ジョーカーを引いてしまった…/原ゆみこのマドリッド

2019.12.17 17:00 Tue
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「また3月で終わっちゃうかも」そんな風に私が青くなっていたのは月曜日、いえ、丁度、CL16強対決抽選会の時間は手続きのため、お役所の外で長い列に並び、寒風にさらされながら、スマホで実況中継を見ていたせいもあったかもしれないんですけどね。同じグループ2位通過のレアル・マドリーがグアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティと当たった際もちょっと大変かなと思ったものの、アトレティコの相手が昨季の優勝チーム、今季はプレミアリーグの首位独走までしているリバプールになるなんて、神も仏もないとはまさにこのこと?

うーん、バレンシアがプレシーズンマッチで弟分のヘタフェに4-1と手も足も出ず、このグループリーグも3連敗から奇跡的に突破を果たしたアタランタを引き当てたり、バルサがグループ最終節直後、アンチェロッティ監督を解任。ガットゥーゾ監督が引き継いだナポリと対戦というラッキーは両チーム共、1位通過ならではの特典ですけどね。何とも間が悪く感じるのは折しもリバプールが昨季の決勝でトッテナムを下し、15年ぶりのCL優勝を果たしたのがワンダ・メトロポリターノだったことで、それこそ敗者の側にいたトリッピアーなど、忘れたはずの悪夢が蘇ってくるのでは?

更にマドリッド勢に追い打ちをかけたのは次にあったEL32強対決の抽選で、いくら12年ぶりの決勝トーナメント進出に盛り上がったファンが希望していたとはいえ、ヘタフェがアヤックスと対戦することになってしまうとは。だってえ、昨季は兄貴分のマドリーやユベントスを敗退に追い込んだチームですよ。そのせいでデ・ヨング(今季はバルサ)やリフト(同ユベントス)を失ったため、今季はグループ最終戦でバレンシアにロドリゴのゴールで0-1と負け、3位でELに回ったとはいうものの、その試合だってかなり際どいものでしたからね。

UEFAカップ、ELで前人未到の5冠を達成しているセビージャが6回目を狙ってとばかりにクルージュ(ルーマニア)と、エスパニョールがプレミアはプレミアでも知名度の低いウルバーハンプトンと当たっているのを見るにつけ、来年は決勝もCLがイスタンブール、ELはポーランドのグダニスクですからね。春先にはマドリッドが完全にヨーロッパの大会と縁がなくなってしまうかもと恐れてしまうんですが、まあ対戦は2月後半からとまだまだ先の話。

今のところ、具体的な獲得FW候補の名前として耳に入ってきたのはオサスナ戦後、パンプローナ(スペイン北部)から来た記者がシメオネ監督に評価を尋ねていたチミ・アビラだけではあるものの、「ヨーロッパで実績があって、すぐ成果を挙げられるストライカー」という、マルカ(スポーツ紙)の言っていた条件を満たす補強として、サラー、マネ、フィルミーノなら資格は十分。来月にはもう誰でもいいから1人、アトレティコに来てくれないかと私が非現実的な夢を見てしまうのは自由ですよね。

まあ、そんなことはともかく、先週末のリーガの様子をお伝えしていかないと。金曜にレガネスがアラベスに追いつかれ、1-1の引き分けで終わった後の土曜、ワンダにオサスナを迎えたアトレティコだったんですが、実は前夜には日曜に出産予定だったコケの奥さんが早めに産気づき、当人が合宿先のホテルから病院に行ってしまったという報が。それも幸い朝7時頃には無事、長男が生まれ(https://bit.ly/2YS7f10)、夜9時のキックオフ直前、昨季限りでブラジルのサンパウロに移籍したフアンフランへの謝恩行事で記念プレートを手渡すのには余裕で間に合ったんですが、だからって、コケが即座にお誕生祝いゴールを挙げてくれる訳もないんですよね。

実際、その日はCLロコモティフ・モスクワ戦のように序盤にPKをもらえるというラッキーもなく、最近の恒例行事のようにモラタ、ジョアン・フェリクス、(珍しく先発に入った)レマル、サウール、トマスとことごとく、GKセルヒオ・エレーラの好セーブもあって、シュートを決められず。0-0のままハーフタイムに入ったんですが、せめてもの慰みはエリア内でフェリペがブラサナツの足を払って倒したプレーが主審にもVAR(ビデオ審判)にも見咎められず、相手にPKで先制されることもなかったことかと。

