試合日がバラけてくれない…/原ゆみこのマドリッド
2019.09.28 21:00 Sat
「頂上決戦だと思っていたのに」そんな風に私がちょっと肩透かしを喰らっていたのは金曜日、いよいよ明日の夜に迫ったマドリーダービーを前にリーガの順位表を見直していた時のことでした。というのもミッドウィークのリーガ6節は開催日が火水木に渡ってありながら、どういう訳か、マドリッド勢4チーム全てが水曜に集中という理不尽な時間割に。おかげでその夜は首位がレアル・マドリー、続いてアトレティコという順になっていたんですが、いつの間にやら、木曜にアラベスに勝ったレアル・ソシエダが2位に割り込んできていたから。
まあ、両者の勝ち点差は1しかないため、それは大した問題じゃないんですが、とりあえず、その水曜の試合がどうだったかをお伝えしていくことにすると。まだ西日の残る午後7時、アスレティック戦を迎えるブタルケが大入りになっているというオンダ・マドリード(ローカルラジオ局)の実況レポートを悔しい思いで聞きながら、私はほとんど人気のない近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でマジョルカとアトレティコの試合を観戦。同時にキックオフとなった弟分のレガネスがファンの力強い応援を背に0-0の均衡を保っていた前半、兄貴分が先制点を挙げてくれます。
ええ、28分、最初に放ったコケのCKは敵にクリアされてしまったものの、クリアされて戻って来たボールを当人が再びクロス。それに合わせたジエゴ・コスタのヘッドが決まったんですが、いやあ、彼の場合、今季初得点というだけでなく、今年3月以来の公式戦ゴールですからね。シメオネ監督も「Es de los jugadores más importantes que tenemos en ataque/エス・デ・ロス・フガドーレス・マス・インポルタンテス・ケ・テネモス・エン・アタケ(ウチの攻撃陣では最も大事な選手)」と言っていたように、お隣さんとの一戦前にゴール日照りを脱してくれたのはとてもありがたかったかと。
続いてその3分後にもマジョルカのエリア内でジョアン・フェリックスがchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)。ボールは敵DFの腕に当たって逸れたものの、審判が笛を吹いて、ペナルティーマークを指したため、PKゲットと喜んだですが、VAR(ビデオ審判)の映像はその前、ボールをホールドした際にジョアンの腕に当たっていたことにフォーカス。おかげでアトレティコ側のファールで終わってしまったんですが、ここリーガ2試合連続無得点とあって、その日は気合を入れて攻めていたせいか、相手に反撃のキッカケをまったく与えていませんでしたからね。0-1でハーフタイムに入った時には後半10分ぐらい見たら、そろそろサンティアゴ・ベルナベウに向かうかと私が気楽に構えていたところ…。
後半開始わずか1分には、とんでもないシーンを目撃することになったんですよ。そう、負傷者やローテーションの兼ね合いで初先発となった久保建英選手のゴール右前からのシュートの映像が遠景で、その瞬間は入ったかのように見えたから、ビックリしたの何のって。うーん、リプレーを見て、ようやくゴールポストに当たったボールをGKオブラクとサビッチでクリアしているのがわかったんですけどね。点差は僅か1点、こんなドッキリがまたあったらと、それこそ後ろ髪引かれる思いでメトロに乗った私でしたが、いやあ、案ずるより産むがやすしはまさにこのこと。サンティアゴ・ベルナベウ駅を出て経過をチェックしてみれば、20分にはセットプレーから落ちてきたボールをジョアンがシュート、ブドミルに当たって軌道が変わったボールがGKレイナを破り、0-2になっていたとなれば、もう心配することはない?
