最後まで粘りはしたものの…/原ゆみこのマドリッド

2020.01.14 14:15 Tue
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「要はこの組み合わせだとゴールが入らなってことね」そんな風に私が溜息をついていたのは日曜日、今季2度目のマドリーダービーが9月末のリーガ同様、スコアレスドローで終わるのを見た時のことでした。いやあ、とはいえ、今回の舞台はスペイン・スーパーカップ決勝。勝ち点1ずつの痛み分けではなく、白黒つける必要があったため、90分のみならず、延長戦の30分もまったく動かないスコアボードに耐えなければならなかったんですけどね。準決勝でレアル・マドリーはバレンシアから、アトレティコはバルサから、それぞれ3点も奪っていたのがウソのように急転直下、ゴール日照りに陥るとはもしや、2月1日にサンティアゴ・ベルナベウであるリーガ後半戦ダービーも同じ展開になる?

まあ、その辺はまた後で話すことにして、実は先週末、コパ・デル・レイ2回戦に挑んだ弟分2チームにはいいニュースと悪いニュースが。先にレアル・ムルシア(2部B)戦をプレーしたレガネスは0-4で大勝して、ええ、前半34分にカリージョが先制すると、後半にもブライトワイテが2発。再びカリージョも決めて、格下相手に貫禄を見せてくれたのは良かったんですが、まさかその後、ヘタフェが1回戦で唯一、1部チームで敗退したアラベスに続き、2回戦で姿を消す破目になろうとは!

だってえ、リーガでは年末年始、ビジャレアルと兄貴分のマドリーに2連敗していた彼らですが、順位は7位。EL出場圏にいるレアル・ソシエダとバレンシアとは勝ち点1差しかない上、今季のELでも2月に決勝トーナメントの32強対決、アヤックス戦に臨もうという立派な身分なのに、バラドーナ(2部B)戦では得点できず、それどころか、残り5分にはチェマ・モレノにゴールを奪われ、ロスタイムにもウーゴ・エステバンに直接FKを決められて、2-0で負けているって一体、何が起こった?

いやあ、前半29分にはティモルが2枚目のイエローカードをもらって早々に退場。そこへアンヘルの左太もものケガが重なる不運もあったんですが、いくらマタがローテーションでお留守番していたからといって、2つもカテゴリーが下のチーム相手に1点も取れないとは情けない。となると、この金曜午後9時からブタルケで開催される弟分ダービーを前にした両チームの士気も随分、変わってくるかと思いますが、さて。何せ、レガネスは降格圏の19位のままとはいえ、17位のセルタ、18位のマジョルカと勝ち点差1と、もうセーフゾーン到達へのカウントダウンを始めていますからね。いくらシーズン前半の対戦では2-0で勝っているヘタフェとはいえ、FW陣が調子を上げてきたお隣さんには要注意かと。

ちなみにこのコパ2回戦では2部の弟分、フエンラブラダもレクレアティボにPK戦で負け、アルコルコンに続いて脱落。生き残りはラージョだけとなりましたが、火曜に行われる32強対戦の組み合わせ抽選会ではいよいよ、スペイン・スーパーカップに参加するため、最初の2ラウンドを免除されていたマドリー、アトレティコ、バレンシア、バルサが登場。この4チームは優先的に2回戦を突破した2部Bのチーム、件のバラドーナとレクレアティボを始め、岡崎慎司選手のいるウエスカに勝ったクルトゥラル・レオネサ、柴崎岳選手のいるデポルティーボをPK戦で破ったウニオニスタ・サラマンカ、バダホス、エブロ、イビサ、ログロニェスの8チームのうちから対戦相手が決まることに。

2部のチームの生き残りは香川真司選手のいるサラゴサを含めて6チーム、そこへ2部Bの残り4チームが加わり、1部の残り14チームとマッチングすることになりますが、この先は来週のミッドウィークから、勝ち上がれば2試合制となる準決勝まで、ノンストップで週末だけでなく、ミッドウィークもプレーしていくことになるため、ローテーションができる戦力のないチームは程よいところでコパ撤退が吉かもしれませんね。

