ゴールはどこに行ったのだろう…/原ゆみこのマドリッド
2019.10.01 17:00 Tue
「ホントにこれじゃ休む暇もないわ」そんな風に私が溜息をついていたのは月曜日、午前中にリハビリトレを終えた後、前夜にはアトレティコがすでにモスクワに乗り込んでいたことを知った時のことでした。いえ、同じロシアでもマドリッドから直行便もなく、何時間かかるのか、見当もつかないクラスノダールに行く弟分のヘタフェに比べれば、首都には5時間程で着くんですけどね。ここ近年はアスタナ(カザフスタン)やら、カラバフ(アゼルバイジャン)、ロストフ(ロシア)といったヨーロッパの辺境への遠征を幾つも経験している彼らとなれば、別に心配することもないんですが、全力で痛み分けした土曜のマドリーダービーの後、まったく移動せずに同じ火曜のCL2節を迎えられるお隣さんの方が日程的にはツイている?
まあ、その辺はおいおい触れていくことにして、まずは先週末のリーガの話からしていくことにすると。ここ2節連続でマドリッド勢が同じ日に試合を設定されてしまった土曜日、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでのバルサ戦から観戦スタートした私でしたが、満員の観客に後押しされ、せっかくヘタフェが優勢に進めていた前半、水を差してくれたのはGKテア・シュテーゲン。そう、ここ3試合連続ゴールを買われ、ホルヘ・モリーナに代わって、マタとの先発CFコンビに入ったアンヘルの至近距離シュートを弾いただけではなく、41分にはエリア外に出て大きくボールをクリア。これをブルーノに先んじたルイス・スアレスがvaselina(バセリーナ/ループシュート)して、GKダビド・ソリアの頭を越えるゴールが入ったとなれば、場内も呆気に取られるばかりだったかと。
だってえ、その日のバルサはメッシと16才の新鋭、アンス・ファティが負傷でお留守番。マドリッドまでは来たものの、どこかが痛むデンベレも用心のため、パルコ(貴賓席)観戦していたとあって、それまでほとんどチャンスを作れていなかったんですよ。先日はアリソン(リバプール)に続き、FIFAベスト最優秀GKの2位となったテア・シュテーゲンが「Dar una asistencia me faltaba/ダール・ウナ・アシステンシア・メ・ファルタバ(自分に欠けていたのはアシストだった)」と満足そうに言っているのを聞くにつけ、アトレティコのオブラクもアシスト数を増やせば、国際メジャー個人タイトルにノミネートされる機会がもっと増えるんだろうかなんてことも考えてしまったんですが、この失点にカンカンだったのはボルダラス監督。
「a jugada del gol que es una jugada de chiste y de infantil/ア・フダガ・デル・ゴル・ケ・エス・ウナ・フガダ・デ・チステ・イ・デ・インファンティル(あのゴールはジョークのよう、幼児のプレーだ)」と批判していましたが、近い将来、ウルグアイ代表に招集された時のことを考えてでしょうかね。アランバリなど、「Al presionar tan arriba quizá se creó mucho espacio/アル・プレシオナール・タン・アリバ・キサ・セ・クレオ・ムーチョ・エスパシオ(あまりに高い位置でプレスをかけたせいでスペースが空きすぎたのかもしれない)。スアレスは強靭で素早いし、あれがミスというなら、ミスは誰でも犯すものだから」と代表の先輩に花を持たせながら反論していたなんてことも。
実際、この日に限って、ずっと先発だったCBカブレラを温存したり、その理由がELにはエチェイタを登録してないからだったりと、この辺りは少々、ヨーロッパの試合経験がないボルダラス監督が不思議な采配をしているような印象もなきにしろあらずだったんですけどね。結局、後半早々、4分にもカルレス・ペレスのシュートをGKダビド・ソリアが丁度、ジュニオール・フィルポの前に弾いてしまい、2点目を与えてしまったヘタフェはレングレが2枚目のイエローカードをもらって退場したなんてこともあったものの、そのまま0-2で敗戦。まあ、相手はバルサですし、16位と降格圏外はキープしているため、今は木曜午後9時からのクラスノダール戦でグループリーグ2勝目を挙げることと、週末日曜のレアル・ソシエダ戦をいい形で終えて、代表戦週間に入ることを目標にするといいんじゃないでしょうか。
ただ残念だったのは移動の途中、もう1つの弟分のレガネスがアウェイでグラナタと戦っていたんですが、前半28分にソルダードのアシストでプエルタスに決められた1点が最後まで返せず。1-0で敗北しちゃったことで、さすがにもう7節ですしね。今季初勝利もまだでたったの勝ち点2の最下位、すぐ上の日曜に久保建英選手がフル出場しながら、アラベスに2-0で負けたマジョルカとは2差だけとはいうものの、残留ゾーンの17位まで4差になってしまったとなると、土曜のレバンテ戦はもう背水の陣?折り悪く、ヌエボ・ロス・カルメネス(グラナダのホーム)ではキャプテンの1人、ルーベン・ペレスも右ヒザをケガしてしまったんですが、何とか、ブタルケの熱い応援でこの危機を乗り越えてほしいものです。
一方、ワンダのオープン以来、最多の6万8000人という観客数を記録、「Espiritu indomable/エスピリトゥ・インドマブレ(飼いならされない精神)」と書かれた横断幕とモザイクで彩られ、最高の雰囲気で始まったマドリーダービーはどうだったかというと。それが、後でシメオネ監督も「Desde el comienzo se vio desde las formaciones/デスデ・エル・コミエンソ・セ・ビオ・デスデ・ラス・フォルマシオネス(最初から、フォーメーションを見ればわかった)。どちらもカウンターに出るため、自陣に隠れ潜む形だ」と言っていたんですが、いえ、アトレティコがカンテラーノ(下部組織出身の選手)のボランチトリオ、コケ、サウール、トマスのtrivote(トリボテ/3人ボランチのこと)で始めたのは別に驚くことではないんですけどね。まさかあの、攻撃力自慢のお隣さんまでカセミロ、クロースに加え、バルベルデで中盤を厚くしてきたのには結構、戸惑った向きも多かったのでは?
要はそれがCL1節でPSGに3-0と大敗した教訓だったんでしょうか。「No es solo intensidad, sabemos que eso es importante, pero sobre todo nuestra solidez/ノー・エス・ソロ・インテンシダッド、サベモス・ケ・エソ・エス・インポルタンテ、ペロ・ソブレ・トードー・ヌエストラ・ソリデス(プレーの激しさだけじゃない。それが大事なことはわかっているが、とにかくチームが堅固であることだ)」とジダン監督が言っていたマドリーは、序盤にジョアン・フェリックスが抜け出して撃ったシュートが枠を外れてしまったこともあり、セビージャ戦、オサスナ戦に続いて、この日も無失点をキープ。
とはいえ、昨季に続き、再びスタジアム前の記念プレートにゴミを積まれていたGKクルトワに働く機会はほとんどなかったんですが、おかげで副審のジャッジを不服としたセルヒオ・ラモスが、「la puta que te parió!/ラ・プータ・ケ・テ・パリオ(お前を生んだ売女)」と罵り、丁度、自分の側で耳にそれが入ったシメオネ監督が猛抗議していたのが前半、一番の注目の的に。うーん、このフレーズは他の罵り言葉と一緒にピッチではよく聞くんですけどね。たまたま、昨季のバルサ戦で同じような文句を主審に言ったジエゴ・コスタがレッドカードで退場。その上、8試合もの出場停止処分を喰らっていたため、あんな過剰な反応になったんじゃないかと。
まあ、この時、ラモスがレッドカードをもらわなかったのは主審でなく、副審に言ったからだとか、副審が主審に報告しなかったからだとか、理由付けはイロイロあるんですけどね。当人は「nos llevamos nosotros más tarjeta cuando ellos quizás han hecho más faltas/ノス・ジェバモス・ノソトロス・マス・タルヘタ・クアンドー・エジョス・キサス・アン・エッチョー・マス・ファルタス(相手の方が多くファールしていただろうに、ウチの方がイエローカードを多くもらっている)」と試合後のインタビューではさり気に本題をそらしていましたし、シメオネ監督も「Lo que pasa en el campo se queda en el campo/ロ・ケ・パサ・エン・エル・カンポ、ケダ・エン・エル・カンポ(ピッチで起こったことはピッチに留まる)」と記者会見では蒸し返さず。よって、この件に関しては、アトレティコファンも審判はマドリーに甘いという認識を再確認した程度だったんですが…。
後半、左太ももを負傷したビトロをコレアに、ロディをレマルに代え、一時はサウール左SBの総攻撃態勢に入ったものの、アトレティコは20分を残してジョアンをマルコス・ジョレンテに代える勝ち点1死守の体制に移行しちゃったんですよ。それも29分にナチョのクロスからベンゼマが放った強烈ヘッドをGKオブラクが、「Es una parada básica para un portero/エル・ウナ・パラダ・バシカ・パラ・ウン・ポルテーロ(あれはGKにとって基本的なセーブ)。自分はいい位置にいたし、ボールも見えたよ」と涼しい顔でparadon(パラドン/スーパーセーブ)してくれなければ、どうなっていたかわかりませんけどね。
モドリッチ、ハメス・ロドリゲス、ヨビッチの投入でどんどん攻撃力をリフレッシュしていったマドリーも得点は挙げられなかったため、試合はスコアレスドローで終了。いやあ、アザールもパッとせず、ジョアンとの7番対決も不完全燃焼、ビニシウスとジョアンの19才対決もブラジル人FWが出なかったため、実現せずと、どちらのチームにファンにとってもはなはだ不満の残るダービーだったんですが、まだまだリーガは先が長いですからね。順位もバルサが4位と上がってきたことを除けば、マドリーが首位、勝ち点差1でアトレティコが3位というのは同じで…え、土曜にサンティアゴ・ベルナベウに昇格組ながら、大躍進をしているグラナダを迎える次節が頂上決戦になるというのは、誰にとっても想定外だったんじゃないかって?
まあ、それはそうなんですが、一応、ここでCL戦の情報もお伝えしておくと、アトレティコはビトロ以外の全員、21名を連れてモスクワ入り。ダービーではマジョルカ戦での退場で出場停止だったモラタも今度は出られるため、いよいよ待望のコスタ、モラタ、ジョアンのtridente(トリデンテ/三叉の鉾、3人FWのこと)がお目見えする可能性もあるんですが、1節でレバークーゼンに勝って現在、グループ首位にいるとはいえ、彼らも2年前のEL16強対決で2試合合計8-1と大勝しているように、ロコモティブ・モスクワは4チーム中、一番ランクが低いチームですからね。初戦にユベントスと引分け、ここは白星ゲットが望ましいアトレティコですが、日曜には近場と言えと、アウェイのバジャドリー戦もありますし、火曜午後9時(日本時間翌午前4時)からの試合は省エネで勝ってこられるといいですよね。
一方、この1週間、マドリッドから動く必要のないお隣さんはこの2節、まだグループリーグで勝ち点がないため、絶対勝利が義務づけられているんですが、ジダン監督はローテーションを堂々敢行。月曜夜にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場で合宿するメンバーにはベイルとハメス・ロドリゲスが入らず、代わりにケガが治ったイスコとマルセロが戻ったんですが、やはりこれは相手が昨季はアトレティコと同じ組となり、ワンダでは3-1で敗戦と、まったく印象を残せなかったクルブ・ブルージュだというのが大きいかと。ただ、そのおかげでまだチケットも完売してないそうですし、時間も火曜の午後6時55分(日本時間翌午前1時55分)からと早いため、たまたまマドリッド観光中の方など、ベルナベウを訪ねてみるのも一興かもしれませんよ。
まあ、その辺はおいおい触れていくことにして、まずは先週末のリーガの話からしていくことにすると。ここ2節連続でマドリッド勢が同じ日に試合を設定されてしまった土曜日、コリセウム・アルフォンソ・ペレスでのバルサ戦から観戦スタートした私でしたが、満員の観客に後押しされ、せっかくヘタフェが優勢に進めていた前半、水を差してくれたのはGKテア・シュテーゲン。そう、ここ3試合連続ゴールを買われ、ホルヘ・モリーナに代わって、マタとの先発CFコンビに入ったアンヘルの至近距離シュートを弾いただけではなく、41分にはエリア外に出て大きくボールをクリア。これをブルーノに先んじたルイス・スアレスがvaselina(バセリーナ/ループシュート)して、GKダビド・ソリアの頭を越えるゴールが入ったとなれば、場内も呆気に取られるばかりだったかと。
だってえ、その日のバルサはメッシと16才の新鋭、アンス・ファティが負傷でお留守番。マドリッドまでは来たものの、どこかが痛むデンベレも用心のため、パルコ(貴賓席)観戦していたとあって、それまでほとんどチャンスを作れていなかったんですよ。先日はアリソン(リバプール)に続き、FIFAベスト最優秀GKの2位となったテア・シュテーゲンが「Dar una asistencia me faltaba/ダール・ウナ・アシステンシア・メ・ファルタバ(自分に欠けていたのはアシストだった)」と満足そうに言っているのを聞くにつけ、アトレティコのオブラクもアシスト数を増やせば、国際メジャー個人タイトルにノミネートされる機会がもっと増えるんだろうかなんてことも考えてしまったんですが、この失点にカンカンだったのはボルダラス監督。
実際、この日に限って、ずっと先発だったCBカブレラを温存したり、その理由がELにはエチェイタを登録してないからだったりと、この辺りは少々、ヨーロッパの試合経験がないボルダラス監督が不思議な采配をしているような印象もなきにしろあらずだったんですけどね。結局、後半早々、4分にもカルレス・ペレスのシュートをGKダビド・ソリアが丁度、ジュニオール・フィルポの前に弾いてしまい、2点目を与えてしまったヘタフェはレングレが2枚目のイエローカードをもらって退場したなんてこともあったものの、そのまま0-2で敗戦。まあ、相手はバルサですし、16位と降格圏外はキープしているため、今は木曜午後9時からのクラスノダール戦でグループリーグ2勝目を挙げることと、週末日曜のレアル・ソシエダ戦をいい形で終えて、代表戦週間に入ることを目標にするといいんじゃないでしょうか。
そしてコリセウムのミックスゾーンではピケが、バルサでは自分たち選手がチームの運営に強大な影響力を握っているという記事をクラブ上層部がムンド・デポルティーボ(カタルーニャのスポーツ紙)に書かせたと示唆。ヘタフェとも試合ともまったく関係ない、お家争い話題で注目の的になっているのを尻目にワンダ・メトロポリターノに向かった私でしたが、キックオフ午後4時と9時の梯子は超楽勝なんです。ええ、セルカニアス(国鉄近郊路線)を使ってヌエボス・ミニステリオスまで行き、あとはメトロを乗り継いで大体1時間20分程なので、今回はバルサ戦とダービーというチケット購入の難しさはあったものの、同じような時間割の節があれば、マドリッド滞在中にリーガの試合を沢山見たいファンの方にお勧めかと。
ただ残念だったのは移動の途中、もう1つの弟分のレガネスがアウェイでグラナタと戦っていたんですが、前半28分にソルダードのアシストでプエルタスに決められた1点が最後まで返せず。1-0で敗北しちゃったことで、さすがにもう7節ですしね。今季初勝利もまだでたったの勝ち点2の最下位、すぐ上の日曜に久保建英選手がフル出場しながら、アラベスに2-0で負けたマジョルカとは2差だけとはいうものの、残留ゾーンの17位まで4差になってしまったとなると、土曜のレバンテ戦はもう背水の陣?折り悪く、ヌエボ・ロス・カルメネス(グラナダのホーム)ではキャプテンの1人、ルーベン・ペレスも右ヒザをケガしてしまったんですが、何とか、ブタルケの熱い応援でこの危機を乗り越えてほしいものです。
一方、ワンダのオープン以来、最多の6万8000人という観客数を記録、「Espiritu indomable/エスピリトゥ・インドマブレ(飼いならされない精神)」と書かれた横断幕とモザイクで彩られ、最高の雰囲気で始まったマドリーダービーはどうだったかというと。それが、後でシメオネ監督も「Desde el comienzo se vio desde las formaciones/デスデ・エル・コミエンソ・セ・ビオ・デスデ・ラス・フォルマシオネス(最初から、フォーメーションを見ればわかった)。どちらもカウンターに出るため、自陣に隠れ潜む形だ」と言っていたんですが、いえ、アトレティコがカンテラーノ(下部組織出身の選手)のボランチトリオ、コケ、サウール、トマスのtrivote(トリボテ/3人ボランチのこと)で始めたのは別に驚くことではないんですけどね。まさかあの、攻撃力自慢のお隣さんまでカセミロ、クロースに加え、バルベルデで中盤を厚くしてきたのには結構、戸惑った向きも多かったのでは?
要はそれがCL1節でPSGに3-0と大敗した教訓だったんでしょうか。「No es solo intensidad, sabemos que eso es importante, pero sobre todo nuestra solidez/ノー・エス・ソロ・インテンシダッド、サベモス・ケ・エソ・エス・インポルタンテ、ペロ・ソブレ・トードー・ヌエストラ・ソリデス(プレーの激しさだけじゃない。それが大事なことはわかっているが、とにかくチームが堅固であることだ)」とジダン監督が言っていたマドリーは、序盤にジョアン・フェリックスが抜け出して撃ったシュートが枠を外れてしまったこともあり、セビージャ戦、オサスナ戦に続いて、この日も無失点をキープ。
とはいえ、昨季に続き、再びスタジアム前の記念プレートにゴミを積まれていたGKクルトワに働く機会はほとんどなかったんですが、おかげで副審のジャッジを不服としたセルヒオ・ラモスが、「la puta que te parió!/ラ・プータ・ケ・テ・パリオ(お前を生んだ売女)」と罵り、丁度、自分の側で耳にそれが入ったシメオネ監督が猛抗議していたのが前半、一番の注目の的に。うーん、このフレーズは他の罵り言葉と一緒にピッチではよく聞くんですけどね。たまたま、昨季のバルサ戦で同じような文句を主審に言ったジエゴ・コスタがレッドカードで退場。その上、8試合もの出場停止処分を喰らっていたため、あんな過剰な反応になったんじゃないかと。
まあ、この時、ラモスがレッドカードをもらわなかったのは主審でなく、副審に言ったからだとか、副審が主審に報告しなかったからだとか、理由付けはイロイロあるんですけどね。当人は「nos llevamos nosotros más tarjeta cuando ellos quizás han hecho más faltas/ノス・ジェバモス・ノソトロス・マス・タルヘタ・クアンドー・エジョス・キサス・アン・エッチョー・マス・ファルタス(相手の方が多くファールしていただろうに、ウチの方がイエローカードを多くもらっている)」と試合後のインタビューではさり気に本題をそらしていましたし、シメオネ監督も「Lo que pasa en el campo se queda en el campo/ロ・ケ・パサ・エン・エル・カンポ、ケダ・エン・エル・カンポ(ピッチで起こったことはピッチに留まる)」と記者会見では蒸し返さず。よって、この件に関しては、アトレティコファンも審判はマドリーに甘いという認識を再確認した程度だったんですが…。
後半、左太ももを負傷したビトロをコレアに、ロディをレマルに代え、一時はサウール左SBの総攻撃態勢に入ったものの、アトレティコは20分を残してジョアンをマルコス・ジョレンテに代える勝ち点1死守の体制に移行しちゃったんですよ。それも29分にナチョのクロスからベンゼマが放った強烈ヘッドをGKオブラクが、「Es una parada básica para un portero/エル・ウナ・パラダ・バシカ・パラ・ウン・ポルテーロ(あれはGKにとって基本的なセーブ)。自分はいい位置にいたし、ボールも見えたよ」と涼しい顔でparadon(パラドン/スーパーセーブ)してくれなければ、どうなっていたかわかりませんけどね。
モドリッチ、ハメス・ロドリゲス、ヨビッチの投入でどんどん攻撃力をリフレッシュしていったマドリーも得点は挙げられなかったため、試合はスコアレスドローで終了。いやあ、アザールもパッとせず、ジョアンとの7番対決も不完全燃焼、ビニシウスとジョアンの19才対決もブラジル人FWが出なかったため、実現せずと、どちらのチームにファンにとってもはなはだ不満の残るダービーだったんですが、まだまだリーガは先が長いですからね。順位もバルサが4位と上がってきたことを除けば、マドリーが首位、勝ち点差1でアトレティコが3位というのは同じで…え、土曜にサンティアゴ・ベルナベウに昇格組ながら、大躍進をしているグラナダを迎える次節が頂上決戦になるというのは、誰にとっても想定外だったんじゃないかって?
まあ、それはそうなんですが、一応、ここでCL戦の情報もお伝えしておくと、アトレティコはビトロ以外の全員、21名を連れてモスクワ入り。ダービーではマジョルカ戦での退場で出場停止だったモラタも今度は出られるため、いよいよ待望のコスタ、モラタ、ジョアンのtridente(トリデンテ/三叉の鉾、3人FWのこと)がお目見えする可能性もあるんですが、1節でレバークーゼンに勝って現在、グループ首位にいるとはいえ、彼らも2年前のEL16強対決で2試合合計8-1と大勝しているように、ロコモティブ・モスクワは4チーム中、一番ランクが低いチームですからね。初戦にユベントスと引分け、ここは白星ゲットが望ましいアトレティコですが、日曜には近場と言えと、アウェイのバジャドリー戦もありますし、火曜午後9時(日本時間翌午前4時)からの試合は省エネで勝ってこられるといいですよね。
一方、この1週間、マドリッドから動く必要のないお隣さんはこの2節、まだグループリーグで勝ち点がないため、絶対勝利が義務づけられているんですが、ジダン監督はローテーションを堂々敢行。月曜夜にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場で合宿するメンバーにはベイルとハメス・ロドリゲスが入らず、代わりにケガが治ったイスコとマルセロが戻ったんですが、やはりこれは相手が昨季はアトレティコと同じ組となり、ワンダでは3-1で敗戦と、まったく印象を残せなかったクルブ・ブルージュだというのが大きいかと。ただ、そのおかげでまだチケットも完売してないそうですし、時間も火曜の午後6時55分(日本時間翌午前1時55分)からと早いため、たまたまマドリッド観光中の方など、ベルナベウを訪ねてみるのも一興かもしれませんよ。
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