セットプレーを軽視してはいけない…/原ゆみこのマドリッド
2019.11.26 19:00 Tue
「選り取りみどりなんて羨ましい」そんな風に私が溜息をついていたのは月曜日、サンティアゴ・ベルナベウでの記者会見でPSGのトゥーヘル監督が火曜のCLレアル・マドリー戦に起用するFWについて訊かれ、「4人使うかもしれないし、そうじゃないかもしれないし」と答えているのを聞いた時のことでした。いやあ、当該のFW陣とは9月の1節にはいなかったエムバペとネイマールに加え、パリで3-0とマドリーに完勝するのに貢献したディ・マリアとイカルディのことなんですが、それ以外にもカバーニやサラビアもいますからね。
どうやら、それには相手がジョルディ・アルバとセメドのケガでフィリポ・ジュニオールとワゲが両SBとして先発していたおかげもあったようなんですが、残念ながら、彼らは前半のうちに追加点を挙げることはできず。とはいえ、5人DF制によるメッシ対策が成功していた上、バルサは相変わらずグリーズマンとの連携が上手くいっていなかったため、もしやかつてブタルケで引き分けて、「こんなことしていたら、ウチは降格を争うことになる」と発言。アトレティコファンの不況を買っていたフランス人FWに再び苦い思いをさせることができるのではないかと思ったところ…。
レガネスが足元をすくわれたのは後半8分、セットプレーでのことでした。ええ、最近、やたらFK精度のいいメッシを恐れ、アギーレ新監督も口を酸っぱくして、エリア近くでのファール厳禁を命じてはいたんですけどね。この日のメッシは直接ゴールを狙わず、ルイス・スアレスのヘッドで同点弾を決めてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。その後は34分まで何とか凌いでいたホームチームでしたが、あともう少しで勝ち点1ゲットという40分、バルサがまたしてもセットプレーで得点。今度はCKで、うーん、ようやく負傷が全快して戻って来たルーベン・ペレスの足に当たったボールがゴール右脇に転がり、ダッシュをかけていたアレックス・ビダルに押し込まれて逆転だなんて、本当にツイていない。
そして今週は毎日、主催企業の責任者としてデイビスカップ(テニスの国別対抗戦)のため、マドリッドに通っていたピケがブタルケのミックスゾーンで、「飛行機で40分だよ。バルセロナからタラゴナまで車で往復するようなもんだ。Eso cansa?/エソ・カンサ(それで疲れる?)」とうそぶいた後、チームバスに乗らず、送迎ワゴンで20分とかからないカハ・マヒカにスペインvsイギリスの準決勝を見に行ったというのは後で私も知ったんですが、というのもその時はセルカニアス(国鉄近郊路線)とメトロを乗り継いで、午後4時からのラージョvsサラゴサ戦に間に合うよう、エスタディオ・バジェカスへと移動している最中だったから。
いえ、お目当てだった香川真司選手は筋肉痛ということで来ていなかったんですけどね。まだ今季、2部に落ちてしまった弟分のラージョを自分も見ておらず、しかもクラブと対立したファンが応援ストをずっと続けているというのが気になったのもあったんですが、幸い、この日からブカネーロス(過激なファングループ)もチームからの再三の要請に態度を軟化。彼らの陣取るフォンド・スール(ゴール裏南側席)以外に座る観客も少しずつ、チャントなどに参加していましたが、何せああもゴールが決まらないとねえ。
