だんだん差が縮まってきた…/原ゆみこのマドリッド
2021.02.13 20:45 Sat
「希望者、絶対増えるだろうな」そんな風に私が呟いていたのは金曜日、マドリッドのコロナワクチン集団接種会場の1つにワンダ・メトロポリターノが選ばれたと聞いた時のことでした。いやあ、アトレティコでここ2週間程、各々時間差はありながら、計6人ものコロナ陽性者が見つかったのとは別に因果関係はないんですけどね。先日、バルサがカンプ・ノウを接種会場として提供するという話を聞いてから、喜んで駆けつけるクレ(バルサファンのこと)は大勢いるだろうなと思っていたものの、スペインではこのところ、高齢者、医療従事者への接種が徐々に進行中。
実際、重症化リスクの低い、頑健な成人男子のサッカー選手たちだけでなく、私自身にも順番が回ってくるのは遠い先のことなんでしょうけどね。注射にかこつけて、もう1年近く、スタンドにすら、ご無沙汰しているワンダの、それもピッチに足を踏み入れることができるとなれば、相変わらず、絶賛大改装工事中のサンティアゴ・ベルナベウが使えないお隣さんと比べて、アトレティコファンのワクチン接種率はかなり上がるのでは?
まあ、そんなことはともかく、今週のマドリッド勢の様子をお伝えしていくことにすると、何せ、ミッドウィーク開催のコパ・デル・レイには、準決勝なんて言うに及ばず、1部3チーム、2部4チーム揃って、もうしばらく前から縁がなくなってしまいましたからね。そこで空いていた火曜、昨季はコロナ禍で夏場にヨーロッパの大会の決勝トーナメントがズレ込んだせいで、延期されていたリーガ1節のマドリーvsヘタフェの兄弟分ダービーがあったんですが、やはり思った通りでした。ええ、ここ10年近く、マドリーに勝てていない弟分は、いえ、前節のセビージャ戦でオカンポスの足首を折り曲げるタックルをかまし、ジェネが2試合出場停止になっていたのも影響したんでしょうね。
あとでボルダラス監督も「los chicos iban con miedo de hacer daño al rival/ロス・チコス・イバン・コン・ミエードー・デ・アセール・ダーニョ・アル・リバル(選手たちは敵にケガさせるのを恐れていたようだ)。今日、競技委員会の処分が出るまでチームと一緒に合宿していたジェネも家に帰らせてくれと頼んできた。まるで犯罪人のようにSNSで言われ、彼の家族も傷ついている」と、1500件以上もの非難や悪口を受けていたキャプテンに同情を示していましたが、そりゃそうですよね。セビージャでこのレベルとなれば、天下のマドリーの選手に勢い余って、何かあったらと、チームメートが消極的になってしまったのも当然だったかと。
ただ、負傷欠場者大量発生中のマドリーも、何だか、今季は3CB制が流行っているんですかね。この日はバラン、ナチョ、メンディを並べ、マルセロとカンテラーノ(RMカスティージャの選手)のマルビンをカリレーロ(長い距離をカバーするSB)として起用。「No lo preparamos mucho/ノー・ロ・プレパラモス・ムーチョ(じっくりと準備はできなかった)」とジダン監督も言っていた通り、あまり慣れていなかったせいか、前半はそれ程、チャンスも作れず、0-0で終わったんですが、両者の差が出たのは後半になってから。そう、前日にはお隣さんがセルタに土壇場で追いつかれて引き分け、首位との勝ち点差が8に縮まっていたマドリーが発奮することに。
