何よりの妙薬は勝利だった…/原ゆみこのマドリッド
2020.10.27 20:55 Tue
「これじゃ、喜んでる間もありゃしない」そんな風に私が嘆いていたのは月曜日、お昼のニュースでレアル・マドリーがドイツ行きの飛行機に乗るシーンを目にした時のことでした。いやあ、実は先週中にはCSD(スポーツ上級委員会)のお達しにより、とりあえず、ラ・リーガとスペイン・サッカー協会の平日開催試合を巡る争いが決着。ようやく金曜と月曜にもプレーできるようになったため、まだ月曜の夜にもリーガ7節のレバンテvsセルタ戦があったりするんですけどね。土曜にはせっかくクラシコ(伝統の一戦、バルサvsマドリー戦のこと)に勝ったものの、火曜にはもう、CLグループリーグ2節、ボルシア・メンヘングラッドバッハ戦となれば、選手たちだけでなく、ファンだって疲れてしまわない?
実際、10月のインターナショナルマッチウィーク明けから始まった地獄の7連戦は、ヨーロッパの大会に出場しているどのチームにとっても恐ろしいもので、いや、私もこんなに頻繁に近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に入り浸っているのは、何せ、3月から3カ月近く続いたEstado de Alarma(エスタードー・デ・アラルマ/警戒事態)宣言がこの日曜に再びスペイン全土に発布されていますからねえ。今度はお店の営業停止や日中の外出禁止までには至らないものの、最近は若者や学生のfiesta(フィエスタ/パーティ)やbotellon(ボテジョン/野外での酒盛り)が増えてきたのもあってか、午前0時から朝6時までは多人数で集まってはいけないことに。
飲食店も午前0時に閉店となるのは、まあ、それまでに終わらない試合は今のところないため、別にいいんですけどね。要はスペイン中でコロナ感染者が激増しているということで、バルでの試合観戦もリスクが高いのかもと、私が怖くなってしまったのはともかく、早くも試合過多に選手の負傷が始まっているんですよ。ええ、クラシコではマドリーのナチョがハーフまであと少しというところで太ももを痛めて交代。11月の代表戦週間明けまで戻って来られなくなったかと思えば、バルサでもコウチーニョが太もものケガで全治3週間に。7連戦のスタート早々のセルタ戦でジエゴ・コスタを失っていたアトレティコなど、ベティス戦でもカラスコが、こちらも3週間の離脱となってしまったんですが、いやもう、このペースで12月まで続いたら、コロナ以上にケガ人の方がどのチームにとっても頭痛の種になるかも。
え、今回、土曜午後4時からのクラシコをバルで見ていたのが年配のマドリーファン2人と4、5人の若者グループしかおらず、席取りにも全然、苦労がなかったのはコロナによる、外出自粛ムードのせいかって?いやあ、店内にはキャパの半分しか客が入れませんし、今はカウンターでの立ち飲みも禁じられているため、座れなかったらどうしようと、ドキドキして行った私だったんですけどね。もしや皆、9月中にテレフォニカ(スペインのNTT)の固定電話+携帯2台+インターネット+リーガ、CL全試合視聴で月額56ユーロ(約7000円)という、6カ月限定のスーパーオファーに乗って、自宅で見ている?このコロナ期間にサッカーファンが減ってしまったとは思えませんが、本当のところ、どうなんでしょうね。
まあ、そんなことはともかく、クラシコがどんな試合だったかもお伝えしていくことにすると、リーガ前節のカディス戦、ミッドウィークのCLシャフタール戦での先発ローテーションが祟り、痛い目を見たジダン監督のチームでしたが、その甲斐は十分、ありました。ええ、開始5分にはベンゼマのスルーパスを受けたバルベルデが鋭いシュートを決め、早くも先制しているんですから、驚いたの何のって。ところが、その3分後にはバルサも反撃、ケガが治って戻ってきたジョルディ・アルバからの折り返しをゴール前でアンス・ファティが押し込んで、あっという間に同点になったため、もしや撃ち合いが見られるのかと、ワクワクしていたところ…。
当然、このPKはすでに22回連続で成功しているラモスがしっかり決め、「Ha decantado la balanza a su favor/ア・デカンタードー・ラ・バランサ・ア・ス・ファボール(バランスを彼ら優位に傾けた)。リードしたマドリーは快適な状態になって、カウンターを狙ってきた」(ブスケツ)という流れになったんですが、その5分後にはバルベルデをモドリッチに代えたジダン監督とは違い、クーマン監督の動きは遅かったですね。ええ、35分には3人目の交代選手として、ロドリゴがピッチに入るのを待っていたところ、その横にバルサの最初の交代選手が3人もずらりと並んでいたところ…。
