かつてはエースがいた…/原ゆみこのマドリッド

2019.11.15 14:00 Fri
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「今、7番って誰だっけ?」そんな風に私が首を捻っていたのは木曜日、日本から伝わってきたビジャ(ヴィッセル神戸)の引退発表のニュースに伴い、スペイン代表黄金期にゴールを挙げまくる当人の映像が何度も繰り返されているのを見た時のことでした。いやあ、2008年のユーロから始まり、2010年W杯を経て、2012年ユーロと3連覇を達成したスペインなんですが、彼は2011年に横浜で行われたクラブW杯で足を骨折し、回復が間に合わず。スペイン最後の栄冠となったユーロ大会では当時、バルサの同僚だったペドロ(チェルシー)が背番号7をつけていたんですけどね。

その後はまた代表に戻り、2014年W杯まではスペインの7番と言えば、ビジャのことで、かつてのラウール(現RMカスティージャ監督)の44得点を大きく上回る、代表最多となる59得点を記録。2013-14シーズンにアトレティコのリーガ優勝を15ゴールで助けてから、メルボルン・シティ、ニューヨーク・シティと海の向こうに新天地を求め、2017年9月には再招集されて話題を呼んだものでしたけどね。今では彼の世代で代表に残っているのも先月で168試合出場と、カシージャス(ポルト)の持っていた最多出場記録を抜き、まだまだ更新を続けるつもりのセルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)はともかく、あとはブスケツ(バルサ)、ジョルディ・アルバ(同、今回は負傷中)、そして途中、招集されない時期もあったアルビオル(ビジャレアル)、カソルラ(同)、ヘスス・ナバス(セビージャ)ぐらいしか残っておらず。

すでにチャビ(アル・サッド監督)、シャビ・アロンソ(レアル・ソシエダB監督)、プジョル、バルデス(元バルサ)、アルビオル(元マドリー)、フェルナンド・トーレス(この夏までヴィッセル神戸)といった現役引退組も結構いますし、ピケ(バルサ)、シルバ(マンチェスター・シティ)、セスク(モナコ)、マタ(マンチェスター・ユナイテッド)らは代表引退or招集されずという境遇になっていますしね。それを思うと、今の代表チームのメンバーが大きく代替わりしているのは当然ですが、調べてみたところ、この11月のユーロ予選2試合で7番をつけるのはモラタ(アトレティコ)のよう。

ただ、それも彼が今季始まってからの9月、10月は負傷などで呼ばれなかったため、その時はサラビア(PSG)がつけていましたしね。今回はそのサラビアも最初はリスト落ちしていて、ロドリゴ(バレンシア)が先週末のグラナダ戦負傷、代理にはマリ代表に取られてしまうことを心配して、アダマ・トラオレ(ウォルバーハンプトン)が初招集で選ばれたんですが、こちらもプレミアリーグの試合でケガをしたため、最後にお鉢が回ってきたという形だったせいか、モラタが7番を取り戻すことになったんですが、当人は代表16得点と、ビジャやトーレスら、アトレティコの大先輩とはまだまだ、比べようもありませんしね。

結局、中盤同様、前線もあの黄金時代のような固定メンバーがいないのは困ったもんですが、カディス(スペイン南部のビーチリゾート)で対戦する相手は小国マルタ。その上、スペインのユーロ2020出場は10月には決まっていて、勝ち点差が5、6とある2位のスウェーデン、ルーマニアは同日、互いにもう1席を争って潰し合いするとあって、とにかくスペインは引分け以上なら、1位突破も確定することに。そういう事情もあって、あまり世間の興味を惹かない試合なんですが、それでも地元のファンは3年ぶりの代表来訪を大歓迎。チケットが即日完売しただけでなく、当初、一般非公開の予定だったラモン・デ・カランサでの前日スタジアム練習を現地のリクエストで入場可能にさせたなんて話もあったんですが、いやあ。

来週月曜にワンダ・メトロポリターノである予選最後のルーマニア戦も前日練習は非公開となっているんですが、マドリッドでは最近は全然、そうじゃないのに、皆、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設に行けば選手に会えると思っているんでしょうかね。6月にサンティアゴ・ベルナベウでスウェーデン戦があった時などもスタジアム練習を公開してくれなんて声、まったく上がらなかったんですよ。

となると、多分、ワンダでのセッションもファンは見せてもらえないと思いますが、大丈夫。まだチケットは売り切れていないため、代表ホームページ(https://bit.ly/358myEV)や日曜(11~19時)、当日午前10時からはスタジアムのチケットオフィスでも15ユーロ(約2000円)から購入可能です。なかなかこの時期、カディスまで行く日本人観光客はいないと思いますが、マドリッドで代表戦が見られる機会を利用しない手はありませんって。

まあ、スタメン予想など、あまりマルタ戦については情報が入ってこないため、UEFA.tvなどで金曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からの試合を普通に楽しんでくれればいいと思いますが、個人的に連続試合ゴール記録を続けてほしいのはモラタで、というのも実はこの木曜、ジエゴ・コスタが頸椎の椎間板ヘルニアを患い、もしかしたら手術で全治3カ月になってしまうかもしれないという報が届いたから。うーん、先週末のエスパニョール戦ではノーゴールのままだったものの、コケに3点目のアシストと貢献してくれていたんですけどね。

それが中足骨のボルトを入れ替えて長期不在となった昨季の二の舞になってしまっては、何せ、サラリーキャップ制の関係で夏にコレアが売却できず、ロドリゴをバレンシアから獲得することができなかったアトレティコ。とりわけ昨今など、6試合連続でゴールを挙げているモラタしか、頼みの綱がない有様で、1試合1点しか入れてくれないのは物足りないとはいえ、火曜に2月に手術したヒザの靭帯のリハビリの総仕上げをしに母国、クロアチアから帰って来たベルサイコはともかく、ようやくサビッチも今週からチーム練習に加わり、ヒメネスもparon(パロン/リーガの停止期間)明けのグラナダ戦には戻って来てくれるとなれば、再び1-0で逃げ切れるチームになれる?