そして翌日曜、スペイン・スーパーカップの決勝となったんですが、何とも見ている方にとっては辛抱の120分だったかと。いえ、もちろんアトレティコが前半を0-0で終えるのはよくあることなので、13分にセルヒオ・ラモスから、ラッキーにもジョアン・フェリックスがエリア前でボールを受けながら、シュートが枠を外れてしまった時にはこの日も移籍金1憶2700万ユーロ(約156億円)のクラック候補が期待に応えるにはまだまだ、時間が必要なんだろうかとちょっと、ガッカリはしたんですけどね。その後は準決勝の5人MF制をリピートしたお隣さんがボールを持っていたので、とりあえず無失点だったのにホッとしたのは私だけではなかったかと。

でもねえ、準決勝ではバルサを応援していたサウジアラビアのファンが今度は丸々、マドリーの応援に回ったせいではないでしょうが、後半になってもアトレティコがゴールを入れることはなく、いえ、シメオネ監督は11分にはエレーラをビトロに代えるという、負傷中のレマルと頸椎の椎間板ヘルニアの手術後のリハビリ中のジエゴ・コスタがジェッダに駆けつけ、準決勝でハムストリングのケガを再発させたコケと共にスタンド最前列で応援という状況で、一択となる攻撃オプションカードを切ってはいたんですけどね。90分終了間際にロディをマルコス・ジョレンテにして、サウールを左SBに回すという最終形態を取った後、延長戦前半にはふくらはぎの筋肉痛で無理をさせられなかったヒメネスをサビッチに、ガソリン切れとなったジョアンからアリアスって、いやあ、これってほとんど守備固めでは?

それとは真逆にジダン監督の方はイスコを後半15分にロドリゴに代え、37分にはヨビッチからマリアーノへ。ゴールが生まれないまま、延長戦に入るとクロースをビニシウスへと、最後はFW3人体制になったんですが、残り15分を切ってからのモドリッチとマリアーノのダブルチャンスは幸い、GKオブラクが阻止。するとようやく、延長戦後半9分にモラタが抜け出して、1人、マドリーのゴールに走って行ったんですが、エリアに入る前に後ろから、決死の覚悟でバルベルデがタックルで彼を倒してしまったから、さあ大変!うーん、その前には至近距離のシュートをGKクルトワに弾かれていたモラタでしたから、たとえ1対1となっても得点できる保証はまったくなかったんですけどね。

当然、このファールにはレッドカードが出て、バルベルデは退場になってしまったんですが、「No es tan grave quedarse con uno menos a cinco minutos del final de la prorroga/ノー・エス・タン・グラベ・ケダールセ・コン・ウノ・メノス・ア・シンコ・ミヌートス・デル・フィナル・デ・ラ・プロロガ(延長戦残り5分に1人少なくなるのはそんなに重大なことじゃない)」(クルトワ)というのも事実。実際、最後のコレアのシュートも弾かれてしまったため、試合は0-0のまま、PK戦に突入したんですが…。

これがまさに悪夢だったんですよ。ええ、スーパーカップ系には強い印象があったアトレティコなんですが、それも体力勝負の延長戦で勝ち越しできればこそ。その好機を逃して前回、マドリーとPK戦まで行ったのは2016年のCL決勝で、4人目のキッカーだったファンフランがゴールポストに当て、5人全員成功させたマドリーにundecima(ウンデシマ/11回目のCL優勝のこと)を献上する破目になったのはまだ覚えているファンも多いかと。

その時には3人目としてPKを決めていたサウールがアトレティコ最初のキッカーとして指名されたのは、どうやら、バルベルデにファールで倒された後、更にカルバハルに足を踏まれ、モラタが蹴れない状態だったからのようですが、もしや選手交代の度、あっちへこっちへとポジションチェンジが続いていたせいで、当人もキャパが一杯いっぱいになっていた?

まあ、本当のところはわかりませんけどね。アトレティコのPKを事前学習していたというクルトワは欺いたものの、サウールのPKはゴールポストを直撃。おまけに次のトマスは、「lo sabia claro y era un paradon creo porque lo tiro muy duro y fuerte/ロ・サビア・クラーロ・イエラ・ウン・パラドン・クレオ・ポルケ・ロ・ティロ・ムイ・ドゥロ・イ・フエルテ(はっきりわかっていたし、あれはスーパーセーブだと思う。とても強度のあるシュートだったからね)」というクルトワの餌食になり、方向を読まれて弾かれてしまったとなれば、もう打つ手はありませんって。

