが、せめてベルナベウの改装が終了する1年後には、ラウール(現RMカスティージャ監督)のようにサンティアゴ・ベルナベウ杯に相手チームの一員として招かれて、大勢のサポーターに挨拶することができるといいのですが…。 え、マドリーはどうして、2015年にカシージャスがポルトに移籍して以来、キャプテンを務め、その間、前人未踏のCL3連覇も達成。671試合出場のレジェンドと契約延長をしなかったのかって?うーん、クラブは12月頃から、1年契約で年棒据え置き、但し、コロナによる減収により、今季同様、10%カットというオファーを出していたんですけどね。ラモスの弁によると、「Yo solo he pedido dos años. El tema no ha sido de dinero/ジョ・ソロ・エ・ペディードー・ドス・アーニョス。エル・テーマ・ノー・ア・シードー・デ・ディネーロ(自分は2年契約を頼んだだけ。お金の問題じゃなかった)」そうで、一旦は拒否。 先週になって、1年という条件でOKすると伝えたところ、「Me dicen que la oferta tiene fecha de caducidad y yo no me había enterado/メ・ディセン・ケ・ラ・オフェルタ・ティエネ・フェチャ・デ・カドゥシダッド・イ・ジョ・ノー・アビア・エンテラードー(オファーには期限があったと言われたけど、ボクは知らなかった)」のだとか。マルカなど、返答期限は3月末で、新聞を読んでいれば、わかったはずとか、少々、理解に苦しむ解説をしていましたが、実際、その頃には後継CBとして、ダビド・アラバ(バイエルンとの契約を満了)の獲得が進んでいましたからね。結局のところ、再交渉を先延ばしにしているうちに、当人が負傷でほとんど出場できなくてもチームはCL準決勝まで進出。リーガ優勝も最終節までお隣さんと争ったという辺りから、絶対不可欠な選手というステータスが失われてしまったんじゃないかと思いますが、こればっかりはねえ。 ちなみにマドリーを離れたラモスがどこに行くかはまだわからず、いえ、古巣のセビージャ復帰は自ら否定。バルサも絶対ないということで、彼にはまだ、あと4試合で世界最多出場記録に並べるスペイン代表復帰の目標もあるため、もう35才とはいえ、おそらく、PSGやマンチェスターの2強といったヨーロッパの一流チームになるよう。このユーロ2020に招集されない原因となったケガはリーガ終了後もリハビリを続けていたおかげで、すっかり治っているそうで、早めに決まれば、プレシーズン練習にも最初から参加できますからね。違うユニフォームを着た姿にファンが慣れるのは時間がかかるかもしれませんが、来季は体調万全でプレーするラモスの雄姿を見ることができるのを祈っています。 そうそう、この木曜の会見にとばっちりを受けた選手もいて、実は同じ時間にはラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設ではサラビア(PSG)の記者会見が予定されていたんですが、やっぱり代表番とマドリー番の記者が被るメディアが多いせいですかね。こちらは30分繰り上げてやっていましたが、今週のスペイン代表は月曜にグループリーグ初戦でスウェーデンとスコアレスドローした後、水曜がオフに。といっても合宿が始まって以来のバブル体制は変わらないため、選手たちは外出も家族との面会もできず。そこで1回目の休養日同様、チーム全員でバスに乗って、マドリッド郊外のレストランへランチに出かけたりしていたんですが、ブスケツ(バルサ)以外、ディエゴ・ジョレンテ(リーズ)も擬陽性と、コロナ感染者は出ていませんからね。そのくらいの息抜きは許してあげないといけないかと。 そして木曜、金曜は練習となったんですが、いやあ、ここ数日、スペインは気温がいきなり10℃程下がって、今はセビージャ(スペイン南部)もあまり暑くないんですよ。それでも前日のセッションをカルトゥーハでやらなかったのはピッチの状態が気になったから?そう、スウェーデン戦の後、ルイス・エンリケ監督がそこここで黄色くなっていたり、穴が開いたりする芝に不満を訴えたため、協会が大慌てで整備しているんですが、何せ、土曜のポーランド戦まで、あまり時間がありませんからね。せいぜい肥料を撒いたり、日のあまり当たらない場所にライトを当てたりぐらいしかできないんですが、今となれば、どうして4月19日に今季のコパ・デル・レイ決勝があった後、芝の総張替えをしなかったのか、大いに悔やまれるところ。 ユーロの会場が有観客を保証できないビルバオ(スペイン北部)から、カルトゥーハに変更されたのは、その決勝の6日後でしたから、十分、余裕はあったはずですけどね。直接、様子を確かめるためか、相手のポーランドは金曜にスタジアム練習をしていましたが、とにかく、スペインの課題はユーロ直前のポルトガルとの親善試合から続くゴール日照り。シュートはかなり撃つんですが、敵GKに弾かれたり、枠を外れたりと精度が悪く、おかげでモラタなど、完全にスペインサポーターから、pito(ピト/ブーイング)の標的にされてしまったから、さあ大変。今季、リーガでサラ(スペイン人の得点王)となったジュラール・モレノ(ビジャレアル)推しが増えたのもあってか、ルイス・エンリケ監督がわざわざ、「Mañana jugamos con Morata y diez más/マニャーナ・フガモス・コン・モラタ・イ・ディエス・マス(明日はモラタとその他10人がプレーする)」と先発予告までする破目になっていましたっけ。 ただ、ポーランドの方も初戦はスロバキアに1-2と負け、黒星発進と、バイエルンのレジェンドと化したFWレバンドフスキを擁しながら、あまり勝ち星に恵まれていないんですよ。それこそ、1月にパウロ・ソウサ監督が赴任してから、6試合で勝ったのがアンドラ戦だけという有り様なんですが、怖いのは木曜に先行開催となったグループEの試合でスウェーデンがスロバキアに1-0で勝利。その結果、スペインに負けると敗退決定という絶体絶命の危機に陥ってしまったため、これは窮鼠猫を噛む状態になる危険性もあったりする? 逆にスペインが負けたら、負けたで、グループ最終戦のスロバキア戦で勝ってもグループリーグ敗退の可能性が出てくるため、もうここは歯を食いしばってでも勝ち点3を手に入れないといけません。そうそう、金曜の夕方には、チームがセビージャに移動する前にとうとう隔離期間が終わり、PCR陰性が出たブスケツが合流するという朗報も。