首位争いは当分、続きそう…/原ゆみこのマドリッド
2020.03.03 20:10 Tue
「そっか、大して差がついてないんだ」そんな風に私が肩透かしを喰らっていたのは月曜日、サンティアゴ・ベルナベウがあれだけクラシコ(伝統の一戦)勝利に沸きながら、一夜明けて順位表をよく見てみたところ、首位は奪還したとはいえ、2位バルサとの差が勝ち点1しかないことに気がついた時のことでした。いやあ、もしレアル・マドリーが負けていれば、両者の差は勝ち点5に拡大。そうなれば、またマスコミで根性のremontada(レモンターダ/逆転優勝)に向けて、残り試合の勝ち点獲得皮算用が始まりかねませんでしたけどね。
でも大丈夫。14分にはエン・ネシリとブライトワイテに契約破棄金額を積まれ、それぞれセビージャ、バルサに獲られてしまった後、レガネスのCFを務めているカリージョがオスカルのクロスをヘッドで叩き込み、今季初得点を挙げてくれたんですよ。とはいえ、誰もあとには続かず、それどころか、終盤にはルーカス・ペレス、ドゥアルテのシュートをGKクェジェルがparadon(パラドン/スーパーセーブ)して、ようやく1-1の引き分けで終わることに。
何せ、もう残り試合は12しかありませんからね。勝ち点31ある13位のアラベスは全てを引き分けても仮想残留ラインの40に届くため、アシエル・ガリターノ監督も「LaLiga le va a dar opciones al Leganés de salvarse, seguro/ラ・リーガ・レ・バ・ア・ダール・オプシオネス・アル・レガネス・デ・サルバルセ、セグロ(きっとリーガはレガネスに1部残留のオプションを必ず与えるだろう)」と激励してくれていましたけどね。勝ち点20の彼らは「con empates no nos podemos salvar/コン・エンパテス・ノー・ノス・ポデモス・サルバル(引き分けで降格回避はできない)」(アギーレ監督)状態。今節は17位のセルタもグラナダと引き分けため、19位の彼らとの差は勝ち点5のままですが、日曜のアウェイでのビジャレアル戦から白星街道を爆進、バルサやマドリーとも対戦する残りの日程で7勝を積み上げるって、かなり難しいような気がします。
それでも後半1分、トリッピアーのFKは敵DFにクリアされたものの、サウールがエリア前からvolea(ボレア/ボレーシュート)で弾丸シュートを撃ち込んで何とか、同点にすることができたんですが、この日はシメオネ監督の交代策も不発でしたね。早いうちからカラスコ、モラタ、コレアをジョアン・フェリックス、ジエゴ・コスタ、ビトロに代えたものの、最下位に沈むエスパニョールの必死の抵抗もあって、誰も勝ち越しゴールを挙げることはできず。こちらもそのまま、1-1で終わったんですが、今季のアトレティコはリーガのアウェイ戦、13試合で3勝7分け3敗という無残な成績なんですよ。いくらワンダ・メトロポリターノではCL16強対決リバプール戦1stレグのように、昨季のCL優勝チームを下すようないい試合を披露してくれたって、これではねえ。
一応、サウールなどに言わせると、彼らも「debemos aprender que fuera de casa se pueden decidir muchos puntos/デベモス・アプレンデル・ケ・フエラ・デ・カサ・セ・プエデン・デシディル・ムーチョス・プントス(アウェイでの勝ち点が多くを決めるのを学ばないといけない)」のは理解しているようですが、「どんどん試合が少なくなっていって、克服する時間もなくなってきているのに、no sé cómo poder solucionarlos/ノー・セ・コモ・ポデール・ソルシオールロ(どうすれば解決するのか、ボクにはわからない)」とはいかにもアトレティコ的。シメオネ監督も「Estamos dando el máximo/エスタモス・ダンドー・エル・マキシモ(ウチはマックスにやっている)」と処方箋を出しかねているようですが、CL出場圏争いのライバルたちが同じペースで勝ち点を落としてくれると思ったら、大間違い。
実際、その最たる例が弟分のヘタフェで、いやあ、次の時間帯で挑んだマジョルカ戦は木曜にEL32強対決アヤックス戦2ndレグの激闘を終え、アムステルダムから帰って来たばかり、更にはククレジャとニヨンの両サイドのレギュラーが累積警告で出場停止とあって、大変だったと思うんですけどね。そこは去年、契約延長をした際、アンヘル・トーレス会長にリーガ優勝した時のボーナス条項付与を頼んだという、野心的なボルダラス監督のチーム。後半22分にケネディのクロスから、マクシモビッチが頭で決めた1点を守り、ソン・モイシュで勝ち点3をゲットしてしまうんですから、見事なもんじゃないですか。