後ろから激しいタックルをかけたチスコと頭を突き合わせてイエローカードをもらった後、今度はサルバ・セビージャに何か言われたらしく、それに「subnormal!/スブノルマル(低能)」と言い返したところ、審判に2枚目を出され、たった9分間ピッチにいただけで退場って、その頃にはすでにベルナベウのスタンドにいた私にはもう理解不能。いやあ、あとでそのシーンの映像を見ると、確かにセビージャは自分でもツイッターで説明していた通り、「Eres un niño de papa/エレス・ウン・ニーニョ・デ・パパ(お前は1児の父親だろう)」と言っているんですけどね。
試合後、ミックスゾーンでもファンから批判され、チームバスからわざわざ降りて来て反論していた双子の父、モラタは「Desde que pise el césped solo tú y yo sabemos lo que me dijiste.../デスデ・ケ・ピセ・エル・セスペッド・ソロ・トゥ・イ・ジョ・サベモス・ロ・ケ・メディヒステ(ピッチに入ってからボクに言ったことはあんたと自分しか知らない…)」とツイート返ししていたため、おそらく他にも何か言葉があったのかもしれませんが、いやもう、結果は同じ。その日こそ、0-2でアトレティコが勝ったから良かったものの、退場で次の試合、よりによって天下のマドリーダービーで出場停止になるのがとりわけ少数精鋭、決してゴールが潤沢ではないチームにどんなに迷惑をかけることか、もう26才にもなるならわかってなきゃいけませんって。
え、この試合ではあとで見たマジョルカのビデオでビセンテ・モレノ監督が地元の記者から久保選手の出来栄えを訊かれ、「正直、記者会見の度にタケのことを訊かれるのに疲れている。チームメンバーが決まって1カ月、それぞれの選手にいい言葉がほしいのはわかるが、毎回、タケの個人的な評価をするのは止めよう」と答えていたのもちょっと驚きじゃなかったって?そうですね、実は先日のコリセウムのプレスルームでも彼についての質問があったんですが、あまりモレノ監督が多弁ではなかったため、私もスルーしてしまったという経緯があるんですが、これはまた正直なコメント。
もちろん開幕戦に勝利した後、1分け4敗と昇格したばかりのチームが自身を含め、1部の水にまだ慣れておらず、順位も19位と降格圏に落ちてしまったとなると、そうそういい顔もしていられなくなるのはわかりますが、そこはプロ。ジダン監督なんて、夏の間中、毎回、ベイルの先行きについて訊かれながら、律儀に答えていましたしね。この日の試合、攻撃面で目を引いたのは久保選手だけだったとなれば、別に日本のマスコミだけが興味を示している訳ではありませんし、何か意見を言ってくれてもいいのでは?
まあ、それでも彼らが最下位になっていないのは未だに今季未勝利のレガネスがいるおかげで、アスレティック戦ではやはり私がメトロに乗っている最中、ブスティンサがララサバルをエリア内で倒し、PKを献上。ラウール・ガルシアに1点を決められたものの、その3分後にはオスカルが直接FKを決めて同点に。そのまま1-1と引分けて、勝ち点は2になったものの、最下位脱出には至らなかったんですが、いやあ、丁度1年前のこの日、同じく最後尾を走っていた彼らはオスカルのゴールなどでバルサに2-1と勝利。そこから快進撃が始まったなんて前例もあるんですが、この土曜に挑むのは昇格組ながら、大躍進をしている5位のグラナダですからね。何とか、1部4年目の貫禄を見せられるといいのですが。
そして兄貴分たちの試合の後半と前半を股いでプレーしていたのがもう1つの弟分、ヘタフェでこちらはバレンシア戦の開始早々、セットプレーからマタがゴールを挙げて好スタート。と思ったのも束の間で、序盤に負傷したガメイロと交代で入ったマキシ・ゴメスが30分、33分と立て続けてに得点し、挙句の果てには39分にも18才のイ・カンインに決められて、ハーフタイムには3-1になっていたとなれば、どうしたものやら。それでも気合を入れて挑んだ後半には21分にジェイソンがtaconazo(タコナソ/ヒールキック)によるゴールで反撃の狼煙を上げ、その3分後にはアンヘルが自身3試合連続得点となる同点弾を放つという展開に。