おかげで勘違いしたモドリッチがつい、ロドリゴにパスを送ってしまい、あとで「Calma, todavía estoy fuera papa!/カルマ、トダビア・エストイ・フエラ・パパ(落ち着いて。ボクはまだピッチ外だよ、パパ)」とと、19才の後輩にツィッターでからかわれていたりしたんですが、大丈夫。アンス・ファティ、ペドリの17才コンビとブスケツをグリーズマン、デンベレ、そしてこちらも19才のトリンコンに代え、更にはジョルディ・アルバからブライトワイテと、総勢6人ものFWで同点を狙ったバルサだったんですが、GKネトがクロースの連続シュートをdoble paradon(ドブレ・パラドン/2度のスーパーセーブ)で防いでいなければ、もっと早くにマドリーは3点目を挙げられていたかと。
結局、最後は45分、エリア内に侵入したビニシウスをネトが吹っ飛ばしてシュートを防いだ後、こぼれ球をロドリゴがモドリッチにパス。「Por qué no me devuelves la pared, hijo?/ポル・ケ・ノー・メ・デブエルベス・ラ・パレッド、イホ(どうして壁パスを返してくれないんだい、息子よ)」とリツートしていた35才が敵DFをフェイントでかわし、試合に決着をつける3点目を入れたため、「Pero te devolví Papa!/ペロ・テ・デボルビ・パパ(でも返したよ、パパ)」と反論されていましたけどね。これでスコアは1-3、カンプ・ノウで気分の上がる勝ち点3をもぎ取って、マドリーは帰京できることに。
おかげでここ2連敗のせいで、後任監督の候補まで取り沙汰されるという、マドリーを取り巻いていたクライシス状態は雲散霧消し、逆にCLフェレンツバーロシュ戦こそ、大勝したものの、リーガでは前節のヘタフェ戦から2連敗。代表戦前のセビージャとの引き分けも合わせると、リーガで3試合連続白星なしとなったバルサにババを付け替えることができたんですが、それにしても文句が多いのはクーマン監督。だってえ、コリセウム・アルフォンソ・ペレスで1-0と負けた後も、ピッチでボルダラス監督にニヨムから、失礼なことを言われたと抗議していただけでなく、この日は何と、引き上げてくる審判団を待ち伏せしていたんですよ。
「どうしてなんだ?君は先週のヘタフェ戦であった2つのタックルの映像を見たか? Solo hay VAR en contra/ソロ・アイ・バル・エン・コントラ(ウチに不利なVAR判定しかない)」と噛みついていたらしいんですが、まあ確かに「Estos agarrones pasan siempre en el área/エストス・アガロネス・パサン・シエンプレ・エン・エル・アレア(ああいう引っ張り合いはエリア内ではいつもあること)」(クーマン監督)というのも一理ありますけどね。おかげで前節、こちらは素材が劣ったか、レアル・ソシエダ戦でサナブリアがユニに穴まで開けられながら、ペナルティを取ってもらえなかったシーンをベティスがわざわざツイートしていたなんてこともあったんですが、そういうジャッジのバラつきは昨今、決して珍しいものではなし。
実際、日曜にグラナダと試合した弟分のヘタフェなんて、クラシコではカセミロがメッシをエリア内で倒しても、先にボールに触っているという理由でペナルティにならなかったのとほとんど同じプレーでPKを献上。ジェネはボールを蹴ってから、ヤンヘル・エレーラと接触したというのに、モントロのゴールで1点を取られてしまったのですから、たまったもんじゃなかったかと。おかげで雨の中、ホルホ・モリーナやケネディら、ヘタフェから、今季グラナダに移った選手の古巣訪問による同窓会的雰囲気などまったくなく、両チーム合わせて42ものファールが飛び交う激戦で0-1の負けという結果になってしまっては、悔しさもひとしおだったかと。
そのせいかどうか知りませんが、試合後、気分が悪くなって記者会見に出られなかったボルダラス監督に代わり、質問に答えていたモレノ第2監督によると、「Djené toca el balón, recibe una patada/ジェネ・トカ・エル・バロン、レシーベ・ウナ・パタダ(ジェネはボールに触って、相手に蹴られもした)」そうで、ケガまでしているとはまったくツイていない。とりあえず、今季のヘタフェはヨーロッパの大会参加組ではないため、先週木曜にはPSVに1-2で勝利、今週木曜にはPAOKとのELホームゲームと過密スケジュール真っ只中のグラナダとは違い、日曜のバレンシア戦まで時間がありますからね。ここはじっくり調整して、上位定着を目指したらいいかと。
