先が読めない…/原ゆみこのマドリッド

2020.04.03 18:00 Fri
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「今の時点で予定を立てるのは不毛よね」そんな風に私が溜息をついていたのは金曜日、UEFAやリーガ協会から伝わってきた今季残りのスケジュールを知った時のことでした。いやあ、新型コロナウィルスの流行により、Estado de Alarma/エスタドー・デ・アラルマ(警戒状態)が宣言され、スペイン中がconfinamiento(コンフィナミエント/不要不急の外出禁止)となってから、ほぼ3週間が経過。最近はスーパーに行くだけの短い道中にも警官が声をかけてくるため、私も朝に新聞を買うついでに食料品を調達するぐらいしか、家から出ていないんですが、一体、皆どこで感染しているんでしょう!

しばらく前から、老人ホームでの集団感染報道などはあったものの、日本のように感染経路の調査がある訳でもないですからね。おまけにまさにその、食料品の生産や販売、薬局、キオスク、ガソリンスタンドといったtrabajos esenciales/トラバホス・エセンシアレス(不可欠な仕事)以外、一般の工場やサンティアゴ・ベルナベウの改装工事を続けていた建設業などを含め、全ての労働を停止するよう、外出制限がより厳しくなった先週土曜からは毎日、ウィルスによる死者数が800人台をキープ。いい加減、今日こそ減っているだろうと金曜の朝、報道をチェックしてみれば、木曜の死者は900人台に、感染者数もいよいよ10万人を突破と、アメリカ、イタリアに続いて、破竹の勢いで世界3位を驀進中となれば、サッカーがいつ戻って来るかなんて、正直、誰にわかる?

ちなみに木曜にビデオコンファレンスで開かれたUEFAと55の加盟サッカー協会の会議では、チェフェリン会長がとにかく、各国リーグが2019-20シーズンを終えることを優先。6月頭からの再開を念頭に置き、ユーロ2020も1年延期になったため、まずは代表戦で時間を取られないよう、6月初旬のインターナショナルウィークをキャンセルし、スペインも大会前のテストマッチに予定していたワンダ・メトロポリターノでのポルトガル戦とサンタンデール(スペイン北部のビーチリゾート)でのリトアニア戦がなくなったんですが、まあこれと2021年夏開催のU21ユーロと女子ユーロも1年遅れになったのは別にいいんですけどね。

ビックリだったのは各国リークが終了した後、CLとELの残り試合を行う見通しになっていたことで、だってえ、スペインなどまだ11節もリーガ未消化分があるんですよ。例えば、6月中、48時間ごとの試合はAFE(スペインのサッカー選手組合)の賛同が得られがたいとあって、72時間ごとにミッドウィークと週末、ずっと試合を続けても8試合、残り3試合は7月にかかることに。コパ・デル・レイ決勝はアスレティックとレアル・ソシエダという、どちらもヨーロッパの大会に出ていないチーム同士の対決となるため、CL、ELと重なっても別にいいんですが、あのお、この時期って、真夏じゃない?

それもCLは16強対決2ndレグの中止試合4つから、ELなど、イタリア勢とスペイン勢の1stレグ2試合と2ndレグ丸々8試合からやらないといけないだけでなく、その先も準々決勝、準決勝、決勝と7カードが控えていますからね。実はベスト8は抽選で決まったスタジアムでの一発ガチンコ勝負、準決勝からは決勝の地、CLはトルコのイスタンブール、ELはポーランドのグダニスクで、ファイナルフォー形式で決着をつけるなんて案もあるそうですが、万が一、16強対決1stレグ、1-2でマンチェスター・シティに敗戦した劣勢をレアル・マドリーが引っくり返し、7月の準々決勝がマドリーダービーとなった場合、いやこれ、文字通り熱い(暑い?)戦いになるのは間違いないかと。

うーん、アタランタ、ライプツィヒ、PSGと共にすでに突破が決まっているアトティコのため、どこか涼しいそうなところにホームがあるチームがないかと、私もざっと見てみたんですけどね。コペンハーゲンが残っているELとは違い、まだ2ndレグが終わっていないチームもCLはドイツ(バイエルン)、イタリア(ユベントス、ナポリ)、フランス(オリンピック・リヨン)、イギリス(トッテナム、チェルシー、マンチェスター・シティ)、でなければバルサとどこも似たりよったりっぽいですからね。元々、真夏は暑いから、8月途中まではシーズンが始まらないんじゃないかと思っていたんですが、いやはや。もしその時期に決勝開催となると、やっぱり来季は9月もかなり過ぎた頃まで始まらないんでしょうね。

え、7月にもなれば毎年、プレシーズンマッチもあるし、スペインでも6月からのシーズン再開に備え、リーガ協会がミニプレシーズンの指針を1部2部の42チームに配布することになったんだろうって?その通りで、まず各チームは活動再開の72時間前に選手、スタッフ、更には同居家族までウィルス検査を実施。それで問題がなければ、その後、15日間の練習を行うんですが、最初は1人ずつ、続いて8人程のグループに分かれて、最後に全員でのセッションというプロセスを経ることに。おまけにその期間は練習場なり、ホテルなりに合宿するのが望ましいということで、いえ、マドリーなどはバルデベバス(バラハス空港の近く)の施設で全て完結できるため、簡単なんですけどね。

マハダオンダ(マドリッド郊外)の練習場に全選手がお一人様で過ごせる宿泊施設も食堂もあるなんて話、私も聞いたことがないですし、となると、アトレティコはロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)での合宿一択かと思いますが、その辺は弟分のヘタフェやレガネスも同じ環境。とはいえ、現在のスペインの状況が状況だけに、一応、来週9日までとされている絶対警戒状態が解除されることになるのか、それとも更に延長がかかって、5月半ばになっても練習を再開するどころじゃないのか、誰にもわからないんですが…3週間も自宅軟禁しているとなると、リーガ協会も何かを考えたくなるということなんでしょうかねえ。

そんな中、大変なのはリーガ中断の余波で試合関連やショップやミュージアムの収入がなくなった各クラブの財政で、ええ、先週から内部ですったもんだしていたバルサも月曜には話し合いに決着がつき、トップチームの選手たちが月給を70%カットすることに同意。その他の従業員を対象としたERTE(スペインの不況時雇用調整法)を申請し、その結果、少なくなるサラリーをトップチームの選手たちの減額分で補うことになったんですけどね。

わざわざその意志を示すため、メッシ、ピケ、ブスケツらキャプテンたちが、「No deja de sorprendernos que desde dentro del club hubiera quien tratara de ponernos bajo la lupa/ノー・デハ・デ・ソルプレンデールノス・ケ・デスデ・デントロ・デル・クルブ・ウビエラ・キエン・トラタラ・デ・ポネールノス・バホ・ルパ(クラブ内にボクらに注目が集まるように仕組む人がいるのには驚きを禁じ得ない)。給料カットの合意が数日遅れたのは、クラブと他の従業員たちを助けるための方法を探していたからだったのに」と、いかにも選手たちが渋っているかのように見せかけようとしたとクラブ幹部を非難する声明をSNSで発表していたのは、あまり感じのいいものじゃなかったかと。

実際、バルサ、アラベス、エスパニョールに続き、アトレティコも木曜にはERTEを申請したんですが、いえ、こちらも週末には先にシメオネ監督ら、スタッフらとは給料70%減の合意ができていたものの、トップチームの選手たちからの返事が揃わず、今週になってもサウールなど、「No tenemos nada claro, no tenemos al cien por cien nada. Creo que va mucho más retrasado/ノー・テネモス・ナーダ・クラーロ、ノー・テネモス・アル・シイン・ポル・シエン・ナーダ。クレオ・ケ・バ・ムーチョ・マス・レトラサードー(ボクらははっきりしたことを知らなくて、100%何も知らないんだ。話が凄く遅れているんじゃないかな)」とかなり、悠長なコメントをしていたんですけどね。

結局、こちらはトップチームの選手とスタッフ、女子チーム、アトレティコBの選手、そして経営陣が給料を減らし、ERTE対象の一般従業員の穴埋めをすることになったんですが、意外と余裕だったのはヘタフェで、アンヘル・トーレス会長は「何で他のチームが申請するのかわからない」と、何十倍もの予算を誇る兄貴分が手続きを急いだのが理解できなかったよう。いえ、先週は収支に余裕があるから、バルサのようなことにはならないと言われていたマドリーでさえ、試合中断が長引けば、選手たちの給料を減らさないといけなくなるようですからね。儲けが多い分、支出も多いというか、今はどこのクラブも早いシーズン再開を願っているのは確かのようです。

一方、この間、選手たちがどうやって時間を潰しているのかというと、いやあ、先週土曜にはカンテラ(ユースチーム)所属の14才の選手がコロナウィルスによる肺炎で死亡というショックなニュースがあったアトレティコでは、コケがソシオ(協賛会員)ナンバー1のベテランファンと会話するビデオ(https://bit.ly/2UDOVbG)や、ジョアン・フェリックスがプール付きの自宅で自主練に励む様子(https://bit.ly/2ypie8V)などが公開されていたんですが、まあそのぐらいなもの。

むしろ、今季はインテルにいて、まだヘタフェとのEL16強対決のカタがついていないゴディンがESPNのインタビューに答え、昨年のクリスマス休暇の後、フライトが一緒になったシメオネ監督が「ワンダでウチはリバプールに勝つよ。1-0か2-0か2-1かわからないが、とにかく勝つ。El tema va a ser la vuelta/エル・テマ・バ・ア・セル・ラ・ブエルタ(問題は2ndレグだ)。自分はそう確信しているし,選手たちもワンダで勝つことを信じている」と話していたという、まさに予言のような会話を披露していた方が印象に残ったかと。

転じてお隣さんでは3月30日に34才のバースデーを迎えたセルヒオ・ラモスがタレントの奥さん、ピラール・ルビオさんと3人の息子さんたちと一緒に祝っているビデオを上げていたのはともかく(https://bit.ly/2UDDujX)、いやいやまだ若い。折しも去年の今頃はCL16強対決でマドリーに逆転勝ち抜けしたのにかこつけ、アヤックスがツイッターにその2ndレグ、出場停止だった彼がベルナベウのパルコ(貴賓席)で見ている写真を掲載したのに、4度のCL優勝の写真でお返し(https://bit.ly/39C7Yr4)とは、まったく幾つになっても負けず嫌いなのは変わりません。

ただ、それより大人気なかったのは、32才のベンゼマで、こちらはインスタグラムでファンの質問に答え、同僚のバルブエナ(オリンピアコス)への脅迫疑惑がかけられた2015年以来、フランス代表から遠ざかっている自分とジルー(チェルシー)と比べ、「F1の車とカートを混同しちゃいけない」と言っていたのはどうかと思いますけどね。それには早速、2018年W杯のフランス優勝に貢献した相手から「カートでも世界王者のカート」と言い返されていたのも自業自得でしょうが、そんなイザコザも皆、試合が中断していて暇がありすぎるから。

何しろ、最近はあまりにネタがないせいか、スポーツ紙のマドリーページなど、早くも今季の各選手点数付けから、放出、獲得要員の予測に入っちゃいましたからね。このまま4月、5月いっぱい試合がないと、もう記者たちも本当に書くことがなくなってしまい、大変そうですが…ちなみにコロナ被害ではマドリーもアトレティコも70代のOBが亡くなっている他、後者ではいつもマスコミのアクレジテーションの面倒を見てくれるクラブ職員が先日、ようやく退院して、自宅療養しているなんて話も。ちょっと前には顔見知りのBBCの記者も入院していたようですし、何だか身近なところにも感染者が現れるようになってきたのは本当に怖いですよね。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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