ルイス・エンリケ監督によると、当人はずっと無症状で、バルセロナの自宅でトレーニングしていたため、「Estaría en condiciones de participar/エスタリア・エン・コンディシオネス・デ・パルティシパル(試合に出られるコンディションだ)」そうですが、ベンチ入りするかどうかは試合の日の朝、決めるようです。 その他、1試合目から、スタメンの変更があるとしたら、フェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)の代わりに右のFWとしてジュラール・モレノを入れ、モラタ、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)の3弾頭で得点を狙うといったぐらいですが、果たして土曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのポーランド戦でスペインは初勝利を掴むことができるのか。せめて24チーム中16チームが突破できる激甘グループリーグぐらいはクリアしてもらいたいものですが、だんだん大会が進むにつれ、イタリア、ベルギー、オランダ、フランスなど、強いチームがはっきりしてきましたしね。 金曜には、コロナ感染予防のための規制緩和を4週間延期することにしたイギリス政府が入国者の10日間隔離措置を続けると、国外からの招待客が観戦に行けず。特例入国を認めない限り、ウェンブリー開催予定だった準決勝、決勝をスタンドフルオープンのプシュカス・アレナに変更すると、UEFAが脅しているなんて話も聞きましたが、黄金の日々は去り、最近は結構、16強対決でも負けることが多いスペイン。今の時点ではまだまだ、そんな先のことは想像つかないんですよね。 そのブダペストでは同じ土曜にハンガリーvsフランス戦もあって、こちらには来季、マドリーの第1キャプテンとなるかもしれないベンゼマや、あと1年契約を残しながら、この夏には河岸を変えたがっているというバラン。更には今回、ベルナベウでのメガプレゼンはできなくとも、ペレス会長が獲得にかなり前向きなエムバペ(PSG)もいるため、興味をそそられる試合でもあるんですが、マドリッド勢を追う私として、やっぱり気になるのは日曜午後9時から、ラージョが戦う1部昇格プレーオフ決勝ジローナ戦2ndレグ。 何せ、先週の1stレグで2部の弟分はエスタディオ・バジェカスでプレーしながら、1-2と不覚を取ってしまいましたからね。今季のリーガの試合はこれで本当に最後の最後ですし、スペインも来週の土曜からは屋外でのマスク着用義務が解除されるとあって、来季はどのスタジアムでも有観客試合となる線が濃厚。となれば、観戦オプションを増やすため、是非ともマドリッド1部4チーム体制が復活してもらいたいものですが、さて。remontada(レモンターダ/逆転劇)にはモンティリビで0-2の勝利が必要とちょっと、ハードルは高いものの、ラージョがエスパニョール、マジョルカに続く、第3の昇格チームになって、ファンを喜ばせることができたらいいですよね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2021.06.19 18:30 Sat
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最近はどこも観客がいる…/原ゆみこのマドリッド

「昔は当たり前だった光景が異様に感じられる」そんな風に私が息を飲んでいたのは火曜日、スペインでユーロは全ての試合がオープン放送と自宅で見られるため、ちょっとTVをつけてみたところ、ハンガリーvsポルトガル戦ではプシュカス・アレナのスタンドが超満員。ソーシャルディスタンスもマスクもなしで、一番上の席まで人でぎっしり埋まっているのを目撃した時のことでした。いやあ、この1年遅れのユーロ2020はUEFAから有観客試合を義務付けられ、コロナ感染予防の観点から、地元の自治体がそれを保証できなかったビルバオ(スペイン北部)とダブリン(アイルランド)では開催できなくなってしまったんですけどね。 とはいえ、キャパの何%まで入場を許可するかは各自治体の裁量に任されているんですが、11都市の開催スタジアム中、フルオープンとなったのはブダペストにあるプシュカス・アレナだけ。聞けば、人口480万人のハンガリーはすでにワクチン供給が860万回分に及び、49%が接種済みで、ここ2週間は10万人当たりの新規感染者数も38人程度とほぼコロナを抑え込んでいるからだそうですが、確かに同スタジアムではイギリスが厳しい入国者隔離政策を採っていた2月3月など、CL16強対決のライプツィヒvsリバプール戦の2試合を引き受けたりもしていましたからね。 その頃から、ちゃんとコロナをコントロールしていたとなると、ただただ感心するばかりですが、やっぱり自分的にはまだ、スタジアムで隣の席に人がいるなんて問題外。先日、1万5000人が入場したワンダ・メトロポリターノでのポルトガルとの親善試合やこの月曜、1万6000人を迎えたセビージャ(スペイン南部)のカルトゥーハでのスペイン代表ユーロ開幕戦、スウェーデン戦ぐらいの観客ポツポツ感が丁度いい気がしますが、え?満員になると、pito(ピト/ブーイング)の音量も増して、可哀そうな選手がいるからっていうのも、まあ、あったりはしますかね。 とりあえず、ユーロの話をする前に先週末の日曜にエスタディオ・バジェカスであった1部昇格プレーオフ決勝1stレグがどうだったのか、伝えていくことにすると。今回は時間的な余裕があったこともあり、クラブのネット販売で問題なくチケットを手に入れた1500人のラージョファンも粛々と入場できたんですが、やっぱり現れたんですよ。次男のGKルカを応援するため、奥さんのベロニクさんと新シーズンはロデーズ(フランス・リーガ2)でプレーすることになった長男のエンツォを連れて、先月、辞任を告げるcarta(カルタ/手紙)を残し、記者会見もなしにレアル・マドリーを離れたジダン監督が。 私ですら期待するぐらいですから、当然、目ざといスペインマスコミが張っていない訳もなく、しっかりGol(ゴル/スポーツ専門TV局)のレポーターに捕まっていましたが、いくら「Tu trabajo es de vergüenza/トゥ・トラバッホ・エス・デ・ベルグエンサ(君の仕事は恥ずべきものだ)」とジダン監督に非難されたとて、別に彼だって、好きでマイクを突きつけている訳でもなし。