それでも後半、レマルがコレアに代わったおかげもあるんでしょうか。22分にはエリア右脇でジョアンがエストゥピニャンに倒されてゲットしたFKをトリピアーが上げ、モラタがヘッドで5試合ぶりのゴールを入れてくれたから、助かったの何のって。その7分後にはロディの足首のケガにより、左SBとして先発デビューしたカンテラーノ(アトレティコBの選手)、マヌ・サンチェスがエレ-ラに代わった後から、そのポジションに移動していたサウールが敵のクリアボールを頭で戻し、モラタ、コレアを経てフィニッシュも自身で担当。これで2-0となり、シメオネ監督も「me gustaría que tuviese mas gasolina al final/メ・グスタリア・ケ・トゥビエセ・マス・ガソリーナ・アル・フィナル(最終的にはもっとガソリンがあってくれたらいい)」と言っていたように終盤、精彩を欠いていたジョアンがエルモーソと交代、左SBに回ったため、再び中盤のサイドに戻ったんですが、本当に彼もあちこちに行かされて忙しい。

ええ、後でサウールも「No es el partido en el que más posiciones he jugado/ノー・エス・エル・パルティードー・エン・エル・ケ・マス・ポシシオネス・エ・フガードー(今日が一番多くいろんなポジションをこなした試合じゃないよ)。監督はボクがどこでプレーするのが好きか知っているけど、同時に自分がいつもチームのためにいるのも知っている」と認めていましたが、少数精鋭のチームでは負傷者が出た場合など、とかく負担がマルチ体質の選手に懸かりますからねえ。ようやくヒメネスが復帰して、フェリペとエルモーソのCB出ずっぱり状態は解消されたものの、1月のスペイン・スーパーカップに参加する4チームの1つとして、コパ・デル・レイで初ラウンドは免除。久々にミッドウィークの空く今週は日曜のベティス戦に備え、アウェイ5試合連続引き分け中の汚名を返上すべく、ゆっくり体を休めてくれたらと思います。

え、土曜に私が家を出る前に首位のバルサがレアル・ソシエダと2-2で引き分けたため、差が勝ち点6に縮まっただけでなく、この日のアトレティコは7位から、CL出場圏の4位にも戻れたんだろうって?いやあ、そうだったんですが、実は翌日の正午、コリセウム・アルフォンソ・ペレスにバジャドリーを迎えた弟分が最近、極めて優秀で、いえ、木曜のELグループリーグ最終節のクラスノダール戦でプレーした選手が結構、リピートしていたため、少々疲れているようではあったんですけどね。今季は試合数が多いこともあって、いつもは賑やかな応援団もどこか、眠たげなリズムで太鼓を叩いていたりしたんですが、均衡状態が破れたのは前半35分のこと。

ええ、37才のエース、ホルヘ・モリーナがGKマシップの前でキープしたボールを最後はククレジャに出し、21才の彼が「Es el primero que he hecho se lo he dedicado a mi niño/エス・エルプリメーロ・ケ・エ・エッチョー・セ・ロ・エ・デディカードー(ボクの息子に捧げる最初のゴールだよ)。なかなか入らなくて、今日初めてできた」と待ちに待っていたお祝いをすることができたんですが、何より、このチームの強みは頼りになるCFが3人もいるところ。ええ、ボルダラス監督も「A veces alguno puede enojarse porque la ilusión es jugar de inicio/ア・ベセス・アルグーノ・プエデ・エノハルセ・ポルケ・ラ・イルシオン・エス・フガール・デ・イニシオ(キックオフからプレーすることが夢だから、時に誰かが怒っていることはありえるね)」と言っていたように、ELで先発し、この日は控えだったアンヘルが後半、モリーナと交代で入って発奮してくれたんですよ。

36分、30代FWトリオ最年少のマタが敵を振り切って右奥から上げたクロスに飛び込み、勝利を決定づける2点目を取ってくれたとなれば、アヤックスとて恐れるるにたらない?いやあ、それはまた次元の違う話ではあるんですが、そのまま2-0で勝利したヘタフェは再び、兄貴分を抜いて、とうとうCL出場圏の4位まで浮上。もちろん、これはアトレティコの自業自得で、いずれはその日、ビジャレアルに負け、勝ち点差2と縮まったセビージャを追い越し、少なくとも3位には戻ってくれるものと期待しているんですが、その一方で果たしてお隣さんとの差はどうなったかというと…。