その後、一時はアンヘルの2発目が決まったとラジオの実況アナが絶叫していたものの、こちらはオフサイドで認められず。ロスタイムにはロドリゴのシュートをククレジャがゴールライン上、腕にボールを当ててクリアしていたのを何故か、VARに見咎められず、そのまま3-3で終わったんですが…滅多にないヘタフェの撃ち合いが生で見られないなんて、本当にツイていない。ただ何とか、この日はドローに持ち込んだものの、あまりボルダラス監督は喜んでいられないかもしてなくて、というのも昨季は38試合で35失点と、アトレティコに次ぐ1試合0.9ゴールしか敵に与えなかったチームが今季は6試合ですでに9失点もしているから。
逆に得点数は10とゴールづいてはいるんですが、何せ、この土曜午後4時(日本時間午後11時)にはバルサをコリセウムに迎える彼らですからね。たとえ、前節ビジャレアル戦で再びケガをしたメッシ、絶賛売り出し中の16才、アンス・ファティもヒザを痛めて来ないとはいえ、ルイス・スアレスやグリーズマン、デンベレのいるチームとゴール数を競えるのかどうか。来週木曜にはEL2節のクラスノダール戦でロシア遠征も控えているため、エキストラ勤務となる選手たちも大変ですが、前日にはチケット売り切れとなったこの試合、まだ今季アウェイで白星がない相手の苦手意識を利用できたらいいですよね。
そして最後にベルナベウでのオサスナ戦なんですが、ジダン監督はミッドウィークのセビージャ戦からセルヒオ・ラモス、カセミロ、クロースを除く8人を大々的にローテーション。GKまでがPSGからレンタル移籍してきたアエロラに代わっていたのには私もビックリでしたが、相手のアラサーテ監督もエースのチミ・アビラを週末用に温存したのがラッキーでしたかね。そこそこいいボール回しをしながら、シュートを撃てないオサスナを前に35分にはビニシウスのゴールがエリア外から決まり、マドリーは先制することに。いやあ、ここまで16試合得点できず、「Nunca he estado tanto tiempo sin marcar/ヌンカ・エ・エスタードー・タント・ティエンポー・シン・マルカル(これだけ長い間、ゴールできなかったことはない)」という19才は思わず、ピッチで涙していましたけどね。
一方、後半、ビニシウスと交代でピッチに入った1つ年下のブラジル人後輩、ロドリゴは27分、マドリー公式戦デビューから2分も経たないうちに、カセミロのロングパスを「su control previo ha sido la hostia/ス・コントロル・プレビオ・ア・シードー・ラ・オスティア(直前のボールコントロールは凄かった)」(ジダン監督)という妙技で捉え、そのままエリア内に入ってGKルベンを破ったんですが、昨季ソラリ監督の下、マドリー1年目だったビニシウスも3得点は挙げていますからね。要は持続性があるかどうかが大事なんですが、この日のロドリゴの功績はハメス・ロドリゲスを数分出した程度で、ベンチ外となったベイルは言うに及ばず、おかげでベンゼマ,アザールもまったく使わずに2-0と快勝できたことだったかと。
そう、つまりモラタを出場停止で失った上、マジョルカ戦ではトリピアーとレマルを温存しただけのお隣さんに対し、マドリーはダービーにベストメンバーがほとんど全員、休養十分で挑めるということで、いえ、負傷者は彼らの方が多いんですけどね。メンディは間に合わず、金曜にはバルデベバス(バラハス空港の近く)での全体練習に参加したというモドリッチ、イスコ、マルセロもベンチに入るか微妙なところとあって、絶対的に優勢とまでは言えないんですが、こればっかりはねえ。
ちなみに私は夕方、アトレティコのマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でのセッションを最初の15分だけ、見学することができたんですが、この日は最近多かったスーパーフィジカルサーキットではなく、2組に分かれてパスを交換しながら、それぞれの位置を変えていくトレーニングを公開。ダービー前日とあって、普段の3倍ぐらいいたマスコミを前に選手たちはソツなくこなしていたんですが、試合でもこの正確なパス捌きを披露することができれば、ワンダ・メトロポリターノでのダービー初勝利を掴むことができるかも。
