ピンクはラッキーカラーにならない…/原ゆみこのマドリッド
2020.10.20 21:45 Tue
「同じ負傷離脱でもちょっと、重みが違うわよね」そんな風に私が嘆いていたのは月曜日、カディス戦を欠場したレアル・マドリーのウーデゴールがノルウェー代表で張り切り過ぎたための筋肉痛ではなく、実はふくらははぎを肉離れ。全治1カ月となると、ニュースで知った時のことでした。というのもお隣さん同様、先週末から、アトレティコもリーガとCLグループリーグが3週間続く、地獄の7連戦に突入。ところがその初戦でいきなり、ジエゴ・コスタが太ももを痛め、こちらも全治3週間と、11月のインターナショナルマッチウィークが終わるまで、復帰が見込めない状態になっていたから。
何せ、片や昨季、レアル・ソシエダでの活躍を買われ、ようやく数年に渡るレンタル移籍生活から解放されたものの、まだレギュラーになったとはとても言えない21才に対して、チェルシーから出戻りした後、ゴールこそ、あまり決めていないものの、コスタはピッチにいるだけで敵に威圧感を与えてくれる、攻撃陣の精神的支柱ですからね。せっかく、週末のセルタ戦では初めてルイス・スアレスと大型FWツートップを組み、息の合ったところを見せてくれていたにも関わらず、ツキに恵まれていないとはまさにこのことだったかと。
え、それでも前節のリーガでは美味しいところ獲りができたアトレティコだったんだろうって?まあ、その通りで、マドリッド勢の1番手として、彼らはバライドスでセルタと対戦。paron(パロン/リーガの停止期間)前はウエスカ、ビジャレアル戦とスコアレスドローを続けていたため、私もゴールが見られるのか、不安だったんですが、いやいや。この日は早くも前半6分、右サイドでコケがコスタに繋ぐと、ブラジル代表の疲れが取れず、お留守番となったロディの代わりに左SBを務めていたカンテラーノ(下部組織出身の選手)マヌ・サンチェスがエリア内から、渾身の力を振り絞って折り返し。今季から背番号3をもらい、トップチームに昇格した彼が期待に応えるラストパスをスアレスに供給しているのですから、素晴らしいじゃないですか。
おかげでスアレスも移籍後、3点目を決めることができたんですが、リードした後はやっぱりいつものアトレティコ。反撃に転じたセルタに迫られ、それこそGKオブラクがイアゴ・アスパス、サンティ・ミナ、カレイラらのシュートを弾いてくれなければ、無失点でハーフタイムには入れないところでしたが、例のコスタの悲劇が起きたのは後半キックオフからすぐだったんですよ。ええ、彼がドリブルでエリア内に持ち込んで、並走していたスアレスにパスを送ったんですが、今度はシュートが枠を外れてしまったのはともかく、その時のダッシュで太ももを痛め、即交代要請って、いやほんと、ここ3シーズンのコスタはこれで14回目の負傷と、もうケガに祟られっぱなしです。
そこでコスタに代わってピッチに入ったのがジョアン・フェリックスだったんですが、その才能の煌めきが見られたのは後半ロスタイムに入ってから。うーん、最初はコーナーでボールをキープして、敵にファールを受けるという時間稼ぎをしていた彼だったんですけどね。やはり、それだけで満足できる器ではなかったようで、何と、敵の頭上を越すパスでマルコス・ジョレンテに繋ぎ、こちらも見事なtaconazo(タコナソ/ヒールキック)で戻って来たボールをシュート。残念ながら、その一撃はゴールバーに当たって跳ね返ってしまったものの、駆けつけたカラスコがヘッドで押し込み、「Por suerte apareció el 0-2/ポル・スエルテ・アパレシオ・エル・セロ・ドス(ラッキーにも0-2が生まれた)」(シメオネ監督)って、随分、上手く辻褄を合わせたもんじゃないですか。