それどころか、後半16分にはサラゴサの選手をエリア内で倒してPKを献上。1度はハビ・ロサのシュートをGKディミトリエフスキが弾き、スタンドが歓喜に沸いたんですが、それもVAR(ビデオ審判)により、やり直しを命じられ、結局、1点を取られてしまうことに。そのまま0-1で負けてしまい、これで5試合連続白星なしとなったラージョは14位と低迷したままとなりましたっけ。といってもプレーオフ出場圏の6位に上がったサラゴサとは勝ち点5差だけですし、まだまだシーズンは残っていますからね。彼らに今季、最速Uターン昇格の可能性がないとは言えないんですが、今のところ、来季、再びマドリッド1部5チーム体制復活の希望は4位のフエンラブラダや7位のアルコルコン頼りになっている感じですかね。
え、そのラージョ戦の後、ヌエボ・ロス・カルメネスではグラナダとアトレティコの試合が始まったんだろうって?その通りで、パコ・ヘメス監督の「サッカーには敵の上手さによって、やらされてしまうミスがあるが、ウチのはそうではない。判断力の悪さからで、直すべきなんだが、1人がミスを犯すと、次は他の選手、また他の選手と連続して止められない」と何とも、人事とは思えないようなコメントを聞いた後、スタジアム最寄り駅近くのケバブ屋さんにTVを発見。ランチだか、夜ご飯だかを兼ねて、そこで観戦していくことに。まだ前半序盤だったにも関わらず、エンジンをかけるのに遅い傾向のあるアトレティコが積極的に攻めていたため、つい気になって、メニューを読みもせず、一番上にあったものを頼んでしまったりしていたんですが、別にそんなに焦る必要はなかったんですよね。
だってえ、やっぱりビトロのシュートは入らないし、コレアもあと一歩がラストパスに及ばず。結局、いつものように0-0でハーフタイムを迎えたからですが、私がコーヒーを飲んでいた後半15分、ようやくエレラがエリア内に入れたスルーパスをロディがシュート。先日はブラジル代表の親善試合でアシスト重ね、自信をつけてきただけあって、ボールがGKルイ・シウバの股間を通ってゴールとなった時にはホッとしたんですが、とんでもない。ほんの7分後、審判への抗議でグラナダのディエゴ・マルティネス監督がレッドカードで退場になって、いくらも経たないうちにCKをヘルマンに決められ、同点にされているんですから、情けないじゃないですか。
うーん、シメオネ監督によると、セットプレーは「Trabajarla es difícil/トラバハール・エス・ディフィシル(練習するのが難しい)」そうで、「個人個人のプレーの激しさに基づくアクションだから」とのことですが、ここはちょっと、アギーレ監督と捉え方が違うのかも。とはいえ、これといった強力なFWを持たない昇格組のグラナダが20チーム中最高の10得点をセットプレーで挙げているとなれば、日曜にはもう1つの弟分、ヘタフェもせっかく開始3分にマタのヘッドでリードしながら、ハーフタイム入り間際にCKからウー・レイに決められて、エスパニョールと引分けていましたしね。アトレティコもリーガ優勝した2014年時の謙虚な気持ちに戻って、攻守共にもう少し、セットプレーに一生懸命になった方がいいかと。
実際、スペイン代表のルーマニア戦で7試合連続得点のracha(ラチャ/勢い)が途切れたモラタはこの日も数度のシュートチャンスに失敗、途中出場したジョアン・フェリックスもまだ負傷明け1試合目で「Tiene que seguir cogiendo ritmo/ティエネ・ケ・セギール・コヒエンドー・リトモ(リズムを掴みながら続けないといけない)」(シメオネ監督)状態でしたしね。デビュー戦でゴールを挙げたホルハ・ガルセス、カメージョの二匹目のドジョウを期待して、残り8分に投入されたカンテラーノ(アトレティコB)、ダリオ・ポベダもロスタイムにゴール前の混戦で倒されて、ペナルティゲットかと思われたんですが、主審もVARも冷たくスルー。おかげでまたしても1-1で引き分けって、全然、「アウェイでは今季最高の試合、多分ホーム含めても」(シメオネ監督)なんて余裕をかましている場合ではないのでは?
