CLが終わってもコパがある…/原ゆみこのマドリッド

2020.12.19 19:00 Sat
「オブラクでなくて良かった」そんな風に私が臆面もなく、安心していたのは金曜日、マハダオンダ(マドリッド近郊)にあるアトレティコ練習場の入り口前でのことでした。というのもこの日は午前セッションを見に行ったものの、駐車場に溜まっていた取材陣から、公開予定がキャンセルになったと言われて目が点に。実は家を出るのと入れ違いで、クラブ広報から、GKの1人にコロナ陽性が出たため、リーガの衛生規範に従い、セッションを個人練習に切り替え。メディアは入場禁止という連絡がスマホに入っていたんですが、顔馴染みのTVレポーターに訊いてみたところ、無症状での自宅隔離となったのは水曜のコパ・デル・レイ1回戦でデビューした第2GK、ゲルビッチの方だったと判明したから。

そのまま、何も見ずにモンクロア(市内のバスターミナル駅)に戻るのもシャクだったため、練習場の敷地を囲む柵を一周してみることにすると、嬉しいことに目隠しシートに覆われていないグラウンドではオブラクがカンテラーノ(アトレティコBの選手)の第3GK、サン・ロマンと普段通りにトレーニング中。それでますますホッとできたんですが、いえ、別にゲルビッチの不幸を喜んでいる訳ではないんですけどね。木曜のFIFA表彰では、最優秀GK賞でノイアー(バイエルン)の後塵を拝し、ベストイレブンもGKアリソン(リバプール)に先を越され、候補に挙がりながら、またタイトルを逃してしまったオブラクとはいえ、アトレティコが今の位置にいられるのは多分に彼の活躍のおかげ。となれば、私がそう思ったのもムリはないところかと。
ま、それはさておき、CLグループリーグが終了して、これまでとは趣が変わった今週、マドリッド勢はまず火曜日、レアル・マドリーがスペイン・スーパーカップの日程を空けるため、先行開催した19節でエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)にアスレティックを迎えることに。この試合、ジダン監督は解任も噂されたクライシスを乗り越えて3連勝、一気にsemana fantastica(セマーナ・ファンタスティカ/素晴らしい週、デパートなどのプロモーションでよく使われるキャッチコピー)に変えてくれた固定メンバーを信頼。累積警告で出場停止となったカセミロの代わりに負傷明けのバルベルデを入れただけだったんですが、序盤から、この上ないラッキーに見舞われます。

ええ、エリア内でシュート態勢に入ったウィリアムスにぶち当たったカルバハルのレッドカードすれすれのファールが見逃されたかと思えば、その1分後にはラウール・ガルシアがクロースへのラフプレーで早くも2枚目のイエローカードをゲット。ガリターノ監督も「De quedarte ellos con uno menos, a nosotros/デ・ケダールセ・エジョス・コン・ウノ・メノス、ア・ノソトロス(彼らが1人少なくなるところが、ウチがそうなった)」と後で嘆いていたんですが、ホントに皮肉ですよね。もしペナルティが認められていれば、それこそラウール・ガルシアが蹴って、自分たちに先制点が入っていたかもしれないのに、前半13分には数的劣勢になっているなんて、狐に化かされるとはまさにこのこと?

ただ、そのせいでアスレティックは専守防衛に徹する決心がついたんでしょう。かなり長い間、マドリーの攻撃を押し留めていたんですが、ビニシウスの至近距離シュートをGKウナイ・シモンが弾いて難を逃れた後、ハーフタイム入り直前にはクロースにエリア前から決められて、とうとう1点を取られてしまうことに。とはいえ、これで気が緩んでしまったのはマドリーの方だったか、後半9分にはデ・マルコスと息ピッタリのワンツーを繋いだカパが1度はGKクルトワに弾かれながら、撃ち直しをネットに沈めて、スコアは同点に。もうこうなれば、アスレティックもあとは守るだけで勝ち点1が手に入るとなれば、果たしてマドリーが如何に突破口を見つけるのか、注視していたところ…。
やはりキーマンはベンゼマでした。29分、こちらは途中出場固定メンバーのアセンシオが短く出したCKをカルバハルがクロス、そのボールをヘッドで叩き込んで、再び、リードを奪ってくれただけでなく、残り時間、捨て身の攻勢に出ていた相手から、47分には3点目も挙げているんですから、ホントに頼りになるエースです。いえ、まあ、デ・マルコスなどに言わせると、「El partido lo ha ganado Courtois con esa última mano antes del tercer gol/エル・パルティードー・ロ・ア・ガナードー・クルトワ・コン・エサ・ウルティア・マノ・アンテス・デル・テルセル・ゴル(相手が試合に勝てたのは3点目が入る前のクルトワのセーブのおかげ)」らしいんですけどね。ええ、ロスタイム1分にベスガの強襲をparadon(パラドン/スーパーセーブ)で防ぎ、そこからのカウンターが追加点に繋がったからですが、何はともあれ、これでマドリーは3-1と快勝です。

