悪い癖が治らない…/原ゆみこのマドリッド
2019.10.08 13:00 Tue
「1ケ月前とは天と地の差だわ」そんな風に私が嘆いていたのは月曜日、恒例だったスペイン代表集合日夕方の公開練習が今回はなかったため、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設に出かけることもなく、家でグダグダ過ごしている時のことでした。いえ、CBエルモーソがプレー時間不足で招集リスト落ちしたため、アトレティコ勢はサウール1人になってしまったんですけどね。それはまあ、バルサもジョルディ・アルバが負傷中、話題の16才の新税、アンス・ファティもまだFIFAに出す書類が揃っていないそうで、ブスケツ1人参加。レアル・マドリーにしてもセルヒオ・ラモスとカルバハルだけと、近年稀に見る程、スペイン・ビッグスリーの選手が激減していますから、あまり気にすることはないものの、変動があったのはリーガの順位の方。
ええ、9月初旬の今季最初のparon(パロン/リーガの停止期間)前、破竹の開幕3連勝を遂げ、お隣さんに勝ち点4差、バルサにも5差つけて、堂々首位に君臨していたアトレティコだというのに8節が終わってみれば、マドリーが3差で1位に。メッシ、ルイス・スアレスがケガから復帰したバルサにも1差をつけられ、3位って、これって近年、ありがちな定位置では?しかも今季自慢のtridente(トリデンテ/三叉の鉾、3トップのこと)が負傷や出場停止の逆境を乗り越えて、ようやくそろい踏みした矢先、バジャヤドリー戦であそこまでのダメダメぷりを突きつけられては、まったくどうしていいものやら。
いえ、私が勝手に落ち込んでいるだけなんですけどね。実は先週末のリーガではもっと大変な状況に陥ったチームがあって、それは弟分のレガネス。さすが開幕7試合で白星なしの最下位というのはマズいと思い、次にマドリー戦が控えていたにも関わらず、私もブタルケに応援に行ったんですが、レバンテとの試合ではそんな切迫感がスタンドのファンからもありありと伝わってくることに。いつもより、妙にチャントや応援歌のリズムが速かったのも選手たちに影響したか、前半はどうにも繋がりのある攻撃ができず。それどころか、ロスタイムにはシオバスがロジェルを倒したのはエリア前だったのいうのにPKを取られてしまったから、さあ大変!
え、リーガには昨季からVAR(バル/ビデオ審判)があるんだから、そういう間違いは駆逐されたんじゃないのかって?いやあ、建前はそうなんですが、レガネスは先日のバレンシア戦でもロドリゴがエリア外で受けたファールをペナルティにされてしまうという不遇な目に遭っていて、この日もその瞬間、ラス・ロサスにあるVAR本部との通信が途切れ、第4審判がスマホで連絡を取るという異常事態に。結局、ロジェルがPKを決め、レバンテが先制したんですが、更にレガネスの反撃意欲に水を差したのは後半序盤のFK。カンパーニャが右サイドから蹴ったところ、目測を誤ったGKソリアーノが2点目のゴールにしてしまったとなれば、もうどうしたらいいものやら。
それでも後半31分には途中出場したブライトワイテが見事なvaselina(バセリーナ/ループシュート)で1点を返し、その3分後にはPKで同点にするチャンスもあったレガネスなんですけどね。ブライトワイテがGKアイトール・フェルナンデスに弾かれてしまい、カリージョのシュートも真正面に飛んでしまってはねえ。私がサンティアゴ・ベルナベウへ向かうため、すでにスタジアムを出ていたロスタイムにはCKから、全員攻撃で上がっていたソリアーノのボレーシュートも弾かれ、試合は1-2で終了です。