局から言われてやっているだけではないかと思いますが、レポーターと顔見知りだったジダン監督が何とか、相手を丸め込んで、その映像は終了することに。とはいえ、彼がスタンドから見守っていたジローナとの試合の方はあまりラージョにはいい結果が出なくて…。 いえ、プレーオフ準決勝で同じマドリッド勢の2部仲間、レガネスに連勝した余波もあったか、イラオラ監督のチームは序盤から、積極的に攻めていたんですけどね。その甲斐あって、早くも前半5分にはGKファン・カルロスとDFのクリアミスから、イシが先制点をゲット。正面スタンドとフォンド・スール(ゴール裏南側スタンド)の協議委員会による処分で閉鎖された中央部以外に座ったファンたちも大いに沸いたものでしたっけ。その後もラージョは「hoy nos tuvo encerrados en nuestro campo media hora/オイ・ノス・トォ・エンセラードス・エン・ヌエストロ・カンポ・メディア・オラ(30分間、ウチを自陣に閉じ込めた)」(フランシスコ監督)ものの、ここで追加点が奪えなかったのが、仇になるとは。 昨季もプレーオフ決勝でエルチェに負け、昇格直前で涙を飲んだジローナもその程度では挫けず、41分には自陣からのロングパスをシラが受け、エリア内奥から折り返したボールをフランケサが決めて同点としただけでなく、ハーフタイム直前にもブストスのヘッドがゴールに。幸い、こちらはVAR(ビデオ審判)でシュート時のハンドを取られたため、1-1のまま、後半を迎えたんですが、まさか、再開して1分も経たないうちに今度はフランケサのラストパスをシラに流し込まれ、あっという間に逆転されているって、一体、どうしたらいい? それ以降はジローナの動きが極度に遅くなり、早く追いつきたいラージョの選手たちはフラストレーションを溜めていったんですが、まあ、彼ら自身も同じことをブタルケ(レガネスのホーム)でやっていましたからね。相手を非難する道理もないんですが、いよいよ、試合も大詰めとなった45分、ポソのシュートが決まりながら、こちらもVARでウジョアのオフサイドがバレて、2-2にできなかったのは本当に残念だったかと。うーん、今シーズンのラージョはremontada(レモンターダ/逆転劇)による勝利が7試合と、2部では一番多かったようなんですけどね。 イラオラ監督も「si hay alguien que lo puede conseguir somos nosotros/シー・アイ・アルギエン・ケ・ロ・プエデ・コンセギール・ソモス・ノソトロス(もし誰か、達成することができるなら、それは自分たち)」と言っていたんですが、果たして今週日曜午後9時からのモンティリビで彼らは0-2以上の勝利を挙げることができるのか。うーん、その日は奇しくもラージョの正GKディミトリエフスキもユーロ初出場のマケドニアのゴールを守り、バジェカスの試合が始まる直前に終わったオーストリア戦で3-1と敗戦。別にルカが悪いGKということはないんですが、シーズン通して、チームのプレーオフ出場に大いに貢献しながら、肝心な1部昇格を決めるための試合に出られないというのも何だか、サッカー界のスケジューリングがおかしいような気がしないでもありません。 その間、ユーロの方も土曜には8月にマドリーに戻って来るのかどうか、6年ぶりに復帰したアンチェロッテイ監督もヤキモキしているだろうベイルのいるウェールズがスイスと1-1で分け、GKクルトワ、アザールがお隣さんのカラスコと肩を並べるベルギーはロシアに3-0と快勝。日曜もサウスゲート監督の下、本職の右SBではなく、左SBを拝命、まさか同僚のベルサイコと真正面からぶつかるとは当人も思っていなかったでしょうが、芸域を広げてシメオネ監督を喜ばせているトリピアーのいるイングランドがモドリッチ率いるクロアチアに1-0で勝った後、月曜にはスペインと同組のスロバキアがレバンドフスキ(バイエルン)のいるポーランドを1-2で破るという波乱が。 その直後、スペインのユーロ初戦が始まったんですが、試合にはスウェーデンのファンも3000人ほど来場。もう地中海沿岸のリゾートタウンは完全に国外からの観光客を迎える態勢になっていますし、早めのバケーションを兼ねてやって来た人も多かったと思いますが、ハンガリーとは異なり、こちらはまだ観客全員がマスク着用、場内の飲食及び喫煙禁止という、ちょっと厳しい規則があるんですよ。何せ、カルトゥーハでは4月に行われた昨季と今季のコパ・デル・レイ決勝ですら、無観客開催でしたからね。スタンドから、応援の声が聞こえるのは選手たちにとっても嬉しかったはずですが、それとももしかして、1年以上、静かな環境でプレーしていたせいで、逆に上がってしまった? だってえ、完全にボールを支配したスペインは前半11分、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)の強烈ヘッドをGKオルセン(エバートン)にparadon(パラドン/スーパーセーブ)されたのから始まって、いえ、エリア内にひょっこり顔を出したコケ(アトレティコ)の2本のシュートが外れたのは仕方ないんですけどね。37分、ジョルディ・アルバ(バルサ)から、ラストパスを受けたモラタ(アトレティコからレンタルして昨季はユベントスでプレー)がまさか、あんないい位置からのシュートを外してしまうとは!その後、40分にはイサク(レアル・ソシエダ)のシュートが枠内に飛び、反射で脚を出したスタメン右SBのマルコス・ジョレンテ(アトレティコ)に当たると、更にポストにも当たってGKウナイ・シモン(アスレティック)がキャッチするというドッキリなどもあったんですが、またしても後半4分、モラタが絶好機で決められなかったことから、不幸が始まります。 ええ、それはワンダ・メトロポリターノでの親善試合とまったく同じパターンで、会場のスペイン人ファンたちから、ブーイングされる破目になったんですが、別に彼だけではないんですよ、「Hemos sido superiores a un rival que ha decidido defender y defender/エモス・スペリオーレス・ア・ウン・リバル・ケ・ア・デシディードー・デフェンデール・イ・デフェンデール(ウチは守って守り倒すことを決めていた相手より上だった)」(ルイス・エンリケ監督)スペインでゴールを決められかったのは。