ええ、これで首位のバルサと勝ち点3差ついてしまったのはともかく、14節で6勝7敗1分けと白星よりドローが多いのは非常に問題じゃないかと思うんですが、正直、もっと怖いのは火曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのユベントス戦。一応、グラナダでは出場停止だったサウールとトマスが復帰しますが、FW陣はまだ1度も出場していないサポンジッチが入ったぐらいで変わりありませんしね。いくら昨季の16強対2ndレグで2-0の先勝をハットトリックで逆転したクリスチアーノ・ロナウドが週末のアタランタ戦で療養。本調子ではないとしても果たして勝てるのかどうか。とりあえず、負けても最終節のロコモティブ・モスクワ戦で勝利すれば、決勝トーナメントに進めるアトレティコですが、宿題は早めに済ませてしまうのが望ましいですよね。
そして土曜に話を戻すと、少し遅れてサンティアゴ・ベルナベウに着いた私でしたが、まさかそのせいで前半3分、ラモスのバックパスをウィリアム・ホセが奪って決めたレアル・ソシエダの先制点を見逃す破目になるとは。その後もウーデゴーア、オジャルサバルらを擁する相手は何度かチャンスを作っていたため、一体、マドリーの反撃はいつ始まるのかとスタンドもイライラしていたんですが、大丈夫。36分、こちらもセットプレーがモノを言い、モドリッチの蹴ったFKをベンゼマが胸でゴールに入れ、同点にしてハーフタイムに入ったのが幸いしました。
ええ、「El 1-1 nos hizo mucho daño/エル・ウノ・ア・ウノ・ノス・イソ・ムーチョ・ダーニョ(1-1でウチはひどく打撃を受けた)。リードしたまま、折り返していたら、他のやり方があったんだけど」(エルストンド)と、相手もショックからすぐに立ち直れなかったんでしょうね。マドリーは後半開始直後、3分にもモドリッチがエリア外に戻したパスをバルベルデがシュート。そのボールがオジャルサバルに当たってコースを変え、勝ち越し点となるというラッキーに恵まれます。ただ、おかげでムードになったスタンドもベイルがアップのため、ピッチ脇に現れると雰囲気が一変。キックオフ前、メンバー紹介の時も凄かったというpito(ピト/ブーイング)が五月雨のように聞こえ始め、22分に彼がロドリゴと交代に入った時には最高のボリュームで響き渡ることに。
うーん、これに関しては昔、カシージャス(現ポルト)や新旧のロナウドがブーイングされていた時と異なり、当人にも責任があるため、私もあまり同情できないんですけどね。どうやらベイルは平気なのか、黙々とプレー。29分には右奥から反対サイドのベンゼマにクロスを上げ、彼が頭で落としたボールをモドリッチが決めて、チームが3-1で勝利するのに貢献していましたが、同じ働きをPSG戦でも期待していいのかどうか。ええ、ジダン監督は「Espero que esto no se perpetúe en la temporada/エスペロ・ケ・エストー・ノー・セ・ペルペトゥエ・エン・ラ・テンポラーダ(これがシーズン中、ずっと続かないといいけど)」と言っていましたが、あの「ウェールズ、ゴルフ、レアル・マドリー。この順番」という旗と一緒にユーロ出場を祝っていたのを怒っているファンは多いですからね。
それこそ、今季序盤は失点が多く、批判の的にもなったものの、近頃は名誉挽回。火曜には100メートル隔てて向かい合うことになるケイロル・ナバスのマドリーでの無失点記録だった534分を1分だけ上回ったGKクルトワも、「Ahora se tiene que ganar a la gente/アオラ・セ・ティエネ・ケ・ガナール・ア・ラ・ヘンテ(今はファンの心を掴まないといけない)」とアドバイスしていたように、チームのグループリーグ突破をハットトリックで決めるぐらいのことをしないと、ベイルがファンの信頼を得るのは難しいかと思いますが、こればっかりはねえ。
ちなみに月曜夜にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場施設で合宿に入ったマドリーではレアル・ソシエダ戦に続いてビニシウスが招集リスト落ち。ハメス・ロドリゲス、ルーカス・バスケス、ナチョ、アセンシオら負傷欠場者は変わらずで、マリアーノ、ブラヒム、オドリオソラらが入っていないのはいつものことなんですが、まあ今はとにかく、ベンゼマが当たっていますからね。得点の方は心配ないとして、あとはPSGの強力アタッカーたちをどこまで抑えられるかですが…こちらも12月のクラブ・ブルージュとのアウェイ戦が命綱とならないよう、勝ってしっかりグループ突破を決めておきたいところです。
