5大リーグで先陣を切るドイツ、コロナ禍の実情【現地レポート】

2020.05.16 12:00 Sat
©超ワールドサッカー
新型コロナウイルスの感染拡大は、他国の例に漏れず、ドイツ国民の生活も一変させた。
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筆者が住むノルトライン・ヴェストファーレン州では、州内初の感染者が出るやいなや、アルコール消毒液をはじめ、ハンドソープ、紙類、穀物、砂糖、缶詰が軒並み陳列棚から姿を消した。
[スーパーのパスタ類の棚もからっぽ(2月中旬撮影)]

感染の第一波が過ぎ去ったとして、アンゲラ・メルケル首相と州政府は5月上旬、衛生面など規則の順守を条件に、飲食店やジムなどの営業再開を許可している。だが、スーパーマーケットやドラッグストア、パン屋などでは、これまでと同様、人数制限やマスクの着用が厳しく課されており、「コロナ以前」の姿には程遠い。
本来なら、長く鬱屈した冬の季節が終わり、お天道様の煌めきに心躍らせるはずのこの時期。にもかかわらず、人々の顔色はいまだ“快晴”とはならない。

ブンデスリーガの中断期間中、ファンを退屈させまいと、メディアはあの手この手で話題を提供してくれた。ブンデスリーガ公式サイトは主にSNS上で、過去の名場面や往年の名選手を紹介。大衆紙ビルトは各クラブハウスの内部を細かく描写するなど、普段は見ることのできない“裏側”を報じた。

さらにDFL(ブンデスリーガの運営元「ドイツ・フットボールリーグ社」)もeスポーツ大会「ブンデスリーガ・ホームチャレンジ」を開催し、選手本人だけでなく主審までもが、コントローラーを手にモニターの前で奮闘した。しかし、やはりと言うべきか、生のサッカーが与えてくれる熱量には、どれも到底及ばなかった。
[空のトイレットペーパー棚@ドラッグストア(3月中旬撮影)]

さて、そんなリーグ中断から約2カ月。いよいよ今週末、無観客ではあるものの、ブンデスリーガが各国の先陣を切って再開へと歩みだす。しかし心配が皆無かといえば、おそらくそうではないだろう。
DFLのリーグ再開決定からわずか数日後、2部ドレスデンから2人の感染者が見つかり、選手およびスタッフの14日間の隔離が発表。これにより日本代表MF原口元気が所属するハノーファーとドレスデンの試合は、ひとまず延期となった。

スタジアムに入場可能なジャーナリストの数を極端に制限し、選手との接触が可能なミックスゾーンを撤廃するなど、試合を開催するにあたって慎重に慎重を重ねているが、物事に「絶対」などありえない。再スタートに踏み切ったDFLも、ブンデスリーガ発のクラスターを最も恐れているはずだ。

とにかくまずは、無事に試合が開催されること、1部と2部の全36クラブに関連した約5万6000人もの雇用が今後も維持されること、そしてなによりリーグ再開をきっかけとした新規感染者が一人も出ないことを、切に願いたい。

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