後半21分にブーイングを浴びながらモラガがロドリ(マンチェスター・シティ)と共に退き、サラビア(PSG)とチアゴ・アルカンタラ(リバプール)が入っても大して状況は変わらず、29分にはいよいよ、国産ピチチ(得点王)のジェラール・モレノ(ビジャレアル)、オジャルサバル(レアル・ソシエダ)も満を持しての登場となったんですが、期待の前者もオルセンにヘッドを弾かれていましたからね。 結局、そのまま最後まで点を取れなかったスペインはスウェーデン戦をスコアレスドローで終了。それどころか、後半15分にイサクからのパスをフリーのベリ(クラスノダール)が天に撃ち上げていなければ、負ける危険性さえあったんですが、そのせいもあってか、ルイス・エンリケ監督は試合後、「ピッチはあまり助けになってくれなかった。あんないい選手たちが、ボールコントロールできないのを見せられれば…Necesitamos que el césped esté major/ネセシタモス・ケ・エル・セスペッド・エステ・メホール(もっと芝がいい状態であることが必要だ)」と、時間が経つにつれ、穴ぼこが増えていったのに文句を言っていたんですかね。おかげでカルトゥーハの整備員が夜中の1時まで働かされたなんてこともあったんですが、シュート自体は17本も撃っていたため、やはりポルトガルとの親善試合同様、問題なのは精度の方では? まあ、その辺はツキもありますし、モラタだって、アトレティコ時代のCL16強対決リバプール戦2ndレグ延長戦で殊勲の決勝ゴールを挙げたFWですから、「en el próximo partido igual mete tres y calla la boca a todos/エン・エル・プロキシモ・パルティードー・イグアル・メテ・トレス・イ・カジャ・ラ・ボカ(次の試合では3ゴール入れて、世間を黙らせるかもしれない)」(ラポール/マンチェスター・シティ)という可能性もない訳じゃないんですけどね。ただ、こうも味方であるファンからブーイングが続くと、いくら18才でスペイン最年少のユーロ出場を遂げたペドリ(バルサ)が、「creo que Morata sabe sobrellevarlo y el próximo partido marcará/クレオ・ケ・モラタ・サベ・ソブレジェバールロ・イ・エル・プロキシモ・パルティードー・マルカラ(モラタは耐えることを知っていると思うし、次の試合ではゴールを入れるよ)」と持ち上げてくれたとて、当人は落ち込んでいるかも。 実際、ユーロは短期決戦のため、ルイス・エンリケ監督が土曜のポーランド戦でCFをジェラール・モレノに代えたとしても全然、不思議はありませんからね。でもそうなったとて、去年の夏、コロナによる中断をはさんだ後のCL準決勝ライプツィヒ戦でスタメンに使われなかったせいで、シメオネ監督が自分を信頼してくれないとアトレティコをあっさり見限り、ユベントスに移った時のようにスペイン代表から、おいそれと他の国の代表に変われる訳もなし。ダメでもダメでも挑戦し続け、最後はリーガ優勝に繋がるゴールを入れて英雄になった、昨季まで同僚だったコレアのような選手だっているんですから、ここはモラタにも気をしっかり持ってもらわないと。 え、今回のユーロも参加24チーム中、8チームしか、グループリーグでは敗退しないという、決勝トーナメント進出檄甘の大会なんだから、初戦で勝てなくても痛くも痒くもなくないかって?まあ、それはその通りで実際、同形式だったユーロ2016で優勝したポルトガルもグループリーグでは3引き分けで3位通過。そんな例もあるため、コケなども「Mucha gente no confía en nosotros y eso nos va a hacer más fuertes/ムーチャ・ヘンテ・ノー・コンフィア・エン・ノソトロス・イ・エソ・ノス・バ・ア・アセール・マス・フエルテス(多くの人々はボクらのことを信じてなくて、それが自分たちをより強くするだろう)」なんて、完璧にアトレティコが優勝争いしていた時と同じ台詞を言っていたんですけどね。 とはいえ、いつの間にやら、前回王者のポルトガルは後半39分から実力を発揮。ジョアン・フェリックス(アトレティコ)がベンチから見守る中、ラファエル・ゲレロ(ドルトムント)が口火を切った後、42分にはクリスチアーノ・ロナウド(ユベントス)がPKを決め、ロスタイムにも自身2点目を挙げて、0-3で圧勝と、どんなにプシュカス・アレナがハンガリーのファンでいっぱいになっても、強いチームにとっては問題ないということを証明していましたしね。 その後のフランスvsドイツ戦も結果はフンメルス(ドルトムント)のオウンゴールにより、2018年W杯王者が1-0の僅差勝利だったとはいえ、オフサイドで認められなかったエムバペ(PSG)とベンゼマ(マドリー)のゴールを見るだけで、スペインとの決定力の差がヒシヒシと伝わってくるんですが…いえいえ、まだユーロは1節目が終わったばかり。月曜の試合後はすぐにラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設に戻り、ポーランド戦に向けての練習を始めたチームにはブスケツ(バルサ)がコロナ隔離明けで水曜には合流できるという話もありますし、若い選手が多い今回は短期で急激に成長してくれるかもしれませんよ。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2021.06.16 23:00 Wed
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ユーロは始まったけど…/原ゆみこのマドリッド

