気の抜けない試合はまだ続く…/原ゆみこのマドリッド
2020.12.12 17:00 Sat
「一応、ザルツブルク戦の反省をしているのかしら」そんな風に私が首を捻っていたのは金曜日、マハダオンダ(マドリッド近郊)にあるアトレティコの練習場でマドリーダービー直前のセッションを見ていた時のことでした。いやあ、大抵、マスコミに開放される開始15分はこちら、フィジカルトレーニングばかりしていることが多いんですけどね。この日は皆で準備運動をやった後、すぐにボールを使ったパス練習を始めていたため、もしや、久々に酷いボールロストの続いた水曜の試合では大事に至らなかったものの、あれではとても現在、堂々、リーガ単独首位に立つチームの威厳をお隣さんに示せないと、もしやシメオネ監督も思った?
まあ、それはともかく、まず今週のCLグループリーグ最終節がどうだったかから、お話ししていくことにすると。すでに突破が決まっていた2チームがプレーした火曜は、いえ、まさかバルサがカンプ・ノウでユベントスに0-3で敗戦。グループリーグ前半戦で0-2勝利のアドバンテージをクリスチアーノ・ロナウドのPK2本などで覆され、2位での突破になったのには、2年前のアトレティコも16強対決をホーム、アウェイの順番こそ逆ですが、同じスコア、その時はロナウドのハットトリックで逆転敗退していたことなどを思い出したぐらいで、セビージャがレンヌに1-3で快勝しても2位なのは変わりませんからね。よって、心穏やかに過ごせたんですが、水曜は試合開始の午後9時が近づくにつれ、どんどん緊張感が高まっていくことに。
というのもマドリッドの両雄共、その日の結果次第でCL決勝トーナメントに行けない可能性があったからで、一応、バル(スペインの喫茶店兼バー)の席がなくなる前にと、早めに足を運んでみたりもしたんですけどね。コロナ禍が続く最近はお店で試合を見るファンも少ないのか、店内2台のTVでレアル・マドリーvsボルシア・メンヘングラッドバッハ戦が始まる中、ウェイターさんにお願いして、またしても空いていた個室スペースでザルツブルクvsアトレティコ戦を見ることができたのはラッキーだったかと。
え、それはマドリーがいわゆる”final(フィナル/決勝戦)”的な崖っぷちの試合に強いということを信じていたからなのかって?そうですね、CL戦勝利のお守りのようなセルヒオ・ラモスも復活していましたし、実際、レッドブル・アレーナでは開始2分から、いきなりベリシャのシュートがゴールポストを直撃。「Este partido era como una final, estábamos un poco nerviosos al inicio/エステ・パルティードー・エラ・コモ・ウナ・フィナル、エスタバモス・ウン・ポコ・ネルビオーソス・アル・イニシオ(この試合は決勝のようなものだったから、ウチは最初、ちょっと神経質になっていた)」(サビッチ)というアトレティコがザルツブルクに圧倒され、15分頃にはもうGKオブラクがparadon(パラドン/スーパーセーブ)を披露している始末でしたしね。
そんな、私がビクビクしてアトレティコを見守っていた時のことなんですよ。8分、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の2元中継の実況アナから、「Goool!」の絶叫が響いてきたため、マドリー戦の画面を見るため、個室を飛び出したところ、いえ、これはエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)の放送ブースからの実況とTV映像には30秒ほどの誤差があるおかげなんですけどね。その日、負傷から復帰したカルバハルを差し置いて、右SBとして先発したルーカス・バスケスが上げたクロスをベンゼマがヘッドで決め、先制点を奪うのをバッチリ目撃できたのですから、スタジアムに行けないのも悪いことばかりではない?
