この先、クリスマスまで休みはない…/原ゆみこのマドリッド

2019.12.06 19:00 Fri
「ならいっそ、マイアミでやれば良かったのに」そんな風に私が呆れていたのは木曜日、お昼のニュースで18日のクラシコ(伝統の一戦)でレアル・マドリーがカタルーニョ独立派の妨害に遭うかもしれないと、エル・プラット空港から、カンプ・ノウに近い滞在予定ホテルまでのルートマップを提示。わざわざ10月26日だった10節の日程を2カ月も遅らせて、海外から観戦に来る大勢のファンに迷惑をかけた甲斐もなく、今回も反体制グループが#TsunamiDemocráticのハッシュタグの元、今週マドリッドで開かれている国連気候変動会議を訪れる環境団体の活動家たちにもバルセロナに来てもらい、デモ参加やピッチ乱入を呼びかけていると聞いた時のことでした。
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え、今週末の16節にはビジャレアルとアトレティコがマイアミのハードロック・スタジアムで試合をすることになっていなかったかって?いやあ、シーズン序盤にはそんな話もあったんですが、プロリーガ協会のテバス会長が進めていたリーガ国際化計画がサッカー協会の反対に遭って頓挫。昨季、やはりアメリカで開催しようとしたジローナvsバルサ戦同様、11月初旬に裁判所に海外での興行を却下され、結局、金曜午後9時(日本時間翌午前5時)から、エスタディオ・デ・ラ・セラミカでキックオフすることになったんですが、まあこれは結果オーライでしたよねえ。そう、いくら今週、スペインではミッドウィーク開催の試合がなかったとはいえ…。そこら中でイベントがあって落ち着かなかったんですよ。いえ、パリで行われた月曜のバロンドール授賞式など、バルサからは6回目の戴冠を果たしたメッシ、新設されたヤシン賞(最優秀GK)にノミネートされたテア・シュテーゲン(受賞はリバプールのアリソン)、介添え役としてグリーズマンが出席。お隣さんも昨年受賞したモドリッチがメッシにトロフィーを手渡す役を果たし、「Cuando no ganas, por respeto, tienes que estar aquí/クアンドー・ノー・ガナス、ポル・レスペトー、ティエネス・ケ・エスタル・アキー(勝たなかった時もリスペクトを示すため、出席しないといけない)。今日の式典はサッカーのお祝いだからね」と同日、ミラノで開かれていたカルチョの表彰式を口実に欠席した元同僚のクリスチアーノ・ロナウド(得票数3位)と異なり、懐の広いところを示していたりしたんですけどね。
レアル・マドリー勢ではコパ賞(21才以下の最優秀選手)にノミネートされていたビニシウス(受賞はユベントスのデ・リフト)も姿を見せていたものの、アトレティコではオブラクですら、ヤシン賞の得票数4位とまったく関係ないイベントでしたが、その日、ワンダ・メトロポリターノで行われたマドリッド・サッカー協会表彰ではモラタがボタ・デ・オロ(ゴールデンブーツ)を受賞。正直、マイナーすぎてどういう賞か、私にもわかりかねるんですが、それはセビージャでラキティッチがもらっていたスポーツウェブ、ElDesmarqueの賞というのも同様かと。

続く火曜にはマドリッドではAS(スポーツ紙)、バルセロナではスポルト(同)が表彰式を開き、後者ではピケがカタルーニャ最優秀選手賞をもらっていたりしたんですが、そんな中、いきなりアトレティコのイベントが水曜にあったんです。ええ、ワンダのピッチにステージを作り、スポンサー企業のヒュンダイから年間貸与されるSUV車、ツーソンの贈呈式だったんですが、シメオネ監督を始め、男子、女子チームの代表それぞれ10人に1台、1台、引き渡していくなんて悠長な真似、もしマイアミ遠征が入っていたらできませんよねえ。
実際、雨がパラつく寒い夕方、引っ張り出された選手たちもちょっと気の毒でしたが、司会者のお喋りやゲストのミニマジックショーが続く中、最初に車をもらって引き揚げたのはシメオネ監督で、最後は一番、若輩のジョアン・フェリックスとはいやはや、新人とは辛いもの。逆にその日、暖かい夜を過ごしていたのはお隣さんで、マドリッド北部にあるレストラン、El Filandon(エル・フィランドン)で選手だけのクリスマスディナー(https://bit.ly/34TS1KZ)があったのだとか。いえ、そのせいでマスコミがお店を張って、偶然にも弟分のヘタフェが同じ場所でこちらはクラブ幹部も加わった、正式なクリスマス慰労会(https://bit.ly/2r9FAMO)を開いていたこともわかったりしたんですけどね。

マドリーの方では珍しく、普段はその時間、もうベッドにいるからとほとんどチームの夕食会には参加しなかったベイルも出席。選手同士のプレゼント交換で、うーん、ウェールズ代表がユーロ大会期間の合宿中、ゴルフ禁止令を出したのを可哀そうに思われたんでしょうかね。マルセロからクラブをもらっていたりしたそうですが、2人だけ欠席だったクロースとベンゼマも翌日のバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習後にはプレゼントをもらっていたようですよ。

とまあ、ここまではお気楽な話なんですが、木曜になるといきなりバッドニュースが舞い込んでくることに。ええ、まずは前夜、クルトワの運転でクリスマス会にやって来たアザールのPSG戦で同じ、ベルギー代表のムニエのタックルで負ったケガがただの足首の打撲ではなく、亀裂骨折を伴っていたことが発覚。全治までは3週間とも1カ月半とも言われており、正確なところはわからないものの、クラシコに出られないのは絶対だとか。

