最後の補強がなくても心配しなくていいのは…/原ゆみこのマドリッド

2019.09.05 07:30 Thu
「結局、誰も来なかったのね」そんな風に私が肩透かしを喰らっていたのは火曜日、前夜、移籍市場の閉まる12時になるまで、スペイン・プロリーガ協会本部前にカメラを据えていたGOL(ゴル/スポーツ専門の民放)をつけていたため、駆け込みで大きな動きがなかったのはわかっていましたけどね。翌朝、スポーツ紙を見てもやはり、ネイマール(PSG)もポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)もリーガでプレーすることにはなっておらず、ジダン監督が先週末の試合前、「Hasta el lunes puede pasar de todo: una bomba, dos bombas.../アスタ・エル・ルネス・プエデ・パサール・デ・トードス:ウナ・ボンバ、ドス・ボンバス(月曜までは何でも起きうる。爆弾が1つ、爆弾が2つ…)」と言っていたのは完全にブラフだったいうオチに。
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え、でもケイロル・ナバスとアレオラ(PSG)のトレードは実現したじゃないかって? まあ、そうなんですが、これは数日前から織り込み済みで、前者がビジャレアル戦で控えGKを務めた後、その後釜として後者がレアル・マドリーに入団と、ほとんど現在の困った状況を改善する役には立ちませんからね。そのお隣さんだけでなく、最終日にはラフィーナをセルタにレンタルし、ラス・パルマス(2部)の16歳のアタッカー、ペドリを来シーズンの契約で獲得しただけというバルサをも高みから見下ろしているのがアトレティコで、いえ、こちらもロドリゴ(バレンシア)は来なかったんですが、今のところ、まったく戦力に不足はないとなれば、時代も大きく変わったもの。ちなみにどうしてそんな事態になったのか、先週末のマドリッド勢の試合を見ていくことにすると、まずは土曜日。午後7時前に私がコリセウム・アルフォンソ・ペレスに着く頃には何と、バルサがエル・サダルでオサスナに追いつかれ、2-2で引き分けたという報が。いくらメッシとルイス・スアレスが負傷でいなくても、まさか開幕アスレティック戦の負けに続き、早くも勝ち点4を落とすとはビックリでしたが、マドリッド勢も弟分に関してはあまり景気のいいことは言えないんですよ。ええ、アラベス戦に挑んだヘタフェも前半24分にククレジャのスルーパスを37歳のホルヘ・モリーナが決め、開幕戦のワンダ・メトロポリターノでトマスのアキレス腱を蹴って、一発退場となった埋め合わせをしてくれたんですけどね。
ところがこのリードは長く続かず、30分にはゴール前の混戦から、最後はホセルに同点ゴールを挙げられてしまうんですから、困ったもんじゃないですか。その後は2年前までレガネスを指揮、昨季はレアル・ソシエダを率いて途中で解任され、今季からアラベスに着任したアシエル・ガリターノ監督のプレー時間をできるだけ少なくするという作戦にはまり、そのまま前節のアスレティック戦同様、1-1のドローとなっては、「失点したのは残念だ。Ha sido la única opción que han tenido/ア・シードー・ラ・ウニカ・イプシオン・ケ・アン・テニードー(彼らが手にした得点チャンスはあれだけだった)」(ボルダラス監督)と愚痴りたくなるのもわかる?

おかげで開幕から3節で勝ち点2しか貯められないまま、ベティス戦、ELのトラブゾンスポル戦、マジョルカ戦と1週間に3試合のハードスケジュールに臨む羽目になった彼らですが、ポジティブな面はこの2週間のparon(パロン/リーガの停止期間)で、その日、ラス・パルマスから加入して練習1回だけで先発、負傷のマキシモビッチの代理を務めたティモルや月曜に入団が決まったジェイソン(バレンシアから移籍)、ケネディ(チェルシーからレンタル)らにチームに慣れる時間が取れること。各国代表戦に招集されているのもジェネ(トーゴ)とファジル(モロッコ)、そしてククレジャ(スペインU-21)だけですし、何とか早いうちに態勢を立て直してもらいたいものです。
そして家に戻ったところ、ベニト・ビジャマリンでの勝ち点0同士の対決はレガネスが後半、ブライトワイテのゴールで先制したものの、すぐにロレンに同点にされると、ファキルに勝ち越し点も奪われて、最後は2-1で負けてしまったという残念な結果を知ることになったんですが、いやあ、これでもう、1ポイントも稼いでいないのは彼らだけになってしまいましたからねえ。ようやく大型FWカリージョ(サウサンプトン)の再レンタルも決まり、月曜には左SBのケビン・ロドリゲス(レアル・ソシエダ)も加入したため、今週来週はじっくり練習して、リーガ再開となるビジャレアル戦でブタルケのファンと共に初勝利を祝えるといいんですが…シオバス(ギリシャ)、ブライトワイテ(デンマーク)、エン・ネシリ(モロッコU-23)、アワジエム(ナイジェリア)、オスカル(スペインU-21)と、各国代表出向組が意外と多いのはペジェグリーニ監督も辛いところでしょうか。

そして翌日はワンダ・メトロポリターノに向かった私でしたが、丁度、直前のバレンシア戦では残り10分に久保建英選手がマジョルカの選手としてデビュー。といっても2-0の劣勢を引っくり返すことはできず、そのまま負けてしまいましたが、折しもリーガの日本人選手の先輩、エイバルに復帰した乾貴士選手など、開始20分でそのバレンシアと同じリードを手にすることに。ええ、その、「ようやくコンディションが整ってきた」という、今季初先発となった彼が試合最初のシュートを放つなど、積極的に攻撃に出ていたエイバルを前に、コケを中盤の底、マルコス・ジョレンテとサウールがサイド、レマルがトップ下という中が菱形の4-4-2でスタートしたアトレティコはこの形にあまり慣れていないせいでしょうか。序盤は守備陣が久々のザル状態。

前半7分にオレジャナの上げたクロスをチャルレスにヘッドで決められたかと思えば、19分にも今度はエルモーソのクリアしたボールをアルビージャがエリア外からシュート、これがジョレンテに当たって、GKオブラクが破られてしまったから、さあ大変!だってえ、開幕から2試合続いた弟分たちとのミニダービーに代表されるように、大抵の試合は1-0で終わるアトレティコなんですよ。2点差なんてとても返せる訳ないと思ったものの、シメオネ監督はここで通常の4-4-2にシステムを変更。そのおかげもあったか、ジョアン・フェリックスの才能が38分に煌めき、敵DFをかわしてジエゴ・コスタにパスを出すと、足首をネンザしたモラタと入れ替わりで戻って来た彼がボールをエリアまで運んでくれます。GKディミトロビッチに迫られながら体を捻り、ゴール前にいたジョアンが公式戦初ゴールを挙げるのを膳立てしてくれることに。

後半頭から、シメオネ監督がビトロを投入したアトレティコは7分、こちらも開幕のヘタフェ戦で退場、出場停止処分から戻って来たロディのスルーパスを、まさにそのビトロが決め、前節のレガネス戦でも見せてくれた「今季はチームにとって、大事な選手になる」という決意を再び披露。これでようやく同点になったんですが、いやあ、その先がねえ。コスタが2度ゴールを入れたものの、どちらもオフサイドで認めてもらえず、ベンチにあと1人だけいたアタッカー、19歳のカンテラーノ(アトレティコB)のリケルメが入った後はもう打つ手なしかと思われたんですが…。

まさか、38分にジョアンをトマスに代えるという荒業があったとは!ええ、誰もがこれは2-2の同点を守るための交代だと信じていたんですが、「Veía a Joao cansado, sabía que Thomas tiene mucha fuerza hacia delante/ベイア・ア・ジョアン・カンサードー、サビア・ケ・トマス・ティエネ・ムーチャ・フエルサ・アシア・デランテ(ジョアンは疲れていたように見えたし、トマスには前に行く大きな力があるのを知っていた)」というシメオネ監督はボランチの彼をFWとして使ったんですよ。それがバッチリ当たったのは45分、サウールからコスタ、敵DFにも当たったボールがエリア内にいたトマスに渡り、倒れながら撃ったシュートが勝ち越しゴールになってしまうなんて一体、誰に予想できた?

そのまま3-2でエイバルが悔しい逆転負けした後、ミックスゾーンに現れた乾選手に訊いたところ、前半は彼自身もイエローカードを受けるぐらい意欲を見せ、チームは先制するのに成功したものの、「アトレティコもボクらに負けるってのはありえないっていうか、自分たちが格上であると知っているというか、それで後半、気合入れ直してきたっていうのはあると思います」という話だったんですけどね。実際、彼らが2点差から、remontada(レモンターダ/逆転勝利)を達成したのは10年ぶりだったなんて知ると、もしや今季のアトレティコは以前より根性がでてきたのかも。

まあ、確かにシメオネ監督も「Es la primera vez que en la defensa había tres nuevos/エス・ラ・プリメーラ・ベス・ケ・エン・ラ・デフェンサ・アビア・トレス・ヌエボス(DF陣に3人も新しい選手がいるのは初めてだ)。8人出て、8人入るというのはそう簡単じゃない」と言っていたようにまだ、調整しないといけない部分は沢山ありますけどね。ここ2シーズン、エイバルとはホームで引き分けていたせいもあって、この土壇場の勝利にはワンダのスタンドも大盛り上がり。その上、次の時間帯でプレーしたお隣さんが先週のバジャドリー戦に引き続き、勝てなかったとなれば…。