ええ、今度はロドリゴがやはり、右サイドからクロスを上げ、またしてもベンゼマが頭で決めているんですから、ほおら。「このチームはcuando las dificultades son grandes, aparece/クランドー・ラス・ディフィクルターデス・ソン・グランデス、アパレセ(大きい困難がある時には現れる)」って、ジダン監督も認めていた通り、あっさりリードを2点に拡大。後でメンヘングラッドバッハのモルコ・ローゼ監督も「ウチは自分たちの力を信じられず、相手をトラブルに巻き込むことができなかった。プレッシャーが懸かっている時のマドリーは非情に高いレベルのプレーをする」と言っていたんですが、ホント、彼らが本気を出せば、こんなもんですってば。
翻って、「Hoy no estuvimos tan bien con el balón como en los partidos anteriores/オイ・ノー・エストゥビモス・タン・ビエン・コン・エル・バロン・コモ・エン・ロス・パルティードス・アンテリオーレス(今日は以前の試合ほど、ボール扱いが上手くなかった)」(サビッチ)というか、久々に3度とパスが繋がらず、イライラさせられっぱなしだったアトレティコもようやく39分には先制点をゲット。いえ、起点となったFKについて、ザルツブルクのマルシュ監督など、「ジョアン・フェリックスへのファールはファールじゃなかった。3回に2回は引っくり返って、叫ぶもんだから、審判がそれに影響された」と文句を言っていたんですが、そりゃ、あれだけモロに足を蹴られていたら、誰だって痛いですよ。
実際、ジョアンがボールを受けた途端、ザルツブルクの選手が迫って来て、ひっくり返されている姿には、そう、まだ地獄の10連戦は4試合も残っていますからね。審判もホームチームのラフプレーに甘かったため、ケガをさせられないか、ヒヤヒヤしていたんですが、それでもらったFKをカラスコが蹴って、エルモーソが頭で決めてくれるとは素晴らしい。何せ、最近はセットプレーからのゴールもあまりなかったですからね。この1点で少しは余裕を持って、試合を進められるようになってくれたらと願ったんですが…。
後半の序盤も前半のデジャブだったんですよ。またしてもソボスライ、ダッカ、コイタと次々とシュートを放たれ、全て外れてくれたのは助かったんですが、そんな状態でリードも増えないまま、シメオネ監督は19分にはルイス・スアレスとサウールをコレアとエレーラに交代。前者は2人共、ベンチ代わりのスタンドに上がる時にプンプン怒っていましたが、これが後々、待望の追加点に繋がったとなれば、采配の正しさを認めない訳にはいかないのでは?ええ、ジョアンのシュートがGKスタンコビッチに弾かれた後の41分、センターからトリピアーが送ったスルーパスに抜け出したコレアがエリア内左側に現れたカラスコにクロスを供給。
「Koke en ese momento me dice 'solo, solo' para controlar/コケ・エン・エセ・モメントー・メ・ディセ・”ソロ、ソロ”・パラ・コントロラール(あの時、コケはボクにフリーだからコントロールできるって言ってたんだけど)、もしトラップしたらまた敵に詰められると思って、ワンタッチで撃つことにした」と後で当人も説明していたように、volea(ボレア/ボレーシュート)で見事にボールをネットに沈めているのですから、大したもんじゃないですか。これで安全圏に入ったアトレティコはジョアン、カラスコ、そして最後はジョレンテもそれぞれ、レマル、トレイラ、ロディに代えて、僅かな時間ながら、主力選手を温存。試合もそのまま0-2で終わり、前大会王者バイエルンに続く2位でグループ突破を決めることができましたっけ。
そして遅れて終わったバルデベバス(バラハス空港の近く)の方でも、いえ、あちらはゴールポストに当たるシュートが3度ほどあったりと、後半もチャンスには事欠かなかったようなんですけどね。結局、前半の2点から増えることはなかったものの、対照的だったのはジダン監督が選手交代を29分に1度だけ、ロドリゴとビニシウスをアセンシオと、カンテラーノ(RMカスティージャの選手)のアリバスに代えただけだったこと。うーん、現在はアザール、ヨビッチ、マリアーノ、ウーテゴールが負傷で外れているため、ベンチにいたアタッカーはあと、イスコしかいなかったのも確かなんですけどね。そんな様を見ると、ジダン監督の信頼している選手がかなり限られているのが伺われるかと。
