だんだんサッカーどころじゃなくなってきた…/原ゆみこのマドリッド

2020.03.10 13:55 Tue
twitterfacebookhatenalinegplus
photo
「これじゃ、手配をするクラブのスタッフも大変よね」そんな風に私が同情していたのは月曜日、前日には新型コロナウィルスの大流行に苦しむロンバルディア州への出入り禁止令がイタリア政府から発表され、下手すると、木曜にサン・シーロで行われる予定のEL16強対決インテル戦1stレグにヘタフェがミラノ入りできなくなってしまう可能性が出てきた時のことでした。いやあ、火曜にメスタジャでバレンシアとのCL16強対決2ndレグをプレーするアタランタは、ホームのベルガモ(ミラノから1時間)も封鎖地域内ということで、特別許可を得て、月曜にFallas(ファジャス/火祭り)絶賛開催中のバレンシアに到着したんですけどね。

1stレグで4-1と勝った彼らもバレンシアも前日記者会見はおろか、恒例の公開練習もなく、試合自体も無観客で実施するんですが、この例に倣えば、ヘタフェも特例でミラノ往復はできる?まあ、相手は日曜にもユベントスとのセリエAの試合をトリノで行い、2-0と負けたものの、スタンドが無人なのに慣れているのは不利になりますけどね。一応、ヘタフェは試合当日の日帰りチーム移動を予定しているものの、実はもしかしたらイタリアのもっと感染者の少ない都市で無観客開催になるかもといった説もあるんですよ。

ただ、この動きは双方向化していて、すでに来週のバルサとナポリのCL16強対決2ndレグですら、カタルーニャ州政府が大量のビジターファンがイタリアからカンプ・ノウに応援に来ることを恐れ、無観客試合が検討されている程。おまけに月曜夜にはとうとう、サンチェス・ピスファンでのEL16強対決ローマ戦1stレグも無観客開催が決まったとなれば、もうイタリア勢とのカードはスペインですら、スタジアムで見るのは不可能になったということ?

うーん、ヘタフェも日にちも迫っているのに飛行機の手配すらままならないって、12年ぶりのEL決勝トーナメントがこのままでは悪夢になりかねませんが、月曜にはとうとうスペインでの死者も29人に。そういえば、日曜にラジオでサッカー中継を聴いている時もやたら、「症状が現れた時は病院には行かず、112(スペインの119番)ではなく、次の番号に電話を」というメッセージが流されていましたし、何だかこのまま感染者が増え続けると、リーガの試合までスタジアムに入ることができなくなりそうで、ちょっと私も怖くなってきたんですが…。

まあ、コロナの件はともかく、先週末のマドリッド勢の試合も振り返っていくことにすると、土曜にトップバッターを務めたのはワンダ・メトロポリターノでCL出場権争いのライバル、セビージャと当たったアトレティコだったんですが、とにかくこの後、CLリバプール戦の2ndレグが控えていましたからね。スタンドも赤白の風船スティックや垂れ幕でチームを迎え、雰囲気を盛り上げたんですが、期待になかなか、応えられないのも彼らの悪い癖の1つ。痛みを抱えていたロディが当日ベンチ外となり、左SBに本職CBのエルモーソを入れざるを得なかったのも不運ですが、まさか前半19分にはヘスス・ナバスからジョルダンにパスが通り、サビッチがデ・ヨングの前でカットし損ねた結果、先制点を奪われてしまうとはまったく、情けないじゃないですか。

でも大丈夫、31分にはCKからのプレーでジョアン・フェリックスがゴール前でグデリに倒されたところ、審判がVAR(ビデオ審判)判定を要請。最後は主審が画面でリプレーを見てジャッジするまで、延々3分以上、モラタがボールを抱えて待っていた甲斐があったんですよ。ええ、ここ8試合、ゴール日照りに陥り、奥さんのアリス・カンペロさんの第3子妊娠祝いをできなかった彼のPKで同点にできたんですが、ペナルティの理由はジョアンへのファールではなく、その前にディエゴ・カルロスの腕にボールが触れていたからとは、ホントに訳がわからない。

その4分後にはコケのスルーパスから、ジョアンが撃ったシュートがクンデに当たってGKヴァツリークを破り、勝ち越し点を挙げたアトレティコだったんですが、決してVARは彼らだけの味方ではありませんでした。そう、レギロンのヘッドをGKオブラクがparadon(パラドン/スーパーセーブ)で防いだ後、こぼれ球を追ったオカンポスに何を思ったか、トリッピアーが後ろから足を伸ばして倒し、こちらもペナルティを取られてしまったとなれば、どうしたらいいものやら。オカンポスがPKもソツなく決め、2-2でハーフタイムに入ったところ…。