ただ、2016年のCL準決勝ではビセンテ・カルデロンでサウールのゴールで1-0と勝ち、アリアンツ・アレナではグリーズマンの得点でようやく2-1として、アウェイゴール差で決勝進出を決めた彼らでしたが、今回はそのサウールが参加できるかが微妙。日曜、月曜のマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションでもヒメネスと共にグラウンドに姿を見せず、招集リストに戻って来られそうなのはロディぐらいと、いえ、まあ、セルタ戦でボランチデビューをしたトレイラ(アーセナルからレンタル移籍)も最後はふくらはぎにこむら返りを起こしながら、頑張ってくれたんですけどね。とりあえず、まだグループリーグですし、3月には前年度王者のリバプールも破っているアトレティコなんですから、8月にリスボンでの昨季準々決勝で2-8とgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らったバルサより、9月のUEFAスーパーカップで2-1の惜敗をしたセビージャに近い結果ぐらいは出してもらわないと。
そして、土曜はそのままバル(スペインの喫茶店兼バー)に居座って、マドリーとカディスの試合を見ていた私だったんですが、いくらピンクリボンデー(乳ガン撲滅運動の国際デー)が近いからといえ、エスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)なのに第3ユニのピンクでプレーしたせいで、選手たちも気が散ってしまったんですかね。ジダン監督も「Entramos mal, sin ritmo/エントラモス・マル、シン・リトモ(ウチは悪い形で、試合のリズムにも欠けて、ゲームに入った)」と言っていましたが、まさか、15年ぶりに1部のピッチを踏むカディスにキックオフ早々、押し込まれ、開始1分にはネグレドのシュートをセルヒオ・ラモスがゴールライン前でカット。
かろうじて古巣への恩返しゴールを防いだかと思えば、ロサノとカラの一撃もGKクルトワが必死で防ぐといった具合で、とうとう16分にはロサノにvaselina(バセリーナ/ループシュート)を決められて、先制点を奪われてしまったから、さあ大変!それこそ、「もっと上手く攻撃できてれば、5点は取れていただろう」(セルベラ監督)という劣勢だったんですが、泣きっ面に蜂とはよく言ったもので、30分過ぎにはロサノと接触プレーになったラモスが左ヒザを負傷。ハーフタイムで彼がミリトンに代わったのは仕方ないんですが、さすがにこれではマズいと思ったか、ジダン監督はルーカス・バスケス、イスコ、モドリッチもアセンシオ、カセミロ、バルベルデへと、一気に4人交代って、なかなかお目にかかれる光景ではなかったかと。
更に32分にはクロースもヨビッチと代わり、FW4人体制で同点を目指したマドリーだったんですが、自陣エリア周辺に9人が密集して守るカディスの壁を最後まで崩せず。そのまま0-1で負けてしまうとは、いやあ、「Hemos regalado la primera parte/エモス・レガラードー・ラ・プリメーラ・パルテ(ウチは前半を相手に贈ってしまった)」(カセミロ)のが、ここまで高くつくとはやはり、彼らのゴール不足も相当なもののよう。ただ、同様のことは去年の10月にも起こっていて、その時は9節でやはり、昇格組で、当時は久保建英選手がレンタル移籍していたマジョルカに1-0でシーズン初黒星を喫しているんですけどね。
そのマジョルカも結局は降格してしまったため、マドリーのホームで初勝利を挙げたカディスもそうそう、喜んでばかりはいられないんですが、昨季のリーガ王者にとっては、ホントに間の悪い時期の敗戦になったかと。だってえ、ラモスのケガは打撲だけだったようで、月曜にはチームのセッションに部分参加したとはいえ、水曜午後6時55分(日本時間翌午前1時55分)からのCLシャフタール(ウクライナ)戦のために無理したら、週末、土曜のクラシコ(伝統の一戦、バルサvsマドリー戦のこと)に出られなくなってしまうかもしれないんですよ。
かといって、CLでキャプテンを欠くと、1年前に逆転敗退を招いた16強対決アヤックス戦2ndレグや、コロナ禍による中断をはさんで連敗した8月のマンチェスター・シティ戦2ndレグのように悲惨な結果になりかねず、ええ、昨季はグループリーグ初戦でPSGに3-0と完敗したなんて前例もありますからね。普通なら、楽勝の相手でも決して油断はできないんですが、もちろん、宿敵バルサとのビッグマッチもムゲにはできないという、難しい選択をジダン監督はしないといけなくなったんですが…。
マドリッドには優秀な弟分チームもいるってことを忘れてはいけません。さすがに3試合連続というのは、お店にも悪いので退散した私だったんですが、コリセウム・アルフォンソ・ペレスにバルサを迎えたヘタフェが想定外の大金星を挙げてくれるんですから、驚いたの何のって。ええ、グリーズマンのシュート失敗などあり、前半を0-0で折り返した彼らには後半11分、デ・ヨングがエリア内でジェネを倒し、PKをゲットするという幸運が舞い込むことに。昨季の最終戦ではレバンテ相手にそれまで25回連続成功していたPKを失敗、そのせいでチームは2連連続EL出場という栄誉を逃してしまったこともあり、プレッシャーも相当、あったに違いないマタがGKネトを破り、ヘタフェに先制点を与えてくれます。
ま、当人は「Fue una liberación/フエ・ウナ・リベラシオン(これで解放されたよ)。失敗してから、ずっとまたPKを蹴って、自信を取り戻したかったんだ」と言っていたぐらい、強気な性格で、そんなに心配することもなかったんでしょうけどね。まだまだ、反撃する時間はあったにも関わらず、こちらもピンクデーに合わせて、第3ユニを着たバルサにはたった1点を返すことも難しかったよう。
ええ、それこそカウンターからクーチョが2本も絶好機に外していなければ、もっと点差が開いていた可能性もあった訳で、終了の笛を聞くなり、クーマン監督がボルダラス監督に「ニヨムはリスペクトを欠いていた。Me ha insultado, ha dicho dos o tres veces cosas muy feas/メ・ア・インスルタードー、ア・ディッチョー・ドス・オ・トレス・ベセス・コーサス・ムイ・フェアス(私を侮辱して、とても醜い言葉を2、3度、投げかけた)」と抗議していたように、気迫でもファール数でも勝ったヘタフェがそのまま、勝ち点3を手に入れてしまうとは、大したもんじゃないですか。
何せ、これまでリーガの3強には1つも白星がなかったボルダラス監督ですからね。今季、クーマン監督の下で立ち直ったかのように見えたバルサを、まさにクラシコ直前で叩いてくれるとは一体、誰に予想できた?おかげで消化試合数が1つ少ない相手に勝ち点で並ばれてしまうのを覚悟していたはずのマドリーも3差ある分だけ、ちょっとは気が楽になって、カンプ・ノウに乗り込めるはずですし、これでヘタフェも兄貴分、そしてカディスとグラナダと並んで2番手グループに躍進。日曜のカードでは決勝点のアシストをした後、久保選手が2枚目のイエローカードで退場となったものの、ビジャレアルがバレンシアに2-1で競り勝ち、レアル・ソシエダもベティスに0-3と勝ったため、この2チームが勝ち点差1で首位グループとなりましたが、いやいや。
そう、今週はビジャレアル、レアル・ソシエダ、グラナダにはELグループリーグ初戦があるため、ミッドウィークがフリーとなるヘタフェにはまさにその、木曜にPSVとアウェイ戦をこなしたばかりのグラナダと日曜に対戦する試合まで準備の時間がたっぷりあるんですよ。土曜にグラナダに負けたセビージャも火曜にチェルシーとのCL、バルサも同日、フェレンツバーロシュ戦と、上位候補は軒並み、ヨーロッパの戦いが始まって、地獄の7連戦となるため、ここ3週間のリーガ順位はかなり変動するんじゃないかと。いやあ、4試合しかしてなくて、2分けしているアトレティコはまだ8位なんですけどね。何はともあれ、どのチームもケガ人とコロナ陽性者を出さずに乗り切れることを祈っています。
