まずはリーガで景気をつけて…/原ゆみこのマドリッド

2020.03.07 13:15 Sat
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「お手本にするにはちょっと怖いかな」そんな風に私が感じていたのは木曜日、コパ・デル・レイ準決勝2ndレグで敗退寸前に追い詰められたアスレティックが、スペインで2番目に多い優勝経験23回チームの底力を発揮。1stレグのサン・マメスで挙げた1-0の先勝を前半キープすると、後半にはカルロス・フェルナンデスとヘルマンのヘッドで総合スコア2-1と逆転されながら、残り9分にジュリが起死回生の1点を決め、最後は2-2のアウェイゴール差による勝利で決勝への切符をもぎ取ったのを見た時のことでした。

いやあ、もちろん前日、アンドゥーバでミランデス(2部)にオジャルサバルの決めたPKゴールで0-1と連勝、総合スコア3-1として、決勝進出を遂げたレアル・ソシエダも立派だったんですけどね。とはいえ、4月18日の大一番が史上初のバスクダービーになったとはいえ、会場はセビージャ(スペイン南部)のカルトゥハ。ここ3回、2009年、2012年、2015年にはバルサに戴冠を阻まれ、今回こそ、1984年を最後に出番のない伝説のガバラ(ビルバオの運河で使われた木材運搬船、アスレティックの優勝パレードに使われる)を見るチャンスと勢い込むアスレティックファンも、1987年にアトレティコを破ってコパ優勝した時以来のタイトル獲得を目指すレアル・ソシエダファンもこぞって飛行機やホテルの手配を開始することに。すでに1泊1000ユーロ(約12万円)以上の値がついていたため、ますます私には縁が遠くなりそうなんですが、まあそれは余談といったところかと。

それより言いたかったのは、アトレティコもCL16強対決1stレグではリバプールにワンダ・メトロポリターノで1-0という、ミニマムの先勝。来週水曜にはアンフィールドに乗り込んで2ndレグを戦わないといけないんですが、おそらく彼の地の雰囲気はヌエボ・ロス・カルメネスでグラナダを応援していたサポーターの盛り上がり以上となれば、今季アウェイゲームに滅法弱いシメオネ監督のチームが苦労するのは火を見るよりも明らかなんですよ。一応、彼らにも2016年のCL準決勝で強豪バイエルンを今はもう、解体ががんがん進み、メインスタンドがちょっぴり残っているだけのビセンテ・カルデロンで奇しくも、リバプール戦1stレグの1点を挙げたサウールのゴールで勝利。

1週間後のアリアンツ・アレナでの2ndレグでは、木曜にマルカ(スポーツ紙)に載ったインタビューでコケも「Fue de los partidos en los que más he sufrido/フエ・デ・ロス・パルティードス・エン・ロス・ケ・マス・エ・スフリードー(自分が一番苦しんだ試合の1つ)」と言っていたように、シャビ・アロンソとレバンドフスキにゴールを奪われたものの、間にグリーズマンが決めた1点のおかげでアスレティック同様、かろうじてアウェイゴール差で決勝に行けたという経験があるんですが、あの頃とはメンバーもかなり変わっていますからね。いくら相手が2月18日の対戦以来、プレミアリーグでウェストハムに3-2と苦戦、ワトフォードには3-0で敗れ、FAカップ5回戦もチェルシーに2-0で敗退と調子を落とし、加えて正GKのアリソンが負傷で出られなくなるなど、アトレティコにとって、都合のいい状況にはなってきているとはいえ、やっぱり余裕ではいられませんって。

え、今、大事なのはこの土曜午後4時(日本時間翌午前0時)に迫った、勝ち点差2で3位のセビージャとのCL出場権争奪決戦じゃないかって?その通りで、いや、まさか先週はミッドウィークが暇だったにも関わらず、決起ランチをやらなかったから、エスパニョールと引分けたに違いないとヒル・マリン筆頭株主が思ったのかどうかは定かではないんですけどね。2月には2週連続でマハダオンダ(マドリッド郊外)の練習場から、貸し切りバスで山岳地帯のレストランに向かい、チーム全員でお昼ご飯を食べた後、グラナダに6試合ぶりの勝利。その翌週はバレンシアとは引分けたものの、リバプールに勝利とゲンが良かったため、2匹目というか、3匹目のドジョウを狙ったんでしょうか。