そんな彼らは同日、エン・ネシリの土壇場のゴールで3-2とオサスナに勝利したセビージャには及びませんでしたが、CL圏内に復帰。今週末は土曜にセルタをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎え、お隣さんの援護射撃を続ける一方、アトレティコはそのセビージャとワンダで激突するんですが、トマスが出場停止になるのはちょっと痛いかも。ヘタフェファンはむしろ、来週木曜のEL16強対決インテル戦1stレグの方が気になってしまうかもしれませんが、今のところ、サン・シーロで無観客開催となるのか、情報はありません。いやもう、月曜にはマドリッドでのコロナウィルス感染者数も32人に増えていたため、下手をすると19日の2ndレグもどうなるかわからないんですが…おかげでインテルとのセリエAでの日曜の対戦が延期となり、ユベントス移籍以来、ご無沙汰していたクリスチアーノ・ロナウドがクラシコ観戦に来るとはねえ。
え、そのクラシコ、マドリーが直近のCLマンチェスター・シティ戦1stレグで1-2と敗れ、突破が難しくなったのも相まって、試合前のファンはあまり期待をしていなかったんだろうって?そうですね、私も早めにベルナベウ近くまで行って、チームバスを待つ大勢のサポーターの仲間入りをしていたんですが、雨もパラつく中、辛抱強く待っていたにも関わらず、カンティコやbengala(ベンガラ/発煙筒)が焚く間もあらば。あっという間にバスが通り過ぎてしまったのには唖然です。うーん、ベルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場を出る時にはウルトラたちが盛大にお見送りしていたらしいんですけどね。やはりクラブからも選手たちからもquedada(ケダダ/ファン集合)の呼びかけがない時って、こういうもんなんでしょうか。
それでも選手入場の際にはフォンド・スール(南側ゴール裏席)に横断幕が出て、合羽を着て見ていた観客たちも最近はスコアボードに歌詞が出るのが助けになってか、普段の3割増しぐらいの音量でクラブ歌を熱唱していたんですが、何せ後でピケが、「El Real Madrid de la primera parte es el peor que me he encontrado desde que vengo al Bernabéu/エル・レアル・マドリッド・デ・ラ・プリメーラ・パルテ・エス・エル・ペオール・ケ・メ・エ・エンコントラードー・デスデ・ケ・ベンゴ・アル・ベルナベウ(自分がベルナベウに来るようになって以来、最悪の前半をレアル・マドリーはプレーした)」とTV、ラジオのインタビュー都合6件で繰り返していた45分間には、アルトールとメッシのエリア内シュートで息が止まりましたからね。
その場はGKクルトワが弾き、「Defendimos bien y cuando hizo falta hice buenas paradas/デフェンディモス・ビエン・イ・クアンドー・イソ・ファルタ・イセ・ブエナス・パラーダス(ウチは上手く守って、それで足りない時はボクがいいセーブをした)。アルトゥールのは上手く距離を詰めて、手で弾くビッグセーブだったね。足でのプレーも良くて、チームに落ち着きを与えられた」と自画自賛していた通りだったんですが、後半序盤にはGKテア・シュテーゲンがパラドン返し。ええ、イスコの弓なりのシュートを掻き出すと、同選手のヘッドにも手を出して、ピケがゴールライン上でクリアしたため、どちらも得点になりません。このままだと、シーズン前半のクラシコのようにスコアレスドローで終わりかねないと、心配していたんですが…。
やってくれたんです、ビニシウスが!それは先日、マンチェスター・シティ戦の後、滞在先のホテルでグアルディオラ監督と密会したセティエン監督もアルトゥロ・ビダルをブライトワイテに代え、攻めの態勢に入っていた26分、左サイドでクロースがスルーパス。それを受けたビニシウスは、前半何度かベンセマに折り返し、得点に繋がらなかったことから、ブラジル人の先輩カセミロに「En el descanso ya le estaba diciendo que tiene que ir hacia la portería/エン・エル・デスカンソ・ジャー・レ・エスタバ・ディシエンドー・ケ・ティエネ・ケ・イル・アシア・ラ・ポルテリア(ハーフタイムにはもう、ゴールに向かわないとダメだと言っていたんだ)。可能性が五分五分だったら、ベンゼマにパスせず、自分で撃てってね」とアドバイスされたのが効いたんでしょうか。