結果、セビージャ戦、CLボルシア・メンヘングラッドバッハ戦、アトレティコとのマドリダービーに続き、堂々の4連勝として、水曜にはレアル・ソシエダがバルサに2-1で負けたこともあり、お隣さん、レアル・ソシエダ、マドリーの順番で同じ勝ち点の首位グループに入ったんですが、ちょっとややこしいのはこの3者の消化試合数が違うこと。ええ、開幕1試合目の延期と前倒し分でプラマイゼロになったマドリーが13試合消化した脇で、アトレティコには先送りとなった2試合を残しての11試合消化。そしてレアル・ソシエダは1つ多い14試合を済ませているんですが、この先、マドリーは日曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのエイバル戦を始め、グラナダ、エルチェ、セルタ、オサスナと対戦相手的にリーガが楽になりますからね。

更に金曜にはアザール、ウーデゴール、ヨビッチ、マリアーノら、リハビリをしていたメンバーもバルデベバス(バラハス空港の近く)でのチーム練習に合流と、これからはジダン監督もこの4試合で使った14人だけでなく、他の選手たちを入れて、ローテーションするのも可能となりそうですが、さて。ええ、折しも月曜にはスペイン・スーパーカップの組み合わせも決定しましたしね。昨季、サッカー協会が3年契約で開催地権を売却したサウジ・アラビアに無観客試合を断られ、アンダルシア(スペイン南部)で行うことになった大会の準決勝では1月13日にコルドバでレアル・ソシエダ(昨季のコパ・デル・レイ決勝進出)vsバルサ(リーガ準優勝)、14日にマドリー(リーガ優勝)vsアスレティック(コパ決勝進出)という、それぞれ今週のリベンジマッチになるというオチに。

その週末の16日にセビージャのカルトゥーハで決勝となるんですが、実際、こちらも妙な話で、昨季のコパ決勝自体、まだ行われていないんですよね。コロナ禍が収まって、観客が入れるようになるのを期待して、4月17日予定の今季のコパ決勝の1週間前に開催と言われていますが、そうこうするうち、今週は火曜から、例の4者以外、1部、2部チームが一斉に参加する今季のコパ・デル・レイ1回戦、一発勝負の計56試合が粛々と開催。もう正直、あまりに多すぎて1つ1つは追えないんですが、とりあえずマドリッド勢1部チームの先陣を切ったアトレティコがどうだったかを報告しておくと。

はい、水曜にマジョルカ島に向かい、3部のカルダサルと対戦した彼らは、いえ、当日の朝、発表になった招集リストにはオブラクを始め、ルイス・スアレス、ジョアン・フェリックス、マルコス・ジョレンテ、コケ、サビッチ、トリッピアーらがおらず、カンテラーノ(アトレティコBの選手)6人でかなり水増しされていたため、昨季は32強対決で2部Bのクルトゥラル・レオネサ相手に初戦敗退したトラウマもあって、老婆心ながら、ちょっと心配していた私だったんですけどね。でも、大丈夫、そこはシメオネ監督もちゃんと考えていて、スタメンには右SBのリカルドを抜擢しただけで、残り10人はトップチームのメンバーで固めてキックオフします。

ちなみにカルダサルのスタジアムは2年前、島を襲った集中豪雨のせいで、完全に泥に埋まってしまったんですが、今ではすっかり新しくなり、リーガ1部、2部の試合と違って、スタンドには観客の姿も。とはいえ、CLロコモティブ・モスクワ戦のように何千人単位という訳ではなく、選手たちの家族親族やユースチームの子供たち、総勢300名程だったため、別にシメオネ監督の声が選手たちに届かないということはなかったんですけどね。むしろ手こずったのは慣れない人工芝のピッチで、序盤はボール扱いに苦労していたようですが、やはりアマチュアの兼業選手ばかりの相手との差は歴然。