ええ、3人目のトリッピアーこそ、ボールをネットに沈めたものの、カルバハル、まだ18才の若輩ながら、「キッカーを選ぶ時、もっと経験のある選手がいたから、ちょっと遠慮していたけど、Kroos me ha dicho que tirase yo/ペロ・クロース・メ・ア・ディッチョー・ケ・ティラセ・ジョ(クロースがボクが蹴るように言ってくれて)」という事情で抜擢されたロドリゴ、モドリッチ、そして「Yo siempre tiro el cuarto por supersticion/ジョ・シエンプレ・ティロ・エル・クアトロ・ポル・スペルスティシオン(ボクにはジンクスがあって、いつも4番目に蹴るんだ)。別に今回、4本目で勝負が決まることになったからじゃないよ」と後で当人も言っていたように、4年前のサン・シーロでも4番目にPKを決めたセルヒオ・ラモスまで、マドリーは全員がゴール。ジダン監督に9度の決勝で全て優勝(2018年にアトレティコが勝ったUEFAスーパーカップ時はロペテギ監督が率いていた)という栄誉を与えることになりましたっけ。

ということは、アトレティコの新旧サモラ(リーガで一番失点の少ないGKに与えられる賞)対決はクルトワに軍配が挙がったことになるのかって?うーん、オブラクも本当にいいキーパーなんですが、あまりPK戦には強くないようで、例のCLミラノ決勝から9人連続、1本も止められず。もちろん、蹴るチームメートの方が失敗していては話にならないんですが、「Es una loteria y no hemos tenido fortuna/エス・ウナ・ロテリア・イ・ノー・エモス・テニードー・フォルトゥーナ(あれは宝くじみたいなもので、ウチにはツキがなかった)」(オブラク)とあっさり諦められてもねえ。

この先、CK16強対決リバプール戦なども待っていますし、その辺はもう少し、精進できたらいいかと思いますが、何とも驚かされたのはこの試合のMVPに一発退場したバルベルデが選ばれたこと。いえ、これでマドリーとの決勝の成績が3勝3敗となったシメオネ監督も「Fue la jugada mas importante del partido/フエ・ラ・フガダー・マス・インポルタンテ・デル・パルティードー(この試合で一番、重要なプレーだった)」と言っていましたし、ジダン監督も「醜いファールだったが、あの瞬間はやらなければならなかった。Lo ha hecho bien/ロ・ア・ヘッチョー・ビエン(上手くやったよ)」と褒めていたため、選考委員だったスペイン代表のルイス・エンリケ監督やそのスタッフ、スポーツディレクターのモリーナ氏なども同意見だったんでしょうけどね。

ただ突き詰めて言えば、攻撃面で卓越したプレーを見せた選手がいなかったということで、おまけにバルベルデには1試合以上の出場停止処分が確実だとか。それも次の同大会ではなく、今季からは直近のリーガ、コパの試合で済ませないといけないというのは辛いところ。ちなみにマドリーは次の試合、土曜午後4時(日本時間翌午前零時)から、サンティアゴ・ベルナベウに4位のセビージャを迎えるんですが、スペイン・スーパーカップ決勝の後半、足首を捻挫。フル出場したものの、痛みでPKを得意のパネンカ風に蹴る余裕もなかったというラモスは2週間程、治療に時間が必要になるようです。

その他、気管支にウィスル感染したベイルはともかく、脚を痛めたベンゼマも出られるのかわかりませんし、アザールもまだ戻って来ませんしね。とりあえず、同勝ち点で並ぶ首位のバルサでは、アトレティコに逆転負けした後、バルベルデ監督の進退問題が再び取り沙汰されているとはいえ、チームは先週金曜にはスペインに帰還していますし、マドリーも優勝祝いは程々にして、リーガ戦の準備がしっかりできるといいのですが。

一方、アトレティコはこの土曜、午後9時(日本時間翌午前5時)から、イプルアでエイバル戦なんですが、こちらも体調に不安を抱えた選手が多いのが悩みの種。ええ、スーパーカップでは準決勝でコケ、決勝ではヒメネス、モラタが足に痛みを抱えて終わったからですが、何より恐怖なのはモラタが回復しなかった場合、チームに1人もCFがいなくなってしまうことかと。いやあ、もう1月も半ばというのにカバーニ(PSG)はおろか、早くて復帰がCLリバプール戦というコスタを補うためのFWがいまだに到着していない状態ですからね。ようやく首位グループとの差が勝ち点5に縮まったとはいえ、ここで追い込みをかけないと、また離されてしまいそうでイヤなんですが…ゴールがない試合はとにかく、憂鬱ですよねえ。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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