そんな今季前半のマドリーダービーは再びマドリッド4チームが集中する土曜日の午後9時(日本時間翌午前4時)からキックオフ。記者会見でジダン監督はロドリゴが今週末、RMカスティージャの試合に出ることを予告。更にこの夏、インターナショナル・チャンピオンズ・カップ(親善大会)で3-7と大敗していることについては、「No tiene nada que ver/ノー・ティエネ・ナーダ・ケ・ベル(全然、関係ない)」と言っていましたが、果たしてこの試合を制して、リーガ首位の座につくのはどちらになるんでしょうかね。
まあ、両者の勝ち点差は1しかないため、それは大した問題じゃないんですが、とりあえず、その水曜の試合がどうだったかをお伝えしていくことにすると。まだ西日の残る午後7時、アスレティック戦を迎えるブタルケが大入りになっているというオンダ・マドリード(ローカルラジオ局)の実況レポートを悔しい思いで聞きながら、私はほとんど人気のない近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でマジョルカとアトレティコの試合を観戦。同時にキックオフとなった弟分のレガネスがファンの力強い応援を背に0-0の均衡を保っていた前半、兄貴分が先制点を挙げてくれます。
ええ、28分、最初に放ったコケのCKは敵にクリアされてしまったものの、クリアされて戻って来たボールを当人が再びクロス。それに合わせたジエゴ・コスタのヘッドが決まったんですが、いやあ、彼の場合、今季初得点というだけでなく、今年3月以来の公式戦ゴールですからね。シメオネ監督も「Es de los jugadores más importantes que tenemos en ataque/エス・デ・ロス・フガドーレス・マス・インポルタンテス・ケ・テネモス・エン・アタケ(ウチの攻撃陣では最も大事な選手)」と言っていたように、お隣さんとの一戦前にゴール日照りを脱してくれたのはとてもありがたかったかと。
後半開始わずか1分には、とんでもないシーンを目撃することになったんですよ。そう、負傷者やローテーションの兼ね合いで初先発となった久保建英選手のゴール右前からのシュートの映像が遠景で、その瞬間は入ったかのように見えたから、ビックリしたの何のって。うーん、リプレーを見て、ようやくゴールポストに当たったボールをGKオブラクとサビッチでクリアしているのがわかったんですけどね。点差は僅か1点、こんなドッキリがまたあったらと、それこそ後ろ髪引かれる思いでメトロに乗った私でしたが、いやあ、案ずるより産むがやすしはまさにこのこと。サンティアゴ・ベルナベウ駅を出て経過をチェックしてみれば、20分にはセットプレーから落ちてきたボールをジョアンがシュート、ブドミルに当たって軌道が変わったボールがGKレイナを破り、0-2になっていたとなれば、もう心配することはない?
というのもマジョルカに関しては前節、弟分のヘタフェに4-2と完敗している試合を見たばかりで、コリセウム・アルフォンソ・ペレスのピッチに選手がバタバタ倒れていた光景は怖かったものの、それ程、得点力はないとわかっていたからなんですが、でもねえ。いたんですよ、アトレティコにも簡単に敵の挑発に乗ってしまう人が約1名。いえ、コスタは24分に交代となったんですが、ヒザのケガが完治、この日は先発と世間から見られていたにも関わらず、ベンチスタートとなり、フラストレーションを溜めていたモラタがどうやら、「Ha salido con las pulsaciones altas desde el banquillo/ア・サリードー・コン・ラス・プルサシオネス・アルタス・デスデ・エル・バンキージョ(ベンチからハイテンションで入ってきた)」(チスコ・カンポス)のが災いしたよう。
後ろから激しいタックルをかけたチスコと頭を突き合わせてイエローカードをもらった後、今度はサルバ・セビージャに何か言われたらしく、それに「subnormal!/スブノルマル(低能)」と言い返したところ、審判に2枚目を出され、たった9分間ピッチにいただけで退場って、その頃にはすでにベルナベウのスタンドにいた私にはもう理解不能。いやあ、あとでそのシーンの映像を見ると、確かにセビージャは自分でもツイッターで説明していた通り、「Eres un niño de papa/エレス・ウン・ニーニョ・デ・パパ(お前は1児の父親だろう)」と言っているんですけどね。