いやあ、そうなんですよ。丁度、ワンダのプレスルームでビジャレアルが前半11分、エカンビのシュートを弾いたGKクルトワがジェラール・モレノに先制ゴールを決められ、アトレティコ番の記者たちが大喜びするのを見た後、ハーフタイム入り直前にはヨビッチ、カルバハルと繋いで最後はベイルが同点に。私が自宅近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に辿り着いた後半途中もまだ1-1のままだったんですが、29分にはジェラール・モレノのシュートは弾きながら、こぼれた球がオンティベロスに渡り、今度はモイ・ゴメスに決められるという、ダブルに不運なクルトワを目撃することに。

それでも41分には途中出場のモドリッチからもらったパスをベイルが再びゴールにして、何とか追いついたマドリーだったんですが、まさかロスタイムにそのベイルが立て続けにイエローカードをもらい、退場してしまうとはこの世も末。うーん、こちらはアトレティコとは逆に、「No es normal el 4-4-2 para nosotros/ノー・エス・ノルマル・エル・クアトロ・クアトロ・ドス・パラ・ノソトロス(ボクらにとって、4-4-2は普通じゃない)」(カセミロ)システムでスタートしたのが悪かったんでしょうかねえ。ヨビッチとルーカス・バスケスを先発に使ってしまったため、交代枠で入れるFWがヴィニシウスしかいなかった辺りはちょっと似ていなくもありませんが、これもアザールやハメス・ロドリゲス、イスコらの負傷が治ってくる代表戦週間明けには改善される?

結局、そのまま2-2で終わった後、ジダン監督も「Tenemos que mejorar en defensa porque arriba sabemos lo que podemos hacer/テネモス・ケ・モエホラル・エン・デフェンサ・ポルケ・アリバ・サベモス・ロ・ケ・ポデモス・アセール(ウチは守備を良くしないといけない。前線ができることはわかっているから)」と言っていましたしね。ただ、アザールだけはケガの回復状態をチェックするため、ベルギーからすぐUターンしたものの、今週のマドリーは13人がチームを離脱。それぞれの代表でお勤めを果たさないといけないため、バルデベバス(バラハス空港の近く)での練習もままならないのは困りもの。とはいえ、3節で単独首位に立ったアトレティコとの差はまだたった勝ち点4ですし、宿敵バルサよりは勝ち点1上にいるんですから、ベイルは出場停止でも、悲観せずに次のレバンテ戦は巻き返しができるといいですね。

え、ということは月曜にはスペイン代表もラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設で合宿に入ったんだろうって? その通りで恒例の初日のみ一般公開の練習を私も見学に行ってきたんですが、もちろん、こちらも先週末のリーガの全試合同様、先週、ルイス・エンリケ前監督の9歳の娘さんが亡くなったことに哀悼の意を示す黙祷から、セッションがスタートします。

セルヒオ・ラモス、カルバハル(マドリー)、サウール、エルモーソ(アトレティコ)、パレホ、ガヤ、そしてその夜、バレンシア残留が確定したロドリゴ、GKパウ(ベティスからローマに移籍)ら、前日に試合があった選手たちはロンドだけですぐロッカールームに行ってしまいましたし、最後の3対3のpartidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)もブスケツ、ジョルディ・アルバ(バルサ)、チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)、ロドリ(アトレティコからマンチェスター・シティへ移籍)らはグアルディオラ監督の話などで盛り上がっていたんですかね。横で見ているだけとあって、それ程、凄いことがあった訳ではないんですが、一番、驚かされたのはプレミアリーグのGK2人の攻防。

だってえ、ミニゲームの範囲が縦横30メートルぐらいしかないのをいいことに、どんどんボール出しの位置を上げていったケパ(チェルシー)が何発も自らシュートを決めたかと思えば、6月のユーロ予選、フェロー諸島戦、スウェーデン戦と続けて先発を彼に奪われたデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)の方はvaselina(バセリーナ/ループシュート)によるゴールで応戦。セバージョス(マドリーからアーセナルにレンタル)やヘスス・ナバス(セビージャ)、サラビア(セビージャからPSGに移籍)ら、フィールドプレーヤーたちも何本かいいゴールを見せていましたが、いや、GKは決定力じゃなくて、paradon(パラドン/スーパーセーブ)で勝負しなくっちゃ。

まあ、本格的に練習が始まるのは火曜からですしね。ただ今回の彼らはマドリッドにいる時間が短く、水曜にはもうブカレストに移動。木曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、予選5連勝を狙うルーマニア戦をプレーした後もラス・ロサスには戻らず、金曜にはフェロー諸島戦の会場となるヒホン(スペイン北部のビーチリゾート)に向かい、スポルティング・ヒホン(2部)の練習場で日曜の試合の準備をするんですが…エル・モリロン(スポルティングのホーム)で前日公開練習があってもなかなか、スペイン観光旅行中のファンは見に行けませんよね。

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