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もちろん最近のマドリーはベンゼマ、アザール、ベイル、ロドリゴで不足がある訳ではありませんし、彼らの場合、MFやDF、とりわけセルヒオ・ラモスなど、得点源として当てにできるのが強み。おまけに家に帰って、アトレティコが同じ火曜にトリノで対戦するユベントスのサッリ監督の記者会見コメントを読むと、あそこもクリスチアーノ・ロナウドとイグアイン、ディバラが前線の2席を争っている状態のよう。比べて代表戦週間中にジエゴ・コスタが椎間板ヘルニアの手術を受け、全治3カ月となってしまったシメオネ監督のチームなど、もうモラタ以外、頼る術がなくなってしまったとなれば…ちょっと私にはブルーなCL週間が始まったと言っていいかと。まあ、その辺はまた後で話すとして、先週末のマドリッド勢の試合を振り返っていくことにすると、怒涛のようだった土曜日、まず私が向かったのは冷たい北風が吹きつけるブタルケで午後1時から弟分のレガネスがバルサと対戦。いえまあ、早くも前半11分にエン・ネシリがエリア内から撃ち込んだシュートで先制点を奪った時には、この2週間の特訓が身を結んだように見えたんですけどね。レガネスが足元をすくわれたのは後半8分、セットプレーでのことでした。ええ、最近、やたらFK精度のいいメッシを恐れ、アギーレ新監督も口を酸っぱくして、エリア近くでのファール厳禁を命じてはいたんですけどね。この日のメッシは直接ゴールを狙わず、ルイス・スアレスのヘッドで同点弾を決めてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。その後は34分まで何とか凌いでいたホームチームでしたが、あともう少しで勝ち点1ゲットという40分、バルサがまたしてもセットプレーで得点。今度はCKで、うーん、ようやく負傷が全快して戻って来たルーベン・ペレスの足に当たったボールがゴール右脇に転がり、ダッシュをかけていたアレックス・ビダルに押し込まれて逆転だなんて、本当にツイていない。
結局、そのまま1-2で負けてしまったレガネスでしたが、試合後はアギーレ監督も「Tengo que trabajar más la estrategia y es culpa mía/テンゴ・ケ・トラバハール・マス・ラ・エストラテギア・イ・エス・クルパ・ミア(セットプレーをもっと練習しないといけない。これは私の責任だ)」と反省。といっても時間には限りありますし、バルサにプレーを繋がれて失点するのを避けられただけでも進歩はしている気はするんですが、さて。ただ、「En noviembre no hay ningún equipo descendido/エン・ノビエンブレ・ノー・アイ・ニングン・エキポ・デセンディードー(11月に降格するチームはない)」(アギーレ監督)というのは真実とはいえ、残留ライン17位のマジョルカとの勝ち点差8は早々に詰めていかないと、後が苦しくなっちゃいますよね。
そして今週は毎日、主催企業の責任者としてデイビスカップ(テニスの国別対抗戦)のため、マドリッドに通っていたピケがブタルケのミックスゾーンで、「飛行機で40分だよ。バルセロナからタラゴナまで車で往復するようなもんだ。Eso cansa?/エソ・カンサ(それで疲れる?)」とうそぶいた後、チームバスに乗らず、送迎ワゴンで20分とかからないカハ・マヒカにスペインvsイギリスの準決勝を見に行ったというのは後で私も知ったんですが、というのもその時はセルカニアス(国鉄近郊路線)とメトロを乗り継いで、午後4時からのラージョvsサラゴサ戦に間に合うよう、エスタディオ・バジェカスへと移動している最中だったから。
いえ、お目当てだった香川真司選手は筋肉痛ということで来ていなかったんですけどね。まだ今季、2部に落ちてしまった弟分のラージョを自分も見ておらず、しかもクラブと対立したファンが応援ストをずっと続けているというのが気になったのもあったんですが、幸い、この日からブカネーロス(過激なファングループ)もチームからの再三の要請に態度を軟化。彼らの陣取るフォンド・スール(ゴール裏南側席)以外に座る観客も少しずつ、チャントなどに参加していましたが、何せああもゴールが決まらないとねえ。