「絶対、暑さまでは考えてなかったわね」そんな風に私が首を振っていたのは土曜日、前日のセビージャ(スペイン南部)市内の街頭気温表示が41℃になっているのをTVで見た時のことでした。いやあ、ここ数日はマドリッドも一気に真夏モードに突入、お昼を食べた後、うっかり街に用事を済ませに行った自分もシェスタ(お昼寝)の時間帯の外出は命にかかわるんだったということを思い出しながら、クラクラして帰って来たなんてこともあったんですけどね。 これがまだ、当初の開催地ビルバオ(スペイン北部)だったら、まだマシなんでしょうが、地元の自治体がサン・マメス(アスレティックのホーム)での有観客試合をUEFAに保証できず、OKが出たカルトゥーハに代わったのはともかく、皆、頭にあるのはコロナのことばかり。1万6000人の観戦客にPCRや抗原検査陰性証明を義務付けするのは撤回されたものの、この時期のセビージャの想像を絶する酷暑を忘れていたって、ちょっと東京オリンピックに似ていない? まあ、そうは言っても去年もコロナによる中断の後、再開したリーガでは6月、7月にサンチェス・ピスファン(セビージャのホーム)でもベニト・ビジャマリン(同ベティス)でも試合をしていた訳ですから、プレーできなくはないんですけどね。一応、用心はしたか、今週もラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設で合宿を続けているスペイン代表は、「Estamos entrenando a las horas de más calor para adaptarnos a Sevilla/エスタモス・エントレナンドー・ア・ラス・オラス・デ・マス・カロール・パラ・アダプタールノス・ア・セビージャ(セビージャに慣れるため、一番暑い時間帯に練習している)」(ルイス・エンリケ監督)と、意図的にセッションの時間を午後6時近辺に設定。 その近辺とあやふやな表現なのは、日曜夜にブスケツ(バルサ)のPCR検査陽性が判明して以来、チームは最多8人の少人数グループに分かれての個人練習になってしまったから。都合3セッションに付き合わないといけなくなったルイス・エンリケ監督が誰より、日焼けしているのは当然だったかと。おまけに来週火曜のユーロ初戦で戦うスェーデンは気温15℃のストックホルムで、続くポーランド、スロバキアもせいぜい20℃ちょっとの地元で練習しているとあって、30℃以上の環境で鍛えれば、スペインの体力的有利は揺るがないということでしょうが、いやあ。 何せ、このヨーロッパ11都市で開催されるこの広域ユーロはグループリーグこそ、3試合ともスペインはセビージャ開催ですが、参加24チーム中、各グループの1位と2位、成績上位の3位4チームが進む、甘々決勝トーナメント16強対決では国外遠征の可能性が濃厚。そう、グループ1位突破なら、グラスゴー(スコットランド)でグループA/B/C/Dの3位と、2位突破なら、コペンハーゲン(デンマーク)でグループD2位と、3位で突破した時のみ、カルトゥーハでグループB1位と4試合目を戦うことになり、もう帰って来ないとなれば、過密日程だったシーズンを終えたばかりの選手たちだけにあまり、暑い中、ムリさせない方がいいかもしれませんよね。 え、それにしたって、今週のスペイン代表は毎日、毎日、PCR検査三昧で大変そうじゃなかったかって?その通りで一応、順番にお話ししていくことにすると、ブスケツが車でバルセロナ(スペイン西部)の自宅に強制送還された後、月曜にはディエゴ・ジョレンテ(リーズ)もPCR陽性に。こちらはレアル・マドリーのカンテラ(ユース組織)育ちだけあって、マドリッドにある実家に救急車で送り帰されたんですが、おかげであと1人、陽性が出たら、クラスター発生になると代表合宿は大厳戒態勢に入ります。当然、テストマッチもできないので、月曜夜には先週木曜にU21ユーロ準決勝でポルトガルを前に敗退。バケーションに入ったばかりの若い選手たち、20人が超特急で集められ、火曜の親善試合リトアニア戦に備え、1回だけのセッションを行ったんですが…。 大丈夫でしたよ。A代表の親善試合というカテゴリーを変える訳にはいかなかったため、このリトアニア戦では総勢16人が一気にA代表デビュー。ククレジャ(ヘタフェ)など、お隣さんのブタルケ(レガネスのホーム)でいきなりキャプテンデビューしていましたが、彼らの多くはこれで所属クラブから代表戦出場ボーナスがもらえるとなれば、バケーションを中断して駆けつけた甲斐は十分あった?経験者はすでに3月にルイス・エンリケ監督の下でプレーしていたブライアン・ヒル(セビージャからレンタルして昨季はエイバルでプレー)だけでしたが、当人は先日に続いて、2019-20シーズンもブタルケで2部降格しているだけにちょっと、苦い思い出が蘇ったかも。スタンドの入りも先週日曜の1部昇格プレーオフ2ndレグ、レガネスvsラージョ戦には遠く及ばなかったものの、代表の後輩選手たちは本当に効率が良くてねえ。 ええ、前半4分にはCKから、早くもギジャモン(バレンシア)が先制点を挙げたかと思えば、24分にはブライム(マドリーからレンタルで昨季はミランでプレー)が2点目をゲット。ブライアン・ヒルの獲得したPKはアベル・ルイス(スポルティング・ブラガ)が敵GKに弾かれてしまいましたけどね。後半も、モンカジョラ(オサスナ)のコロナ陽性でU21ユーロメンバーに急遽、追加招集、スロベニアでは出番をもらえなかったものの、昨季はジダン監督に中盤の助っ人として、重宝されていたブランコ(RMカスティージャ)が2階級特進でA代表デビューとなったのに私が驚いている間にミランダ(ベティス)が直接FKを決めて3点目。最後は38分にプアド(エスパニョール)が仕上げして、4-0の大勝となれば、ラス・ロサスの合宿所でソーシャルディスタンスを保ってTV観戦していた先輩たちも安心したかと。 数日前から、バルデベバス(バラハス空港の近く)のマドリー練習場を借りて、トレーニングをしていたというリトアニアもこれでは面目が立ちませんが、実はU21メンバーのお勤めはこの試合だけで終わらず。そう、日曜月曜にはロドリゴ(リーズ)、フォルナレス(ウェストハム)、カルロス・ソレル(バレンシア)、ブライン・メンデス(セルタ)、アルビオル(ビジャレアル)、ケパ(チェルシー)を別途招集し、ラス・ロサスでburbuja paralela(ブルブハ・パラレラ/平行バブル)として、元祖招集メンバーから更なるコロナ陽性が発生した場合に交代要員となるべく備えていたグループにU21からも11人が参加することになったんですよ。その横でサッカー協会は関係省庁に代表選手の即時ワクチン接種を交渉していたものの、これもまた、口を出す行政当局が多すぎたか、ようやく実現したのが金曜だったって、いや、ちょっと遅すぎなくない? うーん、当日にはスペイン軍の医療部隊がラス・ロサスにやって来て、すでにコロナ感染済みで抗体のある8人、ガヤ(バレンシア)、オジャルサバル(レアル・ソシエダ)、チアゴ・アルカンタラ(リバプール)、ラポール、エリック・ガリシア、フェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)、ファビアン・ルイス(ナポリ)、アダマ・トラオレ(ウォルバーハンプトン)は2回目の必要なしとしてファイザー製を、残りの選手たちには1回で済むものの、スペイン国内では血栓予防のため、50才以下には使っていなかったジョンソン・アンド・ジョンソン製が投与されたんですが、どちらも効果が現れるのは2週間後と、グループリーグが終わってからですからね。 