その試合ではサウールとトマスも累積警告で出場停止になるのが難点ではありますけどね。その2人も含め、今回は各国代表に総勢9人を派遣しているシメオネ監督のチームなんですが、いよいよジョアン・フェリクスも復帰が秒読みになっていますし、あとはどの選手もケガをせずに来週半ばにはチームに合流してくれることを祈るばかりかと。

え、今週は月曜にアトレティコの選手たちもタイトルゲットの希少なチャンスと楽しみにしていたスペイン・スーパーカップの組み合わせも決まったんだろうって?その通りで、これまではプレシーズンの8月に行われていた大会が今季から改変され、コパ・デル・レイ優勝、準優勝チーム、リーガの1、2位チームがファイナルフォー形式で戦うことに。ずっと開催場所で揉めていたんですが、ようやくサウジアラビアのジェッダで行われることになり、スペイン代表がラス・ロサスに集合した月曜にラモス、サウール、ブスケツ、ガヤ(バレンシア)ら、参加チームの選手を練習前に連れ出して、協会施設のイベントホールで抽選があったんですよ。

その結果、1月8日にはバレンシア(コパ王者)vsマドリー(バルサがリーガ優勝とコパ準優勝しているのでリーガ3位として出場)、9日にはバルサvsアトレティコ(リーガ2位)の準決勝が行われ、その勝者が12日に決勝という運びになるんですが、この試合に関しては女性に制限が多いアラブの国でもキング・アッブドゥラー・スポーツシティでの観戦に問題はないというものの、とにかくスペインからは旅費かかってなかなか見に行けないのがネック。それどころか、いつも中継しているTVE(スペイン国営放送)がサウジアラビアでの開催に反対して放映権を取らないそうで、まだ国内でもどこの局で見られるのかわからないんですけどね。

まあ、試合はまだ先ですから、どこかで生中継してくれるのは間違いないと思いますが、実は今週は10月26日の開催予定だったのを、カタルーニャ州独立宣言をした政治家への判決が出たのを機にバルセロナでデモや騒乱が増えたのを懸念。12月16日に延期となったカンプ・ノウでのクラシコ(伝統の一戦)のキックオフ時間も発表に。当初、アジアンマーケットに気遣って午後1時(日本時間午後9時)なんていう案もあったらしいんですが、何せその日は水曜の平日ですからね。日中、仕事のあるスペインのファンに気遣って、午後8時に落ち着いたのは私も嬉しかったんですが、議論の種は決して尽きることがなし。

というのもその前の週末、バルサは土曜午後4時からレアル・ソシエダ戦、マドリーは日曜午後9時にバレンシア戦が組まれているため、試合間隔に29時間も差が出てしまうのはズルいと後者が主張しているからですが、折しも丁度、11月14日の世界糖尿病デーのイベントに出席。若い頃からこの病気を抱えながら、立派にプロサッカー選手として働いている、今月末にはヒザの靭帯のリバギリが終わる予定のナチョによると、「同じ時間の休息がほしいけど、nosotros tenemos plantilla de sobra para afrontar ese partido con la mayores garantias/ノソトロス・テネモス・プランティージャ・デ・ソブラ・パラ・アフォロンタール・エセ・パルティードー・コン・ラ・マジョーレス・ガランティアス(ウチにはこの試合に最大の保証を持って立ち向かえる選手たちがあり余るほどいる)」とのこと。

うーん、その中にここ1カ月、まさに前回の代表戦から帰還して以来、1度もマドリーの試合には出ず、ウェールズ代表の練習では初日から飛ばしていたベイルや同様にコロンビア代表に合流した途端、元気になったハメス・ロドリゲスが含まれているかはわかりませんけどね。どちらにしろ、ブラジルA代表に初招集されたロドリゴなど、お隣さんより遥かに多い総勢14人を各国代表に送っているマドリーだけに、全ての試合が終わってみないことには。火曜にはモナコに出向き、ゴールデン・フット賞(29才以上の選手を対象とした表彰)をもらっていたモドリッチも最近、クロアチア代表から負傷して帰って来ることが多いですし、ジダン監督も心が休まらない日々が続いているんじゃないでしょうか。

そして弟分チームたちの様子も見ておくと、オサスナ戦でケガしたニヨムがカメルーン代表に行かなくなったため、出向者がククレジャ(スペインU21)、ジェネ(トーゴ)、ファジル(モロッコ)、マクシモビッチ(セルビア)の4人だけになったヘタフェはELによる連戦疲れもあるんでしょうね。今週の練習は月、水木の3日間だけで、更に金曜から日曜まで3連休とかなりのリラックスモード。これにはリーガで7位という余裕もあるかと思いますが、対照的に最下位脱出が急務になっているレガネスなど、いやあ、実は代表に行っている選手は7人とこちらの方が多いんですけどね。

水曜から土曜まで毎日、そして日曜だけお休みしてまた月曜からシュダッド・デポルティーバ・ブタルケで練習と、アギーレ新監督はこの機会にできるだけ選手たちを鍛えることを決めたよう。もちろん再開初戦にバルサをホームに迎えるとあって、気合も入っているんでしょうけどね。その次もサンチェス・ピスファンでのセビージャ戦と強敵が続くため、なかなか年内に17位ベティスとの勝ち点差7を詰めて、降格圏から浮上できるかは難しいところですが、さて。ここしばらくは公開セッションが続くようですし、ファンの応援を得て、チームのやる気を出させようということでしょうか。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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