水曜の練習後には最近、ワンダ・メトロポリターノにオープンしたライブ系レストラン、El Gran Escenario(エル・グラン・エセナリオ)に集まり、コンサートやマジックショー付きのランチを楽しんだのだとか(https://bit.ly/39GYMlK)。肝心の練習の方は金曜に私も偵察してきたんですが、このところは春めいてきたものの、風の強い日のシュダッド・デポルティボ・ワンダは寒くてねえ。15分の公開時間は、まだ負傷のリハビリ中で別メニューのレマルとGKたち以外、エレーラやヒメネスも戻り、全員参加のロンド(輪の中に選手が入ってボールを奪うゲーム)を和気あいあいとやっているだけで、パス練習を始めた途端、追い出されるって、もしやあまり苦手な分野は人に見られたくない?

そうそう、久々にシートに覆われて中が見えない練習場外縁を一周してみたところ、トップチームがセッションをしているグラウンドのゴール裏に当たる面に見学に来た近所のファンが開けたような穴を幾つか発見。うーん、内側にもシートがあるため、誰が誰なのかはよくわからないんですけどね。火曜にリケルメなどが出ていたUEFAユースリーグの16強対決アヤックス戦でスコアレスドローの後、PK戦で8人中3人が敵GKに止められ、6-5で敗退。お隣さんとのスペイン・スーパーカップ決勝のPK戦でもサウール、トマスが連続して失敗したことを鑑みて、木曜にはリバプール戦に備えてのPK練習をやったそうですが、この日は”モノ”・ブルゴス第2監督の声やボールの音からするに皆でガンガン、シュートを撃ちまくっていたよう。

ええ、練習後の記者会見でシメオネ監督も「Hay una fuerza diferente más cuando se juega en casa, un paso más, una intensidad y más contundencia/アイ・ウナ・フエルサ・ディフェレンテ・マス・クアンンドー・セ・フエガ・エン・カサ、ウン・パソ・マス、ウナ・インテンシダッド・イ・マス・コントゥンデンシア(ホームでプレーする時には違う力がより出るようだ。一歩前へ出て、より激しく、ガツンとね)」と言っていたように、ここまでリーガのアウェイ13試合で3勝しか挙げられていない今季、ワンダで虎の子の勝ち点3を逃す訳にはいきませんからね。そのためにはエン・ネシリとオカンポスは当然、阻止するとしても、アトレティコにもゴールが不可欠で、モラタなり、コレア、ジエゴ・コスタ、ジョアン・フェリックスらには責任を果たしてもらわないと。ちなみにこの試合、トマスは累積警告による出場停止、セビージャもオリベル・トーレスが同様で、心待ちにしていた古巣再訪が叶わないのはちょっと気の毒ですよね。

そして兄貴分と肩を並べてCL出場権争いに参加しているヘタフェは、同じ土曜午後9時からコリセウム・アルフォンソ・ペレスでセルタ戦を迎えるんですが、いやあ、コロナウィルス流行による影響を誰より受けたのは彼らかも。だってえ、12年ぶりのEL決勝トーナメントの32強対決ではヨーロッパの名門、アヤックスを下し、いえ、今週になって、相手チームのスタッフから数名、陽性反応が出たのはどうやら、ヨハン・クライ・アレナでの2ndレグの翌日、出席したパーティで感染したようなので、ヘタフェはチームも応援に駆けつけたファンもセーフだったんですけどね。

16強対決の相手がイタリアのホットゾーン、ミラノを本拠にするインテルだったのが運の尽き。2月にはアタランタ戦の応援でバレンシアファンもウィルスをもらってきたサン・シーロでの1stレグはもちろん、ホームでの2ndレグも相手ファンが大量に来ることを懸念して、保健省の判断で無観客試合になってしまったとなれば、強豪とのビッグマッチを楽しみにしていたファンがどんなに残念がったことか。うーん、来週火曜にアタランタとの2ndレグがあるメスタジャも無観客試合にされてしまったため、バレンシアのペーニャ(ファンクラブ)連合もヘタフェ同様、ホームチームサポーターだけ入場を認めてくれと嘆願したものの、それも却下されてしまいましたしね。