いやあ、1試合2得点など、珍しい彼らだったため、前半だけでやり切った感に浸ってしまったんでしょうかね。後半はカラスコやジエゴ・コスタが絶好機を迎えたものの、追加点を挙げることはできず。そんな状態でシメオネ監督が残り10分程でジョアンをビトロに代えてしまった時にはpito(ピト/ブーイング)もチラホラ聞こえてきたんですが、「Estaba un poco cargado del gemelo, con calambres/エスタバ・ウン・ポコ・カルガードー・デル・ヘメロ、コン・カランブレス(ふくらはぎが少しつっていた。こむら返りもあったしね)」(シメオネ監督)という事情があったのだとか。

結局、2-2のまま、「ante el no error de ninguno de los dos el partido acabó empatado/アンテ・エル・ノー・エロール・デ・ニングーノ・デ・ロス・ドス・エル・パルティードー・アカボ・エンパタードー(どちらもミスをすることがなく、試合は引き分けに終わった)」(シメオネ監督)ため、3位セビージャと5位アトレティコの差は勝ち点2のまま、変わりませんでしたが、健気だったのは試合後のファン。火曜にはリバプールに向かい、水曜午後9時(日本時間翌午前5時)からの2ndレグは無観客試合にもならず、満員のアンフィールドで1stレグの1-0という、紙のように薄いリードを守らないといけないチームに「Échale huevos, el miércoles échale huevos/エチャレ・ウエボス、エル・ミエルコレス・エチャレ・ウエボス(根性を見せろ。水曜には根性を見せろ)」とカンティコを歌っていたんですが、はあ。

いえ、試合後はコケなども「Tenemos que aprender de Turín para que no vuelva a pasar/テネモス・ケ・アプレンデール・デ・トゥリン・パラ・ケ・ノー・ブエルバ・ア・パサール(同じことが起きないように、トリノでの経験から学ばないといけない)」と話し、昨季のCL16強対決1stレグで2-0とリードしながら、アウェイでの2ndレグでクリスチアーノ・ロナウドにハットトリックを許し、逆転敗退した黒歴史を反面教師にするつもりはあるようですけどね。プレミアリーグ断トツ首位のチームにはロナウドこそいないものの、サラー、フィルミーノ、マネの三弾頭を擁する上、GKアリソンがケガで出られず、第2GKアドリアンが相手とはいえ、果たしてアトレティコの誰がゴールを挙げてくれるのやら。とりあえず、レマルも月曜からはチーム練習に戻り、負傷欠場者はない見込みですが、これが今季最後の国外遠征になるかもしれないと、リバプールまで応援に行く勇気あるアトレティコファン約3000人を失望させない結果になるといいんですが。

そしてその日は午後9時からのセルタ戦を見るため、メトロとセルカニアス(国鉄近郊路線)を乗り継いで、コリセウム・アルフォンソ・ペレスに向かった私でしたが、その間の時間帯に6位につけているレアル・ソシエダが疑惑のペナルティでバルサに1-0で負け、ホッとしていていたのは弟分のヘタフェも同じだったかと。だからって、足並みを揃えることもないんですが、降格圏の1つ上にいるセルタも「Para nosotros, Iago Aspas es lo que Leo Messi al Barcelona/パラ・ノソトロス、イアゴ・アスパス・エス・ロ・ケ・レオ・メッシ・アル・バルセロナ(ボクらにとって、イアゴ・アスパスはバルサにとってのメッシと同じ)」(ウーゴ・マジョ)というエースが出場停止だったせいもあり、近頃では難所の1つと見なされるようになったコリセウムで勝ち点1を拾うことに最初から最後まで特化。

うーん、ヘタフェには後半ホルヘ・モリーナに代わり、アンヘルが入った後にはゴールが入りそうな気配があったんですが、せっかく決まった彼のヘッドもオフサイドで認められず。36分にアランバリが2枚目のイエローカードで退場になりながら、終了の笛が鳴るまで勝利の1点を求めた彼らの努力が実ることはなく、こちらも0-0の引き分けで終わることに。それでもヘタフェは4位をキープしていますし、今週は木曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのインテル戦が何より気になるところですが、リーガ次節のグラナダ戦ではアランバリだけでなく、マタとマクシモビッチが累積警告で出場停止になるのはちょっと、大変かもしれませんね。

そして日曜には18位のマジョルカが久保建英選手のゴールのおかげもあって、エイバルに1-2と勝利。今季アウェイで初の白星を手に入れた後、遅れを取ってたまるかとばかり、もう1つの弟分、レガネスもラ・セラミカで逆転勝利を挙げることができたんですが、前半4分にジェラール・モレノのヘッドで先制点を奪われながら、ハーフタイムにアギーレ監督が飛ばした檄のおかげで、もう後がないと腹を括り、逆境を跳ね返すことができたよう。ええ、後半2分にオスカルがエリア前からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決めると、24分には途中出場のアサレがパウ・トーレスに倒されてペナルティをゲット。PKもオスカルが沈めると、最後までリードを守って、こちらも今季アウェイでは初、4試合ぶりとなる1-2の勝利を掴むことに。

