予選の間はあまり心配しなくていい…/原ゆみこのマドリッド

2019.09.08 15:00 Sun
「一般のファンは入れないんだ」そんな風に私が肩透かしを喰らっていたのは土曜日、フェロー諸島戦に備えてエル・モリノン(スポルティング・ヒホンのホーム)で前日練習するスペインのセッションが非公開だと知った時のことでした。いやあ、今になって思い出してみれば、確かに6月にサンティアゴ・ベルナベウで行われたスウェーデン戦前の練習も非公開。スタジアム周辺がやたら閑散としていたものですが、もしやロベール・モレノ監督の下ではこれが定番、ファンはラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設に代表選手が集まる合宿初日夕方のセッションを逃したら、あとはチケットを買って試合に行く以外、生で彼らを見ることはできないってこと?
PR
そうなると、10月のユーロ2020予選2試合はどちらもアウェイゲームですから仕方ないとしても、11月18日の最終節、ルーマニア戦はワンダ・メトロポリターノで開催。マドリッド観光に来ている日本のサッカーファンがワンダを気軽に訪れるいい機会になるかと思ったんですが、まあ、その頃にはスペインの予選突破も決まっていて、最近はチケット完売になることもあまりありませんしね。代表の試合は値段もお手頃に設定されるので、この秋、スペイン旅行を計画している方はちょっと覚えておいて損はないかと。まあ、そんな先のことはともかく、まずは木曜にブカレストであったルーマニア戦がどうだったのか、お話していくことにすると。現役時代はアラベスやアトレティコ、ヘタフェでプレー、スペインをよく知るコントラ監督が5人DF体制を敷いてきたルーマニアに対し、今回はアセンシオ、イスコのレアル・マドリー勢が負傷中。そこでロドリゴ(バレンシア)、パコ・アルカセル(ドルトムント)、セバージョス(アーセナル)を前線に並べたモレノ監督でしたが、キックオフ早々からGKタタルシャヌ(オリンピック・リヨン)が大活躍することに。開始1分もしないうちにパコのシュートをブロックすると、10分にはセルヒオ・ラモス(マドリー)のヘッドもそらし、その2分後にはジョルディ・アルバ(ベルサ)のvolea(ボレア/ボレーシュート)も弾いてしまったから、驚いたの何のって。
それでも28分にはエリア内で敵に踵を踏まれたセバージョスがPKをゲット。これをラモスが決め、DFとしては異例の代表21得点目を記録したんですが、ケチがついたのはそのお祝いポーズのせい。TVカメラに近づいて指で眼鏡のポーズをしたのを主審に挑発的行為と咎められ、イエローカードをもらっているんですから、困ったもんじゃないですか。いえ、当人はあとで「あれは自分の甥っ子に向けたもので、era para decirle que no pasa nada por llevar gafas/エラ・パラ・デシールレ・ケ・ノー・パサ・ナーダ・ポル・ジェバール・ガファス(眼鏡をかけたってどうってことないよと言いたかったんだ)」と説明していましたけどね。

彼ももう、あと1試合でスペイン代表最多出場記録であるカシージャス(ポルト)の167試合に並ぶぐらい、経験豊富なんですから、あまり紛らわしい真似はしてほしくありませんが、こればっかりはねえ。試合の方は先制した後もタタルシャヌがセーブを連発したため、0-1のまま、ハーフタイムに入ったんですが、後半開始2分にはようやく、スペインのパスサッカーが効果を発揮し、セバージョス、ジョルディ・アルバと繋がったボールを最後はパコがフィニッシュ。これでようやくリードが2点に広がったんですが、やはり、そのまますんなりとはいきません。
ええ、ビジャレアル、コルドバ、デポルティーボなどでプレーしてやはり、リーガに馴染みのあるアンドネ(ブライトン)が交代出場したせいもあったか、14分には右からのクロスを彼が頭で折り返し、ゴール前からプシュカス(レディング)のヘッドで1点を返されてしまったんですよ。その上、33分には意表を突いて先発に抜擢されたCBディエゴ・ジョレンテ(レアル・ソシエダ)がエリア手間で1人、突進してきたプシュカスを倒してしまい、レッドカードで退場してしまったから、さあ大変!