まあ、その場合、ビジターチームが四面楚歌状態になるため、仕方ないんですが、同じイタリア勢でも来週木曜、サンチェス・ピスファンでのセビージャvsローマ戦は普通に開催、ローマでの2ndレグだけ無観客試合というのもちょっと納得いかないかも。とはいえ、今季はリーガでもELでも爆進中のヘタフェには嬉しい副産物もあって、3月のウルグアイ代表戦にダミアンとアランバリが初招集されることに。とりわけ31才になる前者には感慨深いことと思いますが、あちらで顔を合わせることになる、今季アトレティコからインテルに移ったゴディンと仲良くできるかは16強対決の結果次第になる?

ちなみにセビージャとアトレティコから上下に勝ち点1ずつ置いて、4位にいるヘタフェはこのセルタ戦でお隣さん、レガネスが少しでも早く降格圏を抜け出せるように援護射撃を行うことになるんですが、その17位セルタから勝ち点差5で19位を続けている弟分は日曜にビジャレアルとのアウェイ戦。とにかくここ4試合白星がなく、エン・ネシリに続き、バルサに連れ去られたブライトワイテの代わりを務めるカリージョとゲレロもゴールを入れるのに苦労しているため、この試合で勝利を掴めるかどうか、私も疑問なんですけどね。アギーレ監督は「1部残留のオプションはhasta tener seis de desventaja para las dos ultimas jornadas lo sería/アスタ・テネール・セイス・デ・デスベンタハ・パラ・ラス・ドス・ウルティマス・ホルナーダス・ロ・セリア(最後の2節で勝ち点差6となるまであるだろう)」と楽観的でいようとしていましたが、今はとにかく、残り12試合を選手たちが死に物狂いで頑張ってくれるのを祈るしかありません。

そして今週末は日曜午後9時、最後の時間帯に当たったマドリーはというと。いやあ、前節はサンティアゴ・ベルナベウでバルサに2-0と勝って首位を取り戻し、ミッドウィークの試合もなかったため、クラシコ(伝統の一戦)中、第2監督のサラビア氏が自チームの選手たちが思ったように動かないことに切れ、ずっと悪態をついているところがTVによりクローズアップ。それを不快に思った大物選手たちと亀裂ができたという報に、セティエン監督がインタビューに応じて、否定しなければならなかったバルサなどに比べると、逆に平和すぎて話題が少なかった彼らなんですが、水曜にはアザールが渡米して、ダラスで足首の骨のヒビを治す手術を受けています。全治は2、3カ月と言われているため、シーズン終了前にプレーできるのか、6月にベルギー代表としてユーロに参加できるのか、微妙なところですが、まあ、11月末以降、2月に復帰した2試合を除いて、マドリーはずっと彼なしでやれていますからね。

そういう意味ではこのベティス戦にもあまり影響はなさそうですが、気になるのは今季、ベンゼマ、ヨビッチに次ぐ3番目のCFとして、ずっと冷遇されていながら、クラシコ終盤、ピッチに入るやいなや、相手に止めを刺す2点目を挙げたマリアーノが招集してもらえるのかどうか。何せ、昨年は当たっていたベンゼマがここ10試合たったの1ゴールと、お隣さんのFW陣ではありがちな日照り期に入っていますからね。バルサ戦で殊勲の先制点を決めたビニシウスにしてもいきなり量産型に進化するとも考えにくいため、マリアーノは重宝しそうですが、果たしてジダン監督の決断は如何に?

実際、ここ6試合白星がなく、ルビ監督が今季もう何回目かわかならい解任の危機を迎えている相手とあって、普通でしたら、マドリーがすんなり勝っておかしくないんですが、要注意なのは2位のバルサとはたったの勝ち点差1だということ。3位とは10差あるため、その下は心配ないんですが、土曜にレアル・ソシエダとカンプ・ノウで戦うライバルが先に勝つと、結構プレッシャーがかかるかと。何にしろ、上位2チームはCL16強対決2ndが再来週、この週末の試合に全力を注げるだけに、どちらも見応えのある展開になってくれるといいですよね。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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