いやあ、そういえば、この試合の前、最後に勝ったレアル・ソシエダ戦でも後半ロスタイムにスーパーFKゴールで勝ち越し点を入れてくれたのもオスカルでしたしね。どうやら、エン・ネシリ(セビージャ)とブライトワイテ(バルサ)のいない今、ゴールはこの21才のFWに頼るしかない?いよいよ17位のセルタとは勝ち点差3、マジョルカとは2となった今週末土曜、ブタルケでのバジャドリー戦ではカリージョやゲレーロもベテランの存在感を示してくれるといいですよね。

え、それより驚かせてくれたのは夜のベティス戦で前節、サンティアゴ・ベルナベウでのクラシコ(伝統の一戦)でバルサに2-0と完勝したレアル・マドリーの豹変ぶりじゃなかったかって?その通りで、彼らも前日一足先に試合をしたライバルに勝ち点差2をつけられていたのはわかっていたはずですけどね。ベニト・ビジャマリンで対戦したルビ監督率いるベティスがそれこそ、窮鼠猫を噛む勢いで向かってきたのにタジタジとなってしまったのは私だけではなかったよう。

そう、この日はカルバハルとナチョが風邪でお休みだったため、ミリタオを右SBに、背筋痛のイスコの代わりにはルーカス・バスケスを入れたジダン監督だったんですが、スタメンがどうこうより、問題は「No entramos en el juego en ningún momento/ノー・エントラモス・エン・エル・フエゴ・エン・ニングン・モメントー(ウチは一瞬もゲームに入っていけなかった)」(ジダン監督)ところにあったよう。前半40分まではGKクルトワがフェキルのシュートを抜群の反射神経で弾いてくれたこともあり、何とか無失点で済んでいたんですが、まさかCKからのプレーでセルヒオ・ラモスがフェキルと激突。ファールをアピールしている間にシジネイにボールを拾われ、強烈な一撃を喰らってしまうとは一体、誰が想像したでしょう。

ただそれでもハーフタイム前にはそのシジネイがゴール前でマルセロを倒し、PKが与えられたため、このところ無得点が続くベンゼマがラモスから温情でキッカーを譲られて、同点ゴールを入れたんですが、後半になってもマドリーの状態は改善せず。いえ、それどころか、ベティスに攻めまくられているのには私も唖然とするばかりだったんですが、幸い9分にホアキンがクルトワをかわしてゴール前に出したラストパスはカナレスではなく、モドリッチの前に行ったため、その時はゴールを奪われず。マルセロがハムストリングスのケガでメンディに代わった後には、その彼のシュートがゴール枠を直撃するなんてこともあったんですが、ついに来たるべきものが来たのは38分のことでした。

いつものように中盤まで下がって、ゲームメイクに参加していたベンゼマがラモスに送ったパスが緩く、そのボールをテジョが掠め取ってエリアまで驀進。クルトワとの1対1を制して、ベティスの2点目を入れてしまったから、さあ大変!その後はバルサ戦に続いて途中出場したマリアーノとCF化したラモスを中心に反撃したマドリーでしたが、ゴールを入れることはできず、「Ha sido nuestro peor partido de la temporada/ア・シードー・ヌエストロ・ペオール・パルティードー・デ・ラ・テンポラーダ(ウチの今季最低の試合だった)」(ジダン監督)は2-1で負けてしまいましたっけ。

うーん、どうやらバランなどに言わせると、「ボクらは前線からプレッシャーをかけるのもバラバラで、敵のライン間を破る動きにも欠けていた」そうなんですけどね。何よりマズかったのは、「前の試合と同じレベルじゃなくて、バルサ戦のようにプレーしなかった」(カセミロ)ことじゃないかと思いますが、「Hoy nos ha salido un partido redondo donde todo lo que habíamos planteado nos fue saliendo/オイ・ノス・ア・サリードー・ウン・パルティードー・レドンドー・ドンデ・トードー・ロ・ケ・アビアモス・プランテアードー・ノス・フエ・サリエンドー(今日はウチの作戦が全て上手くいった完璧な試合ができた)」(ルビ監督)ベティスの選手たちの働きも見事なものだったかと。

おかげでせっかくの首位返り咲きも1週間天下に終わってしまったマドリーでしたが、リーガはまだ11試合ありますしね。今週金曜にはエイバル戦も控えていますし、そこで巻き返しも可能なんですが、やっぱり気になるのは再来週のマンチェスター・シティ戦2ndレグ。ええ、1stレグで1-2と負けている彼らはエティハド・スタジアムで根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)をしないといけないんですが、このベティス戦ではマルセロのみならず、クルトワも太ももを痛めていたことが試合後発覚したんですよ。

更にラモスが出場停止となるため、右サイドでボロボロだったミリタオがバランとのCBコンビを務めることになるのも怖いんですが…いやあ、こんな話をしているうちにスペインでは新型コロナウィルス対策が進展。現在、いよいよリーガも今週末から全て無観客試合にする方向で政府や保健省が検討しているというニュースが。マドリッドも水曜からは幼稚園から大学まで、全てがお休みなるそうですし、まさにこれは日本の後追い。次はスーパーマーケットの棚が空になるのかと、今は私もイヤな予感しかしません。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
コメント