エリア内右奥から放ったシュートが、「マーク相手とビニシウスが来て、自分は数的劣勢にあったから、le dejo que tome la decisión e intento bloquear/レ・デホ・ケ・トメ・ラ・デシシオン・エ・インテントー・ブロケアル(向こうに判断をさせるようにして、ブロックに行った)」というピケの協力もあって、テア・シュテーゲンを破ってくれたから、ビックリしたの何のって。だってえ、最近はいいプレーをして目立つことも増えてきた彼ですが、決定力不足を披露するのは日常茶飯事でしたからね。
これには「Con acierto, me alegro, se lo merecía, un gol importante contra un rival importante/コン・アシエルトー、メ・アレグロ、セ・ロ・メレシア、ウン・ゴル・インポルタンテ・コントラ・ウン・リバル・インポルタンテ(狙いが当たってくれて私も嬉しい。彼はそれに値したよ。強豪相手に大事なゴールを挙げるのにね)」とジダン監督も相好を崩していましたが、実はこれ、メッシが残した19才259日を抜いて、19才233日のクラシコ史上最年少ゴール記録なのだとか。
一方、リードされたバルサはラキティッチとアンス・フティを投入、ピケもCFと化して反撃したんですが、再度、ベルナベルのファンを沸かせたのはマドリーでした。ロスタイム2分、52秒前にベンゼマと交代で今季のリーガデビューを果たしたマリアーノがスローインからボールを受け取ると、右サイドから敵ゴールを目指して上がり、最後はテア・シュテーゲンの横を抜いて今季初ゴールをゲット。おかげで2-0というスコアで試合終了の笛を余裕で待つことができたんですが、そういえばマドリーがベルナベウでリーガ・クラシコに勝つのは6年ぶりのこと。
となれば、セルヒオ・ラモスが「Yo firmaba ganar todos los Clásicos haciendo una primera parte tan mala, como él dice/ジョ・フィルマバ・ガナール・トードス・ロス・クラシコス・アシエンドー・ウナ・プリメーラ・パルテ・タン・マラ(彼が言うように、ひどい前半だったとしても、ボクは全てのクラシコに勝てればOKだね)」と、スペイン代表で長らくCBコンビを組んでいた同僚に当てつけたコメントをしても仕方ない?いやまあ、強いプレスをかけられるとバルサが弱いのはブスケツも認めていましたし、何しろこの日は先発起用してくれたジダン監督の期待に応え、マルセロも全力でメッシを阻止といった具合で、マドリーにいい目が出ましたけどね。
ほんとたったの勝ち点差1では、「Todavía no tiene un gran significado. Esto puede dar muchas vueltas/トダビア・ノー・ティエネ・ウン・グラン・シグニフィカードー。エスト・プエデ・ダール・ムーチャス・ブエルタス(まだあまり大きな意味はない。何度も引っくり返ることはありうるよ)」というセティエン監督の言葉通りですが、とりあえず、今週末はマドリーが日曜にアウェイでのベティス戦で、バルサは土曜にカンプ・ノウでのレアル・ソシエダ戦。ソシエダは水曜にコパ・デル・レイ準決勝ミランデス戦の2ndレグがあるだけに、ちょっとバルサの方が得のような気もしますが、マドリーも何もないミッドウィークで休めるため、きっといい準備をしてくれますって。