それどころか、後半16分にはサラゴサの選手をエリア内で倒してPKを献上。1度はハビ・ロサのシュートをGKディミトリエフスキが弾き、スタンドが歓喜に沸いたんですが、それもVAR(ビデオ審判)により、やり直しを命じられ、結局、1点を取られてしまうことに。そのまま0-1で負けてしまい、これで5試合連続白星なしとなったラージョは14位と低迷したままとなりましたっけ。といってもプレーオフ出場圏の6位に上がったサラゴサとは勝ち点5差だけですし、まだまだシーズンは残っていますからね。彼らに今季、最速Uターン昇格の可能性がないとは言えないんですが、今のところ、来季、再びマドリッド1部5チーム体制復活の希望は4位のフエンラブラダや7位のアルコルコン頼りになっている感じですかね。
え、そのラージョ戦の後、ヌエボ・ロス・カルメネスではグラナダとアトレティコの試合が始まったんだろうって?その通りで、パコ・ヘメス監督の「サッカーには敵の上手さによって、やらされてしまうミスがあるが、ウチのはそうではない。判断力の悪さからで、直すべきなんだが、1人がミスを犯すと、次は他の選手、また他の選手と連続して止められない」と何とも、人事とは思えないようなコメントを聞いた後、スタジアム最寄り駅近くのケバブ屋さんにTVを発見。ランチだか、夜ご飯だかを兼ねて、そこで観戦していくことに。まだ前半序盤だったにも関わらず、エンジンをかけるのに遅い傾向のあるアトレティコが積極的に攻めていたため、つい気になって、メニューを読みもせず、一番上にあったものを頼んでしまったりしていたんですが、別にそんなに焦る必要はなかったんですよね。
だってえ、やっぱりビトロのシュートは入らないし、コレアもあと一歩がラストパスに及ばず。結局、いつものように0-0でハーフタイムを迎えたからですが、私がコーヒーを飲んでいた後半15分、ようやくエレラがエリア内に入れたスルーパスをロディがシュート。先日はブラジル代表の親善試合でアシスト重ね、自信をつけてきただけあって、ボールがGKルイ・シウバの股間を通ってゴールとなった時にはホッとしたんですが、とんでもない。ほんの7分後、審判への抗議でグラナダのディエゴ・マルティネス監督がレッドカードで退場になって、いくらも経たないうちにCKをヘルマンに決められ、同点にされているんですから、情けないじゃないですか。
うーん、シメオネ監督によると、セットプレーは「Trabajarla es difícil/トラバハール・エス・ディフィシル(練習するのが難しい)」そうで、「個人個人のプレーの激しさに基づくアクションだから」とのことですが、ここはちょっと、アギーレ監督と捉え方が違うのかも。とはいえ、これといった強力なFWを持たない昇格組のグラナダが20チーム中最高の10得点をセットプレーで挙げているとなれば、日曜にはもう1つの弟分、ヘタフェもせっかく開始3分にマタのヘッドでリードしながら、ハーフタイム入り間際にCKからウー・レイに決められて、エスパニョールと引分けていましたしね。アトレティコもリーガ優勝した2014年時の謙虚な気持ちに戻って、攻守共にもう少し、セットプレーに一生懸命になった方がいいかと。
実際、スペイン代表のルーマニア戦で7試合連続得点のracha(ラチャ/勢い)が途切れたモラタはこの日も数度のシュートチャンスに失敗、途中出場したジョアン・フェリックスもまだ負傷明け1試合目で「Tiene que seguir cogiendo ritmo/ティエネ・ケ・セギール・コヒエンドー・リトモ(リズムを掴みながら続けないといけない)」(シメオネ監督)状態でしたしね。デビュー戦でゴールを挙げたホルハ・ガルセス、カメージョの二匹目のドジョウを期待して、残り8分に投入されたカンテラーノ(アトレティコB)、ダリオ・ポベダもロスタイムにゴール前の混戦で倒されて、ペナルティゲットかと思われたんですが、主審もVARも冷たくスルー。おかげでまたしても1-1で引き分けって、全然、「アウェイでは今季最高の試合、多分ホーム含めても」(シメオネ監督)なんて余裕をかましている場合ではないのでは?