とはいえ、本当に危機が訪れたのはモレノ監督がマルチプレーヤーのサウール(アトレティコ)をCBに入れ、当座を凌いだ後、パコを下げ、エルモーソ(アトレティコ)を入れてからのロスタイムのことで、至近距離のプシュカス2度のシュートは本当にヤバいと私も息を呑んだんですけどね。6月から正GKの座をデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)から奪い取ったケパ(チェルシー)がどちらもparadon(パラドン/スーパーセーブ)して、チームの救世主になることに。いえ、モレノ監督はパウ(ベティスからローマに移籍)を含め、「No tengo un portero titular/ノー・テンゴ・ウン・ポルテーロ・ティトゥラル(自分には正GKというのはいない)」という姿勢を崩していないんですけどね。代表戦でのデ・ヘアにはこれまで物議を醸す失点が何度かあったため、しばらくはケパが先発を務めることになるんじゃないんでしょうか。

そのおかげもあって、1-2で逃げ切り、予選5連勝を達成したスペインは2位のスウェーデンに勝ち点差5をつけて、日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのフェロー諸島戦に挑むんですが、何せ、この予選も2位まで本大会出場権がもらえますからね。しかもこの、昨年亡くなったキニ(バルサやスペイン代表で活躍した伝説のFW)の追悼行事も行われる試合は5連敗の最下位相手とあって、「Habrá cambios/アブラ・カンビオス(スタメン変更があるだろう)。チーム全員を信頼していると言って、同じチームをリピートしたら矛盾するだろうからね」と、モレノ監督も土曜の試合前記者会見でローテーションを示唆。ただ、ディエゴ・ジョレンテが出場停止なのはともかく、逆に出場記録が懸かっているラモスは出るでしょうし、あとはルーマニア戦でプレーしなかったカルバハル(マドリー)、ロドリ(マンチェスター・シティ)、パレホ、ガヤ(バレンシア)、スソ(ミラン)辺りが起用されるんでしょうか。

え、木曜からそこかしこでユーロ予選が始まっているけど、その間、マドリッドのクラブは何をしていたのかって?いやあ、実は今週はマドリー、アトレティコはCLの、ヘタフェはELの登録選手が明らかになって、それで悲喜こもごもあったりしたんですよ。まずはマドリーなんですが、こちらはプレシーズンにヒザの靭帯断裂で長期離脱することになったアセンシオが登録されなかったため、本来なら26人目の選手となり、リストに入れなかったロドリゴが登録してもらえることに。一応、彼はRMカスティージャ所属となっていますが、在籍3年以上という条件を満たさず、カンテラーノ(下部組織の選手)なら、試合前日まで登録自由のBリストには入れなかったため、これはとてもラッキーだったかと。

おまけに先日にはとうとう、バルベルデがスペイン国籍を取得、トップチームのEU圏外選手枠が1つ空いたため、ロドリゴがリーガでプレーするのにも支障がなくなりましたしね。当人もようやく負傷が治り、ベルギー代表から即日Uターンしてきたアザール、ブライムらと共にparon(パロン/リーガの停止期間)明けの14日、土曜のレバンテ戦までには準備が整いそうなのは、13人もの選手を各国代表に出向させているジダン監督にとって、慰めになる?その週の水曜にはいよいよ、パリに乗り込んでのCLグループリーグ初戦、PSGとの試合も控えていますしね。リーガ開幕のセルタ戦以外、2引き分けとまだパッとしないマドリーとあって、そろそろ調子を上げてくれないとファンも心配してしまいますよ。

そしてお隣さんは今季もトップチーム21人体制という少数精鋭なので、CLのAリストは余裕で全員登録できるんですが、昨季、レンタル先のインテルでヒザの靭帯を断裂。現在は母国クロアチアでリハビリ中というブルサイコも入っていたのはちょっと不思議。カンテラーノのマヌ・サンチェスとカメージョの2人もこちらで登録されましたが、これは在籍年数の関係でしょうか。どちらにしろ、18日にワンダにユベントスを迎える初戦前には用心のため、少なくない数のカンテラーノが登録されると思いますが、今のところはBリストにはまだ、誰の名前も入っていません。