ジェネ同様、セビージャ戦でのレッドカードにより、エスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)のプレス用ボックスで雨中の試合を観戦していたボルダラス監督も「Hemos perdido nuestras señas de identidad/エモス・ペルディードー・ヌエストラス・セーニャス・デ・イデンティダッド(ウチは自分たちのアイデンディティを失ってしまった)。プレスも上手くかけられなかったし、ボールも取り戻せず、敵エリアでは溜めがなかった」と心配していたんですが、何せこれでもう、4試合白星なしが続いていますからね。今のところ、ヘタフェは13位、降格圏までも勝ち点差4ありますが、あまり不調が長引くと、すでに5年目となる長期政権の監督交代もありうるかも。何はともあれ、日曜午後2時(日本時間午後10時)、来週木曜にはマンチェスター・ユナイテッドとのEL32強対決をトリノのユベントス・スタジアムで開催することが決まったレアル・ソシエダを迎える一戦では、ヘタフェらしいガッツのあるプレーが蘇ってくれるといいのですが。
一方、これで首位との差を勝ち点5に縮めたマドリーは、いえ、まだ消化試合数はアトレティコが2つ少ないんですけどね。金曜にはカルバハルとルーカス・バスケスがチーム練習に加わり、クロースも出場停止処分が終わったため、日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からのバレンシア戦では少々、人手不足が緩和されることに。それでも先週末、左ヒザ半月板の手術を受けたセルヒオ・ラモスを始め、ミリトン、オドリオソラ、更にマルセロもヘタフェ戦でふくらはぎを負傷して全治3週間と、守備陣のメンツはギリギリなんですけどね。アザールもバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でランニングを始めたとはいえ、彼の場合は前例が前例ですし、バルベルデ、ロドリゴもまだのよう。
となると、前回は24日のCL16強対決アタランタ戦1stレグまでリーガ全勝によるremontada(レモンターダ/逆転劇)計画を立てたものの、早々にレバンテに負けて頓挫。今度はバレンシア、バジャヤドリー、レアル・ソシエダ戦に全勝して、3月7日のマドリーダービーで一気に決着をつけるという計画がAS(スポーツ紙)に載っていましたが、成功するかは微妙なところかと。何せ、ベンゼマは当たる日は当たるんですが、なかなか他の選手がゴールを決めてくれないという事情もありますしね。ヘタフェ戦ではまだ、「no podía jugar, ha entrenado una vez con el equipo/ノー・ポディア・フガール、ア・エントレナードー・ウナ・ベス・コン・エル・エキポ(1度しかチーム練習をしていなくて、プレーできなかった)」(ジダン監督)という、途中出場のイスコ辺りがもう少し、貢献してくれると有難いんでしょうが、冬の市場を逃しても6月には退団したい当人だけに、あまり期待はできないかもしれませんね。
そして水曜にはコパ準決勝1stレグでセビージャがクンデとラキティッチのゴールでバルサに2-0と見事、先勝した後、木曜にはアスレティックとレバンテが1-1で引き分け。この状態で3月第1週の2ndレグまで、コパは休止することになったんですが、今週もゆとり日程を楽しんでいたアトレティコの近況はどうかというと。朗報は月曜のセルタ戦からベンチに戻ったカラスコに続き、金曜にはコロナ感染第1陣のエルモーソも陰性となって、グラナダ(スペイン南部)遠征のリストに入れたこと。ただ、これで鉄板のヒメネス、サビッチ、エルモーソの3CB制復活かと思いきや、コロナにはすでに昨年中に感染していたヒメネスが筋肉系の負傷で3週間の離脱。なかなか、上手いようには運びません。
ええ、何せ最近4試合、負けてはいないものの、不用意な失点が続き、GKオブラクに迷惑をかけているアトレティコですからね。いくらルイス・スアレスが絶好調とはいえ、34才の彼に毎回、ハットトリックをしてくれとか、そこまで望むのは酷なので、その辺は他の選手たちがしっかり守備意識を高めて、以前のクリーンシート維持体制を取り戻していかないと。コロナ感染第2陣のジョアン・フェッリクスとデンベレ、そして第3陣のレマルとエレーラはまだ自宅隔離中ですが、こちらも土曜午後2時(日本時間午後10時)からのグラナダ戦の後、来週水曜と土曜のレバンテ連戦頃には戻って来られるのでは?
まあ、今でもアンス・ファティ、クチーニョ、ピケ、セルジ・ロベルト、アラウホなど、大勢の負傷者を抱え、尚且つ、コパで試合数も多かったバルサなどに比べれば、全然、ましなアトレティコですけどね。実際、シメオネ監督も「los números de la segunda vuelta es muy difícil que sean parecidos a los de la primera/ロス・ヌメロス・デ・ラ・セグンダ・ブエルタ・エス・ムイ・ディフィシル・ケ・セアン・パレシードス・ア・ロス・デ・ラ・プリメーラ(シーズン後半、前半と同じような数字を残すことはとても難しい)」と言っていた通り、丁度、折り返し1試合目となったセルタ戦で引き分けたのが、気を引き締めるいい薬となってほしいものですが、さて。
何より、この先は2週間、久々に週2試合ペースに戻る彼らだけに、体力配分には重々注意してほしいところ。結局、23日のCL16強対決チェルシー戦1stレグもイギリス勢のスペイン入国が許されず、遥々、飛行機で4時間もかかるブダペスト(ルーマニア)まで移動して、プレーすることになりましたしね。ホント、CLは午後9時キックオフとあって、その頃までにはマドリッドの夜間外出禁止令が午後10時から、午前0時に戻ってくれることを私も願うばかりなんですが…。
実際、重症化リスクの低い、頑健な成人男子のサッカー選手たちだけでなく、私自身にも順番が回ってくるのは遠い先のことなんでしょうけどね。注射にかこつけて、もう1年近く、スタンドにすら、ご無沙汰しているワンダの、それもピッチに足を踏み入れることができるとなれば、相変わらず、絶賛大改装工事中のサンティアゴ・ベルナベウが使えないお隣さんと比べて、アトレティコファンのワクチン接種率はかなり上がるのでは?
まあ、そんなことはともかく、今週のマドリッド勢の様子をお伝えしていくことにすると、何せ、ミッドウィーク開催のコパ・デル・レイには、準決勝なんて言うに及ばず、1部3チーム、2部4チーム揃って、もうしばらく前から縁がなくなってしまいましたからね。そこで空いていた火曜、昨季はコロナ禍で夏場にヨーロッパの大会の決勝トーナメントがズレ込んだせいで、延期されていたリーガ1節のマドリーvsヘタフェの兄弟分ダービーがあったんですが、やはり思った通りでした。ええ、ここ10年近く、マドリーに勝てていない弟分は、いえ、前節のセビージャ戦でオカンポスの足首を折り曲げるタックルをかまし、ジェネが2試合出場停止になっていたのも影響したんでしょうね。
ただ、負傷欠場者大量発生中のマドリーも、何だか、今季は3CB制が流行っているんですかね。この日はバラン、ナチョ、メンディを並べ、マルセロとカンテラーノ(RMカスティージャの選手)のマルビンをカリレーロ(長い距離をカバーするSB)として起用。「No lo preparamos mucho/ノー・ロ・プレパラモス・ムーチョ(じっくりと準備はできなかった)」とジダン監督も言っていた通り、あまり慣れていなかったせいか、前半はそれ程、チャンスも作れず、0-0で終わったんですが、両者の差が出たのは後半になってから。そう、前日にはお隣さんがセルタに土壇場で追いつかれて引き分け、首位との勝ち点差が8に縮まっていたマドリーが発奮することに。
それも丁度、ここしばらく、ずっと先発だったマタ、久保建英選手、アレニャをおそらく、久々の週3試合となるのを考えてか、その日はベンチスタートに。基本の4-4-2に戻したボルダラス監督が10分には彼らを一斉投入し、勝負に出た5分後のことだったんですよ。マルビンがRMカスティージャの同僚、アリバスに代わってから、右サイドに移っていたビニシウスが上げたクロスをベンゼマが悠々ヘッド。マドリーに先制点を奪われてしまった上、21分にもマルセロのラスパスをメンディに押し込まれ、2-0となった時点で勝負はほぼついたんですが、いやあ。
ジェネ同様、セビージャ戦でのレッドカードにより、エスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)のプレス用ボックスで雨中の試合を観戦していたボルダラス監督も「Hemos perdido nuestras señas de identidad/エモス・ペルディードー・ヌエストラス・セーニャス・デ・イデンティダッド(ウチは自分たちのアイデンディティを失ってしまった)。プレスも上手くかけられなかったし、ボールも取り戻せず、敵エリアでは溜めがなかった」と心配していたんですが、何せこれでもう、4試合白星なしが続いていますからね。今のところ、ヘタフェは13位、降格圏までも勝ち点差4ありますが、あまり不調が長引くと、すでに5年目となる長期政権の監督交代もありうるかも。何はともあれ、日曜午後2時(日本時間午後10時)、来週木曜にはマンチェスター・ユナイテッドとのEL32強対決をトリノのユベントス・スタジアムで開催することが決まったレアル・ソシエダを迎える一戦では、ヘタフェらしいガッツのあるプレーが蘇ってくれるといいのですが。
一方、これで首位との差を勝ち点5に縮めたマドリーは、いえ、まだ消化試合数はアトレティコが2つ少ないんですけどね。金曜にはカルバハルとルーカス・バスケスがチーム練習に加わり、クロースも出場停止処分が終わったため、日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からのバレンシア戦では少々、人手不足が緩和されることに。それでも先週末、左ヒザ半月板の手術を受けたセルヒオ・ラモスを始め、ミリトン、オドリオソラ、更にマルセロもヘタフェ戦でふくらはぎを負傷して全治3週間と、守備陣のメンツはギリギリなんですけどね。アザールもバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でランニングを始めたとはいえ、彼の場合は前例が前例ですし、バルベルデ、ロドリゴもまだのよう。
となると、前回は24日のCL16強対決アタランタ戦1stレグまでリーガ全勝によるremontada(レモンターダ/逆転劇)計画を立てたものの、早々にレバンテに負けて頓挫。今度はバレンシア、バジャヤドリー、レアル・ソシエダ戦に全勝して、3月7日のマドリーダービーで一気に決着をつけるという計画がAS(スポーツ紙)に載っていましたが、成功するかは微妙なところかと。何せ、ベンゼマは当たる日は当たるんですが、なかなか他の選手がゴールを決めてくれないという事情もありますしね。ヘタフェ戦ではまだ、「no podía jugar, ha entrenado una vez con el equipo/ノー・ポディア・フガール、ア・エントレナードー・ウナ・ベス・コン・エル・エキポ(1度しかチーム練習をしていなくて、プレーできなかった)」(ジダン監督)という、途中出場のイスコ辺りがもう少し、貢献してくれると有難いんでしょうが、冬の市場を逃しても6月には退団したい当人だけに、あまり期待はできないかもしれませんね。
そして水曜にはコパ準決勝1stレグでセビージャがクンデとラキティッチのゴールでバルサに2-0と見事、先勝した後、木曜にはアスレティックとレバンテが1-1で引き分け。この状態で3月第1週の2ndレグまで、コパは休止することになったんですが、今週もゆとり日程を楽しんでいたアトレティコの近況はどうかというと。朗報は月曜のセルタ戦からベンチに戻ったカラスコに続き、金曜にはコロナ感染第1陣のエルモーソも陰性となって、グラナダ(スペイン南部)遠征のリストに入れたこと。ただ、これで鉄板のヒメネス、サビッチ、エルモーソの3CB制復活かと思いきや、コロナにはすでに昨年中に感染していたヒメネスが筋肉系の負傷で3週間の離脱。なかなか、上手いようには運びません。
ええ、何せ最近4試合、負けてはいないものの、不用意な失点が続き、GKオブラクに迷惑をかけているアトレティコですからね。いくらルイス・スアレスが絶好調とはいえ、34才の彼に毎回、ハットトリックをしてくれとか、そこまで望むのは酷なので、その辺は他の選手たちがしっかり守備意識を高めて、以前のクリーンシート維持体制を取り戻していかないと。コロナ感染第2陣のジョアン・フェッリクスとデンベレ、そして第3陣のレマルとエレーラはまだ自宅隔離中ですが、こちらも土曜午後2時(日本時間午後10時)からのグラナダ戦の後、来週水曜と土曜のレバンテ連戦頃には戻って来られるのでは?
まあ、今でもアンス・ファティ、クチーニョ、ピケ、セルジ・ロベルト、アラウホなど、大勢の負傷者を抱え、尚且つ、コパで試合数も多かったバルサなどに比べれば、全然、ましなアトレティコですけどね。実際、シメオネ監督も「los números de la segunda vuelta es muy difícil que sean parecidos a los de la primera/ロス・ヌメロス・デ・ラ・セグンダ・ブエルタ・エス・ムイ・ディフィシル・ケ・セアン・パレシードス・ア・ロス・デ・ラ・プリメーラ(シーズン後半、前半と同じような数字を残すことはとても難しい)」と言っていた通り、丁度、折り返し1試合目となったセルタ戦で引き分けたのが、気を引き締めるいい薬となってほしいものですが、さて。
何より、この先は2週間、久々に週2試合ペースに戻る彼らだけに、体力配分には重々注意してほしいところ。結局、23日のCL16強対決チェルシー戦1stレグもイギリス勢のスペイン入国が許されず、遥々、飛行機で4時間もかかるブダペスト(ルーマニア)まで移動して、プレーすることになりましたしね。ホント、CLは午後9時キックオフとあって、その頃までにはマドリッドの夜間外出禁止令が午後10時から、午前0時に戻ってくれることを私も願うばかりなんですが…。
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