それからほとんど時間をおかず、マルセロが左脚のふくらはぎを痛めたという報が続き、こちらもクラシコ出場が微妙に。いえ、負傷者ハットトリックとなる最後のベイルに関しては、当人がクラブのホームページにparte medico(パルテ・メディコ/医療報告)を載せることを拒否しているため、ラジオからの情報のようですけどね。今週、ずっとジムにこもっていたのは先週末のアラベス戦で左太ももに打撲を受けたせいで、ここ2試合はプレーできないよう。うーん、BTスポーツでのインタビューでは、「初めてブーイングを受けた時はショックだったけど、年齢を重ねるにつれ、どう対処すればいいかわかってきた。今じゃ、ただ肩をすくめるだけさ」と言っていた彼ですが、土曜午後1時(日本時間午後9時)からのエスパニョール戦はサンティアゴ・ベルナベウ開催ですからね。

またpito(ピト/ブーイング)を受けて、不快な気持ちになるのを避けたいというのもあるかもしれませんが、今年はもうウェールズ代表の試合もなし。ユーロ予選の渦中だった10月から11月までの間、ずっとマドリーの試合に出なかった程、大事を取る必要もないはずですしね。何とかクラシコまでに回復してくれればと、ジダン監督も思っているかもしれません。

というのも、この週末の相手となるエスパニョールはここ5試合白星なし、降格圏の19位と調子が悪いですからねえ。とりあえず、ここ8試合無敗と上昇気流に乗り、リーガでも首位バルサと同じ勝ち点の2位であるマドリーとしては、ハメス・ロドリゲスやルーカス・バスケスはまだ復帰できなくても復調したイスコやロドリゴ、ビニシウスらで問題なく、対応できるのでは?

一方、金曜に試合のあるアトレティコはお昼過ぎにシメオネ監督の記者会見があったんですが、やはり焦点は先日、バルサに負けて首位陣との差が勝ち点6に広がりながら、3位のセビージャとの差が開いた方が問題と発言。「ウチは移行期のシーズンにある」と完全に優勝争いを放棄したような雰囲気になっていたことに当てられていたんですが、それに関して「Posiblemente, tenga mal español y las palabras se pueden confundir/ポシブレメンテ、テンゴ・マル・エスパニョル・イ・ラス・パラブラス・セ・プエデン・コンフンディル(おそらく自分のスペイン語が悪くて、単語で混乱させてしまったかもしれない)」と当人は説明。

「transicion/トランンシシオン(移行期)という言葉が日光を当てて、勝手に花が咲くのを待つことと思う者は私を知らない。自分が言いたかったのはベテランの代わりに若い選手がいるということだ」そうなんですが、うーん。アルゼンチンでもその単語の意味は変わらないと思うんですが、このところのゴール日照りはチャンスは作っているだけにそれぞれ、選手個人の資質か、ツキの問題ですからね。

真冬のクライシスが恒例行事だった頃の2005-06シーズン、ビアンキ監督が率いて途中解任となったチームによるクラブ史上最少ゴール数の15を1つ上回るだけの今は、「Nuestro objetivo es competir partido tras partido/ヌエストロ・オブヘティボ・エス・コンペティール・パルティードー・トラス・パルティードー(ウチの目標は1試合、1試合、競うこと)」というシメオネ監督のサッカー哲学に従い、辛抱して戦っていくしかないんですが、間の悪いことにビジャレアルのホームはここ3年間、勝てていない鬼門なんですよ。

そこへ、今週はようやくヒメネスがグループ練習に加われるようになったものの、復帰は来週水曜のCLロコモティブ・モスクワ戦になるようで、コレアが出場停止になる以外、招集メンバーもほとんど変わっていませんからねえ。ちょっとだけ慰めになるのは相手もここ5試合白星がなく、3連敗中だということですが、何はともあれ、ヘタフェとの勝ち点1差を守って、EL出場圏の6位ぐらいは死守くださいね。

え、その兄貴分を追い越してやろうと虎視眈々と狙っているヘタフェは今週末、どこと対戦するのかって?これがまた、乾貴士選手のいるエイバルと日曜正午(日本時間午後8時)から、イプルアで手合わせとなるんですが、こちらも相手が3連敗中という奇妙な偶然が。ただ、ヘタフェも来週木曜にはグループリーグ突破をガチンコで争うクラスノダールとのEL最終節が控えているため、選手のローテーションなどで大変な時期なんですが、とりわけ前節のレバンテ戦など、4-0のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)勝利をしているため、チームが自信をつけてきているのは頼もしいかと。

それより、とにかく勝ち始めてくれないことには困ってしまうのがもう1つの弟分レガネスで、彼らは日曜にブタルケでセルタと対戦。何せ、ペレグリーニ監督からアギーレ監督に代わってからの3試合、相手がレアル・ソシエダ、バルサ、セビージャと上位チームばかり続いたせいでまだ、1勝も挙げられていませんからね。やはり同じ時期にエスクリバ監督からオスカル・ガルシア監督に交代、1勝1分け1敗で降格圏の18位に留まっているセルタであれば、十分勝機もある気がするんですが、こればっかりはねえ。彼らの年末残り試合はアラベス、エスパニョールですし、1月になれば補強の可能性も開けるんですから、現在勝ち点差8ある17位のマジョルカとの差をできるだけ縮めて、いいクリスマスを迎えられることを祈っています。

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