試合後、ミックスゾーンでもファンから批判され、チームバスからわざわざ降りて来て反論していた双子の父、モラタは「Desde que pise el césped solo tú y yo sabemos lo que me dijiste.../デスデ・ケ・ピセ・エル・セスペッド・ソロ・トゥ・イ・ジョ・サベモス・ロ・ケ・メディヒステ(ピッチに入ってからボクに言ったことはあんたと自分しか知らない…)」とツイート返ししていたため、おそらく他にも何か言葉があったのかもしれませんが、いやもう、結果は同じ。その日こそ、0-2でアトレティコが勝ったから良かったものの、退場で次の試合、よりによって天下のマドリーダービーで出場停止になるのがとりわけ少数精鋭、決してゴールが潤沢ではないチームにどんなに迷惑をかけることか、もう26才にもなるならわかってなきゃいけませんって。
え、この試合ではあとで見たマジョルカのビデオでビセンテ・モレノ監督が地元の記者から久保選手の出来栄えを訊かれ、「正直、記者会見の度にタケのことを訊かれるのに疲れている。チームメンバーが決まって1カ月、それぞれの選手にいい言葉がほしいのはわかるが、毎回、タケの個人的な評価をするのは止めよう」と答えていたのもちょっと驚きじゃなかったって?そうですね、実は先日のコリセウムのプレスルームでも彼についての質問があったんですが、あまりモレノ監督が多弁ではなかったため、私もスルーしてしまったという経緯があるんですが、これはまた正直なコメント。
もちろん開幕戦に勝利した後、1分け4敗と昇格したばかりのチームが自身を含め、1部の水にまだ慣れておらず、順位も19位と降格圏に落ちてしまったとなると、そうそういい顔もしていられなくなるのはわかりますが、そこはプロ。ジダン監督なんて、夏の間中、毎回、ベイルの先行きについて訊かれながら、律儀に答えていましたしね。この日の試合、攻撃面で目を引いたのは久保選手だけだったとなれば、別に日本のマスコミだけが興味を示している訳ではありませんし、何か意見を言ってくれてもいいのでは?
まあ、それでも彼らが最下位になっていないのは未だに今季未勝利のレガネスがいるおかげで、アスレティック戦ではやはり私がメトロに乗っている最中、ブスティンサがララサバルをエリア内で倒し、PKを献上。ラウール・ガルシアに1点を決められたものの、その3分後にはオスカルが直接FKを決めて同点に。そのまま1-1と引分けて、勝ち点は2になったものの、最下位脱出には至らなかったんですが、いやあ、丁度1年前のこの日、同じく最後尾を走っていた彼らはオスカルのゴールなどでバルサに2-1と勝利。そこから快進撃が始まったなんて前例もあるんですが、この土曜に挑むのは昇格組ながら、大躍進をしている5位のグラナダですからね。何とか、1部4年目の貫禄を見せられるといいのですが。
そして兄貴分たちの試合の後半と前半を股いでプレーしていたのがもう1つの弟分、ヘタフェでこちらはバレンシア戦の開始早々、セットプレーからマタがゴールを挙げて好スタート。と思ったのも束の間で、序盤に負傷したガメイロと交代で入ったマキシ・ゴメスが30分、33分と立て続けてに得点し、挙句の果てには39分にも18才のイ・カンインに決められて、ハーフタイムには3-1になっていたとなれば、どうしたものやら。それでも気合を入れて挑んだ後半には21分にジェイソンがtaconazo(タコナソ/ヒールキック)によるゴールで反撃の狼煙を上げ、その3分後にはアンヘルが自身3試合連続得点となる同点弾を放つという展開に。
その後、一時はアンヘルの2発目が決まったとラジオの実況アナが絶叫していたものの、こちらはオフサイドで認められず。ロスタイムにはロドリゴのシュートをククレジャがゴールライン上、腕にボールを当ててクリアしていたのを何故か、VARに見咎められず、そのまま3-3で終わったんですが…滅多にないヘタフェの撃ち合いが生で見られないなんて、本当にツイていない。ただ何とか、この日はドローに持ち込んだものの、あまりボルダラス監督は喜んでいられないかもしてなくて、というのも昨季は38試合で35失点と、アトレティコに次ぐ1試合0.9ゴールしか敵に与えなかったチームが今季は6試合ですでに9失点もしているから。
