ゴールゲッターは多いに越したことがない…/原ゆみこのマドリッド

2019.09.11 17:00 Wed
Getty Images
「代表戦が日曜に終わると余裕があっていいわよね」そんな風に私が実感していたのは火曜日、セルヒオ・ラモスがこの金曜からアマゾンプライムで配信開始となる自身のドキュメンタリービデオ・シリーズのプレゼン記者会見を実施。その模様がマルカ(スポーツ紙)で中継されているのを見た時のことでした。いやあ、こちらの撮影を巡っては、昨季のCL16強対決アヤックス戦2ndレグ、アムステルダムでの1stレグで累積警告となる3枚目のイエローカードを受けたラモスが華々しい看板のかかったサンティアゴ・ベルナベウのパルコ(貴賓席)で観戦する様子が予定に入っていたことでひと悶着あったんですけどね。

折しもレアル・マドリーが逆転敗退を喫したのとも相まって、当時はこの試合に合わせてわざと出場停止を仕組んだことやら何やら、かなり批判されていたものの、喉元過ぎれば熱さを忘れる?丁度、今は当人がスペイン代表167試合出場を果たし、カシージャス(ポルト)の最多記録に並ぶという、胸を張ってお祝いできるタイミングとあって、日曜深夜にヒホン(スペイン北部のビーチリゾート)から戻り、火曜の午前にはカルバハルと共にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場ジムで汗を流した後、最近、マイブームになったような帽子ファッション(https://bit.ly/2kaaVLE)で意気揚々とラモスがマスコミの前に姿を現したのも当然だったかと。
まあ、そのドキュメンタリーの方は日本でも視聴可能のようなので、興味のある方はアマゾンプライムで探してみるといいと思いますが、実は彼がキャプテンを務めるスペイン代表も6月には骨肉腫を患った9歳の娘さんを最後まで側で看取ろうとルイス・エンリケ監督が辞任。アシスタントだったロベール・モレノ監督が引き継ぐという不測の事態はあったものの、このユーロ2020予選は絶好調なんですよ。いえ、もちろんいつもながら、55カ国が参加するヨーロッパの予選は強豪が2つ入ったグループができる方が珍しく、しかも本大会には2016年に続いて24カ国が出場ということで、2位までが出場権をゲット。

今回、スペインのいるグループFは全勝で首位に立つ彼らの下、スウェーデン、ノルウェイ、ルーマニアが星を潰し合っているため、それ以外の相手と対戦する時には勝利は当たり前、どこまでgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)できるかの方が焦点になったりするんですが、日曜のフェロー諸島戦がどうだったか、お話していくことにすると。いやあ、実はこの日、スペインのキックオフ前にはたまたま、GOL(ゴル/スペインのスポーツ専門民放)で1節につき、2カードがオープン放送になる枠にマドリッドの2部の弟分、アルコルコンとサラゴサのリーガ戦が当たったため、午後6時半から、延々とTVの前に座り続けることになった私だったんですけどね。

収穫は普段、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)では流れることのない2部の試合を今季、初めて見られた上、開幕から先発を続けている香川真司選手の活躍ぶりをしっかり自分の目で確認できたこと。いえ、自爆気味に前半ドワメナとルイス・スアレスにゴールを許し、終了間際にもビガライに決められ、0-3と、先週は1部のお隣さん、レガネスとのプセラ杯(親善試合)でスコアレスドロー。PK戦勝利でトロフィーを勝ち取ったアルコルコンがあっさり負けてしまったのは残念だったんですけどね。自身でゴールを挙げることはなかったものの、中継役として常にプレーの中心となり、CKやFKのキッカーとしても香川選手が働いていたサラゴサはこれで3勝1分けとして、2位に上昇。
当人もプレゼンで誓っていた1部昇格の目標達成にいいスタートを切ったように見えましたが、この日のお昼には先週、ウエスカ入団が決まった岡崎慎司選手もエル・アルコラスでのスポルティング・ヒホン戦で後半39分にピッチに入り、リーガ2部デビューを実現。チームが1-0で勝利するのに貢献していましたが、土曜にデポルティボがアルバセテに0-1で負けていたのは柴崎岳選手が日本代表に招集され、プレーできなかったせいなのかどうかはよくわかりません。

おっと、話が逸れてしまいましたが、スポルティングがウエスカ(スペイン西部の内陸の町)遠征でホームを留守にする間に行われたエル・モリノンでのフェロー諸島戦に戻ると、この日のスタメンはモレノ監督が木曜のルーマニア戦から、代表出場記録更新を目指すラモスとロドリゴ(バレンシア)を除き、9人を変える大刷新ぶり。今回の相手も5人DF体制で守りを固めてきたんですが、先制点は意外と早く決まります。ええ、前半13分にはエリア前でもつれ合って倒れたチアゴ・アルカンタラ(バイエルン)が地面から押し出したボールをオジャルサバル(レアル・ソシエダ)が受け、最後はロドリゴが押し込んで、ゴールにすることに成功。

ただそれ以降は低調でラモスなどもエリア外から、積極的に狙っていったんですけどね。追加点を取ることはできず、1-0でゲームは後半に。すると5分、父親がどちらもブラジルのサッカー選手で子供時代、ビーゴ(スペイン北西部)で一緒に過ごして兄弟のように育ったという、仲の良いチアゴからのパスを受けたロドリゴが、今度は敵DFの足に当たって軌道が変わるシュートで2点目を決めてくれたとなれば、もしやアトレティコが逃した魚は大きかった?

いえ、8月中には1度、パテルナ(バレンシア郊外)の練習場でチームメートに自ら別れを告げ、移籍秒読みと言われていた日々もあった彼ですけどね。結局、コレアのミラン行きが実現しなかったため、いつの間にか、ロドリゴ入団の話もなくなっていたんですが、当人も試合後、「Solo puedo decir que estoy bien, estoy contento donde estoy/ソロ・プエド・デシール・ケ・エストイ・ビエン、エストイ・コンテントー・ドンデ・エストイ(ボクに言えるのは自分は大丈夫で、今いるところに満足しているってことさ)」とすっかり、気分は切り替わっていることをアピール。

まあ、ロドリゴを獲らなくても開幕3連勝、滅多にない単独1位の高みにこの2週間、君臨しているアトレティコですから、今のところは誰も悔やんでいたりはしないんですけどね。ついでに言えば、代表戦明けにはバルサ戦に挑むバレンシアとあって、エースがゴールづいてきたのは喜ばしい限りだったりするんですが、それはそれ。今はフェロー諸島戦の続きで、ようやく5試合ぶりに先発に復帰したGKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)も27分にはこの試合唯一とも言える、敵の危ないシュートをセーブして面目を保つと、38分にはラモスが前売りチケットは2万程しか裁けなかったものの、当日の入りもあって、かなりの盛況を呈したスタンドからオベーションを浴びながら、ウナイ・ヌニュネス(アスレティック)と交代となります。ちょっとスコアは物足りなかったものの、これで私も今日は店仕舞いかと思いきや…。

とんでもない!どうやら代表では16試合で10得点、抜群のゴール効率を誇る途中出場のパコ・アルカセル(ドルトムント)が黙っていられなかったようで、45分にはチアゴのパスを流し込むと、ロスタイム3分にも「Con Gayá ya tuve muchos partidos en Valencia, me dio muchas asistencias/コン・ガジャ・ジャー・トゥベ・ムーチョス・パルティードス・エン・バレンシア、メ・ディオ・ムーチャス・アシステンシアス(ガヤとはバレンシアで一緒に沢山プレーしていて、何度もアシストを受けた)」という左SBのクロスを頭でネットへ。いやあ、今季も彼が2年目となるブンデスリーガでゴールを入れ続けているのは知っていましたが、ふっと気づけば、来週火曜、CLグループリーグ1節のドルトムントの相手は当人のもう1つの古巣、バルサ。

その日はベンチで見学していたブスケツやジョルディ・アルバもチェックを入れていたんじゃないかと思いますが、おかげで4-0というゴレアダのスコアでスペインが試合を締めくくれたのは良かったかと。代表200試合出場が目標というラモスと入れ替わり、初招集だったウナイ・ニュネスもデビューしたことで、今回のメンバーでプレー時間がまったくなかったのは第3GKのパウ(ベティスからローマへ移籍)だけでしたしね。

正規の最高責任者として、2連勝を飾ったモレノ監督は「No hay ningún titular indiscutible/ノー・アイ・ニングン・ティトゥラル・インディスクティブレ(不動のレギュラーは1人もいない)」と言っていたものの、どうやらこの2試合でレベルの高いチームと低いチーム用の選手構成が垣間見られのでは?いよいよ、予選突破が確定する可能性が高まってきた10月のノルウェイ、スウェーデン北欧遠征2連戦では今回、負傷でいなかったモラタ(アトレティコ)やイスコ(マドリー)が戻って来られるのかも焦点になるかもしれません。

そしてスペイン代表は日曜夜に解散し、選手たちもそれぞれのチームに帰って行ったんですが、何せユーロ予選は火曜まで試合がありますからね。各国代表への出向選手が13人と多いマドリーなど、月曜にはクロース(ドイツ)、モドリッチ(クロアチア)、ベイル(ウェールズ)、クルトワ(ベルギー)が、8人のアトレティコもオブラク(スロベニア)がプレー。この6節最終日の火曜にもそれぞれ、バラン(フランス)、ジョアン・フェリックス(ポルトガル)が出場している上、ブラジルやウルグアイ勢は木曜まで帰還しないというのはインターナショナルマッチデーのお約束のようなものですが、やはり気になるのは負傷により、代表には行かず、この週末のリーガでの復帰を目指している選手たちかと。

そんな中、いいニュースがあるのはマドリーで今週は開幕直前に太ももを痛め、まだ公式戦デビューをしていないアザールだけでなく、ハメス・ロドリゲスも全体練習に参加。何せ、土曜のポルトガル戦、残り3分程出場しただけのヨビッチがケガをして、早々にセルビア代表から引き揚げてきたなんて話もありましたからね。ここまでリーガ3試合で初戦のセルタ相手にしか勝てず、バジャドリー、ビジャレアルと2連続引き分けしているジダン監督にとっては、使えるアタッカーの数が増えるのは心強いに決まってますって。

