ブンデス再開の裏で…収入減が見込まれる下部リーグは想像以上に大きな打撃も

2020.05.18 21:00 Mon
Getty Images
16日にヨーロッパ5大リーグの先陣を切って再開されたブンデスリーガ。無観客試合での開催ではあったが、ついにフットボールが戻ってきたことに心踊らせるサポーターは多かったのではないだろうか。

しかし、ブンデスリーガ以外のほとんどのリーグは再開に向けて様々な手段を模索している段階。さらに、再開できたとしても各リーグ及び各クラブは大幅な収益減が見込まれている。

5大リーグの中でも最も巨額のお金が動くプレミアリーグでは、6月中旬でのリーグ再開を目指しているが、シーズンが無観客で再開となった場合でも、国内外の放送局に対し、およそ3億4000万ポンド(約450億円)を返済する必要があると見られている。イギリス『BBC』によれば、放映権料の返済を含め、仮にプレミアリーグが再開されなければ7億7600万ポンド(約1032億円)の巨額な損失が生まれるとしている。
プレミアリーグ同様に6月中旬でのリーグ再開を目指すセリエAは、放映権を持つ『スカイ・スポーツ』が、レガ・セリエAに対して、2019-20シーズンの放映権に関して、残りの分割払いを行わないことを書面で送ったと報じられている。これは、リーグと放送局側の交渉のスタートでしかないが、放映権料の減額などは大いにあり得るだろう。

また、イタリアサッカー連盟(FIGC)のガブリエレ・グラヴィナ会長は「セリエAのシーズンを終了した場合、7〜8億ユーロ(約812億〜927億円)を失うことになる。無観客でプレーした場合、損失は3億ユーロ(約348億円)になり、ファンを入れて再開した場合は損失は1〜1億5000万ユーロ(約116億〜174億円)になる」と述べており、改めてその影響の大きさを認識させられている。
そして、フランス政府の決定を受けてシーズン打ち切りを決定したリーグ・アンでは、同リーグの主要放送局の1つである『Canal +』が、今後支払予定だったテレビ放映権料1億6200万ユーロ(約192億円)を支払わないことをすでに通達している。フランス・プロリーグ機構(LFP)はこの放映権料の支払い分について、フランス政府と融資を受け取るための交渉を行っている。

ここまで、莫大な放映権料が支払われるトップリーグについて話してきたが、さらに問題となるのは、それがない下部リーグ、そしてそのクラブだ。それらのクラブは放映権料がない分、収益の多くを入場料やグッズ売上、スポンサーとの契約に頼っている状況。しかし、その金額も大きくないこと、またスポンサー企業もトップクラブの比ではない規模であることから、企業側の経営難がスポンサー撤退などに繋がる可能性も大いにある。

このことは、サッカー界だけの問題ではない。アメリカ『AP通信』によると、今シーズンのメジャーリーグ・ベースボール(MLB)を無観客で行った場合、MLBのチームが通常の収入の40%損失を見込んでいるのに対し、マイナーリーグのチームの収益は80%の損失に及んでしまう可能性がある。

トリプルAからルーキーリーグまで7段階で構成されているマイナーリーグ。メジャーリーグの登録40人枠を目指して日々切磋琢磨しているが、その過酷さは有名。バスでの長距離移動はもちろんのこと、給与も高くない。また、MLB球団の傘下でありながら、大半は独立資本であるため、経営規模は小さいものとなっている。

そういった財政的に問題を抱えるクラブは、各国政府の一時解雇措置や選手の給与カットなどで凌いでいる場合が多いが、この影響は何も今だけにとどまらない。無観客開催も新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が防げない状態では長期間続くことになり、クラブ、球団の財務を圧迫する。また、前述の放映権やスポンサー契約料なども、これまで通りの規模で開催ができないとなれば、減額される可能性も大いにある。プロスポーツの中の下部リーグ、マイナーリーグとなると、チーム存続と言う大きな問題に直面する日もそう遠くはなさそうだ
《超ワールドサッカー編集部》

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