逆に得点数は10とゴールづいてはいるんですが、何せ、この土曜午後4時(日本時間午後11時)にはバルサをコリセウムに迎える彼らですからね。たとえ、前節ビジャレアル戦で再びケガをしたメッシ、絶賛売り出し中の16才、アンス・ファティもヒザを痛めて来ないとはいえ、ルイス・スアレスやグリーズマン、デンベレのいるチームとゴール数を競えるのかどうか。来週木曜にはEL2節のクラスノダール戦でロシア遠征も控えているため、エキストラ勤務となる選手たちも大変ですが、前日にはチケット売り切れとなったこの試合、まだ今季アウェイで白星がない相手の苦手意識を利用できたらいいですよね。
そして最後にベルナベウでのオサスナ戦なんですが、ジダン監督はミッドウィークのセビージャ戦からセルヒオ・ラモス、カセミロ、クロースを除く8人を大々的にローテーション。GKまでがPSGからレンタル移籍してきたアエロラに代わっていたのには私もビックリでしたが、相手のアラサーテ監督もエースのチミ・アビラを週末用に温存したのがラッキーでしたかね。そこそこいいボール回しをしながら、シュートを撃てないオサスナを前に35分にはビニシウスのゴールがエリア外から決まり、マドリーは先制することに。いやあ、ここまで16試合得点できず、「Nunca he estado tanto tiempo sin marcar/ヌンカ・エ・エスタードー・タント・ティエンポー・シン・マルカル(これだけ長い間、ゴールできなかったことはない)」という19才は思わず、ピッチで涙していましたけどね。
一方、後半、ビニシウスと交代でピッチに入った1つ年下のブラジル人後輩、ロドリゴは27分、マドリー公式戦デビューから2分も経たないうちに、カセミロのロングパスを「su control previo ha sido la hostia/ス・コントロル・プレビオ・ア・シードー・ラ・オスティア(直前のボールコントロールは凄かった)」(ジダン監督)という妙技で捉え、そのままエリア内に入ってGKルベンを破ったんですが、昨季ソラリ監督の下、マドリー1年目だったビニシウスも3得点は挙げていますからね。要は持続性があるかどうかが大事なんですが、この日のロドリゴの功績はハメス・ロドリゲスを数分出した程度で、ベンチ外となったベイルは言うに及ばず、おかげでベンゼマ,アザールもまったく使わずに2-0と快勝できたことだったかと。
そう、つまりモラタを出場停止で失った上、マジョルカ戦ではトリピアーとレマルを温存しただけのお隣さんに対し、マドリーはダービーにベストメンバーがほとんど全員、休養十分で挑めるということで、いえ、負傷者は彼らの方が多いんですけどね。メンディは間に合わず、金曜にはバルデベバス(バラハス空港の近く)での全体練習に参加したというモドリッチ、イスコ、マルセロもベンチに入るか微妙なところとあって、絶対的に優勢とまでは言えないんですが、こればっかりはねえ。
ちなみに私は夕方、アトレティコのマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場でのセッションを最初の15分だけ、見学することができたんですが、この日は最近多かったスーパーフィジカルサーキットではなく、2組に分かれてパスを交換しながら、それぞれの位置を変えていくトレーニングを公開。ダービー前日とあって、普段の3倍ぐらいいたマスコミを前に選手たちはソツなくこなしていたんですが、試合でもこの正確なパス捌きを披露することができれば、ワンダ・メトロポリターノでのダービー初勝利を掴むことができるかも。
そんな今季前半のマドリーダービーは再びマドリッド4チームが集中する土曜日の午後9時(日本時間翌午前4時)からキックオフ。記者会見でジダン監督はロドリゴが今週末、RMカスティージャの試合に出ることを予告。更にこの夏、インターナショナル・チャンピオンズ・カップ(親善大会)で3-7と大敗していることについては、「No tiene nada que ver/ノー・ティエネ・ナーダ・ケ・ベル(全然、関係ない)」と言っていましたが、果たしてこの試合を制して、リーガ首位の座につくのはどちらになるんでしょうかね。
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