そしてその日はセルカニアス(国鉄近郊路線)ではなく、バスでアルーチェ駅まで戻り、メトロを乗り継いで何とか、1時間弱でベルナベウに着いた私だったんですが、先日のCLクラブ・ブルージュ戦で痛い目に遭ったマドリーとあって、キックオフから速攻を仕掛けることにしたんでしょうかね。開始2分にはベイルのラストパスをベンゼマが撃ち込み、グラナダから1点をもぎ取ったんですが、なかなか追加点は入らず。ようやく相手のパスミスから、移籍後、まだゴールのなかったアザールがGKルイ・シウバの頭を超すシュートで2点目を奪ったのは前半ロスタイムになってのことでした。
後半も16分にはクロースの左太もものケガで前半途中から出場していたモドリッチがエリア外から、見事なgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)。これで勝利は確実になったと思いきや、いやいや、とんでもない。ええ、ここまでリーガのオサスナ戦、急性胃腸炎でクルトワが交代したブルージュ戦後半と完璧だったGKアレオラが24分、後ろから迫るカルロス・フェルナンデスに気づかず、ボールを蹴ろうとして相手の足を蹴ってしまったから、呆気に取られたの何のって。エリア内だったそのプレーは当然、ペナルティとなり、マチスがPKを決めて1点を返されてしまったんですが、まさか32分にもCKから、ドゥアルテがゴールを挙げ、3-2に迫られてしまうって…。
後でジダン監督など、「前から1位と2位がプレーすると言っていた。El segundo te tiene que meter en dificultades/エル・セグンド・テ・ティエネ・ケ・メテール・エン・ディフィクルタッド(2位なんだから、自分たちを困難な状況に追い込まないといけない)」と話していましたけどね。正直、3年ぶりに1部昇格してきたグラナダの選手たちはそれ相応のレベルというか、どうしてこれで2位なのか、そのプレーぶりからは私には理解できなかったんですが、相手が前のめりになっていた47分にカウンターからオドリオソラが敵エリア右奥まで侵入。交代枠3番手として入っていたハメス・ロドリゲスが4点目を挙げてくれるまで、マドリーファンはきっと落ち着けなかったかと。
実際、4-2で勝利した後、ピッチでインタビューを受けていた、マルセロ、メンディ、ナチョの負傷でその日、反対側の左SBで奮闘していたカルバハルなども「Tenemos que corregir esta faceta de cerrar los partidos en casa/テネモス・ケ・コレヒル・エスタ・ファセタ・デ・セラール・ロス・パルティードス・エン・カサ(ウチはホームゲームで勝負に決着をつけるという面を改善しないといけない)。このままだと、次は勝ち点を取りこぼしてしまうかもしれないからね」と反省していたんですが、なかなかねえ。1試合、最初から最後まで全力で挑むというのはどこのチームにとっても難しいようで…。
その冴えたるものだったのが翌日曜、バジャドリーに挑んだアトレティコでとにかく、前半はゆったりパスを交換しているだけでまったく何をする訳でもなし。36分など、数分前にトマスの足がエリア内でサンドロに当たったところをVARで見咎められ、改めてPKを宣告されていたりしていましたが、幸いこの時は足場が滑ったサンドロが天高く撃ち上げてくれたため、実害は被らず。0-0でハーフタイムを迎え、ようやく後半は本気を出したかと思いきや、惜しかったチャンスなど、36分にコレアが撃ったシュートがゴールポストに弾かれたぐらいって、一体、何しにホセ・ソリージャまで行った?