え、話が日曜に飛んでしまったようだけど、クラシコの後にはアトレティコの試合もあったんだろうって?その通りで、シメオネ監督のチームはワンダ・メトロポリターノにベティスを迎えたんですけど、何せ先週、ミュンヘンで4-0というgoleada(ゴレアダ/ゴルラッシュ)を喰らってきたばかりですからねえ。おまけにその日も前半は攻められっぱなしで、GKオブラクがいなかったら、危なかった場面もあったんですが、バイエルンが持つ恐ろしいまでの決定力がベティスにはなかったのが幸い。0-0のまま、後半のピッチに戻って来たアトレティコはロッカールームで心を入れ替えたのか、再開からたった1分、スローインを起点として、エリア内右奥まで切り込んだマルコス・ジョレンテが右足の内側で、角度のないところから、先制点を決めてしまうって、狸に化かされるとはまさにこのこと?
ローテーションもあって、レマルとトレイラを先発させたのを後半頭から、カラスコとエレーラに代えたのも当たりました。25分には独走したカラスコをモントーヤがエリア前で後ろからタックル、VARで最後のデフェンダーのファールということで退場になったのも追い風となり、ロスタイムには前半、シュートを2度とも外してしまったルイス・スアレスがロディに出したスルーパスから、自身へのラストパスをゲット。これで2点目が決めるって、いやあ、セルタ戦もそうでしたが、2-0でまとめる辺り、最近のアトレティコはほんとに辻褄合わせが上手い。これでリーガ20チーム中、無敗は彼らだけとなり、カラスコの負傷さえなければ、CLザルツブルク戦ももっと、気が楽に迎えられたんでしょうが…。
というのも月曜のマハダオンダ(マドリッド近郊)での練習ではスアレスがジム籠りとなってしまい、シメオネ監督によると、先発するかどうかは当日の状態次第になってしまったから。もちろん、現在、リーグ5連勝中でオーストリア・ブンデスリーガ首位といっても、CL初戦でロコモティブ・モスクワと2-2で引き分けたザルツブルクがバイエルン程、強いということはありえないんですが、とにかくゴールを入れないことには勝てませんからねえ。火曜の午後9時(日本時間翌午前5時)からのワンダでは、ベティス戦では後半途中まで温存されたジョアン・フェリックスが頑張ってくれることを期待しています。
そして同日、同時刻にキックオフとなるお隣さんでは、ドイツ遠征メンバーにアザールが加わるという嬉しいニュースが。ようやく太もものケガを克服して、今季初のベンチ入りとなりましたが、こちらもジダン監督によると、「招集したのは状態がいいから。Mañana veremos cómo le vamos a utilizar/マニャーナ・ベレモス・コモ・レ・バモス・ア・ウティリサール(どう使うかは明日、見てみよう)」とのことで、出場するかはわかりませんけどね。相手のボルシア・メンヘングラッドバッハもここまで国内戦2勝2分け1敗の5位と、調子はそこそこのようですが、CL1節ではインテルと2-2で分けているため、黒星スタートしたマドリーもアトレティコ同様、ここで勝てば、形勢を一気に挽回できるかと。
ただ1つ、懸念材料があるとすれば、ナチョの負傷により、元々、カルバハル、オドリオソラの両名が離脱中の右SBを誰がやるかなんですが、メンディを当てれば、調子の良くないマルセロを左SBで使わないといけなくなり、かといって、クラシコでナチョに代わったルーカス・バスケスは本来、サイドアタッカーですからね。メンヘングラッドバッハの攻撃陣を防ぐにはどちらが良いか、ジダン監督には熟考してもらいたいところですが、さて。何にしても前日記者会見でクロースが、「初戦の黒星ですでにプレッシャーはある。Para nosotros es una final/パラ・ノソトロス・エス・ウナ・フィナル(ボクらにとっては決勝戦のようなもの)」と言っていた気構えで挑めば、遅れをとることはないんじゃないでしょうか。