え、試合が2-0で終わった後、ディ・ステファノのピッチにはメンヘングラッドバッハの選手たちが残り、ミラノで行われていたインテルvsシャフタール戦の結末をタブレットなどで観戦。ロスタイムが長引いたその一戦がスコアレスドローで終わったため、2位通過が決まって大喜びしていたけど、本来なら、マドリーだって、こんな最終節までもつれず、突破ができていたんじゃないかって?まあ、そうなんですが、まさかシャフタールとの2試合にあそこまで油断して、連敗するなんて、誰にも想像できませんでしたからね。
「Yo he sido jugador y es imposible jugar siempre así/ジョー・エ・シドー・フガドール・イ・エス・インポシブレ・フガール・シンプレ・アシー(私も選手だったが、いつも今日みたいにプレーすることはできない)」とジダン監督も話していましたが、ギリギリになるまで全力を出さないのは彼らの悪い癖。おかげで土曜のマドリーダービーに向けて、選手に休養を与えることもできなかったんですが、それはもう自業自得としか言いようがないかと。ただ、そこはマドリー、CLは得意な大会だけあって、ツキもあるのか、この勝利で1位突破になったおかげで、16強対決の相手が2位通過組のポルト、ラツィオ、ライプツィヒ、アタランタと、比較的、無難なところになりそうなのはホントに羨ましい。
だってえ、バルサ、セビージャ同様、2位で終わったアトレティコなど、2月には1位突破の強豪チームと対戦しないといけないんですよ。その対戦候補たるや、マンチェスター・シティ、ユベントス、チェルシー、ドルトムント、リバプール、PSGと壮々たる顔ぶれで、いくらエルモーソなど、「creo que pocos equipos quieren jugar contra nosotros/クレオ・ケ・ポコス・エキポス・キエレン・フガール・コントラ・ノソトロス(ウチと当たりたいチームはあまりないと思う)。ボクらは強くて、選手層が厚くて、毎試合ベストメンバーで行けるからね」と大風呂敷を広げていたとて、ザルツブルク辺りであんなに手こずっているようではねえ。
それこそシメオネ監督なんて、試合後記者会見で「Peor partido del Atlético de la temporada?/ペオール・パルティードー・デル・アトレティコ・デ・ラ・テンポラーダ(今季、アトレティコ最悪の試合ではなかったか?)」なんて尋ねられていたほどだったんですが、彼にしてみれば、「多くの人々にとって、ウチが16強に進出するのは当然だと思われるかもしれないが、クラブの過去を知っている私には当然ではない」と決勝トーナメントに行ける喜びの方が大きかったよう。実際、「El fútbol paga la contundencia/エル・フトボル・パガ・ラ・コントゥンデンシア(サッカーは決定力がモノを言う)」との言葉通り、いくらいいプレーをしていても得点できないと、1-1で引き分けたバイエルン戦や2連続引き分けとなったロコモティブ・モスクワ戦のようになってしまうとなれば、これからは大事な試合でゴールが入るよう、運を引き寄せていかないと。
ま、その辺はまた、月曜の16強対戦組み合わせ抽選会が終わったら、考えようかと思いますが、今、目の前に迫っている大一番は土曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのダービー。ちなみに午前中に行われたバルデベバスでの練習ではいよいよ、脛骨を骨折していたバルベルデも合流し、招集リストにも入ることに。グラウンドに姿を現したものの、まだ復帰できないのはアザールとウーデゴーア、その他、ヨビッチ、マリアーノもまだなようなので、概ね、「Aquí son siempre finales, todos los partidos/アキー・ソン・シエンプレ・フィナレス、トードス・ロス・パルティードス(ここでは常に決勝戦だ。全ての試合がね)」とジダン監督が言うダービーでもマドリーのアタッカーの顔ぶれはメンヘングラッドバッハ戦と変わらないかと。復帰直後で水曜はベンチ観戦だったカルバハルの右SB先発はあるかもしれませんね。
一方、アトレティコの前日練習では青痣はあったかもしれませんが、ザルツブルクで削られまくっていたジョアンも元気に参加。他の選手たちにもケガとかはなかったようで、欠場となるのはコロナ後遺症で血栓のできたジエゴ・コスタ、肉離れのヒメネスだけなんですが、こちらもザルツブルク戦スタメンが現在のベストチョイスになりますからね。期待はCLアウェイ戦ではゴール日照りを続けているルイス・スアレスが、今季まだ無敗の、というか、昨季のコロナ禍で中断される前、2月始めにあったサンティアゴ・ベルナベウでのダービーでベンゼマの1点により、1-0と負けて以来、リーガでは黒星がない彼らに勝利に繋がるゴールをもたらしてくれることですが、こればっかりはねえ。
