もう1つの戦いが始まる…/原ゆみこのマドリッド
2021.02.24 02:30 Wed
「とにかく不安しかないわよね」そんな風に私が溜息をついていたのは月曜日、すでに前日にはブカレスト(ルーマニア)入りしていたシメオネ監督の記者会見ライブ配信をツイッターで見ていた時のことでした。いやあ、例年であれば、リバプールと対決した昨季などと同様、イギリスメディアも大量に詰めかけたワンダ・メトロポリターノのコンフェレンスルームで、CL決勝トーナメント前の華々しい雰囲気を味わっていたはずなんですけどね。あれから1年、一向に収まらないコロナ禍のせいで、記者会見と言えば、事前にクラブに選ばれた記者がズーム越しに質問する形式はリーガも同じとはいえ、まさか、コロナ変異株隆盛によるイギリス人へのスペイン入国規制のため、ホームでぬくぬくとプレーできるはずだったアトレティコまでが海外遠征って、今季も最初から、ハードルが高くない?
いえ、それでもシメオネ監督は「Nosotros tuvimos que volar cuatro horas, el Chelsea tuvo que volar seis horas.../ノソトロス・トゥビモス・ケ・ボラール・クアトロ・オラス、エル・チェルシー・トウボ・ケ・ボラール・セイス・オラス(ウチは4時間のフライトをしないといけなかった。チェルシーは6時間…)」と、あたかも2時間、機内で過ごす時間が少なかったことをアドバンテージのように言っていましたけどね。一応、スタディオヌル・ナツィオナルは2012年、アトレティコ監督就任初年度に彼がEL優勝を遂げ、クラブに16年ぶりのタイトルをもたらしたゲンのいい場所とあって、選択肢としては悪くないですし、たとえ、ワンダでやったとしても無観客なのは同じ。となると、あとちょっとの押しが必要な時、ファンの応援が得られないのは先日のレバンテ戦と一緒ではあるんですが…。
そう、コロナ禍中の変則リーガの妙で先週は水曜に引き分けたのに続き、土曜もレバンテと戦ったアトレティコだったんですが、2019年12月のバルサ戦以来となる、ホームでの敗戦を喫してしまったんですよ。それも辛抱した甲斐あって、ようやく私も今季初めてスタジアム観戦する許可をもらえたリーガ戦だったため、気合を入れてキックオフを待っていたんですが、もしや、2月にしては珍しい程の暖かい午後4時過ぎの陽気が選手たちをシエスタ(昼寝)気分にさせてしまった?ここ6試合連続で失点している彼らの最初のヒヤリは前半7分。ロチーナが自陣から放ったロングボールに抜け出したモラレスをシュート寸前、この日はベルサイコがケガで欠場していたため、右のカリレーロ(長い距離をカバーするSB)を務めていたマルコス・ジョレンテが背中を押したため、かろうじてボールがゴールから逸れてくれることに。
これでも目を覚ますことのなかった彼らは30分、とうとう痛い目を見る破目になります。今度はレバンテが左サイドから入れたクロスをフェリペもヒメネスもクリアできず、落ちたボールを追ったコンドグビアも何をためらったか、コマンダンテ(司令官)、モラレスに先を越され、そのシュートがGKオブラクを破ってしまうんですから、困ったもんじゃないですか。おまけに後半9分には先週、超特急で左太ももの故障を治し、水曜にはバルディの先制点を招く大ポカを犯していたヒメネスがまたしても負傷。それを機にコロナ隔離から戻って来たレマルを入れ、シメオネ監督がアタッカーを増やしたのはいいんですが、ホント、今季のウルグアイ代表CBのケガの多さには悩まされますよねえ。
その後、徹底抗戦に出た彼らは14分にはルイス・スアレスのFKがゴールポストを直撃、続いてゴール前のラストパスを2度続けて、ジョアン・フェリックスが撃ち損じてみたり、21分にも彼は強烈なvolea(ボレア/ボレーシュート)を放ったんですけどね。それも水曜に大活躍した正GKアイトール・フェルナンデスではなく、この日はレバンテをコパ・デル・レイ準決勝進出に導いた23才のカンテラーノ(下部チームの選手)、カルデナスに弾かれ、いえ、当人も「ほぼレギュラーのスタメンだったから、先発を言われて、ボクもビックリしたよ。Llegué a preguntarle a Aitor si le pasaba algo/ジェゲ・ア・プレグンタールレ・ア・アイトール・シー・レ・パサバ・アルゴ(何かあったのかと、アイトールに訊いちゃうぐらいにね)」と言っていたんですけどね。
うーん、実は似たような光景は2013年のEL32強対戦ルビン・カサン戦1stレグでも私は見ていて、あの時は今や影も形もないビセンテ・カルデロンで何とか、1-1の同点にしようと、GKアセンホ(現ビジャレアル)が全員攻撃に加わったところ、逆に0-2にされてしまう始末。2ndレグでも0-1でしか勝てず、前年度王者なのに早期敗退してしまったという苦い思い出あるんですが、何より怖いのは、いえ、アトレティコの直近2得点がコレア、ジョレンテ、どちらも敵に当たってのラッキーゴールだったことからも、今季はこれまであまり不自由しなかった決定力が落ちてきているような気はしていたんですけどね。
エルモーソも「得点するのに十分なチャンスはあったけど、faltó la fortuna de meterlas/ファルトー・ラ・フォルトゥーナ・デ・メテールラス(それをゴールにする幸運が欠けていた)」と言っていたんですが、いよいよシーズンの重大局面を迎えて、ツキが変わってしまったようなのは心配かと。何せ頼りのルイス・スアレスもここ3試合不発、更にはCLのアウェイゲームでは2015年9月以来、27試合連続ノーゴールという不振を囲っていますからね。唯一、カンプ・ノウの外で得点した8月のCL準々決勝バイエルン戦も終わってみれば、2-8でバルサは大敗と焼石に水でしたし、この火曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのチェルシー戦では果たして、誰がゴールを決めてくれるのやら。最近の失点癖の方も怖いんですが、こちらはレバンテ戦では出場停止だったサビッチがサウールと共に復帰。欠場するのは2月末にFA(イングランド・サッカー協会)のサッカー活動禁止処分が終わるトリピアー、負傷のヒメネス、ベルサイコ、カラスコ、そしてまだコロナ陰性が出ないエレーラとなります。
え、CLはゼロからのスタートだけど、アトレティコはまたしてもお隣さんに距離を詰められてしまったんじゃないかって?いやあ、その通りで、レバンテ戦後のシメオネ監督はレアル・マドリーの試合が夜だったためか、まだ、「Es lógico encontrar obstáculos y luego cuando consigues el objetivo lo disfrutas mucho más/エス・ロヒコ・エンコントラール・オブスタクロス・イ・ルエゴ・コアンドー・コンシーゲス・エル・オブヘティーボ・ロ・ディスフルタス・ムーチョ・マス(障害があるのは理に適っているし、その後、目標を達成した時、より楽しめる)」と楽観的だったんですけどね。負傷者多発により、「tenemos 11 jugadores, con Courtois 12, todos los demás son canteranos/テネモス・オンセ・フガゴーレス、コン・クルトワ・オンセ、トードス・ロス・デマス・ソン・カンテラーノス(ウチには11人、クルトワを入れて12人の選手がいて、あとは皆、カンテラーノ)」(ジダン監督)という状態のマドリーがバジャドリーとのアウェイ戦を見事、勝利で飾ったその日の午後11時には実際、何を思ったことやら。
そう、イスコ以外のトップチーム選手が全員、スタメンとして出場した彼らは、いえ、序盤にGKクルトワがオレジャナ、ヤンコの連続シュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)、アルカラスの一撃も弾くなど、八面六臂の活躍で失点を防いでくれたんおかげもあったんですけどね。左太ももを痛めたベンゼマに代わり、CFを務めたマリアーノのゴールは2度共、オフサイドを取られてしまったため、前半は0-0のまま、終了することに。後半もまずはクルトワが、メンディのクリアミスから、オレジャナが放ったシュートを弾いて始まったんですが、前線がパッとしなくても、セットプレーでゴールが奪えるのが今季のマドリーの強み。まだセルヒオ・ラモスはリハビリ中でも、20分にはクロースのFKをカセミロが頭でジャストミートして、虎の子の1点を挙げているんですから、本当に羨ましい。
実際、彼はその前にもクロースの蹴ったボールを2度、ヘッドで外していて、これは3度目の正直だったんですけどね。その直後、ジダン監督がマリアーノ、アセンシオ、ビニシウスの前線をイスコ、アリーバス、そしてマドリーのトップチームデビューとなるウーゴ・ドゥーロ(ヘタフェからレンタル移籍)に総取っ替えしたように、それ以外はほとんどピンチもなく過ごしたせいでしょうか。バジャドリーのセルイオ・監督も「相手のセットプレーについては今週、ずっと守備練習をしていたが、結局、やられてしまった」と悔やんでいたんですが、勝負とはそういうもの。そのまま、マドリーが0-1で勝利し、首位アトレティコとの差を勝ち点3に縮めることになりましたっけ。
まあ、リーガに関しては次節、日曜にアトレティコがビジャレアル戦、マドリーは月曜にレアル・ソシエダ戦をプレーした後、3月7日にワンダでのマドリーダービーで雌雄を決することになるんですが、今週は前者同様にCL16強対決1stレグ第2陣のマドリーも水曜にはアタランタ戦に挑まないといけないんですよ。それがまた、間の悪いことに、「CL決勝やリーガの優勝決定戦だったら話は違うが、no vamos a arriesgar con Benzema porque la temporada es larga/ノー・バモス・ア・アリエスガール・コン・ベンゼマ・ポルケ・ラ・テンポラーダ・エス・ラルガ(ベンゼマについて、危険を冒すことはしない。シーズンは長いからね)」とジダン監督も言っていたように、ミニ肉離れのエースはもちろん、その他、8人の負傷者は誰1人、ベルガモ(ミラノから1時間の街)遠征に参加できず。
要はバジャドリー戦とまったく同じメンバーで戦わないといけないんですが、問題は先週末もセリアAでナポリに4-2と勝利していたように、アタランタは得点力が極めて高いチームだということ。となると、カセミロの頭だけでは撃ち合いには心もとないですし、おそらく3月16日の2ndレグにはケガ人も減っているはずなので、水曜午後9時からの一戦では、何が何でもremontable(レモンタブレ/逆転可能)な結果を出すのが必須。ええ、昨季の16強対決で当たったバレンシアも初戦、イタリアで4-1と大敗し、ホームではスペインでコロナ禍による最初の無観客試合となりながら、3-4まで頑張ったものの、2試合連続4失点を喰らっていますからね。エスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)での2ndレグもファンの応援は望めないですし、マドリーも3年連続16強敗退でCLが早く終わらないよう、ここは0-0とかで済ませられれば一番、いいのかもしれません。
そしてマドリッド1部の弟分、ヘタフェは金曜のベティス戦を1-0で落とし、ここ6試合白星なしとなりながら、アンヘル・トーレス会長が今週土曜のバレンシア戦、次のバジャドリー戦は様子見に。よって、ボルダラス監督の下、スランンプ脱出のための練習を続けているんですが、実は日曜には久々に今季は2部でプレーするお隣さん、レガネスの試合を見に行くことができたので、その報告もちょっとしておくと。いやあ、リーガの感染防止策もあって、キックオフの1時間前にブタルケに着いたところ、レガネスも対戦相手のテネリフェもまだスタジアム入りしていなかったのにはビックリしたんですが、理由は至極明快。
閉鎖空間であるロッカールームの使用が15分以内と定められているせいで、ホームのレガネスの選手たちは練習場で着替えてから、バスで来ると言われ、スタンドの上から、眺めていたら、いきなり途中の道に白い煙が出現。どうやら、スタジアムに入れないサポーターたちがロータリーでbengala(ベンガラ/発煙筒)などを焚いて、チームバスを見送っていたようですが、そうですよねえ。あの熱いレガネスファンたちが、ずっと無観客試合だからといって、おとなしくしているはずはなし。それも5節前にマルティ監督が成績不振で解任となり、2016年に1部初昇格を果たしてくれた英雄、アシエル・ガリターノ監督が戻って来てくれたとなれば、ますます、車で10分程の隣町のチームと来季は再び、トップリーグで肩を並べたいという願いが大きくなるのは当然だったかと。
試合の方は前節、ミッドウィークのアルメリア戦から先発復帰した柴崎岳選手もリピートしてフル出場。守備の堅かったテネリフェに手こずったものの、後半8分にはCKから、ハビ・エルナンデスのシュートが決まり、後半ロスタイムのシプチッチのゴールがVAR(ビデオ審判)でオフサイドとなったのもあって、レガネスが1-0で勝利したんですが、やっぱり物足りないですよね。終了の笛が鳴って湧き上がる歓声もなく、淡々と選手たちが引き上げていくのは。昨季、兄貴分のマドリーは無人のディ・ステファノでリーガ優勝を祝ったものの、ガリターノ監督就任から、これで5連勝。直接昇格の2位まで勝ち点3差の4位となったレガネスが1部復帰を決める際には、スタンドのファンと喜びを分かちあえるようになっているといいんですが…とりあえず、マドリッドのスタジアムに大勢が駆けつける最初の機会は木曜から始まる、55才以下の教職員を対象にしたアストラゼネカのワクチン接種会場の1つとなるワンダ・メトロポリターノとなるようです。
いえ、それでもシメオネ監督は「Nosotros tuvimos que volar cuatro horas, el Chelsea tuvo que volar seis horas.../ノソトロス・トゥビモス・ケ・ボラール・クアトロ・オラス、エル・チェルシー・トウボ・ケ・ボラール・セイス・オラス(ウチは4時間のフライトをしないといけなかった。チェルシーは6時間…)」と、あたかも2時間、機内で過ごす時間が少なかったことをアドバンテージのように言っていましたけどね。一応、スタディオヌル・ナツィオナルは2012年、アトレティコ監督就任初年度に彼がEL優勝を遂げ、クラブに16年ぶりのタイトルをもたらしたゲンのいい場所とあって、選択肢としては悪くないですし、たとえ、ワンダでやったとしても無観客なのは同じ。となると、あとちょっとの押しが必要な時、ファンの応援が得られないのは先日のレバンテ戦と一緒ではあるんですが…。
そう、コロナ禍中の変則リーガの妙で先週は水曜に引き分けたのに続き、土曜もレバンテと戦ったアトレティコだったんですが、2019年12月のバルサ戦以来となる、ホームでの敗戦を喫してしまったんですよ。それも辛抱した甲斐あって、ようやく私も今季初めてスタジアム観戦する許可をもらえたリーガ戦だったため、気合を入れてキックオフを待っていたんですが、もしや、2月にしては珍しい程の暖かい午後4時過ぎの陽気が選手たちをシエスタ(昼寝)気分にさせてしまった?ここ6試合連続で失点している彼らの最初のヒヤリは前半7分。ロチーナが自陣から放ったロングボールに抜け出したモラレスをシュート寸前、この日はベルサイコがケガで欠場していたため、右のカリレーロ(長い距離をカバーするSB)を務めていたマルコス・ジョレンテが背中を押したため、かろうじてボールがゴールから逸れてくれることに。
その後、徹底抗戦に出た彼らは14分にはルイス・スアレスのFKがゴールポストを直撃、続いてゴール前のラストパスを2度続けて、ジョアン・フェリックスが撃ち損じてみたり、21分にも彼は強烈なvolea(ボレア/ボレーシュート)を放ったんですけどね。それも水曜に大活躍した正GKアイトール・フェルナンデスではなく、この日はレバンテをコパ・デル・レイ準決勝進出に導いた23才のカンテラーノ(下部チームの選手)、カルデナスに弾かれ、いえ、当人も「ほぼレギュラーのスタメンだったから、先発を言われて、ボクもビックリしたよ。Llegué a preguntarle a Aitor si le pasaba algo/ジェゲ・ア・プレグンタールレ・ア・アイトール・シー・レ・パサバ・アルゴ(何かあったのかと、アイトールに訊いちゃうぐらいにね)」と言っていたんですけどね。
最後は当日、コロナ明けとなり、チームに合流した新入団のFWデンベレ(ビジャレアルから移籍)まで投入し、シュート28回、うち枠内11回、CKも12回ありながら、1点も取れないって、一体、どうなっている?それどころか、ロスタイム5分にオブラクがCKの全員攻撃に加わったところ、彼がダニ・ガルシアにゴール前で潰されている間、ジョレンテがエリア外にクリアされてきたボールを繋ごうとして、デ・フルートスへパスミス。ここから、一気にカウンターが始まり、もちろんオブラクも追ったものの、遠い距離からガラ空きのゴールへのシュートが決まってしまうとは、開いた口が塞がらないとはまさにこのこと(最終結果0-2)?
うーん、実は似たような光景は2013年のEL32強対戦ルビン・カサン戦1stレグでも私は見ていて、あの時は今や影も形もないビセンテ・カルデロンで何とか、1-1の同点にしようと、GKアセンホ(現ビジャレアル)が全員攻撃に加わったところ、逆に0-2にされてしまう始末。2ndレグでも0-1でしか勝てず、前年度王者なのに早期敗退してしまったという苦い思い出あるんですが、何より怖いのは、いえ、アトレティコの直近2得点がコレア、ジョレンテ、どちらも敵に当たってのラッキーゴールだったことからも、今季はこれまであまり不自由しなかった決定力が落ちてきているような気はしていたんですけどね。
エルモーソも「得点するのに十分なチャンスはあったけど、faltó la fortuna de meterlas/ファルトー・ラ・フォルトゥーナ・デ・メテールラス(それをゴールにする幸運が欠けていた)」と言っていたんですが、いよいよシーズンの重大局面を迎えて、ツキが変わってしまったようなのは心配かと。何せ頼りのルイス・スアレスもここ3試合不発、更にはCLのアウェイゲームでは2015年9月以来、27試合連続ノーゴールという不振を囲っていますからね。唯一、カンプ・ノウの外で得点した8月のCL準々決勝バイエルン戦も終わってみれば、2-8でバルサは大敗と焼石に水でしたし、この火曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのチェルシー戦では果たして、誰がゴールを決めてくれるのやら。最近の失点癖の方も怖いんですが、こちらはレバンテ戦では出場停止だったサビッチがサウールと共に復帰。欠場するのは2月末にFA(イングランド・サッカー協会)のサッカー活動禁止処分が終わるトリピアー、負傷のヒメネス、ベルサイコ、カラスコ、そしてまだコロナ陰性が出ないエレーラとなります。
え、CLはゼロからのスタートだけど、アトレティコはまたしてもお隣さんに距離を詰められてしまったんじゃないかって?いやあ、その通りで、レバンテ戦後のシメオネ監督はレアル・マドリーの試合が夜だったためか、まだ、「Es lógico encontrar obstáculos y luego cuando consigues el objetivo lo disfrutas mucho más/エス・ロヒコ・エンコントラール・オブスタクロス・イ・ルエゴ・コアンドー・コンシーゲス・エル・オブヘティーボ・ロ・ディスフルタス・ムーチョ・マス(障害があるのは理に適っているし、その後、目標を達成した時、より楽しめる)」と楽観的だったんですけどね。負傷者多発により、「tenemos 11 jugadores, con Courtois 12, todos los demás son canteranos/テネモス・オンセ・フガゴーレス、コン・クルトワ・オンセ、トードス・ロス・デマス・ソン・カンテラーノス(ウチには11人、クルトワを入れて12人の選手がいて、あとは皆、カンテラーノ)」(ジダン監督)という状態のマドリーがバジャドリーとのアウェイ戦を見事、勝利で飾ったその日の午後11時には実際、何を思ったことやら。
そう、イスコ以外のトップチーム選手が全員、スタメンとして出場した彼らは、いえ、序盤にGKクルトワがオレジャナ、ヤンコの連続シュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)、アルカラスの一撃も弾くなど、八面六臂の活躍で失点を防いでくれたんおかげもあったんですけどね。左太ももを痛めたベンゼマに代わり、CFを務めたマリアーノのゴールは2度共、オフサイドを取られてしまったため、前半は0-0のまま、終了することに。後半もまずはクルトワが、メンディのクリアミスから、オレジャナが放ったシュートを弾いて始まったんですが、前線がパッとしなくても、セットプレーでゴールが奪えるのが今季のマドリーの強み。まだセルヒオ・ラモスはリハビリ中でも、20分にはクロースのFKをカセミロが頭でジャストミートして、虎の子の1点を挙げているんですから、本当に羨ましい。
実際、彼はその前にもクロースの蹴ったボールを2度、ヘッドで外していて、これは3度目の正直だったんですけどね。その直後、ジダン監督がマリアーノ、アセンシオ、ビニシウスの前線をイスコ、アリーバス、そしてマドリーのトップチームデビューとなるウーゴ・ドゥーロ(ヘタフェからレンタル移籍)に総取っ替えしたように、それ以外はほとんどピンチもなく過ごしたせいでしょうか。バジャドリーのセルイオ・監督も「相手のセットプレーについては今週、ずっと守備練習をしていたが、結局、やられてしまった」と悔やんでいたんですが、勝負とはそういうもの。そのまま、マドリーが0-1で勝利し、首位アトレティコとの差を勝ち点3に縮めることになりましたっけ。
まあ、リーガに関しては次節、日曜にアトレティコがビジャレアル戦、マドリーは月曜にレアル・ソシエダ戦をプレーした後、3月7日にワンダでのマドリーダービーで雌雄を決することになるんですが、今週は前者同様にCL16強対決1stレグ第2陣のマドリーも水曜にはアタランタ戦に挑まないといけないんですよ。それがまた、間の悪いことに、「CL決勝やリーガの優勝決定戦だったら話は違うが、no vamos a arriesgar con Benzema porque la temporada es larga/ノー・バモス・ア・アリエスガール・コン・ベンゼマ・ポルケ・ラ・テンポラーダ・エス・ラルガ(ベンゼマについて、危険を冒すことはしない。シーズンは長いからね)」とジダン監督も言っていたように、ミニ肉離れのエースはもちろん、その他、8人の負傷者は誰1人、ベルガモ(ミラノから1時間の街)遠征に参加できず。
要はバジャドリー戦とまったく同じメンバーで戦わないといけないんですが、問題は先週末もセリアAでナポリに4-2と勝利していたように、アタランタは得点力が極めて高いチームだということ。となると、カセミロの頭だけでは撃ち合いには心もとないですし、おそらく3月16日の2ndレグにはケガ人も減っているはずなので、水曜午後9時からの一戦では、何が何でもremontable(レモンタブレ/逆転可能)な結果を出すのが必須。ええ、昨季の16強対決で当たったバレンシアも初戦、イタリアで4-1と大敗し、ホームではスペインでコロナ禍による最初の無観客試合となりながら、3-4まで頑張ったものの、2試合連続4失点を喰らっていますからね。エスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)での2ndレグもファンの応援は望めないですし、マドリーも3年連続16強敗退でCLが早く終わらないよう、ここは0-0とかで済ませられれば一番、いいのかもしれません。
そしてマドリッド1部の弟分、ヘタフェは金曜のベティス戦を1-0で落とし、ここ6試合白星なしとなりながら、アンヘル・トーレス会長が今週土曜のバレンシア戦、次のバジャドリー戦は様子見に。よって、ボルダラス監督の下、スランンプ脱出のための練習を続けているんですが、実は日曜には久々に今季は2部でプレーするお隣さん、レガネスの試合を見に行くことができたので、その報告もちょっとしておくと。いやあ、リーガの感染防止策もあって、キックオフの1時間前にブタルケに着いたところ、レガネスも対戦相手のテネリフェもまだスタジアム入りしていなかったのにはビックリしたんですが、理由は至極明快。
閉鎖空間であるロッカールームの使用が15分以内と定められているせいで、ホームのレガネスの選手たちは練習場で着替えてから、バスで来ると言われ、スタンドの上から、眺めていたら、いきなり途中の道に白い煙が出現。どうやら、スタジアムに入れないサポーターたちがロータリーでbengala(ベンガラ/発煙筒)などを焚いて、チームバスを見送っていたようですが、そうですよねえ。あの熱いレガネスファンたちが、ずっと無観客試合だからといって、おとなしくしているはずはなし。それも5節前にマルティ監督が成績不振で解任となり、2016年に1部初昇格を果たしてくれた英雄、アシエル・ガリターノ監督が戻って来てくれたとなれば、ますます、車で10分程の隣町のチームと来季は再び、トップリーグで肩を並べたいという願いが大きくなるのは当然だったかと。
試合の方は前節、ミッドウィークのアルメリア戦から先発復帰した柴崎岳選手もリピートしてフル出場。守備の堅かったテネリフェに手こずったものの、後半8分にはCKから、ハビ・エルナンデスのシュートが決まり、後半ロスタイムのシプチッチのゴールがVAR(ビデオ審判)でオフサイドとなったのもあって、レガネスが1-0で勝利したんですが、やっぱり物足りないですよね。終了の笛が鳴って湧き上がる歓声もなく、淡々と選手たちが引き上げていくのは。昨季、兄貴分のマドリーは無人のディ・ステファノでリーガ優勝を祝ったものの、ガリターノ監督就任から、これで5連勝。直接昇格の2位まで勝ち点3差の4位となったレガネスが1部復帰を決める際には、スタンドのファンと喜びを分かちあえるようになっているといいんですが…とりあえず、マドリッドのスタジアムに大勢が駆けつける最初の機会は木曜から始まる、55才以下の教職員を対象にしたアストラゼネカのワクチン接種会場の1つとなるワンダ・メトロポリターノとなるようです。
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