そんなアトレティコは今回、各国代表に8人を供給し、モラタはまだ負傷中ながら、移籍市場の閉じる先週中ずっと、発熱で練習を休んでいたコレアが戻るという状態でマハダオンダ(マドリッド近郊)での練習を続けていたんですが、金曜にはシメオネ監督が欠席。いやあ、どうやらこの夏、2女の母、カルラ・ペレイラさんとアルゼンチンで挙げた結婚式を今度はイタリアでリピートするそうで、いえ、開幕3連勝で現在、単独首位ともなるともう、何をしていても構わないんですけどね。練習の方もマドリー同様、月曜の夕方までありませんし、ジョアン・フェリックスもポルトガルのユーロ予選が終わる木曜まで戻って来ないとなれば、土曜のレアル・ソシエダ戦の準備はそれからになるかと。

一方、9年ぶりとなるELに出場するヘタフェは先週水曜、この大会用のユニフォームを最後の加入選手たち、ティモル(ラス・パルマスから移籍)、ジェイソン(同レバンテ)、ケネディ(同チェルシー)のプレゼンも兼ねてお披露目していたんですが、トップチーム所属選手が25人いるのに、そのうち21人しかAリストに登録していないって一体、どうなっている?いえ、アントゥネスとアマトはまだ昨季のケガのリハビリ中なので、わからなくもないんですが、もう回復してプレシーズンにはプレーしていたボランチのベルガラとこの夏、加入したCBエチェイタ(同アスレティック)が入っていないのはどうにも解せないかと。

だってえ、Aリストはカンテラーノ登録し放題のBリストと違って、グループリーグが終わり、決勝トーナメントに進出した時にしか、追加ができないんですよ。リーガとも違い、長期負傷者が出てもGK以外、緊急補強で獲った交代人員を入れる訳にはいかないですし、この辺はヨーロッパの大会初体験のボルダラス監督が何を考えているのかわからず、ちょっと不安。彼らはリーガでも2分け1敗とまだ今季初白星もありませんし、いよいよ15日のベティス戦の後の木曜にはコリセウム・アルフォンソ・ペレスにトラブゾンスポルを迎えるEL初戦も到来。この代表戦期間中はククレジャ(スペインU21)、ジェネ(トーゴ)、ファジル(モロッコ)以外、ずっと地元で練習に励んでいるんですが、果たしていい風を引き寄せることができるでしょうか。

そしてヨーロッパとは関係のないマドリッドのもう1つの弟分、レガネスは水曜に2部の弟分、アルコルコンとプチェラ杯(親善試合)を行って、スコアレスドローの上、PK戦で負けたりしていたんですが、何せこちらはまだリーガで勝ち点が1つもありませんからね。とにかく土曜のビジャレアル戦に勝利することだけを考えてもらいたいですが、そうそう、丁度、この日曜午後6時30分からはそのアルコルコンのホームで香川真司選手のいるサラゴサが4節をプレー。続いてスペイン代表戦もあったりするので、私は行けないんですが、たまたまマドリッド観光中のファンがいましたら、アトーチャ駅からセルカニアス(国鉄近郊路線)C-5線に乗って、Las Retamas(ラス・レタマス)駅下りてすぐのサント・ドミンゴに応援に行くのも一興かと。

いやあ、今週は岡崎慎司選手が移籍市場のクローズ直前にサラリーキャップ制のせいで、リーガへの選手登録ができないマラガとの契約を解除、水曜に今季は2部戻ったウエスカ入団が決まるという、ビックリな出来事もありましたしね。実を言うと、ウエスカとサラゴサは車で1時間半ぐらいなので、これは日本代表で同僚だった香川選手にとっても嬉しいニュースじゃないかと思いますが、さて。

ちなみにそのウエスカの今節の試合はホーム、アルコラスで日曜正午からのスポルティング・ヒホン戦。昨季、やはり1部のマドリッド弟分仲間だったラージョを途中で解任され、今シーズンからウエスカを率いているミチェル監督も前日記者会見で岡崎選手について、「Puede ser un jugador que tenga minutos a lo largo del partido/プエデ・セル・ウン・フガドール・ケ・テンガ・ミヌートス・ア・ロ・ラルゴ・デル・パルティードー(試合中にプレー時間を持つかもしれない選手)」と言っていましたし、早速デビューなんていうのもありそうですね。

PR

NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly