いつまで籠っていればいいのやら…/原ゆみこのマドリッド

2020.03.17 13:10 Tue
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「犬の散歩はOKで、人の散歩はダメっておかしい」そんな風に私が理不尽さを感じていたのは月曜日、スペイン全土がEstado de alarma(エスタードー・デ・アラルマ/警戒状態)に突入して3日目の朝、近所のスーパーから戻る道でのことでした。いやあ、初日はあまり気にしてなくて、本当にスーパー、薬局、煙草屋以外は閉店しているのだろうかと、丁度、試合もないことですし、セントロ(市内中心部)まで偵察に行ってみたんですけどね。グランン・ビア(マドリッドの中央通り)から、プエルタ・デ・ソルまで、コルテ・イングレス(スペインのデパートチェーン)を始め、バル(スペインの喫茶店兼バー)、レストラン、マクドナルドなどのファストフードまでが軒並みクローズ。

それでもピザなどの宅配は頼めるため、UberEatsのお兄さんたちが自転車で行きかう中、基本食料品を扱うお店として休業指定外のベーカリー併設カフェで朝、行きつけのバルで飲めなかったコーヒーはテイクアウトできたんですけどね。とはいえ、国中がこれじゃ、先週末からビーチリゾートへバケーションに来ていたツーリストがバレンシアやアリカンテのスーパーに殺到。食べ物やアルコール飲料を買って、通りでbotellon(ボテジョン/オープンエアーでの宴会)をしていたというニュースにも頷けないことはない?

もちろん、これでは危急の用事以外の自宅待機を政府が命じた意味がないため、日曜からは軍隊の協力も得て、市中パトロールを厳格化。いえ、犬の散歩は日常生活に欠かせないため、構わないとペドロ・サンチェス首相が土曜のTV演説で何度も繰り返していたため、大丈夫みたいなんですけどね。連れて歩くペットがいなくたって、ずっと家にこもっていたら、足を伸ばすために散歩ぐらいしたいのが人情かと思いますが、どうやら警察に見つかると、100~600ユーロ(約1万2000~7万2000円)の罰金が科されるのだとか。

となると、私も覚悟を決めて家に籠るしかないんですが、ヒマな時間が増えると、ネットにはまってしまうのも昨今の人の常。先週木曜にバスケットボールチーム選手の新型コロナウィルス感染が見つかり、15日間の自宅隔離状態に入ったレアル・マドリーの選手たちなど、これみよがしに自宅で練習に励んでいる映像をSNSにアップしていたんですが、もう溜息しかでないんですよ。だってえ、セルヒオ・ラモスにしろ、ルーカス・バスケス、ベンゼマ、カルバハルらは皆、マドリッド近郊の高級住宅地に豪邸を構えていて、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場に負けずとも劣らずのジムを所有。

更には日がさんさんと降り注ぐお庭の芝生の上でトレーニングなんて、先週金曜のエイバル戦から、リーガが2週間停止することになったため、サンティアゴ・ベルナベウで会い損ねた乾貴士選手の自宅練習とはあまりに趣が違いすぎる? いやまあ、マドリッド勢弟分のレガネスなど、Youtubeの生配信を使って、選手たちがそんなに広くない家の中でもできるトレーニングをフィジカルコーチが指導していましたけどね。そこまで本気の運動をしたい訳でもなく、ただ歩くだけで体調を整えていた私みたいな人間には何とも辛い時代がやって来たようです。

まあ、そんなことはともかく、今季のリーガがどうなるかについては2019-20年シーズンをチャラにすることを含め、ここ数日、いろいろ意見が出ているんですが、まずは火曜に開かれるUEFA加盟55サッカー協会参加のTV会議の結果を待たないといけないよう。というのも月曜など、朝見た時は7000人ぐらいだった感染者が夕方には9000人台になっていたなど、恐ろしいスピードでコロナウィルスが広まっているスペインでは一応、2週間となっている警戒状態が1カ月以上になるという噂もチラホラ。となると、インターナショナルマッチウィークの後、4月になってもすぐリーガが再開できるとは限らないんですよ。

今週からはUEFA主催のCL、ELも中止となっており、その残り試合をいつやるかも問題ですが、リーガの中止節が増えれば、増えるほど、最初の予定だった5月28日の週末までに全ての試合を終わらせるのが難しくなりますからね。野球と違って、毎日プレーする訳にいかないサッカーなだけに下手すると、シーズン終了が6月半ばとかになりかねないんですが、そこに立ちふさがるのが12日にスタートするユーロ。現在、国内戦が中断しているのはスペインだけでなく、セリエA、リーグ1、ブンデスリーガ、プレミアリーグら、主要リーグ全てとあって、そちらの都合を考えると、もうユーロは来年に延期するしかないかも。

え、他にもリーガ決着の方法案はあるんだろうって?そうですね、ただ、どれもマドリッド勢にとっては喜べないものばかりで、とりわけ気の毒なのはレガネス。そう、今季の順位を決めるのに中断した27節の結果を用いても、シーズン前半終了時の成績を用いても降格圏にいる彼らはマジョルカ、エスパニョールと共に2部に落ちてしまうんですから、そんなの受け入れられませんってば。ちなみに金曜にジェネラル・ディレクターのマルティン・オルテガ氏がウィルス陽性となり、そこからマドリー同様、選手たちが15日間の自宅隔離に入ってしまったレガネスは日曜午後1時からのバジャドリー戦をツィッターで仮想実況。

そちらではオスカルとカリージョがゴールを挙げ、2-1でバジャドリーに勝ったことになっていましたが、これが現実だったら、17位のセルタと同じ勝ち点に並んでいるんですから、やっぱりリーガは再開してくれないと。うーん、同じ日曜開催予定だったセビージャvsベティスのアンダルシアダービーでは、レギロンとボルハ・イグレシアスがFIFA20でオンライン対戦したなんて話も聞きましたけどね。TV放映権など、大金が懸かった順位をeスポーツで決める訳にもいきませんし、本当に難しいところです。

一方、やはり27節やシーズン前半終了時の順位で終わられては困るのがお隣さんのヘタフェと兄貴分のアトレティコで、だってえ、前者ではどちらもEL出場圏、後者ではアトレティコこそ、2位でしたが、ヘタフェは11位とヨーロッパの大会に出るには遠く及びませんからね。ちなみに今のところ、月曜にはガライに加え、ガヤ、マンガラのウィルス陽性も判明したバレンシアなどとは異なり、どちらのクラブも感染者は出していないんですが、両者とも月曜から再開を予定していた練習をここ2週間、取り止めることに。

折しもヘタフェはこのparon(パロン/リーガの中止期間)を利用して、月曜にはバルサからレンタルしているククレジャの買い取りオプションを行使。移籍金600万ユーロ(7億2000万円)で保有選手としたそうですが、彼らは先週のEL16強対決インテル戦1stレグも延期となったため、同様だったセビージャとローマ以外の12チームより、大会再開時には多く試合をしないといけないですからね。ウルグアイ代表に嬉しい初招集をされたダミアンとアランバリも3月のワールドカップ南米予選が延期となったため、危険な大西洋横断長時間フライトをせずに済むようですし、このまま誰も感染せずに済んでくれるといいのですが。

そして先週、CL準々決勝進出を決めたアトレティコはこの試合停止のおかげで、ハムストリングスに筋肉痛を抱えながら、アンフィールドでは延長戦で出場。結果、全治1カ月の肉離れとなったものの、16強対決2ndレグでリバプールに止めを刺す3点目を入れたモラタのリハビリ時間を稼げることに。結局、それ以降、木曜にマドリッドに戻ってからは、コロナウィルス蔓延の影響で1度もチームはマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場に足を踏み入れていないんですけどね。一応、コーチングスタッフからは自宅練習と食事のメニューが指示されているとはいえ、見つかったのが、シメオネ監督が感染拡大を防ため、#quedateencasa(ケダモスエンカサ/家に留まろう)のハッシュタグの元、自粛を呼び掛けていたのは別として、あとはコケがeスポーツに励んでいるインスタだけって、ちょっと怖くない?

まあ、彼らも昨季のCLチャンピオン、リバプールを倒し、天高く舞い上がった士気を失わないよう、各々、調整に努めてくれているとは思うんですが、そうそう、今週火曜に開催予定だったCL16強対決マンチェスター・シティ戦2ndレグを含め、当分試合がないことで、助かった選手はお隣さんにも2人ほど。ええ、最後となったベティス戦でケガをしたGKクルトワとマルセロで、自宅隔離の最中、クラブのトレーナーがケアに訪問できるのかは不明ですが、どちらにしろ4月なれば、完全に治っているかと。おまけにリーガの終了が遅くなればなるほど、昨年夏にヒザの靭帯断裂をしたアセンシオ、先日、足首の骨に入ったヒビの手術をダラスで受けたアザールも戻れる確率が高まるとなれば、災い転じて福にできるかもしれません。

何せ、マドリーも27節終了時点、シーズン前半終了時点、どちらもバルサに次いで2位のため、このリーガ順位決定策が採用されてしまうのはマズいですからね。1カ月ぐらい間を置けば、1stレグで1-2と負け、敗退ムード濃厚だったCLも風向きが変わり、彼らのお家芸、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)精神が発動するかもしれませんし、まだまだ先のことはわからず。とにかく今はまだ、スペインが陸の国境を閉鎖したとか、EUが圏外国籍者の流入を30日間禁じる処置を提案しているとか、ネガティブがニュースばかりが聞こえてきるヨーロッパなんですが、このコロナウィルス禍、早く通り過ぎてくれるのを私も祈るばかりです。。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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