とにかくマドリーもここで負けると勝ち点差が9、しかも首位チームは消化試合が1つ少ないという、早くも根性のremontada(レモンターダ/逆転優勝)に向けて、勝ち星計算を始めないといけない逆境に入ってしまいますからね。同じ日曜の夕方、CL最終戦を勝利で飾り、意気上がっているセビージャをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎えるマドリッドの弟分、ヘタフェも今は6試合白星なしのスランプに陥っている上、マタ、チェマ、ジェネの3人が出場停止とあって、大変なんですが、果たしてこの週末、笑顔で試合を終えられるのはどのチームになるのでしょうか。
まあ、それはともかく、まず今週のCLグループリーグ最終節がどうだったかから、お話ししていくことにすると。すでに突破が決まっていた2チームがプレーした火曜は、いえ、まさかバルサがカンプ・ノウでユベントスに0-3で敗戦。グループリーグ前半戦で0-2勝利のアドバンテージをクリスチアーノ・ロナウドのPK2本などで覆され、2位での突破になったのには、2年前のアトレティコも16強対決をホーム、アウェイの順番こそ逆ですが、同じスコア、その時はロナウドのハットトリックで逆転敗退していたことなどを思い出したぐらいで、セビージャがレンヌに1-3で快勝しても2位なのは変わりませんからね。よって、心穏やかに過ごせたんですが、水曜は試合開始の午後9時が近づくにつれ、どんどん緊張感が高まっていくことに。
というのもマドリッドの両雄共、その日の結果次第でCL決勝トーナメントに行けない可能性があったからで、一応、バル(スペインの喫茶店兼バー)の席がなくなる前にと、早めに足を運んでみたりもしたんですけどね。コロナ禍が続く最近はお店で試合を見るファンも少ないのか、店内2台のTVでレアル・マドリーvsボルシア・メンヘングラッドバッハ戦が始まる中、ウェイターさんにお願いして、またしても空いていた個室スペースでザルツブルクvsアトレティコ戦を見ることができたのはラッキーだったかと。
そんな、私がビクビクしてアトレティコを見守っていた時のことなんですよ。8分、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の2元中継の実況アナから、「Goool!」の絶叫が響いてきたため、マドリー戦の画面を見るため、個室を飛び出したところ、いえ、これはエスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)の放送ブースからの実況とTV映像には30秒ほどの誤差があるおかげなんですけどね。その日、負傷から復帰したカルバハルを差し置いて、右SBとして先発したルーカス・バスケスが上げたクロスをベンゼマがヘッドで決め、先制点を奪うのをバッチリ目撃できたのですから、スタジアムに行けないのも悪いことばかりではない?
一方、ようやくアトレティコが反撃の狼煙を上げたのは23分のことで、マルコス・ジョレンテがエリア前からシュートを撃っていったんですが、残念ながら、枠を捉えられず。もちろん、この日の彼らは引き分けでOKとあって、「La clave de hoy era no encajar gol/ラ・クラベ・デ・オイ・エラ・ノー・エンカハール・ゴル(今日の重点課題は失点しないことだった)」とカラスコも言っていたように、ゴールは入らなくても構わなかったんですが、そこから間もなく、31分には再び、お隣さんの追加点を見るため、私は席を立つことに。
ええ、今度はロドリゴがやはり、右サイドからクロスを上げ、またしてもベンゼマが頭で決めているんですから、ほおら。「このチームはcuando las dificultades son grandes, aparece/クランドー・ラス・ディフィクルターデス・ソン・グランデス、アパレセ(大きい困難がある時には現れる)」って、ジダン監督も認めていた通り、あっさりリードを2点に拡大。後でメンヘングラッドバッハのモルコ・ローゼ監督も「ウチは自分たちの力を信じられず、相手をトラブルに巻き込むことができなかった。プレッシャーが懸かっている時のマドリーは非情に高いレベルのプレーをする」と言っていたんですが、ホント、彼らが本気を出せば、こんなもんですってば。