実際、10月のインターナショナルマッチウィーク明けから始まった地獄の7連戦は、ヨーロッパの大会に出場しているどのチームにとっても恐ろしいもので、いや、私もこんなに頻繁に近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に入り浸っているのは、何せ、3月から3カ月近く続いたEstado de Alarma(エスタードー・デ・アラルマ/警戒事態)宣言がこの日曜に再びスペイン全土に発布されていますからねえ。今度はお店の営業停止や日中の外出禁止までには至らないものの、最近は若者や学生のfiesta(フィエスタ/パーティ)やbotellon(ボテジョン/野外での酒盛り)が増えてきたのもあってか、午前0時から朝6時までは多人数で集まってはいけないことに。
飲食店も午前0時に閉店となるのは、まあ、それまでに終わらない試合は今のところないため、別にいいんですけどね。要はスペイン中でコロナ感染者が激増しているということで、バルでの試合観戦もリスクが高いのかもと、私が怖くなってしまったのはともかく、早くも試合過多に選手の負傷が始まっているんですよ。ええ、クラシコではマドリーのナチョがハーフまであと少しというところで太ももを痛めて交代。11月の代表戦週間明けまで戻って来られなくなったかと思えば、バルサでもコウチーニョが太もものケガで全治3週間に。7連戦のスタート早々のセルタ戦でジエゴ・コスタを失っていたアトレティコなど、ベティス戦でもカラスコが、こちらも3週間の離脱となってしまったんですが、いやもう、このペースで12月まで続いたら、コロナ以上にケガ人の方がどのチームにとっても頭痛の種になるかも。
まあ、そんなことはともかく、クラシコがどんな試合だったかもお伝えしていくことにすると、リーガ前節のカディス戦、ミッドウィークのCLシャフタール戦での先発ローテーションが祟り、痛い目を見たジダン監督のチームでしたが、その甲斐は十分、ありました。ええ、開始5分にはベンゼマのスルーパスを受けたバルベルデが鋭いシュートを決め、早くも先制しているんですから、驚いたの何のって。ところが、その3分後にはバルサも反撃、ケガが治って戻ってきたジョルディ・アルバからの折り返しをゴール前でアンス・ファティが押し込んで、あっという間に同点になったため、もしや撃ち合いが見られるのかと、ワクワクしていたところ…。
それ程でもありませんでした。その後、前半はメッシが、こちらも超特急でヒザの打撲から回復し、チームの窮地を救うべく駆けつけたはずだったセルヒオ・ラモスを抜いて、放ったシュートをGKクルトワが弾いてくれたぐらいで、前述のナチョがルーカス・バスケスに代わって間もなく、1-1のまま、ハーフタイムに入ります。ただ、やっぱり主役になるよう生まれついている選手というのはいるんですね。後半16分にはセットプレー中にレングレが、まるで素材の耐久性に挑戦するがごとく、ラモスのユニを満々に引っ張って、いえ、その後の当人の倒れ方には少々、不自然な感もあったものの、VAR(ビデオ審判)から報告を受けた主審がリプレーを見て、ペナルティを取ってくれるとは、何てラッキーなんでしょう。
当然、このPKはすでに22回連続で成功しているラモスがしっかり決め、「Ha decantado la balanza a su favor/ア・デカンタードー・ラ・バランサ・ア・ス・ファボール(バランスを彼ら優位に傾けた)。リードしたマドリーは快適な状態になって、カウンターを狙ってきた」(ブスケツ)という流れになったんですが、その5分後にはバルベルデをモドリッチに代えたジダン監督とは違い、クーマン監督の動きは遅かったですね。ええ、35分には3人目の交代選手として、ロドリゴがピッチに入るのを待っていたところ、その横にバルサの最初の交代選手が3人もずらりと並んでいたところ…。
おかげで勘違いしたモドリッチがつい、ロドリゴにパスを送ってしまい、あとで「Calma, todavía estoy fuera papa!/カルマ、トダビア・エストイ・フエラ・パパ(落ち着いて。ボクはまだピッチ外だよ、パパ)」とと、19才の後輩にツィッターでからかわれていたりしたんですが、大丈夫。アンス・ファティ、ペドリの17才コンビとブスケツをグリーズマン、デンベレ、そしてこちらも19才のトリンコンに代え、更にはジョルディ・アルバからブライトワイテと、総勢6人ものFWで同点を狙ったバルサだったんですが、GKネトがクロースの連続シュートをdoble paradon(ドブレ・パラドン/2度のスーパーセーブ)で防いでいなければ、もっと早くにマドリーは3点目を挙げられていたかと。