何せ、片や昨季、レアル・ソシエダでの活躍を買われ、ようやく数年に渡るレンタル移籍生活から解放されたものの、まだレギュラーになったとはとても言えない21才に対して、チェルシーから出戻りした後、ゴールこそ、あまり決めていないものの、コスタはピッチにいるだけで敵に威圧感を与えてくれる、攻撃陣の精神的支柱ですからね。せっかく、週末のセルタ戦では初めてルイス・スアレスと大型FWツートップを組み、息の合ったところを見せてくれていたにも関わらず、ツキに恵まれていないとはまさにこのことだったかと。
え、それでも前節のリーガでは美味しいところ獲りができたアトレティコだったんだろうって?まあ、その通りで、マドリッド勢の1番手として、彼らはバライドスでセルタと対戦。paron(パロン/リーガの停止期間)前はウエスカ、ビジャレアル戦とスコアレスドローを続けていたため、私もゴールが見られるのか、不安だったんですが、いやいや。この日は早くも前半6分、右サイドでコケがコスタに繋ぐと、ブラジル代表の疲れが取れず、お留守番となったロディの代わりに左SBを務めていたカンテラーノ(下部組織出身の選手)マヌ・サンチェスがエリア内から、渾身の力を振り絞って折り返し。今季から背番号3をもらい、トップチームに昇格した彼が期待に応えるラストパスをスアレスに供給しているのですから、素晴らしいじゃないですか。
そこでコスタに代わってピッチに入ったのがジョアン・フェリックスだったんですが、その才能の煌めきが見られたのは後半ロスタイムに入ってから。うーん、最初はコーナーでボールをキープして、敵にファールを受けるという時間稼ぎをしていた彼だったんですけどね。やはり、それだけで満足できる器ではなかったようで、何と、敵の頭上を越すパスでマルコス・ジョレンテに繋ぎ、こちらも見事なtaconazo(タコナソ/ヒールキック)で戻って来たボールをシュート。残念ながら、その一撃はゴールバーに当たって跳ね返ってしまったものの、駆けつけたカラスコがヘッドで押し込み、「Por suerte apareció el 0-2/ポル・スエルテ・アパレシオ・エル・セロ・ドス(ラッキーにも0-2が生まれた)」(シメオネ監督)って、随分、上手く辻褄を合わせたもんじゃないですか。
いえ、実際、2点目が入った後、退場させられてしまったセルタのオスカル・ガルシア監督が、「Ellos tienen calidad, no necesitan de muchas ocasiones/エジョス・ティエネン・カリダッド、ノー・ネセシータン・デ・ムーチャス・オカシオネス(彼らには質の高さがあって、多くのチャンスを必要としない)」と言っていた程、アトレティコがゴールに恵まれている訳ではないんですけどね。それでも今週水曜午後9時(日本時間翌午前4時)にはCL1節で昨季の王者、シメオネ監督も「Nos vamos a enfrentar al mejor del mundo por intensidad, presión, juego/ノス・バモス・ア・エンフレンタール・アル・メホール・デル・ムンド・ポル・インテンシダッド、プレシオン、フエゴ(ウチは激しさ、プレス、プレーにおいて世界一のチームと対戦する)」と言っていたバイエルンとの試合をミュンヘンで迎えるため、セルタ戦で勝利できたのは選手たちの士気も上がって良かったかと。