ええ、これで首位のバルサと勝ち点3差ついてしまったのはともかく、14節で6勝7敗1分けと白星よりドローが多いのは非常に問題じゃないかと思うんですが、正直、もっと怖いのは火曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのユベントス戦。一応、グラナダでは出場停止だったサウールとトマスが復帰しますが、FW陣はまだ1度も出場していないサポンジッチが入ったぐらいで変わりありませんしね。いくら昨季の16強対2ndレグで2-0の先勝をハットトリックで逆転したクリスチアーノ・ロナウドが週末のアタランタ戦で療養。本調子ではないとしても果たして勝てるのかどうか。とりあえず、負けても最終節のロコモティブ・モスクワ戦で勝利すれば、決勝トーナメントに進めるアトレティコですが、宿題は早めに済ませてしまうのが望ましいですよね。
そして土曜に話を戻すと、少し遅れてサンティアゴ・ベルナベウに着いた私でしたが、まさかそのせいで前半3分、ラモスのバックパスをウィリアム・ホセが奪って決めたレアル・ソシエダの先制点を見逃す破目になるとは。その後もウーデゴーア、オジャルサバルらを擁する相手は何度かチャンスを作っていたため、一体、マドリーの反撃はいつ始まるのかとスタンドもイライラしていたんですが、大丈夫。36分、こちらもセットプレーがモノを言い、モドリッチの蹴ったFKをベンゼマが胸でゴールに入れ、同点にしてハーフタイムに入ったのが幸いしました。
ええ、「El 1-1 nos hizo mucho daño/エル・ウノ・ア・ウノ・ノス・イソ・ムーチョ・ダーニョ(1-1でウチはひどく打撃を受けた)。リードしたまま、折り返していたら、他のやり方があったんだけど」(エルストンド)と、相手もショックからすぐに立ち直れなかったんでしょうね。マドリーは後半開始直後、3分にもモドリッチがエリア外に戻したパスをバルベルデがシュート。そのボールがオジャルサバルに当たってコースを変え、勝ち越し点となるというラッキーに恵まれます。ただ、おかげでムードになったスタンドもベイルがアップのため、ピッチ脇に現れると雰囲気が一変。キックオフ前、メンバー紹介の時も凄かったというpito(ピト/ブーイング)が五月雨のように聞こえ始め、22分に彼がロドリゴと交代に入った時には最高のボリュームで響き渡ることに。
うーん、これに関しては昔、カシージャス(現ポルト)や新旧のロナウドがブーイングされていた時と異なり、当人にも責任があるため、私もあまり同情できないんですけどね。どうやらベイルは平気なのか、黙々とプレー。29分には右奥から反対サイドのベンゼマにクロスを上げ、彼が頭で落としたボールをモドリッチが決めて、チームが3-1で勝利するのに貢献していましたが、同じ働きをPSG戦でも期待していいのかどうか。ええ、ジダン監督は「Espero que esto no se perpetúe en la temporada/エスペロ・ケ・エストー・ノー・セ・ペルペトゥエ・エン・ラ・テンポラーダ(これがシーズン中、ずっと続かないといいけど)」と言っていましたが、あの「ウェールズ、ゴルフ、レアル・マドリー。この順番」という旗と一緒にユーロ出場を祝っていたのを怒っているファンは多いですからね。
それこそ、今季序盤は失点が多く、批判の的にもなったものの、近頃は名誉挽回。火曜には100メートル隔てて向かい合うことになるケイロル・ナバスのマドリーでの無失点記録だった534分を1分だけ上回ったGKクルトワも、「Ahora se tiene que ganar a la gente/アオラ・セ・ティエネ・ケ・ガナール・ア・ラ・ヘンテ(今はファンの心を掴まないといけない)」とアドバイスしていたように、チームのグループリーグ突破をハットトリックで決めるぐらいのことをしないと、ベイルがファンの信頼を得るのは難しいかと思いますが、こればっかりはねえ。
ちなみに月曜夜にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場施設で合宿に入ったマドリーではレアル・ソシエダ戦に続いてビニシウスが招集リスト落ち。ハメス・ロドリゲス、ルーカス・バスケス、ナチョ、アセンシオら負傷欠場者は変わらずで、マリアーノ、ブラヒム、オドリオソラらが入っていないのはいつものことなんですが、まあ今はとにかく、ベンゼマが当たっていますからね。得点の方は心配ないとして、あとはPSGの強力アタッカーたちをどこまで抑えられるかですが…こちらも12月のクラブ・ブルージュとのアウェイ戦が命綱とならないよう、勝ってしっかりグループ突破を決めておきたいところです。
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