翻って、「Hoy no estuvimos tan bien con el balón como en los partidos anteriores/オイ・ノー・エストゥビモス・タン・ビエン・コン・エル・バロン・コモ・エン・ロス・パルティードス・アンテリオーレス(今日は以前の試合ほど、ボール扱いが上手くなかった)」(サビッチ)というか、久々に3度とパスが繋がらず、イライラさせられっぱなしだったアトレティコもようやく39分には先制点をゲット。いえ、起点となったFKについて、ザルツブルクのマルシュ監督など、「ジョアン・フェリックスへのファールはファールじゃなかった。3回に2回は引っくり返って、叫ぶもんだから、審判がそれに影響された」と文句を言っていたんですが、そりゃ、あれだけモロに足を蹴られていたら、誰だって痛いですよ。
実際、ジョアンがボールを受けた途端、ザルツブルクの選手が迫って来て、ひっくり返されている姿には、そう、まだ地獄の10連戦は4試合も残っていますからね。審判もホームチームのラフプレーに甘かったため、ケガをさせられないか、ヒヤヒヤしていたんですが、それでもらったFKをカラスコが蹴って、エルモーソが頭で決めてくれるとは素晴らしい。何せ、最近はセットプレーからのゴールもあまりなかったですからね。この1点で少しは余裕を持って、試合を進められるようになってくれたらと願ったんですが…。
後半の序盤も前半のデジャブだったんですよ。またしてもソボスライ、ダッカ、コイタと次々とシュートを放たれ、全て外れてくれたのは助かったんですが、そんな状態でリードも増えないまま、シメオネ監督は19分にはルイス・スアレスとサウールをコレアとエレーラに交代。前者は2人共、ベンチ代わりのスタンドに上がる時にプンプン怒っていましたが、これが後々、待望の追加点に繋がったとなれば、采配の正しさを認めない訳にはいかないのでは?ええ、ジョアンのシュートがGKスタンコビッチに弾かれた後の41分、センターからトリピアーが送ったスルーパスに抜け出したコレアがエリア内左側に現れたカラスコにクロスを供給。
「Koke en ese momento me dice 'solo, solo' para controlar/コケ・エン・エセ・モメントー・メ・ディセ・”ソロ、ソロ”・パラ・コントロラール(あの時、コケはボクにフリーだからコントロールできるって言ってたんだけど)、もしトラップしたらまた敵に詰められると思って、ワンタッチで撃つことにした」と後で当人も説明していたように、volea(ボレア/ボレーシュート)で見事にボールをネットに沈めているのですから、大したもんじゃないですか。これで安全圏に入ったアトレティコはジョアン、カラスコ、そして最後はジョレンテもそれぞれ、レマル、トレイラ、ロディに代えて、僅かな時間ながら、主力選手を温存。試合もそのまま0-2で終わり、前大会王者バイエルンに続く2位でグループ突破を決めることができましたっけ。
そして遅れて終わったバルデベバス(バラハス空港の近く)の方でも、いえ、あちらはゴールポストに当たるシュートが3度ほどあったりと、後半もチャンスには事欠かなかったようなんですけどね。結局、前半の2点から増えることはなかったものの、対照的だったのはジダン監督が選手交代を29分に1度だけ、ロドリゴとビニシウスをアセンシオと、カンテラーノ(RMカスティージャの選手)のアリバスに代えただけだったこと。うーん、現在はアザール、ヨビッチ、マリアーノ、ウーテゴールが負傷で外れているため、ベンチにいたアタッカーはあと、イスコしかいなかったのも確かなんですけどね。そんな様を見ると、ジダン監督の信頼している選手がかなり限られているのが伺われるかと。
え、試合が2-0で終わった後、ディ・ステファノのピッチにはメンヘングラッドバッハの選手たちが残り、ミラノで行われていたインテルvsシャフタール戦の結末をタブレットなどで観戦。ロスタイムが長引いたその一戦がスコアレスドローで終わったため、2位通過が決まって大喜びしていたけど、本来なら、マドリーだって、こんな最終節までもつれず、突破ができていたんじゃないかって?まあ、そうなんですが、まさかシャフタールとの2試合にあそこまで油断して、連敗するなんて、誰にも想像できませんでしたからね。
「Yo he sido jugador y es imposible jugar siempre así/ジョー・エ・シドー・フガドール・イ・エス・インポシブレ・フガール・シンプレ・アシー(私も選手だったが、いつも今日みたいにプレーすることはできない)」とジダン監督も話していましたが、ギリギリになるまで全力を出さないのは彼らの悪い癖。おかげで土曜のマドリーダービーに向けて、選手に休養を与えることもできなかったんですが、それはもう自業自得としか言いようがないかと。ただ、そこはマドリー、CLは得意な大会だけあって、ツキもあるのか、この勝利で1位突破になったおかげで、16強対決の相手が2位通過組のポルト、ラツィオ、ライプツィヒ、アタランタと、比較的、無難なところになりそうなのはホントに羨ましい。