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その一方で3位だったアトレティコはCL出場圏外の5位に転落し、5位だった弟分のヘタフェが4位に上昇。といってもやはり差は勝ち点1しかなく、3位のセビージャもその1ポイント上、6位のレアル・ソシエダとアトレティコも1差と、3位から6位までが団子状態で争っているため、こちらもしばらく、毎節順位が入れ替わりそうな。この場合、CLがマストのアトレティコと憧れの初出場を目指すヘタフェを比べると、どっちを応援すべきか、私も苦しいところなんですが、やはり何より懸念すべきは降格まっしぐらの道を辿っているようなもう1つの弟分、レガネスのじゃないでしょうか。そう、先週末、マドリッド勢で1チームだけ土曜試合だった彼らはブタルケでアラベスと対戦。2014年には2部Bから2部へ、2016年には1部へと2度の昇格へと導き、翌シーズンも残留を達成してクラブを去った大恩師、アシエル・ガリターノ監督率いるチームはそれ程、強い感じはしなかったんですが、ここまで10得点のアンヘル(ヘタフェ)、ロジェール(レバンテ)、ジェラール・モレノ(ビジャレアル)と並ぶサラ(スペイン人の得点王)候補がいるのは羨ましい限り。ええ、前半を0-0で終えた後、後半開始2分後にはホセルのスルーパスをルーカス・ペレスに決められ、先制点を奪われてしまったとなれば、一体、どうしたらいいんでしょう。何せ、もう残り試合は12しかありませんからね。勝ち点31ある13位のアラベスは全てを引き分けても仮想残留ラインの40に届くため、アシエル・ガリターノ監督も「LaLiga le va a dar opciones al Leganés de salvarse, seguro/ラ・リーガ・レ・バ・ア・ダール・オプシオネス・アル・レガネス・デ・サルバルセ、セグロ(きっとリーガはレガネスに1部残留のオプションを必ず与えるだろう)」と激励してくれていましたけどね。勝ち点20の彼らは「con empates no nos podemos salvar/コン・エンパテス・ノー・ノス・ポデモス・サルバル(引き分けで降格回避はできない)」(アギーレ監督)状態。今節は17位のセルタもグラナダと引き分けため、19位の彼らとの差は勝ち点5のままですが、日曜のアウェイでのビジャレアル戦から白星街道を爆進、バルサやマドリーとも対戦する残りの日程で7勝を積み上げるって、かなり難しいような気がします。
そして日曜はベルナベウに向かう前、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でアトレティコがここ2年、苦杯を喫しているRCDEスタジアムでのエスパニョール戦を見たんですが、「en la primera parte no entramos como debíamos hacerlo/エン・ラ・プリメーラ・パルテ・ノー・エントラモス・コモ・デビモス・アセールロ(前半、ウチはそうすべきようにスタートしなかった)」(サウール)彼らは23分に先制点を奪われてしまいます。ええ、カラスコのカバーが遅れ、ロディだけではウー・レイを止められず、エリア内奥から出たラストパスをラウール・デ・トマスに先んじようとしたサビッチがオウンゴールにしているのですから、これでは風邪を速攻で治して、ピッチに立っていたGKオブラクも泣くに泣けない?
それでも後半1分、トリッピアーのFKは敵DFにクリアされたものの、サウールがエリア前からvolea(ボレア/ボレーシュート)で弾丸シュートを撃ち込んで何とか、同点にすることができたんですが、この日はシメオネ監督の交代策も不発でしたね。早いうちからカラスコ、モラタ、コレアをジョアン・フェリックス、ジエゴ・コスタ、ビトロに代えたものの、最下位に沈むエスパニョールの必死の抵抗もあって、誰も勝ち越しゴールを挙げることはできず。こちらもそのまま、1-1で終わったんですが、今季のアトレティコはリーガのアウェイ戦、13試合で3勝7分け3敗という無残な成績なんですよ。いくらワンダ・メトロポリターノではCL16強対決リバプール戦1stレグのように、昨季のCL優勝チームを下すようないい試合を披露してくれたって、これではねえ。
一応、サウールなどに言わせると、彼らも「debemos aprender que fuera de casa se pueden decidir muchos puntos/デベモス・アプレンデル・ケ・フエラ・デ・カサ・セ・プエデン・デシディル・ムーチョス・プントス(アウェイでの勝ち点が多くを決めるのを学ばないといけない)」のは理解しているようですが、「どんどん試合が少なくなっていって、克服する時間もなくなってきているのに、no sé cómo poder solucionarlos/ノー・セ・コモ・ポデール・ソルシオールロ(どうすれば解決するのか、ボクにはわからない)」とはいかにもアトレティコ的。シメオネ監督も「Estamos dando el máximo/エスタモス・ダンドー・エル・マキシモ(ウチはマックスにやっている)」と処方箋を出しかねているようですが、CL出場圏争いのライバルたちが同じペースで勝ち点を落としてくれると思ったら、大間違い。