かつて根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)を売りにしたマドリーが戻って来たんです!10月から延期されていたクラシコ(伝統の一戦)が次に迫り、宿敵は前日、レアル・アレナで勝ち点2を落としたとあって、差をつける絶好のチャンスとなったメスタジャでのバレンシア戦だったんですが、ジダン監督はバルサ戦を懸念してか、あとイエローカード1枚で累積警告となるカセミロをベンチスタート。それでも前半は高いプレスを保ったマドリーにバレンシアは押し込まれていたんですが、何とか前半は相手を無得点に抑えることに成功します。

すると後半開始直後、いきなり19才のフェラン・トーレスが独走して、ユース時代に2度も勧誘されたクラブのゴールに迫ったんですが、これは若さのせいですかね。1対1のシュートをGKクルトワの大きな体に阻まれて、先制ゴールを挙げることはできず。マドリーも24分にはロドリゴとイスコをベイルとビニシウスに代え、点を取りに行ったんですが、32分にはヴァスがナチョからボールを奪い、バレンシアのロドリゴが動いた方向に守備陣が集中してしまったのが災いすることに。そう、直前にはカルバハルにイエローカードが出る程のタックルを受け、倒れていたと思っていたソレルが脱兎のように後ろから駆けつけ、ヴァスの折り返したラストパスをゴールにしてしまったから、さあ大変!

うーん、時間も時間でしたしね。セラデス監督もコンドグビアとディアカビを入れて守備固め、ロスタイムにはヨビッチのゴールはオフサイドで認められずと、いよいよ絶体絶命の窮地に陥ったマドリーでしたが、もしやラストプレーで主審がCKを指示した時、セルヒオ・ラモスの顔が浮かんだのはきっと私だけではなかった?そこへこれが最後のチャンスとばかり、「Decidió él subir y eso significa que nunca nos rendimos/デシディオ・エル・スビール・イ・エソ・シグニフィカ・ケ・ヌンカ・ノス・レンディモス(攻撃参加を決めたのは彼自身で、それはウチが決して降参しないことを意味している)」(ジダン監督)というクルトワが加わったところ…。

いやあ、あの悲劇の2014年5月24日、CL決勝の地、リスボンのダ・ルスではモドリッチのCKをラモスのヘッドで同点にされ、あと数秒のところで優勝を逃したアトレティコのゴールを守っていた彼が、今度はクロースのCKをシュートしようと待つ身になろうとは。それどころか、「Mido dos metros y los rivales se pueden poner nerviosos si yo subo/ミド・ドス・メトロス・イ・ロス・リバレス・セ・プエデン・ポネール・ネルビオーソス・シー・ジョ・スボ(ボクは身長が2メートルあるから、攻撃参加すると敵が神経質になるんだ)。クロースはボールをニアポストに蹴って、ボールが自分の高さに来たから、上手くヘッドできた」と自画自賛していましたが、いえ、こちらはGKドメネクに弾かれています。

バレンシアサイドによると、別に身長のせいだけでなく、「el portero no tenia marca y ha rematado él/エル・ポルテーロ・ノー・ティエネ・マルカ・イ・ア・レマタードー・エル(敵GKにはマークがついてなくて、それで彼がヘッドした)」(ソレル)ということだったようですけどね。要は攻撃人数が増えたせいで守備が完璧にできなかったらしいんですが、落ちたボールをガライがクリアできず、絶好調のベンゼマの前に転がしてしまったのが運の尽き。メッシと12本でピチチ(最多得点選手)レーストップに並ぶチャンスを彼が逃すことはなく、土壇場で1-1の引き分けをもぎ取ったとなれば、これってやっぱり、マドリーに深く根付いたレモンターダ体質が戻ってきたのでは?

いえ、だからと言って、弟分のレガネスが火曜にアンドラ(2部B)と、ヘタフェは水曜にエル・パルマル(同)とコパ・デル・レイを戦う脇で、水曜午後8時(日本時間翌午前4時)から行われるクラシコがどうなるかはわかりませんけどね。結局、先週末前同様、同じ勝ち点で2位という、5位のアトレティコとは勝ち点差6という立場でカンプ・ノウに乗り込むことになりましたが、予想は五分五分といったところでしょうか。

ちなみにマドリーでは月曜にサンティアゴ・ベルナベウで開かれたサッカーとバスケットチーム、クラブ幹部のクリスマスランチ会(https://bit.ly/2RWgR9t)でまだ足を引きずって歩く姿を目撃されたアザールを始め、ルーカス・バスケス、マルセロがケガで欠場予定。バレンシア戦で出場停止だったメンディが戻り、カセミロも無事出られるため、メンバー的に心配はなさそうですが、それより何より、スタジアム周辺や試合中にカタルーニャ独立派による騒動が起きないといいですよね。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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