ルイス・エンリケ監督も「Nos hubiera gustado que se hubiera hecho en el momento oportuno, que era después de la lista official/ノス・ウビエラ・グスタードー・ケ・セ・ウビエラ・エッチョー・エン・エル・モメントー・オポルトゥーノ、ケ・エラ・デスプエス・デ・ラ・リスタ・オフィシアル(もっと適正な時期にやった方が良かった。招集リスト発表の後にね)」と言っていたように5月24日以降すぐ、もしくは31日に合宿を開始した直後に打てなかったんだという不満も代表関係者にはあるんですが、何せ、最初のタイミングではまだEL決勝(ビジャレアルのパウ・トーレスとジェラール・モレノ、マンチェスター・ユナイテッドのデ・ヘア)やCL決勝(ロドリを加えたマンチェスター・シティ勢、チェルシーのアスピリクエタ)を控えていた選手が多かったですしね。それこそ副反応が怖くて、接種などできなかったはずですが、となれば、初戦の3日前というのもあまりお勧めできなくない? 先週、クルセフスキ(ユベントス)、スバンベリ(ボローニャ)と2人のコロナ陽性を出した最初の対戦相手、スウェーデンがワクチン接種をしなかったのもその辺に理由がありそうですが、実は金曜には朗報も。というのも月曜に強制帰宅させられていたディエゴ・ジョレンテが、当人も「No era alguien que hubiera estado en contacto estrecho con Busquets/ノー・エラ・アルギエン・ケ・ウビエラ・エスタードー・エン・コンタクトー・エストレッチョー・コン・ブスケツ(自分はブスケツと濃厚接触していた訳じゃないのに)」と不思議がっていた通り、3日連続、PCR陰性となり、疑陽性だったことが判明。金曜には晴れて、再合流を許されたのは良かったかと。 まあ、それは夕方だったため、午前中のワクチン接種会には間に合わず、彼1人だけ打ってないんですけどね。金曜のランチでGKウナイ・シモン(アスレティック)の24才のバースデーを祝ったームメートたちからも、その映像を見た限り、合宿所でオープンテラスでの個食徹底というのは本当だったか、新たな陽性者は出ていません。そして、セルヒオ・ラモス(マドリー)が招集されなかった今回、メンバー中、最多の114試合出場でキャプテンとなったブスケツをチームの支柱と見なすルイス・エンリケ監督が初戦には間に合わずとも、2試合目までには陰性になって復帰してくれることに賭けたため、市内のホテルから、5日間、ラス・ロサスに練習に通っていたヘルプメンバー計17人は誰も本招集されることなく、土曜には解散。まあ、実際は試合当日までコロナによる選手交代は可能とはいえ、いつまでも無償奉仕はさせてはおけないってことでしょうか。 そんなスペイン代表は土曜夕方には副反応が出る選手もいなかったか、とうとうチーム練習を再開。久々だったため、セッションは2時間も続いたそうですが、月曜午後9時(日本時間翌午前4時)の試合まで、皆で動きを合わせる機会はあと、日曜1回しかありませんからね。セビージャへは前日移動となり、試合後はまたラス・ロサスに戻って来るんですが、ワクチン接種は終わったとはいえ、感染可能性はある訳ですから、道中、気をつけるに越したことはいかと。 とりあえず、ユーロ自体は金曜にスタディオ・オリンピコ・ディ・ローマ(ローマのホーム)での開会式の後、トルコvsイタリア戦(0-3)で始まっているんですが、土曜はウェールズvsスイス戦(1-1)がバクー(アゼルバイジャン)、途中、エリクセン(インテル)が意識を失って倒れたため、中断があったデンマークvsフィンランド戦(0-1)がコペンハーゲン、ベルギーvsロシア戦(3-0)がサンクトペテルブルク(ロシア)と場所がバラバラのせいですかね。大勢の観客が入ったスタンドは新鮮だったものの、まだスペイン国内でユーロの盛り上がりはない感じです。 え、代表もいいけど、日曜には1部昇格プレーオフの1stレグもあるんだろうって?いやあ、その通りで、それもラージョが準決勝で弟分仲間のレガネスを下したため、来季のマドリッド1部4チーム体制復活を懸けて、ジローナをまずはエスタディオ・バジェカスに迎えるんですよ。ただねえ、今度は時間の余裕があったため、システムエラーもなく、1時間半で25ユーロ(約3500円)のチケット1500枚を完売できた彼らだったんですが、その後になって、予期せぬ逆境が発生。というのも2019-20シーズンのアルバセテ戦で起きたウクライナ人選手ゾズリャをナチよばわりした野次への処分が協議委員会から通達され、主犯と見なされたブカネーロス(ラージョのウルトラ)が陣取っていたfondo sur(フォンド・スール/ゴール裏南側席)をこのジローナ戦では閉鎖しないといけないことになったから。 それはちょっと、スタジアムはバックスタンドが改装中で使えないだけに、前回のレガネス戦1stレグに増して、正面スタンドの密を生み出すんじゃないかと心配なんですが、チームの方ではプレーオフ準決勝で負傷したベベとサベリイッチが回復。W杯予選でペルー代表に招集されていたアドビンクラもコパ・アメリカには参加しないことになったため、戻って来ているんですが、正GKのディミトリエフスキの参加しているマケドニア代表のユーロ・グループリーグは21日まで続くため、この2試合もジダン監督の次男、ルカが守護神を務めることになります。 一方のジローナは準決勝でアルメリアを総合スコア3-0で破り、今度はエースのストゥアーニもケガが治って出場できるよう。選手の70%が代わっているとはいえ、昨季もプレーオフ決勝でエルチェに負けたフランシスコ監督もリベンジを誓っているはずですしね。日曜午後9時からの対戦は、果たしてどちらがアドバンテージを得られるのでしょうか。ちなみに決勝2ndレグは19日の土曜なんですが、バッチリ、スペインのグループ第2戦ポーランド戦と重なるのはともかく、昇格が決まっても場所はモンティリビ(ジローナのホーム)。2011年の昇格時にエスタディオ・バジェカスで私が目撃した、ピッチにファンが溢れかえるという光景だけは絶対ありえないのは、こんなコロナ流行の折りですし、いいことかもしれませんね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2021.06.13 22:30 Sun