実際、その最たる例が弟分のヘタフェで、いやあ、次の時間帯で挑んだマジョルカ戦は木曜にEL32強対決アヤックス戦2ndレグの激闘を終え、アムステルダムから帰って来たばかり、更にはククレジャとニヨンの両サイドのレギュラーが累積警告で出場停止とあって、大変だったと思うんですけどね。そこは去年、契約延長をした際、アンヘル・トーレス会長にリーガ優勝した時のボーナス条項付与を頼んだという、野心的なボルダラス監督のチーム。後半22分にケネディのクロスから、マクシモビッチが頭で決めた1点を守り、ソン・モイシュで勝ち点3をゲットしてしまうんですから、見事なもんじゃないですか。
そんな彼らは同日、エン・ネシリの土壇場のゴールで3-2とオサスナに勝利したセビージャには及びませんでしたが、CL圏内に復帰。今週末は土曜にセルタをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎え、お隣さんの援護射撃を続ける一方、アトレティコはそのセビージャとワンダで激突するんですが、トマスが出場停止になるのはちょっと痛いかも。ヘタフェファンはむしろ、来週木曜のEL16強対決インテル戦1stレグの方が気になってしまうかもしれませんが、今のところ、サン・シーロで無観客開催となるのか、情報はありません。いやもう、月曜にはマドリッドでのコロナウィルス感染者数も32人に増えていたため、下手をすると19日の2ndレグもどうなるかわからないんですが…おかげでインテルとのセリエAでの日曜の対戦が延期となり、ユベントス移籍以来、ご無沙汰していたクリスチアーノ・ロナウドがクラシコ観戦に来るとはねえ。
え、そのクラシコ、マドリーが直近のCLマンチェスター・シティ戦1stレグで1-2と敗れ、突破が難しくなったのも相まって、試合前のファンはあまり期待をしていなかったんだろうって?そうですね、私も早めにベルナベウ近くまで行って、チームバスを待つ大勢のサポーターの仲間入りをしていたんですが、雨もパラつく中、辛抱強く待っていたにも関わらず、カンティコやbengala(ベンガラ/発煙筒)が焚く間もあらば。あっという間にバスが通り過ぎてしまったのには唖然です。うーん、ベルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場を出る時にはウルトラたちが盛大にお見送りしていたらしいんですけどね。やはりクラブからも選手たちからもquedada(ケダダ/ファン集合)の呼びかけがない時って、こういうもんなんでしょうか。
それでも選手入場の際にはフォンド・スール(南側ゴール裏席)に横断幕が出て、合羽を着て見ていた観客たちも最近はスコアボードに歌詞が出るのが助けになってか、普段の3割増しぐらいの音量でクラブ歌を熱唱していたんですが、何せ後でピケが、「El Real Madrid de la primera parte es el peor que me he encontrado desde que vengo al Bernabéu/エル・レアル・マドリッド・デ・ラ・プリメーラ・パルテ・エス・エル・ペオール・ケ・メ・エ・エンコントラードー・デスデ・ケ・ベンゴ・アル・ベルナベウ(自分がベルナベウに来るようになって以来、最悪の前半をレアル・マドリーはプレーした)」とTV、ラジオのインタビュー都合6件で繰り返していた45分間には、アルトールとメッシのエリア内シュートで息が止まりましたからね。
その場はGKクルトワが弾き、「Defendimos bien y cuando hizo falta hice buenas paradas/デフェンディモス・ビエン・イ・クアンドー・イソ・ファルタ・イセ・ブエナス・パラーダス(ウチは上手く守って、それで足りない時はボクがいいセーブをした)。アルトゥールのは上手く距離を詰めて、手で弾くビッグセーブだったね。足でのプレーも良くて、チームに落ち着きを与えられた」と自画自賛していた通りだったんですが、後半序盤にはGKテア・シュテーゲンがパラドン返し。ええ、イスコの弓なりのシュートを掻き出すと、同選手のヘッドにも手を出して、ピケがゴールライン上でクリアしたため、どちらも得点になりません。このままだと、シーズン前半のクラシコのようにスコアレスドローで終わりかねないと、心配していたんですが…。