結局、最後は45分、エリア内に侵入したビニシウスをネトが吹っ飛ばしてシュートを防いだ後、こぼれ球をロドリゴがモドリッチにパス。「Por qué no me devuelves la pared, hijo?/ポル・ケ・ノー・メ・デブエルベス・ラ・パレッド、イホ(どうして壁パスを返してくれないんだい、息子よ)」とリツートしていた35才が敵DFをフェイントでかわし、試合に決着をつける3点目を入れたため、「Pero te devolví Papa!/ペロ・テ・デボルビ・パパ(でも返したよ、パパ)」と反論されていましたけどね。これでスコアは1-3、カンプ・ノウで気分の上がる勝ち点3をもぎ取って、マドリーは帰京できることに。
おかげでここ2連敗のせいで、後任監督の候補まで取り沙汰されるという、マドリーを取り巻いていたクライシス状態は雲散霧消し、逆にCLフェレンツバーロシュ戦こそ、大勝したものの、リーガでは前節のヘタフェ戦から2連敗。代表戦前のセビージャとの引き分けも合わせると、リーガで3試合連続白星なしとなったバルサにババを付け替えることができたんですが、それにしても文句が多いのはクーマン監督。だってえ、コリセウム・アルフォンソ・ペレスで1-0と負けた後も、ピッチでボルダラス監督にニヨムから、失礼なことを言われたと抗議していただけでなく、この日は何と、引き上げてくる審判団を待ち伏せしていたんですよ。
「どうしてなんだ?君は先週のヘタフェ戦であった2つのタックルの映像を見たか? Solo hay VAR en contra/ソロ・アイ・バル・エン・コントラ(ウチに不利なVAR判定しかない)」と噛みついていたらしいんですが、まあ確かに「Estos agarrones pasan siempre en el área/エストス・アガロネス・パサン・シエンプレ・エン・エル・アレア(ああいう引っ張り合いはエリア内ではいつもあること)」(クーマン監督)というのも一理ありますけどね。おかげで前節、こちらは素材が劣ったか、レアル・ソシエダ戦でサナブリアがユニに穴まで開けられながら、ペナルティを取ってもらえなかったシーンをベティスがわざわざツイートしていたなんてこともあったんですが、そういうジャッジのバラつきは昨今、決して珍しいものではなし。
実際、日曜にグラナダと試合した弟分のヘタフェなんて、クラシコではカセミロがメッシをエリア内で倒しても、先にボールに触っているという理由でペナルティにならなかったのとほとんど同じプレーでPKを献上。ジェネはボールを蹴ってから、ヤンヘル・エレーラと接触したというのに、モントロのゴールで1点を取られてしまったのですから、たまったもんじゃなかったかと。おかげで雨の中、ホルホ・モリーナやケネディら、ヘタフェから、今季グラナダに移った選手の古巣訪問による同窓会的雰囲気などまったくなく、両チーム合わせて42ものファールが飛び交う激戦で0-1の負けという結果になってしまっては、悔しさもひとしおだったかと。
そのせいかどうか知りませんが、試合後、気分が悪くなって記者会見に出られなかったボルダラス監督に代わり、質問に答えていたモレノ第2監督によると、「Djené toca el balón, recibe una patada/ジェネ・トカ・エル・バロン、レシーベ・ウナ・パタダ(ジェネはボールに触って、相手に蹴られもした)」そうで、ケガまでしているとはまったくツイていない。とりあえず、今季のヘタフェはヨーロッパの大会参加組ではないため、先週木曜にはPSVに1-2で勝利、今週木曜にはPAOKとのELホームゲームと過密スケジュール真っ只中のグラナダとは違い、日曜のバレンシア戦まで時間がありますからね。ここはじっくり調整して、上位定着を目指したらいいかと。
え、話が日曜に飛んでしまったようだけど、クラシコの後にはアトレティコの試合もあったんだろうって?その通りで、シメオネ監督のチームはワンダ・メトロポリターノにベティスを迎えたんですけど、何せ先週、ミュンヘンで4-0というgoleada(ゴレアダ/ゴルラッシュ)を喰らってきたばかりですからねえ。おまけにその日も前半は攻められっぱなしで、GKオブラクがいなかったら、危なかった場面もあったんですが、バイエルンが持つ恐ろしいまでの決定力がベティスにはなかったのが幸い。0-0のまま、後半のピッチに戻って来たアトレティコはロッカールームで心を入れ替えたのか、再開からたった1分、スローインを起点として、エリア内右奥まで切り込んだマルコス・ジョレンテが右足の内側で、角度のないところから、先制点を決めてしまうって、狸に化かされるとはまさにこのこと?