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ようやくスタジアムに人が戻った…/原ゆみこのマドリッド

「応援できてもファンにはゴールは入れられないのよね」そんな風に私が達観していたのは土曜日、マドリッド勢弟分同士のプレーオフ準決勝ガチンコ対決の2ndレグではブタルケに1500人が入れると読んだ時のことでした。いやあ、昨年6月に再開して以来、今季になってもずっと無観客試合が続いていたスペインリーガですが、5月半ばから、とうとう1部2部でもコロナ感染者の少ない州のスタジアムでファンの入場が解禁に。残念ながら、基準に達しなかったマドリッドは対象とならず、通常シーズンは無観客のまま終えたんですが、この1部昇格プレーオフではファンの入場が認められ、日曜開催となるレガネスなど、ファンの復帰に備えるプロモビデオまで作成する余裕があったんですけどね。 おまけにインターネットで予約を受け付け、abonado(アボナードー/年間チケット購入者)歴の長い順に割り当てたチケットは無料と至れり尽くせりだったんですが、いえ、大体がして、先週、ブタルケではコパ・デ・レイナ決勝のバルサvsレバンテ戦(4-2)が開催され、それも含めて女子の試合は今季ずっとキャパ制限ありの有観客。よって、その日も3000人以上のファンを迎えていたため、シートなどはもうキレいになっていたと思うんですけどね。ただ、いくらラージョのイラオラ監督が「今はホームチームのアドバンテージが本当にある。満員でなくても、無人のスタンドから、200人、300人のファンがいるようになるのは…La diferencia es muy grande/ラ・ディフェレンシア・エス・ムイ・グランデ(違いはとても大きい)」と言っていたとはいえ、レガネスが1stレグの差を覆すのはほとんど奇跡に近いのでは? とりあえず、まずは木曜にエスタディオ・バジェカスであった1stレグがどんな試合だったか、お伝えしていくことにすると、実はマドリッド当局が有観客を許可したのは当日のお昼頃で、それからラージョは大急ぎでチケットのオンライン販売を開始。ところが準備の時間があまりに短かったためか、3、4時間程の受付時間中にシステムが不具合を起こし、カードで25ユーロ(約3500円)のチケット代を払い込んだものの、確認メイルが届かないファンが続出したんですよ。私は早めにスタジアムに入っていたため、数十人のファンが列を作っているところしか見ていないんですが、キックオフ時刻間際にはもう大騒ぎになっていたようで、最後は皆、hoja de reclamacion/オハ・デ・レクラマシオン(クレーム用紙)に記入させられて、座席指定もなしで、874人のチケット購入者たちが、解放された正面スタンドになだれ込んでくることに。 もうこうなると、数席おきに座るソーシャルディスタンスも何もあったもんじゃありませんが、大丈夫。まだパラパラ人が入って来ていた前半は両チームとも慎重というか、不活発というか、スコアも0-0で終わります。でもねえ、最初は昨年3月8日のエルチェ戦以来の来場で、どこかぎこちなかったファンの応援がようやく、足並み揃ってきた後半30分近く、一気にラージョが畳みかけてきたから、ビックリしたの何のって。ええ、まずはイシのクロスをアルバロがゴール前から決めて先制すると、その3分後には途中出場していたベベがエリア前からシュートを撃って、2点目をゲット。それだけでもレガネスには大痛手でしたが、まさかロスタイムにもベベが接触プレーにより、肩を痛めたにも関わらず、根性で蹴った直接FKをGKリエスゴが弾ききれず、3点目を奪われているって、ファンの応援はそこまで影響ある? 実際、久々の有観客試合とあって、この日はスタジアムDJのゴールアナウンスも1点目、2点目はタイミングが何だか変で、3点目になって、ようやくちゃんと音楽とも合うようになった感じだったんですが、まったくねえ。シーズン最終節ではサラゴサに0-5とgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らわし、決定力が格段に改善されたかのように見えたのも空しく、前日の準決勝ジローナvsアルメリア戦同様、レガネスも1stレグで3-0という、かなり決定的に近い敗北を喫してしまうとは。 うーん、アシエル・ガリターノ監督は「Si ellos han podido marcar tres goles en 90 minutos, ¿por qué no nosotros?/シー・エジョス・アン・ポディードー・マルカル・トレス・ゴーレス・エン・ノベンタ・ミヌートス、ポル・ケ・ノー・ノソトロス(相手が90分で3ゴール入れられたのなら、何故、ウチにできないことがある?)」と言っていましたけどね。おまけに日本人ファンにとってはショックなことに、肉離れから回復して、先週末のサラゴサ戦で途中出場した柴崎岳選手はこの日、ベンチにも入っておらず。「いい感触じゃなかった」とガリターノ監督は説明していたんですが、どうやら日曜午後9時(日本時間翌午前4時)からの2ndレグにも出場できないよう。 せっかくのレガネスファンの前で初めてプレーを披露できるチャンスだっただけに、きっと当人も残念に思っているはずですが、こればっかりはねえ。ラージョの方もベベが出場できそうにありませんが、土曜にはやはり、1stレグの3点差を引っくり返せず、スコアレスドローでアルメリアが敗退。13日と20日に行われるプレーオフ決勝はジローナとラージョの対戦になりそうな気配ですが、一寸先が読めないのがサッカーですからね。総合スコアで同点となった場合、延長戦はあっても、PK戦にはならず、リーガを上位で終えたレガネスが勝ち抜けるという規則も今季はあるようですし、果たしてブタルケでの決戦がどうなるのか、私も結末を見届けに行くつもりです。 え、それで金曜にはワンダ・メトロポリターノでも待望の有観客試合があったんだろうって?その通りで、いやあ、事前にお許しが出たのはキャパ30%の2万人だったんですが、30ユーロ(約4000円)からという、スペイン代表戦にしては高額なチケットが仇となったんですかねえ。