いえ、何度もバジャドリーの選手にタックルを受けてイエローカードを審判に出させていたモラタも「No es fácil jugar después de haber disputado un partido tan lejos, estamos cansados/ノー・エス・ファシル・フガール・デスプエス・デ・アベール・ディスプタードー・ウン・パルティードー・タン・レホス、エルタモス・カンサードス(あれだけ遠くで試合をした後、プレーするのは簡単じゃない。ボクらは疲れていた)」と言っていたように、火曜にはCLロコモティブ・モスクワ戦でロシア遠征のあった彼らなんですけどね。その一方でモラタより5才若い21のロディなどからは、「Tuvimos dos días de descanso y estamos bien/トゥビモス・ドス・ディアス・デ・デスカンソ・イ・エスタモス・ビエン(2日間休みがあったし、ボクたちは元気だよ)」という証言もあったため、要は選手個々の状態を考えず、ローテーションをアリアス→トリッピアー、フェリペ→サビッチのDF2人だけに留めたシメオネ監督の計算違いだったかも。
ただ元々、少数精鋭のアトレティコですから、総入れ替えをする程、余裕もないのも現実なんですが、でもねえ。真の問題はやっぱり、「Tenemos que ir a por los partidos desde el primer minuto/テネモス・ケ・イル・ポル・ロス・パルティードス・デスデ・エル・プリメール・ミヌート(1分から試合に勝ちにいかないといけない)。今日はそれができなくて、もう何度も同じことが起きているから、反省しないと」とサウールも言っていた、メンバーがいくら変わろうが、今の時代まで、連綿と受け継がれている「salir al campo durmiendo/サリール・アル・カンポ・ドゥルミテンドー(眠ったままピッチに出る)」というアトレティコの悪癖。
幸い昨今では致命傷にならず、この日もスコアレスドローで勝ち点1は獲得できましたけどね。モラタはゴールが入らず、ジエゴ・コスタなど、シュートすらろくろく撃っていないことを考えると、もちろんその日も途中交代させられてしまった19才のジョアン・フェリックスにチームを背負わせる訳にもいきませんし、ここは全ての選手がゴール嗅覚を研ぎ澄ませ、リーガ8試合でたった7得点という、リーガの上位チームとして、赤っ恥の生産性のなさを補っていかないと。この各国代表戦週間には10人もの選手が招集されているアトレティコですが、両エースはマハダオンダ(マドリッド近郊)でお留守番というのも都合がいいですし、2週間後のバレンシア戦では風向きが変わっていてくれるといいのですが。
え、先週末はこんな情けない兄貴分と違って、木曜にELクラスノダール戦で同じくというか、もっと遠距離のロシア遠征をしながら、しかもアトレティコがあっさり2-0と負けてしまったレアル・アレナで脱帽のremonatada(レモンタダーダ/逆転劇)を披露した弟分もいたじゃないかって?その通りで、とにかく私はアトレティコの試合に呆れ果てていたため、そそくさと近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)を出てしまったんですが、柴崎岳選手が先発していたデポルティーボとアルメリアの試合を見ようと、部屋でGOL(スペイン専門オープンチャンネル)をつけたのと同じ時間にヘタフェもキックオフ。
それがまた、開始7分にはレアル・ソシエダのミケル・メリノに先制ゴールを決められてしまったため、やはり彼らに二足の草鞋はまだ早かったかと心配していたんですが、とんでもない。後半、ディエゴ・ジョレンテが2枚目のイエローカードをもらって退場したのをキッカケに22分、ダミアンのクロスをマタが頭で決めて同点に。それどころか、残り2分にはククレジャのパスがゴールラインを越えるのをマタが救うと、アンヘルがゴール前から後ろに戻し、マクシモビッチが決勝ゴールを入れてくれるとはローテーションの威力や恐るべし。
だってえ、マドリッドで留守番となったホルヘ・モリーナとマタばかりでなく、この日の先発はファジル以外、ロシアでは控えだった選手なんですよ。だからこそ、最後の最後で力を振り絞れたという面もあったかと思いますが、今回はボルダラス監督の作戦勝ちだった?いえ、グループリーグ中はどこのチームも控え選手で賄いがちなELとベストメンバーが激突するCLという違いはありますけどね。同じELでCSKAモスクワとアウェイで対戦したエスパニョールなど、木曜は勝ったものの、日曜には久保建英選手が途中出場したマジョルカに2-0で負け、やはり0-0で引き分けて降格圏を脱出できなかったデポルティーボのアンケラ監督同様、ガジェゴ監督が解任になってしまったなんてこともあったため、やっぱりヘタフェが上手くやったことは認めてあげないと。
そんなヘタフェは16位から12位にジャンプアップしたため、今週はボルダラス監督も疲れただろう選手たちを思いやって、水曜まで3連休。代表戦明けにはレガネスと弟分ダービーからスタートというのはお隣さんにとって、本当に気の毒なんですが、まあ2週間もあればイロイロ変わりますからね。丁度、その節にはマジョルカがサン・モシュにマドリーを迎えるとあって、日本代表に行く久保選手も恙なく戻って来られるといいのですが。
ちなみに代表話題では各国に総勢12人招集され、月曜夕方にはすでにベルギー代表で胃腸炎の治ったクルトワが練習している映像などが流れていましたが、夕方練習を省略して、協会施設でディナータイムに集まる予定のスペイン代表の新情報は今のところまだ皆無。まあ、今回のユーロ予選は土曜にノルウェイ戦、来週火曜にスウェーデン戦とまだ先ですし、どちらもアウェイですからね。ラス・ロサスでの公開練習が1度もないため、私も自分の目でチームを見る機会がないのは残念ですが、またおいおい、ここで2連勝すれば本大会出場が確定するかもしれないというスペインがどんな様子かお伝えしていきたいと思います。
ええ、9月初旬の今季最初のparon(パロン/リーガの停止期間)前、破竹の開幕3連勝を遂げ、お隣さんに勝ち点4差、バルサにも5差つけて、堂々首位に君臨していたアトレティコだというのに8節が終わってみれば、マドリーが3差で1位に。メッシ、ルイス・スアレスがケガから復帰したバルサにも1差をつけられ、3位って、これって近年、ありがちな定位置では?しかも今季自慢のtridente(トリデンテ/三叉の鉾、3トップのこと)が負傷や出場停止の逆境を乗り越えて、ようやくそろい踏みした矢先、バジャヤドリー戦であそこまでのダメダメぷりを突きつけられては、まったくどうしていいものやら。
いえ、私が勝手に落ち込んでいるだけなんですけどね。実は先週末のリーガではもっと大変な状況に陥ったチームがあって、それは弟分のレガネス。さすが開幕7試合で白星なしの最下位というのはマズいと思い、次にマドリー戦が控えていたにも関わらず、私もブタルケに応援に行ったんですが、レバンテとの試合ではそんな切迫感がスタンドのファンからもありありと伝わってくることに。いつもより、妙にチャントや応援歌のリズムが速かったのも選手たちに影響したか、前半はどうにも繋がりのある攻撃ができず。それどころか、ロスタイムにはシオバスがロジェルを倒したのはエリア前だったのいうのにPKを取られてしまったから、さあ大変!
それでも後半31分には途中出場したブライトワイテが見事なvaselina(バセリーナ/ループシュート)で1点を返し、その3分後にはPKで同点にするチャンスもあったレガネスなんですけどね。ブライトワイテがGKアイトール・フェルナンデスに弾かれてしまい、カリージョのシュートも真正面に飛んでしまってはねえ。私がサンティアゴ・ベルナベウへ向かうため、すでにスタジアムを出ていたロスタイムにはCKから、全員攻撃で上がっていたソリアーノのボレーシュートも弾かれ、試合は1-2で終了です。
うーん、選手たちがまるで降格決定したかのように落ち込んでいた試合終了後の姿を見かねたか、パボン会長など、「ウチは他のチームと同じ条件で競争させてもらえてない気がする。Por ello vamos a solicitar poder repetir el partido desde el minuto del penalti/ポル・エジョ・バオス・ア・ソリシタール・ポデール・レペティル・エル・パルティードー・デスデ・エル・ミヌート・デル・ペナルティ(だから、ペナルティの取られた時間から、再試合にすることを申し込むつもりだ)」と言っていましたけどね。サッカー協会のVAR責任者は「通信状態は正常だった」と声明を出していますし、おそらく前例のないことなどでそれはムリ。今のところ、ペレグリーニ監督の地位も揺らいではいないものの、選手たちも自信を失っているため、このままだとかなりマズいことになるかもしれませんよ。
そしてその日はセルカニアス(国鉄近郊路線)ではなく、バスでアルーチェ駅まで戻り、メトロを乗り継いで何とか、1時間弱でベルナベウに着いた私だったんですが、先日のCLクラブ・ブルージュ戦で痛い目に遭ったマドリーとあって、キックオフから速攻を仕掛けることにしたんでしょうかね。開始2分にはベイルのラストパスをベンゼマが撃ち込み、グラナダから1点をもぎ取ったんですが、なかなか追加点は入らず。ようやく相手のパスミスから、移籍後、まだゴールのなかったアザールがGKルイ・シウバの頭を超すシュートで2点目を奪ったのは前半ロスタイムになってのことでした。
後半も16分にはクロースの左太もものケガで前半途中から出場していたモドリッチがエリア外から、見事なgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)。これで勝利は確実になったと思いきや、いやいや、とんでもない。ええ、ここまでリーガのオサスナ戦、急性胃腸炎でクルトワが交代したブルージュ戦後半と完璧だったGKアレオラが24分、後ろから迫るカルロス・フェルナンデスに気づかず、ボールを蹴ろうとして相手の足を蹴ってしまったから、呆気に取られたの何のって。エリア内だったそのプレーは当然、ペナルティとなり、マチスがPKを決めて1点を返されてしまったんですが、まさか32分にもCKから、ドゥアルテがゴールを挙げ、3-2に迫られてしまうって…。
後でジダン監督など、「前から1位と2位がプレーすると言っていた。El segundo te tiene que meter en dificultades/エル・セグンド・テ・ティエネ・ケ・メテール・エン・ディフィクルタッド(2位なんだから、自分たちを困難な状況に追い込まないといけない)」と話していましたけどね。正直、3年ぶりに1部昇格してきたグラナダの選手たちはそれ相応のレベルというか、どうしてこれで2位なのか、そのプレーぶりからは私には理解できなかったんですが、相手が前のめりになっていた47分にカウンターからオドリオソラが敵エリア右奥まで侵入。交代枠3番手として入っていたハメス・ロドリゲスが4点目を挙げてくれるまで、マドリーファンはきっと落ち着けなかったかと。
実際、4-2で勝利した後、ピッチでインタビューを受けていた、マルセロ、メンディ、ナチョの負傷でその日、反対側の左SBで奮闘していたカルバハルなども「Tenemos que corregir esta faceta de cerrar los partidos en casa/テネモス・ケ・コレヒル・エスタ・ファセタ・デ・セラール・ロス・パルティードス・エン・カサ(ウチはホームゲームで勝負に決着をつけるという面を改善しないといけない)。このままだと、次は勝ち点を取りこぼしてしまうかもしれないからね」と反省していたんですが、なかなかねえ。1試合、最初から最後まで全力で挑むというのはどこのチームにとっても難しいようで…。
その冴えたるものだったのが翌日曜、バジャドリーに挑んだアトレティコでとにかく、前半はゆったりパスを交換しているだけでまったく何をする訳でもなし。36分など、数分前にトマスの足がエリア内でサンドロに当たったところをVARで見咎められ、改めてPKを宣告されていたりしていましたが、幸いこの時は足場が滑ったサンドロが天高く撃ち上げてくれたため、実害は被らず。0-0でハーフタイムを迎え、ようやく後半は本気を出したかと思いきや、惜しかったチャンスなど、36分にコレアが撃ったシュートがゴールポストに弾かれたぐらいって、一体、何しにホセ・ソリージャまで行った?
いえ、何度もバジャドリーの選手にタックルを受けてイエローカードを審判に出させていたモラタも「No es fácil jugar después de haber disputado un partido tan lejos, estamos cansados/ノー・エス・ファシル・フガール・デスプエス・デ・アベール・ディスプタードー・ウン・パルティードー・タン・レホス、エルタモス・カンサードス(あれだけ遠くで試合をした後、プレーするのは簡単じゃない。ボクらは疲れていた)」と言っていたように、火曜にはCLロコモティブ・モスクワ戦でロシア遠征のあった彼らなんですけどね。その一方でモラタより5才若い21のロディなどからは、「Tuvimos dos días de descanso y estamos bien/トゥビモス・ドス・ディアス・デ・デスカンソ・イ・エスタモス・ビエン(2日間休みがあったし、ボクたちは元気だよ)」という証言もあったため、要は選手個々の状態を考えず、ローテーションをアリアス→トリッピアー、フェリペ→サビッチのDF2人だけに留めたシメオネ監督の計算違いだったかも。