ただ、2016年のCL準決勝ではビセンテ・カルデロンでサウールのゴールで1-0と勝ち、アリアンツ・アレナではグリーズマンの得点でようやく2-1として、アウェイゴール差で決勝進出を決めた彼らでしたが、今回はそのサウールが参加できるかが微妙。日曜、月曜のマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションでもヒメネスと共にグラウンドに姿を見せず、招集リストに戻って来られそうなのはロディぐらいと、いえ、まあ、セルタ戦でボランチデビューをしたトレイラ(アーセナルからレンタル移籍)も最後はふくらはぎにこむら返りを起こしながら、頑張ってくれたんですけどね。とりあえず、まだグループリーグですし、3月には前年度王者のリバプールも破っているアトレティコなんですから、8月にリスボンでの昨季準々決勝で2-8とgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らったバルサより、9月のUEFAスーパーカップで2-1の惜敗をしたセビージャに近い結果ぐらいは出してもらわないと。
そして、土曜はそのままバル(スペインの喫茶店兼バー)に居座って、マドリーとカディスの試合を見ていた私だったんですが、いくらピンクリボンデー(乳ガン撲滅運動の国際デー)が近いからといえ、エスタディオ・アルフレド・ディ・ステファノ(RMカスティージャのホーム)なのに第3ユニのピンクでプレーしたせいで、選手たちも気が散ってしまったんですかね。ジダン監督も「Entramos mal, sin ritmo/エントラモス・マル、シン・リトモ(ウチは悪い形で、試合のリズムにも欠けて、ゲームに入った)」と言っていましたが、まさか、15年ぶりに1部のピッチを踏むカディスにキックオフ早々、押し込まれ、開始1分にはネグレドのシュートをセルヒオ・ラモスがゴールライン前でカット。
かろうじて古巣への恩返しゴールを防いだかと思えば、ロサノとカラの一撃もGKクルトワが必死で防ぐといった具合で、とうとう16分にはロサノにvaselina(バセリーナ/ループシュート)を決められて、先制点を奪われてしまったから、さあ大変!それこそ、「もっと上手く攻撃できてれば、5点は取れていただろう」(セルベラ監督)という劣勢だったんですが、泣きっ面に蜂とはよく言ったもので、30分過ぎにはロサノと接触プレーになったラモスが左ヒザを負傷。ハーフタイムで彼がミリトンに代わったのは仕方ないんですが、さすがにこれではマズいと思ったか、ジダン監督はルーカス・バスケス、イスコ、モドリッチもアセンシオ、カセミロ、バルベルデへと、一気に4人交代って、なかなかお目にかかれる光景ではなかったかと。
更に32分にはクロースもヨビッチと代わり、FW4人体制で同点を目指したマドリーだったんですが、自陣エリア周辺に9人が密集して守るカディスの壁を最後まで崩せず。そのまま0-1で負けてしまうとは、いやあ、「Hemos regalado la primera parte/エモス・レガラードー・ラ・プリメーラ・パルテ(ウチは前半を相手に贈ってしまった)」(カセミロ)のが、ここまで高くつくとはやはり、彼らのゴール不足も相当なもののよう。ただ、同様のことは去年の10月にも起こっていて、その時は9節でやはり、昇格組で、当時は久保建英選手がレンタル移籍していたマジョルカに1-0でシーズン初黒星を喫しているんですけどね。
そのマジョルカも結局は降格してしまったため、マドリーのホームで初勝利を挙げたカディスもそうそう、喜んでばかりはいられないんですが、昨季のリーガ王者にとっては、ホントに間の悪い時期の敗戦になったかと。だってえ、ラモスのケガは打撲だけだったようで、月曜にはチームのセッションに部分参加したとはいえ、水曜午後6時55分(日本時間翌午前1時55分)からのCLシャフタール(ウクライナ)戦のために無理したら、週末、土曜のクラシコ(伝統の一戦、バルサvsマドリー戦のこと)に出られなくなってしまうかもしれないんですよ。