表向きは当局から、1万5000人にするようにと言われたからだそうですが、もしや完売できずに観客の人数を減らした?ワンダはバジェカスより、ずっとスタンドが広いおかげもあって、私も左右に2シートずつ、空席のある状態で密を気にすることなく、コーナー寄りのピッチに近い位置で観戦できたんですが、普段、座っている3階のプレス席とは臨場感が雲泥の差。 折しも前日にはスロベニアでU21ユーロ準決勝を戦ったスペインがクエンカ(アルメリア)のオウンゴールでポルトガルに0-1と負け、奇しくも兄貴分が2016年最後のユーロ王者に親善試合でリベンジに挑むのをこんなかぶりつきで見られるのかとワクワクしたんですが、まあ、現実はそう甘くないですよね。ご当地選手のコケが蹴りに来るだろうと楽しみにしていたCKは当人が先発しなかったため、代わりにサラビア(PSG)やチアゴ・アルカンタラ(リバプール)が担当しているし、スタメンだったマルコス・ジョレンテも右SBに任命されて、前半は対角線上の遥か彼方でプレー。ポルトガルでもジョアン・フェリックスは前線左サイドと全然、アトレティコの選手たちが自分のいる側に現れないんですから、まったくツイていない。そこへクリスチアーノ・ロナウド(ユベントス)へのpito(ピト/ブーイング)ばかりが耳についた45分間、両者無得点で終わってしまっては、やはりまだ、久々の応援に慣れていなかったファンたちが盛り上がるキッカケを掴めないのも仕方なかった? それも22分、CKからフォンテ(リール)のヘッドによるゴールがファールで認められなかったための不幸中の幸いの結果だったんですが、ジョアンがポテ(スポルティングCP)に代わった後半もゴールは双方、遠かったですねえ。スペインはモラタ(ユベントス)、フェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)、サラビアと前線のシュート精度が悪く、ロナウドも先日、レアル・マドリーの指揮官に復帰したアンチェロッティ監督が「クリスチアーノはキャリアの末期にあるのかと記者に尋ねられた時、そうだと言ったよ。何せ、今季はたった35ゴールしか入れてなくて、リズムが落ちているからね」と話していたのは単なるジョークですが、1対1になれる絶好機でボールコントロールに失敗してシュートできないとか、確かに往年の迫力はなかったかと。 結局、サラ(リーガで最多得点を挙げたスペイン人選手)のジェラール・モレノ(ビジャレアル)は終盤、入ったものの、ユーロではスタメンと予想されているダニ・オルモ(ライプツィヒ)には出番がなく、ロスタイム、最後のシュートもモラタがゴールバーに当ててしまい、そのまま試合は0-0で終了。いやあ、その際、親善なのにファンたちが「Echale huevos/エチャレ・ウエボス(根性見せろ)」と歌っていると思いきや、メロディが同じなだけで、「Morata qué malo eres/モラタ・ケ・マロ・エレス(モラタ、お前は何て下手なんだ)」と言っていたとは、いやはや。うーん、確かにアトレティコ時代にもここぞというシーンで彼がシュートを外してしまうことに頭にきていたファンがいるのも想像に難くないですが、それはダメですよ。 ルイス・エンリケ監督も「90分プレーした後、40メートル走って、GKもかわしたのに、枠に当てるという不運に見舞われた。Es para levantarse y ponerse a aplaudir/エス・パラ・レバンタールセ・イ・ポネールセ・ア・アプラウディル(これは立ち上がって拍手するべきところ)」と苦言を呈していましたが、ま、そういうのもスタンドが埋まったことによる諸刃の剣。ファンにも結構なお代を払って来たのにゴールが生まれず、歓喜を爆発させる機会がなかったフラストレーションがあったかもしれませんしね。多分、セビージャ(スペイン南部)のカルトゥーハでプレーするユーロのグループリーグでは皆、一体となって、スペインを応援してくれるはずなので、大丈夫だと思いますが、代表戦でまでゴール日照りを見せられたのは私もちょっと残念でしたっけ。 そして翌土曜には控え選手中心の練習をラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設でやった後、選手たちは日曜夜までオフに。一応、コロナ感染予防のバブル方式で合宿しているんですが、家族との面会などはできるようです。次は火曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、ブタルケでリトアニアとの親善試合が組まれているんですが、ポルトガル戦で代表デビュー。後半34分にディエゴ・ジョレンテ(リーズ)に代わるなど、ケガが心配されていた、このユーロのためにスペイン国籍を取ったフランス人のラポール(マンチェスター・シティ)も「Llevaba tiempo sin jugar y he pedido el cambio por precaución/ジェババ・ティエンポー・シン・フガール・イ・エ・ペディードー・エル・カンビオ・ポル・プレカウシオン(しばらくプレーしていなくて、用心のために交代を頼んだ)」とのことで、問題はないのは朗報だったかと。 その他、金曜の試合には調整が間に合わなかったアダマ・トラオレ(ウォルバーハンプトン)も次は出られそうですし、とりあえず、リトアニア戦には快勝して、本番を迎えてほしいところ。ちなみにラポールの交代要請のため、ピッチに入るのを見送られたGKロベルト・サンチェス(ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオン)とここ7試合、デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)を差し置いて、先発を務めているGKウナイ・シモン(アスレティック)はオリンピック代表候補にもなれる年齢で、U21ユーロが早く終わったデ・フエンテ監督は大人のユーロでプレーしなかった方を日本での戦いに呼ぶ意向とか。いやあ、こうも大会が多いとバケーションを取りっぱぐれる選手が出てきそうで、ちょっと心配ですね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2021.06.06 22:45 Sun
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