だってえ、バルサ、セビージャ同様、2位で終わったアトレティコなど、2月には1位突破の強豪チームと対戦しないといけないんですよ。その対戦候補たるや、マンチェスター・シティ、ユベントス、チェルシー、ドルトムント、リバプール、PSGと壮々たる顔ぶれで、いくらエルモーソなど、「creo que pocos equipos quieren jugar contra nosotros/クレオ・ケ・ポコス・エキポス・キエレン・フガール・コントラ・ノソトロス(ウチと当たりたいチームはあまりないと思う)。ボクらは強くて、選手層が厚くて、毎試合ベストメンバーで行けるからね」と大風呂敷を広げていたとて、ザルツブルク辺りであんなに手こずっているようではねえ。
それこそシメオネ監督なんて、試合後記者会見で「Peor partido del Atlético de la temporada?/ペオール・パルティードー・デル・アトレティコ・デ・ラ・テンポラーダ(今季、アトレティコ最悪の試合ではなかったか?)」なんて尋ねられていたほどだったんですが、彼にしてみれば、「多くの人々にとって、ウチが16強に進出するのは当然だと思われるかもしれないが、クラブの過去を知っている私には当然ではない」と決勝トーナメントに行ける喜びの方が大きかったよう。実際、「El fútbol paga la contundencia/エル・フトボル・パガ・ラ・コントゥンデンシア(サッカーは決定力がモノを言う)」との言葉通り、いくらいいプレーをしていても得点できないと、1-1で引き分けたバイエルン戦や2連続引き分けとなったロコモティブ・モスクワ戦のようになってしまうとなれば、これからは大事な試合でゴールが入るよう、運を引き寄せていかないと。
ま、その辺はまた、月曜の16強対戦組み合わせ抽選会が終わったら、考えようかと思いますが、今、目の前に迫っている大一番は土曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのダービー。ちなみに午前中に行われたバルデベバスでの練習ではいよいよ、脛骨を骨折していたバルベルデも合流し、招集リストにも入ることに。グラウンドに姿を現したものの、まだ復帰できないのはアザールとウーデゴーア、その他、ヨビッチ、マリアーノもまだなようなので、概ね、「Aquí son siempre finales, todos los partidos/アキー・ソン・シエンプレ・フィナレス、トードス・ロス・パルティードス(ここでは常に決勝戦だ。全ての試合がね)」とジダン監督が言うダービーでもマドリーのアタッカーの顔ぶれはメンヘングラッドバッハ戦と変わらないかと。復帰直後で水曜はベンチ観戦だったカルバハルの右SB先発はあるかもしれませんね。
一方、アトレティコの前日練習では青痣はあったかもしれませんが、ザルツブルクで削られまくっていたジョアンも元気に参加。他の選手たちにもケガとかはなかったようで、欠場となるのはコロナ後遺症で血栓のできたジエゴ・コスタ、肉離れのヒメネスだけなんですが、こちらもザルツブルク戦スタメンが現在のベストチョイスになりますからね。期待はCLアウェイ戦ではゴール日照りを続けているルイス・スアレスが、今季まだ無敗の、というか、昨季のコロナ禍で中断される前、2月始めにあったサンティアゴ・ベルナベウでのダービーでベンゼマの1点により、1-0と負けて以来、リーガでは黒星がない彼らに勝利に繋がるゴールをもたらしてくれることですが、こればっかりはねえ。
とにかくマドリーもここで負けると勝ち点差が9、しかも首位チームは消化試合が1つ少ないという、早くも根性のremontada(レモンターダ/逆転優勝)に向けて、勝ち星計算を始めないといけない逆境に入ってしまいますからね。同じ日曜の夕方、CL最終戦を勝利で飾り、意気上がっているセビージャをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎えるマドリッドの弟分、ヘタフェも今は6試合白星なしのスランプに陥っている上、マタ、チェマ、ジェネの3人が出場停止とあって、大変なんですが、果たしてこの週末、笑顔で試合を終えられるのはどのチームになるのでしょうか。
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