やってくれたんです、ビニシウスが!それは先日、マンチェスター・シティ戦の後、滞在先のホテルでグアルディオラ監督と密会したセティエン監督もアルトゥロ・ビダルをブライトワイテに代え、攻めの態勢に入っていた26分、左サイドでクロースがスルーパス。それを受けたビニシウスは、前半何度かベンセマに折り返し、得点に繋がらなかったことから、ブラジル人の先輩カセミロに「En el descanso ya le estaba diciendo que tiene que ir hacia la portería/エン・エル・デスカンソ・ジャー・レ・エスタバ・ディシエンドー・ケ・ティエネ・ケ・イル・アシア・ラ・ポルテリア(ハーフタイムにはもう、ゴールに向かわないとダメだと言っていたんだ)。可能性が五分五分だったら、ベンゼマにパスせず、自分で撃てってね」とアドバイスされたのが効いたんでしょうか。
エリア内右奥から放ったシュートが、「マーク相手とビニシウスが来て、自分は数的劣勢にあったから、le dejo que tome la decisión e intento bloquear/レ・デホ・ケ・トメ・ラ・デシシオン・エ・インテントー・ブロケアル(向こうに判断をさせるようにして、ブロックに行った)」というピケの協力もあって、テア・シュテーゲンを破ってくれたから、ビックリしたの何のって。だってえ、最近はいいプレーをして目立つことも増えてきた彼ですが、決定力不足を披露するのは日常茶飯事でしたからね。
これには「Con acierto, me alegro, se lo merecía, un gol importante contra un rival importante/コン・アシエルトー、メ・アレグロ、セ・ロ・メレシア、ウン・ゴル・インポルタンテ・コントラ・ウン・リバル・インポルタンテ(狙いが当たってくれて私も嬉しい。彼はそれに値したよ。強豪相手に大事なゴールを挙げるのにね)」とジダン監督も相好を崩していましたが、実はこれ、メッシが残した19才259日を抜いて、19才233日のクラシコ史上最年少ゴール記録なのだとか。
一方、リードされたバルサはラキティッチとアンス・フティを投入、ピケもCFと化して反撃したんですが、再度、ベルナベルのファンを沸かせたのはマドリーでした。ロスタイム2分、52秒前にベンゼマと交代で今季のリーガデビューを果たしたマリアーノがスローインからボールを受け取ると、右サイドから敵ゴールを目指して上がり、最後はテア・シュテーゲンの横を抜いて今季初ゴールをゲット。おかげで2-0というスコアで試合終了の笛を余裕で待つことができたんですが、そういえばマドリーがベルナベウでリーガ・クラシコに勝つのは6年ぶりのこと。
となれば、セルヒオ・ラモスが「Yo firmaba ganar todos los Clásicos haciendo una primera parte tan mala, como él dice/ジョ・フィルマバ・ガナール・トードス・ロス・クラシコス・アシエンドー・ウナ・プリメーラ・パルテ・タン・マラ(彼が言うように、ひどい前半だったとしても、ボクは全てのクラシコに勝てればOKだね)」と、スペイン代表で長らくCBコンビを組んでいた同僚に当てつけたコメントをしても仕方ない?いやまあ、強いプレスをかけられるとバルサが弱いのはブスケツも認めていましたし、何しろこの日は先発起用してくれたジダン監督の期待に応え、マルセロも全力でメッシを阻止といった具合で、マドリーにいい目が出ましたけどね。
ほんとたったの勝ち点差1では、「Todavía no tiene un gran significado. Esto puede dar muchas vueltas/トダビア・ノー・ティエネ・ウン・グラン・シグニフィカードー。エスト・プエデ・ダール・ムーチャス・ブエルタス(まだあまり大きな意味はない。何度も引っくり返ることはありうるよ)」というセティエン監督の言葉通りですが、とりあえず、今週末はマドリーが日曜にアウェイでのベティス戦で、バルサは土曜にカンプ・ノウでのレアル・ソシエダ戦。ソシエダは水曜にコパ・デル・レイ準決勝ミランデス戦の2ndレグがあるだけに、ちょっとバルサの方が得のような気もしますが、マドリーも何もないミッドウィークで休めるため、きっといい準備をしてくれますって。
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