ええ、最初のシュートを敵GKに止められていたレマルが前半24分、エリア前から撃って先制点を挙げると、42分にも、いやあ、Bチームのリカルドでさえ、普段は2部Bと1つ上のリーガでプレーしていますからね。その彼が右サイドから切り込んで、見事なgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めたのには驚きましたが、これがトップチームの試合初出場となる20才には後半、ちょっと残念なニュースも。というのもリカルドと交代で入ったベルサイコが39分、トレイラのクロスにゴール前で合わせ、3点目を挙げて復活をアピールしたからで、うーん、今季のアトレティコは右SBにトリッピアーしかおらず、ここまでずっと1人で頑張ってきたんですけどね。

3月に昨季のCL16強対決リバプール戦2ndレグに出場した後、コロナ禍によるシーズン中断期間中に前年、靭帯断裂したヒザから補強材を抜く手術を受けた予後が悪く、今まで復帰が遅れてしまったベルサイコが戻って来たのは嬉しいんですが、そうなると、せっかく育ってきたカンテラーノのチャンスが減ってしまう?そうそう、この日のデビュー組には今季初出場のサポンジッチ、そして初めてアトレティコのゴールを守ったGKゲルビッチ(昨夏にロコモティブ・ザグレブから移籍)がいるんですが、クロアチア出身の後者にあまり仕事はなかったものの、0-3と勝利が決まった後、同じバルカン諸国仲間の先輩、オブラク(スロベニア)からお祝いのメッセージをもらったのだとか。ただ、どうやらチーム内に同胞のベルサイコだけでなく、サビッチ(モンテネグロ)、サポンジッチ(セルビア)と言葉が通じる選手が多いせいか、まだスペイン語は話せないようですよ。

そんなアトレティコは今週末、早くも土曜の午後2時(日本時間午後10時)から、ワンダ・メトロポリターノに昇格組のエルチェを迎えるんですが、心配なのはコロナ感染がゲルビッチ以外にも拡大しないかどうか。ただ、朗報もあって、いえ、本隊の練習の方はグラウンドがシートにすっぽり覆われて、シメオネ監督の声を聞いているぐらいしかできなかったんですが、前日から、いよいよジエゴ・コスタが合流。予想より早く、コロナ後遺症と言われた血栓が治ったようで、監督も「mañana volverá a estar con nosotros/マニャーナ・ボルベラ・ア・エスタル・コン・ノソトロス(明日は我々と一緒にいられるだろう)」と前日会見で言っていたため、途中出場するかもしれません。

一方、木曜にコパをプレーした弟分のヘタフェは3部のアナイタスナにかなり手こずり、後半序盤に先制されたのを機にククレジャ、オリベイラ、アンヘル、そしてマタに代えてウナルを投入。28分にはウナルのゴールで同点にしたんですが、いくら天然芝のピッチが「Era difícil incluso en alguna zona mantenerse en pie, peligraba la integridad de los chicos/エラ・ディフィシル・インクルソ・エン・アルグナ・ソナ・マンテネールセ・エン・ピエ、ペログラバ・ラ・インテグ゛リダッド・デ・ロス・チコス(場所によっては立っているのすら、難しかった。選手たちの体にも危険があった)」(ボルダラス監督)というぐらい、ボコボコだったとしても、勝ち越し点がロスタイム4分、アンヘルが自身の獲得したPKを決めてくれるまで入らないとは本当に心臓に悪い。

うーん、このところ、リーガで7試合白星なしと不調の彼らですから、早めにコパからは撤退した方が無難という見方もあるんですけどね。とはいえ、1回戦に参加した1部のチームが揃って勝ち抜ける中、ヘタフェだけ1人、3部に屈するというのも恥ずかしいですし、最悪の延長戦も避けられたため、これはこれで良かったかと。ちなみに金曜の抽選では、このラウンドではまだコロナで延期された3カードはあるものの、3部以下は全て敗退となったため、1月の5,6,7日に開催される2回戦でアトレティコはコルネジャ(2部B)と、ヘタフェはコルドバ(2部B)と対戦することに。そうは言っても、今は何より、ヘタフェには日曜のカディス戦に集中してほしいですよね。

【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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