ローテーションもあって、レマルとトレイラを先発させたのを後半頭から、カラスコとエレーラに代えたのも当たりました。25分には独走したカラスコをモントーヤがエリア前で後ろからタックル、VARで最後のデフェンダーのファールということで退場になったのも追い風となり、ロスタイムには前半、シュートを2度とも外してしまったルイス・スアレスがロディに出したスルーパスから、自身へのラストパスをゲット。これで2点目が決めるって、いやあ、セルタ戦もそうでしたが、2-0でまとめる辺り、最近のアトレティコはほんとに辻褄合わせが上手い。これでリーガ20チーム中、無敗は彼らだけとなり、カラスコの負傷さえなければ、CLザルツブルク戦ももっと、気が楽に迎えられたんでしょうが…。
というのも月曜のマハダオンダ(マドリッド近郊)での練習ではスアレスがジム籠りとなってしまい、シメオネ監督によると、先発するかどうかは当日の状態次第になってしまったから。もちろん、現在、リーグ5連勝中でオーストリア・ブンデスリーガ首位といっても、CL初戦でロコモティブ・モスクワと2-2で引き分けたザルツブルクがバイエルン程、強いということはありえないんですが、とにかくゴールを入れないことには勝てませんからねえ。火曜の午後9時(日本時間翌午前5時)からのワンダでは、ベティス戦では後半途中まで温存されたジョアン・フェリックスが頑張ってくれることを期待しています。
そして同日、同時刻にキックオフとなるお隣さんでは、ドイツ遠征メンバーにアザールが加わるという嬉しいニュースが。ようやく太もものケガを克服して、今季初のベンチ入りとなりましたが、こちらもジダン監督によると、「招集したのは状態がいいから。Mañana veremos cómo le vamos a utilizar/マニャーナ・ベレモス・コモ・レ・バモス・ア・ウティリサール(どう使うかは明日、見てみよう)」とのことで、出場するかはわかりませんけどね。相手のボルシア・メンヘングラッドバッハもここまで国内戦2勝2分け1敗の5位と、調子はそこそこのようですが、CL1節ではインテルと2-2で分けているため、黒星スタートしたマドリーもアトレティコ同様、ここで勝てば、形勢を一気に挽回できるかと。
ただ1つ、懸念材料があるとすれば、ナチョの負傷により、元々、カルバハル、オドリオソラの両名が離脱中の右SBを誰がやるかなんですが、メンディを当てれば、調子の良くないマルセロを左SBで使わないといけなくなり、かといって、クラシコでナチョに代わったルーカス・バスケスは本来、サイドアタッカーですからね。メンヘングラッドバッハの攻撃陣を防ぐにはどちらが良いか、ジダン監督には熟考してもらいたいところですが、さて。何にしても前日記者会見でクロースが、「初戦の黒星ですでにプレッシャーはある。Para nosotros es una final/パラ・ノソトロス・エス・ウナ・フィナル(ボクらにとっては決勝戦のようなもの)」と言っていた気構えで挑めば、遅れをとることはないんじゃないでしょうか。
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