ただイスコだけはまだグラウンドに姿が見えないんですが、今週末土曜のレバンテ戦を皮切りに来週水曜はCLグループリーグ1節のPSG戦、次の日曜にはサンチェス・ピスファンでのセビージャ戦とマドリーにはハードな日程が待っていますからね。金曜の記者会見後、夜にはマドリッド市内で開かれたラモスのドキュメンタリーのプレミア上映に一張羅をまとい、奥さん同伴で駆けつけたジダン監督もチームメートたち(https://bit.ly/2kElgzM)も水曜からはしっかり、サッカーに専念してくれるといいですよね。

一方、アトレティコでは相変わらずモラタがヒザのリハビリ中なんですが、実はこちらも土曜のレアル・ソシエダ戦から、水曜にはCLユベントス戦、来週土曜にはセルタ戦と忙しくなるのはお隣さんと同じ。まずは代表に行っている選手たちがケガせず戻って来るのを祈るばかりですが、実を言うと、火曜のリトアニアvsポルトガル戦を見て、ちょっと落ち込んでいるんですよ。というのも前節のセルビア戦では後半に20分ぐらい出ただけのジョアンがCFとして先発に抜擢されていたんですが、先制点となるクリスチアーノ・ロナウドのPKをゲットしたのこそ、彼の誘発した敵のハンドだったんですが、前半28分にはセットプレーで長身のアンドリウスケビチウスに競り負け、リトアニア唯一の得点を許してしまうことに。

それはともかく、その後、5、6回はあったシュートチャンスにことごとくジョアンは失敗。逆に後半だけでロナウドはハットトリックを挙げ、計4ゴールともなると、移籍金では上回っていてもやっぱり、まだまだポルトガル代表大先輩の足元には及ばない?まあ、それは当人もまだ19歳と若いため、仕方ないんですが、今季は彼を中心に攻撃を組み立てているアトレティコですからね。来週こそは昨季のCL16強対決2ndレグでロナウドがハットトリックを達成、ユベントスに逆転敗退を喫したリベンジをワンダ・メトロポリターノで見られるかと期待しているファンにはちょっと、厳しい現実を突きつけることになったかと。

いえ、まずは週末のリーガ戦の方を考えないといけないですけどね。そうそう、マドリッドの弟分チームたちにはスペインA代表の選手はいないんですが、U21ユーロ2021予選では金曜のカザフスタン戦(0-1)、火曜のモンテネグロ戦(2-0)でもヘタフェのククレジャ、レガネスのオスカルがプレー。2連勝に貢献してお勤めを終え、水曜からはクラブの練習に復帰するはずですが、いやあ、その2試合の3得点全て、やはり移籍市場終盤に噂の出ていたダニ・オルモ(ディナモ・ザクレブ)が決めているのを見たりすると、やっぱりアトレティコのフロントはちょっと、詰めが甘かったですかね。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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最終節には何もない…/原ゆみこのマドリッド

「契約延長しないんだ」そんな風に私が驚いていたのは火曜日、レアル・マドリーのプレスオフィスから、今季いっぱいでクロースが退団するというメールが届いた時のことでした。すぐさまマルカ(スポーツ紙)のサイトを開けたところ、すでにメインページはそのニュースでいっぱいで、当人からの手紙も掲載。「Mi ambición siempre fue terminar mi carrera en la cima de mi nivel/ミ・アンビシオン・シエンプレ・フエ・テルミナール・ミ・カレラ・エン・ラ・シマ・デ・ミ・ニベル(望んでいたのは常に最高のレベルにいる時に自分のキャリアを終わらせることだった)」という理由で、この夏のユーロのドイツ代表戦を最後に引退することが分かったんですけどね。 それにしたって、この発表のタイミングは絶妙で、ええ、4節前にリーガ優勝が決まり、ここ3試合、6月1日のCL決勝に向けての調整をしていたマドリーの最終節はサンティアゴ・ベルナベウでのベティス戦。ホームで盛大にファンとのお別れができる上、チームメートだって、クロ-スの10年間のマドリー生活に最後の花を添えるべく、いえ、すでに彼は4回も経験済みなんですけどね。Decimoquinta(デシモキンタ/15回目のCL優勝のこと)達成にますます意欲が湧くはずとなれば、これぞ、まさにクロース最後のご奉公? いえまあ、34才の彼が今季もレギュラーだったにも関わらず、引退するのに対して、38才で今季はスーパーサブの位置づけに落ちてしまったモドリッチが契約延長成立間近と言われているのには、ちょっと矛盾を感じなくもないんですけどね。何はともあれ、マドリーファンはまだ、ウェブリーでのCL決勝、そこで優勝すれば再び、シベレス噴水広場やベルナベウでの祝賀行事でクロースの姿を目に焼き付けることができるため、今はそれを慰みにするばかりかと。 え、それでリーガ1部、全ての片がついた先週末の37節はどうだったのかって?いやあ、実は試合結果だけでいうと、マドリッド勢4チームは誰も勝てなかったんですよ。ただ、私がブタルケに見に行った2部の弟分、レガネスだけは4年ぶりの再昇格を後押しするファンの熱気のおかげもあって、7位のスポルティングに勝利。そう、前半17分、敵GKのパンチングミスから、ミゲール・ラ・フエンテがヘッドで入れた先制点こそ、後半8分にロサスにエリア前からシュートを決められて、帳消しにされてしまったものの、32分にはシセが決勝点を挙げて、2-1で終わることに。 おかげでアルバセテ戦に負け、27節の間、維持していた首位をバジャドリーに奪われていたのも、その相手が降格圏からの脱出がどんどん難しくなっているお隣さん、アルコルコンと1-1で引き分けたため、取り戻すことができたんですけどね。とはいっても40節は3位のエイバルもカルタヘナに勝ったため、勝ち点差が2なのは変わらず。要は直接昇格の上位2席を3チームで争っている状態なので、次節でライバルのどちらかが躓かない限り、1部昇格確定はCL決勝の1週間後にある最終節まで持ち越されることに。うっかりプレーオフの4試合を戦う破目になったりすると、レガネスファンの夢も叶わないかもしれないため、今週末のラシン・フェロル戦、続くエルチェ戦では最後のひと踏ん張りを見せてもらいたいものです。 そしてその夜は1部試合のunificacion(ウニフィカシオン/時間帯統合)から1カードだけ外れたヘタフェがメンディソローサでアラベスと対戦。それが元々、何も懸かってないところに大雨の中、プレーさせられたのも気の毒でしたが、前節、ベルナベウで5-0のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らった相手に1-0で負けて、憂さ晴らしされてしまってはねえ。前半12分にドゥアルテのロングボールから、カルロス・ビセンテが決めたゴールをボルダラス監督のチームは最後まで返せなかったんですが、まあ、昨季と違い、とうに残留が決まっているヘタフェはもう閉店休業状態。 せめて最終節の日曜、コリセウムにマジョルカを迎える試合では、ええ、こちらでは長年、チームに貢献してくれていたマタ(契約満了)とマクシモビッチ(パナシナイコスに移籍)のお別れイベントも予定されていますしね。有終の美を飾って、10位から12位に落ちてしまった順位をちょっとでも改善できればと。とはいえ、今更ながら、4人の長期負傷者に加えて、アラベス戦で退場したモリバス、累積警告のラタサ、ディエゴ・リコと頭数不足がいつにもまして激しいのは困っちゃいますよね。 一方、日曜午後7時の一斉キックオフを迎えたマドリッド勢3チームはというと。いやあ、願いに反して、どこもゴールが多かったため、メトロポリターノのスタンドでオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の多元中継を聴いていた私も頭がクラクラしたくらいだったんですけどね。ややこしいので、1つずつ、お伝えしていくことにすると、唯一、まだ降格の可能性が薄っすらとあったラージョはモンジュイックでバルサと対戦。それが開始3分から、ジャマルのラストパスをレバンドフスキがゴール前で胸トラップ、落としたボールをそのまま蹴り込んで、早々に先制されてしまったんですよ。 その後はかなりラージョが攻めていたようなんですが、やっぱりここまで来て、いきなり慢性ゴール日照りは治りませんよね。後半になり、チャビ監督が選手のリフレッシュを行ったところ、26分にはジョアン・フェリックスがパテ・シス、エスピーノらをエリア内右奥でキリキリ舞いさせてシュート。GKディミトリエフスキが弾いたボールをペドリが決めて、2点差にすると、その4分後にもアラウホのロングボールに抜け出して、自身2点目を挙げたとなれば、もうラージョはギブアップするしかなかったかと。 ただ、バルサに2位確定を贈る、その3-0の完敗も試合終了から間もなくして、同時進行だったカディスがラス・パルマスと0-0で引分け。17位との差が勝ち点4となり、カディスが降格組の最後の一席を占めることが確定したため、ピッチに残って、結末を待っていたラージョの選手たちも心おきなく残留祝いができたんですけどね。同じ光景はマジョルカ、ラス・パルマス、セルタでも見られたんですが、おかげでマドリッド勢が最終節のガラガラドボンに巻き込まれる心配がなくなったのは朗報でしたっけ。 まあ、あとは土曜のアスレティック戦でラージョが、5位で来季はELに出場する相手に臆することなく、低空飛行が続き、辛い思いをさせたエスタディオ・バジェカスのファンにいい試合を披露。来たる5月28日のクラブ創設100周年行事の前祝いができればいいんじゃないかと思いますが、その一方で、凄まじいゴール祭りとなっていた試合もあって、それはマドリーのビジャレアル戦。この日はアンチェロッティ監督がリュディガー、バルベルデ以外、プランBの選手を大量にスタメンに入れて、スタートしたんですけどね。序盤、GKルーニンもセルトートのエリア外シュートparadon(パラドン/スーパーセーブ)した後には普段、控えのメンバーがCL決勝での途中出場枠を争うべく、猛ラッシュをかけたから、忙しないったらありません。 そう、14分にはルーカス・バスケスのラストパスを最近、出場する度にゴールを挙げているギュレルがエリア内左から決めて、先制したかと思えば、30分にもルーカス・バスケスのクロスから、ホセルがヘッドで2点目をゲット。39分にはセバージョスが右奥でモスケラにボールを奪われ、そこからセルロートに頭で1点を返されたものの、その1分後にはモドリッチ、ブライムを経て、ルーカス・バスケスが今度は自身でチームの3点目を挙げることに。更にロスタイムにもギュレルが再びGKヨルゲンセンを破り、とうとう前半だけで4点を挙げてしまったとなれば、一体、誰がマドリーの勝利を疑った? 実際、これで今季10試合出場6得点となったギュレルに関しては、試合後、アンチェロッティ監督も「Es muy eficaz, ha marcado muchos goles con pocos tiros/エス・ムイ・エフィカス、ア・マルカードー・ムーチョス・ゴーレス・コン・ポコス・ティロス(とても効率的だ。少しのシュートでゴールを沢山挙げた)」と褒めていたんですが、何せ、チーム総得点がリーガ最多の87というマドリーですからね。ゴール不足で悩んでいるチームとは違い、ギュレルをもっと早くから使っていればという声が巷から聞こえてこないのも当然だった?それが後半はまったく様相が変わって…。 ええ、折しもセビージャではベティスが前半、レアル・ソシエダに0-2と負けていて、ビジャレアルは頑張れば、最終節で7位のコンフェレンスリーグ出場権に手が届くかもしれないというのもあったんでしょうね。ハーフタイムには、「No puedes jugar con tanta falta de intensidad/ノー・プエデス・フガール・コン・タンタ・ファルタ・デ・インテンシダッド(あんな強度のなさでプレーすることはできない)」とマルセリーノ監督が選手たちを叱咤激励。後半頭から、クエンカ、アコマック、パレホをアルビオル、トラオレ、コケリンに代えたのも良かったか、再開早々3分にはジェラール・モレノのクロスから、セルロートがまたしてもヘッドで得点したんですよ。 それどころか、8分にも彼はジェラール・モレノのスルーパスで抜け出して3点目を決めると、11分にはとうとう、4点目を挙げて、ピピチ(リーガ得点王)レーストップだったドブビク(ジローナ)に2本差つけているんですから、恐ろしい。とはいえ、これでセルロートのゴールラッシュも打ち止めだったようで、ええ、後半15分には全ての失点シーンに顔を出し、CL決勝前に大きく株を下げてしまったミリトンがナチョと交代したのも影響したんでしょうね。試合はそのまま4-4で終わることに。 結局、引分けではビジャレアルが最終節に望みを託すことは叶わず、7位はベティス、そのまま勝ったレアル・ソシエダが6位でEL出場とこちらも片がついたんですが、え?ドルトムントだって、アトレティコとのCL準々決勝では4点も取っていたし、こんなにゴールを奪われるマドリーには懸念が湧かないかって?いえ、アンチェロッティ監督も「Hemos encajado más de los necesario pero no cambia nada pensando en la final/エモス・エンカハードー・マス・デ・ロス・ネセサリオ・ペロ・ノー・カンビア・ナーダ・ペンサンドー・エン・ラ・フィナル(必要以上に失点したが、決勝を考えるにあたっては何も変わらない)」と言っていたように元々、ミリトンもGKルーニンもスタメンにするつもりはなかったみたいですからね。要はウェンブリーではナチョとクルトワがプレーするため、その辺は心配することないということでしょうが、さて。 そして最後に唯一、ホームゲームでオサスナ戦をプレーしたアトレティコはというと、ホント、マスコミの「目標は3位」という言葉を信じた私がバカでしたよ。キックオフ前には12年間、フィジカルコーチとして、選手を指導したプロフェ・オルテガのお別れイベントを、オサスナ勢がピッチで退屈してしまう程、長々と開催していたのは、まあ、この日が最後の機会でしたからね。仕方ないとはいえ、どうやら、4位で来季のCL出場が確定していた彼らはすでにバケーションモードに入っていたよう。 いえ、それでもビッツェル、ヒメネスが出場停止でいなかったにも関わらず、前半は26分にFKから、パウリスタのヘッドクリアをカテナにゴール前に戻され、ラウール・ガルシアに1点取られただけで済んだんですけどね。前節のヘタフェ戦でハットトリックを挙げたグリーズマンも、うーん、また足首の痛みがぶり返した?シュートの精度はもちろん、パスもようよう味方に届けられない状態に戻っていたんですが、0-1で始まった後半には今季、散々、アウェイゲームで目撃した悲劇が襲い掛かることになるとは。 そう、早くも7分にはゴール脇でアスピリクエタがクリアしようとして、GKオブラクに当たって跳ねたボールが誰もついていなかったアイマール・オロスに渡り、2点目を入れられてしまったんですよ。ただ、その時は3分後に後半頭から、パウリスタと交代で入っていたモラタがサムエル・リノにラストパスをもらい、3ケ月ぶりとなるゴールを決めて、1点差に迫ってくれたから、まだ良かったんですけどね。交代で入ったリケルメとレイニウドがあまりにぼうっとしすぎです。19分にはエリア内右からアレソにクロスを上げられ、またしてもラウール・ガルシアに決められているって、これじゃ、オブラクから滅多に見ない程の叱責を喰らっても仕方なかった? 実際、1-3にされた後になって、今季はもう、研修生のままでいい感じになっていた19才のフェルメーレンをシメオネ監督がピッチに入れた理由もよくわかりませんでしたしね。モラタとメンフィス・デパイの2弾頭にしても、すでに残留は達成しながら、まだバケーション入り一歩手前の状態でプレーしていたオサスナの守備を崩すことはできず。最後は43分にも右サイドから、パブロ・イバニェスのクロスをトロにvolea(ボレア/ボレーシュート)で撃ち込まれ、ここ11試合、アトレティコに勝ったことのなかったアラサーテ監督のチームに1-4で負けてしまいましたっけ。 何せ、今季メトロポリターノはほぼ難攻不落の要塞で、リーガではバルサに負けただけ、引分けもヘタフェとの一戦だけと、ファンは勝利に慣れていましたからね。最後の最後になって、どうしてアウェイでのダメダメぶりをホームで見せられないといけないんだという、pito(ピト/ブーイング)がスタンドから飛んでいたのもムリはありませんが、その日はジローナもバレンシアに勝利。アトレティコとの差が5となり、最終節での3位上昇可能性が完全に消滅することに。 うーん、シメオネ監督は「Entiendo el lugar que ocupamos en Liga. Entiendo que competimos contra monstruos/エンティエンドー・エル・ルガール・ケ・オクパモス・エン・リーガ。エンティエンドー・ケ・コンペティモス・コントラ・モンストロス(ウチがリーガで占める位置はわかっている。モンスターのようなチームたちと競っているのもわかっている)」と言っていたんですけどね。その中にジローナが入るかどうかは大いに疑念の湧くところ。試合後には今季限りで退団するサビッチがファンにお別れしていたんですが、今季のここ一番で残念だったチームの姿を見る限り、そろそろ選手の大幅入れ替えを考えた方がいい?この土曜にもアトレティコにはレアル・ソシエダ戦があるんですが、今はまた、アウェイでみっともない試合をしないことを祈るばかりです。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2024.05.22 20:00 Wed

最後のミッドウィークリーガが終わった…/原ゆみこのマドリッド

「とうとうこの時期が来たか」そんな風に私が今季のゴールが近づいていることを感じていたのは金曜日、この週末のリーガ37節が1試合を除いて、全て日曜午後7時(日本時間翌午前2時)スタートとなるのに気がついた時のことでした。いやあ、確かに土曜に回されたアラベスvsヘタフェ戦は両者共、すでに残留確定済み。どちらもヨーロッパの大会出場圏には手が届かず、所謂10位争いのゲームですからね。マドリッドの弟分の方は中2日で迎える3連戦目となって、ちょっと体力的に辛そうなのは何ですが、あと2試合で選手たちの大部分は長いバケーション入りとなれば、今だけの辛抱ですって。 逆にunificacion(ウニフィカシオン/試合時間統一)に組み込まれてしまった、残りのマドリッド勢3チームも何か大事なことが懸かっているかというと、いえ、実はラージョはまだ、数字的に1部残留が確定した訳ではないんですが、18位のカディスとは勝ち点6差。最悪、クラシコ(伝統の一戦)でレアル・マドリーに負け、リーガ優勝の目がほぼなくなった後、今季限りの退任を宣言していたチャビ監督が意見を変え、続投となりながら、今度は解任されるかもしれないお家騒動が勃発しているバルサとのモンジュイックでの試合、最終節のアスレティック戦と連敗しても、ゴールアベレージ差が11もあるため、まず大丈夫なんですよ。 実際、ビジャレアルvsマドリー戦など、うーん、一応、ビジャレアルには勝ち点5差の7位ベティスに追いついて、コンフェレンスリーグ出場権を手に入れる可能性がない訳じゃないんですけどね。ただ、相手が今季リーガで1敗しかしていない優勝チームとなると、勝ち点を取るのは難しいかと思いますが、どちらにしろ、ヘタフェ、ラージョ、マドリーの試合はアウェイですからね。私はメトロポリターノに行って、アトレティコが、就任2年目から、ずっと3位以上をキープしているシメオネ監督の記録を守るため、勝ち点2差に迫ったジローナの上に立つべく、プレーするオサスナ戦を観戦。他はオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の多元中継頼みとなりますが、ゴールが多いと展開を把握しにくくなるため、どこも落ち着いた試合になってくれたらと。 まあ、そんなことはともかく、今週の平日リーガの試合がどうだったか、お伝えしていかないといけません。先陣を切ったのはマドリーで、火曜にサンティアゴ・ベルナベウにアラベスを迎えたんですが、その試合でもまだリーガ優勝祝いが続いていてねえ。キックオフ前にはセンターサークルに沿って、通算回数分、36個の紙トロフィーオブジェが並び、アラベスの選手たちの作るPasillo de campeones(パシージョ・デ・カンペオネス/チャンピオンの花道)を通って入場したマドリー選手たちは、日曜の祝勝行事前にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でもらったトロフィーをファンにお披露目することに。 相手のアラベスも丁度、前節には残留が確定し、お祝い気分で来ていたため、おかげでキックオフが5分程、遅れても構わないようでしたが、試合では、何も懸かっていないチーム同士が素で戦うとモロに実力差が現れてしまうことが判明。しかもこの日のマドリーは6月1日のCL決勝ドルトムント戦に備え、ローテーションのBチームではなく、レギュラーがスタメンでしたからね。昨季2部4位で昇格プレーオフを経て、1部復帰したばかりのアラベスとは、「La diferencia es abysmal/ラ・ディフェレンシア・エス・アビスマル(深淵のような差がある)」(ルイス・ガルシア監督)のは仕方なかったかと。 そう、開始早々にはアトレティコからレンタル修行に出されているサムがゴール左前から2度も蹴りながら、GKクルトワに弾かれてしまうなんてこともあったアラベスでしたが、やっぱりマドリーは効率が段違い。前半10分にはクロースのパスをベリンガムがエリア内左で受け、うーん、当人はカルバハルへのクロスのつもりだったかもしれませんが、そのvolea(ボレア/ボレーシュート)がゴール反対側の隅にすっぽり収まったから、ビックリしたの何のって。 その後もビニシウスが積極的に攻めていった甲斐があって、27分にはカマビンガのラストパスをゴール前で角度を変えて、2点目をゲット。46分にはベリンガムのスルーパスから、バルベルデも決めて、前半だけで3点も取ってしまったとなれば、まさに優勝祝いに相応しいgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)じゃあないですか。おまけにマドリーの貪欲さは後半になっても衰えず、25分には再び、ベリンガムのアシストでビニシウスが自身2点目を、更には交代出場したギュレルまで、ロドリゴのシュートが敵DFに当たって転がってきたボールを撃ち込んで、とうとう5-0のmanita(マニータ/5得点のこと)になってしまったから、もしや今頃、ドルトムントは震えてない? いえまあ、結局、対戦前にはマルカにもASにもインタビューが載っていたシメオネ監督の三男、ジュリアーノは出なかったとはいえ、アラベスも枠内シュート10本でクルトワの手を煩わしたんですけどね。中でも後半序盤にハジがゴール右下隅を狙って放ったシュートは際どかったんですが、プレシーズンのヒザの靭帯断裂から復帰して、3試合目となる彼が得意のparadon(パラドン/スーパーセーブ)を披露。3連続無失点記録を達成し、「どんな状態で戻るか、疑う人もいたけど、yo sabía que iba a ser el mismo Courtois o incluso major/ジョ・サビア・ケ・イバ・ア・セル・エル・ミスモ・クルトワ・オ・インクルソ・メホール(ボクは同じクルトワ、それどころか、前よりいいクルトワになることを知っていたよ)」と懐かしのクルトワ節まで復活することに。 「Me hacía falta un partido así con muchos disparos/メ・アシア・ファルタ・ウン・パルティードー・アシー・コン・ムーチョス・ディスパーロス(こんな風に沢山、シュートを撃たれる試合がボクには欠けていた)。カディス戦では1対1、グラナダ戦では足を使ったプレーが多かったからね」と続けたクルトワは、水木金と3日間、チーム練習が休みになるニバケーション中も調整に励むそう。それに対抗してか、「Un partido lo va a jugar Lunin y el otro Courtois/ウン・パルティードー・ロ・バ・ア・フガール・ルーニン・イ・エル・オトロ・クルトワ(1試合はルーニンが、もう1試合はクルトワがプレーする)」とアンチェロッティ監督が言っていたように、この日曜のビジャレアル戦に出場予定のルーニンも自宅でのトレーニング姿をインスタグラムに上げるなど、CL決勝に向けて、アピールに余念ないんですが…アトレティコが準々決勝でやられたブラントやフュルクルク、ザビッツァーらのシュートを防ぐのは果たして、どちらになるんでしょうかね。 そして水曜にはまず、エスタディオ・バジェカスにラージョvsグラナダ戦を見に行った私だったんですが、いまあ、まさか開始3分にミゲル・ルビオの頭に足が当たってしまったトレホへのイエロカードが、VAR通信でモニターをチェエクした主審により、色がレッドに変更。5分にはもう、イニゴ・ペレス監督のチームは10人になってしまうという、衝撃のスタートを切った試合だったんですが、やはり相手は前節、マドリーに0-4と大敗する以前に2部降格が決まったショックから、抜け切れてなかったんでしょうか。 そう、人数的不利も何のその、攻撃するのを止めなかったラージョの根性が23分には報われたんですよ。CKから跳ね返されてきたボールをイシが再びエリア内に入れたところ、GKマルク・マルティネスがこぼし、ミゲル・ルビオがライン上でクリアしようとして、それが中途半端だったのが運の尽き。ゴール前にいたルジューヌが低い位置でのchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)で先制点を奪ったとなれば、後はこの虎の子の1点を死ぬ気で守るだけでいい?うーん、次の時間帯の兄弟分ダービーのため、1-0でハーフタイムに入るやいなや、スタジアムを出た時は私もまだ、不安を拭えなかったんですけどね。 並行して進んでいたセビージャ戦でカディスに次々とチャンスが訪れ、移動中もずっと聞いていたオンダ・マドリッドのコメンテーターたちが、「これで点が取れないなんて信じられない」と驚いていたのも気になりましたし、後半半ばにはバデのオウンゴールでとうとうカディスが得点。それがVARチェックでクリス・ラモスのファールが発覚して取り消されるなんていうドッキリも。それを知ってか、知らずか、ラージョも後半35分にはパテ・シスのパスから、デ・フルートスがGKに弾かれた自身のシュートに当たって、ボールがゴールに入ってくれたから、有難かったの何のって。 ようやく2点リードとなったため、コリセウムに着く頃、ロスタイムにボジェのtaconazo(タコナソ/ヒールキック)で1点返された時も、カディスがとうとう、51分にセルジ・グアルディオラのゴールでセビージャに0-1と勝って、ギリギリで降格決定を免れた時も比較的、平静でいられたんですが、まったく。せっかくラージョが2-1で勝って、ファンが「Vida de pirate/ビダ・デ・ピラータ(海賊人生)」を唱和するのも、チームを残り2試合必勝の崖っぷちに追い込むことにもなりかねなかったトレホがチームメートに胴上げされるのも見られないなんて、ホント、連続時間帯試合って、悔しいですよね。 え、それで午後10時という遅い時間にアトレティコがヘタフェに挑んだ試合はどうだったのかって?いやあ、この弟分が兄貴分を負かしたのはシメオネ監督就任以前のずっと昔が最後というぐらい、彼らがアトレティコを天敵にしているのが、今季の根強いアウェイアレルギーに勝ったんですかね。それも前半27分、デ・パウルのクロスをグリーズマンが天才的なボールコントロールで落とし、GKダビド・ソシアを破ったかと思えば、コレアのゴールがオフサイドに認められなかった後の41分にも2点目をゲットって、もしや好調期の彼がようやく戻って来たってこと? そう、この時はコレアがエリア内右から出したラストパスをサムエル・リノは撃てなかったものの、その先にいたグリーズマンが必殺のシュートをゴール内に送り込んでくれたんですけどね。いやでもまさか、後半6分にもリノからパスをもらい、今度はダビド・ソリアの股間を抜いて、ハットトリック達成なんて、最近のパスすら、ようよう味方に届かない彼の姿から、一体、誰が予想できたでしょう!いえ、当人は謙虚に、「Sin mis compañeros no soy nadie/シン・ミス・コンパニェロス・ノー・ソイ・ナディエ(チームメートがいなかったら、ボクは何者でもない)。自分がピッチで居心地いいようにしてくれる彼らに感謝している」と言っていたんですけどね。 このところ、精彩がなかったのは、CL16強対決インテル戦1stレグでネンザした足首にしつこく痛みが残っていたためというのも明らかになったんですが、いやあ、もしやこの回復を今、一番喜んでいるのはフランス代表のデシャン監督かも。だってえ、そのまま、0-3で勝ったアトレティコは、同じ時刻にプレーしていたアスレティックがセルタに逆転負けを喰らったため、完全に4位以上が保証されたものの、要はそれだけですからね。 試合後は、「Yo quiero salir campeón más que nadie/ジョ・キエロ・サリール・カンペイン・マス・ケ・ナディエ(誰よりチャンピオンになりたいのは私)」(シメオネ監督)、「El equipo es ambicioso/エル・エキポ・エス・アンビシオーソ(チームには野心がある)。毎年、4位で、タイトルを獲れないのはイヤだよ」(コケ)と、アトレティコはCL出場圏に安住していることで満足しているという、世間の指摘を否定していたものの、これは私には何とも言えないところ。まずはビッツェル、ヒメネスが累積警告で出場停止、コリセウムで左脚の筋肉を負傷して、ハーフで交代したバリオスもお休みとなるオサスナ戦、そして最終節のアウェイゲーム、レアル・ソシエダ戦でも勝って、3位に這い上がれたら、信じてあげてもいいかもしれません。 とりあえず、ドルトムント戦2ndレグで楽勝シュートを外し、その後、顔面神経痛で休んだ後、めっきり出番が減少。この日もプレーしなかったモラタがシーズン終了まで、ゴールを1本も挙げないまま、ユーロのスペイン代表のエースとなるのはどうかという問題は先送りにすることにして、一方のヘタフェはというと。いやあ、シーズン後半は選手の退団や長期の負傷者で元々、頭数を欠いているだけに、さすがに連戦は堪えたか、MFのアレニャをfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/シャドーCF)にして、マタ、ラタサを後半頭まで温存する作戦が裏目に出ちゃったんですかね。 前半にはグリーンウッドのシュートがGKオブラクの手により、ゴールバーに逸らされてしまうという、惜しいチャンスもあったんですが、人出が足りずに最後はとうとう、19才のカンテラーノ(ヘタフェBの選手)、リスコがデビューするぐらい。ボルダラス監督も「Lo mejor es que acabe cuanto antes/ロ・メホール・エス・ケ・アカベ・クアントー・アンテス(できるだけ早く終わるのがいい)。来季のチーム構想に集中して、いい選手を沢山、獲らないと」と言っていたんですが、やはり急務はFW陣の補填かと。 ええ、アトレティコ戦の後半20分過ぎにはファンもチームの反撃力にまったく期待を抱けず、コリセウムから、どんどん引き揚げていったなんてこともありましたしね。どうやらマタも契約更新をしないようですし、ヒザの靭帯を断裂したボルハ・マジョラルも開幕から戻って来る訳ではないとなると…何より、今度は同じ負傷からエネス・ウナルが復帰した途端、ボーンマスに売却してしまったような過ちを、アンヘル・トーレス会長が犯さないようにしてもらいたいものです。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2024.05.19 00:05 Sun

リーガ2位以下はまだ闘っている…/原ゆみこのマドリッド

「またお祝いするのかなあ」そんな風に私が恐れていたのは月曜日、今更というタイミングで来るミッドウィークリーガのレアル・マドリーvsアラベス戦がもう、火曜に迫っていることに気がついた時のことでした。いやあ、日曜に1週間遅れでリーガ優勝祝賀行事開催の運びとなり、出発前の午前10時にはバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でマスコミもファンも入れず、ひっそりスペイン・サッカー協会会長のロチャ氏から、23-24シーズンのトロフィーをマドリーはもらっていたんですけどね。それを携えて、セントロ(中心部)のプレルタ・デ・ソルにあるマドリッド州庁舎、続いてまさにシベレス噴水広場に面しているマドリッド市庁舎を表敬訪問した後、選手たちは背広を脱ぎ、36回目リーガ優勝記念シャツに着替えてオープンデッキバスに乗車。 すでに何千人ものファンが待っていた広場と逆の方向に走り出し、付近の数ブロックを回るパレードをしてから、噴水周りにキャットウォークが設置されているシベレスに戻り、そこでは歌あり、踊りありのお馴染みのお祝い風景が展開されることに。最後は今季の第1キャプテン、ナチョが女神像にbufanda(ブファンダ/マフラー)、bandera(バンデラ/旗)を巻きつけるという、宿願を果たしたんですが、まあ、その一部始終はレアル・マドリーTVだけでなく、テレマドリッド(ローカルTV局)までが4時間近くに渡って、生中継をしてくれましたからね。私も夏日となった暑さと紫外線、人込みにも煩わされず、快適に見られたのは良かったんですが、何せ、アラベス戦は週末リーガより遅い、午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)キックオフなんですよ。 そこでまた、試合が終わった後、選手たちにトロフィーを持って、場内一周などされた日にはそれこそ、帰りが何時になることやら。大体がして、その試合もマドリーにしてみれば、6月1日のドルトムントとのCL決勝に「El objetivo es llegar con toda la plantilla a tope/エル・オブヘティーボ・エス・ジェガール・コン・トーダ・ラ・プランティージャ・ア・トペ(目的は選手全員が最高の状態で辿り着くこと)」(アンチェロッティ監督)という扱いですからね。もちろん、その中にはウェンブリーでマドリーのゴールを守るのが、「ルーニンは素晴らしいシーズンを送った。自身のレベルに到達すれば、クルトワは世界一のGK」(同)という、熾烈なポジション争いをしている選手もいるんですが、最終決定は2週間後のリーガ最終節が終わってからになるのだとか。 そこに、すでに2節前には1部残留が確定。金曜には来季のCL出場権獲得済みで、バルサと2位争いをしているジローナに後半ロスタイムのゴールで2-2と追いついたとはいえ、すでに目標は達成。ルイス・ガルシア監督がこの3試合は今季出番の少なかった選手を起用していくという方針のアラベスをサンティアゴ・ベルナベウに迎える訳ですからね。シメオネ監督の三男ジュリアーノやサムなど、アトレティコからレンタルされているFWの成長ぶりを見るという個人的な興味はあるものの、それ以外、特に見どころといっても思いつかず。となると、やっぱりファンはトロフィー付きのお祝いを期待して、スタジアムに来るんじゃないかと思ってしまうんですが…。 え、その祝賀行事の前日、マドリーは試合をしていなかったかって?その通りで、彼らは土曜にヌエボ・ロス・カルメネスでグラナダ戦となったんですが、早い時間帯の試合でマジョルカがラル・パルマスに勝っていたため、キックオフ前から、相手は2部降格が決定。それでも律儀にグラナダの選手たちはピッチ入場時にPacillo de campeones(パシージョ・デ・カンペオネス/チャンピオンの花道)を作って、マドリーに敬意を表してくれたんですが、どうやらそれが試合中も続いてしまったよう。ええ、ここ2節、レアル・ソシエダ戦、カディス戦同様、スタメンをリュディガー以外、控え選手でローテーションしたマドリーだったんですが、彼らだって、CL決勝での途中出場枠を掴みたいですからね。 しばらくはグラナダの守備陣も持ちこたえていたんですが、前半38分にはブライムがエリア内右から出したパスをゴール前のモドリッチはスルーしたものの、突撃してきたフラン・ガルシアが撃ち込んで、自身のトップチーム初ゴールを挙げると、ロスタイムの47分にはギュラーにアシスト。ようやくリーガ優勝が近くなって、出番をもらえるようになった19才のトルコ人MFがシュートを決め、再び才能の片りんを見せつけてくれるんですから、ほとほと、マドリーの若手選手発掘力には感心するしかないかと。 0-2で始まった後半、来季はエムバテ(PSG退団を発表)が来ても、エンドリッキ(パルメイラス)が来ても一歩も引かないという決意を見せてくれたのはブライムで、4分にはセンターからドリブルで上がると、敵DF2人かわして撃ったシュートで3点目をゲット。更に14分にもモドリッチからもらったパスをゴール前から決めて、4点目を奪っていたんですが、うーん、グラナダもその前後にはウズニにチャンスがあったんですけどね。そのvolea(ボレア/ボレーシュート)もヘッドも外れてしまったため、今回はたった1シーズンで2部最速リターンとなったことを嘆く、スタンドのファンにゴール祝いの1つもさせてあげられませんでしたっけ。 試合はそのまま0-4で終わり、いえ、先日のCL準決勝バイエルン戦2ndレグでチームを決勝進出に導いた2ゴールを挙げたホセルが3度程、惜しいシュートを弾かれてしまったなんてこともあったんですけどね。彼の場合、ほとんどベンチスタートでありながら、もうリーガとCLで計14得点もしているため、もっと大事な試合のためにゴールをお取り置きしていると思えばいいのでは?この日は選手交代もリュディガー、モドリッチをナチョ、クロースにしただけで、ビニシウス、ロドリゴ、ベリンガム、バルベルデ、カルバハル、メンディらは日曜の祝賀行事に備えて、体力温存できましたしね。今のところ、マドリーで気になるのは、シベレス広場でも杖をついて歩いているのが目撃されたチュアメニの足のケガが、CL決勝までに治るのかどうかぐらいでしょうか。 そして日曜はマドリーの祝賀行事をTVで見た後、メトロポリターノに向かった私だったんですが、ええ、こちらも大賑わいでしたよ。スタジアム周辺で土曜からやっている”Fin de Semana del Nino/フィン・デ・セマーナ・デル・ニーニョ(子供の週末)”のアトラクションは。天気も良かったため、そこここで、フードトラックで売っている軽食や持参のお弁当を食べている家族も多かったんですが、そのセルタを迎えた一戦の内容が彼らを満足させたかどうかは微妙かと。 だってえ、前日には5位のアスレティックが後半ロスタイムにはビジャリブレのゴールでオサスナに2-2と追いついたものの、勝ち点2を落として、マストの4位確定に大きく近づく絶好のチャンスだったにも関わらず、アトレティコは全然、シュートが決まらないんですよ。リケルメ、サヌエル・リノ、ジョレンテと皆、GKグァイタに止められてしまい、ええ、前節マジョルカ戦での出場停止から戻ったグリーズマンもこのところ、「Si jugara toda la temporada entera al nivel que jugó hasta abril es muy difícil/シー・フガラ・トーダ・ラ・テンポラーダ・エンテーラ・アル・ニベル・ケ・フゴ・アスタ・アブリル・エス・ムイ・ディフィシル(シーズン全てを4月までのレベルでプレーするのはとても難しい)」とシメオネ監督も認めていたように、パスすら、ようよう味方に届かないぐらいの大殺界中ですからね。 前の時間帯で18位のカディスがルーカス・アルカラスのPKでヘタフェに1-0と勝ったのを知りながら、一応、勝ち点5差はあることから、セルタのヒラルデス監督がそのまま0-0で引分けるのも悪くないと思い始めた後半、アトレティコはリノをモラタに代えて、気持ちも新たに挑んだものの…それがもう、3月初旬のベテイス戦以来、ゴールを1本も挙げておらずとも、デ・ラ・フエンテ監督にはユーロのスペイン代表に呼んでもらえると、モラタは達観しちゃったんでしょうか。 この日もヘッドを2本、外したぐらいで、むしろ30分過ぎにグリーズマンと交代で入った、負傷から復帰したばかりのメンフィス・デパイの方がずっとセルタのゴールを脅かしていたかと。それがまさか、どんどん残り時間が減っていく中、いよいよ大詰め38分になって、15分に途中出場となったデ・パウルがメトロポリターノマジックを発動してくれるとは!その少し前にも彼がバリオスにラストパスを送って、そのジャンピングボレーがゴールバーに当たるという、惜しいチャンスがあったんですが、この時はコケの蹴ったCKをウナイ・ヌニェスが頭でクリア。そのボールがゴール前の一団に加わっていなかったデ・パウルのところに落ちてきたところ…。 ええ、当人も後で「エリアの端にいる時は、カウンターを喰わらないためにプレーを終わらせないといけない。Sabía que si me caía, iba a golpear/サビア・ケ・シー・メ・カイア、イバ・ア・ゴルペアル(自分のところに落ちたら、撃つのはわかっていたよ)」と話していたんですけどね。胸でトラップしたボールをボレーシュートでゴール右端に決めてしまったから、ビックリしたの何のって。いやあ、ヒラルデス監督は「Ellos tienen un talentazo/エジョス・ティエネン・ウン・タレンタソ(彼らには凄い才能がある)」とお世辞を言ってくれていたものの、こういうのが、アトレティコでゴールになるのはまさに奇跡。前節マジョルカ戦から無失点体制を取り戻した彼らにはこの1点で十分で、そのまま、1-0で勝ってくれたとなれば、本当にメトロポリターノ様々ですって。 おかげでアスレティックとの差を勝ち点8まで広げたアトレティコは次節、この差をキープすれば、無事に4位が確定して、来季もCLでプレーできることになったんですが、それもありましたかね。珍しく、シメオネ監督が試合後恒例の場内一周をする選手たちに加わっていたのは。まあ、このセルタ戦でも選手たちの体力が早くも前半半ばには枯渇したのか、歩いてプレーしているシーンがチラホラ。大体がして、お隣さんなど、今はアトレティコより、ハードスケジュールなのに疲れはまったく見られず、それは体力も選手の才能の一部だからなのか、あまりいい練習をしていないせいなのか、突っ込みどころは沢山あるんですけどね。その辺はもう、この時期に言っても仕方ない? そんなアトレティコはこのミッドウィークリーガ、水曜午後10時(日本時間翌午前5時)にヘタフェとの兄弟分ダービーでコレセウムに乗り込むことに。何せ、デ・パウルも「いつも沢山のファクターがある。Habrá que seguir buscando las explicaciones/アブラ・ケ・セギール・ブスカンドー・ラス・エクスプリカシオネス(理由を探し続けないといけないだろう)」と言っていたように、今になっても今季の強烈なアウェイ弱者ぶりの原因はわかっていませんからね。とりあえず、ヘタフェは残留が確定しているのと、もうコンフェレンスリーグ出場圏の7位とは勝ち点11も離れてしまったため、ここは兄貴分に花を持たせてくれると助かるんですが、果たしてどうなるんでしょうか。 そして日曜の続く時間帯にメスタジャでバレンシア戦となったラージョは、最後までGKママルダシビリに阻まれて、ゴールを入れることができず。スコアレスドローの痛み分けだったんですが、こちらは水曜のグラナダ戦でカディスとの勝ち点差を6のまま保てれば、いよいよ残留確定となるよう。いえ、先日はすでに降格していたアルメリアにエスタディオ・バジェカスで0-1と負けた彼らだけに、同じ身分となったばかりのグラナダ相手に勝てる保証はまったくないんですけどね。とはいえ、このままズルズル白星がないまま、シーズンを終えるのもファンにしてみれば、つまらないでしょうし、ここは「Vida de pirata/ビダ・デ・ピラータ(海賊人生)」をスタンドが唱和して終われる結果になってくれることを願っています。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2024.05.14 21:00 Tue

もう逆転には驚かなくなった…/原ゆみこのマドリッド

「差が激しいわね」そんな風に私が溜息をついていたのは金曜日、今週末のメトロポリターノは「Fin de Semana del Nino/フィン・デ・セマーナ・デル・ニーニョ(子供の週末)」と銘打って、スタジアム周辺がキッズパークに化すと知った時のことでした。いやあ、確かに日曜午後4時15分(日本時間午後11時15分)にはセルタ戦もあって、家族連れには嬉しい企画なんでしょうが、折しもその日はレアル・マドリーのリーガ優勝祝勝行事の日。 午前10時半にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場でトロフィーをもらった後、マドリッド州庁舎、マドリッド市庁舎を表敬訪問して、午後1時頃からは交通止めしたシベレス噴水広場のステージでファンとお祝いというスケジュールになっているんですが、その間、アトレティコファンはキッズパークで遊んでいろとでも?まあ、お祝いの様子はレアル・マドリーTVが生中継してくれるため、日本にいるファンも楽しめそうな時間で良かったと思いますが、ええ、水曜にCL決勝進出も決まっただけに、選手たちも一片の憂いもなく、ハジケられますからね。 それと比べ、とうにCLから敗退、来季の出場権もまだ確定せず、未だに4位争いという、お隣さんとは次元の違う闘いに明け暮れているのがアトレティコなんですが、え?もし何かの間違いでもあって、準々決勝でドルトムントを破っていれば、準決勝の相手、PSGはエムバペがまったく存在感を示せず。2連敗で敗退したぐらいなんだから、彼らだって、ウェンブリーでの決勝に行けたんじゃないかって?うーん、そう思うと、私もますます悔しくなるんですが、物は考えよう。 だってえ、木曜にはロンドンへの航空券が800ユーロ(約14万円)近くに高騰しているんですよ。それもお隣さんと当たるとなれば、いくら今季、マドリーが唯一、負けた2試合がアトレティコ戦だとはいえ、CLに関しては異次元の力が働くみたいですからね。2014年、2016年の決勝の二の舞になるのはほぼ間違いなく、アトレティコファンが涙して帰って来る運命にあるとすれば、6月1日は360度大型スクリーンもすでに稼働済み。おかげでピッチに置かれたスクリーンを見るより、ずっと快適に観戦できるようになったサンティアゴ・ベルナベウでのパブリックビューイングで、ドルトムントとの決勝を楽しむのも悪くはないかと思うことにしているんですが…。 まあ、そんなことはともかく、水曜のCL準決勝バイエルン戦2ndレグがどうだったかもお伝えしていかないと。1週間前の1stレグではミュンヘンで2-2とイーブンの結果だったため、特に今回はremontada(レモンターダ/逆転突破)と気合を入れる必要はなかったんですが、この日も忠実なマドリーファンたちは午後7時から、ベルナベウ周辺に集まって、4000人以上がチームバスをお出迎え。そのほとんどは試合のチケットを持っていないため、ええ、丁度、キックオフ1時間半前に私が家を出て、いつもTV観戦する近所のバル(喫茶店兼バー)にコーヒーを飲みに入ったところ、すでにテーブル席を確保して待機しているファンが何人もいましたからね。 チームバスがスタジアムに入った後、座れるバルを見つけるのは難しいんじゃないかと思ったんですが、それはそれ。4200人のバイエルンファンも駆けつけ、超満員になったベルナベウでの一戦はアリアンツ・アレナとは真逆のスタートに。ええ、あちらでは鬼のように攻めてきたトゥーヘル監督のチームに前半15分までに5、6本もシュートを撃たれ、クロースの神パスから、ビニシウスのゴールで先制したのが、冗談みたいでしたけどね。そこはやっぱり、スタンド全面を覆うモザイクで迎えてくれたファンの前で、防戦一方の姿は見せられませんって。 早くも12分にはビニシウスのシュートがGKノイアーが触った後にポストに当たり、そのボールを撃ったロドリゴも止められてしまうという、ビッグチャンスがあったんですが、残念ながら、最初の45分、観客はゴールを祝うことはできなかったんですよ。その脇で27分には1stレグでは控えだったナブリがケガを再発。このところ、マドリー移籍の噂が出たり、消えたりしている左SBのデイビスがピッチに入り、ハリー・ケイン、ムシアラ、ザネと合わせ、アタッカー4人を並べたトゥーヘル監督の攻撃的人員起用が頓挫してしまったなんてこともあったんですが、そのまま、試合は0-0で入ることに。 後半も序盤はシュートをバイエルンより、多く撃っていたマドリーだったんですが、GKノイアーを破ることはできず、うーん、ドルトムント戦で30本以上シュートを撃って無得点だったPSGはともかく、先週末には私もヘタフェやラージョが撃っても撃ってもゴールが入らない病にかかっているのを目の辺りにしたばかりでしたからね。これはもしやマドリーもと、眉をひそめかけた矢先の23分、バイエルンがカウンターを発動。ケインからボールをもらったデイビスがマドリーエリア内までドリブルで上がり、先制点を挙げてしまったから、さあ大変! いえ、大変なのはバイエルンの方ですよ。というのも、この0-1という逆境がマドリーのレモンターダ魂を刺激するのは火を見るよりも明らかだったから。実際、即座にアンチェロッティ監督がクロースとチュアメニをモドリッチとカマビンガに代えた後、26分にはモドリッチの蹴ったCKから、バルベルデが撃ったボールがデイビスに当たってオウンゴールとなったんですが、この時はナチョがキミッヒの顔をど突いて倒したとして、VAR(ビデオ審判)注進を受けた主審がモニターをチェック。結果、ファールでノーゴールとなったんですが、何よりマズかったのは、バイエルンが残り時間を計算せずに先制してしまったことでしょうか。 何せ私なんか、マドリーダービーがある度、アトレティコが逆転されずに済むには残り10分?いや、ロスタイム入り直前に得点すれば、逃げ切れるかもしれないと考えている口ですからね。それなのに、トゥーヘル監督が31分にはザネをCBのキム・ミンジュに、40分にはもう大丈夫だろうと大黒柱のケインとムシアラをチュポ・モティングとミュラーに代えてしまったのは早計もいいところ。いえまあ、後で当人はどの選手も身体的トラブルで交代を余儀なくされたと言っていたんですけどね。 さすがに無得点のまま、アンチェロッティ監督が35分にロドリゴとバルベルデを下げ、ホセルとブライムを入れた時には、ええ、2021-22シーズンの奇跡のレモンターダラッシュの決勝トーナメント、奇しくもトゥーヘル監督が率いていたチェルシーとの準々決勝2ndレグやマンチェスター・シティとの準決勝2ndレグで終盤に口火を切ったのはロドリゴでしたからね。これは如何なものかと思ったものの、大丈夫。もう、このチームのレモンターダ根性はどの選手がどうとか言うレベルのもんじゃないんですよ。 それが起こったのはいよいよ大詰め43分、バイエルンのエリアを囲んでの長いプレーで、ビニシウスが撃ったシュートをノイアーがキャッチできず。当人によると、「ボールは胸の辺りに来ると予想していたんだが、芝でイレギュラーに跳ねて、少し上に来た」そうなんですが、こぼれたボールにホセルが脱兎のごとく駆けつけたんですよ。そのまま押し込んで同点ゴールをゲットしてしまうとはまさにシナリオ通り。おまけに1-1では延長戦でまた帰りが遅くなるのが嫌だった私の願いを叶えるがごとく、46分には再びホセルが今度はリュディガーのラストパスから決めて、勝ち越し点を挙げてくれたから、もう場内は興奮の坩堝と化すことに。 いやあ、元はマドリーのカンテラーノ(RMカスティージャの選手)だったものの、その後はクラブを転々。2年前にはアラベスでプレーしていたホセルは、奥さん同士が姉妹という縁で義兄弟となったカルバハルのつてで、パリでのCL決勝リバプール戦を現地観戦していたんですけどね。それが昨季は2部に降格したエスパニョールで16得点挙げ、サラ(スペイン人の得点王)を獲ったこともあり、マドリーにレンタル移籍で来ることになったのも何ですが、まさか、CL準決勝でマドリーのレモンターダの主役となるとは、当人も想像すらしていなかったのでは? え、それでも最初は9分、それがホセルの2点目のVARオフサイド判定などにも時間がかかって、延々と続いたロスタイムの13分には、バイエルンもデ・リフトがゴールを決めていなかったかって?まあ、そうなんですが、その際、線審が先走って、リュディガーがエリア内に落ちてきたボールをヘッドした段階でオフサイドの旗を上げてしまい、主審も笛を吹いたため、マドリーの選手たちはプレーを停止。その状態で入ったゴールは認められず、同点にはならなかったのはラッキーだったかと。 もちろん、バイエルンサイドは猛抗議。そのまま試合が2-1と終わった後も「現代のサッカールールに反している」(トゥーヘル監督)、「オフサイドが明確でない時はプレーを続けさせなければいけない。線審はボクにミスだと謝っていた」(デ・リフト)と不満を爆発させていたんですけどね。といっても、たとえ同点になって、延長戦入りしたとて、「Esto es el Real Madrid, siempre creemos en nosotros y ha pasado una vez más/エストー・エス・エル・レアル・マドリッド、シエンプレ・クレエモス・エン・ノソトロス・ア・パサードー・ウナ・ベス・マス(これがレアル・マドリーだ。いつもボクらは自身を信じていて、また同じことが起きた)」(ビニシウス)という、彼らが勝っていたんじゃないかと思うのはきっと、私だけではない? うーん、さすがに2年ぶりの決勝進出だけに、ピッチで「A por la 15/ア・ポル・ラ・デシモキンタ(15回目のCL優勝を目指して)」と書かれたユニを身に着けた選手たちが場内一周。往復ダイブなどで盛大に祝った後、会見に出てきたアンチェロッティ監督も「Es algo mágico y no tiene ninguna explicación/エス・アルゴ・マヒコ・イ・ノー・ティエネ・ニングーナ・エクスプリカシオン(これはマジックのようもの。全然、説明できない)」と、尋常ではないレモンターダ体質がどうして発現するのか、わからないようなんですけどね。こればっかりは、2014年からの10年間にCL優勝を5回もしているという事実という共に、もうマドリーはこういうチームなんだと思うしかないんですが、となると、おそらく今季の決勝も勝つのは…。 そんなマドリーも、日曜にはリーガ優勝祝賀行事を行うとはいえ、この3週間はリーガの残り4試合をプレーしないとならず、土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)にはアウェイでグラナダ戦に挑むことに。ファンにしてみれば、CL決勝まで間がありすぎて、じれったく感じられるかもしれませんが、アンチェロッティ監督とっては、「Estos partidos nos van a ayudar a preparar la final/エストス・パルティードス・ノス・バン・ア・アジュダール・ア・プレパラール・ラ・フィナル(これらの試合は決勝の準備をするのに役立つ)。ローテーションはするが、全員がプレーする」のだそう。 その中には先週末のカディス戦でプレシーズンにヒザの靭帯を断裂して以来、ようやく復帰を遂げたGKクルトワと、その少し前に同じケガから戻ったミリトンに実戦のリズムを取り戻させる目的もあるようで、いや、シーズン後、ブラジル代表でコパ・アメリカが控えている後者はわかりますけどね。ベルギー代表の前者は今年のユーロに行かないと予め宣言。となれば、調子を上げる必要があるとしたら、ルーニンに代わって、CL決勝でプレーしてもらう下心があるんじゃないかと穿ってしまうんですが、果たして如何に。 それより、気の毒なことになりそうなのはグラナの方で、ええ、19位の彼らは土曜の先の時間でプレーするマジョルカがラス・パルマスに負けない限り、たとえ、マドリーに勝っても今節で2部降格が決定。いえまあ、日曜にホームにマドリッドの弟分、ヘタフェを迎える17位カディスも負けると、セルタ、ラージョ、マジョルカの結果如何によって、降格が決まってしまうかもしれないんですけどね。逆に3チームが確定すると、やはり日曜にアウェイでバレンシア戦となる16位のラージョが助かるという面もあるんですが、この辺はいかにも世知辛い。 一方、木曜にはメトロポリターノでセルタ戦に向けた練習をしていたアトレティコはというと、こちらも土曜のアスレティックvsオサスナ戦の結果次第ではまた、5位との差が勝ち点3になってしまいますからね。ヒメネスが今季7度目の負傷をして、出場できないとはいえ、この試合には前節、出場停止だったグリーズマンも戻って来る上、極楽浄土のホームゲームとなれば、そんなに心配する必要はないはずですが…来週のミッドウィークリーガではコリセウムでの兄弟分ダービー、最終節はサン・セバスティアンでのレアル・ソシエダ戦とまだ2試合も超苦手のアウェイゲームが残っているのが、何か嫌ですよね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2024.05.11 22:00 Sat

リーガ優勝は決まったけど…/原ゆみこのマドリッド

「トロフィーはミュージアムに35個もあるから、きっと大丈夫なのよ」そんな風に私が結論づけていたのは月曜日、先週末の34節でリーガ優勝が確定したレアル・マドリーへのトロフィー授与が来週火曜、サンティアゴ・ベルナベウでのアラベス戦の日になると知った時のことでした。いやあ、最初はアウェイではあるものの、次節土曜のグラナダ戦でと、スペイン・サッカー協会に通達されていたみたいなんですけどね。それをクラブが、まさに降格決定の可能性が限りなく高く、実際、決まれば、悲しみのどん底に浸っているであろうヌエボ・ロス・カルメネスのファンの前で、選手たちがトロフィーを掲げて、優勝を祝うのもどうかと変更を頼んだところ、協会はそれを受諾。 ただし、今週末はすでに全面改装がほぼ完了したベルナベウで初コンサートが開催予定。よって、スタジアムでのお祝いはできないものの、午前11時にリーガ優勝報告のマドリッド州庁舎、市庁舎への表敬訪問、続いて午後1時から、恒例の祝賀行事があると聞いていたため、市内をオープンデッキバスでパレードする時やシベレス噴水広場の特設ステージに上がる時、トロフェーが手元になかったら、ちょっと格好がつかないんじゃないかと思ったんですけどね。そこはスペイン1部リーグ最多優勝回数を誇るマドリーとあって、近年、トロフィーのデザインが変わったなんて話も聞かないため、2021-22シーズンのやつでも持って行けば、沿道から見るファンにも気がつかれないのでは? まあ、そんなことはともかく、先週末のマドリッド勢の試合を順にお伝えしていくことにすると、金曜にはヘタフェがコリセウムでアスレティックと対戦。前節にはアルメリアにアウェイで勝って、相手の2部降格と引き換えに1部残留確定を手に入れたボルダラス監督のチームだったんですが、それでもう、安心しちゃったんですかね。5月5日のスペインの母の日にちなんで、選手たちが自身の母親や妻を伴って入場するイベントは微笑ましかったものの、前半27分には、ニコ・ウィリアムスのパスから、イニャキ・ウィリアムスにエリア前から撃たれて、golazo(ゴラソ/スーパーゴール)で失点。 後半6分にも兄弟の連携プレーが炸裂し、今度はカウンターから、ニコがドリブルで上がり、最後はイニャキが決めて、0-2とされてしまったんですが、実はその後、アスレティックは9人なったにも関わらず、ヘタフェは1点も取れなかったんですよ。そう、13分にはジェライがハンドで、34分にはパレデスがイエローカード2枚で退場して、おまけに38分にはルイス・ミジャのクロスがエリア内でラウール・ガルシアの腕に当たり、いえ、その時、バルベルデ監督が抗議で退席処分となったのはあまり関係ありませんでしたけどね。 PKまでもらったヘタフェだったにも関わらず、この日のGKウナイ・シモンが絶好調だったのが運の尽き。「Durante la semana tira penaltis, no falla prácticamente ninguno/ドゥランテ・ラ・セマーナ・ティラ・ペナルティス、ノー・ファジャ・プラクティカメンテ・ニングーノ(週中、練習でPKを蹴っているが、実質的に1本も失敗しない)」(ボルダラス監督)という、グリーンウッドがPKを弾かれてしまったのなんてもう、おまけのようなもんだったかと。 だってえ、この試合、ヘタフェはシュートを29本も放ち、うち9本は枠内だったのに全部、止められているんですよ。後半ロスタイムの9分間など、アスレティックをエリア内に囲い込んで攻めていたんですが、そのまま、0-2で試合は終了。ボルダラス監督が、「ボルハ(ヒザの靭帯断裂)やウナル(1月にボーンマスに移籍)がいたら、負けなかっただろう」と言い訳するのもわかりますが、これじゃ、せっかく前節の直接対決で勝ち点差を6に広げた兄貴分、アトレティコへの援護射撃にも何にもなりませんって。 いえまあ、ただでさえ、CB不足のバルベルデ監督のチームから、最後に残っていたジェライとパレデスを次節出場停止にしてくれたのは有難いですけどね。どちらにしろ、10位では、7位のコンフェレンスリーグ出場圏を目指す意欲も薄かったか、6差だったベティスとの差が9に開いても構わなかったようですが、次節のカディス戦ではアルメリアに続き、再びヘタフェが相手に引導を渡す役目を果たすことになりそうなのは奇遇。でもねえ、すでに2部降格が決まったチームと対戦するのが弟分仲間に楽勝をプレゼントすることになったかというと、まったくそんなことはなく、ええ、日曜の夜試合でラージョはアルメリアの前に撃沈しちゃったんですよ。 というのもあと1勝すれば残留確定に王手の懸かったイニゴ・ペレス監督のチームだったんですが、エスタディオ・バジェカスでの試合では、うーん、キックオフと同時に雨が凄い勢いで降り始めたのも気を散らしたんですかね。今季初先発のファルカオを筆頭に、序盤からシュートを5、6本撃って、優勢に進めていた前半30分、チャバリアがスローインを古巣訪問となったエンバルバに送ってしまうという、大ポカが発生。そのボールが1月までヘタフェにいたチョコ・ロサーノに繋がり、GKディミトリエフスキが破られてしまったのはともかく、まさかラージョまで、撃っても撃っても入らない病にかかっていたとは! 実際、こちらも前後半合わせて計27本(うち枠内10本)のシュートを放ちながら、残留の争いから解放されたGKマクシミアーノが今季最高のパフォーマンスを披露。途中出場したRdT(ラウール・デ・トマス)も止められ、最後のプレーではベベの直接FKも弾かれて、そのまま0-1で負けてしまったんですが、幸い前日、兄貴分がカディスに勝ってくれたため、17位との勝ち点8差は変わりませんでしたからね。もうここまでくると、日照り続きのFW陣がいきなり目を覚ますとは思えませんし、あとは残り4試合が3試合に、そして2試合となって、タイムアップで残留が確定するのをラージョは待つしかないのかも。 え、それでマドリーがリーガ優勝を確定する元となった、そのカディス戦はどんな試合だったんだって?いやあ、これまた、前節レアル・ソシエダ戦同様、CL準決勝バイエルン戦を考えての大規模ローテーション試合で、アンチェロッティ監督が先週火曜の1stレグから、リピートした選手はナチョだけだったんですけどね。そんな中、注目を集めていたのはGKクルトワの実戦復帰で、ええ、彼は昨夏のプレシーズンにヒザの靭帯を断裂。復帰目前だった3月には反対側のヒザの半月板を痛めて手術という不運があったせいで、今まで戻って来られなかったんですが、ようやく屋根の閉まったサンティアゴ・ベルナベウのピッチで驚異的な音響効果を実感できることに。 いやもう、その凄まじさといったら、8階のプレス席はスピーカーが近いのか、試合中はいいんですが、BGMが流れるキックオフ前やハーフタイム中など、大音量に頭が痛くなる程で、私など、次回は絶対に耳栓を持っていこうと決意したぐらいだったんですけどね。試合の方はカディスが最初から、勝利を諦めていたようだったにも関わらず、前半はミリトン、ギュレル、ホセルらのシュートはあったものの、スコアは動かないままに。 それが後半になっていきなり盛り上がったからビックリで、始まりは4分、ドリブルで上がってきたクリス・ラモスの1対1のシュートをクルトワがparadon(パラドン/スーパーセーブ)。ブランクがあっても衰えない神通力を見せつけた直後、ブライムがエリア前からのシュートでGKレデスマを破ってくれたんですよ。更に20分にはアンチェロッティ監督が、「Quería piernas frescas y, sobre todo, ganar el partido/ケリア・ピエルナス・フレスカス・イ、ソブレ・トードー、ガナール・エル・パルティードー(フレッシュな足が欲しかったのと、とにかく勝ちたかった)」という理由でギュレルをベリンガムに交代。その彼が、ピッチに入って3分後にはブライムのアシストで今季リーガ18得点目を挙げ、2点差になったとなれば、もう勝負はついたってもんです。 その後、ブライムに代わって入ったビニシウスもミリトンにrabona(ラボナ/利き足を軸足の後ろに回して蹴る技)でクロスを挙げ、残念ながら、そのヘッドはレデスマに弾かれてしまったものの、大喝采を浴びていましたしね。そのまま2-0で終わってもファンは満足したかと思いますが、ロスタイム3分にはビニシウスのスルーパスで上がったナチョがエリア内から、ホセルにラストパスを送り、マドリーは3点目もゲット。3-0の完勝でカディスの儚い望みを打ち砕き、選手たちも応援団の前で飛び跳ねて、勝利を祝っていたんですが…。 何せ、この時の状態ではまだ、優勝確定までに勝ち点1が足りませんでしたからね。次の時間帯のジローナ戦でバルサが勝った場合、次節持ち越しの可能性もあったため、それ以上、ピッチで大々的なお祝いもできなかったのは仕方なかったかと。一応、選手たちはまさかの際に備え、誰1人、ミックスゾーンに姿を現わさず、ロッカールームで試合を見ていたんですが、いやあ、そのまさかが起こるとは! そう、早い時間のクリステンセンの先制点をドブビクのヘッドで帳消しにされながら、前半ロスタイムにはレバンドフスキのPKゴールで1-2とリードして終えたバルサだったものの、後半に全てが崩壊。20分過ぎにはポルトゥとミゲール・グティエレスの連続ゴールで逆転されると、更に再びポルトゥに止めを刺され、4-2で負けたとなれば、いえ、その頃にはすでにシベレス噴水広場は、市当局が交通止めをしなかったため、歩道にしかいられないにも関わらず、何千人ものマドリーファンで溢れ返っていたんですけどね。 ジローナが来季のCL出場権を確定し、バルサを抜いて2位に上がった後、レアル・マドリーTVでのアンチェロッティ監督のコメントで、私もシベレスでの祝賀イベントが日曜にあることを知ったんですが、ベルナベルのパルコ(貴賓席)前ホールで内輪の優勝祝いをした選手たちが、その時も喜びの頂点にいられるかは微妙。というのも、この水曜午後9時(日本時間翌午前4時)にはバイエルン戦2ndレグが控えているからで、ええ、1stレグは2-2のドローと、まったくイーブンでの対戦になりますからね。 ただ、マドリーは1981年にCL決勝で負けて以来、8回連続で優勝しているため、この準決勝の関門を越えさえすれば、たとえ、相手がPSGになろうが、ドルトムントになろうが、ウェンブリーでの一発勝負でDecimoquinta(デシモキンタ/15回目のCL優勝のこと)を達成するのは堅い気がするんですけどね。1stレグでのバイエルンが予想以上に手ごわかったのも事実。すでにレバークーゼンの優勝が決まっているブンデスリーガでは同じ土曜、6人スタメンローテーションして、シュツットガルトに3-1と負けていましたが、ベルナベウでの対戦はどうなることやら。このビッグマッチ、ハリー・ケーンやザネ、ムシアラ、ナブリからマドリーのゴールを守るのは、カディス戦で休養したGKルーニンの役目になりますが、CL決勝でのクルトワとのポジション争いも見据えて、頑張ってくれることを期待しています。 そして土曜の夜はアトレティコもマジョルカに挑んだんですが、いやあ、もう近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)で彼らのアウェイ戦を見るのは今季、ほとんど苦行と化していたため、午後9時のキックオフ直後はスマホでTVのスポーツニュースを見ながら、シベレスが賑わう様子に気を取られていた私も悪いんですけどね。ふと気づくと、開始5分にはアトレティコが先制ゴールを挙げていて、それもアスピリクエタのスローインをナスタシッチがヘッドクリアしたボールを拾ったリケルメの技ありの一発だったから、意表を突かれたの何のって。 そう、ゴールを背にしていたのをヒールキックでボールを後ろに送り、振り向き様、蹴ったところ、敵DF2人の間を通って、GKライコビッチを破ったんですが、これはもしかして、前節アスレティック戦前日に居残りシュート練習。まんまと3点目のオウンゴールを引き起こしたサムエル・リノの二匹目のドジョウを狙って、コレア、バリオスと一緒に特訓した甲斐があった? とはいえ、この日のアトレティコのゴールはこれだけで、いえまあ、後半にはコレアからラストパスをもらったジョレンテがコントロールに失敗し、撃ち上げてしまう惜しいチャンスもあったにはあったんですけどね。グリーズマンが出場停止、モラタもここ16試合でたった1得点だけの日照りまくりとあって、それ以上は望むべくもなかったんですが、違ったのは選手たちの心構え。後でリケルメも「Sabíamos que teníamos que tomárnoslo como una final por los malos resultados fuera/サビアモス・ケ・テニアモス・ケ・トマールノスロ・コモ・ウナ・フィナル・ポル・ロス・マロス・レスルタードス・フエラ(アウェイでの悪い結果のせいで、ボクらは決勝のようにこの試合に挑まないといけなかった)」と言っていたように、しっかり守った彼らは最後まで失点せず、0-1で勝利をものにできたんですよ。 うーん、この試合の前日、今季16試合の半分が黒星という、超悲惨なアウェイ弱者ぶりの原因を尋ねられたシメオネ監督が、「Sé lo que pasa pero no te lo puedo decir/セ・ロ・ケ・パサ・ペロ・ノー・テ・ロ・プエド・デシール(何が起きているのかはわかっているが、言うことはできない)」と答えているのを聞いて、原因がわかっているなら、何で手を打たないのかと、私も呆れていたぐらいだったんですけどね。確かにこの日はグリーズマン不在で5-4-1という後ろに比重を置いたシステムを使い、ここ2年、ムリキのゴールで負けていたサン・モイシュでの試合で守備に穴を開けなかったのは立派ですが、全てのタイトルの可能性を失った後になって、選手たちがようやく改心するって…。 何にせよ、もうアトレティコには4位を死守して、ここ12年間、連続出場しているCLに来季も出ることしか、目標がないんですが、この日曜の次節はマジカル・メトロポリターノでプレーできますからね。相手もビジャレアルに勝ったことで、ラージョ同様、あとはグラナダ、カディスが落ちるのを待つばかりと、ほぼほぼ残留が確定しているセルタとあって、あまり心配しないで済むのは助かりますが…その日はマドリーのシベレス祝賀イベントの日とあって、カディス戦、バレンシア戦をプレーする弟分共々、彼らがどんなにいい試合をしても、あまりマスコミに取り上げられてもらえなさそうなのは淋しいですよね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2024.05.07 22:30 Tue
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