かといって、CLでキャプテンを欠くと、1年前に逆転敗退を招いた16強対決アヤックス戦2ndレグや、コロナ禍による中断をはさんで連敗した8月のマンチェスター・シティ戦2ndレグのように悲惨な結果になりかねず、ええ、昨季はグループリーグ初戦でPSGに3-0と完敗したなんて前例もありますからね。普通なら、楽勝の相手でも決して油断はできないんですが、もちろん、宿敵バルサとのビッグマッチもムゲにはできないという、難しい選択をジダン監督はしないといけなくなったんですが…。
マドリッドには優秀な弟分チームもいるってことを忘れてはいけません。さすがに3試合連続というのは、お店にも悪いので退散した私だったんですが、コリセウム・アルフォンソ・ペレスにバルサを迎えたヘタフェが想定外の大金星を挙げてくれるんですから、驚いたの何のって。ええ、グリーズマンのシュート失敗などあり、前半を0-0で折り返した彼らには後半11分、デ・ヨングがエリア内でジェネを倒し、PKをゲットするという幸運が舞い込むことに。昨季の最終戦ではレバンテ相手にそれまで25回連続成功していたPKを失敗、そのせいでチームは2連連続EL出場という栄誉を逃してしまったこともあり、プレッシャーも相当、あったに違いないマタがGKネトを破り、ヘタフェに先制点を与えてくれます。
ま、当人は「Fue una liberación/フエ・ウナ・リベラシオン(これで解放されたよ)。失敗してから、ずっとまたPKを蹴って、自信を取り戻したかったんだ」と言っていたぐらい、強気な性格で、そんなに心配することもなかったんでしょうけどね。まだまだ、反撃する時間はあったにも関わらず、こちらもピンクデーに合わせて、第3ユニを着たバルサにはたった1点を返すことも難しかったよう。
ええ、それこそカウンターからクーチョが2本も絶好機に外していなければ、もっと点差が開いていた可能性もあった訳で、終了の笛を聞くなり、クーマン監督がボルダラス監督に「ニヨムはリスペクトを欠いていた。Me ha insultado, ha dicho dos o tres veces cosas muy feas/メ・ア・インスルタードー、ア・ディッチョー・ドス・オ・トレス・ベセス・コーサス・ムイ・フェアス(私を侮辱して、とても醜い言葉を2、3度、投げかけた)」と抗議していたように、気迫でもファール数でも勝ったヘタフェがそのまま、勝ち点3を手に入れてしまうとは、大したもんじゃないですか。
何せ、これまでリーガの3強には1つも白星がなかったボルダラス監督ですからね。今季、クーマン監督の下で立ち直ったかのように見えたバルサを、まさにクラシコ直前で叩いてくれるとは一体、誰に予想できた?おかげで消化試合数が1つ少ない相手に勝ち点で並ばれてしまうのを覚悟していたはずのマドリーも3差ある分だけ、ちょっとは気が楽になって、カンプ・ノウに乗り込めるはずですし、これでヘタフェも兄貴分、そしてカディスとグラナダと並んで2番手グループに躍進。日曜のカードでは決勝点のアシストをした後、久保選手が2枚目のイエローカードで退場となったものの、ビジャレアルがバレンシアに2-1で競り勝ち、レアル・ソシエダもベティスに0-3と勝ったため、この2チームが勝ち点差1で首位グループとなりましたが、いやいや。
そう、今週はビジャレアル、レアル・ソシエダ、グラナダにはELグループリーグ初戦があるため、ミッドウィークがフリーとなるヘタフェにはまさにその、木曜にPSVとアウェイ戦をこなしたばかりのグラナダと日曜に対戦する試合まで準備の時間がたっぷりあるんですよ。土曜にグラナダに負けたセビージャも火曜にチェルシーとのCL、バルサも同日、フェレンツバーロシュ戦と、上位候補は軒並み、ヨーロッパの戦いが始まって、地獄の7連戦となるため、ここ3週間のリーガ順位はかなり変動するんじゃないかと。いやあ、4試合しかしてなくて、2分けしているアトレティコはまだ8位なんですけどね。何はともあれ、どのチームもケガ人とコロナ陽性者を出さずに乗り切れることを祈っています。
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