ただ元々、少数精鋭のアトレティコですから、総入れ替えをする程、余裕もないのも現実なんですが、でもねえ。真の問題はやっぱり、「Tenemos que ir a por los partidos desde el primer minuto/テネモス・ケ・イル・ポル・ロス・パルティードス・デスデ・エル・プリメール・ミヌート(1分から試合に勝ちにいかないといけない)。今日はそれができなくて、もう何度も同じことが起きているから、反省しないと」とサウールも言っていた、メンバーがいくら変わろうが、今の時代まで、連綿と受け継がれている「salir al campo durmiendo/サリール・アル・カンポ・ドゥルミテンドー(眠ったままピッチに出る)」というアトレティコの悪癖。
幸い昨今では致命傷にならず、この日もスコアレスドローで勝ち点1は獲得できましたけどね。モラタはゴールが入らず、ジエゴ・コスタなど、シュートすらろくろく撃っていないことを考えると、もちろんその日も途中交代させられてしまった19才のジョアン・フェリックスにチームを背負わせる訳にもいきませんし、ここは全ての選手がゴール嗅覚を研ぎ澄ませ、リーガ8試合でたった7得点という、リーガの上位チームとして、赤っ恥の生産性のなさを補っていかないと。この各国代表戦週間には10人もの選手が招集されているアトレティコですが、両エースはマハダオンダ(マドリッド近郊)でお留守番というのも都合がいいですし、2週間後のバレンシア戦では風向きが変わっていてくれるといいのですが。
え、先週末はこんな情けない兄貴分と違って、木曜にELクラスノダール戦で同じくというか、もっと遠距離のロシア遠征をしながら、しかもアトレティコがあっさり2-0と負けてしまったレアル・アレナで脱帽のremonatada(レモンタダーダ/逆転劇)を披露した弟分もいたじゃないかって?その通りで、とにかく私はアトレティコの試合に呆れ果てていたため、そそくさと近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)を出てしまったんですが、柴崎岳選手が先発していたデポルティーボとアルメリアの試合を見ようと、部屋でGOL(スペイン専門オープンチャンネル)をつけたのと同じ時間にヘタフェもキックオフ。
それがまた、開始7分にはレアル・ソシエダのミケル・メリノに先制ゴールを決められてしまったため、やはり彼らに二足の草鞋はまだ早かったかと心配していたんですが、とんでもない。後半、ディエゴ・ジョレンテが2枚目のイエローカードをもらって退場したのをキッカケに22分、ダミアンのクロスをマタが頭で決めて同点に。それどころか、残り2分にはククレジャのパスがゴールラインを越えるのをマタが救うと、アンヘルがゴール前から後ろに戻し、マクシモビッチが決勝ゴールを入れてくれるとはローテーションの威力や恐るべし。
だってえ、マドリッドで留守番となったホルヘ・モリーナとマタばかりでなく、この日の先発はファジル以外、ロシアでは控えだった選手なんですよ。だからこそ、最後の最後で力を振り絞れたという面もあったかと思いますが、今回はボルダラス監督の作戦勝ちだった?いえ、グループリーグ中はどこのチームも控え選手で賄いがちなELとベストメンバーが激突するCLという違いはありますけどね。同じELでCSKAモスクワとアウェイで対戦したエスパニョールなど、木曜は勝ったものの、日曜には久保建英選手が途中出場したマジョルカに2-0で負け、やはり0-0で引き分けて降格圏を脱出できなかったデポルティーボのアンケラ監督同様、ガジェゴ監督が解任になってしまったなんてこともあったため、やっぱりヘタフェが上手くやったことは認めてあげないと。
そんなヘタフェは16位から12位にジャンプアップしたため、今週はボルダラス監督も疲れただろう選手たちを思いやって、水曜まで3連休。代表戦明けにはレガネスと弟分ダービーからスタートというのはお隣さんにとって、本当に気の毒なんですが、まあ2週間もあればイロイロ変わりますからね。丁度、その節にはマジョルカがサン・モシュにマドリーを迎えるとあって、日本代表に行く久保選手も恙なく戻って来られるといいのですが。
ちなみに代表話題では各国に総勢12人招集され、月曜夕方にはすでにベルギー代表で胃腸炎の治ったクルトワが練習している映像などが流れていましたが、夕方練習を省略して、協会施設でディナータイムに集まる予定のスペイン代表の新情報は今のところまだ皆無。まあ、今回のユーロ予選は土曜にノルウェイ戦、来週火曜にスウェーデン戦とまだ先ですし、どちらもアウェイですからね。ラス・ロサスでの公開練習が1度もないため、私も自分の目でチームを見る機会がないのは残念ですが、またおいおい、ここで2連勝すれば本大会出場が確定するかもしれないというスペインがどんな様子かお伝えしていきたいと思います。
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